向き不向き

職業選択の自由、というのがありますね。
これは、日本では、かなり進んでいるけれど、隣国ではなかなか難しいことのようだ。

日本の大企業は、諸外国に比べて、一族経営というのは少ない。
技術者出身の社長は多いし、農家の息子が、国際的な大企業の社長になることは
決して、珍しいことではない。

この点では、欧米の国々よりも、チャンスは平等にあるような気さえするが
多くの日本人は、未だに、外国のほうにチャンスが溢れいている、と信じているようだ。

ただし、女性は出世しにくい土壌はまだある。

おそらく、日本の女性は、総合的な仕事の能力を伸ばすよりも、専門的な
知識や能力を磨きたいという傾向が強く、それが、日本の組織の中での出世コース
とは微妙にずれている、ということがあるのかもしれない。

多くの若者にとって、仕事を決める基準は、やってみたい職業、カッコいい職業
儲かりそうな職業、安定している職業ということであって、自分がその職業に
向いているのかは、それほど重視しないようだ。

それに加えて、あらゆる職業の専門性は薄まり、マニュアル化が進んでいることも
人々の意識に、微妙な影響を与えている。

おそらく、ほとんどの人が、どんな職業でも、3年もやれば、一人前になれるのではと
考えているのではないだろうか。

今、日本には、手先の不器用な外科医、読書が嫌いな書店員、味覚に問題があるシェフ
説明が下手な教師、がゴロゴロしているし、特にそのことに疑問を抱く人はいない。

東京都や大阪の知事も、総理大臣でさえ、どうやら、その職業に向いている人がなっているとは
いえないようだし、歌手や俳優のような職業でも、そうなのだ。

近所に、小さな台湾料理の店があって、30代の若い台湾人らしき夫婦が経営している。
無口なご主人は一日中、客に背を向けて料理を作っている。
愛想のいい奥さんは、いつも、ニコニコして、客である工場の男性らしき人と
談笑している。
時々、背中を向けたままのご主人をからかったりしている。

近所には、工場で働く人の社宅があり、その社宅の食堂代わりになっているようだ。
ラーメンとチャーハンのセットが750円。
ただ、小さい店なのに、メニューは豊富で、見たこともないような料理も書いてあり
背中を向けっぱなしの男は、只者ではない雰囲気を、少しだけ漂わせている。

この店の料理は何を注文しても、驚くほど、おいしいのだけれど、お客さんは皆、近所の人で
レストランを食べ歩くようなタイプではないから、「この店は、ちょっと美味しいからな」
という顔をして、ビールを飲みながら、モリモリ食べているだけだ。

この店の夫婦は、とても幸せそうだし、近所の人々も、こういう店が近くに、あることは
とても幸せなことだと感じているに違いない。

そして、この店に来るたびに、向いている仕事を選ぶということは、自分だけでなく他人をも
幸せにするのだなあと、思うのだ。



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