ホームラン王

下町のラーメン屋の息子。
謙虚で、子供に優しい。
誰にでも、公平に接し、はったりや虚勢を張ることを嫌う。
どんな人物に対しても丁寧な口調で話している姿しか浮かばない。

職場では、後輩が育つのを我慢強く待ち、責任は自分で負う。
世界中の同業者から尊敬を受けているだけなく、一緒に仕事をした外国人も
彼の信者になってしまうのは、よくあることだそうだ。

お客さんを大事にし、わがままな不平や不満でさえ、耳を傾ける。
まじめで、家族思い。
当然、家族からも愛されている。
背が高く、体格もいい。だから、居酒屋でお酒を飲む時は、小さなイスに体を
まるめるようにして座る。

出張の時は、お気に入りの靴下をホテルのバスルームで自分で洗濯する。
日本生まれだが、国籍は、日本ではなく、台湾だ。国籍を変えたほうが便利だが
そうすると台湾の人々が悲しい思いをするからと、変えないことに決めたそうだ。

こんな人物が、伝説的な野球選手で名監督だったら、誰からも好かれて当然だ。

先日、彼は、病気になり手術を受けることになった。

記者会見で、チームの人に申し訳ないとあやまった。
病名を言わなかったのは、医師が判断するべきことだという考えがあったのかもしれない。
事をおおげさにしたくないという配慮だったのかもしれない。

手術の経過が、発表された、経過は順調とのことだった。
病名はガンであることが発表された。彼の病名は、誰もが知ることになった。
ただ、病名を口にする者は少ない。

これは、皆が、今、自分ができる唯一の小さな恩返しだとでも言うようにただ黙って
見守っているからだ。


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