仕事としての日本語教師。主にお金の話。

目次

この記事は、2017年4月に公開したものです。2018年中に、日本語教師の資格、働き場所、待遇、法律などを整理して書籍化する予定です。書籍化した後は、このページは統合して、サポートページに移動し、サマリーと、参考資料のURLなどと共に掲載する予定です。

はじめに
日本語教師になるのも、日本語教師として働くところも、民間の日本語学校などの業者です。法務省が…文化庁が…といろいろと出てくるし、「学校」という名前がついているので、ちゃんとしていると思いがちですが、実は、エステティシャンとかペットのトリマーのような、単なる業界のひとつで、規模が小さいので、それらの業界よりもダメなところはたくさんあります。

この記事にはお金のことがたくさん出てきます。お金が大事かどうかは、価値観によって違いますが、お金のことを知れば、よりいろんなことが見えてきます。お金から逃げてしまうと、いろんなことが見えなくなります。

日本語教育とお金の話は、見えにくい。「先生」というのはお金のことを考えないようにしたい、と考える傾向があります。残念ながら、日本語教育業界には、そういう空気をうまく利用している人達がいます。

この記事はお金のことをちゃんと考えながら、きちんと計算したりしながら、どういうことになっているのか、どんなことが起きているのか、を考えてみた、というものです。新たに取材したものではありませんから、現場から見えてくることからの推察に過ぎません。しかし、少なくとも「日本語教師」でググって出てくるページや記事、ステマサイトよりは、フェアで正確なはずです。日本語教師になろうと考えている方がいたら、事前に読んでおいても損はしないと思います。

最近は景気もよく、やや教師不足で、資格さえとれば即就職、未来は明るい的な広告がありますが、冷静に業界を観察し、好景気で利用される人になるのではなく、好景気を利用する人になってください。まずは、いろいろと知りましょう。

ここのブログは長く東京で日本語のプライベートレッスンをしてきたフリーランスの日本語教師グループによるサイトの日本語ブログコーナーです。日本語教師に関していいかげんな記事が増えてきたので、ちょっと書いておこうと思って書いただけです。宣伝目的ではありません。日本語教師養成講座へのアフィリエイトのリンクや検定試験の教材、セミナー、無料メルマガへの誘導は出てきません。間違いもあると思います。ご指摘いただければ幸いです。確認し、必要なら修正します。詳しくは、このページの一番下の「この記事について」をご覧下さい。

 

 

準備

このブログはいろんな記事があります。日本語教育に関して、そこそこの知識がある前提で書かれたものが多いですが、まったく知識がない人に向けて書かれたものとしては入門編ともいえる日本語教育に関する7つの事実があります。この記事を読む前に、「事実」のほうをチラと覗いて基本的なことを確認してみてください。

 

必須6サイト

日本語教師として仕事をしようと考えたら、まず以下の6つのURLはブックマークしておきましょう。

□ 告示校 
https://t.co/wAhkhRuWOc
→ 現在認可されている日本語教育機関すべてのリスト。「法務省の告示校」

□ 文科省リスト
https://t.co/PCOhWWvrzU
→ 告示校の中で稼働中の学校すべてと考えていいと思います。

□ 告示基準
https://t.co/9DJtH0U5JX
→ 2017年に改定された日本語学校のルール

□ 告示基準解釈
https://t.co/OzBdUJwAJ4
→ 告示基準の具体的な適用、説明など

□ 日本語教師養成講座に関する文化庁のページ
このページの
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/
「1.文化庁国語課への届出を受理された日本語教員養成研修実施機関・団体」の下の「日本語教員養成研修実施機関・団体」というPDF。
→ 2017年に決められたここにある基準を提出し、それを満たしたと受理された講座。420コマ時間の正式な資格はここだけ。まだとても少ないです。しかし、ここにない養成講座にはいかないほうがいいです。

□ 【資料】日本語教育関係のデータ
→ 学習者数、学校の数、学生数などの推移をまとめたもの。ソースへのリンクもあります。
https://t.co/GhAclKLRSN

「告示校」は第一のフィルターです。法務省により留学生を扱ってよろしいと認可された学校は必ずここに名前があります。日本語学校の名前をみたら、まず告示校のPDFでページ内かPDF内で検索して認可されているかを確認しましょう。

あったら、次は「文科省リスト」をみましょう。第二のフィルターです。これは告示校で、2017年に文科省に申請した日本語学校です。告示校にはあったけど、ここには無い学校もあります。事実上稼働していないか、情報公開に積極的で亡い、文科省に提出できないなんらかの事情があるんだと思います。

この2つのフィルターを通過した日本語学校の中から選びましょう。しかし、まだいい学校かどうかわかりません。それをこれから書いていきます。

 

日本語学校の業界団体

学校の宣伝で「日本語教育振興協会(日振協) 加盟校」「全国日本語学校連合(JaLSA) 加盟校」というのがあります。民間の日本語学校の業界団体です。今のところ、この2つ。ただ、加盟率は日振協が6割弱、JaLSAが2割ちょっと、両方に加盟している学校もあります。どちらにも加盟していない学校も25%くらいあります。それぞれ倫理規定やガイドラインがありますが、チェックもほぼなく、罰則もないので、形骸化しており、過去の不祥事をみても、比率どおりです。つまり、加盟してるしてないは学校の質にまったく関係ありません

告示校であるためのルールが書いてあるのが「告示基準」です。教師の資格や雇わねばならない人数の決まりなど大事なことが書いてあります。読んでおきましょう。

 全国日本語学校連合(JaLSA)の日本語学校の半数近くは、文科省のリストに名前がなく、詳細が不明です。サイト上にも名前しかなく、JaLSAは情報公開に積極的でない傾向があると言えます。就職先としては疑問符が付くと言わざるを得ません。

 学校法人だから安定している、ということもまったくありませんし、もちろん、大物政治家が関係しているからといってまともとは限りません。やはり長くやっている、というのはひとつの目安ですが、これも絶対ではありません。「教育熱心」は一番頼りになる目安ですが、単に「熱血」校長や教務主任がいるだけで、たいして質は高くなく労働環境が悪い学校はたくさんあります。結果が大事です。能試の合格率がひとつの指標にはなると思います。

 

日本語教師に関係する法律

もうひとつ、私たちの記事ですが、「日本語教師と法律 学習ノート」もブックマークしておいてください。日本語教師として働く時に知っておいたほうがいいことをまとめました。中小規模の会社であれば、組合があったり、なくても業界団体が目を光らせていたりで、あまりおかしなことはできないようになってますので、ある程度は安心なんですが、日本語学校は零細企業です。経営者や校長は労基法は知らないこともありますし、労働組合はありません。日本語教育の業界には教師の権利を守る組織はありません。なので、知らないと困ったことになります。

日本語教師は正規雇用(専任)の比率は3割程度ですが、たとえ専任になったとしても終身雇用はほとんど保証されてません。学校はよく潰れますし、経営者は簡単に解雇します。経営難だからとコマ数がドンと減る、非常勤とか契約社員に戻ってくれなどと頼まれる、みたいな話は20年前からよくあります。つまりすべての日本語教師はフリーランスであり、フリーランスにとって最後に守ってくれるのは法律しかないのです。

たとえ法律を知っていて、経営者がそれを守らないことに気づいても、小さな会社や学校では、学校にいられなくなるのを覚悟で抗議するしかないわけですが、仮に抗議をしなくても、法律を守らないところである(あるいは確信犯的に法律を破るところだと)と早めに気づくことができます。「カモ」にならなくて済みます。転職の準備も早めにできます。辞める際には、にっこりと去ってから労基署に匿名メールを送っておく、くらいのことはしましょう。

 2017年、労基署は会社辞めた人からの匿名の告発メールも受け付けることになりました。小さな告発が溜まればそのうち査察が入って、後から来る人が助かることに繋がります。

 

日本語教師の資格とは?


「資格」と呼ばれるものの種類とそのデータについて

日本語教師になるための要件はよく言われるのは以下の3つです。民間の日本語学校などで求人の際に書かれる文言です。国内では、他の業界でも「どうやらこれが正式な資格らしい」くらいの知識で、これを書くところが多いようです。

1)養成講座などでいわゆる420時間を修了していること。
2)日本語教育能力検定試験合格
3)大学で日本語教育に関する単位をクリア
4)上に準ずる能力を持っていること。

5)4大卒であること。 ← New! 2017

5)は、2017年の法務省の新基準にはなかったのですが、数ヶ月に追加された「解釈基準」ではなぜか大卒、しかも4大卒じゃないとダメ的な記述が追加されました。「解釈基準」は法務省の新基準をベースに文科省と調整したようです。文科省の意向が反映された可能性があります。ともあれ、これが出てから4大卒が追加されるケースが増えました。

4)はこの資格制度が出来た時にいまさら資格取得に挑むのはちょっと、というベテラン救済が目的で作られたのだと理解しています。現在はそういう世代はほぼリタイアしているはずですが、大学の研究者などもこれで救済できるので残っているのでしょう。

1)2)3)はそれぞれ主催者が違います。そして、この3つの条件は、日本語教師の資格として通用する範囲はかなり限られています。420時間は、日本語学校の就職に限っては最強だと思いますが、その他の場所では、1)~3)はほぼ同格で、どれかひとつでもOKかもしれません。2015年以降、日本語教師不足となってからは、特にそうです。買い手市場になれば、1)3)の他に試験合格者を優先、みたいな強気になる、という程度のことみたいです。つまり、結構いいかげんです。

しかし、この資格3条件の力が及ぶのは、ほぼ以下の4つだけです。

・日本国内の民間の日本語学校
・日本の国内のボランティア教室など
・JICAの派遣の条件
・国内で省庁などが「日本語講師」を募集する時

意外と範囲は狭いのです。最後の省庁がらみの募集は、かなりレアなのであまり関係ないと思います。常勤的な募集ではありませんし(どうやら省庁では、非常勤の場合「講師」と呼ぶ習慣があるようです)。

上の要件は、日本国内の大学や海外の教育機関では参考程度、あってもなくても問題はないケースがほとんどです。強いて言えば、3)の大学で専攻したということでしょうけれど、大学の世界では、学士より修士なので、日本語教育の学士より、文学専攻の修士のほうが強い、みたいな力関係があるようです。

よく宣伝に出てくる「海外で活躍」というのは、ほとんどの場合、日本の会社と提携している海外のボランティア団体や民間の小さな学校、インターンとか教師アシスタントという名目でただ働きをさせられる学校など、ごく一部です。

2012年の「日本語教員等の養成・研修に関する調査結果について」では、日本語教育能力検定試験の合格が必須だと考える割合は大学で4%、日本語学校で6%とかなり低いもので、教員で合格している比率も大学は31%、日振協加盟校でも45%でした。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_kyoin/pdf/hokokusyo.pdf

2016年に金沢大学の方が実施したアンケートがありました。

ムック本やネット上で主催者による誇大広告で必要だと思わされているという要素が大きそうです。

この結果が2017年に公開されました。

4つに分けてのアンケート結果となっています。
1)海外
2)日本
3)大学
4)日本語学校

です。数字は専門的な知識がないとわかりにくいですが、重要度の順番になっています。まず総合の順位では、420時間も検定試験も26単位も、最下位に近く、プライベートレッスンやいろんなところでの短い経験(1年以上程度なら)は、ほぼ尊重されない、という結果です。具体的に授業をやれるかという力が重視されています。

次に個別の順位があります。

海外では直接法で教えられるは重視されています。現場力、コミュニティ参加、と、全体的に適応能力重視という印象です。資格は重視されず、短い経験も同様。420時間より検定試験合格は下位。媒介語も意外と下位近くで、調査した国にもよりますが、直接法が主流なのかなという印象です。

日本では、直接法で教えられることは重視され、420時間が中位に来ているのも特徴のひとつです。やはり国内では420時間=直接法で(みん日で)そこそこ教えられる、という印象があるのではと思われます。博士や大学で日本語教育を専攻したことは下位です(そこまで求められていない、給料払えないという事情が理由でしょうけど)。エクセルが使えることもそこそこ重視されているのは、「海外」よりIT関係の活用は進んでいるということでしょうか。媒介語の使用はまったく期待されていません。

大学では、教材作成やエクセルを扱う経験、シラバス作成など、日本語学校だと主任クラス以上の能力が求められているという印象です。媒介語(英語、中国語)を使った教え方ができることも重視されており、直接法や420時間、検定試験、多少の経験はほぼ意味がないものとなっています。教え方そのものが違うというところでしょうか。

日本語学校では、直接法、420時間は当然重視され、具体的に業務を遂行できる能力が上位にずらりと来ます。

この一般的に条件と言われている養成講座修了や検定試験合格は、日本語学校と直接法で教える海外以外では、やはり参考程度といってよさそうです。もちろん、大学で雇用されるためには修士が必要とされることがほとんどですが、簡単ではなく、それに+して具体的な要素がいろいろとあげられています。

 調査結果のPDFは、ここに保存したものがあります。

 


 

求人基本3項目は重視されないところもたくさんある

ちゃんとした(安定していて給料がいい、大学や公立学校、公的機関など)ところほど、修士や博士、あるいは国語の教員免許ということになっていて、420時間も資格試験もほぼ関係ない、ということになっています。420時間できちんとガイドラインを作らず、資格試験の方向性を決めずに長年やってきて、きちんと業界以外でも認められるような質管理をしてこなかった民間の日本語学校関係者の責任は大きいと思います。

では、今後は改善されるか? 難しいと思います。2016年の児童の日本語教育でも大学関係者(日本語教育学会会長や日本語教育の研究者が多数参加していたのですが)からは一切420時間や検定試験の話は出てこず、これらの資格は完全になかったことになってました。どちらの資格も、国内の日本語学校での就職とボランティア活動、JICAだけで通用する、そこからスタートするための日本語教師としての「仮免許」と割切って、自分の進路を考えて挑戦するのが正解だと思います。

 420時間は正確には、420単位です。1単位45分以上なので、実質315時間あればいい、ということになります。ここでは、一般的に知られている420時間と書いてます。このへんも後述します。

 児童の日本語教育に関わるのであれば、大学で教員免許を取らないと話にならないということになりました。有識者会議でも、国語教員を中心にやっていくことになりました。
日本語教育関連の「有識者会議」
https://twitter.com/i/moments/784889841666318336

 最近は、途上国で資格問わず募集するところも増えています。特にアフリカや東南アジアなどでは、資格関係無く、「やる気」と「海外生活ができる根性」で就職できるケースもあるようです。また東南アジアでは国立大学でも選択コース的なところで仕事があったりするケースもあるようです。そういう「とりあえず日本語クラス作る。人材派遣ありきで企業とか政府から補助金ひっぱってくるコネがある。教師はあてがっておけばいい」みたいなところでは「資格持ってる、あーなおさらええこっちゃ!」みたいなことはありそうです。

 


 

では、個別に資格に関することをお金のこと中心にみていきます。

 

日本語教師養成講座(420時間)

養成講座に関するルールは、文化庁にあります。2000年の会議がベースになって作られたものです。
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_suishin/nihongokyoiku_yosei/

よく養成講座の広告にある文化庁のシラバスは、このページにあるPDFにあります。

最初に説明しました。ここにある日本語教師養成講座だけが正式な420時間の修了者、有資格者と認められるものです。

しかし、2016年から文化庁に届け出をすることになりました。それまでは「なんとなくシラバスにのっとってます」と言った者勝ちの無法地帯でした。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/のページある「日本語教員養成研修実施機関・団体」というPDFにあるものだけです。

詳しくは「日本語教師の公認とは」で説明します。

最初に大事なことを。

日本語教師養成講座は、民間の日本語学校がやっている民間の資格です。しかしこの420時間(厳密に言うと420「単位」で時間数ではありません)は、カリキュラムが文科省(文化庁)によってキッチリと決められていて、学校独時の教授法のノウハウを教える講座ではありません。むしろ、学校によって違いが大きいと問題なわけです。しかし違いは出ます。どれだけよい講師を集められるか、とカリキュラム全体のバランスなどをしっかり設計できるかの2点が重要です。これができるのは、やはり日本語学校として実績があるところ、です。資格スクール系は学校としての実績に欠け、講師が弱く、歴史の浅い日本語学校ではカリキュラムに応じて講師をあてがうだけになってしまっているように思います。

「実践的」をうたう養成講座は多く、そのほうがいいという日本語教育関係者はいますが、養成講座はスタートラインに立つまでのもので、実践的なスキルは就職先で身につけるべきものです。ただ、現状、ほとんどの日本語学校は教師を育てるノウハウがなく、そのためのコストを負わず、教師に丸投げ、という学校が多いので、養成講座に「実践的なスキル」を求めてしまう風潮があるというわけです。

 業界の離職率の高さも影響しているかもしれません。5年在籍すればいいので長い目で教師を育てる必要がない。日本語教師養成講座ではパッとそこそこできる教師を作ってくれるほうがありがたい、というような。。。

就職したての新人は「養成講座は実践的であるべき」「役に立った!」と言うかもしれませんが、せいぜい最初の数年に恥を搔かずにすむノウハウを教える養成講座、というのは疑問です。狭い業界のニーズにおもねるものでは、いつまでたっても民間資格です。もっと長い目でみて大事なことを教える講座であってはじめて資格としての価値が高まるはずです。

「実践的」をうたう養成講座は、実は、理論でよい講師が集められないところで、自前の教師でほとんどをやっている、というところが多いようです。自前の講師のほうが安上がりで、圧倒的に講座の「原価」が違うんですね。「すぐに役立つ」「本校自慢の講師(その学校の専任教師)」みたいなところはダウトです。理論はしっかり大学の専門家に、実践は、コツや小手先のテクニックではなく、新しいことにぶつかった時に対応できる力をつけるため、じっくり基本的なことをやろうというところがいいと思います。「**年のノウハウを凝縮!コツを伝授!」みたいなところは宣伝のやり方が?だと思います。教員養成はノウハウやコツを詰め込む時間ではないはずです。

 

日本語教師養成講座の「公認」とは

長年、文化庁が出したカリキュラムがあるだけで、それを守ってますと宣言すればOK、講師の資格も無い、というテキトーな状況だったんですが、やっと2016年に文化庁が届け出制にすると決めました。ただし書類に不備がなければ公認なので、質的保証に繋がるとまでは言えません。まったくダメなところが消えるだけで。。。

2017年の4月以前にスタートした講座は修了者とみなされますが、2017年の4月以降は、このリストにない講座は修了しても有資格者とはみなされません。人手不足の際は学校は採用するかもしれませんが、法務省の基準では有資格者でないといけないとなっているので認可取り消しもありえると思います。

ひとまず届け出制のためのルールと項目はこちらにあります。
日本語教育機関の法務省告示基準第1条第1項第13号に定める日本語教員の要件について
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/

*ここの「1.文化庁国語課への届出を受理された日本語教員養成研修実施機関・団体」に上の6つのサイトにあるリスト、「日本語教員養成研修実施機関・団体」があります。ここに掲載されている日本語教師養成講座だけが正式な420時間の養成講座です。ここにない講座は420時間クリアとは言えないわけです。注意してください。掲載が始まったのは2017年の4月です。

ここに無い講座を受講するのはやめておいたほうがいいと思います。

 今のところ海外の養成講座は審査の対象ではないとのこと。2017年4月以降は、海外の420時間をうたう講座は修了しても有資格者とはみなされません。

 養成講座に関しては、もうちょっと短くまとめた記事があります。

 


 

 

概要

国内の日本語教師養成コースは100以上あり、受講者数はここ数年平均4000人前後です。

留学生に対する日本語の授業は1年で570時間(760コマ/45m)以上という規定があり、学費は1年で約60万円です。学生募集は不安定でコストがかかる。ビザ、住居、バイトの世話、進学の世話がありますが、日本語教師養成講座は規定の時間315時間(420コマ/45m)です。

最初に書きましたが、2017年からは文化庁に講師のプロフィールなどを提出することになりました。20年経ってはじめてガイドラインを守らせようということになったわけですが、業界で自主的に養成講座をこうしなければ、という具体的な動きはありません。これで文化庁が面倒をみてくれる、書類を提出すれば文化庁のお墨付きと宣伝できる、みたいな空気があるそうです。おそらく、この書類提出の義務化でこれまで「文化庁のシラバスを守ってることにすれば何でもあり」と作られたようなインチキ講座は若干減っても、全体の質が高くなることはなさそうです。

もうひとつ、おさえておくべきは、日本語教師養成講座は、ピンキリだということは日本語学校側もわかっているということです。同じ420コマの養成講座を修了しても、「あそこのなら安心できる」というものがあります。

それでも、日本語能力検定試験よりは、日本語学校の就職に関しては重視されます。とりあえず国内の日本語学校に就職するのならば、いい講座を選んでください。この記事のために養成講座の広告のサイトをほぼすべてみましたが、ジャンルごとにその分野の第一人者がきちんと講義するものもあれば、まったく講師の名前が出てこない、自分の学校の教師ばかりで「実践的な講座」とうたうところもあります。時間数も、よく見ると、実は、全然違います。

 

420時間といっても時間数のことではない?

 法務省の新基準解釈基準より

これ、ホントに問題だと思うんですが改善されません。日本語教師養成講座を管理する業界の組織が事実上ないのでボンヤリしたまま流通しています。

この記事もブログでも便宜的に420時間と書いていますが、最初のところの補足で触れましたが、正確には「420単位時間」です。新基準でも420単位時間で1単位45分以上と規定されており、実質的に315時間あればクリアということになります。リアル授業相当でないといけないのは120単位なので、時間数だと90時間です。90時間、リアル授業(あるいはそれに相当する双方向性が確立されている授業。要するにスカイプのような形態を想定しているのだと思います。動画じゃダメなはずです)がないといけません。

養成講座をチェックする際は、この換算を忘れないでください。養成講座の主催者は、この単位で考えるところと、時間で考えるところが混在しています。つまり、「420時間修了コース」と書いてあっても、315時間ちょっとのところもあれば、470時間のところもあります。どっちでもルール上はセーフですが、150時間も違うので、事前に確認は必要です。1時間あたりの料金もまったく違うことになってくるはずです。

一般論ですが、教師の専任のルールも同じですが、基本、規定ギリギリでやるところに、いいところはありません。当然講義の時間数は少ないほうが儲かるわけです。評判のいい養成講座は、すべて420「時間」かはわかりませんが、315時間クリアしてるからいいでしょ、みたいなところはないです。

そして、きちんと授業の「時間数」が書いていないところは、ほぼ315時間のほうです。きちんと時間数を書かずに420時間は単位のことで、45分授業だからという説明をしないまま、あるいはどこかに小さく書いただけで「420時間修了」とだけ書いてるところは悪質といってもいいと思います。

「詳細は資料請求」となっていて、その先には、ちょこっと本当の時間数が書いてあるというケースもあると思います。資料請求は個人情報をいろいろと知らせないといけないし、学校側も、勧誘しながら時間のことは補足すればいいと考えているフシがあります。まずサイトできちんと時間数を書いていないところは顧客にきちんと情報を伝えるうえで不誠実です。やめたほうがいいと個人的には思います。事前に電話などで確認しましょう。

 大学関係者は、この420時間を昔から「しょせん民間資格」と軽視する傾向があります。自ら(日本語教育学会)が主催する日本語教育能力検定試験と大学での単位取得を「上位」の資格だと考えているようです。このことも頭の隅においておいたほうがいいでしょう。

 日本語教師養成講座の質的向上を目的に作られた全国日本語教師養成協議会というのがありますが、養成講座の質的向上でリーダーシップを発揮するということでもないようですし、残念ながらサイト上には、具体的な提言もなく、どういう考え方なのかも、ガイドラインもわからないので、何とも言えません。検定などもやっていて「全養協認定」という肩書きもあるようですが、今のところは一部の日本語学校(12校くらいですし…)が集まった「勉強会」という印象しかありません。

日本語教師養成講座の「就職率」のウソ

広告宣伝で就職率が高い、9*%だ、と書いてあるかもしれませんが、そのほとんどは非正規雇用としての採用であり、最初から正規雇用はレアケースです。正規雇用で就職率を出すと5%くらいじゃないでしょうか。これは景品表示法違反の可能性が高く、そのうち問題になると思います。

文科省の就職率の定義は、以下のとおりです。日本語学校は法務省とともに文科省の監督下にあり、養成講座も文科省(=文化庁)管理なので、「就職率」は、少なくとも常勤、非常勤で分けて出し、きちんと明記するべきだと思います。

「就職率」における「就職者」とは、正規の職員として最終的に就職した者(企業等から採用通知などが出された者)をいう。

 文部科学省における大学等卒業者の「就職率」の取扱いについて(通知):文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/gakuseishien/1343017.htm

したがって、このやり取りの東京中央日本語学院の人の認識は多くの間違いがあります。

1)就職率は、日本語教師として雇用されたかを分子にするとしても、修了生の数が分母か、修了生のうち日本語教師になりたいと求職した人を分母にするかで全然違います。修了しても、やはり食えないと就職活動をしないとか、ボランティアでやる人もいますから。

それを指摘されて謝っているのですが、実は、それは文科省の定義では就職希望者を分母にしたもの、とされているので、これに従えば、それほど問題はありません。ただ資格学校としては問題です。基本、資格スクールは終了後の就職が目的ですし、他の資格もそこでの就職率で競争しています。

もっと大きな問題は次です。

2)就職率は正規雇用が分子であるべきで、非正規は含めないのが普通です。

資格ビジネスの世界では、どの資格も正規雇用の就職率で競っています。ただし、文科省の規程では「1年以上の非正規の職員として就職した者を含む」とあります、つまり、非常勤の雇用形態として1年以上の契約になっているか確認しなければなりません。日本語学校の非常勤の採用は最初から1年契約ということは、あまり聞きません。普通は学期(3~6ヶ月)の契約で、とりあえずはじめるのが普通。よって日本語学校への非常勤採用は「就職率」としてカウントするのは問題だと思います。就職率が高いと書きたいなら、9割以上は非常勤での採用であることは明白なので「非常勤での雇用を含む」でもアウトです。「非常勤の雇用が*%」もしくは「ほとんど非常勤での採用です」と書くべきです。

また、このページで書いたように専任の席は決まっており、定員のST比40から計算して出る数から増えることはほぼありません。文科省に届け出をしている日本語学校では、青森、秋田、山形、鳥取、徳島、高知には日本語学校がなくて、専任のポジションが50以上ある県は埼玉、東京、神奈川、千葉、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡のみ。東京が突出していて、2位の大阪で100人強、埼玉でも70くらいです。

「その他の県」では、稼働している日本語学校は10校以下で、専任の席は合計で20くらい。通勤可能なのは中心地に住んでいれば2校ぐらい。専任の席は10以下。非常勤だと、その2校でかもちしても月10万は無理かな、というのが実態です。

それに対して、有資格者はすでに国内におそらく10万人くらいいて、毎年養成講座で4000人、大学で4000人、合計8000人(47で割ると170人)くらい生まれていますから、専任の数で需給を考えると、完全に供給過剰です。

新設校が増えた2015年以降は専任不足となってますが、落ち着けば、以前のように、非常勤から専任になるのは超狭き門になることは明らかです。この意味からも非常勤での就職を(あたかもその先に専任での雇用が約束されているかのように)「就職」の数に入れることには無理があります。

3)もうひとつ、文科省の就職率の算出方法には「企業から採用通知をもらった者」となっています。しかし、日本語学校は労働条件通知書を渡すのは6割程度というアンケート結果がありました。つまり、おそらく日本語教師養成講座の主催者は、この労働条件通知書を確認していません(確認していれば、労働条件通知書を出さないという比率がこれほど高くはないはずです。違法なので)

つまり、「職に就く」は正規、非正規ではまったく違うということです。ほとんどの資格は、正規雇用の就職率で数を競っているわけですが、日本語教師は、60万近くの学費を払い420コマの授業を受けて、4大卒でないと門前払いであるのに、正規雇用はほぼないという特殊な業界で、日本語教師養成講座の就職率はよくて5%が、ホントのところなのです。景品表示法違反で、消費者庁案件だと思います。このページの最初のほうにある日本語教育関連の法律のところに戻って消費者庁の窓口などをチェックしておいてください。

 例えば、インターカルト日本語学校は、日本語教師養成講座の広告では就職率95%、「告示校の先生になれる講座!」と宣伝していますが、同時期に出した自校の求人では、半年以上の経験でないと採用しないという条件になってました。養成講座を修了しただけでは応募もできない。つまり、就職率0%なわけです。このように日本語学校の求人には、業界の基準がないので、各自、需給のバランスで条件をつけたり、削ったりということになってます。

 労働条件通知書に関しては、ここにアンケート結果と説明があります。
http://webjapanese.com/blog/j/law/#i-18

 非常勤として、ちょっとやってみるなr就職へのハードルは低いよ、という意味で書くならば、そう書いた方がいいと思います。ただし、ほんの5年前までずっと買い手市場だった日本語学校業界は、養成講座を修了しても、「4大卒でないと」「そこそこいい学歴でないと」「**語ができないと」「コミュ力低い人はダメ」「あそこの講座はレベル低いからダメ」と、かなり強気でふるいをかけていたことを、昔からいる教師は知ってますよ?

 

養成講座数の推移

文化庁の調査をもとに、日本語教師養成講座の講座数の推移の一覧を作ってみました。

1993-2008年

 いわゆる一般の日本語学校は「一般の施設・団体(日本語学校など)」

1993 1998 2004 2005 2006 2007 2008
大学院・大学 100 180 200 203 214 215 223
短期大学 11 37 21 12 12 10 13
一般の施設・団体(日本語学校など) 108 167 169 261 302 316 285
合計 219 384 390 476 528 541 521

 2004から2005年の大幅な増加が気になります。講座受験者数はそれほど増えていません。この年は日本語学校の業界団体が分裂した年でもあり何か動きがあった(分裂の影響で日本語教師養成講座を開設するハードルが低くなったとか)可能性があります。

 

2008年~

以降は以下。分類が変わりました。(2008年だけダブります。「上記以外」はほぼ日本語学校の養成講座数だと思われます)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
大学等機関 236 205 207 207 213 217 214 174
地方公共団体・教育委員会 37 54 62 55 66 86 68 84
国際交流協会 131 130 137 106 161 139 136 164
上記以外 117 171 146 157 160 165 139 101
合計 521 560 552 525 600 607 557 523

 ここでは2009年の急激な増加が目を引きます。

 2006年以前のデータはここに
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9218806/www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/jittaichousa/

 


 

 


日本語教師養成講座 受講者数の推移

2012年からいわゆる日本語学校などの数字を別に出すことになった模様。

1998 / 2002~2010年まで

1998 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
大学短大など 20621 24585 23601 30773 24315 22481 23491 29356 22913 18229 19555
その他 8668 11516 13218 9956 13350 14947 14709 11230 10695 10997 9427
合計 29289 36101 36819 40729 37965 37628 38200 40586 33608 29206 28982

 その他は地方公共団体、教育委員会、国際交流協会などの主に地方の公的機関と日本語学校の数字を足したもの。

2012~

2012 2013 2014 2015
大学短大など 20230 17403 13723 15754
地方公共団体・教育委員会・国際交流協会 6686 7922 11467 10487
日本語学校など 4881 4785 11467 2771
合計 31797 30110 35818 26142

 2012年から地方の公的機関と日本語学校などを分けるようになった。

 2014年の倍増からの2015年の激減が目を引きます。データは一年遅れなので前年のものです。2015年は日本語学校の新設も増え、日本語教師の人手不足が起こりました。時給もそれまで15年近く1200~1500円で推移してきたものが、急に1600~700円台になりました。一般の求人サイトにも日本語教師の求人が出るようになり、日本語学校業界で養成講座への勧誘のセミナーが始まり、日振協にも求人コーナーが出来たりしています。特に新設校で必要な主任(専任3年経験以上)の好条件の求人が目立ちました。

日本語学校の日本語学習者数の推移

ここ10年くらいは、3万人台から4万人台にゆっくり上昇していて、2011年に震災の影響で一旦落ちましたが、その後回復、2013年からは人材派遣系の業界の日本語学校への参入が増え、学生数は1万人ペースで増えています。2013年以降世界的に学習者数が増えたデータはどこにもなくどちらかというと減少傾向でした。2011年から少しづつ回復しても4万人に戻すのはもう難しいかもしれない、というところでの、2013年からの急激な増加は日本語学校を経由した「新たな入国ルート」が増えたとみるのが正しいかなと思われます。

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
30607 31663 34937 42651 43669 25662 38085 50295 62647 71231

 2011年の落ち込みは理解できるとしても、2013年の急激な増加はそれまでのものとは性格が違うものではないかと思われます。

 日本語学校だけでなく、留学生全体の数でいうと、2010年にはベトナム3597人、ネパール1829人だったのが、5年後の2015年にはベトナム38882人、ネパール16250人と、それぞれ3万5285人、1万4421人と際だって増えており、この二国だけで5年で、4万9706人の増加となっています。ここ5年の留学生の増加はほぼこの2国によるものといってもいいと思います。(日本語学校の学生数は43669人から71231人に2万7562人の増加)

 もっと前からの数や国籍別の数字はここのページにあります。「新規入国者数」はその年にそのビザで入国した数で、「留学生総数」はそのビザで滞在している人の合計。 http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/ryu.html
元の統計の数字はこちらに。
入国管理局の統計のページ
http://www.immi-moj.go.jp/toukei/
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan42.html

 

費用

講座の相場

これも、ちゃんとしたデータはありません。公開されていません。業界最安値!と広告しているところで30万くらいでした。ざっとみたところでは、50万くらいからが一般的で70万あたりまで。大手は大きな教室でできますし、規模が大きいので50万円代が可能みたいです。ネットにステマ広告を出しているところはだいたい60万まで。評判のいいところはやや高いです。しっかり講師を大学から呼ぶとどうしても70万くらいにはなるのかなという印象です。

仮に60万円として420時間と315時間では、かなり違います。ここも注意です。

例えばヒューマンアカデミーは2017年3月15日のデータですが、「180分×109回」と書いていますから327時間です。授業料が税込み572400円入学金が32400円、テキスト代はネットに37590円という情報がありました。合計642390円です。1時間あたりは1964円。

インターカルト日本語学校の講座は、授業料が571600円、入学金が54000円で教材費込みとのことなので625600円。420時間とハッキリ書いていますから、420時間で割ると1時間あたり約1489円です。
相場は今60万円前後ですが、時間数では100時間くらい違うことがある、ということに注意です。

講師への謝礼の相場は?

日本語教師養成講座は基本的なカリキュラムが決まってますから、あとはそれにそって教材を決めて、講師を集めるだけです。420時間を、それぞれの項目が教えられる研究者などきちんとした講師でリアル授業でやろうとすると、日本語教師養成講座の講師の求人は日本語教育学会に時々出ていますが、有名な講座でも時給で3000円代です。条件は修士程度。かなり安い。これは大学院で講師をやっている修士の非常勤講師が応募するかどうかという額でしょうか。分野ごとにちゃんとした講師を呼ぶと謝礼は最低でもコマで7-8000円くらいじゃないでしょうか(博士でも若い人なら5000円とかもあるのかも…)。このへんも養成講座の質を見極めるポイントかもしれません。講師一覧の講師の経歴をみて博士取得者であるか、あるいは、大学の非常勤講師クラスか、ポストがある准教授や教授クラスの人か、きちんと日本語教育関係の論文を書いている人かどうか、というようなことです。

研究者検索 – researchmap http://ow.ly/Zdx730atEBg

ちょっと計算してみる

自分の仕事に関して、どんなことでも、どのくらいのコストがかかるか、どの程度利益がでるのか、などお金に関することを、いろいろと計算してみることはとても大事です。どんなに巧妙にやっていても、お金の計算をすれば、カラクリがわかる、ということがよくあります。

仮に、講師は安く集める式で3500円として単純に420時間だと講師の謝礼の総額は147万円です。養成講座の料金が60万円だとします。420時間で割ると、1コマに1428円払っていることになります。日本語学校の教室は、法務省の規定(1教室20人)に合わせて作られていることが多いので、1コマは20人とします。1教室20人で2万8560円です。これを3500円の時給の講師が教えているということになります。25000円のうち、事務経費、広告費、教室確保分(教室とのやりくり次第ですが)などで1万円として15000円くらいが利益とすると、420時間で630万円の利益がでるということになります。
もちろん、時間数は少ないほど儲かります。320時間で30人くらいのクラスがそこそこ埋まるなら、かなりの利益がでます。日本語学校には参入しないけど、あるいは日本語学校はそこそこでも、日本語教師養成講座はしっかりやるみたいなところが多いのもわかります。

これを、講師に1万円払うと、利益は8000円なので、336万円と一気に半分になってしまいます。1クラスで300万ちょっとというのは、ほとんど利益は出ないといってもいい額かもしれません。つまり、60万前後でも、講師が博士クラスで、リアル授業で、20人くらいの教室で行われる日本語教師養成講座は良心的といってもいいはずです。

通信講座の問題

時間数は少ない方がいいわけですが、もっと効率よく利益を出すなら通信です。一部を通信にするだけでも大幅なコストカットになります。

養成講座のコストは何と言っても人件費が大きいので人件費を削るのが大です。しかし、日本語の教え方、理論、実践は、進歩、変化します。本来であれば、通信や動画は、ちゃんとやろうとすれば、紙教材と同じく少なくとも5年毎にイチから改定をしなければなりません。通信動画の改定は大変な作業です。一度作ればOKではなく、細かい修正、改定が必要で、かえってコストがかかるはずです。つまりちゃんとやろうとすれば、むしろリアル授業のほうが楽で安上がりな事も考えられます。

 2017年末の時点では、文化庁が受理した通信講座はほとんどありません。

 

日本語教育能力検定試験

日本語教育能力検定試験の主催は日本語教育学会です。大学の日本語教育の関係者が試験を作っています。どういう性格の試験かというと、私の見立てでは「業界で教師間でコミュニケーションをするために最低限の用語と定義、知識を整理して、時々アップデートしますからおぼえてね」というものです。研究者によるものなので、いわゆる現場の日本語の教え方に即したものというよりは、やや言語学よりという印象です。大学で学ぶ言語学の基本くらいはみにつけてもらおうというところがあるように思います。そして、それは大事なことだとも思います。一旦日本語学校で仕事を始めてしまうと、なかなかじっくり勉強する時間がとれない部分でもありますので。

もちろん、研究のトレンドに応じて少しづつ変わっていくはずです。何度か改定されています。2003年の改定がそこそこ大きなもので、最新の改定は2010年(H22年)にまとまり2011年(H23年)から改定版の試験になっています。基本的な要素は変わらないまま、注目されるジャンルが変わることによる変化のほうが大きいかもしれません。最近は教授法に関する変化が注目されているかなと思います。しかし、いわゆる日本語教育文法的な部分など核になる部分はそれほど変わらないように思います。

日本語教育能力検定試験の改定について
http://www.jees.or.jp/jltct/pdf/jltct_kaitei_h23_0512.pdf

しかし、問題もあります。検定試験は、養成講座では主体となってビジネスができない大学関係者や出版社にとって「稼ぎどころ」です。
論文を書かずにこのへんで商売ばかりしている研究者もいます。また、対策本の著者には、日本語教育の専門家でもないし教師でもない、みたいな人もいます。主催者の公益財団法人のサイトには、長年、合格対策のコースや本などのバナーがありました。

*他の資格では主催者が対策本を出してる出版社のバナーを置くことはほぼありません。日本語教育業界はそのへんはかなりユルいんですね。

リタイアした国語教師など、国語がちょっと自信があって新書で知ってる程度の言語学の知識があれば合格するかも、と思って受ける人も多いと思います。実は私もその一人で、90年代はじめに大学の文学部を卒業した後、なんとなく受けて落ちて「もう420時間のほうでいいや」と以降、受験してません。従ってこの項目は調べたり人に聞いたりしたことだけで書いています。「受験指南」ではありません。違う切り口でクールにみていきましょう、ということです。参考程度にしてください。

 

概要

マークシートで国内出願の試験なのに高い(1万円)です。サイトも20年前に作ったみたいな。。。

公益財団法人 日本語教育支援協会(Jees)には推移のデータがあります。日本語教育関係ではもっともキチキチデータを公開していると思います。「公益法人」なので、出さざるを得ないということでしょうか。
http://www.jees.or.jp/jltct/result.htm

2016年のデータを元に考えてみます。

受験者数と合格者数の推移

これはあまり変化がありません。

一般的に、こういう試験には3つくらい種類があります。

1)運転免許のようにあるラインをクリアしたら合格にする、という達成度をみるもの
2)定員がある大学受験のように上位*%が合格というもの。
3)社会的な役割も考慮して一定数合格者を出そうというもの。

形式上は、1)ということになっているようですが、年によって受験者数に増減があっても合格者は1000人前後で一定なので、実は3)のような「1000人前後は合格者だしておきましょうか」という調整がされている可能性が高いと思います。最初の頃にくらべると受験者の高齢化もかなり進んでいるのに、合格者数は同じですし。日本語教師は一定数出さないとまずい、という業界のニーズはあります。主催する日本語教育学会は、日本語学校などの組織も会員で大きな影響力を持っています。

合格ラインは70~80%などと言われますが、あまり関係ないのではと思います。1000人前後で調整であれば、受験者と試験の難易度で決まるので、その年ごとに変わるだけの話です。おそらくですが。

日本語教育能力検定試験とはどういう性格の試験なのか?関係者の方が問い合わせをした記録が以下のブログにありました。2012年の記事です。

http://march3j.way-nifty.com/ijec/2012/09/post-1e24.html

抜粋
試験には必ず目的がある。
合格者のみが一定の業務を行うことが許可される試験もある。
たとえば運転免許。試験に合格しない者は免許を取得できない。免許を持たずに運転すれば違法行為として取り締まりの対象になる。本来、自動車の運転は自由に行ってかまわないはずだが、一定の技能や道路交通法の知識が乏しい者が運転すると危険なので社会防衛の観点から規制をしているわけだ。
運転免許のような試験は目標基準準拠試験と言われる。技能、知識が一定の水準に達していると確認されれば免許証を発行する。
入学試験のような競争試験もある。
限定された定員に対して受講希望者が多い場合には一定の基準で選抜せざるを得ない。ふつうの基準は試験の成績である。入学資格を持つ者のなかから試験の成績以外(たとえば寄付金の多寡とか卒業生の子弟とか)の基準で選抜されることもあるかもしれないが、国公立大学では一般的ではない。ちなみに、成績不振者のみを選抜して鍛えるという趣旨の学校があっても決して悪くないと思う。
集団基準準拠試験と呼ばれる。
さて、日本語教育能力検定試験はそのどちらか?
私自身も主催者に(電話で)問い合わせたところ、目標基準準拠試験だとの回答を得たことがある。同趣旨のマスコミ報道もあった。
一方で、認定団体の日本語教育学会会長が集団基準準拠試験だと雑誌のインタビューで回答し、日本語教育学会等において同じことを何度も語った。
そもそも日本語教育学会が何を認定しているのかは公表されていない。試験そのものが妥当性、信頼性などの点から適切に行われたことを認定するのか?合格者について、日本語教育に携わるにあたり必要な知識・能力を備えていることを認定するのか?
「多様な日本語教育の現場に枝分かれする前の日本語教育の核を示す試験。合格者像は、日本語教育のスタートラインにたつための知識・能力を備えた人材。」という発表からは目標基準準拠試験のように思える。しかし、目標基準を具体的に明らかにした報告はないし、そもそも目標基準を設定するための作業が行われた気配はない。
択一問題の解答だけで一部を足きりにしたり、合格率の推移を見ていると事実上は集団基準準拠試験であることは間違いないと思われる

全科目の受験者数は毎回5000人前後、合格者が1000人ちょっとです。つまり、受験者の約2割が合格する試験です。時々「私たちの(有料)コースをとった人の半数が合格!」という広告をみますが、全体でも2割が合格する試験で、そこそこお金払うやる気がある人なら5割くらい合格したとしてもそれほど高いわけではない、という気がします。資格としては標準的な率で、インテリアコーディネーターや自動車整備士の試験の合格率も2割くらいとのこと。用語が学術用語なので一見難しそうですが、実感として「そうだろうな」というものが、知らない言葉で定義されている、みたいな「学術用語あるある」ということが多いです。つまり理屈としてはそれほど難しいものとは思えません。大卒でなくても試験を受けるのが苦手な人でなければ、合格できると思います。(ただし民間の日本語学校では大卒でないと採用は難しいということになりました。バカバカしい規制だと思いますが)

受験者数のピークは最初の日本語教師ブームだった90年代はじめと、日本語教師養成講座が増え、雑誌などで日本語教師の広告が目立ち始めた2002年ごろです。ここ数年は回復基調ですが、2つのピーク時には及ばないままです。

受験者数のデータで、最も衝撃的なのは年代別の推移です。

40代中心にバランスがとれている一般企業などと較べて深刻なのですが、最も問題なのはこれは「資格取得時の年齢」であることです。つまり、経験を積んだベテランによって高齢化しているのではなく、高齢の新人教師が増えたことによる高齢化なのです。

平成14年(2002年)は、20代が55%ちょっとで、70%が35才以下でした。よく言われる転職の上限の35才、ということを考えると、日本語教師は転職先として考えられていた、とも言えます。90年代も(ちゃんと調べるとそうでもないんですが、それでも)日本語教師は、転職先でした。平成28年(2016年)は、20代はわずか25%、35才以下は、35%で半減しています。マジョリティは40才以上で55%です。2002年には10%ちょっとだった50才以上は、2016年には35%になっています。

50才以上の世代が受験者でトップ(20%ちょっと)にたったのが、平成20年(2008年)です。学習者数のピークの2009年より前から教師の高齢化が進んでいた。若い人達から見放されはじめていた。日本語教育そのものが2000年に入って衰退してきたということを象徴するデータのひとつだと思います。私はこれが日本語教育関係のデータで最も深刻だと考えています。

日本語教育学会では、この試験は、児童の日本語教育の有識者会議でも出しませんでしたし、公的な資格として育てていくつもりは、今のところは、なさそうです。2016年にも元理事の話として「検定試験はもっとやさしくしていくつもり」という発言がありました。今後はボランティアの教師の資格として、あるいはボランティアの教師養成の卒業試験的な試験になっていくのではという気がします。もうひとつ可能性があるのは、大学の教職に日本語教育が組み込まれることになったので、その必須単位あるいは必須単位の修了検定的なものとしてこの試験が組み込まれるというパターンです。いずれにしても、この試験の合格が単独で何かの意味を持つことはほとんどないと思われます。ほぼマークシートの試験一発で日本語を教える資格とするのはどう考えても無理があるので。

*大手前大学の通信教育の説明で高見澤孟氏による発言(現在は動画は削除されている)

 

対策

過去問をみて、いろいろ情報を収集しましたが、やはり基本的には、用語を覚えれば合格する試験です。とはいっても、暗記ではなく、きっちり理解するほうが早道です。合格対策だけを考えれば、過去問をみて、試験が得意な人は対策本を買ってちょこっとやれば合格するんだろうと思います。しかし丸暗記で合格しても何も残りませんし、参考書は紙くずになります。そういう人は合格後も、試験でおぼえたことなど役に立たない、などと言いがちです。そりゃ丸暗記でおぼえた用語は役に立ちません。つまりそういう勉強で検定試験を受けるのはもったいない。受けるなら、検定試験は勉強のために利用するくらいがいいのではという気がします。

冒頭に書きましたように、私は420時間のみで検定はまともに受験していないので何とも言えませんが、ちょっといろいろ買って調べてみました。以下、よかったら参考にしてください。

 

準備編

試験の内容に関しては、まずJEESのサイトのサンプルと過去問を見ればだいたいつかめると思います。で、やはり「対策はしない」が正解だと思います。420時間と比べて、資格として必須でもないし、受験者の2割くらいが合格する試験のために「試験勉強」で時間を使うのはもったいないからです。試験勉強としてやった勉強は身につかないし、役に立たないものなので。

これだけ幅広い世代が受験して合格率が2割くらいなので、後述する図書館の本や後でご紹介する読みやすい論文、放送大学、YouTubeの講座、ネットで集める情報を元に勉強すれば、試験が苦手な人でも合格できるのではと思います。この検定試験の対策でいろいろ通信やセミナーがありますが、それ必要?という気がします。

「合格セミナー」のタグイ

無駄だと思います。古本(2003年以降。新しめのものがいいと気になるなら2011年以降で)で問題集買って解けばいいはずです。役に立つとすれば、そういうセミナーを主催するところ、講師、をおぼえておいて、今後、なにかにつけ「コツ」「入門」みたいなところでまた顔をみた時に「またやってるな」と気がつく、ということぐらいでしょうか。

 ネットでノウハウを伝授みたいなサイトは、読み進めると「詳しいことは無料メルマガで」とかセミナーに勧誘したりがあります。ご注意を。

無料の総合講座的なもの

放送大学には、日本語教育の授業があります。無料です。日本語とか日本語教育で検索して役に立ちそうなものをかたっぱしから見る。
http://www.ouj.ac.jp/

JMOOC(官民主催の無料の動画学習サイト)には日本語教育学など、教育学関連のものがあります。

https://www.jmooc.jp/

NTTのgacco(無料の動画学習サイト) にも、少しあります。
http://gacco.org/

海外のmoocプラットフォームにも言語学の講座がたくさんあります。
https://www.edx.org/

対策本じゃないけど対策になって、日本語教師になっても長く使える本は。。。

まず、全体像を把握するために、図解 日本語がいいと思います。用語の意味も説明の文脈の中で理解できます。図解というほど図はないんですが、項目ごとにサクッと説明がしてあるので、パッと開いて読めます。トイレに置いておく本としても素晴らしいです。

本の目次や説明はこちらに
https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/zukai_nihongo.html

明解言語学辞典は、言語学の特に若い研究者達から高い評価を得ています。これも後々まで使えるし、説明も簡潔だけどきっちり書いてあって、項目を読むのも楽しいです。
説明のページ(サンプルが豊富です)
http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/dicts/foreign/meik_gengogaku/

言語学関係の入門書のようなものは読まないと、わかりにくいかもしれません。知識メンドクサそう…というのあると思います。私も研究者じゃないので、よくわからないのですが、検定試験対策という名前で評判がいいというのはこれくらいしか聞いたことがありません。

日本語教育能力検定試験に合格するための言語学22 定延 利之
http://amzn.to/2h3w45Z

本は、この3冊でいいんじゃないでしょうか。あとは日本語教育関係の教授法的なものがちょっと不足しているかもしれないので、それは放送大学やネットにあるもので間に合いそうです。

かつては国立国語研究所や国際交流基金が、語彙とか文法みたいな項目ごとに安くていい本を出してました。国研のはもうかなり古いので、比較的新しい国際交流基金の教師用日本語教育ハンドブックは、古本で「安く」手に入るならお得だと思います。
でも、10年改訂されていませんから、やや古いかもしれません。

買うなら日本語教師になった後も役に立つ新しい国際交流基金日本語教授法シリーズをそろえるほうがいいような気がします。こっちは日本語教師として仕事をしていても、時々開く価値があります。このシリーズと「みんなの日本語」と「教師用指導書」をしっかり読めば、国内の日本語学校で教える基礎知識は身についたと言えるのでは。

後は、以下に紹介するサイトや論文などを読んで、受験して落ちたら、次の試験までに、ヤフオクかアマゾンで古本で対策問題集を1,2冊買ってみる。あとやはり用語の知識中心なので、用語だけさらっておくみたいな対策はしたほうがいいのかもしれません。まとめ用として、用語集的なものを中古で買っ眺めれば十分なのでは。

大事なことは、対策でとりあえず合格すればいいみたいなことをやって何も残らないより、後々教師になっても役にたつような勉強をしないともったいないということです。どうせ勉強すれば受かる試験だし、単独では資格としての有用性も低いんですから、無理に受けることもない。それなら合格したら終わりの対策用勉強ではなく、日本語教師の勉強の中で試験もやる、という活用をしたほうがいいと思います。420時間の養成講座を受けるなら、その修了検定みたいなつもりでついでに受ける、落ちたら一年後また受けるくらいでいいはずです。どうせ試験合格だけではダメなんですから、420時間しかありませんと就職活動をして、合格したら職場で「あ、一応合格しました」と伝えればいいのではないでしょうか。二回目、三回目で合格というパターンもあるようですから。

図書館の活用と日本語関連本について

図書館の活用は重要です。公立図書館には日本語関係の本は、かなり多いです。特に新書は5万冊レベルの図書館(人口10万人くらいの市の一番大きい市立図書館ぐらい?)でも、日本語関係だけでも50冊近くあります。図書館の利用者にこの種の本は人気なのです。新書の日本語関連は玉石混交だと思いますが、著者の紹介をみてなるべく大学の研究者が書いたものを選んでください。

ハードカバーのところも覗いてください。大学の言語学学科で勧められる入門書のうちいくつかはあるはずです。海外の著者の本のほうが意外と読みやすいということがあります。

その他、一般書の日本語関連本は、たくさん出ています。よかったら、この教材案内ページのまん中あたりにある「新書で読める日本語関係の本」と一番下にある蛇足の読書案内も読んでみて下さい。

 

出題範囲と資料

いろいろなソースの活用

ネット上には無料で読める関連文書があります。

この国立国語研究所の冊子は、レイアウトも美しい「雑誌」です。内容も日本語に関することばかり。難しいものもありますが、最新の研究についてやさしく説明するという趣旨なので読みやすいです。すべて無料で過去のものまでダウンロードできます。
NINJALフォーラムシリーズ
https://www.ninjal.ac.jp/publication/ninjal-f/#F09
*国立国語研究所のサイトは、読み物も論文もたくさんあるので探索する価値があります。
コーパス関係などは、日本語教育関係者はブックマークして使い倒すページです。

あるいは問題作成者である日本語教育学会の無料メルマガを取るとか、過去記事を読めば、今の日本語教育のトピックも身につくのでは。
http://www.nkg.or.jp/mailmagazine

このブログの他の記事でも少し紹介しています。

日本語教材いろいろ 3 教師用の本
http://ow.ly/KIPb307hqOQ

上の同Jページ内にある「オンラインで勉強する」
http://webjapanese.com/blog/j/nihongo/learningmaterials3/#i-8

 日本語関係のことを調べようという時のためのリンク集を作りました。参考にしてください。
日本語関係リンク集
http://webjapanese.com/blog/j/nihongo/link/
日本語の教材の紹介ページです。日本語教師向けは以下に。日本語関連の新書や一般書の紹介もあります。
http://webjapanese.com/blog/j/nihongo/learningmaterials3/

出題範囲と参考になりそうなあれこれ

CiNiiの活用

* CiNiiは、J-Stageに移行するということで、2017年4月にサービスを一部停止してますが、今のところは読めます。日本語教育関係の論文のほとんどは、全然J-Stageに移行してないので、当面、CiNiiでみるしかありません。状況をみながら必要であれば、この項目は修正します。

論文検索で、「CiNiiに本文あり・連携サービスへのリンクあり」で、知りたいことをキーワードにして検索すれば、たいていのことはわかると思います。適当に論文を探して読んでみて、わからなかったら、巻末の引用文献とか本編で先行研究として紹介されているものをあたってみましょう。読みやすいものがきっとあるはずです。理解できるものだけつまめばいいんです。なんせタダですから。
http://ci.nii.ac.jp/

「日本語教育」でネットで無料で読める「CiNiiに本文あり・連携サービスへのリンクあり」で検索しても8176ヒットします。知りたいテーマで検索してみてください。もちろん、論文なので、文法のことで検索したのに数式だらけ、みたいな難しいものもたくさんありますが、日本語教育に関しては、論文的な文章やスタイルに慣れれば、他のジャンルに較べるとかなり読めるものが多いと思います。いろんなジャンルがあるアーカイブなので、上手に日本語教育関連のものがヒットするようにキーワードで工夫してください。「日本語」だとあまり絞り込めませんが「日本語学習」「日本語教育」は使える、「留学生」も意外といい、みたいなことがあります。

 論文は、難しくてわからない、ということもよくありますが(私もちゃんと理解できるの半分くらいです)、理解できなくても、どうせ分かんないからと、ふてくされるのではなく、分からないのは仕方ない、いつかわかるかもしれないし、分からないとことは今はスルーしておいて、わかるとこだけでも読もう、が正解だと思います。論文を読むとやめると、知識をアップデートできなくなりますし、経験を積んで、歳をとるにつれて、思い込みだけで生きていかざるを得なくなり、残念なベテラン日本語教師になっていきます(結構多いんです…)。そうならないためにも、わからないことに出会ったときの気持ちの持ちようは、結構、大事です。 

 大学というのは、こうやって還元してもらうために税制を優遇したり税金を投じたりして社会が投資しているようなものですから(毎年1兆数千万円の税金が投入されています)、こういうときはどんどん活用しましょう。論文は閲覧とかダウンロードされることも評価になります(今はそうでもないらしいですが、そのうちきっと重視されるようになります)。論文を書かずに商売っ気満々みたいな研究者の本にお金を出すより、論文を主戦場にしている地味に研究している人のホンモノで勉強したほうがいいはずです。

 J-STAGEも同じ論文アーカイブです。最近はこちらも論文数が増えています。Googleで検索しても論文はたくさんヒットします。CiNiiにないものもヒットすることがありますし、論文以外の個人が整理した日本語関係のサイトなどがヒットすることがあります(論文に絞る時はキーワードと「pdf」で検索してみてください)。

 

勉強編

概論的なもの

□ 東京大学 日本語学習入門
http://www.nkc.u-tokyo.ac.jp/study_info/study_info01_j.html
□ 日本語はどんな言語か? : 類型論的観点からの日本語 神戸松蔭女子学院大学リポジトリ
http://ow.ly/A2Iz307wqPA
□ 世界の言語からみた日本語 
https://www.ninjal.ac.jp/event/public/forum/files/ninjalforum005/forum20120324_handout.pdf
□ 世界の中の日本語 
http://ocw.nagoya-u.jp/files/195/machida.pdf
□ 日本語学用語集など 
http://nifongo.style.coocan.jp/
□ 大辞林 日本語(言葉、かな、表記など)
http://daijirin.dual-d.net/extra/

日本語は特殊な言語か? – Togetterまとめ
http://ow.ly/oQZh30bTdav

以下3つは、検定試験の概要みたいなことが書いてあります。

日本語教師養成講座の成果と問題点 : 日本語教育能力検定試験合格者の事例研究を中心に
http://www.lib.yamaguchi-u.ac.jp/yunoca/handle/C060035000004
日本語教育能力検定試験合格者の事例研究 : 検定試験合格の生涯学習における意義とは
http://www.lib.yamaguchi-u.ac.jp/yunoca/handle/C060036000006
大学公開講座としての日本語教育能力検定試験対策講座 : 2011年度と2012年度の合格者の比較分析
http://www.lib.yamaguchi-u.ac.jp/yunoca/handle/C060037000004

出題範囲はJEESのサイトにあります。上で示したソースやCiNiiで(できれば新しい順でソートして、最近10年くらいで絞って)「日本語教育」とテーマのキーワードで検索してみてください。検索したり、新書を探したりしてみてください。
http://www.jees.or.jp/jltct/range.htm

JEESのサイトでは、出題範囲として、5つの分野が示されてます。テーマごとになんとなく論文をピックアップしてみました。タイトルの右の数字は、全体における出題の比率という意味です。

1)社会・文化・地域  15%

□ 日本語教育史研究方法論の再検討のために : 付:北海道大学図書館所蔵戦前・戦中期日本語教科書(その3まであり)
http://ow.ly/yNJM307wq29
□ 海外における在住外国人の言語学習制度
http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/pdf_272/04_sp.pdf

2)言語と社会 10%

□ 「すみません」の社会言語学的考察
http://ow.ly/lcfd307wpSU
□ 多言語使用社会シンガポールにおける日本語教育についての一考察
http://ow.ly/Ncjv307wpUg
□ 「複言語,複文化主義」と「日本」は結べるのか 
http://ow.ly/eQGa307wpWH
□ 欧州評議会・言語政策部門の活動成果と今後の課題――plurilingualism概念のもつ可能性―
http://ow.ly/sTMf307wpY6
□ 言語ポライトネスとしての日本語授受形式に関する研究 
http://ow.ly/mTyC307wqII
□ 現代日本語における待遇表現の体系について 
http://repository.tufs.ac.jp/bitstream/10108/20572/1/jls015004.pdf

3)言語と心理 15%

□ ストラテジーを使った読解授業の成果
http://ow.ly/4ggu307wpHS
□ グローバル時代に求められる総合的日本語教育と認知言語学
http://ow.ly/7RGX307wpLX
□ 日本語教室の談話分析とその研究方法
http://ow.ly/CR6v307wpQI

4)言語と教育 25%

□ スリランカの大学生の言語学習ビリーフから日本語教育の改善を考える
http://ow.ly/Rxaz307wp72
□ 日本語国際センターの研修評価システムに関する提案
http://ow.ly/rMES307wpfE
□ Can-do行動目標に基づいたタスク型初級教材の開発と実践 : タスク遂行のプロセスに焦点をあてて
http://ow.ly/27wI302BwEj
□ 社会参加のための日本語教育とその課題 : EDC、CEFR、日本語能力試験の比較検討から
http://ow.ly/RBoW307wrQp
□ CEFRから見た育成すべき言語能力とは何か (特集 日本語教育が育成する日本語能力とは何か)
http://ow.ly/Uc0F307wrRO
□ JF日本語教育スタンダート(国際交流基金)
http://jfstandard.jp/summary/ja/render.do

5)言語一般 40%

□ 日本人の語彙量(理解語彙、使用語彙)調査を行うにあたっての基礎的研究 
http://archives.bukkyo-u.ac.jp/repository/baker/rid_KG002100007783
□ 「インタラクションの文法」に向けて–現代日本語の擬似エビデンシャル
http://ow.ly/36oh307pUtD
□ IPA記号キーボード
http://westonruter.github.io/ipa-chart/keyboard/
□ 『日本語教育における「は」と「が」の教授法』 ――中国人学習者に対する日本語教育の場合――
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~kokugo/nonami/mou/mou20041001.html
□ 日本語アクセントに関する3つの問題 : 音調意識、アクセント規則の有効性、類別語彙 (大西英文教授記念号)
http://ow.ly/VOYi307wqT8
□ ラムゼイ説と日本語アクセント史研究の諸問題 : de Boer (2010)の書評
http://ow.ly/1ieq307wqVr
□ 日本語の文末イントネーションの種類と名称の再検討
http://ow.ly/QR6f307wqWw
□ 「国立国語研究所の語彙調査の歴史と課題 
http://ow.ly/86ab307wr08
□ 日本語「音声言語」の基礎資料◆日本人はどんなふうに、どんなキャラでしゃべっているの?
http://ow.ly/rEmX307wr3I
□ 第二言語習得研究と第二言語教授 : これからの日本語教育のための一考察
http://ow.ly/U1AE302BvXf
□ 産出のための日本語教育文法 : 「は」と「が」の使い分けを例として
http://ow.ly/Y8Qx302Bw91
□ 連濁の不規則性とローゼンの法則
http://ow.ly/cFIP302BwbL
□ Togetter 言語の多様性とSOV語順の標準性について
https://togetter.com/li/701514

その他

勉強になったサイトやブログ、まとめ、日本語教育の政策関連の資料的なサイト、などです。

■ 論文

□ オンライン公開の論文誌等――日本語教育とその関連領域を中心に
https://www.facebook.com/notes/1579194379015243/

■ ブログ

Shingo Imai’s Idea Notes (今井新悟 blog) 認知言語学、日本語教育、文法、日本語テスト、J-CAT
http://shingo-imai.blogspot.jp/
思索の海
http://d.hatena.ne.jp/dlit/

■ 政策関連

海外における日本語の普及促進に関する有識者懇談会(2013)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page5_000061.html

学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議(2015)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/121/giji_list/index.htm

■ ツイッターその他

私達の出版部門のアカウントで日本語関連のアカウントを集めてみました。主に大学方面の方が中心です。
Nihongo3
https://twitter.com/webjapaneseB/lists/nihongo3/members

民間の学校で教えている日本語教師のアカウントは、2017年の4月にまとめられたこれ
https://togetter.com/li/1096274
が参考にかもしれません。ここに出てくるのはどちらかというと積極的に呟く方々、興味深いと思った人がフォローしている人などで芋づる式に探していけばいいと思います。

*Facebookなどにも日本語教師のコミュニティがいくつかあります。

 

試験の内容あれこれ

試験は日本語教育学会が作っているとのことですが、業界の関連法人を説明させたり、

いろいろと疑問がもたれる出題などもあり、この種の日本事情、日本語教育一般知識的なものは、そういう意味からも、あまり対策をして勉強する価値はなさそうです。ただ、こういうところこそ、お決まりの問題が出るので点のとりどころ、という考え方もあります。いわゆる「出題者が答えてほしいものを答えるだけ」ということですね。そういう方は対策本を読んでおいてください。

 こういう設問、特に「日本事情」的な問題はおそらく試験対策的に言うと、簡単なジャンルなので、質問してきそうなことをさらって「正解にするんだろうな」という選択肢を選ぶのが賢いやり方なのかもしれません。しかし対策として JKTとかパートナーズ事業の派遣国をおぼえたりするのは、あまりにも時間の無駄という気がします。おまかせします。

 

大学での26単位での資格取得

これも、求人の際に、条件のひとつとして書いてあるものです。しかし、実は、資格の中でも最も中途半端なものだと思います。

大学又は大学院において日本語教育に関する科目の単位を26単位以上修得し,かつ,当該大学を卒業し又は当該大学院の課程を修了した者

すべての大学の案内をみていないのですが、ざっと見たところ、大きく3つぐらいに分かれるでしょうか。

一つ目は大学に日本語教育学科があり、大学院まである大学です。ほとんどの場合、国公立であとはいわゆる難関大学。大学院まで進んで博士までいけば、大学で仕事ができる可能性があります。しかし修士までなら、運が良ければ地方の私大など(次の2つ目のグループのところ)に就職できるかも、というところまでのようです。残念ながら、これらの大学では、ほとんどの日本語教育学科の卒業生は日本語学校ではなく、一般企業に就職します。

二つ目は日本語教育学科はあるけど、大学院まではない、あってもあまり歴史も実績もない、というところです。留学生が多い大学などは日本語教育学科と共に大学院もある場合があります。これはほぼ420時間の講座と同格くらいの評価でしょうか。民間の日本語学校でも有資格者として扱われると思います。ただし、ここも新卒で民間の日本語学校に就職しようという人は、あまりいないようです。一般企業のほうが圧倒的に待遇がいいので。このグループの大学の日本語教育学科の教授もその大学の出身者ではなく、一つ目の国公立や私大の出身が多いのではないでしょうか。つまり、大学院があったとしても、こういう大学で大学院まで進む価値は?です。

ここまでは受験生や編入など若い人にとっての選択肢でした。最近は、3つめの選択肢があります。

三つ目は、通信や通信+スクーリングで26単位クリアできますよ、的な大学です。社会人にも門戸をひろげて大々的に宣伝しています。

しかし、日本語教師を養成するのに通信でやるというのは、大学らしからぬ発想だと思います。日本語を教えるというのは教職と同じくじっくりと勉強することが必要なはずです。

しかも、こういう大学がやる通信やeLearningは、せいぜい動画をみてレポートを送るくらいのものです。90年代のマルティメディア教材をネットにのせた的な…。養成講座のルールは90時間がリアル授業であればOKというゆるい規定になっていて、そういうユルさを利用して日本語教師の資格ビジネスに参入したい大学によってボコボコできてる、というのが実状ではないかと思います。また、2017年の法務省の新基準で4大卒じゃないとダメということになり、短大卒の人がこういうところで、4大卒の資格もとるついでに通信で、ということになっているようです。この新たなレギュレーションと大学の日本語教師の通信講座が増えたのはリンクしていて、何かあるのでは?という気さえします。

結論からいうと、この三つ目の通信がらみの講座はやめた方がいいと思います。少子化で苦しむ私大が、大学であることを特権を利用して日本語教師の資格ビジネスに参入しただけで、講座は寄せ集め感がありありですし、こういう大学に特に日本語教育のノウハウがあるということわけでもないからです。資格としても、420時間と比べて大学だからより尊重されるということはないと思います。

4大卒の資格がほしいなら、日本語教師の資格をからめる必要はないですし、日本語教師としての資格が必要なら、民間の良質な日本語学校の養成講座のほうがまともだと思います。

では、一つ目、二つ目がいいのか?というと、それも、実は、どうかな?と思います。やはり、私は、大学での日本語教師の資格取得は、お勧めしません。仮に日本語教育に興味がある高校生がいたとしても、日本語教育学科ではなく、最初は言語学を専攻したほうがいいのではないでしょうか?そして、大学で勉強して、日本語教育に関わりたいなと思った時に、そういう大学院に進むなり、大学にコースがなければ民間の養成講座で取得すればいいと思います。それは時々ある進路変更ですし、比較的スムーズにできると思います。逆のコース(日本語教育から言語学)はできないことはないですが、やや困難かもしれません。最初は素直に言語学から入ったほうがいいように思います。

それでも最初から日本語教育を学びたいと思うのならば、国公立大学で日本語教育学科があるところ、がよいと思います。日本語教育の歴史は国公立のほうが長いですし(長年留学生を受けいれています)、私立大学で難関校と言われるところでも日本語教育に関する実績はパッとしないところは結構あります。CiNiiで検索しましょう。有名私大の日本語教育に関する論文は国立大学に比べるとかなり少ないはずです。

そういう大学に入るのは難しいという人は、普通の私大の日本語教育学科を選ぶのはかなりリスクが高いと思います。民間の日本語学校は、4年間日本語教育を学ぶ人が入るにはあまりにも会社として貧弱です。かといって大学院に進んだところで、日本語教育の仕事が続けられる保証はありません。そういう人は、大学ではむしろ経済や経営、国際政治を学び、日本語教師になるなら、資格は民間で取得する。大学で学んだことを日本語教師として武器にする、ということのほうがいいような気がします。

 

講座、セミナー、勉強会、数々のトラップ

 

420時間以外の短期講座

420時間は一応、文化庁の規定がありますので、授業時間やシラバスなどは最低限保証されていますが、その他の講座は、時間数だとか、講師の質などは、法律も規制もありません。

 

ボランティア的なコース

ボランティアで日本語を教えたいと考えた時、教師のアシスタントとしてなら、420時間コースで資格取得を目指すべきだと思います。

日本語ネイティブとして教師のお手伝いをする(これがボランティア?)ならば、コースで勉強する必要はないと思います。そこで必要とされているのはネイティブとしての存在なので、あなたをどう活用するかは教師が決めるでしょう。あとは授業の前に教師と打ち合わせすればいいだけです。時間があるなら、次の「検定試験の勉強」のところでご紹介する無料でできるアレコレを利用して勉強してみてください。

ボランティアが一人で教師として教えるのは、基本的にありえないことです。どんな形であれ、仮に一人で教える、教壇に立つ可能性があるのならば、学習者にとっては唯一の「教師」ですから、その質は担保されなければなりません。教師と同じ力量を持っていなければおかしいはずです。数十時間のコースを修了したからといってどうなるわけでもありません。教師に報酬を払えないような状況、子供や国内の生活で必要だ、というようなケース、では、学校よりも質の高い教師が必要です。教室でカリキュラムにのっとって教えるより難しいのです。そういう場所でボランティアを募集しているとしても応募すべきではありません。応募するなら420時間の講座で資格をとる程度の覚悟は欲しいところです。

日本語教師養成講座にこういうボランティア向けのコースがあるのはニーズがあるからやっているだけで、学校側には、ボランティアの日本語教師がどのようなもので、どのくらいの学習が必要かというイメージはないと思います(そもそもケースバイケースですし、想定しようがないので)。コースの紹介にはいろいろと意義が説明してあるかもしれませんが、お金を払って受ける価値はないと断言できます。こういうコースを作る学校は、ダウトだという気がします。ニーズがあるならやってみっか、というのが本音でしょうから。そういう感覚でビジネスをする学校だということです。

ボランティアをするための基本的な知識は、図書館で読める本や「日本語教育能力検定試験」のところにある情報だけで十分です。勉強するなら420時間で。中途半端な講座は無意味、が結論です。

 

新人研修的なコース

420時間コースとは別に、有資格者向けの新人用の短期コースとか、実際に仕事に就く前に必要なコースみたいな短期コースを設けているところもありますが、こういう仕事に必要な研修的なことは、就職先の学校が無償で行うのが労基法上も正しいやり方です。こういう新人研修的な有料講座があるというのは、業界にとって恥ずかしいことなんですね。でも就職先の学校で不幸にして何も研修的なものがないのなら、受けるのも選択肢のひとつかもしれません。私は、それより転職活動をしたほうがいいと思いますが。

 もし、就職先で仕事に必要な研修を非常勤相手に有料でやってたら、労基法違反の疑いが濃いと思います。通報対象です。

 

経験者向けのブラッシュアップ的なコース

これはそのコースが本当に受ける価値があるか判断ができないうちは受けないほうがいいと思います。つまり、なんとなく受ければブラッシュアップしてくれるかな、で受けないほうがいいということです。繰り返しになりますが、勤め先でブラッシュアップしてくれないなら、外で講座に通うより、成長できる学校に転職することに精力を傾けるのがベストです。

「私が編みだした独自の日本語教授法」を伝授するコースや本もあります。特許を取得した、みたいなものも。特許を取得しているかどうかは、ここで調べることができます。
特許・実用新案、意匠、商標の簡易検索 – J-PlatPat
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
ここにないものは、取得していないか、一度は取得したけど未払いなどで抹消されているかです。そもそも教授法に特許はふさわしいのか?調べた限りでは、日本では日本語の教え方に関しては、はっきりとした前例はないようです。

特許はともかく、「独自の方法をあみ出した人」を、名前でCiNiiで検索しましょう。なければ、その独自の方法は、効果も新しさも第三者によって検証されていない、ということになります。日本語教育はすでに20年以上、多くの専門家がいろんな試行錯誤をしており、もっと前から、日本語に限らず語学の学習方法、学習プロセスの研究は行われています。たいていのことはすでに考えられていると思ったほうがいいのでは、という気がします。自分のノウハウをセミナーでビジネスに結びつけること自体は悪いとは思いませんが、それが「独自」だとか「新しい方法」と宣伝するところはダウトだという気がします。

 

ビジネス日本語的なコース

これも最近増えました。ビジネス日本語というジャンルは存在するのか?これも、講座を作ろうと思えば作れる、ぐらいの意味しかないと思います。基本的には上の経験者むけブラッシュアップ的なコースと同じく、中身をみて受ける価値があるか判断ができないなら受けない、が正解です。私たち(webjapanese.comというのは、元々ビジネス関係者相手にプライベートレッスンをするグループなのですが)の経験からいうと、コースを作るほどビジネス日本語というジャンルは、方法論が確立されていない、と思います。なんといってもビジネスの種類も規模も千差万別で、業界や会社によってまったく違う。一概に「ビジネス日本語」とくくりようがないと思います。日本企業で出世するための、あるいは日本の保守的な企業と付き合うための日本事情的な意味でのアレコレも、90年代に較べるとかなり縮小傾向、必須ではなくなっていっているように思います。それは日本語教育というジャンルで規程できるほどのものではないはずです。

そもそも、プライベートレッスンに近い形態であれば、どんどん「こういうことを、こういうふうに、教えろ」と言われるので、コツのようなものだけ短期で学ぶことにほとんど意味はないように思います。社会経験が少ないことを補おう、ということなら経済欄や記事を読んで、一般のビジネスマナー講習でもうけたほうがいいと思います。社会経験が乏しい日本語教師が教えるビジネス日本語講座よりは役に立つと思います。

 

通信、Eラーニングコース

420時間の講座でさえ、通信、eラーニングとの組み合わせの講座は質が落ちることが多いと思われるのに、420時間に満たない通信やeLearningコースもあります。受けてもほぼ何の意味もないと思います。人件費がからない教材で人がくれば儲けもの的にやってるところがほとんどなのではと思います。eLearning教材でまともなものを作る能力がある日本語学校が思い浮かびません。ほぼ外注だと思います。

 

教師養成とは別のもの

 

やさしい日本語指導者養成講座

http://haa.athuman.com/academy/japanese/course/detail/yasashii.asp

ヒューマンアカデミーが電通や国際交流基金とともに始めたやさしい日本語のインバウンド(国内観光ビジネス)への活用というプロジェクトの一環で始まりました。ヒューマンアカデミーの日本語教師養成講座のオプション的な位置づけ(?)のようです。

やさしい日本語ツーリズム
http://yasashii-nihongo-tourism.jp/

しかし、本来、「やさしい日本語」とは、90年代に災害時などの住民サポートとして始まったものです。弘前大学の研究室でスタートし、最近では一橋大学の庵氏も本を出しています。
弘前大学 やさしい日本語
http://human.cc.hirosaki-u.ac.jp/kokugo/
庵氏のページ
http://www12.plala.or.jp/isaoiori/

この本来の出発点である日本に在住している日本語の教育が必要な人達のための「やさしい日本語」とはどのような関係があるのかは、ハッキリしません。観光客に対して有効なのかは、まだ検証されていません。サイトをみる限りでは「やさしい日本語」をベースにしている、ということですが、どこのどういう考え方でこの「インバウンドのためのやさしい日本語」が作られたのかはわからないままです。弘前大学の佐藤氏も庵氏も、このインバウンドのやさしい日本語に関して言及はありません。

このヒューマンアカデミーのやさしい日本語講座は、どういうものを「やさしい日本語」とし、どう指導者を養成していくのか、きちんとしたものを出していないので、判断しようがありません。

やさしい日本語は、普通に日本語教師養成講座などで学ぶ知識をベースに教師として数年経験を積めば、だいたい理解できるものだと思います。改めて講座に通う意味は私は感じません。

私の現時点での結論は、このツイートです。

やさしい日本語に関しては、私どものツイッターアカウントでまとめたものがあります。この講座に関しても情報があります。
⚡️ 「やさしい日本語に関する観察と考察」(作成者: @webjapaneseJ)
https://twitter.com/i/moments/784180092490567680

 日本語教師養成講座にもいろいろと問題はあるのですが、その他の短期講座の問題点は、業界が未成熟できちんと教師を研修などで育てる余裕がないスキマを埋めるスキマ産業化しているというところです。そういうスキマ講座をやっている学校が自分の学校できちんと所属している非常勤に研修をしているかも怪しかったりします。。。

 話し相手程度のボランティアなどを考えているのなら、地元の自治体、国際交流協会などが主催する無料の日本語教師のボランティア講座で十分です。

 

その他のセミナーのたぐい

がっつり料金をとるものと会場費と日当ぐらいのもの(1000円以下くらい)がありますが、安くても有料のアレコレへの誘導目的というのもありますので、個人情報には注意が必要です。ウェブのフォームやアンケートで「*必須」などと書いてあるので仕方なく記入した、というようなことにならないように気をつけてください。個人情報の管理が問題になっている中、個人や小さなところが電話や住所などを管理するのは無理です。せいぜい名前とメールアドレスまで。メアドはメインのものではなく捨てメアドで十分です。SNSのアカウントやLINEのIDなどを伝えるのはNGです。注意しましょう。

基本的に、個人がやってるものは、ベテラン教師であれ、大学関係者であれ、やめたほうがいいと思います。日本語の教え方は、一人の思い込みや経験よりも、複数の「仲間ではない」人達の目でチェックされたものでないと、正直キツイです。

そのノウハウやコツが本当に学ぶ価値があるものなら、教授法として広まっているか、論文になって引用されたり、本として出版され人気を博しているはずです。個人のセミナーは、そういう「論文という第三者の目によるチェック」や「市場による淘汰」を受けていない、というわけです。大学の研究者でも同じです。私は今のところ「このセミナーや研修はいい」という評判を聞いたことがありません。「あの学校は教師を鍛えてくれる」という学校の話は聞いたことがありますが、やはり古くからある名門校であることが多いです。

日本語教師は大学の講師クラスも含め、なかなか生活が厳しいので、つい個人のノウハウを切り売りしようかなという気になるものです。ただ、一応、国内の日本語教授は、これまで数十年の蓄積があるわけで、みんなの日本語の教師用指導書にも、日本語学校にもノウハウが蓄積されており、個人でそれらに対抗できるものを持っているということは、なかなか考えにくい。持っていたとしても、そのノウハウを現場ではなくセミナーで教師に伝え、教えるノウハウがその人にあるかどうかはわからないわけです。

評判のいい日本語学校の研修講座的なものであれば、日本語学校的なやり方をより深めるという意味では、よいのではと思います。ただし、基本的には、自分が所属する学校で日々の授業の中で指導を仰いだり、意見を聞いたりしながら、切磋琢磨するとかのほうが圧倒的に効率がいいはずです。実践的な、役に立つノウハウをまとめて教えます的なものは多いですが、そういうことほど、講義形式でまとめてコツだけ伝授するというのは、難しい。そういう機会がない学校であるなら、外に機会を探すのではなく、早めにやめて、よい学校に移ることに力を傾けましょう。

セミナーを受けるなら、どちらかというと日々の授業をやっているだけではなかなか身につけられないもの、例えば違う教授法や新しい考え方、好きな分野の先端研究などのほうがいいように思います。あるいは日本語教育ではない違うジャンルのこと。ベトナム語や中国語など学習者の言語をしっかりやってみるとか。ビジネス日本語をやるなら、中小企業診断士みたいな講座を市役所などで探すとか。

IT関係のセミナーもチラホラありますが、「日本語教育向けITなんとか」は、ネットでみるかぎりイマイチだと思います。今、日本語教育の世界にいる「ITに詳しい日本語教師」は、正直眉唾です。それなら、一般のパソコン講座的なものをうけたほうが安上がりですし、講師の教え方もこなれているはずです。WordPressの講座ぐらいなら安いのがあるはずです。私どものサイト(ここですが)でも、無料の日本語教師のためのデジタル入門コンテンツも活用してください。

日本語教育サクサク 基礎編 Web版
http://webjapanese.com/books/online/sakusakukiso/
日本語教育サクサク 自立編 Web版
http://webjapanese.com/books/online/sakusakujiritsu/

繰り返しになりますが、もし、本当に勉強したい、教師としてもう一步踏み出したい、ということなら、セミナーでコツを学ぶより、いいと思う学校に転職することに時間を割くか、大学院を受けるかの2択ではないかと思います。

 

勉強会、研究会という名の研修

個人でやるなら、基本、お金をとられることはないし、問題ないのですが、最近は「勉強会」という名前で有料のアレコレに誘導するためのセミナーをやるところもあるようです。こういう、じわりと世界が住みにくくなるようなことは、やるほうは「自分にはビジネスセンスがある!」と罪の意識はないので困ったもんです。

もうひとつ、トラップがあります。こっちがなかなか難しい。

まず大前提にあるのは、労働基準法で会社は仕事に必要な研修は、会社の費用で行う義務がある、と決められている、ということです。これを勉強会としてやって、逃れようというところがあります。無料だから感謝しろというところもありますが、これは就業時間内にやるか、時間外なら残業として時給を払ってやるべきことなのです。

最近は、実質的に学校が主催するようなものがあるようです。専任の教師や教務担当が(時には校長の指示のもと)、「自主的に」勉強会をする。参加費は無料でお茶などが出る。でも、それは、本来やるべき研修を時給を払わずにやってるだけです。労基法では、その仕事に必要な研修の類いを賃金を払わずに就業時間外にすることは違反です。

研修期間中に賃金が発生するか
http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/practicewage.html

研修はその会社(学校)で働いている場合は、参加が義務か義務的であれば、ほぼ賃金は発生する。つまり時給を払って研修しなければならないということです。また仮にその会社で働いてなくても、義務的なもので、そこで働くことになるなら、受けた時間の時給は支払わなければならない可能性がある。この可能性とは研修を受けることが条件になっていれば支払わなければならない可能性が高い、と解釈してもいいのではと思います。

ポイントは「参加が義務的であるかどうか」ですが「義務じゃないよ」ということになっていても、参加によって採用や昇進などに影響するならアウトで、実質的に義務だとみなされるはずです。専任でも、非常勤でも、査定(昇進や非常勤なら専任になるための査定)に影響するつまり、義務であるかどうかは別として外部の研修を学校が主催するのは、かぎりなくグレーな行為に近づくこととなります。就業時間内にやって時給を支払えばいいだけの話ですから。やっているところは、学校としての見識が問われると言ってもいいと思います。長くいるべき学校ではないと思います。

勉強会という名前でも同じことですが、「勉強会 労働基準法」で検索すると以下のようなページがありました。

教えてGoo
残業代が出ない終業後の勉強会について
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/6731746.html 

採用前や面接合格後の本採用前の研修

日本語学校で、採用前や、採用後に勉強会と称して研修をやるところが結構あります。無料だから親切だと感じる人もいるようですし、学校側も「しっかりとやってます」的に宣伝したりしてます。有料の研修をして正式に就職したら返金みたいなところもあります。ただし、これは「実態として」ほぼ参加が義務となっているので、業務として行われていることです。学校は時給を払う義務があるはずです。今は、まともな会社は、こういうことはしません。ちゃんと就業時間内にやります。少なくとも訴えられたら、ほぼアウトなはずです。状況的に雇用する側が強いので訴訟になることが少ないだけです。

抗議はしにくいかもしれません。なんせ現在進行形で採用されたとか採用してほしい、という立場でしょうし。でも、こういうことをする学校は、基本、教師を育てるコストは払いたくないという考えであることはハッキリしています。学校で最も大事な教えることにお金を使わない学校です。そこで働くことになったのなら、すでに最初にひとつダウトからのスタートです。遅くとも、もうひとつ、怪しいと感じることがあったら、さっさと転職を考えたほうがいいでしょう。いろいろ調べたかぎりでは、まともなところは、常勤や非常勤を就業時間内にちゃんと育てるところが多いようです。そりゃそうです。教師をどう育てるかは、語学学校にとって最重要課題であるはずですから。

 


 

参加は強制ではない、でも、「専任になりたいなら」「非常勤を続けたいなら」参加するしかない。特に経験が少ない教師は参加しないと「やる気がないとみなされる」というような学校系の勉強会は、参加すべきではないし、業界としても禁止すべきだと思います。

学校と離れたものでも、なんとなく学校同士のつながりがあって、参加不参加の情報が学校間で共有されている。きっちりやってはいないけど専任同士のやりとりで「あの子(例の勉強会にも参加してるし)なかなか意欲的だよ」みたいなことになっている。そこへの参加が意欲の現れとして密かに査定されているというようなものもあります。これも注意すべき点だと思います。

こういうことは、なかなか難しいのですが、日本語学校は仕事に必要な研修をきちんとやらずに、いろんな形で丸投げしていることが、結果、このように、かなり日本語教師の職場環境を暗いものにしています。離職率の高さは、待遇だけでなく、こういう陰湿な空気にあるのではと思います。

勉強会、研究会を主催する場合

さて、そういうことをふまえたうえで、問題(有料セミナーなどのへのひも付きではない、学校とも紐ついてない)がなさそうな勉強会、研究会もあります。こちらはおとくだと思います。名前とメアドくらいは書いて参加してみて、大丈夫そうなら続けてください。

そして、勉強会や研究会を主催してみたい、知人でやってみようと思ったら、ここに書いたようなことには注意してください。個人情報は名前とメアドまで。携帯やLINEなど変えにくいものは要求しない。参加不参加の出席をとらない(出欠が査定に使われるリスクが発生します)。学校での査定には使わないときちんと最初に確認しておく。基本、学校と関係のある研究会、勉強会は、開かない。まとめると。。。

1)主催者は身分、連絡先などを公開する。
2)余計な個人情報は収集しない。
3)出欠をとらない。
4)誰が来ていて、誰は来てない、みたいなことはどうでもいいという空気を作る。

4)は、経験が長い教師ほど、そういうところは甘い(目の前でわかりやすい「やる気」を評価しがち)ので。また参加者も勉強会や研究会をコネや人脈を作る場所だと考えると、「意欲アピール」が始まったりします。それも、注意したほうがいいと思います。

5)コネや人脈をつくる「就職活動の場」にしない。

あくまで純粋な勉強、研究の場にしましょう。基本、勉強会では人の評価をしないことが大事だと思います。

講師の人などを招く場合にも気をつけましょう。ゲストにも、査定の場にさせない、ということは伝えておくべきです。学校の研修の肩代わりになったり、査定に使われたりにならないように神経を払う、ということだと思います。

こういうことは善意で出発するので、どうしても甘くなります。善意でやってるのに、場所を提供しているのに、と考える学校関係者もいますが、他の業種で同じことをやったら、訴えられて終わりです。(そもそも組合がそういうことを許さないはずです)。日本語教育関係者は、教師、校長はもちろん理事長も、法律を知らず勝手に都合のいいように解釈しがちです。これはワンマン経営、零細企業によくあることなんですが。。。

これは学校側もちゃんと意識していないところです。まず日本語教師からきちんとこういう認識をもって、広めていきましょう。でないと仕事をしてて息苦しいでしょう?

 日本語教師は結果で評価されるべき仕事ですが、評価軸があいまいな人は意欲とかやる気で計りがちです。勉強会に出なくても自宅で論文読んでたほうがマシ、という人もいると思います。学習者の評価こそが大事という考え方もあります。ひとそれぞれです。

啓発しようとする人達

いろいろあります。大学の人や研究者、専門家、有名な人であっても、肩書きで信用したりはせず、気をつけてください。

日本語教育の謎と神話
http://webjapanese.com/blog/j/tondemo/

 

日本語学校で働く前に知っておきたいこと

日本語学校はこういうものだ、日本語教師は大変だ、という話は雑誌や本には書いていませんが、ネット上にはあふれています。これは90年代に較べるとよいことです。大手のメディアはなかなか日本語教育の実態、特に日本語学校に関しては何か事件がおきない限り扱ってくれませんが、2016年から西日本新聞がいい連載をしてくれました。

新 移民時代 西日本新聞社
http://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/

特に悪質な学校だけを取材して強調している、というようなことはなく、今も求人を出している日本語学校のことが語られています。名門校と言われるところもブローカーを利用して学生集めをしていますから、ここに書かれていることは、どこの学校も無縁ではないはずです。

記事は必読だと思います。第三部で扱われている日本語学校は、決して例外的なものではありません。そういうところに行かなくても済むように、事前にいろいろな知識を得ておくことは大事です。そして運悪くそういう学校に入ってしまったら、すぐに辞める、転職する、という決断をすることが大事です。いい先輩がいるからと居続けるのは危険です。残念ながら「いい人」というのは、ダメなところにズルズルと居続けるという傾向があるのです。学校のいい面を見たい、という人は、悪い面から目をそらしたいという人でもあるのです。

日本語学校の経営者というのは、基本、留学生のバイト時間は多ければ多いほどいいと考えている人達です。アルバイト時間は学生募集に直結します。現在の28時間は世界的にも突出して長く(成人の週の労働時間の半分が目安でそれを越える国は先進国ではありません。韓国も20時間ですし、中国は禁止、0です。)

2010年以前は、留学生は、日本語学校などの学生を「就学生」、専門学校や大学の学生を「留学生」と呼び区別されていました。日本語学校の学生のアルバイトは1日4時間、週5日で20時間という規制がありましたが、2004にできた全国日本語学校連合会をはじめとする日本語学校業界が28時間への拡大を求め、署名活動をはじめ、政府に強烈な陳情を繰り返し、ついに2010年の就留一本化で実現したという経緯があります。

 日本語学校の謎、という記事もよかったら読んでみて下さい。

 

概要

日本語教師としての主な就職先は昔から国内の民間の日本語学校です。日本語学校は法務省の認可を受けないと、留学ビザの学生を受け入れることができません。この認可された学校が2017年の時点で約500校、2010年以降、増え続けています。

日本語学校の、定員と定員充足率、設置者(運営母体)のリストを作りました。
https://goo.gl/nDT4il

最初にご紹介しましたが、法務省に認可を受けた日本語学校のリストと情報公開は、2017年中に文科省のサイトで始まりました。

日本語教育機関における外国人留学生への教育の実施状況の公表について:文部科学省
http://ow.ly/kmeT309iTmX

ここにない学校は「留学ビザで来た学生がいる日本語学校ではない」と判断してもいいと思います。新設校はまだ入ってません。就職するなら、まずこのリストに入ってからでいいと思います。設置者、校長名、定員、在籍学生数、国籍別、などの基本情報の他に、能試の合格率や進学実績などが確認できます。学校選びの際にかなり重要です。必見です。これをまとめて一覧にしたものは、近々公開します。

 法務省の日本語学校のデータは毎年、政府刊行物として日本語学校全調査というタイトルで出版されることになっていてアマゾンで買えます。版元によるウェブ版もありますが、こちらはややデータが古かったりヌケがあったりです。日振協のサイトには日振協の登録校(約350)だけですが、データがあり、毎年更新されています。

日本語学校で働く日本語教師は、社員である常勤が約3割、パートである非常勤講師が7割です。この比率は2016年までは約3割がボーダーラインでしたが、2016年からは定員数40人に一人というルールに変わりました。ちなみに学校で7割を非常勤に依存しているというのは、「教育を外注している」と言われても仕方の無い比率です。大学などでは、悪くとも5割くらいで、ということになっています。

 

会社としての日本語学校

文科省の日本語学校リストには、学校の運営母体の会社が書いてあります。就職を考えているのなら、必ず事前に検索しましょう。2010年以降は清掃会社、建築会社、不動産会社など、が目立ちます。ほぼ、人手不足解消の手段として日本語学校を始めたところです。自社物件のテナントに住まわせて寮費を1年前払いで返却不可とか、いろいろあります。

ただ、運営母体だけでは見えないことも多いので、それを考えていきましょう。

 

ハード面

法務省の新基準にいろいろと規程があります。
http://webjapanese.com/blog/j/wp-content/uploads/2016/07/t30013010105.pdf
賃貸じゃだめだとか、離れたところだと同じ校舎だと認めないなどもありますが、ハード面に関する規程は以下だけです。

図書室、保健室は、日振協加盟校だと、3年に一度審査がある時に、パーテーションで突然誕生して、審査が終わると消えてしまう部屋のことを指します。非加盟校には最初からないでしょう。広さの規程も、厳しく守られているとは言い難いようで、定員が増えても、校舎が自己所有なので、すぐには拡張できないということもあるようです。

「必要な視聴覚機器」の必要は、学校が決められるので、あるとすればラジカセぐらいでしょうか。デジタル方面はどうかというと、2017年の4月にツイッターでアンケートをしてくださった方がいました。

30名ですし、ツイッターを使える教師がどういう学校にいがちか、みたいな傾向がわからないので何ともいえませんが、結構WiFiはきてるようです。新しめのオフィスビルに入ってるケースは少ないので、おそらく家庭用ぐらいのWiFiだと思います。授業で活用するのは厳しいかもしれません。

 

収入

単純に入ってくるお金だけを出してみます。

日本語を教えて

入ってくるお金は、ほぼ決まっています。入学金のたぐいは募集の経費として、授業料のみ。1人年間60万くらいです。新設校で100人定員で50人入ったとして、年間3000万円。100人で6000万円とおぼえておけば、学生数でだいたい見当がつきます。

日本語教師養成講座

これがやれると大きいです。1人60万くらいが相場で、小規模でも1年30人くらいのクラスで1800万円。半年でまわせば倍。自前の講師でやればコストは授業とほぼ同じですから、

その他の講座、セミナーなど

これも、教室のスキマをつかって、自前の講師でできますから利益は大きいです。一ヶ月で15人で一人5万円でも年間で900万円です。

その他?

経営者が他でいろいろとやってるのは別として、日本語学校は基本、専業じゃないとダメなので、関連で副業をやっているところもあると思いますが、それほど大きなものはないと思います。教材を作って自分の学校で使っても、それほど利益はでないはずです。

ただし、2010年以降、学生のバイト関係でいろいろと提携企業からキックバックが…、みたいなことはあると思います(法務省の基準ではできませ)。2016年に不祥事で問題となった栃木の日本語学校では、裁判では不法就労の件が焦点だったので、数百万の利益しか明るみにはでませんでしたが、仮に、50人の家賃の水増しし、800円の時給で相場(工場系なら1500円超)との差額をすべてふところに入れれば、年間5000万くらいの利益がでる計算になります。自分のところでやらなくても関連会社、グループ会社がやって一部が返ってくるとしても、人の供給元ですから1000万くらいは入るのでは?と思います。

 

支出

日本語学校のコストは校舎と人件費です。まずは校舎のコストをみてみましょう。

校舎に関しては、法務省の基準に規定があります。

2017年の新基準から校舎は原則自己所有の方向です。「20年以上借り続けられる保証がある」民間のテナントはあまりありません。後は徒歩10分以内なら同じ学校とみなされる、とか、図書室が必要などとありますが、広さに関しては、115平方メートル以上で、生徒1人あたり2.3平方メートルとなってます。教室は20人以下という規則もあります。

まずは、賃貸で考えてみます

日本語学校は新設時は定員100人以下からです。2~3教室が必要で、教室の面積は1教室45㎡以上必要なので、教室だけで3つとして、150㎡。トイレや事務などと合わせてだいたい200㎡(60坪)ぐらいでしょうか。小さめのオフィスビルのワンフロアでギリくらいです。

坪単価は時代によって違いますが、相場は場所と広さで決まります。「坪単価 オフィス 場所の名前」でだいたい出てきます。広いほど「高く」なります。東京だと山手線周辺なら2万くらい。

60坪だと地方で60万、都会で120万。少し日本語学校の規模が大きくなって200人くらいが出入りするようになると、教室が+2つくらい必要なので、100坪。2フロアぐらい?東京で月200万、年2400万。地方で100万、年1200万です。

買う

同じ広さを購入するとなると、地域差が出ます。いずれにしても大都市や地方の大きな都市では、ビルになりますが、ビル単位で買わなくても、ワンフロアだけ買うみたいな「区分所有」という方法もあります。学校法人では区分所有は認められないそうですが、日本語学校の場合は条件(敷地権が~などなど)付きでOKとなっています(しかしなるべく一棟所有しろとなってます)。

検索してみてください。

【アットホーム】売りビル・売り倉庫・売り工場などの購入情報
http://ow.ly/erUf30a5TO9
売り事務所・オフィスの購入・物件の検索なら【HOME’S】
http://ow.ly/lGV930a5TRw

東京で山手線周辺で、中古で1~2億ぐらい。地方の都市で3000万~5000万くらいでしょうか。億単位のオフィスだと毎月30~50万くらいの返済ですが、資金があれば、広めに借りて、あまったフロアを貸すとか、いろいろできますので、年間で固定資産税を入れて500万くらいで済むかもしれません。賃貸の半分くらいで済みますが、安くはありません。野望が大きい経営者だと、500人くらいは入るビル一棟を買うかもしれません。空いてるうちはテナントでかせばいいから、と。

人件費

残るは人件費ですが、特に日本語学校だから変わったことはないと思います。事務などではその学校に多い学生の言葉ができる人が必要になりますが、特別に高い報酬を払うというところは少ないはずです。職員は基本、年収は専任の日本語教師と同じく300万くらいだと思います。役職がついて500万くらい。学校の規模に応じて数が増えますが、200人くらいの規模でも職員は経理1人、事務のトップ、教務のトップが一人づつ。専任が5人、職員が3人くらい、でしょうか。寮があったり生活指導が大変というところは職員数がもっと多いと思います。合計10人前後。

学生集め

あとは、学生集めがあります。日本語学校にとっては生命線です。もっともお金をかけたいところです。

これは学校によってまったく違うようです。それぞれ得意な国がありますから、歴史の長い学校は、そこに事務所を持っているところが多く、給料と学生一人あたりいくら、というような契約とをあわせたようなことになっている、と聞きます。歴史が長く、評判もいい学校は、OBのコネや紹介などもあり、名前で学生が集まりますから、この事務所の維持費のみです。年間通じて事務所を置かずに学生募集の時期だけやる、というところもあるようです。

新しい学校などは、政治や財界などのパイプがあったとしても、ブローカー頼みというケースが多いようです。このへんは、はっきりわかりません。以下は「推測」です。半分くらいはあたってると思います。

最近は、東南アジアなどのブローカーは学生一人で50万くらいもらう、という話もありますが、ハッキリしません。新聞などの報道では、技能実習生だと、日本語がまったくゼロだと10万くらい。日本語能力試験の合格レベルで値段があがっていく、ということのようです。技能実習生は来日して1年後にN3相当にならないとダメ、などとビザ延長で制限があるので、日本語能力で価格が決まるということになってるようです。しかし留学生は、高卒でないとダメという制限がありますが(技能実習生は中卒でも大丈夫なケースが多い)日本語能力はほとんど問われない(日本語学校は入学資格でN5程度などと書いていますが、実際はレベル関係なくとるはずです)のでこの「相場」からすると学歴の制限を考えると、15万前後なのではないかと思われます。

うろおぼえですが、90年代は入学金とその他の費用が結構高く20万超だったと思います。それがそのまま現地の送り出し事務所に一人あたりのノルマとして的に支払われると言われてました。今は、授業料は1年で70万くらいが相場で、その他のお金は、入学金で5万円くらい。後は、選考料とか設備費みたいな名目で3~7万くらいづつで合計入学金とアレコレ合計で15万円くらいになるようです。この15万円は学生を確保するための相場の目安になると思います。

ブローカーが学生一人で50万円もらう、ということがあるとするなら、こういうことかもしれません。
日本語学校で2年、グループの専門学校に2年、合計4年で、300~400万の学費を払ってくれて、紹介、斡旋したバイト先から多少キックバックがあれば、ペイします。しかし日本語学校が単独で50万を払うのは厳しいはずです。2年いる保証はありませんし、失踪したらダメージは大きい。せめて、入学関係のお金(15万まで)で相殺したい。仮にブローカーが受け取っている金額が50万円だとしても、すべてを日本語学校が払っているわけではないのでは?と思います。「払う人が増えた」と考えるのが自然です。

学生集めブローカーだけなら、お金を払って終わりですが、2010年以降から、日本での人手不足という新しい要素によって、人手の斡旋、紹介で利益が生まれるようになり、人材派遣系の企業が関与するようになりました。日本語学校は直接利益を得なくても、人材派遣の会社が、東南アジアで学生を集めてきて、日本語学校に斡旋する。で、同時に人材派遣会社は、日本国内の会社とも話をつけて「10人送るから一人いくら」とその会社から利益を得る、みたいなことになっている。こうなると、学生集めに払うお金は人材派遣系の会社と折半で済みます。

東南アジアで若者集めをしている人材派遣会社は、主力は技能実習生ですが、ここ5年くらい日本語学校とも提携したり、自ら日本語学校を作ったりしています。つまり留学ビザにも手を伸ばしてきたということです。留学ビザは技能実習生のように職種に制限がなく斡旋仲介も自由です(技能実習生は原則斡旋仲介で利益を得てはいけないことになっている)。

2010年代、東南アジアでの学生募集がガラリと変わったと言われています。相場があがった可能性が高いです。大手の人材派遣系の会社などが大規模な無料のイベントを開いて、大量に若者を集め、留学要件が揃う人は留学ビザで、その他は技能実習生で、というように、ドンと集めて、国内の提携先に分けて送り出す、みたいなことが行われていると聞きました。

もちろん、まっとうにやっているという学校もありますし、もっとオカシナことをしている学校もあると思います。スカイプで面接するところもあります。昔から、よくわからない部分です、真実を知るのは理事長と校長ぐらい、ということだろうと思います。いずれにしても、基本、日本語学校というのは、本業の利益は授業料分だけ、と考えていいと思います。

 ベトナムの平均の年収は30万くらいです。日本語学校の入学時期は大きいのが年に2回(4,10月)なので、1人20万なら、2人紹介できれば、1年暮らせることになります。安定して紹介できれば、金額が大きいので現地に人脈がある日本人も十分参入可能です。結果、ブローカーもだんだん組織的になって書類の偽装をしたり、といことになっていくのかもしれません。

 人材派遣系の会社、大手の子会社がやってたり、ワーホリくずれの若者が3人くらいでやってるところにアウトソーシングしたりしているようです。おそらく日本に送るビザの種類はどうでもいいので、留学ビザが使いにくくなれば、あっさり他のビザに切り替えるようになると思います。また、日本の外国人の工場などでのアルバイトは2017年で1500円近くになっていますが、人手不足が一息ついて、これが下がり初めて利益がでないラインになったら一斉に消えると思います。

 しかし、学生集めでは、まったくインターネットは活用されてません。不思議です。自宅からか、現地の回線状態のいいレンタルスペース(日本の企業の回線とスペースを借りるとか)でウェブで出願、スカイプで面接と試験、で、まずキッチリ選考して、担当者が現地で最終面接、で、何の問題もないと思いますが?

経営

ほとんどの日本語学校は、いわゆるワンマン経営の零細企業でした。理事長の意向で何もかも決まります。学校の性格は理事長の考え方の反映というところがありました。校長も理事長がどこからか連れてくるおじいさんか、教務主任のお気に入りの人がなるということも多かったようです。今もそういう学校は多数派かもしれません。

しかし、最近は、経営と日本語学校は別でヘッドハントされて「責任者として日本語学校つくれ」と言われたみたいな雇われ経営者が設置者(法務省への経営責任者の届け出の名称は「設置者」です。ホームページに理事長として載ってることが多いです)になったり、というケースも増えているようです。人手不足の会社と人材派遣会社が小さな、あるいは休眠中の日本語学校を買って、理事長と校長をヘッドハントしてあとは求人で集めてスタートみたいなことも2010年以降は増えてるようです。学校法人グループでは隅っこにいて、株式会社グループでも株は持ってない、みたいな。。。

 日本語学校をスタートする際は、校舎と人、あと、経済的な基盤がないとOKがでないのですが、目安は2年分の運転資金だそうです。100人規模なら2000万ぐらいとのこと。「日本語学校 設立」などで検索すると行政書士のサイトがいろいろとヒットしますので、詳しく書いてあります。

日本語学校の経営は不透明

法務省には運営者の形態がどうなのか提出することになっており、日本語学校データベースや日振協にはそれが書いてあります。個人経営から学校法人までいろいろです。

この設置者で検索すれば、多少はわかるかもしれません。その会社が何をしているところか(日本語がメインのところは意外と少ないです)規模はどのくらいか、関連会社はあるかなどなど。

しかし、経営状況は、ほとんどわかりません。株式会社であっても学校法人であっても財務状況などはほぼ公開されてませんし、規模が大きくなるほど、分かりにくくなるようなところがあります。普通はこういうサービス業であれば、定員充足率でイエロー、レッドがある程度判断できます。しかし日本語学校は、稼働率(定員に対する在籍学生数)が、8割を越えていなければ利益はほとんど出ないはずで、法務省の新基準でも、8割を越えていないと、定員増はできないルールになっています。しかし、8割を越えるところはわずかです。

定員を増やすには新たに申請をしなければならないので、その時点で法務省の規定を遵守しているかチェックが入ります。最初は100人以下、これが何年たってもあまり増えない学校は、適正規模でやろうとしているか、適度な規模で利益が出ればいいと割切っているところです。前者は良心的ですが、後者は余計なコストはかけず外部のチェックも入らない形で儲かるところで止めているだけかもしれません。グレーです。つまり「一見良心的な小さな学校」もホントはどうなのかわからない、ということです。

日本語学校は、養成講座をやっているところは、養成講座が経営の軸になっているところが大多数だと思います。中には学校の学習者は数人だけど養成講座は百人単位の人が常にいる、みたいなところもあります。日本語教師養成講座で有名な大手資格系のスクールも学校のほうは、特に特徴のない学校がほとんどです(こういう学校が教材を作ったり、教授法を開発したり、論文を書いたりというような日本語教育に対する貢献をしたということは、ほとんどありません)。

日振協の加盟校だけでも、定員充足率は、通常、経営のボーダーラインと言われる80%を越える学校は10校に2校ぐらいです。つまり養成講座への依存が大きいということです。この教育産業から資格産業への転換は2000年前後からはじまり、教師の需給のバランスがおかしくなった(教師の供給過剰が常態になった)のが2002年以降です。極端な教師あまりの状況が長く続きました。日本語教師が不足しているとなったのは、2014年あたりから、おそらく売り手市場になったのは20年ぶりです。

 

教え方

日本語教師養成講座の文化庁のカリキュラムは理論重視あるいは偏重という人もいますが、オーソドックスで、日本語教育の多様な側面をそれなりに反映していると思います。一旦日本語学校で仕事を始めてしまうと理論的なことを勉強できないので、やはりこれでいいのではないかと思います。(ICT関連にきちんとコマ数を割くことも必要とは思いますが)ただ、最近の日本語教師養成講座は「実践的」「即戦力」をうたうものが多く、「みんなの日本語」を使って、破綻無くやれて、あとは能試の合格にむけて指導できればOK的なものが増えています。

民間の日本語学校はもちろん、海外でも留学生志望者相手だったりすると、かなり受験予備校の講師的な日本語教育をやることになります。EPAの看護はもちろん、N2くらい、介護方面も、おそらく能試のN4、最終的にはN3の合格が必須になりそうなので、やはり日本語能力試験ベースの教え方になりそうです。

ビジネス関係者というのは、90年代は、伝統的な日本企業への就職と出世前提のガツガツした勉強(日経を読めるようになるとか…)というのもありましたが、基本、コミュニケーション重視で会話重視です。昨今は日本の企業でも日本語能力はあまり問わなくなってきましたし。。。
プライベートレッスンに関しては、後述しますがレッスン料金の相場もかなり下がりました。ビジネス関係者相手の日本語学校も少なくなっています。そういうところへの就職は、募集も少ないです。

就職先は、後述しますが、国内の民間の日本語学校以外でもあるのですが、最初はやはり日本語学校からということになりそうです。で、「みんなの日本語」と能試の指導を軸にやっていくことになると思います。しかし、「みんなの日本語」は海外でも圧倒的なシェアですし、みんなの日本語的な日本語の教え方も、能試の知識も日本語教師のキャリアには、ついてまわります。身につけておけばつぶしがききます。本来別のことをやりたいとしても、最初のキャリアとして2,3年はやっておくのは悪くないと思います。

 

選び方

この点は、もう少し調べて、書籍版で整理したいと考えています。ひとつだけ、地域差について書きます。

元々日本語学校は大学が多い大都市に多く、名門校と呼ばれる学校は東京、大阪、京都に集中していました。留学先としても大都市のブランドが必要だった時代がありました。地方の日本語学校にはハンデがあったわけです。2010年以降、特に地方に日本語学校が増えています。地方の人手不足と関係があるようです。それらの新興の学校は中国韓国にパイプがないので、東南アジアで学生を集めるところが多く、留学生の国籍別の比率は、中国が大多数で、ついでベトナム、ネパール、韓国、となり、あとは10%弱となるのですが、地方ではベトナムやネパールなど東南アジアの学生の比率が7割をこえます。今、この2カ国からの学生供給が止まれば、地方の日本語学校の半分以上はつぶれるはずです。

地方としては標準的かなという広島県の日本語学校の能試の合格率です。学校名は伏せてあります。

広島県はベトナム人の比率が7割越えで、最近増えたベトナム人がメインの日本語学校の平均値でもあると思います。名門校と比較するとかなり成績は落ちますが、だいたいこんなものかなと思います。一般論として、漢字圏で試験が得意な東アジアの学生は能試の合格率が高く、東南アジアの学生は試験に対して苦手意識がある、と言われますが、2年がんばれば、なんとかなる学生もいる、というような数値です。

ただし例外もあります。広島とほぼ同じ学生数の沖縄県のデータ

沖縄は合格率よりも、受験者数が少ないのが問題だという気がします。沖縄はネパール人学生の比率が7割以上(全国平均は10%以下)と、極端に高い県です。これだとほぼ大学への進学は不可能です。しかもN3の合格者数もたった36人(約4%)ですから、沖縄の日本語学校に通っても日本語の基礎力を身に付けるのは不可能と言ってもいい比率です。この沖縄県は、進学目的で学生を集めているのか疑問な日本語学校のサンプルといってもいいと思います。

 しかし沖縄県の日本語学校の専門学校の進学は677人で約73%。これは全国平均(17%)とは全く違います。日本語学校と同じグループの専門学校にごっそり進学したりと、沖縄では、4年間留学生を働かせる仕組みが完成していることを伺わせます。

広島と沖縄の比較。

しかし、これは沖縄だけに起こっていることではなく、今の地方の日本語学校の平均的な姿で、広島は東京大阪の大都市以外のそこそこ大きな県の平均値で、沖縄は人手不足が深刻な地域の典型的な姿、ということだと思います。日本語学校の平均的な姿は、広島と沖縄型が混在しているのが実態で、名門校は数えるほど。超少数派です。

 学生数が多い日本語学校が名門というわけではありません。むしろ500人を超え1000人に近づいてくると、全体のレベル(教師や学生の質含めて)は落ちていく傾向があると思います。いわゆる名門校は500人前後までのようです。ただし、大規模な学校は教師の待遇は多少はまともになっていくとは思います。規模が大きくなるとあまりオカシナことはできませんし。

 広島と沖縄の比較の図は、「日本語学校の謎」という記事から引用しました。成績の比較も含め、ここに少しまとめました。「日本語学校の地域性」日本語学校の謎
http://webjapanese.com/blog/j/nazo/#i-7

 沖縄タイムスが、県内の日本語学校がパスポートをとりあげていたという事件に関連して、県内の日本語学校にしたアンケートがあります。
https://archive.is/VkPHB
これによると、半数以上の学校が「学生のアルバイト可能な時間を増やして欲しい」と驚くべき回答をしています。これも、沖縄に限ったことではなく、全国の多数の日本語学校の本音だという気がします。

 

 

日本語学校で働く

最初に書きましたが、そもそも日本語学校は日本にいくつあるのか?は、ハッキリしています。法務書に留学ビザで学生をとっていいよという認可を受けた(正式には「告示を受けた」)日本語教育機関(という呼び方です)は、ここにPDFが掲載されます。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukanho_ho28-2.html

さらに2017年から文科省に登録したデータが公開されることになっています。

□ 文科省リスト
https://t.co/PCOhWWvrzU

告示校の中には、この文科省にデータを提供していないところがあります。そのほとんどは現在稼働していない学校と思われますが、いくつかは稼働中でも登録していません。理由はよくわかりませんが、情報公開に積極的ではないことは確実です。私は告示校であっても、ここにない学校は要注意だと思います。

 

さて、420時間の養成講座を修了して、あるいは日本語教育能力検定試験に合格して就職活動を始めるとします。

2つの「資格」をどの程度考慮されるかは日本語学校次第ですが、ひとまず420時間なら問題ない。検定試験だけだとちょっと弱い。両方なら資格としては100%というところでしょうか。ともあれ、就職できるとしても、最初は、非常勤講師からという形がほとんどです。非常勤講師から専任にステップアップできるかは学校の事情によりますが、かなりハードルは高いです。能力的な問題ではなく、専任の枠がそもそも少ないので。

募集はネット時代以前は、養成講座での紹介や東京の凡人社などの日本語教育の専門書店の壁の掲示板で探すのが普通でしたが、2000年以降は、ネットの日本語教師の求人があるサイトに出るようになりました。2010年以降、普通の求人サイトでもよく見かけるようになりました。

求人の問題

求人の問題に関しても、関連の法令などを調べて書籍版で整理して書く予定です。今のところ、ネットで検索して出てくる求人サイトは、掲載内容に責任をとるところはひとつもない、ということに注意してください。どこに掲載しているものが信頼性が高い、ということもありません。基本、自分で調べて、実際に面接をして就職してみないとわからない、ということです。残念ながら。

自分で見極める、といっても事前にわかることは少ないので、とりあえずベストを尽くして、万が一就職したところが怪しかったら即逃げる、みたいなスタンスでいたほうがいいと思います。2010年以降、残念ながら、日本語学校の理事長は教育者かもしれませんし、奴隷商人かもしれない、みたいなことになってきています。

可能なら、面接だけで判断するのではなく、その学校に勤めている人などの話を聞いたほうがいいと思います。非常勤で出入りしている、あるいは、かつて出入りしていた教師はそこそこの数いるはずですから、うまい具合に見つかるかもしれませんし、難しいなら、面接時に「先生方ともお話しがしてみたいのですが」などと尋ねてみてもいいかもしれません。

 そこで、例えば学校の教師から「私たちは目の前の生徒のためにがんばるだけだから」というセリフが聞こえてきたらダウトです。それは「学校はどうも怪しいことをしているようだけど、見ないようにしてます」という意味である可能性が高いからです。日本語教師が逃げ込むよくある理屈です。

特に海外の求人は、気をつけたほうがいいと思います。現地通貨で月給4万円、みたいなのは避けたほうが賢明です。途上国でも、他の仕事では日本基準の給料を払うところはたくさんあります。ボランティアとかインターン的なものも。

「いい経験になった」という体験者もいるかもしれませんが、現地基準の給料ということは、最低賃金守らないということですから、日本の労働基準法の適用もされません。トラブルがあったり、現地で病気になったりしたらアウトだと思います。日本語教師は足下を見られているのです。日本語学校が怪しいところではないかは、自分で調べるしかありません。事前に調べて、面接や問い合わせで観察する。。。

 あわせてこれもお読みください。求人関係で疑問に思ったこと、ひっかかった学校の求人などに関してツイートしたものをまとめました。
「日本語教師の求人あれこれ」https://twitter.com/i/moments/890754032272158720

 


 

 

非常勤講師として

 アンケート「日本語教師への10の質問」より https://goo.gl/zM1lpI

 

90年代から2010年あたりまでは、時給はだいたい1200~1500円でまったく動きませんでした。時に1000円を切る時もあったと記憶しています。安いほうにふれることはあっても高くなることはない。そして5年やっても上がらない。

おそらく2010年ごろからじわじわと日本語教師不足ということになっていき、2014年ごろにはそれがハッキリしてきました。

このころ、学生募集の形態が変わりました。人材派遣系の企業の参入が始まり、新規校の開講が増えました。年に数十校が申請をし、認可されるというペースです。学生数も増えてはいますが、学校数が増えたことにより、急激な人手不足という事態になったのではと考えられます。
通常、日本語学校は、担当コマ数が少なかったり、休眠中のベテランの非常勤教師を多くかかえており、多少の学生の増加には、それらの教師のコマ数を増やしたりすることで対応できますが、新設校は、教師のストックがないので、すべて0から揃えなければならず、認可に必要な主任教師(経験3年以上)や専任講師(在籍学生40人に1人)も必要になります。新設校は100人以下でないとダメなので、70人くらいとすると、一気に10人以上の日本語教師が必要になります。日本語教師の非常勤は、一人で多くのコマ数をやれないケースも多いので、どうしても大人数が必要になります。

2014年あたりから、時給は1500からジリジリあがってきました。2017年は1600~1700円くらいでしょうか。かつてはほぼすべての学校で応募条件は経験2,3年以上でしたが(じゃあどこで最初の2年の経験をするんでしょう?と思ったものですが)、最近は新人でもやる気があれば採用ということになっています。養成講座が就職率が高い!100%などとうたう理由です。ただ、ほんの少し前までは、資格を取っても就職は約束されていませんでした。

 非常勤の時給に関する規程は、全国日本語学校連合会の倫理規定に「契約講師に対する報酬は最低賃金の2倍以上が望ましい。」という文言がありますが、この倫理規定は特に監視も罰則もないようで、他の項目も含めて、守られたことはありません(ST比40などは守ってる学校を探すのが難しい。2017年の新基準で40となって、各学校もやむなく移行している最中です)。人手不足がハッキリしてきた2016年になって地域によっては最低賃金が700円くらいなら1400円以上での募集はあったかもしれません。しかし、言うまでもなく、これは倫理規定のおかげではなく、やむなくあげていった結果、そうなるところも出てきた、というだけです。

 

非常勤講師の月の収入は

非常勤講師は、通常、ひとつの学校で(教務主任や経営者に気に入られれば)月額5万円くらいの仕事を得ます。1500円で割ると35時間くらい。週で10時間以下です。法律が変わり2019年から中小企業にも社会保険適用の拡大が行われる予定です。これもあって、ますます(社会保険の適用から逃れるためにも)今後も、日本語学校が日本語教師に契約上週に20時間以上働くことには絶対にさせなくなると思います。月収も5万前後に納めたいはずです。これらが基準以下ならば、会社は雇用保険に加入しないで済むのです。雇用保険がないh事情金は育児休暇も介護休暇も取得できません。15時間だと、月60時間。時給1500円なら9万円です。月収で88000円を越えてしまいます。雇う側からすると、週15時間は絶対越えないようにする。で、10時間+αくらいでと考えるのではないでしょうか。

週10時間前後なら2校くらいのかけもちはいけるかもしれません。となると、非常勤で働ける上限はかけもちをしても週20時間で月80時間、時給1500円なら月12万円(時給が2000円なら16万円ですが)が限界ということになります。しかし、日本語学校は夏や冬に休みがありますし、イベントなどもあります。コンビニと違ってフルに仕事はありません。一年のトータルで考えると、働けるのは多くて35~40週くらい。7がけくらいでしょうか。つまり、計算上12万円でも実際は8万4000円。16万でも実際は11万円、というところです。

 詳しくは、日本語教師と法律学習ノートをどうぞ。
厚労省の説明ページも。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai/

 

時給はあがるのか?


 アンケート「日本語教師への10の質問」より https://goo.gl/zM1lpI

 

2010年ごろまでは、5年でやっと50円あげてもらえて喜んだけど、その後5年間据え置きだった、あげて下さいと言おうとしたら、同僚に止められた。なぜならそれを言うと、心証を害して、専任にはなれなくなるし、酷い時はコマ数を減らされるから。みたいなことが普通でした。教務室で「じきゅ…」と言うと「シッ!」と同僚にこわい顔で制される。みたいな。。。

で最近は、人手不足で多少変わってきたようです。といっても、上げるところも出てきた、というくらいです。1500円以下はあまり見なくなりました。3年で50円あがった、学校側から上げようと言ってきた、という驚くべき話も聞きました。5年で他校に専任として移った、ということも起きています。人材の流動化も少しづつ起き始めて、キャリアも多少は金額で評価されるようになってきたということでしょうか。
ただし、上限はあると思われます。今の日本語学校というビジネスモデルには限界があります。ごく一部の例外を除き、普通は2000円まで、元専任だとか校長待遇みたいな場合で2500円までではないでしょうか。

今は若干よくなる兆候がある、ただ、中長期的にみると、どうなるかわかりません。人手不足が解消すれば、元にもどる可能性は大いにあります。不祥事が続き留学生(留学ビザ)に厳しい規制がかけられて、ウマミがなくなれば、日本語学校は早めに売って技能実習生を専門学校に送り込むビジネスに注力しよう、となるかもしれません。全体のパイが縮小すれば、日本語教師不足は一気に日本語教師余り、となり、悲惨なことになるかもしれません。

日本語学校以外のところが直で日本語教師を雇うケースも増えるかもしれません。介護や看護、技能実習生をかかえる地域の会社や人材派遣会社などです。こちらは日本語学校よりは規模も大きく、いい選択肢となるかもしれません。外に目を向けるのも、大事です。

 日本語学校以外のところでの仕事も考えようという記事も書きました。
日本語教室 提案 いろいろ http://webjapanese.com/blog/j/nihongoclassplus/

 では、時給は下がるのか?
日本語学校の経営者は経営は苦手ですが、善良な人が多いので「すまないけど下げてもいいか?」と言うケースもあるようです。しかし、日本語学校では、通常は時給が下がることは少ないようです。1700円で雇った教師は3年後もおそらく1700円です。ただしコマ数が減らされます。その減った分は、新たに1500円で雇った新人が埋めることになります。5年くらいで、1500円の教師に入れ替えれば、元通りです。残念ですが。。。

 「人材派遣系」日本語学校に関しては、ここに書きました。
http://webjapanese.com/blog/j/nazo/

 

仕事の範囲

非常勤だから割り振られた授業をやる。授業の前には教案を作って出し、上司の教師のOKをもらう、引き継ぎなどの打ち合わせや会議に出席する。関連の書類を作る、というような仕事があります。

非常勤でも、担当するコマ数が増えてくると、いろいろと負担も増えてくるようです。時給が上がったら、その分、これとこれをやってね、というところもあれば、時給関係無く、ジワリと増えるということもあるとのこと。専任での雇用をちらつかせながらアレコレと仕事を頼むという日本語学校は90年代から無くなりません。そういうところは専任になったとしてもまた同じようなことが起きると思います。

休めるのか?

休めるんですが、学校によってかなり違うようです。急病以外は、*日前までに、というようなルールがある(そして罰則がある)ケースもあれば、暗黙のうちに「休むなら自分で同僚や上司に連絡して代講をやれる人の手配に協力しろ」という空気がある、ということもあるそうです。いろいろな話を総合すると、専任はもちろん、非常勤も、「急に休むなら代講も探してからにしてくれ」というところも少なくないようです。もちろん、急な欠勤の際も授業の管理をするのは学校の責任で休む教師は、関与する必要はないんですが。

もちろん、当日や前日に授業ができないと連絡すれば学校に迷惑がかかるのは事実ですが、休む理由の軽重はなかなか一致点をみつけるのは難しいものです。例えば、育児(子供の急病)には理解があっても、介護にはない、個人的な理由で急に休まなければということはあるものです。風邪などのフィジカルな病気の場合ははっきりしていますが、精神的なコンディションの場合は、伝えにくいということもありますし、診断書も簡単には出ません(持病など、学校には病気を告げたくないということもあるものです)、病欠であっても、細かいことは言う必要はないはずです。しかし、どんな理由だろうと急な欠勤はマイナス査定として考えるという体質は日本語学校にはあるように思います。

正直、日本語学校には休みたい時に休める雰囲気はないと思います。時々休みがち、というような人は非常勤スタートでは、なかなか信用を得ることはできないかもしれません。理不尽な話ですが、現実はそうなっているようです。

 

 

専任講師として

 

専任の定義

専任は、学校が勝手に採用するというものではなく法務省に日本語教育機関として認められるためには、決まった人数(定員40人にひとり)がいなければならないので、数を国に提出することになってます。いわば国のルールがあります。全員社会保険に加入させなければならないことになっています。

しかしこういう例もあるようなので、全加入かどうかは、怪しいようです。

法務省の告示基準でもいろいろと規定があります。例えば

十四 教員の1週間当たりの授業担当時間数が,その指導経験及び当該日本語教育機関における職務内容の状況に応じて定められ,かつ,25単位時間を超えていないこと。

つまり、週25コマ以上は担当できない決まりです。この25時間は厳しく守るように通達があったようなことを聞いています。新基準で専任の数増やさなければならなくなったので、だからといって専任に多くのコマ数をやらせるのはダメ、というようなことでしょうか。

また主任になるには

ロ 留学告示別表第1の1の表若しくは別表第1の2の表,別表第2又は別表第3に掲げる日本語教育機関の常勤の日本語教員として3年以上の経験を有する者であること。

と3年以上の経験が必要です。これらの法務省のルールは2016年に新しくなり、認可の取り消しもありゆる厳しいものに変わったので、以上を守っていない学校は、法務省に報告しましょう。窓口がわかりませんが、とりあえず、日本語学校の管理に近いと思われる入管の窓口です。
http://www.immi-moj.go.jp/info/

 主任は労働基準法上の「管理監督者」にあたるのか?(残業代はなくても仕方ないのか?)
はっきりとした記述はありません。届け出をする必要があること、主任になるための条件が法務省の新基準でハッキリしていることから、管理監督者にあたりそうな気がしますが、肝心の主任の手当てなどのガイドラインもガイドラインを守るための罰則などもありません。労基法上も、管理監督者は、以下の3つの条件をクリアしてなければならないとなっています。
1)経営者と一体的な立場で仕事をしている。
2)出社、退社や勤務時間について減額な制限を受けていない。
3)その地位にふさわしい待遇がなされている。

主任がそういう待遇を受けているという話はほぼ聞きません。日本語学校でこれにあたるのは校長か大手の学生数がかなり多い(500人以上とか)ところの教務主任くらいでしょうか。それでも「その地位にふさわしい待遇を受けている」かはあやしいところです。労基法上は「管理監督者」にはあたらない、としないと、問題になるのではないかと思われます。

 

専任の待遇

日本語学校は、基本、零細企業ですから、あまりいい話はありません。

これが、まったく調査などがありません。専任の募集から推察するしかありませんが、だいたい月給20万から、主任クラスで25万に近づく、というところです。昔からある大手の日本語学校の専任教師の求人で「1年目の年収、320万保証!」というのを見ました。これはかなりいいほうで、日本語学校は事務職員の他はほとんど中途採用なわけですが、1年目は300万あれば多い方だと思います。ボーナスは年2回でも基本給(10万くらい)の一ヶ月分というのが相場ではないでしょうか。求人でも月20~25万で年収で300万前後ということがほとんどなので、この10万×2の20万でなんとか300万にのせる、という調整が行われている、つまりボーナスは1ヶ月分が通り相場になっていると考えていいと思います。これらは新卒の話ではなく、年齢関係なく1年目はこうだ、という話です。あなたが40才ぐらいなら、ちょっとぐらいは上乗せしてくれるかもしれませんが。経験はあっても、いきなり500万で雇います、というような話はほぼ無いと思います。

問題は5年後、10年後、どうなるのか、ですが、データがありません。私がチラチラ聞いたところでは、ビックリするくらい全然上がりません。20年勤務しても名門校でも500万程度で、役職(校長とか教務のトップとか)で600~700万くらい?(これは数百人規模の名門校です。グループ企業が大きいとか。多分日本に10校あるかどうか?)。

一般の日本語学校の平均値(数百人の学生数で90年代からやってます的な)で考えると、おそらく200万円後半から退職時まで30年くらい勤め上げても500万くらいで、生涯平均年収は400万円を切るのではないでしょうか。塾の講師でも500万前後と言われていますし、公立学校の教員が平均で600万を越えるのと比べるとかなり低いです。一人で子供を大学にやるのはかなり厳しいです。日本語教師は大卒じゃないとなれないんですが。

退職金は法律的な支払い義務はありませんから期待できません。一般論として、零細企業(従業員20人以下)の会社の場合、でないこともありますし、がんばって出すところでも20年勤務で100万円とか、という程度です。ちょっと景気が悪い時期に退職することになったら、退職金はほぼ出ないと覚悟しておいたほうがいいと思います。リタイアがみえてきたら、(早期退職制度とかで首になる可能性もあるし)早めに会社にいる間に社会保険で病気を治療しておく、みたいなテクニックが必要になってきます。

面接時に尋ねてみてもいいですが、普通は面接は非常勤から専任になる際に形だけ説明があるだけですし、その時に「退職金制度がないから専任になりません」と言える立場かどうかはわかりません。あまりアレコレ聞くと専任の話は立ち消えになったりするかもしれませんし。

10年勤務して転職が難しくなる年齢になると、零細企業では、より会社に対する忠誠心を求められる、ということがあります。辞められないし、役職がついて給料は上がらないのにサービス残業も増えていきます。ほとんどの学校は理事長がワンマン経営者、ということになるので、運悪く、機嫌を損ねただけで退職に追い込まれる、みたいなことも普通によく聞きます。労組もありませんし。零細企業で社員になるというのはそういうことです。

(ちなみに小中校の教師は平均年収は600万。退職時はだいたい800万くらいになり、退職金はだいたい2400万円くらいだそうです。いろんな手当て、休業などもフルですし、社会的な信頼も圧倒的です。あなたがまだ若いのなら、大学で国語などの教職をとって学校で教えつつ、日本語教育が必要な児童や地域で日本語も教える道を選ぶべきです。そういうニーズは今後増えますから)

離職率もかなり高いはずですが、わかりません。新卒で就職するケースは少ないですから若くて20代後半で非常勤として勤めて、運良く5年目に専任になったとして、30台半ばです。20年勤務して50半ば。この20年間で、例えば結婚や介護などで、専任から非常勤に変わる人も多いのです。「元専任の非常勤」は時給は多少いいですが、学校にとっては「いろいろ事情をくんでくれる(無理いって授業に入って貰ったり、後輩の指導をやってくれる))便利な人」として、月15万くらいで調整される(あまり時間数が多いと社会保険の負担が増えるのでこのくらいで頼まれる)ということになります。学校としても、専任として給料を払い続けるより途中で非常勤になってくれたほうが安上がりですから。

以下は、日本語教師を対象に、2016年に実施したアンケートです。回答数は38人ですが、日本語教師相手のアカウントで公開したものなので、それほど違ってはいないはずです。ネットでの調査なので、ベテラン教師の回答は少ないと思いますが、そのへんも多少は考慮した設問を作りました。

年収は200~300万、これは、90年代から変わらないはずです。500~600がなくて700万という回答があります。大学教員の場合、10年以上ならば700万になる可能性はあるかもしれませんが、一般的には日本語学校で700万というのは、ほとんど聞きません。大手学校法人の専門学校の日本語科などで順調に出世して30年やれば可能性があるかもしれません。ただしそういうポストは、日本語学校業界には50はないでしょう。大手の名門校でも、20年以上やっても、せいぜい500万前後が天井なのではないでしょうか。

専任の席は限られています。中規模の学校で定員がだいたい300人、法務省ルールだと40人に1人なので、ルールを守ったとして、だいたい7~8人。仮に8つの席があるとして、その席があくのは、転職がないとすると7,8年に一度。転職がある職場なら5年に一度くらいでしょうか。

300人くらいの規模の学校には、非常勤は10~20人くらいはいます。非常勤は3ヶ月ごとに入れ替えがあるので、20席だと年間50人近くが出入りする可能性があります。5年に一度専任に空席ができて、のべ100人くらいの非常勤の中から決まるというところでしょうか。もちろん、非常勤の中で専任になりたいという人は、3割くらいかもしれません。30人。それでもかなり狭き門かなという気がします。専任になったからといって、特に給料がいいわけでもなく、安定するわけでもないのですが。。。

この回答もかなり衝撃的です。通常、非常勤時代は、かけもちをすることが多いので、3年もやれば少なくとも5校ぐらいは出入りするようになると思います。5~10年なら10校くらいでしょうか。この10校のうち専任になりたい、なってもいいなという学校は、結果から推察するのは難しいのですが、多くて3校ぐらいかもしれません。日本語学校が500校あるとして、専任になってもいいなという学校は、150校くらい(データを見る限りでは実際は50校あるかどうかだと個人的には感じますが)1校の平均学生数は150人くらいなので、150校の専任のポストは、150×3.75で562.5ポスト。日本語教師の非常勤は約1万人なので、よい専任のポストの倍率は約18倍くらい、ということになります。

 アンケート「日本語教師への10の質問」より https://goo.gl/zM1lpI

 

 ちなみになにかと話題の、保育士の給料は初任給が年収で268万、勤続5年で311万、10年で366万、20年で450万、主任保育士になるのでだいたい500万近くになります。基本、ほぼ公務員なので、働く時間は月169時間です。「酷い!」と言われて、いろいろ上乗せされたりしてますが、これでも日本語教師からするとかなり羨ましいです。なんといっても国家資格で、公立ならば公務員としての待遇と継続的な仕事がほぼ保証されていますし。
*厚生労働省「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(Excel)

 

どんな仕事があるのか

基本、零細企業の社員なので、仕事はある分だけ、全員でシェアしないと、という発想のところが多いようです。ほぼどの学校でも経営者や「現場の実質的な経営者」ひとりの判断によって人事が決まるので、サービス残業などの貢献度が重視されることになります。際限なく仕事があります。

これまでに聞いたことがあるのは…

翻訳通訳はもちろん、**語ができるとなると、電話応対、学生募集の現地の人との交渉、**国に住んでたことがあるなら話し相手に政治家の秘書とか官僚OBとの会食に同席、寮の掃除、学生のバイト先の訪問、生活指導的な事(アパートの近所とかカラオケ店に行って謝ってくるとか。警察に身元を引き受けに行ったりとか)、進学先の大学や専門学校との交渉、学生の面接練習、面接付き添い、連絡が途絶えた非常勤にコンタクト、「パソコン詳しい**さん」になってしまうと、ルーターの設定からサイトのメンテナンス、「**さん、ごめんトイレットペーパー買ってきて!」などなど、「これはしなくていい」という仕事は経理と重要書類を扱うことくらいでしょうか。(しかし昔経理していたなどとウッカリ履歴書に書くと「ちょっとごめん…」ということになるかも)

教務だけ、教える仕事だけで理論的な支柱、みたいな教員は、学校にとっては、それほど大事ではなく(替えがききますから。プライドが高くて「その仕事はしません」みたいな空気出すし)、いろいろやってくれて(学生も非常勤に対しても)面倒見がいいみたいな人が主任になり、偉くなっていきます。「教務事務」などという役職も90年代からありました。要するに事務もやってね、ということなんですが。

しかし、もろもろの仕事に手当てがつくかどうかは学校次第です。通常業務のうちだと言われてしまえばそれまでなので。「ウチは教務と事務の線引きはちゃんとしてます」という学校でも、経営が厳しくなってくるとどんどん人が減っていき、そうは言ってられなくなります。しかも、入管がちょっと審査を厳しくしただけで学生数が半減、経営はぐらつくのです。

 あるいは、その学校に多い話者の言語ができるみたいなことも重視されるみたいです。近年、韓国の学生が多かった時は、韓国語能力重視だったけど、東南アジア重視になって、そういう教師がいっせいにお払い箱になった、みたいな話も聞きます。学生の国は今後も10年周期(もっと短いかもしれませんが)で変わっていくので、「***語が得意です!」は賞味期限が短いかもしれません。

教師のキャリアは転職時にどのくらい評価されるのか?

これも経験がちょっとあるくらいだと+は無し、非常勤で上限(他校で専任暦が長いなど)で+300円じゃないでしょうか。専任も主任があれば、少し上乗せ、主任として勤務の場合も400万くらいが上限で、あとはどんな経歴があっても、同じ、というところだと思います。

 博士だとどう処遇したらいいのかわからないので採用されないはずです。修士も「うちは高い時給払えないから」となるか「ウチは経験で査定になってるから」とほぼ0査定というケースもあるようです。ほとんどの国内の日本語学校は、従順なみん日職人が欲しいだけなので。
また、基本、日本語学校は有名な学校は「有名だなー」程度の知識しかないので、得に**校で働いていたから欲しい、という発想はほとんどないと思われます。経験を評価するとしたら、自分のところで、人間関係など問題なくやってくれて、あれこれ教えたり、研修しなくて済む、ということででしょうか。その保証としての経験なので、力量を査定する、ということではありません。なので、やはり基本+200円くらいが限界です。+300円は例外。

海外のキャリアは?

海外で教えた経験は、基本的には上で述べたとおりです。そもそも国内の学校の経験の査定も低いので、国内の普通の学校と同じくらい。「海外経験だから」という査定はないはずです。修士も語学力も、国内の日本語学校では査定しようがない、一応いくらか上乗せしないと格好が付かないけど、それを払うぐらいなら安い人雇った方がいい、というのが本音かもしれません。媒介語を使った授業はほぼないし、一人だけ媒介語でやってもらっても困る。という学校は多いはずです。

ただ、上でも書きましたが、媒介語を使った進学クラスや補習などをやろうというところはあるかもしれないので、それは文科省のリストをみて自分ができる言語を活用できる学校かチェックし、さらに「進学予備教育」をやっているところに事前に媒介語を使った授業をやれる教師を採用するか、訊ねてみるのもいいかもしれません。媒介語を使った日本語の授業による進学指導は、成果を出しているところも出てきて注目されてます。

ボランティアで海外で教えてました、という経験は、基本査定は0だと思います。これも日本国内と同じで、「海外だから」という+要素はない、ということです。

 

日本語学校は女性にとって働きやすい職場?

そもそも育児や介護などのサポートが期待できない非正規の比率が7割という時点で「働きやすい職場」とは言えないわけですが、女性が多いこともあって、そういうイメージはあるようです。

できる範囲で検証してみます。

 

女性の比率

女性が多いという印象がある日本語教師ですが、いろいろな調査があります。

まず日本語教育学会の会員の男女比があります。

女性が75%(?)ということでしょうか。一般の日本語教師も会員ですが、大学の研究者がメインなのでやや男性が多いのかなという印象です。民間の日本語学校は90年代は90%以上が女性でしたが、男性も少しづつ増えています。

文化庁の日本語教育実態調査では男女比の調査ありません。

日本語教育能力検定試験の調査では、男性は20~30%です。転職を考えた時、検定試験は420時間よりも働きながら取得しやすいので男性が多いのではないかと言われています。
http://www.jees.or.jp/jltct/result.htm

大学や公的機関では男女関係なく採用されるので男性がやや多いという印象です。民間の日本語学校は女性が8割以上なのでは?と感じます。ただし専任講師は男性が若干増えるという印象です。専任になるには男性のほうが有利という声はよく聞きます。人事権をもった経営者はほとんどの場合男性で、男性を選びがち、というようなことが理由のようです。

文科省が新たに2017年に公表した日本語学校の基本データからみてみます。ここには校長と教務主任の名前がありますので、名前から男女を推測して、数えてみました。(一部記載がないところもあり、数え間違いもあると思います誤差は+-5前後?比率にはあまり影響ないはずです。)

校長:360校中 男性は275人で76.3% 女性は85人で23.6%
主任:354校中 男性は107人で30.2% 女性は247人で69.7%です。 

主任の女性の比率は男女比の構成(8割)からすると、若干女性が少ないという印象です。校長になると、女性はわずか23.6%。日本語学校の場合、経営は理事長なので、校長は教務のトップということになるんですが、校長は理事長と仲のいい人が雇われ校長みたいな形で座ることもあります。つまり女性は日本語学校での出世は、主任どまり、ということになります。ただし、大きな学校では複数の主任がいて、そのトップという役職もあるとは思います。

前にも書きましたが、この主任という役職は法務省でも規定があるので、多少は給料など待遇はよくなるはずですが、「経営的な」「出勤退勤時間が自由」という管理監督者にはあたらないのではと思います。つまり管理職にはあたらず、残業代も受け取る権利がある。管理責任者と言えるのは、校長からではないでしょうか。この点、注意が必要です。

校長になると急に男性の比率が76%になるということは、校長は教務のトップではなく、経営者にとっては経営の片腕という要素が大きいということだと思います。つまり主任など教務の仕事の延長上にあるポストではないということです。従って、経営者の意向が強くでる。雇われ校長でなく元教師が校長になるケースは、ほとんどの場合、教師感で尊敬を集めているとか、国際感覚とか知識教養(修士や博士持ってるとか)ではなく、まず中小零細の経営者に信頼されるような要素が優先され、どちらかというと「熱血」みたいなことが重要になるのかなという気が(外からみてると)します。ケースバイケースだとは思いますが。

 民間の日本語学校の男女比は90年代は女性は9割を超えていたと思いますが、2010年以降は、男性も少し増えてきました。今は女性7~8割ぐらいではないかと思います。就職先としてはかなり難しい民間では、研究職が含まれる日本語教育学会の比率(75%)よりやや女性が多いとみて間違いないと思います。

 法務省の規定では、校長が有資格者の場合、専任の教師としてカウントしていいことになっています。ST比の規定などをクリアするためなるべく専任を雇いたくない学校は雇われ校長ではなく、有資格者を校長に据える、というケースがあります。

日本語教育関連団体の役員の女性の比率

以下、名前からの類推ですが、、、

日本語教育学会の役員は22名中女性は10名。評議員40名中女性は17名と会員の比率(女性が75%)とはかなり違います。
http://www.nkg.or.jp/guide/g-meibo2017.pdf
(調べたのは2015年の名簿です。このリンクは17年のもの。どのくらい変化があったかカウントしてみてください)

日本語振興協会の役員は12名中女性は1名。評議員25名中女性は3名と圧倒的に男性が多いようです。
http://www.nisshinkyo.org/about/pdf/j46.pdf
全国日本語学校連合会は、役員18名中女性は2名です。
http://www.jalsa.jp/soshiki.html

学会でも女性の比率が役員の数には反映されておらず、民間では経営者から選ばれることもあって、完全に男性優位ということがうかがい知れます。

 職業別女性の比率というのがここにあります。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/04/blog-post_28.html
美容師、図書館司書、介護職員と比率が似ているということになります。

 

東洋経済の「主婦に密かな人気」という記事

「日本語教師」でググると上位に表示される東洋経済の「主婦に密かな人気、「日本語教師」は稼げるか」という記事があります。この記事では「子育てしながら続けやすい」としてその理由を探るという形で書いており、結論でも「効率よく稼げるわけではない。しかし、子育てしながら続けられる日本語教師は「手に職」願望の強い主婦にとって確かに魅力的。「勉強しても勉強しても奥の深い世界」(加藤校長)だからこそなおのこと、やりがいもある。時代も追い風だ。飛び込んでみるのもいいかもしれない。」と結んでいます。

しかしこの記事は、インターカルト日本語学校周辺の取材とインタビューをしたというフリーランスの教師一人だけで、他に取材をした形跡がありません。書いてあるのは、なんとなく業界で知られている相場の時給や報酬ぐらいです。肝心の「子育てしながら仕事がしやすいか」という点、例えば育児休暇はとれるのか、出産後に復職できるのか、というような大事なこと、はまったく客観的なデータもなく、取材も、検証もありません。

それでも最後はなぜか「子育てしながら続けられる」「主婦にとっては魅力的」「飛び込んでみるのもいいかもしれない」とライターは結んでいます。

アクセス数を増やすのもなんなので、アーカイブ化したページが以下にあります。以下からどうぞ。
https://archive.is/MR545
https://archive.is/S739f
https://archive.is/bTYlJ
https://archive.is/gOykQ

 そもそもこのライターはこの学校の講師であったということがアルクの体験談などで確認されています。(現在は削除されています)。つまり、ほぼ職場周辺での取材のみです。それが「女性にとって働きやすいか」というようなテーマで、日本語教師でググって上位に来てしまうのは、とても残念です。

 

女性にとって働きやすい職場とは?

まず採用、昇進で男女による差別がないこと。採用では少ないと思いますが、昇進では明らかに差別が存在するようだということは書きました。校長の比率は23.6%。これは少なくとも50%は超えていなければならない。この点は日振協などの業界団体が、本気で調査して情報公開をしていく。ガイドラインを作り改善していく姿勢を見せないかぎり変わることはないでしょう。

その他、どういうことがあるでしょうか?制度的なサポートはあるか?労働基準法などで女性に対する配慮(育児や出産などを経ての職場復帰など)があるか、みたいなことも大事です。

 

7割以上の非常勤講師がいるわけですが、勤務時間を調整して雇用保険などへの加入義務が生じないように学校側が調整している、という話は聞きますが、育児や介護休業が取得できる雇用保険をはじめとする社会保険の加入を学校が促進している、という話は聞いたことがありません。アンケート調査でも項目を設けましたが、こんなカンジでした。

 アンケート「日本語教師への10の質問」より https://goo.gl/zM1lpI

 

 

育児休業(介護休業)

育児も介護も女性の仕事というわけではありませんが、実態として女性の負担が大きい現実があります。子育てと介護が同時に来るとその費用は月額8万くらいという調査結果もあります。高齢で出産するとこの「同時」はかなりリアリティがあります。

日本語学校は法務省の認可を受けている日本語学校は、専任講師は社員で社会保険の加入が義務づけられています。しかし、専任講師は、日本語教師の3割弱に過ぎません。また、この3割弱が育児休業をちゃんと申請し、休暇が取れているか?職場復帰ができているかは、調査をしないとわかりません。私が知る限りでは、育児休暇を法律どおりとっているかはかなり怪しいと思います。介護休暇で休んでいるという話のほうはまったく聞きません。(しかし大手のスーパーなどではパートの人も介護休暇が取れるようになってきています)この点、業界団体の調査が待たれます。

日本語教師の大多数である非正規の非常勤講師は、社会保険に加入しているという話は聞いたことがありません。法律上は、非正規でも育児休暇は取得できます。条件は以下のとおり。

0)雇用保険に加入していること。

1)同一事業主で1年以上働いている(日々雇用される者を除く)
2)子供が1歳になっても雇用されることが見込まれる
3)1週間に3日以上勤務している
4)期間雇用の場合は、子供が1歳になってからさらに1年以上あとまで契約期間があること

まず0)の雇用保険に加入しているかという条件がある時点で、もうほぼ無理です。そういう非常勤の日本語教師は超少数派です。私は100人以上の日本語教師と面接してきましたが、会ったことがありません。

会社は「週の労働が20時間以上で、30日以上働く人」には雇用保険に加入しなければなりませんが、日本語学校はコストがかかる雇用保険をわざわざ適用させようとしないはずです。社会保険の説明でも書きましたが、学校にとって20時間は重要な数字。20時間以下で済むよう、きっちり調整してくるはずです

日本語学校の非常勤講師は、おそらく3)と4)もひっかかります。一週間に3日以上勤務している非常勤は半数くらいでしょうか。さらに雇用契約は学期ごとであるケースが多く(契約期間を明示しないケースも多いが習慣として3ヶ月ごとに学期が変わることが多く、担当コマ数も変わる)1年以上の長期雇用契約を交わすことはあまりないはずです。

日本語学校の非常勤講師が妊娠をして、育児休業を申請し、1年休む。その間、手当てを受け取り、1年後に職場復帰した話は、これまで20年間聞いたことがありません

取得できるのは、産後休業は出産の翌日から8週間。そしてこの産後休業から原則子供が1才になるまで取得できます。この約1年の間 育休前の日給 × 日数 × 67%(6ヶ月以降は50%) の金額を受け取ることができます。これは会社が払うのではなく雇用保険から支払われますから、もし日本語学校が女性を大事にする職場であれば、非常勤の雇用保険の加入を積極的に進めていくはずです。

日振協とかJaLSAなどの日本語学校の業界団体が調査して公表し、非常勤講師の半数以上は雇用保険の加入の義務化、あるいは加入率8割など数値目標を作ってやるなら「日本語教師は女性にとって働きやすいところだ」と言ってもいいかもしれません。週20時間という規定はあくまで「やらなければならない数値」であって、業界でより厳しい規制をかけることはできるので。どちらか一方の団体が明確に数値目標を掲げて、達成度を公表するようになれば、そっちのほうが女性にとって働きやすい、ということになるとは思います。

 最近、法律が改正になりました。
育児・介護休業法について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
産前産後休暇について
http://www.roudou.net/ki_sanikukaigo.htm
*ギリギリまで働く、出産後すぐに復帰する専任教師は結構いるようです。私もみました。法律的な処理はどうなっているのか。。。

 介護も男女問わず大変な問題です。介護休業もほぼ育児休業と同じような条件なので、日本語学校の非常勤講師に適用されることはまずありません。

 

復職はできるのか?

育児や介護だけでなく病気など長期の休みが必要となった時、復職できるのかも大事なポイントです。

日本語学校では「給料や待遇に文句を言わない、サービス残業を厭わない便利な非常勤としてみとめられれば」便利なコマとして在籍させてもらえる、という側面があります。その意味では、そこに所属していれば、非常勤として復職はしやすいのではないかと思われます。ただし、フルタイムに近い形で働いていた人が1年休業してまた同じ時間働ける形で復職できるのかは、?です。規定上ギリギリのラインなら、抜けた分は補填しないといけませんし、そうなると、復職した際に席はないことになります。おそらく一旦休業するとなると、復職はできても、週数コマくらいで安い時給で働く便利なベテランでよければ、可能、というくらいではないでしょうか。

現状では、日本語学校業界団体でガイドラインを作り、定期的な調査をする、匿名で通報できる窓口を作る、罰則も含めたペナルティを作るみたいなことがないと、零細企業が中心の日本語学校業界では女性が働きやすい環境を作るのはかなり難しいと思います。そもそも非常勤で雇用保険に入っている人はほぼいないので、育児や介護で休業はもらえず、辞めるしかないわけです。この雇用保険加入促進からはじめるべきだと思います。例えば、日本語学校の非常勤で多い「週5コマ以上」で「2年以上事実上(「事実上」は大事。少々途中で途切れても累積で2年あれば認められることにするなどとしないと、適用逃れでぶつ切りにするところもあるので)の雇用契約がある」なら、雇用保険の加入は義務とする、とか。

ともあれ、現状では、一般企業に較べて、常勤、社員という立場では、同じ条件での復職はほぼ不可能、と言ってもいいと思います。もちろん非常勤なら同じ条件で復職できる可能性はあるのですが。

 

再び、日本語教師は女性にやさしい職場か

ここ数年の政府の積極的な取り組みもあって、今は、中小企業でも、社員でなくても、育児介護休業は、女性はとりやすくなっています。レジの仕事でも事務のパートでも派遣でも、条件を満たしていれば、申請できる会社はいくらでもあります。

日本語学校は、まったくそういう話は聞きません。日本語教師養成講座の広告は、相変わらず「やりがいがある」「海外で仕事ができるかも」です。

もちろん、女性が多いので、妊娠中や子育ての事情で休んだとしても、融通が効くというところはあるかもしれません(そうしないと女性が多い職場ですから仕方なく、でしょうか)しかし、それは、もう今や当然のことで、理解があると評価する次元の問題ではありません。(もちろんすべての職場がそうではないですが)

日本語学校業界では、ごくごく一部の学校を除いて(そういう学校があると思いたいのでこういう留保をつけておきます)、女性が働きやすいように、制度としてサポートしたり、手当てを支払うというようなことは、ほぼないと思います。日本語学校の組織団体でも、女性が働きやすいサポートをするということを聞いたことがありません。女性の経営者がリーダーシップを発揮して発言していくといことも聞きません。「女性が働きやすい」というのは、ちょっとしたことに理解があることは当然で、きちんと制度としてサポートがあり、育児休業もしっかり取れる体制があってこそなのでは、と思います。

「日本語学校は女性が働きやすい」という声があるとしたら、それは、今の一般的な企業の事情を知らない人が、なんとなく女性が多いから子供の病気などで休んでも代講を頼みやすい、くらいの話で言っていることなのではと思います。20年前なら、評価できたことかもしれません。しかし今でも、日本語学校では急な事情で休む場合は理由のいかんを問わず「あなた同僚に代講頼んでくれない?」と代講教員を探させられる、みたいなこともよくあると聞きます。休みがちな非常勤は確実に仕事を減らされます。

90年代からこれだけ女性が多い職場なのにも関わらず、女性にとって大事なサポートがまったくされていないというのは、これまで日本語学校で働いてきた女性達の責任でもあります。なんとなく融通が利くくらいでやり過ごしてきたという側面があると思います。そして、そういう人達が「私たちもがんばってきたんだから」と壁になっているということはないでしょうか?学校の経営は大変なのに、非常勤のくせに介護休業なんて、という発想があるのでは?もうちょっと他の会社、社会をみるべきです。8割近くが女性の職場なわけですから、日本語教師という職業のためにも、女性が働きやすい職場にするために、これからは力を貸してほしいと思いますし、現役で働いている方々も改善に向けて発言していって欲しいなと思います。

ほんとに女性が働きやすい職場なのか?は、女性が働きやすい職場とはどういう職場で、それがすべての日本語学校でどの程度行われているか、業界団体などが、どう考え、女性が働きやすい職場にしようと取り組んでいるかなどが、重要です。業界団体にそれを期待するのは無理かもしれません。現場の日本語教師に名前を出して声を上げろというのも難しいかもしれない。そこをきっちり取材する人が現れてほしいものです。

 


 

【コラム】職場としての日本語学校、リアルなところ

このブログの他の記事「日本語教育あれこれ」で「日本語教師が日本語学校でキャリアを積む茨の道」として、実際に学校の中のムードはこんなカンジかな、ということを書きました。以下、要約して転載します。

実際の学校での比率は専任3に非常勤7くらいであることは日本語教育振興協会の調査でもわかっています。数字では表れない部分ですが、この非常勤の「7」のうち、専任になりたいという人はおそらく(多めに見積もって)2くらいです。残りの「5」は、フルタイムの仕事はしない。非常勤のままでいい、そのほうが都合がいい、あるいは資格をとったので経験のためちょっとやってみたかった、という人達です。経験20年みたいなベテラン非常勤講師も多いです。

日本語教師に興味があり、ボランティアからスタートし次にステップアップしたい非常勤になりたいと考えた時、現実的には、この全体の「5」の「非常勤でいつづける」ことが最重要という腰が重い非常勤教師達の席が空くのを待つか奪わなければなりません。この「5」の人達が非常勤のままでいるために行わなければならない最大の努力は「待遇や賃金に不満を言わないこと」です。買い手市場の中、サービス残業も厭わずやる、簡単な**語の翻訳、通訳的な仕事も無償あるいは時給の範囲内でやる、みたいなことも、じわじわと増えてくる。

この「5」の、自らの待遇に関して諦めた非常勤講師達が作る空気は、やる気のある新人日本語教師の心を折ります。もちろん、これらは長年かけて雇用側の意識が育ててきた空気が生んだ人達であり、さらに、脆弱な経営基盤でも、教師を育てず、日本語を教える力で競争しなくても、あるいは学生数が少々減っても、営業力と学生紹介のパイプがあれば生き延びられるような業界の体質、構造に問題はあるのではないかと思います。

2015年以降は日本語学校の就職は狭き門ではなくなりつつあります。入るのはできるかも。しかし、もうひとつ、日本語教師志望の方のために付け加えると、ボランティアから非常勤になるためには、上だけじゃなく下からの圧力も大きいことも忘れてはいけません。

つまり、今、ボランティアで熱意をもってやっていて学校でも教えてみたいという人、あるいは養成講座を終えて日本語を教えてみたいという人(あなた?)が運良く非常勤になったとして、(そろそろ「選別」を受ける)3年後には、あなたの日本語学校がやっている日本語教師養成講座を修了した3年前のあなたのような人があなたの席を奪いにくるわけです。「とにかく教える経験がしたい」「時給はいくらでもいいですから!」と。

その3年後は日本語教師は買い手市場になっている可能性があります。売り手市場で高かったあなたの時給より安い時給でもいいから働きたいという人がドッと来るわけです。

この20年間、日本語教師の離職率は極端に高いままです。しかも、職業としてまじめに続けようと考える人から辞めていきます。最初の数年はどんな仕事でも勉強が必要な時期でハードです。時給の安さだけではなく、雇用の不安定、将来性などを考え、心が折れて転職、というパターンです。ほぼ5年以内に。今、民間の日本語学校は、3割の経験20年以上のベテラン専任講師と、残りを、5年以下の非常勤を入れかえながらまわしているようなところがたくさんあるはずです。

 

プライベートレッスン

相場の推移

私達のグループは90年代からプライベート専業でした。主に東京近辺のビジネス関係者相手です。欧米の顧客が多く、個人より法人が中心でした。日本語のプライベートレッスンの相場は1時間単位でいうと、90年代はじめまでは、大手の日本語学校は1万円前後だったと思います。その後ジリジリ下がり始めて、90年代半ばから後半にかけてフリーペーパーなどを媒体に小さなプライベート専門のところが出てき始め、6000円前後になり、2002年ごろからはネットでの依頼が増えて、一気に4000円に、その後すぐに3000円になりました。

私の見立てですが、2000年に入って日本語教師養成講座が乱立するようになり、2002年ごろに学校からあぶれてくる(学校で担当コマ数を減らされた)教師がどっとプライベートレッスン業界に入ってきました。その人達が、プライベートレッスンに活路を見出そうといっせいに始めることになり、この2002年を境に相場がグッと安くなっていきました。また、2007年ごろから、外資系企業が東京から引き上げていきました。残った人達もカフェで中国語を勉強するようになっていき、ビジネス関係者の日本語レッスンの需要はグッと減っていったと思います。

基本的に、プライベートレッスンの相場の歴史は、ここ20年ぐらいは、個人で広告をうつ人達が安めで設定し、その額が2,3年で標準価格になっていく、というプロセスを経て、ジリジリ下がっていっています。

現在は個人でレッスンを探す人達は、仲介サービスで探す場合も、2000円から、という発想になっていると思います。大手の学校でも5000円くらいなはずです。スカイプの相場は個人なら有資格者でも1000円くらい。大手の仲介でもスカイプなら2000円なので。

時給でいうと、1時間5000円はちょっとよく見えるかもしれません。日本語学校の時給は長く1500円の時代がありましたから。では1時間の妥当な金額とはいくらなのか、考えてみましょう。

 

こなせるコマ数は?週に年に何コマ?

プライベートレッスンは基本相手の家やオフィスに行ってやります。だいたい時間は60~90分。週に2回くらいがよくある依頼です。

東京都心だと、レッスン場所の移動に1時間かかります。4コマだと
自宅→レッスン場所1→レッスン場所2→レッスン場所3→レッスン場所4→自宅

で移動時間が5時間、健康な若い人でもこれが限界です。つまり1日4コマ。午前2,午後2というところです。

ただし、仕事の依頼は都合良くスケジュールを埋めてくれません。だいたいいくつかのパターンがあります。掴む顧客によって違いはあるのですが、一般論として。。。

1)土日の依頼は少ないです。

2)週2コマやろうという人で、たいていは月火で1コマ、木金で1コマで週2コマ。火金のパターンがとても多い。

3)ビジネス関係者相手で、オフィスではなく自宅で(個人払いで)レッスンの場合は仕事の前後なので、日中の依頼は少ないです。

4)英会話教師などだと午前と午後のシフトがあるので、わりと日中に依頼が入ります。

 たまに短期滞在や日本語能力試験対策などで短期で毎日やりたいみたいな依頼が来ます。

つまり、ビジネス関係者相手だと日中の依頼は少なめ。英会話教師もターゲットなら日中も入ります。英会話教師は1時間4000円は厳しい。したがって両方ターゲットにしてスケジュールを埋めることを優先するなら3000円あたりの設定です。それは安いと5000円でやるなら日中の依頼を埋めるのは、かなり営業をしなければなりません。それでも、週の真ん中は入りにくく、早朝はあっても、その次の時間帯~正午まで、午後イチもあまり入りません。夕方から8時くらいまででしょうか。典型的な一日のコマの入り方は

早朝(7ー10)→昼休み(12ー13)→午後か夕方に1コマ で3コマ。たまに夜(18ー20)に1コマです。
ただし、これはレッスン料金に競争力があり宣伝もうまくいっているか、強烈な営業力がないと、こんなに順調には入りません。

結論ですが、相場を上回らない料金で、がんばっても週10コマ埋めるのが精一杯というのが普通だと思います。

さらに1年フルにレッスンが入るわけではありません。外資系は休暇は長く、クリスマスのかなり前から休みです。1年55週として稼働は多くて45週、風邪ひいたり出張があったりデート、二日酔い…、でキャンセルもあります(キャンセルフィーを100%期待するのは無理です)。せいぜい、40週というところです。

週10コマ×40週=400コマが一年でできるコマ数です。

あとは1時間あたりのレッスン料金をかけるだけです。5000円でも年200万円。3000円なら120万円。
つまり、1コマ5000円でも、年収は200万。生活保護ギリギリの年収なのです

 経費はあまりかかりませんが、交通費は仮に1日1500円とすると、40週(平日)は約200日なので、交通費で年30万円です。

 

現実に設定可能なレッスン料金

プライベートレッスンの料金は値上げはほぼ不可能なので、その人が設定できる額には限界があり、レッスン料金はほぼ一生変わりません。手取りの額でいうと、5000円でも年収200万なので、常識的には1万円はほしいところです。が、もちろん、今、1時間1万円払う人は超少数派です。いろいろな層があり、英会話教師は4000円は厳しいというのは書きました。

今、フリーペーパーなどの相場は、スカイプなら30分500円くらいです。これは法人でも同じ。訪問でも2000円程度。有資格者とのマッチングサービスでも2~3000円からです。質が高い教師には高い価格をつける工夫をしてもせいぜい5000円。平均は1時間3000円前後が相場だと思います。じゃあ、ウチはもっと安くやろうと始めても、その安い設定のレッスン料金を数年後に値上げするのは、ほぼ無理です。なぜなら、その安い設定価格は、3年後標準価格になってる可能性があるわけなので。

しっかり払える法人やVIPを相手にするといっても、スカイプレッスンでも、すでに大手でも有資格者で25分500円になってしまっています。訪問レッスンで、法人でしっかり払える人だけをターゲットにするといっても、伝統企業は大手の日本語学校ががっちり掴んでいますし(といっても大手の日本語学校のプライベートレッスンの相場もジリジリ下がっていて今は5000円くらいなはずです)新規の顧客獲得ができて、週に10コマ埋めるのはほとんど不可能です。「高度人材枠」でVIPが増えるかも、という声はありますが、そういう人、日本語やらない可能性も大いにあります。日本語能力はビザの要件になってませんし、通訳雇える人も多いでしょうから。

 

結局、プライベートレッスンは…

プライベートレッスンだけで生計をたてるのは、ほぼ無理になったと思います。2000年代はまだ学校の授業の間での補填として多少は意味がありましたが、2010年以降、日本学校の時給も1800円近くになってきましたし、移動時間や営業が必要なことを考えると、学校でコマ数を増やしたほうがいい、という時代になりつつあります。本来は有資格者が訪問して、その人にあった形でレッスンをするわけなので、1時間1万円の価値はあったジャンルなのですが、日本語教師がスキマに入れて教室と同じくらい稼げればいいと、食いつぶしてしまった感があります。残念です。

 

海外で教える!

概観

今、日本語教師の資格をとろうという人は、待遇は悪いことは知っていて、それでも海外で仕事をしながら滞在することができるならやってみてもいいかな、と考える人が多いようです。若いうちに冒険しておこう、就職失敗したとか、今の職場がしっくりこない、で、空白期間を作るなら、とか、リタイアして海外に住む体験をしてみよう、というような。。。

基本的に、どこの国であれ、その国で派遣される地域の言葉ができないと、ほぼ就職は不可能です。就労ビザがおりません。あと教える仕事は特に、就労ビザをとるには、大卒じゃないと厳しいと思います。おそらく今後は修士マストになっていく。就労ビザの取得は、中国をはじめ、どんどん厳しくなってきています。10年前の体験談は役に立ちません。

海外で日本語を教える!みたいなフレーズは日本語教師養成講座や検定試験の殺し文句なわけですが、実は、資格とったからといって、海外で働ける可能性があるのは、今なら東南アジアの1,2カ国です。おそらく、今後、これが増えることはありませんし、この1,2カ国も10年働ける保障はまったくありません。「海外で日本語教師が不足!」と言われますが、これはどこかの国で一定数日本語学習のニーズがあるとか、日本語学習熱が高まって教師が足りない!ということではないんですね。

仮に海外で日本語教師が足りないほど学習熱が盛り上がっているならば、その国では、少なくとも英語教師のその国の給料の相場並みのお金は支払われるはずです。英語教師の世界各国の給料の相場は、「english teacher salary abroad」などで検索すると出てきます。中東などの特殊な国を除いても東アジアでは、だいたい2500ドル(27万)くらい。東南アジアでもベトナムやタイ、中国などでも2000ドル(22万)くらいです。しかし、日本語教師の海外の求人では、中国で10万ちょっと。ベトナム、タイでは5~10万円くらい。ニーズがあり、不足しているならベトナムやタイでも日本語教師に20万くらいは払えるはずですね。英語教師には払えるわけですから。

海外の日本語教師の給料は、日本語教師の給料同士で比べるのではなく、まず、この英語教師の相場を調べて比べてみると本当にその国で日本語のニーズがあるのかがわかると思います。「**国の生活レベルでいうと十分な給料です」などと言われて誤魔化されないようにしましょう。基本、日本に帰国する前提の求人で、滞在中に貯金もできず、日本の社会保険を払うのも大変、日本に帰国したとたんに困窮するような給料設定はやはりおかしいのです。仲介業者や雇用主などの日本人は、そこはクリアした報酬を得ているわけですから。

 英語教師の給料の相場、サイトによって、幅がありますが、これは学歴や資格によって変わるからです。英語教師の場合、資格はなくても大卒なら採用みたいなところが多いです。日本語教師の場合、求人の条件は最初から4大卒で有資格者がほとんどなので、英語教師の相場と比較するならその相場の上のほうで考えてもいいはずです。

 英語教師の給料がいい国
https://www.gooverseas.com/blog/esl-teacher-salaries-9-countries-where-youll-make-bank

インターン

資格をとってまず海外を目指す、国内の日本語学校に愛想が尽きて海外に、といろいろですが、そのまま現地に住み続ける人は超少数派です。1年くらいで帰国する前提のものが多いようです。90年代はいきなり海外で就職するのは不可能でしたからインターンから始めて採用されれば、と考えた人は多く、そういうサービスが増えました。しかしインターンから本採用となることはほとんどなく、インターンの派遣先は常勤は最初から現地採用の教師でまわしていて、インターンはあくまでインターンでした。これは今でも同じです。

大学で

2000年代の最初までは、修士をとって海外の大学で就職、という道もありましたが、2000年代にはかなり厳しくなり、2010年代になって、ほぼ無くなったと言ってもいいと思います。博士があっても厳しいようです。博士取得の勉強中に日本の大学と関係がある姉妹校に数年行くみたいなことはあるようですが。。。

海外の大学の求人は日本語教育学会の求人情報が最も多いと思います。日本の大学から海外に派遣されるものや海外の大学からの直接の求人などです。
http://www.nkg.or.jp/boshu
さすがに民間の求人サイトみたいに月額2万円みたいなのはないですが、アジアでは、せいぜい10万円くらいです。修士でもプラス1万円程度。学士でも応募できますが、当然修士博士が有利です。

他のジャンルの院はわかりませんが、日本語教育の世界では、正直、2年通う時間とお金があれば修士の資格は簡単にとれます。結果、修士は、玉石混交ということになっています。大学で日本語教育を専攻して院に進んだ人と、肩書きのために院に入った人では、かなり違う。2年間で専門用語をおぼえるだけで精一杯、みたいな修士取得者はかなりいて、やっかいなことに、そういう人ほど専門用語をふりかざしてしまう、という傾向も。。。それでも、取得した修士を最大限に生かしてサバイバルしよう!セルフブランディングでビジネスの道を!、とか、あるいは、大学で人脈を広げてなんとか大学に残ろう、国際交流基金の日本語専門家に応募しよう、みたいな人もいるようですが、修士を取ったけど、そもそも勉強が得意じゃないみたいな人も多いようで、修士を看板に生きていくのはかなりつらそうです。

ちゃんと研究したいことがあって、博士までしっかり行って博士号も取得できそう、という人じゃないと研究の道は厳しいと思います。数学はまったく苦手、とか、言語学の難しい論文はぜんぜんわからない、みたいな人はどんどんつらくなっていき、脱落した時は手遅れみたいなことになるかもしれず、就職先として考えるにはギャンブルだという気がします。

 もちろんあなたが若くて、日本語教育で研究したいことがある、少なくとも興味があるジャンルや関連分野ではどんな勉強も楽しく感じる、というのなら、何も考えずに大学院に進めばいいと思います。

現地の民間の日本語学校で

東南アジアの一部の国を除いて、就職先として可能性があったのは90年代までだと思います。今も、時々「**国では日本語が人気!」的なことが言われますが、全体として90年代から急降下して下げ止まりに来て、今は低値安定で微減中、というところですから、あったとしても条件は悪く、いつ消えるかわからないという状況だと思います。

今はベトナムの日本語学校でしょうか。事情はよくわからないので、多くは書きません。日本語教師の通信講座では、あるベトナムの日本語学校の責任者が「1,2年滞在するつもりで…」「スイーツが美味しいです」とアピールしてましたから、資格さえとれば、いけるのかもしれません。もちろん、ベトナムのニーズはいつどうなるかわからないわけですが。。。

現地の日本人学校など

いわゆる継承日本語として日系の人達相手に教える学校があります。ブラジルや米国など。そこでも定期的に募集をしていますが、席は少なく、最低でも現地の就労ビザが必要ですし、現地の小学校や中学の教員免許が必須のケースが多いです。日本から応募するのはほぼ無理です。それに、継承日本語は現地の人達にとってとても大事なことなので「ちょっと体験」で応募するところではないと思います。

日本人学校

いわゆる駐在員の家族相手に授業をする学校です。日本語というより国語的な授業、年齢によっては受験勉強のサポートみたいな仕事が多いそうです。こちらは日本の教員免許が必要なケースが多いです。これも、現地の就労ビザが必要ですし、日本から気軽に応募できるようなものではないようです。

東アジアの求人

東アジア、中国、韓国、台湾は、学習者は減りつつあるといっても、まだ日本語学習者は多く、大学だけでなく民間の学校もあります。ただし、このエリアは資格をとっただけでは難しいようです。ただし日本と同じくコネ社会なので、そういうルートで就職できることは「稀に」あるとのことです(それでも新人をいきなり採用は少ないと思います)。

台湾には、まだ民間の日本語学校もあるので、そういうところでは、バイト的に日本語教師を募集するところはあるようですが、基本、台湾語ができないと継続的な採用は難しいとよく聞きます。台湾語の能力は重要とのこと。これは韓国でも同じような状況らしいです。

大学などでは、修士を持っていれば、就職できる可能性はあるようです。これは中国、韓国、台湾で、かなり違うようなので、現地の人などに会ってお話しを聞くなどして情報を収集してください。東アジアも日本語学習者は減少傾向なので、10年前、20年前に比べると就職は厳しいと思います(特に韓国)。10年前の体験談はあまり参考にならないということに注意です。以下は、私も最新事情は知りません。なんとなく知ってることにネットの情報を加味して書きました。これをたたき台にして、後はご自身で今の状況を調べてみてください。

□ 中国

コネ社会なので、謎のルートで就職している人は結構います。90年代に、職安などで資格を取れば元教員の人や企業で勤め上げた人などは簡単に中国で仕事があった時期がありました。
しかし、中国は、基本ブランド志向なので、大卒、教員免許、(中国でも有名な)企業で出世した人などは、有利になるとのこと。日本の大学のブランドも重要らしいです。中国でそこそこ有名な大学でも、名門大学を卒業して教員免許を持っていて大企業にいた人が、日本語をどう教えていいかわからず、テキトーな授業をしている、でも継続的に採用されている、という話は中国の日本語教育の世界では「あるある」です。

ちゃんとしたルートでも、中国語がある程度できて日本語教師の資格があるなら応募して採用されることもあります。資格をとっただけの人にはハードルが高いのではと思います。2017年にビザの要件がかなり厳しくなりました。これまで細々と続いてきた人脈ルートは軸になってる人が引退するまで形式的に続く可能性はありますが、今後は基本的には修士がないと大学やその他でも、働き続けることは難しくなるのではと思います。

□ 韓国

日本語学習者が激減中です。とはいえ、対人口比率だとまだまだ日本語学習者が多い国です。

かつては、資格を取得して海外で教えるなら韓国、でした。大卒だけでも現地の大学で修士を取得して大学で教え続けるというルートがあり(これは現在もあるようです)2010年あたりまでは、これで韓国に渡った日本語教師は多いはずです。しかし、2010年以降、日本語学習者は激減しました。教師はそこそこいて、学習者が減っているというタイミングなので、就職はしばらく厳しいのでは、という気がします。

韓国の日本語教育事情は、現地の日本語教師のSNSやブログなどを読むのが一番だと思います。発信者も多いです。ここ数年の変化などもわかるはずです。なので、説明はここまでです。

 それでも韓国は、対人口比では、台湾と共に圧倒的な日本語学習者の比率は高いのですが。

□ 台湾

バイト的な採用は時々あるようです。しかし台湾も基本的には日本語学習者は減少傾向です。私はあまり詳しくありませんが、聞く限りでは、やはり台湾語必須で、資格がないと継続的な採用は厳しい。大学では修士以上が必要、ということのようです。

東南アジアの求人

ここは、ちょっと体験、2,3年滞在してみよう、という人が応募して実際に実現できる可能性があるようです。需要があるのは、

1)基本、市場が開放されてる。あるいは開放が始まった。
2)民主主義がまだ定着しいない。
3)対中関係が悪い。

国が日本のお得意さんです。

今、求人があるのは、ベトナム、ミャンマーなどですが、ベトナムは社会主義国ですし、ミャンマーはまだかなり政情は不安定です。民主化、自由化が進み、経済的に豊かになったら日本語学習の需要は減っていきます。それも念頭においておいたほうがいいと思います。もちろん、クーデターとか選挙で政権が変わり、親中路線になったら、日本の企業と共に日本語学校も引き上げることになります。

ミャンマーに関しては、こういうツイートもありました。

留学、人材ビジネスと関係ない人の目からみると、こう映る、ということだと思います。

*ミャンマー、スリランカは、ベトナム、ネパールの次の市場だ!と留学生ビジネス関係者が注目している国々で、2015年以降、少しづつ留学生数も増えています。「**国で日本語学習者が増えている!」というのは、いつもだいたいこんなカンジです。

オーストラリア

オーストラリアは90年代に日本語教育を義務教育に取り入れて日本語学習者がかなり増えました。30万人程度に一気にふくれあがりました。その後、政権は中国シフトとなり、日本語も選択科目のひとつとなり、選択する人が減り、という流れです。しかし学習者数は30万人前後まで回復しているようです。学習者数は米国よりも多い数です。(オーストラリアの人口は約2千万人で台湾と同じくらい。米国は約3億で日本語学習者は15万くらい)

オーストラリアでの日本語教師の需要はインターンなどのボランティア的なものと、いわゆる小学校、中学校での需要、大学の日本語コースです。インターン、ボランティア的なものは、後述します。

小学校や中学校では本格的な日本語学習というより、先進国によくみられる「文化理解、相互理解の学習としての日本語学習」という側面が強くなっているようです。日本語を勉強しながら文化や習慣を学ぶ。教師は日本に留学経験がある豪州人で日本語能力はそれほど高くないし教える資格もない、というところです。したがって、ここは原則として、資格を取得した日本語教師の職場ではありません。公立学校などでの相互学習の学習者数もカウントしているので数が多めに出る、ということもあるようです。つまりお金を払って学校に通ったり、選択科目で自ら日本語を選んで日本語を勉強しよう、という人はそれほど多くない、というわけです。

中学や高校では、本格的に日本語をやるところもあります。ただ、これも資格をとったから応募できるというものではなく、基本、英語力がしっかりしてて、修士博士があったほうがいい。当然オーストラリアの教員免許が必要、もしくは持っている人優先、というところのようです。

大学でももはや修士だけでは厳しいという話を、かなり前に、聞きました。オーストラリではインターンやボランティアで行けるとしても、「就職」のハードルはかなり高いと思われます。

 


 

以上、ざっと書いてみました。以降は、現在資格をとって海外で、という人が目が行きがちなところに関して、少し深く書いてみます。

 

海外でインターン!

問題が多いんですが、騙されたことにウッスラ気づいていても、とりあえず海外に行けたからいいか、と考える人も多いので、無くなりません。結婚詐欺と似ています。国際貢献、日本語学習者のためになるなら、と考える人は多いようですが、貢献したいのなら、まず経験を積んでよい教師になってからでいいと思います。インターン制度の中で、経験が少ない教師から、しかもとっかえひっかえで、教わることしかできない学習者は不幸ですが、その構造を支えているのは、インターンで仕事をする日本語教師です。

言うまでもなく、無償で、安い給料で働くことで、まともな日本語教師として生活しようという教師の給料の相場を下げ、仕事のポジションを奪っているということになります。それは、あなたが将来、本気で日本語教師としてやっていこうと思った時に実感することになるでしょう。2015年以降、国内でも海外でも、日本語教師の需要は少しづつ高まり、きちんと給料を払うところが増えています。ボランティアではなく普通に就職活動すればいいと思います。

結局、インターンで働くことは、インターンビジネスの人達の収入に貢献することにはなっても、日本語教育に貢献することにはほとんどならないと考えておいて下さい。しかも、日本語教師としてのキャリアとしては、認められません。それでも海外行けるなら利用する、ということなら止めることは出来ません。

海外でインターンやボランティアで働くということは、基本的に「ほぼ法律的に労働者とはみなされてない環境で」「知らない国で」働く、ということです。かつての日本の技能実習生と同じです(今は労基法で労働者と認められてますが最初のころは違いました)。

増加する「留学等斡旋サービス」トラブル : 国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20050510_2.pdf

弁護士ドットコム インターンに関する法律相談
https://www.bengo4.com/c_5/c_1629/c_1729/
*関連記事はざっと読んでおいたほうがいいと思います。

日本語教師の海外インターン斡旋業者は、90年代の初めからあります。日本では、インターン制度そのものが禁止でしたが、海外ではインターンで働く習慣があるので、そういうところに派遣する。交通費と住居費はでるけど給料は出ない(もっと出ないケースもあります)。最初のほうでも書きましたが、日本の最低賃金を明らかに守ってないものがほとんどで、そういうものは、日本の法律で保護されないと考えておいたほうがいいです。ケガしても病気になっても何の保証もないはずですし、トラブっても泣き寝入りです。

 民間の保険に加入するから大丈夫と言われるかもしれませんが、法的に保証されていない、ということは覚えておいた方がいいですよ。

海外で働ける!と考える人がいるかぎり、インターンは、無くならないかもしれません。しかし、もう海外での日本語のニーズもかなり少なくなっていますし、この種のインターンやボランティアも、減っていくはずです。日本の企業が進出した先で、一時的にあるかどうかということになっていくと思います。海外で仕事をしたいなら、JICA(競争率それほどじゃないですし、給料もちゃんと出ます。ケガ病気も対応してくれるし、紛争があったら現地スタッフや外務省の人脈を駆使して飛行機を手配して助けてくれます)か博士をとって日本の大学から派遣される形で行くみたいなことでないかぎり、やらないほうがいいと思います。日本語学習熱が高かった90年代ならともかく、今や先細りの海外日本語教育機関で自己責任で行くのはリスクが高すぎると個人的には思います。

 

海外でボランティア!

ボランティアも、上のインターンと変わりません。ちゃんとしたインターン制度がない国では、ボランティアという呼び方になるだけ。相手国の法律の下でやることになるので、どうなっても知りません。とはいえ、普通に満足して帰ってくる人もいますし、それぞれの考え方なので、自己責任でとしかいいようがありません。

時々、貧しい国で日本語を教えようというのを見かけます。貧困からの脱却のためにスキルを、というものです。しかし、少し考えてみましょう。

1)日本語が将来に繋がるとあなたは確信できるのか?
2)日本語が上達したら仕事を紹介すると言っている人達はその子供が成人し家庭をもつであろう10年後20年後まで保証してくれるのか?
3)日本で最低賃金で働かせればいい、みたいな人達は周囲にいないか?
4)なぜその主催者は、貧困から脱却するためのスキルならボランティアではなくよい教師を確保しようと考えないのか?

貧しい地域にこそ、質の高いものが必要です。基本、援助というものは、そういう考えでモノゴトを進めるのが普通です。それが可能になるマネージメントを考える能力がない人が、安かろう悪かろうをあてがうような援助をしている、それで食っている、という例はたくさんあります。善意であったとしても数少ない人脈が途絶えたり、キーマンがいなくなれば終わってしまうような形で続けることには個人的には疑問を感じます。特に教育では教師の質を度外視した援助はありえないと思います。仮にニーズがあるなら一流の教師を確保すべきです。

日本語が上達しなくも外国語を学習した経験が貴重、というのは理解できます。そういうプログラムは世界中で増えています。ただし、それも、国のしっかりした教育制度があってのことです。マイナスにはならないでしょう、でも優先順位が違うのでは?という話です。

海外では外国語教育に割く予算がないに違いない、というのも違うようです。例えばベトナムは2008~2020年の12年間の教育改革に約50億ドル(560億)近くの予算を組んでいます。日本は英語教育の強化がかなり話題になってますが、そのための予算はここ数年は毎年10億くらいみたいです(英語の試験のスコアは日本よりベトナムのほうがいいという結果が多いようです)。

ベトナム国家教育制度における外国語教育・学習(2008年~2020年)プロジェクト 国際交流基金
http://d13km0x9ddrpfq.cloudfront.net/iwtcore/uploads/2012/08/1-4%E5%A4%96%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E5%88%B7%E6%96%B0%E6%94%BF%E7%AD%96%E4%BB%AE%E8%A8%B3%EF%BC%89.pdf

東南アジアで日本語学習熱が高まっている!というのも、かなり誇張があると思います。まず英語で、日本語が積極的に選ばれているというわけではないようです。こちらの論文には、ベトナムの外国語熱について記述があります。

ベトナムの言語教育政策 ― CEFR の受容と英語教育、そして少数民族語 ―
http://www.tufs.ac.jp/common/fs/ilr/EU_kaken/_userdata/haida1.pdf

アジア諸国における英語教育の取組み 英語非公用語国を中心として 文科省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/015/siryo/__icsFiles/afieldfile/2014/08/12/1265543_001.pdf

ベトナムで日本語は第一外国語になったのですが、98%以上は英語を選択し、日本語は1%以下だという報告があります。英語教師を招待していますが、英語教師不足だと書いてあります。国で普通にお金を払って外国語教師を呼んでいるということのようです。

アジアのインターンやボランティアの募集でよく言われる「日本語学習熱が高まっているけど、教師が不足している!」というのは、かなり濃いダウトです。単に、日本の企業の現地法人や日本国内で人手不足で困っている会社から「そこそこ日本語できて安く働けるヤツを育成してくれ、なるべく金かけずに」と言われているだけ、ということが多いようです。

 ちなみにベトナムの英語教師の給料は、民間の英会話学校で、$1500から $2000の間とのこと。日本円だと16~24万。希少価値があるはずの日本語教師(5万くらいから)と比べてかなりいいです。

 


 

もし、教育が行き届かない国があり、援助したいと思ったなら、まず、その子供が住んでいる国で教育を受けられるようなことに寄付するなり、がイチバンいいと思います。政府がダメなら、国連を通じての援助があります。よく知らない人の仲介で、現地に行って日本語教えて、その仲介者の生活を支える必要があるのか?もう一度、考えてみて下さい。

いずれにしても、ボランティアの話は、きちんと待遇、条件を公開してないものは絶対に避けた方がいいと思います。SNSで「詳細はDM(LINEで)ください」みたいなことを書いている人やブログで募集しているだけのものは、インチキかどうか以前に法を守る意識が薄い(求人の際はきちんと条件待遇は明記しないとアウトです)ことはあきらかですから。

 90年代はじめ、突然、ロシアの求人が増えました。日本語教育関係のメディアや有名な求人場所で散見されました。給料は当時で20万円台後半だったと記憶しています。悪くなかったです。その後、突然ロシアの求人は無くなり、すぐに地下鉄サリン事件が起こり、オウム真理教がロシアで大規模な布教活動をしていたことがわかりました。確認はしていないので、詳細はわかりませんが、今も、海外で日本の新興宗教団体が日本語教育を軸に布教活動をしていることはわかっています。そのへんもちゃんと確認してからのほうがいいと思います。日本の宗教団体は国内では有名な団体でも国によってはカルト認定されていることがあり、関わると逮捕される可能性もあります。

 後述しますが、国際交流基金から派遣される日本語専門家は、先進国でも途上国でも関係なく、だいたい年収で600~1000万です。経験7年程度の中堅の日本語専門家で基本給が10万に手当てが20万、経験15年以上の日本語上級専門家で基本給が30万に手当てが30~50万。これに住居手当が国よって違いますが、上限で、ベトナムで月30万円、中国で上限で月40万くらいです。ベトナムの例だと2016年の例だと、中堅の日本語専門家のほうで、基本給10万、手当てが20万、住居費が30万支給なので、だいたい月50万くらいでしょうか。いわゆる一部上場企業のベトナムでの待遇の平均値くらいだと思います。日本の企業がやることなら、専門的な知識を持つ人間を海外に派遣する場合は、これくらいは出すのが普通なのです。

 


 

日本語を教える仕事に就こうと考えた時、インターンもボランティアも、経験としてはほぼカウントされないと考えておいた方がいいと思います。

ただし、就職に役に立つ可能性はあります。履歴書や面接であなたがインターンとかボランティアやってたことを伝えたら、学校側は「こいつは経験0じゃないし、しかも経験0として雇用できる。その上、安く使っても文句言わなさそうだ」という印象を与えることができるからです。もちろん面接では「やる気がある人は歓迎ですよ!」とか「根性あるんだねえ」などと言うと思いますが。

 

海外の労働関係の法律

JETROにも、各国の概要含め、レポートなどがあります。また、OVTA(Overseas Vocational Training Association)という組織のサイトに各国の労働関連の法律の概要があります。求人にコンタクトする前に、まずJETROで概要を掴み、特に「外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用」をしっかり読む。次にOVTAのサイトもチェックしておく。もしそこに行くことになったら、プリントアウトして持って行くほうがいいと思います。

JETRO
https://www.jetro.go.jp/
OVTA
http://www.ovta.or.jp/

*ここも書籍版でより詳しく整理していく予定です。

 

その他の選択肢

 

大学の講師として

大学のポジションは主に2つあります。ひとつは、留学生センターとか留学生別科というところで教える仕事。これは初級レベルからの場合もあるので、日本語学校と同じです。もうひとつは大学の学部で研究しながら学部生も教える仕事です。

別科的なところで非常勤講師をするのは、修士がないと難しいと言われています。1コマ4000円くらいからで、まとまったコマ数があるわけではなく、他の大学とかけもちをしたり、日本語学校や日本語教師養成講座の講師などで、なんとかやっていけるかどうか。待遇はかなり悪く、5年で雇い止めで訴訟になったりしています。大学は今いろいろと厳しいようで、語学にまわすリソースはないみたいなことになってます。

留学生が多い私立大学は、時々30万くらいの月給で募集をしています。同じところからの募集は多く、なかなか定着しない様子です。学生の質も低く(ほんとに勉強しないということも多いとのこと)、大学のほうも数集め目的なので、とりあえず日本語の授業をあてがっておくか、みたいなこともよくあるようです。職場環境はいいとは言えなさそうです。学校法人による地方の私大経営は一族経営が多く、バカ息子とその仲間達、みたいな人達がおかしなことをしても、職員は従うしか無い、みたいな地獄絵図も多いらしいです。

それでも修士を取得し、留学生別科をわたりあるくという道もないことはないようです。博士まで進めば、運がよければ、日本語教育は教職で必須となることが決まりそうですし、大学の教養課程や教職でコマ数が増えそうですし、他のポスドクに較べるとマシかもしれまません。

 なぜ大学で5年雇い止めが問題になっているかというと、勤続5年ならば、期間契約から無期契約へ申請すれば変更できるという法律があり、組合などもしっかりしているので申請する人が多いだろうと予想されるからです。きちきちと契約する大学では、5年でカットしないと、社会保険などコストが嵩むことになりますから、5年でサヨナラになるわけです。民間の日本語学校ではこういうことはほぼ起きません。契約もテキトーですし、無期契約に申請する人はほとんどいないようですから。。。

 

国際交流基金の「日本語専門家」

 

概要

日本語専門家の海外派遣
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/dispatch/

国際交流基金では日本語教師の募集が時々あります。こちらのページに載ります。過去の募集要項もありますので参考にしてください。

採用情報
https://www.jpf.go.jp/j/about/recruit/
(「日本語専門家 公募」などで検索すると直近の募集要項が出ます)

海外に派遣される日本語教師はだいたい130~150名前後で、日本語指導助手と日本語専門家と日本語上級専門家の3段階に分かれています。国際交流基金の職員ではなく、国際交流基金が外注的に業務委託をするという関係。時々公募は行われていますが、採用や内部の昇進がどうなのか、受験者数、合格者数、新規の合格者数、すべて非公開なので、よくわかりません。ブリティッシュカウンシルは、幹部の食事代まで情報公開しているんですが…。チラチラ聞こえてくることを総合すると、、、

それぞれ公募ですが、内部昇進もかなり多いとのことなので、例えば、いきなり上級専門家に応募しても受かるのは難しそうです。日本語専門家は修士がないとダメみたいなので、普通は、最初は助手から申し込むということになりそうです。募集もそれほど多くないので完全な新規で採用されるのはおそらく年に5~10名前後かもしれません。かなり狭き門です。FAQはありますが選考、倍率など募集に関することに関してはほぼ情報がありません。

2009年の事業仕分けで日本語専門家についてどういう身分なのかと訊ねられた国際交流基金は「業務委託という形でお願いしている」というような回答をしています。「なぜそういう形で?」という質問には「お認め頂けなかったので…」と暗に職員としてやっていきたかったが、ダメだった、というような回答もされています。本来は職員として雇いたいが、やむなく形式上は外注で、というところでしょうか。

現在も職員ではなく、業務委託という関係のようです。社会保険などは自分でやることになってます。そのかわり、よほどのことがないかぎり、継続して雇用は保障されるようです。国内勤務のポジションもありますし。退職後もいろいろと再就職への便宜(関係のある大学の席など。最近は難しくなりつつあるようですが)はあるようです。日本語専門家として雇用されれば、大きな問題がなければそのまま上級専門家となることができ、その後へ継続的な雇用は内々には保障されるのではと思います

 YouTubeの当時のやり取りが残っています。
https://www.youtube.com/watch?v=eMqiua8A4ik&index=5&list=PL0_2Y5MxEhNwDGTEth1n4jn3Bgp0zwdu-

 日本語専門家のことはサイト上には一切紹介などもなく、この文書に一覧がちょっとあるくらいです。どんな仕事をしていてなどの基本的なことも、修士を持っているのか、論文があるのかも、まったくわかりません。専門家派遣がいつはじまったのか、何人どこに派遣したかの歴史、どういう方針か、などのこれまでのデータも一切国際交流基金のサイトにはありません。あるのは現在の人数と派遣地域、最近数年のレポだけ。求人の時に待遇がでるだけです。正式な職員ではなく業務委託、ということは、身分が不安定ということでもあります。強めの行革の風が吹いたら(職員より先に)ターゲットとなる可能性はあると思います。後述しますが、コストがかかるリアル教室運営と教師としての日本語専門家は、代替可能だと判断されても仕方ないと思います。

応募条件?

応募する際の条件はよくわかりません。基本的な英会話能力などもありますが、教えるだけでなく派遣地域のコーディネートなどもやるので、コミュニケーション能力も重視されるようです。日本語に関する専門性は、それほど要求されないようです。現在、応募条件としては、日本語専門家と日本語上級専門家は募集時に修士を持っていること、となってますが、今の人達が、全員が修士を持っているのかはわかりません。

正直、日本語教育の世界では修士は院に通えば自動的に2年で取れる的なものも多いですし。。。特に論文の数などが問われるわけではありませんから、日本語専門家、日本語上級専門家は査読付き論文がほぼ無いみたいな人でもなれると言ってもいいと思います(そもそもCiNiiで検索しても専門家の論文はほとんど出てきませんし…)。なにしろどういう人が登録されていて、経歴はどうなのか、一切公開されていないので、わかりません。

基金の設立は72年。専門家の募集や派遣はいつからどのくらいの規模で行われてきたか、これも資料が見当たりません。少なくとも90年初頭にはオーストラリアなどへ派遣が始まっているようですから、25年以上の歴史はあるものと思われます。

年収は基金の平均が約900万とのことなので、それに準じたものになっていると考えてよさようです。給料は社会保健面のサポートはないようですが、住居手当などもしっかり出ます。

 大学で修士を取得して日本語専門家にチャレンジする価値はあるか、よくわかりません。コーディネーター的な仕事は政府としても必要でしょうから、そういうことをしてみたいのならば、悪くないかもしれません。大学に戻れそうなら、数年やってみるという選択肢もあるかもしれません。ただし、普通に研究したいとか、日本語を教えることに興味があるなら、大学に残れるなら残るほうが得策という気がします。修士のまま国際交流基金で働くよりは、大学で博士を取得したほうが将来は開けるはずです。

 日本語専門家の専門性?
2017年3月に、CiNiiに登録されていたもので言うと、国際交流基金所属の著者による論文は241本で、生物学など日本語教育以外のものも、1,2割ありますからおそらく日本語教育関連のものは200本弱。引用された論文は9本です。学術研究への貢献度は低いと言わざるを得ず、日本語教育の専門性はそれほど問われないと考えてよさそうです。大学のように、修士だから、博士だから、最低限ここはクリアしている、というような最低限の品質保証的なものは日本語専門家、日本語上級専門家には期待できないように思います。

 

募集例でみる収入

2017年の募集
https://www.jpf.go.jp/j/about/recruit/

募集人数

募集人員は日本語上級専門家が15名、日本語専門家が25名、助手が3名となってます。このうち新規で応募して合格できそうなのは助手の3名枠と、あとの枠はそれぞれ内部での昇進がほとんどなのではと思われます。上級専門家はほぼ内部昇進、修士を持っている人が日本語専門家に応募すれば、助手からの昇進組と競争になって、もしかしたら、、、というところなのでは。

応募条件

・日本国籍、日本語が第一言語でないとダメみたいです。健康であること。4大卒(日本語専門家、上級日本語専門家は修士相当)年齢制限はあまりなさそう。
・米国枠は条件が違うこともあるようです。例えば35才以下、日本語教師の経験は問わない。免許。など。

*ポジションによっても違うので、最新情報で確認してください。夏頃に募集があることが多いらしいです。

報酬と待遇

2017年の募集要項でみてみます。

□ 日本語専門家

2017年の募集でみると、3つのうちの真ん中のポジションである経験7年以上の日本語専門家は、給料が約30万(ベトナム)~35万(仏)、住居手当が20万くらいで、年収でいうと600~650万です。7年経験にしてはかなり良いかなと思います。(日本語学校では7年目で最も多いパターンは「すでにクビになってる」ですが、運良く居続けたとしても300万くらいなのでは)

サンプルPDF(当時掲載していたものを保存したものです)

□ 日本語上級専門家

最も上の日本語上級専門家の募集では、経験年数が15年で給料が65万(ハンガリー)~80万(中国)で住居手当がやはり20万くらいなので、年収では、一千万近くということになります。国際交流基金の職員の平均年収が900万ちょっとと事業仕分けで出ていましたので、それに海外勤務手当てが加算された、というところでしょうか。

サンプルPDF(当時掲載していたものを保存したものです)

 社会保険は基本自己負担とのことですが、報酬の他にサポートの費用などを考えると、人件費だけで、一人あたりのコストは1500万くらいでしょうか。2011年の事業経費をみると

拠点での教室運営         3億0987万5921円 (派遣20名)
米国拠点での教室運営&派遣      6230万8009円 (派遣15名)

日本語派遣 日本語ネイティブ派遣  8123万4508円 (52名)
日本語上級専門家派遣        4億9788万8177円 (61名)
日本語専門家派遣         2億2979万2691円  (64名)
日本語指導助手派遣          5958万2173円 (24名)
シニア専門家派遣           607万1015円(1名)

となってますので、上級専門家で1人平均820万、専門家で360万円です。その他、合計、人の派遣で9億ぐらい、拠点での教室運営は3億程度。合わせて12億くらいです。国際交流基金が日本語教育の専門家を内製しリアル教室を各国の大都市で運営するのは、かつて日本語教育が盛んでない時代には必要で大事なことでしたが、現在は、大学での研究機関も充実してきましたし、日本語教育で修士、博士を持つ人も十分な数がいます。近い将来はコーディネーター的な職は残るとしても、日本語を教える仕事はリアル教室からネットに、教師派遣は、自製ではなく大学の研究者を紹介する式にとってかわるのが自然なのではと思います。いつか行政改革の波が来れば、この日本語の専門家の自製と海外のリアル教室運営、教師の派遣がずっと続くかどうかは?というところなのでは。

 ちなみに同年の国際交流基金のウェブの予算は約4000万円です。

 

その他の公的機関の日本語教師

 

AJALT

公益社団法人 日本語国際普及協会(AJALT)は、国内では最も大きな日本語教育専門の公的機関です。中国からの帰国者の日本語教育がスタートで、現在は、技能実習生がメインのようです。在籍している教師は、よくわかりませんが、普通会員192名 賛助個人会員33名とあるので、この普通会員が教師のことみたいです。

70年スタートで、留学生は70年代に経産省を中心に日本語学校を軸にやることになったのですが、同時期にAJALTは「留学生以外」をだいたいサポートするという棲み分けがあったようです。中国からの帰国者相手の事業がほぼ終わってからは、90年代に入って厚労省からの委託を受けて技能実習生の日本語も担当するようになっています。生活者相手ということで、文化庁とも連携しているようです。地域のボランティア教師養成の講座などもやっているとのこと。

「留学生以外」ということで、ビジネス関係者の日本語教育にも関わっていました。Japanese for busy peopleは90年代は英語圏ではベストセラーでしたし、Japanese for young people は、海外の若者相手で使われることがあるようです。しかし、あまり大幅な改定はされておらず、ウェブでの日本語学習コンテンツも90年代に予算が下りて作ったのをそのまま放置している状態で、基本的にAJALTの日本語教育は、80~90年代半ばあたりで止まっている、というのが個人的な印象です。

しかし、長く国の委託をうけてあれこれとやっているので、まだ、いろんな政府系機関に便利に活用されています。私は国内の日本語教育は若い研究者を中心に新しい教え方、教材を活用して一元化、再編成すべきだと思いますが、まだ続くかもしれません。

どういう日本語教師がいるのか?

はわかりません。サイトにもありませんし、CiNiiでは所属している人の論文はまったく出てきません。時々募集をしていますが、特に420時間などの条件はないようですが、ひとつ外国語ができないといけないようです。採用後、100時間の3万円の研修を受けることになっていて、その研修中は時給は2000円とのこと。研修終了後は、おそらく後述するHIDAの登録教師と同じくらいの時給(3600円)になるのではないでしょうか。こういう金額は政府系組織では横並びになることが多いので。

登録教師(非常勤)として年費を払い、登録してあとは依頼を待つということになりそうです。長くいれば教材開発など出世(?)するのかもしれませんが常勤的な身分があるのか、給料待遇はなど、一切わかりません。

 

文化庁

文化庁の日本語コーディネーターは、謎のポジションコーディネーターになるための(?)研修の受講料は無料です。経費や旅費は自己負担の研修を受ければ、「日本語コーディネーターの研修を受けた人」として登録されるようですが、受講資格は、地域の国際交流協会などで3年以上活動して推薦を受けないとダメとのこと。待遇はどうなのか、まったくネット上に情報がありません。地域で日本語教育のアドバイスなどをする仕事のようですが、文化庁の日本語教育関連の予算は5億円以下くらいであり、給料が出るとは考えにくいですし、それほど大きなプロジェクトとは言えないのではと思います。いずれ国内の日本語教育は一元化されるでしょうし、その時、コーディネーターがどうなるかはわかりません。

 

文科省

文科省の教員研修センターでは、93年から続いている教員相手に日本語教育の指導をするJSLプログラムというものがあるようです。そこには「日本語指導員」という肩書きがあるとのこと。児童の日本語教育の計画を作ったりしています。ここも謎の機関で、どういう人が指導員になるのか、どういうことをしているのか、まったくわかりません。日本語学会の役員が関係者に名前を連ねていますが。

2015~16年に行われた公立小中校での児童に対する日本語教育に関する会議「学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議」では、最終的に、この日本語指導員も活用する的な文言が最後にちょろっと入ってましたから、存続はしそうです。

 

経産省

HIDAは日本語教育の世界でかなりのシェアを持つ「みんなの日本語」を作っている組織です。(正確には全身のAOTSというところが、元になった日本語の基礎という教科書を作った)。
そういう意味では影響力は大きいのですが、経産省が予算を割いて日本語教育に関与しているということでもなく、現在は、このHIDAという組織を軸にEPA関連(看護、介護はこの枠組みから技能実習生枠になりそう)をメインに展開しているようです。

日本語教育センターで、(おそらく)企業から委託を受けた学生や研修生の授業をやったり、教師を派遣したりしているようです。2008年からは来日したEPA関連の人の授業もやっているとのこと。登録している日本語教師は2016年の時点で160人とありますが、募集は時々見ます。420時間、検定試験合格などの条件と多少の経験が必要っぽいです。時給3600円は破格ですが、「登録教師」なので、基本的には非常勤なのではと思われます。どの程度定期的に、あるいはまとまった仕事があるのかは、わかりません。

 

EPA関連 (国際交流基金+経産省)

上の経産省のところで出てきたEPAという枠組みがあります。2008年スタートで看護と介護の人材を日本に派遣する仕組みです。
これは仕切っているのは国際厚生事業団というところで厚労省が仕切りみたいですが、日本語教育に関してはなぜか経産省と国際交流基金でやることになっています。

これはフィリピン、インドネシア、ベトナムとの三カ国との協定で決まったもので、しかも、それぞれの国で結んだ協定が違うので、ややこしいです。ざっくり言うと、送り出し国である程度のレベルまであげる研修があり能試で足切りラインに合格したら、日本に送る。日本でも日本語の研修がある。送り出し国と日本で日本語を教える仕事がある、というわけです。

日本国内では、上のHIDAがいろんなところに教師を派遣しています。海外では、国際交流基金が日本語専門家と同じように募集しています。現地で教えることになるようです。

ただ、EPAの枠組みで日本で看護師となるのは、スタートから7年で2000人程度、じわじわ増えていますが、2015年で500人。制度がきっちりしているし、日本の受け入れ施設が費用を負担するので、この枠組みはあまり大きくなりそうもありません。1000人が限界という声もありますから、規模が大きくなる可能性は低いです。しかも、介護に関しては、2017年からは、技能実習生や日本語学校を経由して福祉系専門学校という、よりハードルが低い、2つのルートができたので、将来どうなるかわかりません。3カ国との協定なので、日本の都合では止められないと思いますが。。。

募集、条件など

経産省の募集は上の項目にあるHIDAで募集。国際交流基金は、この送り出し国の日本語教師を「日本語講師」という名前で時々募集しています。条件は、いわゆる有資格者で、新規の派遣で月14万、二回目以降は17万円、旅費は出ますが住居手当はなしで寮を提供と日本語専門家とは待遇がまったく違います。JICAと同じくらいというところでしょうか。7ヶ月単位での派遣で、各国30人くらい募集がある、という形です。

待遇もイマイチで、期間限定、制度そのものがいつまで続くかわからないわけですが、継続的に派遣されるケースもあるようですし、元々看護や介護が得意分野の方などは、看護はともかく介護の日本語のエキスパートとして、送り出し国の事情を知っている日本語教師として、例えば福祉系の専門学校や大学など、国内で就職に繋がる可能性はあると思います。

「日本語講師 国際交流基金」 で検索するといろいろと出てきます。

 


国立国語研究所

日本語教師に対する研修やセミナーをやっています。国内の研究者が講師で、かなりレベルが高いです。ただ調査研究が中心なので、日本語教師を登録して派遣したりということは、今のところはないようです。

http://www.ninjal.ac.jp/

 


 

日本語教師が雇用される政府系組織としては大きなところはだいたいこのくらいのようです。他にも地方自治体や関連団体などで、数名から10名くらい採用するようなところはあるとは思います。また、教える仕事にこだわらなければ、関連団体の職員(例えばHIDAとかAJALTとかの事務職)みたいなもののほうが(多分、天下りのおじいさんが急にトップになったりということが日常なんでしょうけど…)就職できるなら、待遇は圧倒的にいいと思いますが。。。

いずれも新規の募集は少なく、公募なのかどうかもハッキリしませんし、ほとんどの場合、非常勤的なもので、経験者優遇みたいですから、資格を取ったから就職!という対象にはならないようです。その他の各省庁ごとの日本語教育関係の機関、組織に関しては、このブログの記事「日本語教育あれこれ」の「日本語教育に使われるお金」をお読みください。
http://webjapanese.com/blog/j/nihongokyooikuarekore/#i-34

 

 

起業して!

いきなりはほぼ無理です。「資格をとったから、スキルはベテラン教師を活用して」というのもわかりますが、やはりある程度のこと(日本語の教え方とか、学習者にとって壁になりがちなところはこのへんとか)はわかってないと、厳しいと思います。ベテランを使おうにも信頼を得られないということもありますし、、、それはともかく、語学での起業自体がかなり厳しいのです。

正直、他業種と違ってネットを利用した起業にはあまり可能性がないと思います。なぜなら日本語学習者は、基本、インフラが弱いところにおり、払える金額も少ないですし、今や、ネットの語学ジャンルは超大型ベンチャーが数百億単位の資金を調達して世界中にサーバーをたててやることになっていますので、ひとり当たり月3000円くらいで数十万の顧客相手にやってどうか?あるいは無料で広告収入だけで何十人かいる年収1千万のプログラマーと百人単位の社員に給料払えるか?という世界だからです。

もちろん、大手はあまり日本語はやってませんし、小さくやる方法はあるかもしれません。

スカイプでライブでレッスン!

と考える人は多いようですが、今やスカイプレッスンの相場は、顧客が払う価格が25分500円です。これは国内のスカイプ英会話(講師は東南アジアの国々で人件費をおさえたビジネスモデルです)と同じです。日本語教師は安く雇えるので、こうなったんですね。教師として稼ぐのは不可能。主催者として稼ぐのも、運よくトップシェアにでもなれば、生活はできるかもしれない、というところでしょうか。

eLearinigを!知り合いのプログラマーと! 

と考える人はいるかもしれません。しかし国際交流基金は2016年に無料でコーチングしながらのオンラインコースを始めました。半年たって月の訪問者は2万人程度、地方のアイドルのサイトくらいです。MOOCもやってますが、これはJMOOC全体で月3万くらい。ほぼ廃墟です。しかし、どちらもDuolingoのようなちゃんとしたものではないので、もうちょっと洗練された学習サイトを作れば勝てるかもしれません。

ただ、最初に書いたように、今語学ベンチャーは、基本、インフラがそこそこの国すべてを対象に、必要なら現地にサーバーをたててやります。集めるお金も億単位です。2017年、ついにDuolingoの英語圏向け日本語コースも始まりました。まだ初級前半くらいまでですが(日本の大企業でも雇うのは無理そうな…)かなり優秀なエンジニアが関わっているようです。YouTubeで検索すると動画がたくさんでてきます。Duolingoは、今後有料のコースも作るそうです。知り合いに声をかけてやるくらいのことで勝てると思うならやってみてください。

他にも、語学のオンラインレッスンをやってるところはありますから、日本語をやってない大手に企画書を持って行くほうがまだ可能性はあるかもしれません。いずれにしても、教える経験も多少はないと学習者のニーズを掴めませんし。

いやまだまだ可能性が!

他にもネットやデジタル方面、日本語教育はまだまだなので、スキマがありそうに見えますが、多分、日本語学習者相手のビジネスはほぼ無理です。日本語学習者の大多数(7割以上)は、インフラが厳しい東南アジア地域です。あと10年くらいで日本並みによくなる可能性はありますが。それまで待ちながらじっくりやる資金力があればなんとかなるかもしれませんが、10年後は、東南アジアは、すっかり中国の経済圏になっている可能性もあります。もし、ICT方面が得意なら、日本語教師相手に何かやるとか、日本語学校相手にコンサル的なことをやるみたいなことなら多少は可能性があるかもしれません。ただ、日本語教育業界がデジタル化されるのはいつになるのか。。。

 教材を電子書籍で!というのは、少なくとも、私たちは可能性があるかなと考えて、今やってます。ライバルは増やしたくないので、参入しないでください。(でも大変ですよ…)

地道なほうが可能性がある

と私は思います。例えば、こういう方向です。

日本語教室提案いろいろ
http://webjapanese.com/blog/j/nihongoclassplus/
介護の日本語教育で起業は可能か?
https://twitter.com/i/moments/826604261152731136

【コラム】武器を身につけないと生き残れない、という物言い

こちらに移動しました。
http://webjapanese.com/blog/j/buki/

 


 

 

結論

結論はありません。もし日本語教師になろうかとか、日本語教師養成講座に通おうかなと考えていたのなら、この記事を参考にしてあなた自身が考えて判断ください。

 

海外で仕事がしたいなら、日本語教師ではなく東南アジアに進出している外食チェーンなどで経験を積むほうがいいと思います。次のステップ(現地での就職とか)の場合も、日本語教師のキャリアより評価は高いはずです。今、日本語教師はアジアの途上国にてっとりばやく行ける手段と考える人は多いですが、そういうてっとりばやく雇う人は、あっさり切る人でもあります。てっとりばやく就ける仕事は辞めた後のキャリア評価も低い。

もし、日本語教師の資格を持っているとか多少経験があって海外に行くなら、やはり外食チェーンなどに「日本語教育もできる社員」としてアピールして就職するほうがいいような気がします。日本語学校は今(2016~2017)がピークです。おそらく、中長期的にも下り坂が始まる前の最後のピークです。日本国内の人手の需要が傾きはじめたら(オリンピックの1,2年前?)終了です。

日本語そのものに興味があるなら、大学院で日本語教育や言語学を専攻したほうがいいのではと思います。

修士を持っていて国際交流基金の専門家に応募するのは、今はハイリスクなのでは、という気がします。修士のままでは出口がない今、日本語専門家になっても研究者のキャリアとしては単なる停滞ということになりそうですし、時間を無駄にするのでは。行革風で消える可能性もありますし。大学で上に進んだほうがいいのではないでしょうか。。。

どうしても日本語教師になりたい、教える仕事を続けたいという、若い方なら、大学で国語の教職をとりつつ日本語教育の勉強をすれば、赴任先で地域の日本語教育に必ず関わることができます。大学に戻れない方は、今の仕事を続けながら、今の仕事に未来がないなら、もっとましな仕事(公務員とか、資格スクールの事務職とか)を探しながら、日本語教師は地域の教室などでボランティアでやるのがベスト。
資格がない方なら、これから420時間の養成講座とか検定試験の合格セミナーとか通信講座にお金を使うのは無駄だと思います。

もちろん、これらはあくまで私の個人的な考えにすぎません。

 


 

 

参考リンク

 

このブログ内の記事

「日本語教育あれこれ」
:日本語教育に関することをまとめた記事です。長いですが、ひととおり大事なことは網羅していると思います。養成講座の構造的な問題などはこちらのほうが詳しいです。関係団体省庁などもまとめてあります。
http://webjapanese.com/blog/j/nihongokyooikuarekore/

「【資料】日本語教育関係のデータ」
:世界の日本語学習者数、日本語学校の数、教師の数、日本語教師養成講座の数など日本語教育関係の基本的な調査を整理しました。
http://webjapanese.com/blog/j/suii/

「日本語教育関連のWikipediaの記述を充実させよう」
:資格に関する歴史的プロセスなどはこのページより詳しいと思います。
http://webjapanese.com/blog/j/wikipedia/

「日本語教師と法律 学習ノート」
:日本語教師が直面する問題と法律、対処方法などを書きました。社会保険など待遇面に関することはこちらにあります。日本語教育業界で働くことになったら、読んで下さい。日本語学校業界では、国に申請するときだけ加入して、手続きが終わったら保険を抜けるところもあるとのこと。。。そういうこと知っておくのは大事です!
http://webjapanese.com/blog/j/law/

「介護ビザと日本語学校:学習ノート」
:これから増えそうな介護の学生に関して基本的な知識をまとめました。
http://webjapanese.com/blog/j/kaigo/

「日本語学校の謎」
:2010年代、日本語学校はかなり変化しました。それを調べてみました。
http://webjapanese.com/blog/j/nazo/

他には、日本語教師向けのIT活用関連の記事は、出版のほうのセクションにあります。

以上、その他の記事も、お時間があればご覧ください。右のメニューから行けます。ひとつひとつがかなり長いです。このブログは更新は三ヶ月か半年に一度で、じっくり調べて整理して書いて、その後記述が間違っていたり、更新されるべきときはやる、という方針です。そろそろ新記事は終わりで、今後は過去記事の情報を更新して正確なものにブラッシュアップしていこうと考えています。

 

外部リンク

 

法務省

:民間の日本語学校の管理はここ

日本語教育機関の開設等に係る相談について
:日本語学校の認定の基準。日本語学校関係のルールも。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00044.html

出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件
:要するに法務省が認定した日本語教育機関のリストがある。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukanho_ho28-2.html

 

文化庁

:国内の児童などの日本語教育のサポートと日本語教育機関に関する調査をやっている。

日本語教育実態調査
:「国内」の日本語学習者、教師、教育機関、日本語教師養成講座に関する調査。
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

文化庁の日本語教育のトップは
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/

最初にも書きましたが、今後は日本語教師養成講座の管理、監視をやっていくようです。
日本語教育機関の法務省告示基準第1条第1項第13号に定める日本語教員の要件について
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/

 

外務省>国際交流基金

:「海外」の日本語学習者、日本語教育機関の調査
http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/

国際交流基金の日本語教育のトップは
http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/

 

文科省

:最初に紹介した日本語学校のリストがあります。日本語学校は、法務省の前は文科省が管理していた。児童など学校関連の日本語教育はここ。文化庁を通じて日本語教師養成講座にも関与している。2017年から法務省と連携して、法務省に届け出をした日本語教育機関の基本データを公表し関与を深めています。これが日本語学校の情報に関しては決定版になるのではないかと思います。

外国人留学生への日本語教育
日本語教育関連のトップ
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1370873.htm

 

その他

経産省は実は日本語学校でシェアトップの教科書(「みんなの日本語」)を作ったところですが、直接日本語教育をやるのはその教科書を作った組織であるHIDAが少しやってる程度です。

厚労省は、技能実習生を管轄しているわけですが、日本語教育に関する一般的なルールを作って補助金を出したりをしているようです。また定期的に日本語教育に関する調査もしています。日本語教育に関しては、関連団体を通じてAJALTなどに委託したりしているようです。

 

トラブったら

日本語教師養成講座のトラブル

日本語教師養成講座に関するトラブルは、上で紹介した消費者庁の他には、残念ながら専用の窓口がありません。日本語教育振興協会も全国日本語学校連合もなんのガイドラインも設けていません。ただし、2017年から文化庁に届け出をすることになりましたから、もし通っている養成講座が文化庁の認可を受けたと宣伝しているなら、まず事前に文化庁に届け出があるか確認してみましょう。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/

もし、何らかのトラブルがあったら消費者庁に届け出ると同時に、文化庁にも伝えておきましょう。届け出だけといっても受理するかどうかというのがありますから、認可まではいかなくても、受理しない、あるいは受理の取り消しはできるはずです。問題があれば調査が入るはずです。せっかくできた届け出制なので、まともなところかどうかの判断材料になるように、文化庁に何があったか知らせてみて下さい。(で、できればSNSなどで***の養成講座ダメ」と呟いてみて下さい。

日本語能力検定試験周辺のビジネスのトラブル

これも業界に窓口はありません。消費者庁に一報を入れましょう。
http://www.caa.go.jp/info/inquiry.html

日本語教育関連のセミナーや講座などのトラブル

これも業界に窓口はありません。消費者庁しかなさそうです。日本語教育関係者は、個人で、なんとなく親切の延長ぐらいの気持ちでお金をとって何かをやるみたいなことが多いです。フリーランスが多いので、起業家気分でやって、それやっていいの? お金とっていいの?というものも結構あります。失効しているのに「特許」だと宣伝したり、昔からある考え方なのに「長年の経験で会得した独自の理論!」とか書いてセミナーやったり。。。

変だなと思ったら通報だけでもしておきましょう。
http://www.caa.go.jp/info/inquiry.html

日本語学校のトラブル

主に労働基準監督署になるとは思いますが、いろいろ方法があります。まずは日本語教師と法律についてまとめた記事があるので読んでみて下さい。通報先なども書きました。

日本語教師と法律 学習ノート
http://webjapanese.com/blog/j/law/

安く学べる公的なサービス

市役所や県の生涯学習センターなどに行ってみましょう。趣味的なコースでも講師はそれなりの人であることも多いですから。

探せば気軽に安く受けられるものはあります。
NHKカルチャー
https://www.nhk-cul.co.jp/
NHK語学
https://www2.nhk.or.jp/gogaku/
NHK生涯学習
http://www.n-gaku.jp/life/course/

 


 

 

この記事について

私どもは、東京を中心にプライベートレッスンを請け負う日本語教師のグループで、現在は日本語関連の出版を中心に活動しています。1997年から日本語学習者向けサイト(このブログがあるサイトのことです)を運営していて、ずっと学習者向けにウェブ教材なども作ってきました。これまで多くの日本語教師と仕事をしてきました。この記事は、それらの話を参考にわかるかぎりのことを書いてみた、というものです。事実関係など間違いも多いと思います。

通常、こういう日本語教師関係、日本語教師養成講座、日本語教育能力検定試験関係の情報サイトは、講座の主催者の日本語学校へのアフィリエイトリンクとか、無料メルマガ(その先には有料のあれこれが待ってるわけですが)への勧誘になってますが、ここはそういうものはありません。役に立ったと思ったら、いつか、あなたが日本語教育業界に入った時に、有益な情報の発信者になってください。

ずっとネットを軸に仕事をしてきたので、出版業界も日本語教育業界も、いわゆる関係者みたいな方々とは、お付き合いはありません。90年代から業界を一步外から観察してきました。

日本語教育業界は狭いところなので、ポジショントークが目立ちます。いろいろと気を遣った結果、何も言えなくなってしまう、ということがあります。長年、そういう環境だったので、意識して目を背けてきたことが物理的にも見えなくなっている、ということもあるように思います。

私どもは、業界とは無縁な、ネットを軸にしたフリーランスの日本語教師グループなので、顧客は日本語学習者で、ネットで私どもを見つけてくれた方々でした(今は出版の仕事だけです)。セミナーや講座など、日本語教師相手のビジネスはしていません。不利益を受けるのが日本語教師やその志望者、日本語学習者であるなら、いろんな組織、団体にとって不都合であろうことも、書くべきだと考えています。

しかし、これまでも今後も、このブログの記事が、業界関係者や、日本語教育関係のサイトやメディア(たいていは日本語教師養成講座や関連出版社、インターンの斡旋会社などがスポンサーです)で紹介されることはないでしょう。特に、日本語教師養成講座は、関係する出版社、講座を主催する日本語学校だけでなく、講師を務める大学関係者、現役の日本語教師など、ほぼすべての日本語教育関係者が利益を得、恩恵を受けています。もし、この記事に読む価値があると思われたのなら、SNSなどで、広めてください。この記事は個人が書きました。伝わり広がる可能性があるとすれば、この記事を読んだ個人の決断にかかっています。

なるべく事情がわからない人にも読める記事にはしました。ただ「なるべく」です。私は、ライターでもブロガーでもないので、補足説明や意見交換などは期待しないでください。ブログの更新は年に数回あるかないかです。細かい対応はできません。この記事は、取材をする方々や議員連盟の参加者、などが、日本語教育に関して考える際の参考ページになればと書いたものです。間違いがあれば、修正&アップデートしながら掲載を続けていく予定です。間違いや修正すべき点のご指摘をコメント欄経由でいただければありがたいです。

ここに書いたことが、何かひとつでもヒントになればうれしいですし「私のほうがアイデアがある、上手く書ける」というような新たな書き手の出現の呼び水になればと思っています。最後に書いた提案も「どうすればいいのか」の選択肢のひとつに加えていただければうれしいです。また、他の記事も日本語教育にご関心がある方には読んでいただければいいなと考えています。

いろいろとリンクを貼ったり、引用させていただきました。ブログやツイッターのアカウントなどご紹介させていただきました。感謝します。事後報告で恐縮ですが、リンクが困るという方、お手数ですが、ご一報いただければ削除します。もちろん、この記事の引用などは自由です。下のCCライセンスに従って再利用してください。

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