2001年06月


 
6/1

「こんどの内閣(ないかく)は、話すのがうまい人が多いね」
「テレビにでた経験が豊富な人が多いからね」
「ああ、そうね。テレビ時代ってことかな」
「そう、多分ね。今まではひどすぎたよ」
「それは言えるかもね」
「テレビで話すのって、頭の回転が必要じゃない?」
「そうだな」
「頭のよさにもいろいろあるけど、回転のほうはあまり重視されなかった
 んじゃない?これまで。」
「ああ、そうね。話すのがうまい人って信用できないっていう人もいるから」
「そう、軽薄(けいはく)とか、深みがないって考える人がいる」
「無口だけど、実行力がある人っていうのは、いいイメージだもんね」
「女性は多いけど、田中さんを除けば、なんかいまいちね」
「やっぱり男性社会で生き残ってきた人たちだから、慎重なんじゃない」
「ああ、それは言えるね。まだ冒険は出来なかった世代かもね」

小泉(こいずみ)さんの人気は、もう一種のブームといってもいい。
メディアも、悪口を遠慮するほどだ。

 


 
6/5

郊外型(こうがいがた)の大型店が増えている。

大型店の進出は地方から始まった。小さな店は淘汰(とうた)され 今や地方では
車なしの生活は難しくなった。

東京でも街道沿いに大型店が増え商店街が減りつつある。
ひとつ注意したほうがいいことがある。
「こういう店では道を聞く時は気をつけたほうがいい」 ということだ。

私は今日、こういう種類の店のレジで、「バス停はどこですか」と聞いた
店の人は 「ああ、前の道を左にちょっと行くと大きな交差点(こうさてん)が
ある からそこを左に曲がってすぐです」 と言った。
私は「左ですね」と言って店を出て歩きはじめた。
しかし、この「ちょっと行く」というのは「車で」ということだった。
結局45分、歩きました。

 


 
6/8

1年後は日本と韓国でワールドカップが行われる。

「1年後はホントに大丈夫なのかね」
「ワールドカップでしょ、施設は間に合うみたいだけどね」
「アクセスとか、最悪(さいあく)らしいよ」
「地方都市でも新しく作ったサッカー場ばっかりだものね」
「そう、だから、たいてい一本道で、車はいつも渋滞らしいよ」
「もう地方都市でも市内に広い土地を探すのは不可能だからね」
「そう、イタリアなんかと違って、歴史がないから仕方ないかもね」
「まあ、そうなんだけど。日本の渋滞を知らない外国人は驚くんじゃない」
「暴動(ぼうどう)とかね。恐いね」
「逆に田んぼのまん中にあるサッカー場ばかりだから大丈夫って言う人もいるよ」
「ああ、そうか。そうかもしれないな」

実は、ワールドカップ開催(かいさい)で、一番心配されているのは 警備
(けいび)でも、施設でも、アクセスでもない。 雨だ。
6月は、日本では、半分以上が雨なのである。どこの国のサッカー スタイルが
雨に有利か、というのは、また難しい問題だが。

 


 
6/12

アメリカ映画を見ていると「いいニュースと悪いニュースがある」 という
言い方がよく出てくる。

今の日本にも「いいニュース」と「悪いニュース」がある。

「いいニュース」は、サッカーの日本代表が、コンフェデレーションズ カップで
準優勝したこと。これは予想以上の結果だった。

「悪いニュース」のほうは、海外にも配信されているかもしれない。

大阪で、精神病の疑いを持つ男が小学校に乱入(らんにゅう)し、20人 以上の
子供を傷つけ、8人の幼い命を奪った。 この悪いニュースの前には、どんな
ニュースも霞(かす)んでしまう。 サッカーの決勝(けっしょう)の試合開始の
前に、短い黙祷(もくとう)が 行われた。

この時間、グラウンドは、音ひとつなく、静まりかえった。
スポーツ中継で こんな静けさを見るのは、はじめてだった。

 


 
6/15

男性2人の会話。おそらく30代後半。サラリーマン

「おまえ、いいよな。オフィスに若い女の子が多くて」
「みんなそういうけど、もう大変だよ」
「いないよりはいいよ」
「でも、毎日、好奇(こうき)の目にさらされて、噂の餌食(えじき)に
  なるんだぜ」
「でも、お昼とか、一緒にごはん食べたりするんだろ」
「時々ね、でも、ぜんぶ、おごりだよ」
「そうか、課長にもなるとなあ」
「最近は、同僚の女の子と2人でメシ食ったり、飲んだりできないんだよ」
「ああ、不倫(ふりん)の噂がたつのか」
「そう。ぜったいに3人。先輩が不倫で左遷(させん)になってから職場も
  ピリピリしてんだよ」
「ああ、多いからなあ。最近」
「それに、うちは、社内恋愛で早く結婚するやつが多いから、30才過ぎて
  独身だと周囲の目が変なんだよ」
「変?」
「ゲイじゃないかとか、オタクじゃないかとかね」
「そうか、だんだん、うらやましくなくなってきたな」

 


 
6/26

東京都の議会の選挙が行われた。

東京は、もちろん日本で一番大きな都市でもある。年間の予算も 6兆円ほどであり
小国の国家予算に匹敵(ひってき)する。

今回の選挙では、与党(よとう)である自民党の人気が高かった。
選挙では、こういう人気を「風が吹く」と表現することがある。
これまで自民党は、逆風(ぎゃくふう)を警戒(けいかい)するばかり であった。
なるべく投票率(とうひょうりつ)は低いほうがいい。
低ければ、風も、そよ風程度におさまるからだ。

自民党の候補者(こうほしゃ)も、おそらくこれほどはっきりとした 順風(じゅんぷう)を感じながらの選挙は、 はじめてだったに違いない。
投票率も上がった。といっても、50%程度だったのだが。

 


 
6/28

選挙は、日本ではひんぱんに行われる。

国会(こっかい)の選挙。県(けん)の選挙と県知事(けんちじ)の 選挙。
同じく、市と町にも2つづつある。 テレビなどで報道されるのは、国会と県知事
の選挙だけだが、半年に 一度の割合で選挙があるというのは、多いように感じる。

やっかいなのは、選挙カーといわれるスピーカー付きの車だ。
候補者やその配偶者の他に若い女性がにこやかに手をふっている。
それだけなら、いいのだが、名前を覚えてもらうために、候補者の 名前を連呼
(れんこ)する。

「**町の皆様、しまだ、しまだ、しまだろくさぶろう でございます。 しまだが**町におじゃまさせていただいております!」 というカンジだ。

しばらくするとまた他の候補者の車が現れ同じように連呼が始まる。

 


 
6/29

会社で、独身(どくしん)の男性2人の会話。20代後半

「先月から、自宅(じたく)での仕事が増えてね」
「うん」
「徹夜続きで、ヒゲも伸び放題。髪の毛ボサボサ」
「ああ、そう」
「店屋物(てんやもの)ばっかりでさあ、すっかり人相(にんそう)が
  変わってたんだよ」
「うん」
「でね、昨日、半月ぶりにマンションの駐車場で体操(たいそう)
  してたらさあ」
「うん」
「やたらと、近所の人が挨拶(あいさつ)してくるわけ」
「へえ、いつもはしないの?」
「うん、いつもは、会釈(えしゃく)ぐらいだったんだけど」
「どうしてかな」
「そう、変でしょ。でね、ちょっと考えたのよ」
「そしたら?」
「多分ね、危険な人物だと思われたんじゃないかな」
「ああ、人相が変わってたから」
「そう、多分、変な人がいるから、挨拶して、様子を伺ってたんじゃないか」
「なるほどね。挨拶には、そういう効用(こうよう)もあるしね」
「そうそう、なんか、笑顔がこわばってた」
「ははは」
「それに気がついてから、こっちも、やたらと愛想(あいそう)よく
  しなくちゃいけないような気がしてね」
「複雑だなあ」
「人が通るたびに、こちらから、ニッコリ、挨拶してた」
「最近、物騒(ぶっそう)な事件が多いからなあ」

 



2001年05月


 
5/9

ゴールデンウイークは、各地でイベントが行われ、人出も多い。

ディズニーランドなどは、何十万という人が訪れ、ホテルも満員だ。
最近は、アジア各国から、ディズニーランド目当てで来る観光客も 多い。
中国、台湾や韓国、今年は、北朝鮮からもVIPが不法入国で来た という
ニュースもあった。

これらの国から日本までは飛行機で2.3時間ほどで、料金も
3.4万円だ。 しかし家族で来るとホテル代や食事代がかかるので、一人10万円は
必要になるだろう。 アジア各国との為替(かわせ)の格差を考えると
やはりディズニーランド に来る人々は恵まれているほうだと考えられる。

日本の観光地は、これら増え続けるアジアからの観光客を、どうやって
呼び込むかに苦心している。各国の旅行会社のスタッフを町に招き 自分の街を
アピールする。
旅館は、韓国の旅行者のためにキムチを用意する。
中国語の案内を 作る。
公共施設の案内に中国語や韓国語が添えられていることも珍しくなくなった。

日本人による国内旅行の需要が行き詰まり、各観光地は、外国人観光客に
最後の望みをかけているようだ。

 


 
5/11

「沖縄(おきなわ)は梅雨入(つゆい)りしたらしいよ」
「え、もう!」
「うん。梅雨の時期は外国人はストレスが溜まるみたいね」
「ああ、ジメジメするからね。アメリカの西海岸から来た人はね」
「そう、ヨーロッパの人は、そうでもないって言うけど」
「ああ、イギリスも天気悪いしね」
「アジアの人はどうなんだろう」
「東アジアでは梅雨もあるし、大丈夫なんじゃない?」
「そうか。東南アジアの人は、どうなんだろうね」
「1カ月以上、雨が降り続けるのは、珍しいかもね」
「北海道は梅雨がないでしょ?」
「ああ、そうね」
「欧米の人にはやっぱり人気があるみたいだよ」
「あ、そうだね。チーズとかミルクとか美味しいし」
「そうそう。全国チェーンの英語学校なんかでも、東京の次に
  北海道に移りたいっていう希望が一番多いんだって」
「わかるような気がするな」
「寒いけどね」
「そうね。でも、北海道の人って、明るいし、いい人が多いでしょ」
「そう言われてみると、裏表(うらおもて)がなくて自立した人が
  多いって気がするな」
「そう、実は、その気質(きしつ)が外国人にとっても分かりやすくて
  住み心地がいいんだって」
「へえ、面白いね」

 


 
5/14

コンピューター技術のイニシアティブは、アメリカが握っている。 と言われる。
これは、OSを作っている会社がアメリカにあるので、仕方 がないことですね。

ゲーム業界では、まだ、日本も力を持っているようだ。これは家庭用ゲーム 業界
のハードを日本が握っているからで、ソフトの開発環境もハード業界の 意向
(いこう)を無視できない状況があるからだ。

40才以下の日本人ならば、一度はゲームを触った経験があり、何らかの ゲーム
機器が家にはあったという記憶(きおく)があるはずだ。

今、ゲーム業界を含めたソフト業界には女性の進出が目立つ。 女性の社会進出に
コンピューター業界が触媒(しょくばい)の役割を 果たすというのは世界的な
傾向のようだ。

 


 
5/15

日本は、車の会社が多く、国際的にも有名なものが多数ある。
国内でも車はよく売れる。しかし、都会と地方では、車を持つ意味が 違ってくる。

地方では、今や、車は必需品(ひつじゅひん)だ。
大きな道路のそばには 大型のスーパーが増え、家の近くからは、店は
消えつつある。 鉄道やバスなどの交通機関は、採算がとれないため
多くは走っていない。 買い物、通勤、通学に、車はなくてならないものになった。
2台、3台と持っている家庭は珍しくない。

一方、大阪や東京では、平日に車を使うことはない。 ほとんどは週末の
家族サービスに使われる。 通勤に車を使うことはほとんどの会社で
禁じられているし、買い物に 行っても、都心には駐車場がない。

東京の通勤圏(つうきんけん)では、自宅に駐車場を持つのは高くつく。
アパートや庭のない家に住む人々は、近くの駐車場に止めることになるが
平均して月1万円から1万5千円。都心に近付くと2万円以上になる。

 


 
5/16

国会中継(こっかい ちゅうけい)の視聴率(しちょうりつ)が 異常に高いそうだ。

まだ、国会の論戦(ろんせん)も始まったばかりで、具体的な 政策に入ってない
こともあるのだが、少なくともこれまでに較べて 分かりやすいものになって
いるようだ。

新しい首相(しゅしょう)の小泉さんは、これまでのように原稿 (げんこう)を
読むような答弁(とうべん)はあまりしない。 時には激しく強く自説(じせつ)
を披露(ひろう)するところに 新鮮さを感じているのだろう。

アメリカでは、就任(しゅうにん)してから100日は、メディアは 細かい批判は
せず見守るという習慣があるそうだ。 日本では6月に、つまり、100日もしない
うちに選挙があり、小泉さんは 責任をとって辞める可能性もある。

しかし今の所、支持率は90%に近く、選挙には勝つのではないかと 言われている。
私は政治家に期待するムードが、まだ、日本に残っていたことに少々驚いている。

 


 
5/17

台湾(たいわん)で、日本のラーメンが人気だそうだ。

このラーメンは、英語でもChinese noodleで、もともと中国で食べられていた
もの。戦後、日本で爆発的に広がった。 不況(ふきょう)の時でもパチンコ屋
とラーメン屋は大丈夫だ。 と言われる。

90年代後半から日本では、またラーメンブームが起り それが台湾にまで
及ぶことになった。
一般的に北海道はみそのラーメン、東京では醤油 (しょうゆ)のラーメン。
九州では、豚の骨からだしをとったトンコツスープのラーメンが主流
(しゅりゅう)だ。

今はトンコツラーメンが人気で、この味が台湾の人々にマッチした。 最近は
長く海外旅行に行った日本人が、帰国して食べたくなるのは そばやすしでは
なくて、ラーメンだそうだ。

 


 
5/18

女性と男性の会話

「子供のころ、『相手の目を見て話しなさい』って言われた?」
「う~ん。あまり覚えてない」
「雑誌に載ってたんだけど、イタリア人は人と話す時間の6割は相手の目を
  見てるんだって」
「へえ、よく日本では、相手の口元を見て話すのがいいとかって言うよね」
「ああ、聞いたことがあるなあ。日本人はどのくらい見てるんだろ」
「そうねえ、6割は無理ね。何か圧迫感(あっぱくかん)を覚えるわね」
「さっきね、喫茶店で他の人を見てたら、3.4割ってところだったよ」
「そうかもね」
「でも、それでも多いほうかもしれない。実際は1.2割じゃないかな」
「そうね。人によっては、目を見ながら話す人もいるけど、私は違うかな」
「きっと、イタリア人にしてみたら、日本人は何故、目を見ないんだろうって
  思うんじゃないかな」
「そうかもね。日本でも、全然相手の目を見ない人は、怪しいと思うものね」
「オドオドしている印象を受けるよね」
「そうか、でも、大人になってから、相手の目を見る習慣をつけるのは
  難しいわよね」
「そうなんだよ。変な人だと思われたくないしね」

 


 
5/22

イギリスの副首相(ふくしゅしょう)の左フックは早かった。

冗談で、各国の首脳(しゅのう)で一番ケンカが強いのは誰か? という話を
することがある。

ブッシュさんは、気も短そうだし、口より手が先に出るタイプかも しれない。
ブレアさんは、若いが、ケンカはしそうにない。

本命(ほんめい)はプーチンさんで、彼は柔道の名人として 日本人にも
知られている。実際に柔道を披露している所を見たが なかなかの本格派だ。

アジアの指導者達は、高齢者が多く、あまり期待できない。
北朝鮮の指導者は、気も短かそうだが、実戦経験は多くはなさそうだ。

マレーシアのマハティールさんは、体格もよく、彼が本命かもしれない。
もちろん顔を知られていない本命もいるだろう。
インターネット上でアンケートをしたいところだ。

 


 
5/23

けんかのルールは国によっていろいろあるようだ。

日本では、子供のケンカの場合は、「泣いたら負け」という厳粛 (げんしゅく)
かつ、明解(めいかい)なルールがある。

大人ではどうだろうか。 時々、盛り場などでケンカを見かけることがある。
たいていは 口げんかから始まり、相手の襟首(えりくび)をつかむ。
それがエスカレートすると、殴り合いになる。 何が「負け」なのかは
ケースバイケースだが、たいていは、「負けた」 ことを、言葉にした時点で
終りということのようだ。
「まいった」とか 「ゆるしてくれ」 というものである。

欧米の映画を見ているとケンカのスタイルが違うことがはっきり わかる。
「静かなる男」(The quiet man)は、全編、ケンカの映画だが、ボクシング
スタイルの殴り合いだ。 見物人は、殴られ倒れた男が動かないのを見て
勝負が付いたか、と 固唾(かたず)をのんで見守るが、また、起き上がるのを
見て ケンカがまだ、続いていることに喝采(かっさい)をおくる。

日本の映画では、特に戦後は、殴られて気絶(きぜつ)するシーンが 多かった。
戦前の古い映画では、地面(じめん)を転がりながらケンカを するシーンが
多かったような印象がある。 これも日本の欧米化の現れであろうか。

日本では、

欧米はボクシングスタイル。倒れたら負け。
日本は柔道スタイル。負けを宣言するまで続く。

などと言われるが、最近は日本の若者のケンカは、一人を大勢で殴ることが多く 一対一のケンカは 少なくなったそうだ。

 


 
5/24

たまごを投げ付けた若者にパンチを浴びせたイギリスの副首相は 最初は評判が
悪かったが、徐々(じょじょ)に同情論(どうじょうろん) が多くなったそうだ。

政治的な抗議のために、たまごを投げ付けるというのは、アジアでも 見られる
風景だが、比較的豊かな国に限られる。たまごは、大事な栄養源 でもある
のだから当然だ。

殴られる程度のけがは一夜で消えるが、たまごは、もう食べられない。
この点で、若者の分は悪い。 もうひとつ。 彼は、首相のパンチなどは予想して
いなかっただろう。 意外な反撃に驚いたのか、その後も、いい年をした
おじさん相手にほとんど何もできないという体たらくである。

相手が反撃(はんげき)できない状況で、手を出すのは卑怯(ひきょう) と
いうものである。 つまり、私はこの副首相の味方(みかた)である。

なにしろ、彼のおかげで、今週も無事コラムを書き終えることが できたのだから。

 


 
5/25

東京の竹細工(たけざいく)の店で 店の男性とお客さんの会話

「こういうカゴは、外国の方にも人気があるんですよね」
「ああ、そうそう、それね、『モンデールかご』って言うの」
「あ、あのモンデールさん」
「そうそう、もう8回もおいでになってね」
「ああ、そうですか」
「で、電話でも、『あのモンデールかご2つ届けてください』って」
「ああ、お使いものですね」
「そうそう」
「きれいですからね」
「ここは、作って売ってるから安いんですよ」
「そういえば、デパートなんかでは倍ですね」
「そうそう、東京では2件しかないからね」
「たった2件ですか」
「そう、それにうちは、あまり目立たないところにあるから」
「ああ、そうですね」

このお店は、東京の谷中(やなか)にある。目立たないけど 知るひとぞ知る
いいお店です。 モンデールさんというのは、アメリカの駐日大使
(ちゅうにちたいし) だった人で、奥さまとの写真が店内に飾ってあった。

 


 
5/27

中世のヨーロッパの教会では、一部で笑うことは、悪魔(あくま) 的であると
思われていたそうだが、今でも笑わない人というのは存在する。
先週、無くなった政治家の河本(こうもと)さんは、笑わない人として
知られていた。私も歯を見せて笑うところを見たことがない。

泣いたり笑ったりというのは、世界共通なので、言葉が通じない場合は 重要な
シグナルとなる。ひんぱんに泣くわけではないので「笑うこと」 は
コミュニケーション上、鍵(かぎ)になる。 しかし、「笑い」の質は、必ずしも
世界共通ではないようだ。

中国人はジョーク好きだ。話していても明解で、明るい人が多い それに対して
一般的に日本人は、退屈な人が多いと思われているようだ。 私は決してそう
思わないが、ひとつ思い当たるのは、中国人のジョーク は、どこか、国際的だ。
古くから人種的な融合が進み、多民族国家でもあった国が持つ ふところの
深さがあるような気がする。

しかし、日本人が好む笑いは、お互いに同じ状況 環境であることを 前提にした
ものが多い、閉じた空間で洗練されすぎた面があり 「ジョーク」といった
完成品(かんせいひん)は少なく、むしろ その語り口が重要となることが多い。

日本には、落語(らくご)というものがあり、志ん生(しんしょう) という人
は、「え~」といっただけで可笑しい。
三平(さんぺい)という人は、座って 客席を睨(にら)んだだけで 可笑しい。
こういう笑いを説明するのは、難しい。

「笑い」は、やはり、難しい。

 


 
5/30

落語は江戸後期に最初の黄金時代をむかえた。

明治の文豪達(ぶんごうたち) 特に夏目漱石への影響は多大なものがあった。
戦後に何度目かの黄金期があった。1960年代は、ラジオを通して 志ん生
(しんしょう)、園生(えんしょう)、 文楽(ぶんらく) などの名人と
言われる人々の落語を聞くことができた。 関西でも、春団治(はるだんじ)
松鶴(しょかく)などの人気者を 輩出(はいしゅつ)した。
寄席(よせ)も常に満員だった。

80年代を前にして、これらの名人達が次々と亡くなった。
テレビが普及(ふきゅう)し、「落語はテレビに向かない」などと言われた。
しかし現代でも落語は愛されている。

西の米朝(べいちょう)、東の志ん朝 (しんちょう)と呼ばれる 名人がいる。

 


 
5/31

1980年代は漫才(まんざい)ブームだった。

80年代の漫才(まんざい)は、以前のものと較べて圧倒的に 早口(はやくち)
だった。 テレビでは漫才番組が高視聴率(こうしちょうりつ)をとった。
この時代に活躍した人たちは、今は司会者として多数残っている。

今テレビのバライティ番組は、この漫才ブーム世代の次の新しい 世代の
コメディアンで占められている。 漫才は、スピードを必要とするので、40代に
入ると、ちょっと 苦しくなる。年をとった後、彼等は司会や演劇などに活路を見い出し、 次の 世代が後を担うことになるサイクルがあるようだ。

テレビが各家庭に普及したのが70年代始めだが、このころから 日本人の話し
言葉における、テレビの影響は無視できなくなった。 中でも、コメディアンの
与える影響は、特に若い世代に強い。 語彙や口調は言うまでもないが、特に話す
スピードは、若い世代ほど 早いという傾向は止まらない。

これは、もちろん、彼等の語彙(ごい)の少なさもあってのことだが。 私も
高校生の姪(めい)が話すスピードについていけない時がある。 日本語の教科書
のテープは遅い。日本に留学した外国人は、まず 同世代の語彙があまりに教科書
と違うことと、スピードに驚くようだ。

 



2001年04月


 
4/10

春が好きな人の理由いろいろ。

・暖かくなるのがいい。
・花がたくさん咲くし、梅(うめ)や桜(さくら)が見られる。
・厚着(あつぎ)から薄着(うすぎ)に変わって、身体が軽くなったような
  気分になる。
・花見(はなみ)が楽しい。
・進級(しんきゅう)や進学(しんがく)で環境が変わるのでワクワクする。
・春休みとゴールデンウイークがあり、休みが多い。
・暖かくなって、散歩が楽しくなる。
・日が長くなって、得をしたような気がする。
・歳(とし)なので、暖かくなると腰が痛いのが直る。
・暖房(だんぼう)や冷房(れいぼう)がないので、光熱費(こうねつひ) が安い。
・部屋でも窓を開けていることができて気持ちいい。
・ 女性がきれいにみえる。

 


 
4/11

春が嫌いな理由

・ホコリっぽい。
・花粉症(かふんしょう)が辛(つら)い。
・新しい環境(かんきょう)に適応(てきおう)できるかどうか いつも不安だ。
 寒かったり、暖かかったりして、服装が難しい。
・同じ理由で風邪(かぜ)をひきやすい。
・花見は騒がしいばかりで、つまらない。
・熱いものも、冷たいものも、中途半端(ちゅうとはんぱ)で 食べ物がおいしくない。
・風が強くて外を歩きにくい。
・ちょっと頭のおかしいひとが表れる。

 


 
4/12

「じり貧(ひん)」という言葉がある。
じりじりと(少しづつ)貧しくなる。後退(こうたい)する。 とい意味だ。

まだ、一般的には後退していることが明らかになって いないものに使われる
ことが多い。 日本では、今、じり貧のものがたくさんある。

例えば、、、

野球(やきゅう)
野球のルールを知らない子供が増えてきた。少年野球のチームは 次々に解散
(かいさん)している。テレビの視聴率(しちょうりつ)は まだ高いが、今後
確実に下がっていくのではと思われる。

政党(せいとう)
戦後、日本人の政治意識は衰えるばかりだが、ここ何年かの傾向は 政党
そのものに対する不人気だ。 特定の政党の人気が下がっているのではなく
どこの政党も迷走 (めいそう)している。

鉄道(てつどう)
国内の航空料金が鉄道と同じになったのが10年ほど前だ。長距離の 移動に鉄道を
使う理由はなくなった。

団体旅行(だんたいりょこう)
個人で行くより 安上がりだというのが、セールスポイントだが、その分 質が
低下した。 団体をあてこんだ旅館の質も下がった。 中規模の旅館はどんどん
潰れている。

もちろん、今や、「日本」そのものがじり貧だという話もある。

 


 
4/13

カナダ人と日本人の会話。カナダ人の男性は日本に住んで10年。

「島田(しまだ)さん、よく『事実上の』って言うでしょう」
「え、ああ、そうですね。最近、多いかもね」
「何となく意味はわかるんですけど」
「『たてまえ』と『ほんね』ということかな」
「ええ、それはわかるんですけどね。でも、そう言うことによって何か
  いいことがあるんですか」
「いいことって?」
「言い方を変えることで、何かプラスがあるんでしょうか」
「それはケースバイケースだと思いますよ」
「例えば、会社の合併(がっぺい)で、『事実上の吸収(きゅうしゅう)
  合併』ということがあるでしょう?」
「ああ、そうですね」
「あれは、会社の人も、メディアも、株主(かぶぬし)も知っているし」
「そうですね」
「もちろん新聞を読んだ人も。知らない人は『事実上』いないでしょ」
「ははは、そうですね。あれは、隠すためじゃなくて、体面(たいめん)
 を考えたことだと思いますけど」
「体面ってなんですか」
「かんたんに言うと、恥ずかしくないようにする、ということですね」
「ああ、恥(はじ)という考え方ですね。本で読みました」
「あと、『事実上』というのは、100%ではないので、後で訂正することが
  できるんですよ」
「ああ、そうですか」
「政治家はよく、そういうテクニックを使いますよ」
「どうやるんですか」
「『事実上の**』と記者に書かせるようなことを言っておいて 後から
『あれは、そういう意味で言ったのではない』と訂正するんです」
「なるほど」
「でも、もう、そういう表現は無くなると思いますけどね」

 


 
4/17

不良債権(ふりょうさいけん)は英語では「a bad debt」というそうで
今の日本には60兆円以上あると言われている。

しかしながら、実態は正確に把握されていない。政府の試算では30兆円で
あったり40兆円であったりするし、民間の調査機関では100兆円という
ところもある。

「兆(ちょう)」という単位は、日本語の授業で教えなければならない
単位となったようだ。ちなみに「兆」の上は「京(けい)」 このへんまでは
普通の日本人は覚えている。 その上はあと12ある。
ここでは書きません。

お金の単位に限っていえば、1円より小さい単位は銭(せん)、分(ぶ) だ。
今は使われなくなったが銭湯(せんとう)という言葉に残っているし
落語などではおなじみだ。

 


 
4/18

ニセ物は、特に衣類(いるい)やバッグ、アクセサリーに多い。
一般的にブランド品と日本では呼ばれているもので、そのほとんどは
フランス製やイタリア製のものだ。大手のスーパーなどでも堂々と 売られていて
つい最近も、大手スーパーで売られている あるアメリカ製の製品の90%が
ニセ物だったという報道がされたばかりだ。

ニセもので面白いのは、ニセモノであることを承知で売買(うりか) いする
人達がいるということだ。東南アジアには多い。

人件費が安いことから 東南アジアには、有名ブランドの工場がたくさん ある。
ただ、これらの会社は 少しでも人件費が安い国を見つけると 他の国に移動してしまう。

工場跡が残った国にはそっくりニセ物を 作るノウハウは残ることになる。
ニセ物の質は当然低いが、売るほうも買うほうも、気楽なものだ。
定価(ていか)で何十万もするような時計が、3000円程度で 売られているので
ニセ物であることはわかっている。

「安心して」 買うことができるという変なことになっている。

 


 
4/19

スコットランドのサッカーリーグには、病(やまい)に冒(おか)され 余命
(よめい)いくばくもないベテラン選手がいるということだ。
国の代表は退いたが、今でも現役(げんえき)で活躍している。

かつてアメリカの野球選手にもいた。

同じように観客もそのことを 知っている。
グラウンドでは、健康な人間さえ不可能なことを なしとげるその選手が
間もなく健康どころか命を失うという皮肉に 複雑な感情を持ちながらも
観客は拍手を送る。

こういうシーンは、日本では、見ることは難しい、難病(なんびょう)や
重い病気は、本人に知らされないことが多かったからだ。
ガンがその代表的なもので、日本人の4人に一人はガンで命を落とすのにも
かかわらず、本人には告げられることは少なかった。

しかし、ここ10年でずいぶん、認識が変わった。告知(こくち)は 増え
今では、70%以上の人が知らせてほしいというまでになった。
実際は、家族に最初に病名は告げられ、その後、本人に。という順番は
変わっていない。

 


 
4/20

今日は、野球(やきゅう)を知らない人には難しいかもしれません。

「子供のころ、野球やってた?」
「ああ、やってた、地元のチームで」
「町内会のチーム?」
「そうそう」
「ぼくは、ちゃんとしたチームじゃなかったけど、暇があればやってたよ」
「おれも」
「人数は揃った? 普通は18人は無理だよね」
「そうそう、だからキャッチャーは、ずっとキャッチャー」
「打たないの?」
「そう、だから、3回ごとに交替するの」
「ははは、そうか、じゃんけんでね」
「三角(さんかく)ベースってやつ?」
「何それ?」
「ホームと一塁(るい)と二塁だけのやつ」
「ああ、狭いところでやるときはね。でも普通のやつでやってたよ」
「人数が少なくても?」
「そうそう。ショートはなしで、外野(がいや)は二人」
「人数が足りない時は?」
「キャッチャーと同じで守備の時は違うチームで選手を共有(きょうゆう)
  するんだよ」
「狭いところでやってたから、レフトにホームランの時はボールが川に
  落ちるんだよ」
「ああ、そういうこと、よくあるよね」
「だから、レフトにホームランを打ったら、アウト。」
「ははは、そうそう。オレのとこでも、そういうのあったよ」
「あと透明(とうめい)ランナーね」
「ああ、そうそう、透明ランナー」
「なつかしいなあ」

透明ランナーというのは、ヒットで塁に出た時に、人が足りないので
「そこに人がいることにする」というルールのことだ。

「がんばれベアーズ」(The Bad News Bears)という映画を撮った
マイケルリッチー監督が昨日亡くなった。
ウオルターマッソーがいい味を 出していた。
テイタムオニールがよかった! 

いい映画です。 御冥福(ごめいふく)をお祈りします。

 


 
4/24

他の国には、あまりなくて、日本にだけ、たくさんあるという お店はいろいろ
ある。はんこ屋は代表的なもののひとつだ。

はんこは、印鑑(いんかん)とも呼ばれ、仕事でも日常的に必要である。
大人になれば、必ず使うものでもある。
銀行で口座(こうざ)を作るとき。
クレジットカードの申し込み。
役所の手続きなどの他に、大きな郵便物を 受け取る時にも必要だ。

個人で使うはんこには、大きくわけて2種類ある。 正式に役所に、自分のもので
あると届け出たものと、そうでないもの。

そうでないものは、荷物の受け取り の時などに使うもので三文判 (さんもんばん)などと呼ばれ、近所の文房具屋 などでも300円ほどで 買える。

もちろん、300円のはんこでも、役所に届けておけば、正式なはんこと して
認められるが、たいていの人は、奮発(ふんぱつ)して少し高い ものを
買うようだ。

 


 
4/25

はんこを売っている店は、簡単に見つけることができる。
文房具屋では、安いものを売っている。ここには日本の代表的な名前が あり
注文すれば、数万種類のものが揃うそうだ。 日本の名前は10万以上あると
言われており、特殊な名前は店頭にはない。

役所に届け出るはんこは、注文して作る人も多い。これは専門のはんこ屋 になる。
はんこ屋は、少し大きな町なら、必ず見つけることができる。

最近は、機械で彫るものが多く、店にはんこを彫る技術を持った職人が いる
ということは、まずない。 機械彫(ぼ)りで、材料は木であれば、5000円ほどで
買える。

外国人も日本の会社で仕事をする時や、滞在期間が長い人は自分のはんこ を
注文する人が多い。
最近は、はんこ屋でも、カタカナの名前の注文に 驚かなくなっているようだ。

 


 
4/26

はんこの材料で、かつて、高級品であったのは、象牙(ぞうげ)だ。
しかし、御存じのように、アフリカなどでの像の乱獲(らんかく)から
国際的に象牙の取り引きは、禁止となり、今では、象牙のはんこを 売っている
ところは見かけない。
かつては、象牙のはんこを注文すると、何十万もかかったようだ。

もうひとつ、はんこ屋で何万円もするものがある。

「開運(かいうん)はんこ」などと呼び、このはんこを使うと運がよくなる
という宣伝をしているものだ。個人のはんこでもあるが、会社に必要な
はんこなどでは、いろいろな種類の「開運はんこ」を用意した店が 多い。
会社では、取り引きで必ずはんこを使うので、設立時には、はんこを
買うことになる。

多分、会社を作る時は普通の精神状態ではないんでしょうね。
結構(けっこう)、売れるそうだ。

 


 
4/27

「なんか、最近、演説(えんぜつ)ばかり聞いてる気がする」
「え、ああ、総裁選(そうさいせん)ね」
「政治家って、普段から演説口調なのかな」
「実生活で? いやカメラの前だけじゃない」
「そうねえ、でも、声がダメになっちゃうみたいね」
「ああ、ダミ声が多いね。」
「若い政治家は、そうでもないみたい」
「ああ、そうかもね。あまり絶叫(ぜっきょう)しないもんな」
「世代でずいぶん違うってことか」
「そうそう。でも、若くても地方の代議士(だいぎし)は、絶叫しないと
  いけないんだって」
「ああ、『一生懸命やってます』というムードが大事だからなあ」
「奥さんが泣いたり、土下座(どげざ)したりね」
「そうそう」
「選挙も終りに近くなると、選挙の参謀(さんぼう)が奥さんに言うらしいよ」
「え、何を」
「『そろそろ、泣いてください』って」
「ああ、すごいね」
「奥さんも慣れていて、『ああ、はいはい、もういいのね?』なんて調子らしい」

総裁(そうさい)とは、日本の最大与党(よとう)である自民党
(じみんとう)のトップのこと。

 



2001年03月


 
3/1

関西の人は、関東の人を「ええかっこしい」と言うことがある。
プライドが高く、我慢(がまん)をするのを美徳(びとく)と考える
関東の人を揶揄(やゆ)する言葉だ。

東京の人は値切ることができない。

ディスカウントストアで買うよりなじみの店で定価で買うほうが上品だと考える。
関東武士(ぶし)の文化が色濃く残り、江戸時代から政治の中心地である
東京の文化と商人の町であった大阪とは何かと比較される。

中国でも北と南では、言葉も文化も人々の気質もずいぶん違うそうだ。
日本の商社(しょうしゃ)は、関西(かんさい)の人間が多いという話も ある。

 


 
3/2

男性二人の会話。共に30代

「昨日さ、同僚(どうりょう)の外国人にさ、『ウルシは何で出来ているん
 ですか』って聞かれて困ったよ」
「はあ」
「吉村って、そういうこと詳しいだろ」
「ああ、まあ、少しね」
「教えて。漆(うるし)って何なの」
「あれは、木の樹液(じゅえき)だよ」
「樹液? 木から取れるんだ」
「そうそう、詳しくは知らないけど、傷をつけて、取るんじゃないかな」
「へえ、なるほど」
「今は、国産(こくさん)より中国からの輸入のほうが多いらしいよ」
「へえ、国産って、もう無くなっちゃうのかな」
「そうだなあ。刺青(いれずみ)の墨(すみ)もオーストラリアから
  輸入してるっていうしね」
「ああ、そうか。それにしても外国人から日本の事を聞かれて困ることない?」
「あるよね。伝統芸能とか工芸品(こうげいひん)なんて詳しくない  
  もんね。普通は」
「そうそう。最近は外国人のほうが逆に詳しいんじゃないかな」
「そうだね」

漆器(しっき)は、陶器(とうき)に較べると、あまり人気がない。
昔、ヨーロッパでは、Chinaが陶器を意味したのに対してJapanは
漆器を指す言葉だったそうだ。

 


 
3/6

先月からこのサイトのチャットに手を入れている。

調査のために自分のサイト以外にも日本のチャットをいくつか覗いてみた。
いろいろと発見があった。英語でSmilyとかEmoticonとか言われている
記号は日本ではフェイスマーク(Face mark)と呼ばれていること。
(^^) <こういうもの。

一般に日本で使われているチャットは高機能で、感情をうまく表現できる
ように発言部分にフォントの大きさや色がつけられるようになったものが
多いこと。

他にもチャットでは匿名(とくめい)が前提となっているせいか、敬語 が
あまり使われないこと。ただ、日本では最初に参加する時にかぎり
敬語を使わないといけない雰囲気(ふんいき)もあるようだ。
始めて参加する時は、まず、そのチャットを覗いて、雰囲気を確かめ その後に
その雰囲気にふさわしい話し方で話さなければならない。

チャットをやめて、抜けることを「落ちる」というらしい。
特徴的なのは、「本当はもっと続けたいけど、何らかの理由があって」 やめる
ということを言う人が多いことだ。 このへんは、「ネガティブなことは、
直接的な表現は避ける」という 日本語のマナーとも通じるところがある。

韓国ではインターネットの利用率が日本より高いそうだ。 ひょっとすると
日本より儒教の影響が強い韓国で家族制度からの 解放感(かいほうかん)を
得るためにインターネットの匿名性が ある役割(やくわり)をはたしているのでは
ないかと考えたりもする。

ともあれ、外国の人と同じ時刻に、ほとんど無料で話ができるというのは
ほんの10年前には考えられなかったことだし、使い方によっては とても便利だ。

 


 
3/7

日本では駅でスポーツ新聞というものが売られていて人気がある。
一部40円ほど。朝と夕方に売られる。

野球(やきゅう)が行われている時期は野球が記事の中心だが 芸能人(げいのうじん)のスキャンダルも大きく扱われることがある。
野球が40%、ギャンブル情報が20%、釣り情報が10%、ポルノ記事が 10%
芸能が20%といったところだ。

駅で販売される際に表になる部分を一面(いちめん)記事といい、ここに独自の
ニュースを大きな活字と奇抜(きばつ)な色で売り上げを 競う。
この見出しは、助詞(じょし)の勉強になるかもしれない。

例えば裁判の途中であるこの事件についての記事
「マイクロソフト分割(ぶんかつ)?」(30%)
「マイクロソフト、分割か」(60%)
「マイクロソフト、分割へ」(90%)
「マイクロソフト分割」(100%)
「マイクロソフト、分割も」(?)

「も」というのは、分割ではない可能性もあるが、その他に分割に
似たことが行われるかもしれない。という程度の意味だ。
ただ、「マイクロソフト、分割へ?」などと 「?(ハテナマーク)」が付くと
確率は下がる。

「マイクロソフト、事実上(じじつじょう)の分割」
これは、はっきりと分割とは言えないが、実際はほとんど分割と 同じ意味。
というところ。

しかし、 駅の売店で買う時には、この助詞の部分は、隠れていて

「マイクロソフト分割」までしか見えなくなっている。

 


 
3/8

政府は、今の日本がデフレ(deflation) かどうか判断するため その定義を
見直すと発表した。

たしかに一般的な生活必需品や食料品の価格は下がり続けて いる。
正確にいうと、品質はそこそこで安いものと、高品質、 高機能で高いものが
共存する、価格の二極化が進んでいると 思われる。

デフレにもいろいろあるが、現在の日本のデフレは、消費マインドが 冷え込み
底(そこ)の見えないデフレが続く恐れがあると見られている。

マンションの価格も一時よりは下がっているが、賃貸(ちんたい)アパート の
値段はそれほどでもない。交通機関も値上げこそないものの高値で
安定している。

インフレ(inflation)という言葉は、戦後生まれの日本人には馴染みの
あるもので、経済成長と共に価格は上がったが、「仕方がない」というムードも強かった。もちろん、値段が上がることは、悪いことだという先入観はあるが。

デフレは、物価(ぶっか)が下がるので、いいことかというと そうでもない。

今、日本人は、始めて「資本主義経済」というものを実感しているのかも
しれない。

 


 
3/8

女性と男性の会話 女性は会社の先輩

「今年は多いらしいわよ」
「何がですか、ああ、花粉(かふん)ね。」
「けんちゃん、花粉症でしょ」
「そうなんですよ。去年は少なかったでしょ」
「ああ、そうね」
「今年は、多いって、聞いて、気が重いんですよ」
「営業だもんね、あまり、鼻水はね、よくないわね」
「ええ、それは、まあ、話題作りになるんですけど」
「ああ、なるほどね」
「涙が出るのが困っちゃって」
「ははは、うまく利用すれば?『これを買っていただかないと!』とか言って」
「ははは、そうですけど、商談(しょうだん)中に涙がポロポロっていうのは
  やっぱりまずいんですよ。」
「けんちゃん、重症だものね」
「そうなんです。得意先(とくいさき)では、『泣き落としの中村』って
  言われて、からかわれてるんですよ」
「はははは、いいじゃない? 可愛がられてる証拠(しょうこ)よ」

「泣き落とし」というのは、相手を説得(せっとく)する時などに
涙を武器に使うこと。説得することを「落とす」ということがある。

 


 
3/11

「日本人はオリンピック好きだ」とよく言われる。

1964年に東京で行われたオリンピックは、今でも日本の戦後の復興
(ふっこう)の象徴として語られることが多く、当時の映像を見ても 興奮が
伝わってくる。

その後、日本では、冬期(とうき)のオリンピックが札幌(さっぽろ)と
長野(ながの)で行われた。共に人気は高く、今でもテレビ番組の 歴代視聴率
(れきだいしちょうりつ)に名前があがるほどだ。

しかし札幌と長野の時代では、状況はずいぶん違った。
今、日本の財政(ざいせい)の中でも地方の赤字(あかじ)は深刻である。
長野も、基本的に公共事業で成り立っている自治体(じちたい) だし
次のオリンピックに立候補(りっこうほ)している大阪も赤字だ。

オリンピックは、国から補助金(ほじょきん)も出るし、最近、批判の
多い公共事業も堂々とできる。

どういうことか分りますか?  
今や、オリンピックをやりたがっているのは、地元の財界 (ざいかい)の人ばかりなんです。

 


 
3/15

「ケータイ」というのは、携帯(けいたい)。携帯電話のことだ。

仕事上で、人とあった時に最も重要なセレモニーが名刺交換 (めいしこうかん)
であるならば、プライベートでは、この携帯の番号 を教え合うというのが
大事なセレモニーとなりつつある。

日本では、独自の方式である「i(アイ)モード」という機能が携帯電話にあり
メールのチェックの他、簡単なサイトを見ることができ 株式やレストランの
情報を得られる端末(たんまつ)となっている。

電車の中では、携帯でメールチェックをする姿はよく見られる。
高校生の半数近くが自分用の携帯電話を持っており、大学生となると
70%以上だとも言われている。

月の使用料は、平均で1万円ほどだ。家族で2台、3台と持っている ところもある。
病院や電車の中、コンサートホールでは携帯は使ってはいけないことに
なっている。もちろん、学校でも。

メールに返信するのに、親指(おやゆび)で、器用(きよう)に文字を
打つ人が増えてきた。
「親指革命(おやゆびかくめい)」などと呼び、新たなビジネス チャンスに
いろいろな企業が、iモード用のコンテンツ作りに乗り出している。

 


 
3/17

チャットの会話。高校生らしい。多分、女の子2人
(midoraaとmiumiu) と20代の男性(hiiji)

midoraa:ああ、やばいよ。赤点だよ~ (;_;)
miumiu:赤点って、きのうの英語? 私もだよ (^_^)
midoraaa:miumiuもなの?
miumiu:hiijiさんは、英語ペラペラなんでしょ。教えてよ
hiiji:高校の英語なんて、わからないよ。文法とかいいかげんだもん
midoraa:でも高校の時はできたんでしょ、ちょー頭いいんだもんね(笑)
hiiji:そりゃ、できたけどさ、役には立ってないよ。今。
miumiu:できたけどさ、だって、ムカツク>hijii
hiiji:しかたないよ、できたんだもん(^^;
miumiu:やっぱ、役にたたないの
hiiji:高校のは、文法に片寄ってるからなあ。

(^^;  こういうマークはチャットやメールで使われる記号で 日本では
ファイスマークと呼ばれる。
(笑)というのも多い。これは、面白いでしょう? ということではなくて
自分が面白くて笑った。自嘲というニュアンスが強い。
他に(汗)は、冷汗(ひやあせ)をかいた。という意味。
いろいろとローカルルールがあるようだ。

 


 
3/21

少し暖かくなってきた。梅(うめ)の見ごろだ。

7.8世紀ごろまで(10世紀かな?)は、花といえば、梅のこと。
という文学上の約束があったが、その後、桜に変わったそうだ。

梅の見ごろは2月から3月にかけてで、時には雪景色と共に見ることも できる。
桜に較べると花は少なく、派手ではないが、控えめで 静かな佇(たたず)まいが
好きだという人も多い。 特に茅葺(かやぶ)き、など農家には、梅が似合う。

梅と桜。

日本では、花は見上げるものかもしれない。

 


 
3/23

男性二人と女性の会話。30代。 最初に説明しておくと
「バツイチ」というのは、離婚(りこん)を 1回経験した人のこと。
「バツニ」は、もう分りますね?

「最近、まわりにバツイチが増えてさ」
「あ、そうおまえのところも。おれもなんだよ」
「私の友だちも。でも、女性の場合は、たいへんよ」
「そうか、養育費とかは、どうなの」
「いちお成人(せいじん)するまでもらえるらしいんだけど」
「ああ、そうなのか」
「途中で、再婚(さいこん)するともらえなくなることが多いらしいの」
「ああ、なるほどねえ」
「月いくらぐらいなのかな」
「私の友だちは8万円だって言ってた。あと、いろいろ国から補助 (ほじょ)
  もあるって」
「いくら」
「お金では3万円くらい」
「じゃあ、生活は苦しいな」
「そうなのよ」
「男のほうも30代で月8万は苦しいんじゃない」
「そうだな。でも、まだなんとか、やっていけるよ」
「離婚は高くつくなあ」

 



2001年02月


 
2/1

町の図書館に行くと、必ず置いてあるのは旅行のガイドブックだ。
海外と国内が半分づつで、旅行記も多い。

最近、流行っているのは、写真が多いもので、最もページが割かれるのは
「味」つまり、美味しいレストランの案内だ。
特に国内のガイドブックで記述が 激減(げきげん)したのは歴史。
それには理由があって、史跡(しせき)を 訪ねる旅は流行らないからだ。
実際に有名な史跡などは、俗化(ぞくか) してしまって、蝋(ろう)人形 が置いてあり、カセットテープで説明が 流れたりするところも少なくない。

「観光地ずれしている」と言ったりもする。

残念ながら、古い町並みなどは、国の指定がないかぎり残すのは 難しいようだ。
木造住宅は、維持費(いじひ)もかかる。 茅葺(かやぶき)の屋根などは
手入れに年に最低でも100万円以上必要だそうだ。

ある街では、100年以上の建築物には補助金を出すことが決まったが
助成金(じょせいきん)は、年に2万円だそうだ。この補助金を受け取ると、すきま風がはいっても勝手に直すことはできない。
補助金を申し込む人はほとんどいないという。

一方、ベネチアやベルギーなど古い町並みを誇る街は、日本人の 観光客で
いっぱいだという話もある。

 


 
2/2

男性と女性の会話

「長期予報、やっぱり、当たんなかったね」
「暖冬(だんとう)だったんでしょ? 本来なら」
「そうそう、こんなに雪が降るとは思わなかったよ」
「でも、そのわりには暖かいほうかも」
「そうかな? 暖かいとは言えないんじゃないの」
「そうね、寒くはないというところかな」
「ああ、綾乃(あやの)は、仙台(せんだい)出身だからこういうのは
 暖かいのかな」
「いや、仙台は、東京より少し寒いぐらいよ。仙台は東北っていっても、どっちつかず
  なのよ」
「ああ、そうか氷点下(ひょうてんか)20度とかっていう世界じゃないもんね」
「そう、北海道の人なんかは、『今日は8度』って、氷点下を省略するらしいよ」
「別世界だな」

仙台は、宮城県(みやぎけん)にある都市。
出身地によって気温の 感じ方はずいぶん違う。

 


 
2/6

10年ほど前から若者向けの店にもインセンスという呼び名で お香(こう)が
並ぶようになった。

これは木の屑(くず)などを圧縮したり、植物を干したりして作ることが
ほとんどで、インドや東南アジアからの輸入物が多い。
純粋に植物だけから作ったものは少ないらしく、安価なものはゴムや
香料(こうりょう)などから作るそうだ。

お香(こう)は、室町(むろまち)時代から使われていて、当時の ベトナム
あたりから中国を経て輸入したそうだ。茶室でも使われていた。

今でも香道(こうどう)と言われるものはある。茶道と同じような席で 和服で
順番に香りを楽しむ。高いものは数センチの木辺(もくへん)が
何百万もするとのことだ。
これは作法(さほう)も難しく、ほとんどの人には知られていない。

今、若者に人気があるインセンスは、10コ入りで500円ほどのもの。

 


 
2/7

昔、城があり、その下で栄えた町を城下町(じょうかまち)という。
城下町には、いわゆる都市計画があり、町並みも整然としている。
今でも、かつて城下町であったところには、ピリッとした雰囲気 (ふんいき)が
あるようだ。 県庁(けんちょう)所在地(しょざいち)であることも多く
街の 中心地となっている。

一方、城のかわりに寺があり発達した町を門前町(もんぜんまち)という。
こちらは、参拝客(さんぱいきゃく)をあてこんだ商業地になっている
ことが多い。

こちらのほうは、大手のスーパーなどの進出で 苦しいようだ。
神社仏閣(じんじゃぶっかく)の観光は家族連れには 人気がなく
旅館は閉鎖があいついでいる。

ある場所が、かつてどんなところであったかというのは、ますます
見えにくくなっている。

 


 
2/8

日本の借金は666兆円だそうだ。
ニュース番組などでは、「約600兆円」などと言うこともあるが 66兆円も
省略するのはこのニュースだけだろう。

昔、オーメンというホラー映画があって、この中で聖書の中で666は不吉な
数字で あると知った。
聖書(せいしょ)の黙示録(もくしろく)に のっているそうだ。

日本の基礎年金(きそねんきん)は、20才以上の人は、一ヶ月に
13000円ほど払うことになっている。
最低25年で最長40年払い続ける。
もし、今、20代から30代の人が25年払い続けたとして、年金を受け取る
時は一ヶ月、いくらもらえるか?
いろいろな試算があるが、どの試算でも13000円をこえることはない。

130000円ではありません。つまり払った額よりも減ることになる。

日本に住んでいると数字の感覚が狂ってくる。
特に上の二つの数字は いくら外国人に説明してもわかってもらえない
代表的なものだ。

 


 
2/9

20代の親が生後間も無い子供を、「なつかない」「泣き声がうるさい」
という簡単な理由で虐待(ぎゃくたい)し、殺すというニュースが 続いている。

「どうして子供の虐待が多いんだろうね」
「最近、そういうニュース多いね」
「突然増えたのかな」
「ほら、マスコミって同じようなニュースを探すじゃない」
「そうだけど、虐待のニュースは、やっぱり増えたよ」
「そうかもね」
「最近、動物もね、子供を育てられない親が増えてるらしいよ」
「へえ」
「動物園のゴリラの半分がそうなんだって」
「じゃあ、やっぱり環境のせいなのかな」
「うん、僕の考えでは、安全なのがよくないんじゃないかな」
「今の日本が? 車とか多いよ」
「いや、いちお、食べ物もみんなスーパーで買うし、山で迷ったりしないし」
「ああ、そうか、無意識のうちに危機感みたいなのが薄れているってこと」
「そう、すごく深い無意識に作用してるんじゃないかな」
「最初から危機感がないと、母性本能も弱まるってことか」
「おそらく、その親も同じような環境で育ってきて、2世代目にして
  表れたんじゃないかな」
「ゴリラはもう少し、表れるのが早いってことね」
「そう、多分ね」
「なかなか説得力がある説(せつ)ね」

 


 
2/13

トイレの一般的な呼び方は、「トイレ」。

他に「便所(べんじょ)」「お手洗(てあら)い」などもある。
「お手洗い」がもっとも無難(ぶなん)な呼び方だろうか。

さて、トイレには、いろいろなタイプがある。
戦後もっとも一般的なのは 和式(わしき)と呼ばれるもので、地面に穴があり
そのまわりを便器で 囲んだもの。
野球(やきゅう)のキャッチャーのようにしゃがんで 使う。

70年代ごろから洋式トイレの普及(ふきゅう)が進んだ。同時に 汲み取り式から
水洗式(すいせんしき)に変わっていった。
現在、都心で、新しい家やビルが作られる場合、ほとんどが洋式であると言っても
いいだろう。

オフィスビルなどでは和式と洋式が半分づつ 作られることが多い。
水洗式のトイレもおそらく50%以上だと思われるが、都市と農村部では
まったく事情が異なる。

日本へ来る外国人が困るのは、公園や喫茶店などで 男女共用のトイレ があることだろうか。
少なくなったとは言うものの 時々見かける。

まあ、世界的にも、トイレが今のような形になったのは、20世紀の
はじめのことなので、普及には1世紀以上かかるということですね。

 


 
2/14

日本は木造建築が中心だったせいか、昔から火事(かじ)が多かった。

江戸時代には、民間の消防団(しょうぼうだん)がいくつも組織 されていた。
当時の消防(しょうぼう)は、火を消すのではなく 火事の周辺の建物を壊し
延焼(えんしょう)を極力防ぐ、といった ものだったらしい。

民間の消防には、普段はヤクザ生活をしているものも多かったというが いざ
火事となると大活躍し、町中でも一目(いちもく)置かれていた そうだ。

当然、放火(ほうか)に対する刑罰(けいばつ)は厳しかった。
もちろん死刑で、放火の動機(どうき)によって、より残酷(ざんこく) な
死刑も細かく用意されていた。

火事に関する法律は、今でも、日本は国際的に厳しいらしい。
殺人は「死刑か、無期(むき)懲役、3年以上の刑(けい)」だが
放火は「死刑か、無期、5年以上の刑」だ。

国によって法律は当然違う。

 


 
2/15

江戸時代、放火(ほうか)に対する法律は厳しく、ほとんど死刑(しけい)
だった。

17世紀の中ごろ、井原西鶴(いはらさいかく)という作家が実話(じつわ) を
基にした、放火を題材にした短い一編を書いた。
現在、八百屋お七(しち)として知られるその物語りは浄瑠璃(じょうるり)や
歌舞伎(かぶき)、落語(らくご)の素材として何度も使われることに なった。

大火事がきっかけで知り合った男が忘れられず、再び放火をし、火あぶり の刑
となる女性を描いた悲劇は、それほど長いものではないが普遍的な 文学性を
持っている。

同世代の近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)という巨人と共に 西鶴は
次々に力強い物語を残した。

シェークスピアが亡くなったのが1616年。
その28年後に西鶴が生まれ 西鶴の誕生から9年後に近松が生まれた。
当時、日本は鎖国(さこく)でまったくヨーロッパとの交流はないし
シェークスピアの翻訳を日本人が読むのは200年以上も後のことだ。

何かが連鎖(れんさ)していた。不思議なものですね。

 


 
2/16

男性2人と女性一人の会話。男性は30代。女性は20代。

「なんか最近、和食に目覚めちゃってね」
「おまえも? おれもなんだよ。もう脂っこいのがだめね」
「ああ、やっぱり、お互いに歳なのかな」

「なに辛気(しんき)くさいこと話してるの」
「ばか、辛気くさいんじゃなくて、現実の話しだよ、おまえももうすぐだぜ」
「私は30まであと3年もあるし、死ぬまでイタリア料理を食べ続けるわよ」
「けいこちゃんは、今でもイタリア料理ばっかりなの」
「そう、家でもパスタばっかりよ」
「お米は?」
「お米はサラダ感覚で少しだけね」
「『サラダ感覚』っていったって、おまえ、山形の出身だろ。
  子供の頃は毎日米食ってたくせに」
「そうそう、田舎もんに限って、『イタリア料理しか食べない』
  なんて言うんだよ」
「うるさいわね。東京のお米はまずくて食べられないの!」
「え、やっぱり山形の米って美味しいの?」
「そうよ。米だけじゃないわよ。何でも美味しいの!」

男性二人は、急に無口になる。

「。。。。ああ、いいなあ。。。」
「山形か、老後は山形に住みたいなあ」
「和食好きにはいいんじゃない? 私、東京に出て来た時、何もかも
  まずいんで、びっくりしたもの」
「う~ん。信憑性(しんぴょうせい)があるなあ」
「お酒も美味しいわよ」
「そうか!米がうまいってことは、酒もうまいってことだ!」
「どうしたの2人とも?」

二人とも老後の山形での暮らしを想像しながら、うっとりしていた。

 


 
2/20

日本のプロチームに招かれたアメリカの野球選手がプレイもせずに
わずか一週間で帰国してしまったことがある。

原因はゴキブリ。

ロッカールームでゴキブリを発見したこの選手は、
「これからこんな ところで働かねばならないのか」と悩み、ついに契約を
破棄(はき)して 帰ることにした。
しかし、最近、ゴキブリは少なくなった。
畳の部屋が少なくなったことと関係がある のだろうか。

害虫(がいちゅう)を駆除(くじょ)する製品は数多く売られている。
蚊(か)や蠅(はえ)、ねずみ、ごきぶり、などは代表的なものだ。

そういえば、蠅やねずみも、20年ほど前に比べると格段に少なくなって いる
はずだ。 これは、本当にいいことなのだろうか。少し心配になってきた。

 


 
2/21

動物園で人気があるのは、象(ぞう)、きりん、さる、ライオン。
大きな動物園にはパンダがいる。いずれも子供に大人気だ。

日本では各県にひとつは公営の動物園があると言ってもいい。
これらの 動物園は地方自治体から予算が出ている。
学校のカリキュラムにも 入っており、経営は苦しいようだが、なんとか
大丈夫らしい。

民営の動物園は、たいへんだ。
小さな動物園では、動物を買う予算も飼育(しいく)する予算も少なく
一つの檻(おり)に一匹の動物だけがいるといった状態になる。
しかし、子供に人気の動物がいないと商売にならないので、ライオンや 猿( さる)は確保(かくほ)する。
象やきりんは、飼育が難しく 維持費もかかるのでなかなか飼うのは 難しいらしい。

時々、地方へ行くと、人気(ひとけ)のない動物園で、ポツリと座っている
ライオンなどに出会う。

檻(おり)の札(ふだ)には、 「ライオン アフリカ」などと書いてある。
寂しいものだ。

 


 
2/22

「根回(ねまわ)し」というのは、会議などで重要なことを決める 時に
事前に会議の参加者に、議題について意見を聞いておき 方向性(ほうこうせい)
を確かめるということ。

日本では会社でも政治でも、会議が行われた時には、ほぼ決定している ことが
ほとんどで、会議の中で議論がされ、その場で新しいことが決まることは あまりない。

つまり、会議は発表し、承認するプロセスのひとつに過ぎない。

外国人が日本の会社で戸惑うのがこの習慣だという話はよく聞く。

「さあ、今日は会議だ」と出席してみると、どうも雰囲気(ふんいき)が 変だ。
議論はほとんどされず、ひとつの流れが出来てしまっている。 ということらしい。

「場の雰囲気を読む」とか「空気を読む」という言葉は日常的に 使われる。
例えば、若いカップルが恋人とデートをしていて 「今、キスがしてもいいか」
迷うような時に、大事なことですね。
これが、日常的に必要だと言ったら、言い過ぎだろうか。

森首相は、あっという間に、首になる雰囲気が出来てしまった。

ほんの半月前は、単に人気がない首相であったが、今では、自分の 所属する
政党にも、「何故あんな人を選んだのか」と言われる始末だ。
政界(せいかい)では、実力者の一言で、この流れが出来てしまうことが 多い。
おそらく森さんは、来月にも首になると思うが、実は支持率 (しじりつ)が
下がった他には、具体的な理由ははっきりしていない。

首になることが決定的となった今、与党(よとう)も野党(やとう)も
マスコミも、改めて、首相を首にするに価する理由を探すのに
やっきになっているといったところだろうか。

 


 
2/23

男性二人。昼休み、食事の後で。

「中国のさ、朝ごはんっておいしそうだよね」
「ああ、お粥(かゆ)ね」
「屋台(やたい)か露店(ろてん)みたいな店でさ」
「ああ、あるね。お粥ばかりとはかぎらないらしいけど」
「あ、そう。パンなんかも食べるのかな」
「食べるらしいよ。でもあのお粥はいいよね」
「よく日曜日に海外の旅行番組やってるでしょ?この前、上海 (しゃんはい)を
  やってたんだ」
「あ、そう、あれ、いつも、イタリアとかフランスでつまんないよね」
「女優とか歌手が買い物するやつね。飛行機会社がスポンサーで」
「そうそう、毎週同じだもんなあ」
「いや、だから上海が新鮮(しんせん)だったんだよ」
「そうか。もう上海って、聞いただけでおいしそうだもんな」
「はは、食意地(くいいじ)がはってるな。でも確かにそうだな」
「やっぱり安いのかな」
「テレビ番組だから高そうなレストランが多かったけどね」
「ああ、ああいうのOL向けだからな」
「でも、時々朝市なんかも映ってたけど、安いしうまそうなんだよ」
「朝市、いいねえ。」

日曜日の午後は、必ず旅行番組をやっている。
不景気だと言われるが 海外旅行の需要は減らないそうだ。

 


 
2/27

この時期、天気予報に花粉(かふん)情報が加わる。

日本では90年代に杉(すぎ)の花粉のアレルギーが爆発的(ばくはつてき) に
増えたと言われている。 鼻水(はなみず)が出る。目が痒(かゆ)くなる。
くしゃみが出る。 など症状(しょうじょう)は決まっている。
一年ほどかけて定期的に注射(ちゅうしゃ)をうてば治るらしいが
薬で済ます人がほとんどだ。

日本の国土の60%以上が山林だが、そのうち70%以上が植林(しょくりん)
だそうだ。ほとんどが成長の早い針葉樹(しんようじゅ)で、杉は特にたくさん
植林された。

花粉症は、老人はかかりにくい、とか、都会の人ほど症状が悪い。
などと言われていて、現代人の食生活との関連も研究されている。
アレルギーは、世界的にも増える傾向にあるそうだ。

 


 
2/28

東京を散歩しているといろんな所に記念碑(きねんひ)や石碑 (せきひ)が
建っているのに気付く。

かつての文学者の家があったところや、坂の名前のいわれなどが 刻まれている。
中には地名の由来(ゆらい)などが書いてあるものもあって 丁寧に見て歩くと
ちょっとした物知りになることができる。 ただ、それらの歴史を感じさせる
町並みは完全に無くなっていることが多いが。

東京を歩くと、「オランダ」という国名をよく見ることができる。

19世紀の後半から20世紀のはじめにかけて多くのオランダ人が政府に 雇われ
現在の東京の都市計画に関して、主に土木技術の面において 貢献した。
東京湾(わん)の干拓(かんたく)事業や公園、建築など多方面で
活躍したらしい。
電車の駅である東京駅に八重洲(やえす)という地名が あるがこれは
オランダ人の名前から取ったものだ。 都心の桜の名所である上野公園もオランダ人
によるもの。 これを知る日本人は少ない。

今は、オランダは遠い国になってしまった。

江戸後期(こうき)は、オランダ語が流行し、読み書きに関しては、 政府関係者や
地方のインテリは不自由しなかったと言われている。

その後、ドイツやイギリス、アメリカといった列強(れっきょう)が 進出し
オランダ語は、すたれていった。 現在、オランダ語をはなせる人の数は
江戸時代より増えているのだろうか。 もちろん、比率から言うと、圧倒的に
減っているに違いない。

それにしても、オランダ語を話す侍(さむらい)というのは、ちょっと
想像できませんね。