どうも最近、泣くのが流行っているらしい。

テレビ番組でも、アナウンサーはすぐに泣くし、政治家もスポーツ選手も
ここぞ、という時には、必ず涙のサービスが始まる。

ヴラジーミル・ホロヴィッツは、晩年、評判がよくなかった。

日本でのコンサートのチケットは、数万円もして、普通の人は、買うことが
できなかったし、演奏内容の評価も散々だった。

ただ、チケット料金は、プロモーターの問題で、本人に罪はない。

それに、コンサートがつまらなかったとしても、そのチケットが高額だったから
不満が大きくなるということも、実は、それほどないような気がするし
逆に安かったから、あきらめがつく、ということもないのだ。

ホロヴィッツが母国で行ったコンサートのビデオを見たことがある。

崩壊寸前の旧ソビエト。華やかだけれど、どこか殺伐とした空気も漂っている。

よわよわしいタッチに衰えを感じるが、すでに80歳を過ぎ、ようやく帰国した巨匠の
亡くなる3年前の演奏だ

カメラは、時折、聴衆の顔をゆっくりと移動する。
その顔のアップはどれも感動的だ、音楽を聴く人間の顔たち。

涙をながす人も多い。

気難しい顔をした中年の男性の目から、一筋、静かに、涙がこぼれる。

この聴衆の涙は、昨今のテレビ画面に溢れている、一山いくらの涙とは
まったく違う種類のものだと思うのである。





たたきあげの顔

エルンスト・ルビッチの「天国は待ってくれる」という映画で
意中の女性の実家だったか、見合いの相手だったかの家が
カンザス州の牧場王という設定だった。

牧場王の父親は頑固で保守的だが、娘のことを愛している。
ずんぐりとした、いかにも田舎の「たたきあげ1」というカンジの
強情な顔の俳優は印象に残った。

ところで、今、日本で牛肉の偽装の問題で、追及されている男性は
その俳優にそっくりなのだ。

「あーそうそう」と言ってくれる人は近くにいないので、コラムに
書いてみました。

私と同じように、気がついたけど、近くに賛同してくれる人が
いない場合、これを読んで、私一人じゃなかったとホッとする
人がいるかもしれませんしね。


  1. self-made businessperson []

肖像権(しょうぞうけん)

写真は、撮りにくくなった。

私たちのサイトには、写真辞書というコーナーがあり、そのために、いろんな写真を
撮ってきた。

この写真辞書、そろそろ全面的に見直さなければならない。

数年前、人の顔や看板の電話番号などが写っていないかチェックし、問題のある写真は
修正した。
古い写真で写りが悪いものも、一部を除き、削除した。

今年から、来年にかけて、もう少しいいカメラで撮ったものに順次入れ替えていく予定だ。
いいカメラで撮ると、写りがいいかわりに、人物が特定しやすい、カメラ付き携帯やブログの
流行もあって、カメラを向けられることに、昔ほど、おおらかでなくなったように思う。

特に、若い世代は、自分は、携帯で、ところかまわず撮るくせに、自分がカメラを
向けられることにピリピリしているような空気がある。

仕方がない。
今後、写真を撮るうえで、場所や人物が特定できる場合は、辞書に載せてもいいか
という許可を求めるフォームを作り、サインをもらうことにした。

もう木村伊兵衛1のようなスナップを撮る人は現れないかもしれない。


肖像権なんて考えたこともない、という被写体のほうが、いい写真が撮れるような気がする。

犬


  1. きむら いへい 20世紀の日本を代表する写真家 []

占いの利用法

日本で人気のある占い師は、その人の前世(ぜんせ)が
見えるという。

前世というのは、定義がはっきりしないが、どうやら、その人が
誰かの生まれ変わりである、ということを前提にした、歴史における
その人を象徴するような人物ということのようだ。

しかし、これは、当然、占い師のボキャブラリーと教養に左右される。

まあ、残念ながら、ほとんどの場合、出てくる国は、ヨーロッパの大国ばかりで
しかも、「貴族」であることが多い。

「ああ、あなたは、ちょっと不幸な死に方をしたロシアの貴族の末裔です」
とか
「イタリアでとてもグルメだった貴族の女性が見えます」
など。
「フランスで貴族に仕える音楽家だった」
という変化球もある。

で、ある日、気づきました。

これは、ほとんど少女マンガの世界と重なるんですね。
彼らなりのマーケティングなのだろうか。

占いは、日本にもたくさんの種類がある。

大手のポータルサイトは、必ずといっていいほど占いのコンテンツを持っており
その占いの評判は、女性のアクセスには多大な影響があるそうだ。

テレビの朝の番組では、お出かけの前に、星占いに基づいて、その日の
ラッキーカラーとかラッキーナンバーが画面に出る。
「うお座(ざ)の方の今日のラッキーカラーは、緑、ラッキーナンバーは3です」
といった調子だ。

私の知り合いは、気に入った女性が毎朝、どのテレビ局の占いを見るのかを
調べて、必ず「彼女のその日のラッキーカラー」のネクタイをして行ったそうだ。

他にも、「運命の人に出会う」とか「下心がある人が近づいてくる」など、占いの
フレーズを念頭に、行動に気をつけたそうだ。

で、かなり高い確率で、その女性とうまくいったそうである。

これから日本に来る男性は参考にしてください。

こういうことを教える日本語学習サイトは、なかなかありませんよ。



15センチ

今のところ、日本では法律で、銃はもちろん、刃渡(はわた)り1
15センチ以上の刃物を所持(しょじ)するには許可が必要だ。

今日も、東京の大きな繁華街で、刃物を持った人物が、次々と通行人を
切りつける、という事件が起こった。

通り魔(とおりま)と呼ばれる、この種の事件は、もう珍しくなくなった。

ほとんどの場合、10代後半から30代までの男性が犯人で、にぎやかな
繁華街で人通りが多い時間帯に犯行が行われる。

こういう事件は、将来、増えることはあっても、減る材料は、ひとつもない。

犯人が持っていたナイフは、いずれも法律の範囲内で買えるものだったそうだ。
しかし、少なくとも、日本では、15センチの刃から逃げることができれば命は助かる。
これが、もし、雑貨屋で銃が買えたら、どうなっていたか?

  1. 刃の長さのこと []