夢?

大学生のころ、突然、「今日の夕方、講堂でハンクジョーンズが演奏する」
と聞いたときには耳を疑った。
まったく宣伝なんかしていない。ポスターもない。
なぜか突然決まったらしい。

夕方、人が講堂に集まっている。

気乗りしなさそうな女子学生は
「なんかジャズの人が演奏するらしいよ」
なんて、座って話している。

(バカ! ジャズピアノの神様が、来たんだぞ!)
と心の中でつぶやきながら、座って待っていると、舞台の左から
スーツを着た静かな紳士が現れ、頭を下げて、スッとピアノに座り
数曲、レコードで聞いたままの完璧な演奏をしたのであった。

あとは、あまり覚えていない。

その日は、「もしかしたらハンクジョーンズが聞いているかもしれない」
と楽器の練習にも力が入ったこと。

私は、大学から歩いて3分のところに住んでいたので、なんだか
家に帰っても、「今、近所にハンクジョーンズがいるんだなー」
とうれしいような不思議な気持ちだったこと。

翌日、「昨日見たハンクジョーンズは
本物だったんだろうか、夢だったのか?」
とヘンな気分だったことを覚えている。


今日、亡くなったと新聞に出ていて、20年ぶりに思い出しました。
ホントウに、私はハンクジョーンズの演奏を見たのだろうか?



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