猿のところだけ

猿の手

骨董市に行くと、何のために作られたかわからない古い道具などがある。

こういう農家の内職や、特殊な野菜の加工のための道具などのことを民具(みんぐ)
と呼ぶ。

この写真に写っているものは、どんな道具かはわからない。
多分、いろんなものを組み合わせて作ったものじゃないだろうか。

下の台と縦の棒は木製、それに小刀の鍔(つば)のようなものがささっていて
そこから、これも、鉄製の吊り下げ用の金具がある。

鉄瓶と吊り上げ用の金具は、元々別々にあったものじゃないかと思う。

全体のバランスを考えると、鉄瓶がちょっと大きいような気がするし、ついでに
言うと、鉄瓶にさしてある花もちょっと大きすぎる。
適当にその辺にあった花を挿してみたというカンジだ。

この吊り下げの金具の真ん中には、猿が彫ってあり、左手で上の棒を掴み
右手で鉄瓶を持っている。

この猿のところがしゃれていて、面白いんですね。
この猿の吊り下げ金具だけ欲しい。

—-

だが、この物体には、値段がついていない。
もし、私が、この吊り下げ金具のところだけ欲しいなんて言うと、高い値をつけるに
決まっている。

頭の中で作戦をたててみる。


私:おもしろいね。でも、この鉄瓶は、最初から、これとセットじゃないでしょ?
店の人:ああ、そうだよ、でもこの鉄瓶もいいものだよ。
私:じゃあ、うちにある鉄瓶を使ってもいいかな、少し小さいけど、いいのがあるから。
店の人:ああ、そう、それでもいいかもね。
私:ああ、じゃあバラでも売ってくれるんだ。
店の人:ああ、いいよ。
私:へえ、この土台と、吊り下げ金具も元々別だったんでしょ。
店の人:うーん。どうだったかな。ちょっとわからない。
私:そう。じゃあ、この土台だけだったら、いくら?
店の人:ああ、これ農家から出たばかりのものだからねえ。15000円かな。
私:ちょっと手が出ないなあ。
店の人:14000円でいいよ。
私:うーん。ちょっと考えさせて、ちょっともうひとまわりしてくるから。

で、15分後、再び、店の前に来る。


私:やっぱり、ちょっと予算オーバーだから。でも、鉄瓶も高いんでしょ?
店の人:鉄瓶だけ? じゃあ8000円でいいよ。
私:ありゃー、それも、厳しいなあ。じゃあ、次に来るときに、土台買うから、今日は
  その吊り下げ金具だけでも買って帰ろうかな

店の人:じゃあ、1500円でいいよ。

というようには、ならないでしょうね。

こういうことはたいてい店の人のほうが一枚上手なのだ。

この会話は、私が勝手に考えたものです。こういうことをクヨクヨ考えながら
神社の中を歩くのも、骨董市の楽しみですね。

結局、値段を聞くことはできませんでした。


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