ももひき

男は悩んでいた。

仕事のことでもなく、女のことでもない。
人間関係でもない。

子供の教育問題 ? いや、彼は、独身である。

今年40歳になる、その男は、自分の年齢に相応しい服装はどうあるべきか
ということで悩んでいる。

それは、「ももひき」のことだ。

ももひきは、簡単にいうと、長いパンツのことだ。

冬はこれを履くと温かいということはわかっている。
ただし、まだこの男は、ももひきを履いたことがない。
去年、この男は、カゼをひいた時、フト、腹巻を試してみて思っていたより快適だったことから、長年、日本人が愛用してきたものは、それなりの理由はあるものだと、考えるようになった。

加齢による保守化、というのは、こういう生活の中から始まるものかもしれない。

しかし、この男は独身である。まだ色気はある。
そこが、この悩みを深くしている。

つまり、ももひきは、ある年齢に達して、何かを諦めた人が履くものだ、というのは
日本人一般のコンセンサスと言ってもいいものなのだ。

女性にとっては、「百年の恋もさめる」ものであるらしい。
男は、すでにその年齢には達しているのかもしれない。
しかし、、、と、悩みは続く。

彼のために、ナイキか、アディダスが、「ロングパンツ」なんて名前で、ももひきを
安く売り出してくれないだろうか。


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