外国の地方都市を歩いていた時のこと。
後のほうで、何だか、変な音がする。
女性の声で、ピッチが高く、舌足らずで、喉を絞って不自然に無理やり薄っぺらくしたような声。
そう、アニメ声、と言われる声だ。

振り返ると、ショーウインドーの前で日本人女性らしき二人組みが
「カワイー」と叫びあっていた。

日本語だったから、気がついたのかもしれない。
しかし、よく考えてみると「kawaii-」という言葉は、それほど日本独自の音が含まれているわけではない。
やはり、あの声の質、出し方、が特殊だったのではないだろうか。あれは、世界でも稀な音だ。
外国人の女性で、あんな話し方をするのを聞いたことがない。

もちろんすべてではないが、大多数の日本の女性の声の出し方、話し方は、本当に特殊だと思う。
30代になると、不自然な発声は薄まるが、端々に、「カワイイ」話し方が残る。

知り合いの女性によると、少し前までは、男性の前だけで、出す声で、女性同士だと地声になる
ということだったらしいが、「最近の子は、女性同士でも、アニメ声の子が多い、ちょっと低くなるけど」
とのことだ。

もはや特殊な話し方ではなくなっている。
店内のアナウンスでも、落ち着いたレストランでも、老舗の店員でも、アニメ声の女性は多い。
「えっ! そんなしゃべり方が許されているの?」ということが増えた。
おそらく、駅のアナウンスや国会の議長が、アニメ声になる日は近い。

今回の選挙では、30代から40代の女性の政治家がたくさん誕生した。
選挙区で、大物の議員を破っての当選だったが、意志が強そうで、パッと見ただけで老人達よりも
優秀なのはあきらか、将来性もありそうだ。
インタビューでは、みな、少し疲れた表情で、枯れた低い野太い声で話していたのが新鮮だった。

私は、小学校のころに、二人で手をつないで、秘密の通学路で一緒に通っていたヤスコちゃんも
中学のころ、北海道から転校してきて、仲良くなったミキエちゃんも、声が低くハスキーだった。
筋金入りの低音、ハスキー声好きなのだ。
ミキエちゃんの声なんて、今でも、時々思い出すくらいだ。

今、考えると、ヤスコちゃんも、ミキエちゃんも、そのことを気にしていたようだったので
ひょっとすると、30年前から女の子は高い声のほうがいい、というムードがあったのかもしれない。

クリスコナーが亡くなった、というニュースを知って、ちょっと考えたことでした。

ああいう魅力的な声の女性、少なくなりましたね。



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