2000年02月


 
02 / 01

2000年になってからも、小さいけれども陰惨(いんさん)な事件が 起きている。

小学生(しょうがくせい)が校庭(こうてい)で殺害されたり、 刺(さ)されたりした。犯人は男性のようだ。
爆弾(ばくだん)を作っていた男。
2ケ所で実際に爆発(ばくはつ) させようとした。

昨日は、9才の少女を自宅で約10年間、監禁(かんきん)していたという 驚くべき事件が発覚(はっかく)した。

これらの犯人に共通なのは、30代、男性、独身、無職(むしょく) ということだ。

学歴社会からようやく脱却(だっきゃく)しつつある社会が次に選んだのは 能力主義であった。 このことは、自然な流れのように見える。しかし、社会の閉塞感 (へいそくかん)は、持ち越したままだ。

心を病む30代の男性が増えていることは、理解できる。 彼らが社会にデビューした時は、日本は、空前のバブル景気の中だった。

おそらく、現在の変化の狭間(はざま)で、最も居場所が少ない世代で あるからだ。 逆にそこから抜け出した30代の人間は、最も厳しい選別者となって、 変化を煽
(あお)っている。

両者に共通なのは、「幼稚(ようち)である」ということだ。

 


 
02 / 07

フランクフルトから東京へ向かう飛行機で隣り合わせたその紳士 (しんし)は、たまたまチェックインのイギリス人の好意によって 得たビジネスクラスに乗っている私にいぶかしげな視線を送りながらも 社交辞令(しゃこうじれい)を感じさせない友好的な口調で 「今回はどちらへ」と聞いたのだった。

「ドイツの田舎なんですが、モーゼル川の流域(りゅういき)に 小さな保養地があるんです。いいところでしたよ」 と答える。
「ほう、後学のため、詳しく教えていただけますか」とあくまで物腰 (ものごし)やわらかく尋ねる紳士は商社マンだと名乗る。50才前後。
スチュワーデスともにこやかに談笑(だんしょう)する。
「ワインで有名なベルンカステルというところから、電車で、」 と言いかけた時、突然、彼は、きりりとした顔になり、ヘッドホンを した。 スクリーンでは、ニュースが始まったようだ。

ニュースの最後に株価をキャスターが伝えると、かばんから資料を取り出して 仕事を始めた。

飛行機で隣に座った客と話すのは、難しい。

不愉快(ふゆかい)な思いを したからと言って、席を変わるわけにはいかないし、途中下車もできない。 窓の外はたいくつだ。 機内食(きないしょく)を食べていると、北京(ぺきん)ダックにでも なったような気分になる。
だから飛行機は嫌いなんだ。

 


 
02 / 08

シュテフィグラフが日本に来ている。引退試合(いんたいじあい) のためだ。

グラフはさっぱりとしたいい顔をしていた。
彼女は、間違いなく ナブラチロワとエバートの時代からテニスの進歩をひとつ進めた 女王だった。 ボルグ、マッケンローの男子テニスの時代の後は、女子テニスの時代だった。 その意味では、グラフは、テニス界のトップに君臨(くんりん)していた と言ってもいい。

日本では70年代から80年代にかけてテニスブームがおこり、各地に テニスコートができた。それまでは、高貴(こうき)な、お金のかかる スポーツとして知られていた。 ボルグ、コナーズ、マッケンローといった黄金時代だった。
日本でも ウインブルドンの中継(ちゅうけい)は、深夜にもかかわらず高い 視聴率(しちょうりつ)をとった。

その後、下火となった。80年代中盤からのバブル経済によってテニスコート の値段も上がった。東京では、一時間一人8000円だったこともある。
一面(いちめん)ではない、ひとりだ!

今は、都心でも1時間一面で4000円ほどだ。地方に行けば、1000円程度。
公営(こうえい)のテニスコートは、ほとんど無料で、平日なら 空いている。

 


 
02 / 09

マコーミック選手が引退(いんたい)した。

彼はラグビー選手。はじめて外国人として日本代表に選ばれ、キャプテンを 努めた。 元ニュージランド代表の一流のプレイを見せてくれた。その判断力の速さ、 的確(てきかく)さを追いこす日本人選手は現れなかった。

私はマオリの末裔(まつえい)だと言うニュージーランド人とレッスンを したことがある。がっしりとした体格で、気持ちのいい男だった。 現在、知人もニュージーランド人を教えている。彼も日本では、代表クラス のラガーマンだという。

もうひとつ、日本では、カヌーなどで川下りをする人達にとっても、 ニュージーランドは、あこがれの国であるようだ。その美しさを書いた本は 数知れない。

ニュージーランドでは、日本語を学ぶことは人気があるそうだ。

かつて教えた女性は、 「ニュージーランドかえって、ニオンゴのセンセになる希望です。」 と言っていた。
ニュージーランドではニオンゴのセンセになるのは簡単なのだろうか。
彼女は、ニオンゴのセンセになっただろうか。

 


 
02 / 10

「普遍性(ふへんせい)のある話題」を選ぶのが、多様な人種、 国籍が集まる場面ではマナーだそうだ。

一般的に選ばれるのは、スポーツ、天気、食べ物。 日本で外国人が集まると、アパートの家賃など物価(ぶっか)が高いこと。 種類が豊富なビデオ屋の情報。日本人の上司の悪口。 ニホンゴムズカシイネエ。

もちろん、食べ物の話題もタブーが多い。ベジタリアンは多い。物価の話題をする時は、生活水準が同じであることが暗黙(あんもく)のうちの前提(ぜんてい) となっている。 政治や宗教の話題は避けるようにというのは、よく言われますね。

しかし、こういうのもある。

子供のころ、学校までの交通費(こうつうひ)を節約(せつやく)する ために、歩いて学校に通った話。 歯が痛いけど、なかなか歯医者に行く勇気がでない話。 歳(とし)を取って、昔のようには、無理がきかなくなった話。

ふとした弾(はず)みで、こういう話題を共有できることがある。
パーティーで無難な話題ばかり選んでいませんか?

 


 
02 / 22

CDが出始めのころ、レコードが2000円前後だったのに対し 3500円だった。

CDプレイヤーも10万円ぐらい。 その後、2.3年でCDは2500円になり、レコードより安くなった。 その後は、一気にCDが普及(ふきゅう)した。

レコードは、プレイヤーも 含めて、店頭(てんとう)からほとんど一瞬(いっしゅん)のうちに 姿を消した。

ここ3年ほど、クラブのDJがリミックスをするのにレコードが必要と いうことで、盛りかえしてきたが、実質的には「消えた」と言っていい だろう。

私はまだレコードのほうが多い。
私の好きな音楽はなぜか CDで発売される確率は低く、捨てるに 捨てられない。

 


 
02 / 23

CDとレコードは、確かに音質は違う、これは質の高い低いではなく、 単純に種類が違うといったことだ。音楽が好きな人なら分かるだろう。

しかし、音楽の質に影響を与えるほどではないことは確かだ。当初、生産コストが高いことから、 CDの出現(しゅつげん)で、マイナーレコードレーベルが淘汰(とうた) されるのではないか、といったことが言われたが、その危惧(きぐ)も、杞憂(きゆう)に 終わった。

今や、CDは、自宅のコンピューターで、作ることもできるのだ。

さて、CDの次は、何だろうか。SONYは、MDを使った音楽配信 (おんがくはいしん)を始めた。 日本国内では、ウオークマンの売り上げは カセットを抜いて、MDが主役(しゅやく)となった。 インターネット上では、MP3というフォーマットが標準(ひょうじゅん) となりつつある。

でも、ちょっと待ってほしい。なるべく小さなホールで、一流の音楽家の 演奏
(えんそう)を聞いてみよう。できれば、狭いジャズのライブハウス なんかが好ましい。 音というのは空気の振動(しんどう)だ。その感触(かんしょく)だけは 失われてほしくないものだ。

 


 
02 / 24

世の中には鉄道好きという人たちがいる。

日本で鉄道に乗るというのは、こういうことだ。
例えば、東京から九州(きゅうしゅう)の福岡(ふくおか)まで、 飛行機なら90分で18000円。
これが鉄道なら、一番早い新幹線(しんかんせん)でも約7時間。 25000円。

ただし、鉄道好きは、新幹線には乗らない。ブルートレインと呼ばれる 寝台特急
(しんだいとっきゅう)に乗る。 これは、約16時間。料金は一番安くて25000円。一番高い個室は シングルデラックスという名前で30000円。

私の知人は、この個室で九州へいった。 このシングルデラックスという個室を説明するなら、小さな洗面(せんめん) と180センチ以上の人は寝ることができない座席(ざせき)を兼ねた 小さなベッドがあり、帽子などを駆けるフックがある棺桶(かんおけ) といったところだ。

歩くスペースはない。テニスの素振りもできない。
知人は、前日、うれしくてあまり眠れなかったといっていた。

 


 
02 / 28

ひとつの素材(そざい)で何でも作った時代というものがある。

鉄の時代、木の時代、プラスティックの時代など。 その時に最もコストが低かったり、技術者(ぎじゅつしゃ)が多かったり する素材が時代の主役となる。

木製(もくせい)の冷蔵庫というものを見た。中は見られなかったので、電気じかけ なのかは、わからなかった。というのも、このような形のもので、上に 氷を入れて、冷蔵庫として使った時代があったからだ。

今はほとんどなくなったが、氷屋というのは、魚屋などと同じく、どこの 街角にもあったらしい。 今でも老舗(しにせ)の日本料理屋では、氷で保存するところがある。 そのほうが材料(ざいりょう)が乾燥(かんそう)せず、いい状態で 保てるとのことだ。 もちろん、今では手間もコストもかかる。

寿司屋(すしや)のカウンターで 氷を見かけたら、勘定(かんじょう)は覚悟(かくご)しなければならない。 もちろん、そういう寿司屋は、おいしいけどね。

 


 

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