800円の意味

昨日行った時計屋は、寂れた駅前の商店街の一角にあった。
古く、薄暗い店の奥に、善良そうな夫婦がぼんやりと座っていた。
「電池の交換お願いします」と言うと、驚いたように、「ハイハイ」と居住まいを正して
時計を渡すと、ダイアモンドでも預かるように、手にとって、15分ほどで作業完了。
「ついでに中を掃除しておきましたよ」で、2000円。

おととい、ホームセンターで、訊いた時は
「できるかどうかわからないけど、あずかっておきます、1週間かかります。1200円です」
ということだった。カウンターを覗くと、「時計修理」と書いたプラスティックの箱に数十個の
腕時計がゴムで束ねて詰め込んであった。修理センターに送るのだろう。

ホームセンターは、郊外にどんどん増えているし、いつ行っても、駐車場は満杯だが
東京や大阪などの大都市の中心以外は、駅前の商店街は、ゴーストタウンになりつつある。
勝負は明らかだ。

腕時計は、今、ひとつ100円でも売っている。うちに、2つや3つはあるのがフツウだ。
一週間ぐらいは、無くても問題は起きない。
じゃあ、1200円のほうに持って行こうと考える人が多いのは、自然なことかもしれない。

私にとっても、800円は、小さな金額ではないけれど、2年に一度のことだ。
私は、時計の電池が切れたらまたあの店に持って行こうと思っている。

多分、あのおじさんは、時計が好きで、時計のことなら、なんでも知っているような気がするからだ。

そういう人が、自分が住んでいる町に一人いる、というのは、ちょっと気分がいいと思いませんか?



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