ワールドカップ

日本では、夜の12時ごろから試合が始まる。
サッカー好きは、4年に一度寝不足の一ヶ月を過ごすことになる。

ワールドカップは、かつては、神聖な大会であった。

どんなに強くても、画期的なスタイルを生み出しても、長年にわたりサッカーの歴史に
貢献しないとメンバーにはしてもらえず、その中でも特別にサッカーに愛されている国
にしか、優勝は与えられなかったからだ。

しかし、その神話は、1994年のアメリカ大会で終わったのかもしれない。

それはともかく。。。今回は、ロナウジーニョを見るための大会であることは間違いない。
ただ、あの監督には、注意が必要だ。
彼は、94年にあの退屈なチームでワールドカップの神話を終わらせたかもしれない
張本人だからだ。

ブラジル以外はパッとしないのも事実だ。

ヨーロッパの有力国で本気でワールドカップで優勝したいと考えているのは唯一
ドイツだけかもしれない。その意味で、優勝候補であることは間違いないが
ドイツのゲームを見るために、深夜2時まで起きていようという気はしない。

イングランドは、確かに、ここ数十年で一番のチームだ。ただ、優勝チームの
キャプテンに相応しい顔というものがあるような気がする。
それは、ベッカムでなく、ジェラードだ。このキャプテンの人選ミスが響かないことを
祈る。

イタリア、フランスは、残念ながら、ピークを過ぎた選手が多くチームとしての
まとまりに欠ける。それぞれ、ジラルディーニョとアンリという決定的なフォワードが
いるがもはや、フォワードだけでは、優勝にたどり着くのは難しいのではないか。

アルゼンチンは、いつも優勝候補だ。
世界一のディフェンスとしたたかな中盤、才能あふれるフォワード。
ただ、このチームの唯一の弱点であるポジションは、監督。
毎回チーム作りで失敗している。。

スペインは若手の活躍いかんでは、ちょっと期待できるかもしれないし本来なら
サッカーの神に優勝を与えられてもおかしくない。オランダも不安定だけど悪くない。

ただ、ワールドカップで優勝するには、ある種の「傲慢さ」が必要だ。

ヨーロッパで優勝経験があるのは、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア皆
自分がヨーロッパの中心だと思っているような国ばかりである。

サプライズを起こすなら、アメリカ。

アメリカのサッカーは、いつも、別のスポーツをしているようにしか見えないが
神話が失われつつある今、こういう「野蛮なチーム」が活躍する可能性は高い。

私はひょっとしたら、かなりのところまで行くのでは、と思っている。

アジアでは、イランは常に、魅力的なチームだ。
しかし、メキシコとポルトガルから勝ち点を奪うのは、ちょっと厳しいかもしれない。
フランスの次の席を目指す韓国は、前回より力はちょっと落ちるかもしれないが
スイスとトーゴは、勝てない相手ではない。

ベスト8は不可能ではない組み合わせだ。アジアは、一カ国も予選を突破できなかったら
次回から出場枠が減らされる可能性もあるので、韓国には、こういう時は、確実に
一次予選は突破してもらいたいものだ。

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個人的には、どこが優勝か、ということには、正直言って、あまり興味がない。
ワールドカップというのは、敗者が主役になる大会なのだ。
こういう圧倒的な本命がいる大会では、本命が負け、守備的な地味な大国が勝つ
というのがこれまでの慣例だ。

これで言うと、ブラジルを破ったアルゼンチンとドイツで決勝。

で、ドイツが優勝というのが、いちおうの予想です。

予想とは別に、私の希望は、順調に勝ち進んだブラジルと、ジダンが復活した
フランスとの決勝。この組み合わせなら、勝敗もスコアもどうでもいい。

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最後に日本チームのことを。日本は初戦にオーストラリア、二戦目にクロアチア、最後に
ブラジル。おそらく、世界中で、ブラジルとクロアチアで決まり、と予想されている
グループFである。
不運である。

オーストラリアは、ここ数年で洗練されてきたチームだが、ワールドカップの初戦で
しかも、最も勝てる可能性がある日本ということでかなりハードにくると予想される。
ただ、エジプトの審判は、あまりファウルをとってはくれず、これが日本には不利に
働く可能性が高い。
カードだけでなく、ケガも心配だ。初戦で中田がケガをすれば日本はアウトだ。
中村のコンディションも、いまひとつ。
左サイドの守備にも不安が残る。

クロアチアは、ヨーロッパの中では、最も「激辛(げきから)」つまりまったく
甘いところがないチームだ。今のところ、勝つイメージは、まったく浮かばない。。。

ついでに言うと、ブラジルも、オーストラリアのタックルには注意すべきである。
予選でロナウジーニョが大怪我をしたら、ワールドカップは終わってしまう。

それだけは避けてほしいものだ。しかしながら、日本史上最高の質を持つ選手達が
最も充実した年齢を迎えたワールドカップであることは間違いない。
この史上最高のチームを任せるのは、最高の監督であるべきだった。
ただ、この4年間、日本経済は落ち込み、監督に支払うお金はなかったのだ。
例えば、クライフと中田がケンカするところを見たかったのだが。。。

大会後、もし、中田が代表から引退すれば(私は、そんな気がしている)今後は
ワールドカップの出場も難しくなる。

日本のサッカー暗黒時代の始まりかもしれない。ワールドカップで、そこそこに戦える
チームを派遣できるのは今回が最後になるかもしれない。

ジーコは、監督としては、4年間、ほとんど何もしなかったが、恐るべき強運の
持ち主なので、何かが起きるかもしれない。


マネキン

オリンピックやサッカーのワールドカップは、テレビの視聴率も高く
大会前には、テレビの売り上げが伸びるそうだ。

ちょうど今は、ブラウン管のテレビから、薄型テレビへの買い替えの時期で
生き残りをかけて、各メーカー、必死の競争が行われている。

大手のメーカーも、ブラウン管のテレビの生産を辞めたところがほとんどで、薄型テレビ
が売れるかどうかは、会社の存亡がかかっている。
薄型テレビを作っているメーカは、国内の大手だけでも7,8社ある。
ただし、ほとんどが他社と合同で部品を開発したり、海外で生産したりしているので
価格も品質もほとんど変わりがない。

基本的に、日本の家電メーカーの製品の質は高い、従って、例えばAの会社の洗濯機と
Bの会社の洗濯機の基本的な性能に、大きな違いがあるということは、起こらない。

後は、ムリにでも、細かな違いを作り出し、いかに上手くアピールするかが大事な
ことになる。各メーカーは、その機能に独自の名前を付け、いかに画期的な機能で
あるかを宣伝することになり、結果として、日本の電化製品は多機能になってしまう。

今、うちのあるテレビのリモコンのボタンは80もある。

今は、郊外に次々と大型電気店が出来ていて、そこでの売り上げが勝負になるそうだ。

各メーカーは、黙って売れるのを待っているわけではない。
売り上げの大きな店には、無料で販売員を派遣する。
つまり、電気屋の制服を着ているが、実は、彼ら、彼女らが売りたいのは自社の
製品という、スパイが店員に紛れているのだ。
この仕事は、なぜか「マネキン」と呼ばれている。
もちろん、客に、そのことを悟られてはならない。それに、例え、A社の契約販売社員で
あっても、露骨にA社の商品ばかりセールスするのは店側に嫌われるし
ライバルのB社からも、販売員が派遣されていることがあるからだ。

売り場では、非常に微妙で、奇妙なバランスが保たれている。

お客さんが来るとさりげなく近寄って、「テレビをお探しですか」と尋ねる
客の答え方で、接客の方法を決める。中には、話しかけられるのをいやがる客も
いるからだ。

これに「ええ、薄型テレビは高いねー」なんて返事をしてくれる人は脈がある。
「ああ、これ、テレビで宣伝しているヤツね?」なんて他社の製品を熱心に
眺めていても、ニッコリと相槌をうち、「ええ、人気がありますよ」と答える。

「じゃあ、これ」とアッサリ買って行くこともあるが、たいていは、他のタイプも
見てみようかな、となるものだ。ここで、少し、揺さぶりをかけてみる。

「サイズはどのくらいがご希望ですか?」客は、必ず、「そりゃ大きいほうが
いいけどね。。。」と言う。
試しに、少し離れたところにある、2つのテレビを指して「こちらの製品は、サイズのわりにお安くなってますよ。これも」
この場合、「こちらの製品」も他社のものだが、次に示した「これ」は、自社の製品。

「あら、そうね、どうしてこんなに違うの」
「そうですねー、今は、画質はほとんど変わらないので、ま、ブランドのイメージと
いいますかねー」
「ちょっと、でも、見ただけじゃわからないわね。変わらないじゃない」
「そうですねー、この安いほうの2つだったら、こちらのほうがちょっと黒が
 鮮やかですね」もちろん、鮮やかなのは、自社の製品。

やっと、ここで、自社の製品をアピールし始めて、そこからは、さりげなさを
装いながらも、A社の契約社員として全力で、説明するのだ。
こうやって、巧みに、自社の製品へと誘導していくのである。

———————————————————————–店

店の中では、最初に声をかけた人が、その客の担当、というルールになっていることが
多い。かといって、お客が入ってくるなり、声をかけるのはルール違反で
ライバル社同士は、さりげなく距離を保って、一度声をかけたら、次はライバルに
譲るというような暗黙の了解がある。

もちろん、時には客を奪い合い、静かな火花がちることもある。
会社帰りのOLなんかは、特に人気がある。若い女性だからではなく、こちらの言うことを
素直に聞いてくれる客、すなわち「カモ」であることが多いからだ。

この競争に打ち勝ち、みごと、お客を誘導し、自分が説明した客が、買うことになると
商品を持って、レジに行く、すると、レジの人は、「A社から派遣の**さんが売った」と
密かにデータを打ち込むのである。

もちろん、その売り上げから数%、給料に加算される。

私は学生のころ、アルバイトで、P社のステレオの販売をしていたのでこの業界は
ちょっとだけ詳しいのである。
冷蔵庫だけを30年売り続けていた人、家電の進化についていくのが大変だと愚痴ばかり
言っていた人、売り場では饒舌なのに、プライベートでは無口な人。
飄々(ひょうひょう)としていて、接客に熱心ではないけど、何故か最後には
自社の製品を買わせてしまう職人肌のおじさん。

いろんな人がいたが、不思議とイヤな人はいなかった。

もう、みんな年金生活をしているはずだ。薄型テレビは買っただろうか。


犯罪を減らす方法

今日からコラムを再開します。

なるべく一週間に一回は掲載できるようにします。

さて、日本には民間の大きなテレビ局が5つあり、それぞれ、新聞社をスポンサーに
メディアグループを形成している。
そのうちのひとつである読売(よみうり)グループのテレビ局のアナウンサーが
電車の駅で、女性のスカートの中を盗撮(とうさつ)し逮捕された。

顔を見れば、誰もが、知っているとまではいかないかもしれないが人気番組にも
出演しており、ほとんどの人が見たことがあるというようなアナウンサーだ。

事件は、三ヶ月前に起こっていたが、テレビ局はその事実を公表せず同じグループの
新聞でも報道はされなかった。
つまり、そのグループでは、その事件は、まったく存在しなかったことになっている。

これは、2週間ほど前に週刊誌のスクープで、あきらかになり、一斉に他社の新聞や
テレビ局が、報道を始めた。
しかし、この読売グループでは、現在に至るまで、新聞でもテレビでも一切報道されて
いない。

もうひとつ、不思議な現象が起きている。
他社の新聞では名前は出ているが、他のテレビ局は、どの局も名前を出さなかった。
テレビに出演しているような人物が逮捕されて名前が伏せられるというのは
聞いたことがない。

つまり、「盗撮ぐらいで名前を出して報道してたら、お互い、困るでしょ?」という
暗黙の了解が、「明日はわが身」と感じたすべてのテレビ局関係者の間で一瞬のうちに
共有されていたということだ。

運の悪いことに、この読売グループのテレビ局は、盗撮を社会的な問題として
取り上げているキャンペーン中だった。

事件が明るみになってから、このキャンペーンはピタリと止んだ。
このグループのテレビと新聞からは、「盗撮」という犯罪が消えてしまったかのようだ。

このメディアグループは、民間では最大手なので、田舎では、読売新聞を読み公共放送
(私の知る限り今回の事件は報道していないようだ)か、読売グループのテレビしか
見ない人もたくさんいる。
そういう人々は、「盗撮という犯罪は、最近報道されなくなった。
さすがに、バカバカしいので、やる奴も少なくなったんだろう」と考えているに違いない。

つまり、こういうことだ。Aというメディアグループの関係者が、放火をすれば
「放火」は今後報道されなくなる可能性がある。

そのうちに、Bというメディアグループ関係者が横領(おうりょう)で逮捕されると
横領は、B社の犯罪リストから消えるかもしれない。

Cというメディアグループは、「私たちは、すべての犯罪に対してフェアです」と
宣伝しているが、注意して見ていると、ある時期からスリに関する報道はさっぱり
されなくなっている。

もしや。。。

まるでSF映画だが、数年後、私たちは、「最近、殺人も幼児誘拐もずいぶん減ったねえ」
と話しているかもしれないのだ。


お知らせ

実は、、新しい企画の準備で、ゴールデンウイークまで、このコラムの更新は
多分できません。

今、準備している企画は、日本語の音声ファイルを使ったコンテンツと、フォーラム形式のコミュニティサイトの準備などです。すみません、少し長期のお休みになりますが

5月からスタートする音声ファイルのコンテンツは、きっと楽しいものになると
思いますので、ご期待ください。

録音はプロのナレーターの方にお願いしますので正しい音声を聞くことができます。

最初は、初級の言葉の音声ファイルだけですが、今年から来年にかけて、中級レベルの
ものも増やす予定です。

これから、その準備です。
では、しばらく、お休みをいただきます。

* 毎日、読む練習をしている人は、このコラムがお勧めです。 
  http://www.taguchiso.com/ 
 日本のプロ野球で活躍した田口壮(たぐちそう)さんのサイトです。 
 MAIL FROM SO というコーナーに毎日、日記が掲載されています。 
 田口さんは、今、メジャーリーグで活躍していますが、彼の日記は 文章も
 すばらしくて、野球を知らない人でも、面白い、最高の日本語の 教材だと思います。
 彼は関西の人なので、時々、関西の方言がでます。 これだけ、注意してください。


チーズ

サイトの引越しは、思ったより大変です。

ファイルの移動が終わった後も、チェックをしていると動かないページを発見。
新しいサーバーの説明を読むと、仕様がちょっと違うのでスクリプトの一部を
書き換えないといけないことが判明する。

他のページも同様にすべて書き換え、これが約100ヶ所。

どこに、どんなファイルがあるか、忘れているものもある。
思い出せないファイルは、開いてみて、4年前に作って、結局途中で忙しくなり
放置したままだったものであることに気がつく。
で、削除。

ところが、そのファイルにリンクがあるページがあるらしい。
そこを見ると、そのページも現在使っていない。
で、削除。

数日後、リンクが外れている箇所を見つけ、なぜページがないのか、見ると、先日
削除したページだったことが判明。
必要ないので、リンクを修正。

というようなことを、毎日、繰り返しているわけです。

いったい何のページなのかわからないものとか、どこのページで使っているのか
わからない画像がたくさんありました。
時々、冷蔵庫の掃除なんかをすると、奥のほうに、いつ買ったかわからない外国製の
チーズなんかが見つかることがありますね。
そういうカンジです。

このwebjapaneseというサイトは、たしか、1997年の2月21日にスタートしたので
9年が経過。
今月10年目に入りました。