社長室

日本で最も大きな英会話学校が倒産した。

毎度のことだが、旧経営陣の、子会社を通じた怪しいお金の流れなど、いろいろなことが
暴露されはじめて、新聞や雑誌をにぎわすことになっている。

3000人とも言われる外国人講師の給料は支払われず、予約のチケットを買った
客にも、返金されるメドは、ついていない。

他のライバル学校は、お客さんは欲しいけれども、余計な負債は請け負いたくない。
もう少し弱ったときに、安く引き受けることができればと狙っているようだ。

ワンマン経営と言われた社長は、未だに姿を現さない。

今回は、社長室が話題になった。

新聞は、社長室の写真を何枚も公開している。
「こんなに贅沢をしていた!」という語調で記事は書かれている。

日本の大企業では、社長や社長室は、単なる記号であって、そこに個性は
見当たらない。社長はいわば功労賞であり、実際に会社を動かすのは個人ではなく
社長と、その人を社長にしたグループである。場合によっては、すでに引退した会長が
実験を握っているというのもよくある話だ。

社長よりもその人を社長にした人々のほうが権力を握ることになる。

したがって、社長室も、個性がなく、調度品なども、きわめて保守的、普通ならあまり長居は
したくないようなところだ。

しかし、中小企業の社長は違う。

ほとんどの場合、自分ひとりの力で会社を大きくしたと考えていて、反対する社員はいない。
会社の中では孤独な存在だ。

この孤独が社長室の改造へと走らせる。

大きくわけると、2つある。

社長室を「自宅」にするタイプと。「ホテル」にするタイプだ。

自宅タイプは、さらに、自室にする人と、リビングにする人に分けられる。

リビングタイプは、人を自分の趣味に招き入れる。という考え方があるようだ。
賞状やトロフィー、お気に入りの鎧(よろい)なんかが飾られ、「運、鈍、根」1といったような
ビジネスの警句(?)のような掛け軸が飾られていたりする。

テレビとゆったりとしたソファ、秘書は、奥の浴槽で、靴下を洗濯していたりする。

自室にする人は、もう完全に趣味の部屋となってしまう。
壁をピンクに塗ったり、「運が開けると先生から聞いた」という理由で黄色に塗ったりする。
孫の写真とテレビ電話。好きな模型、お気に入りの雑誌。
金にモノをいわせて撮った有名芸能人との写真。高額な健康食品。

「ホテルタイプ」も、さらに二つに分かれる。

リゾートホテルにするタイプ。

バリ島の飾り物があったりして、お香が焚いてある。
間接照明。熱帯魚とリースの観葉植物代金は会社の経費で支払われる。

ラブホテルにするタイプ。

ジャグジーは必ずある。
ワインセラーには高級ワインが常備され、奥には強い酒が隠されているカウンターバー。
ダブルベッドがある部屋への入り口は、一見わかりにくくなっている。
つまみと、翌朝の味噌汁を作らせるためだけに簡単なキッチンもついている。
寝室はあまり利用しないが、毎日シーツをクリーニングに出している。

大手英会話学校の社長室は、「ラブホテルタイプ」だった。
安いコンドミニアムみたいな作りで、狭かった。

今日、経営を引き継ぐ会社が現れた。採算のあう教室を引き継ぎ、ある程度の従業員の
雇用も保証するという。ただし、客が支払った前払いのレッスン料金は引き受けないそうだ。

この会社はコンサルティング会社だ。
私は、この会社は、ある程度株価が回復した時に、学校ごと、売っぱらうのではと睨んでいる。


  1. *「運、鈍、根」(うん、どん、こん)

      運があり、我慢して、根気よくがんばる、というような
      意味の言葉。

      ビジネス関係者には知られている成功の秘訣といわれる
      言葉、似たような3つの言葉の組み合わせはたくさんある。 []


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