主人公の少年時代

大量殺人犯(たいりょうさつじんはん)とか、テロリストが主人公の小説は多い。
最近、特によく見かけるような気がする。

残念なのは、ほとんどの場合、犯人の不幸な子供時代が、この冷徹な
人間を作ったのだ、という同じような展開が多いことだ。

例えば、こんなカンジだ。

その地方都市は、産業も少なく、過疎が進んでいたが、海が近く、そこそこに豊かなところだった。
ただ、交通の便が悪く、大都市から離れていることから、21世紀に入り、工場は移転し
どんどん、寂れていくことになる。
大人たちの生活は荒れ、子供達は、故郷に絶望していく。

ある日、大国の大統領候補が、その市と同じ名前であることを誰かが発見し
一躍マスコミに取り上げられる。

市長は、全国的な話題になったことに、我を忘れて興奮し、市をあげてその
候補を応援する。まんじゅうが売れ、Tシャツがお土産品として観光地に並ぶ。
候補者の出身地のダンスを中年女性が練習する。

テレビでダンスをしている中年女性が大国の選挙報道に一喜一憂している映像を見て
小説の主人公である少年は、自分が住んでいる地域に未来がないことを悟り、家出を決意する。
すでに、少年の家は、父が仕事を失い、母は行方不明。
家出をしても、誰も探さないだろうと、15歳の少年は考えたのだ。

少年は、まだ、このときは、東京に行けば、故郷にはない何かがあるはずだと
思っていたが、15歳の無一文の少年に都会は厳しかった。

しかし、挫けそうになるたびに、ダンスをしている女性の映像が浮かんできて
「あそこには帰りたくない」と思うのだった。。。



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