ジャズシンガー

レイチャールズが亡くなった日に前後して、峰純子(みねじゅんこ)という
日本の歌手も亡くなった。

こちらは、日本でもほとんどの人が知らないという歌手だ。

15年ほど前に、リー・コニッツというジャズサックス奏者が来日した。
コニッツは、知る人ぞ知る超一流のアルトサックスプレイヤーだが
人気があるとはいえず、日本でのライブでは、日替わりで無名の日本のジャズ歌手と
共演することになった。

中には、「本当にジャズうたえるの?」という人もまじっていた。

残念ながら、そうしないと、切符が売れないのだ。

私は、コニッツが好きだったので、ライブにかけつけた。
この日の共演の女性歌手が、この峰純子さんだった。

数曲演奏したコニッツが楽屋に戻ると、峰純子さんが現れた。
私は最初、トイレにでも行こうかと思ったが、初めて聞く峰さんの歌はすばらしかった。

特に最後のマイファニーバレンタインで聴衆は水をうったように静かになった。

間奏で、ピアノソロに入った瞬間に、突然、楽屋からサックスの音が
聞こえてきた。

バックバンドは、驚いて、サックスのソロに合わせて演奏した。
リーコニッツが、ソロを始めたのだ。

どうやら、この曲が最後なので、ステージの近くにいた
コニッツが、舞台の袖から、ソロに参加したということのようだった。

ソロが終わるまで、コニッツは姿を現さない。

ハプニングだったことは、演奏後、峰さんが泣き出して
しまったことでわかった。

峰純子という歌手は変に「ジャズ風」にフェイクしたりしない
誠実で、暖かい、すばらしい声の持ち主だった。


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