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日本語教育あれこれ

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日本語教育あれこれ 2015年 3月 18日初版投稿 ver.1.1
(大幅な修正をしたら0.1バージョンをあげます。簡単な更新履歴はページの一番下に)
(2017年もいろいろ修正加筆してます)

はじめに


外国人技能実習制度の問題や留学生の数の話題、日系外国人労働者やその家族、あるいはEPAなどで来日する看護師、介護士など、いろんな場面で日本語教育の話がでます。
これまで個別の議論は多数ありますが、日本国内であるいは世界で日本語学習のニーズがどのくらいあって、どう対応すべきかという議論はほとんどみません。試みに書いてみました。新たに取材をしたわけではなく、ぼんやりと頭にあるものをベースに、資料をあたりながら、ここ20年くらいの国内の日本語教育の状況を加味しつつ、ネット上の日本語教育政策に関するものをまとめて整理しただけです。ともかく「まとめて整理して俯瞰でみて考える」ということが大事だと思いました。

この記事は、まず日本語教師など日本語教育関係者に読んでもらうことを前提に書きましたが、なるべく事情がわからない人にも読める記事にはしました。ただ「なるべく」です。私は、ライターでもブロガーでもないので、補足説明や意見交換などは期待しないでください。ブログの更新は年に一度あるかないかです。コメント欄はいちおう開けておきますが、細かい対応はできません。この記事は、日本語教育に関して考える際の参考ページになればと作ったものです。wikiのように修正&アップデートしながら掲載を続けていく予定です。間違いや修正すべき点のご指摘をコメント欄経由でいただければありがたいです。(コメントは建設的なものだけ残します)

ライセンスはCC BY ND 2.1です。中身を改変しないことと著作者(webjapanese.com日本語公式ブログ)URL(http://webjapanese.com/blog/j/)を明示すれば、全文、あるいは一部を、あなたのサイトが個人のものであっても商用でも、引用してもOKです。(できればバージョンも明記してください。今後、少しづつ更新していくので)詳細はリンク先をご覧ください。

以下からPDF版、ePub版、mobi版(kindle用)がダウンロードできます。

PDF版日本語教育あれこれ

ePub版日本語教育あれこれ

mobi版日本語教育あれこれ

* ダウンロード版はいずれも大幅な修正があった場合にアップデートします。このWeb版のほうが最新版です。

ウェブ上であるいはSNSなどで、目次のURLを利用して該当箇所の引用をすることができます。商用も可です。もちろん、CCのルールの範囲内で、例えばePubにして配るのも売るのもOKです。

まずは、日本語教育に関して知識がない方、あるいは関係者でも、少し前提として以下が共有できないと混乱するかもという点、箇条書きで書いてみます。
  1. 日本語教師にはいちおう資格があります。現在は日本語教育能力検定試験に合格するか、民間の日本語学校の養成講座や大学などで420時間に相当する授業を受けて修了すること、です。どちらも国が方向付けをして、検定試験は日本語関連の政府系組織が、養成講座は、主に大学や民間がガイドラインに従って行っています。免許のように「それがないと教えてはいけない」というものではなく、現状では、民間の日本語学校などで事実上採用条件となる、という程度のものです。民間の日本語学校、専門学校、大学などでは、その資格を持ってることが必要条件ですが、自治体や地域の日本語教室では資格の有無は問われないことが多いようです。しかしボランティア教室の教師が無資格とは限りません。従って「プロの日本語教師」とは、ひとまず、資格の有無ではなく報酬を得ているか、いないか、で考えるほうがわかりやすいと思います。ここでもそういう意味で使います。
  2. 一般の方はもちろん、日本語教育関係者の間でも認識が危うい人もいるのですが、日本語教師に求められる能力は学習者の違いや目的とはほぼ関係ありません。アフリカで教えるのも、ハーバード大学で教えるのも、東北のどこかの無料の日本語教室で3人くらいを相手に教えるのも、難しさの「違い」はあっても、難度の高低はありません。要求される教師の基本的なスキルは変わりません。これはキレイゴトで書いているのではなく、ホントにそうなんです。むしろ、私には「大学の留学生別科より方言や日常会話のやり取りの理解、説明を反射的に求められる地域の日本語教室のほうが質の高い教師が必要」という考え方のほうが説得力があります。
  3. すぐ後に出てきますが、日本語教師は今、国内で35000人ほどおり正規雇用の教師は1割、非常勤が3割、ボランティアが6割です。ここで「プロの日本語教師」と呼ぶ正規雇用の専任講師と非常勤講師は、大学や日本語学校、公的機関などに限られており、民間の日本語学校では、正規(専任)非正規(非常勤)の比率は3:7で、専任は1500人前後です。プロの日本語教師は絶滅危惧種です。
  4. 国際交流基金の調査では日本語学習者は全体で増えているということになっていますが、文化庁の調査によると国内の学習者数のピークは2009年、国内外の学習者の数の指標となる、日本語能力試験でも受験者数のピークも2009年です。特に能力試験の高いレベルの試験の合格者数は減り続けています。
  5. 国内には永住者を含めて現在200万人くらいの外国人在留者がおり、このうち少なく見積もっても現在48万人に日本語教育が必要だと思われます。この48万人のうち、十分な環境でプロの教師に教わっているのは約14万人です。残りの34万人のほとんど(いわゆる外国人技能研修生や日系の在留者、その家族など)はアマチュアもしくはボランティアの教師が教えています。2015年時点の政府の計画では10年後に日本語学習が必要な在留者は建設、林業、農業、漁業、介護、その家族、などで45万人以上増え、合計で93万人以上になる予定です。
  6. この記事は「統計は何かを示している!」というようなものではありません。私には統計の知識がありません。材料としていろんな資料や数字を集めてなんとなく考えを書いた程度のものです。データは政府が出した資料によるものがほとんどで、検索すれば1ページ目に出てくるようなデータばかりです。その先の試算などは大きく間違っては無いと思いますが、正確とはいえません。算数レベルの間違いも多いと思います。ご指摘いただければありがたいです。あくまで参考程度にしてください。あえて1ページにずらずら書きました。長いです。
  7. この記事は2015年ですが、公的な機関のデータで最新のものは2012年であることが多く、20年くらいしか遡れないことが多いので、主に、1992年、2002年、2012年に焦点をあてています。

*日本語教師の資格の取得は、難しいのか簡単なのかは議論があるところですが、ひとまずキャリアをスタートする準備をする基本知識を習得したという目安にはなっています。ちなみに、420時間は、大学などで取得する公立学校の教職で費やす時間とそれほど変わりません。ただ現状ではかなり問題が多いです。後述。

*日本のように、外国人在留者に対して資格を持った語学教師が教えない、総合的な言語対策がとられていない、というのはかなり例外的です。国の言語政策の国際比較はこのページの最後の資料1でいろいろと紹介していますが、とりあえず、このPDFの最後にある一覧がわかりやすいと思います。http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/pdf_272/04_sp.pdf

概要

世界の日本語学習者の数 

日本語学習者は増えているのか?

まずgoogleのここ10年の検索回数をみてみます。

Japanese language
http://www.google.com/trends/explore#q=japanese%20language
* 2015年3月のキャプチャ(記録として)

japanese lesson
http://www.google.com/trends/explore#q=japanese%20lesson
* 2015年3月のキャプチャ(記録として)

世界の日本語学習者数についての調査は国際交流基金が3年おきに行っているものしかありません。調査票を送ったり通知したりして、回収したものやウェブ上のフォームから送信があったものを元にしているとのこと。2012年の調査では学習者数の合計は398万5669人、右肩上がりで増加中とあります。毎回、概要だけ読むと「日本学習者増加中!」となり、そう報道されるのですが、本冊の細かいデータを注意深くみながら、読みすすめると、ちょっと違うことがわかります。2012年の調査の本冊をみていきます。

交流基金の調査の約400万人のうち200万人以上は中学から高校にかけて第二外国語として日本語を勉強している学習者で、このうち9割が東&東南アジアです。これらの国では第二外国語は必ずしも学習者が自由に選択できるわけではない(学校長の方針で第二外国語が決まるなど)こともあり、同調査でも「勉強不熱心」が最大の課題となっています。また「機関の方針で日本語教育を行っていることが多く、必ずしも学習者が自発的に選択したわけではないという事情があると考えられる」と書かれています。特に昨今、飛躍的に日本語学習者数が伸びている東南アジア(ベトナムやインドネシアなど)では政府や州の「指導」で学校に日本語の授業が導入された、というようなことが報じられたりします。(その他、約100万人は大学などで日本語を選択して勉強していて、約56万人が学校制度の外で勉強している人達です)

つまり、400万人のうち300万人以上はそれぞれの国の教育制度の中で第二、第三外国語として選択されて勉強されていて、その「選択」は自分で選んだものではないケースも多く含まれている、ということです。そしてこの世界の学習者における「日本語を学校で選択して学習している」人達の比率は上がっています。
日本語学習者の数は増えているが、いろいろな働きかけの結果、海外の教育制度に日本語が組み込まれ、選択される機会が増えていることが大きな要因のひとつで、少なくとも「世界中で日本語を勉強したいという気運が高まっている」とは言いにくいのではという気がします。

一方で、オーストラリアのように日本との政治的経済的な関係の変化によって極端に減ったりということも起こっています。(2003年は約38万人だったが、2012年に約29万人に)。こういった「働きかけ」が功を奏した国や地域以外では横ばい、自然減が顕著で、1990年代にあった海外の民間の語学学校の日本語コースは減っている、あるいは無くなった、という報告が多く、実質的には21世紀に入ってハッキリと学習者は減る流れになったのではと私はみています。

前述の2012年の調査でも、上位7カ国が突出して多く、7位のタイが約13万人で、8位のベトナムが45000人、20位になると1万人くらいになります。2012年で各地域の国別としてピックアップされていた国だけを対象に単純に国別の日本語学習者増減だけでいうと、、、
増えた国:67
減った国:50
横ばい:3

で、総数で増えているわりには、、、という気がします。全体の数字に影響を与えているのは、一部の、日本語学習者の数が基本的に多く、しかも極端に増えたり減ったりしている国地域の数字がトータルで増えていることが数に出ているのであって、これが、そのまま「世界の日本語教育」の空気を語っているわけではない、というところなのではないでしょうか。

2015年に新たな調査が発表されました。学習者数は365万人と激減しています。やっと調査でも反映されるようになってきたという印象です。詳しいデータと分析は、こちらにまとめました。
http://webjapanese.com/blog/j/suii/

 ちなみにここ数年で学習者が目立って増えた国は、ベトナム、インドネシア(国際交流基金の調査によると、もしかしたら近い将来、第二外国語の選択は自由選択になるかもしれない、という状況だそうです)、タイ、ニュージーランド、ソロモン、トルコ、イタリア、ケニア、コートジボワール、エチオピアなどで、これらの国がその他多数の、横ばいか減少した国々の数を補填している、と言ってもよいと思います。

 論文など

インドネシアにおける日本語教育事情 (特集 : アジアの中の日本)

ベトナムの中の日本 : –日本のグローバリゼーションの一例再論–

ここ10年ほど、日本語の教材が売れている、という話は聞きません。中級以降の教材の種類は目にみえて減っています。海外の語学学習サイトは今花盛りですが日本語コースはほぼ見ません。海外の民間の語学学校などで日本語コースは減っているという話のほうが圧倒的に多いのです。21世紀に入って、長年続いてきた大学の日本語学科が閉鎖された、あるいは閉鎖されそうだ、というニュースをよく目にしました。

増加中の400万人のうち、どのくらいの人達が現在進行形で「日本語学習中」だと考えていいのでしょうか?

* 世界の日本語学習者数の過去のデータPDFはこちらに。
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/index.html
国際交流基金は前回(2009)までは調査結果をすべてサイト上で公開してましたが、今回から概要だけ公開で本冊は2000円で買わなければならなくなりました。毎回、発表と共に日本語学習者数の報道がありますが、メディアの方々も記事を書く際は、概要だけでなく本冊も読んでみることをお薦めします。冊子はアマゾンにあります。 
海外の日本語教育の現状-2012年度 日本語教育機関調査より
http://www.amazon.co.jp/dp/4874246087/

 海外の大学で、日本語や日本関連の科目があるところは多いのですが、例えば南米では2010年前後にかなりの数が閉鎖となっています。
https://goo.gl/tbJui4

日本語能力試験からみた日本語学習者数

「今、日本語を本気で勉強している人」を日本語学習者とするならば、もうひとつの目安に日本語能力試験の受験者数(応募者数ではなく受験者数で考えます)があります。
日本語教育において日本語能力試験の影響力は絶大です。介護や看護など日本での仕事の条件、日本語を使う企業での就職、留学などで必ず日本語能力試験のレベルを問われます。現在、日本語の達成度の唯一の指標で、対外的に日本語を学習したと証明するためのほぼ唯一の手段です。教育課程で日本語を専攻している人はもちろん、一般でも力試しで受けてみる人はとても多いと思われます。

日本語能力試験は、日本語の能力をレベル別に認定する英検のようなスタイル(ただし面接、スピーキングはなく、録音音声の聴解とマークシート方式の試験)のテストです。ここ10年で開催国、地域がかなり増え、2009年から年2回になり試験の回数も増えました。地域別の受験者数のデータがないので、受験者数の増加や広がりに対応したものか、受験者数を増やすための方策かはわからないのですが、地域と回数を増やしても受験者数は減り続けています。

また、2011年から、1234級の4段階だったものが、N1~N5と5段階になりました。数字が少ないものが上級。上の1,2に関しては新旧の方式でもほぼ同じですが、N3は3級よりやや上位という設定になっていて、基礎的な事項の理解が十分かどうかを計るレベルになっています。従来の3級受験者がN3とN4に分けられたと考えるとわかりやすいと思います。
開催国・地域はここ10年での増え方が大きいようです。

能力試験のデータは推移がみられないので、整理してみました。
合格者のデータはこちらにあります。
http://www.jlpt.jp/statistics/archive.html

1992 2002 2009 2010 2011 2012
実施国・地域数 26 39 54 58 62 64
受験者数 68565 242331 768113 607972 608157 572169
N1(1級合格者) 78688 67608 65629 60272
N2(2級)合格者 90772 88437 76647 72410
N3(3級+α)合格者 61262 38009 35390 33013
N4(4級+α)合格者 22951 25038 31685 25031

N3以下のレベルは、2010年から3,4級がN3,4,5と分かれたので、2009年のデータはあまり参考になりせん。
受験者数の歴代のピークは2009年で、以降、開催地域や回数が増えていますが、減少する流れです。(東日本大震災前に減少がはじまっていることも重要な点です)通常、学習者は日本語学校で月金で通って勉強すれば、個人差はあっても三ヶ月から半年でN3レベルに、1年でN1まで行くのは可能ですが、通常は一時学校に通って、その後は自分で勉強したりしながら、勉強を続けるのが一般的です。3~5年くらい継続的に学習が続けば最上級のN1まで到達するかな、というのが平均的なところではないでしょうか。長年学習を継続する人や、継続中の人が学習者としてカウントされつづけるので、新規の学習者が減っていることが数字に現れるのが遅れる、という可能性を考えてみると、N1合格者が減り始めた2009年の年の3~5年前から新規の学習者が減っている可能性がある、ということになります。

日本語能力試験の数を軸に世界の学習者数を出すならば、ここ10年で開催地域を倍近くにして、回数を増やしても、2009年のピーク時で申込者が約76万人、2013年が約57万人。特にここ5年は、学習者は減る傾向がはっきりしてきた。今後、微増はあったとしても、下げ基調は続きそう、今は、下げ止まりがどのへんになるのか見極める段階、というところかもしれません。
また、2012年の57万人に、すでに能力試験を卒業したレベルの人達、試験を受けない人達を足すとしても、進行形の日本語学習者は、だいたい100万人+α、というのがリアルなところかもしれません。(10年後に日本国内で日本語学習が必要な人が93万人になると、国内外ほぼ同数になります)

* おそらく、2015年から16年にかけて、介護や看護などの仕事で日本に来る際の条件として能力試験の合否が問われることになると思います。仮にN3になると、N3の合格者は増加に転じるということが起きる可能性があります。
* 長期的に日本語学習者の数の推移をみる上で指標となるのは、ビザの要件となったり、学校で受けさせられることが多いN4,3あたりよりも、自分の意志で受ける、また学習しないと到達しないN1の合格者数ではないかと思われます。
* 2009年以前のレベル別の合格者の数字は非公開。
* 2015年現在、受験料は国内で5500円。海外では日本円で、2~3000円というところらしいです。学校や企業の補助で受験する人も多いのではないかと思われます。
* 主催は公益財団 日本国際教育支援協会 と国際交流基金。組織の概要はこのページの最後のほうに。
* 日本語能力試験の収支に関しては、よくわからない。ここに少し報告が。http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shocho/dgh/kikin_21/pdfs/seat21.pdf

* ちなみに、中国文化部によると世界の中国語学習者数は2013年で1億5000万人とのこと。この数字も正確にはどうなのかはわかりません。2015年時点でそのくらいいても不思議じゃないような気がします。ただ、他の言語で学習者数を調べているところはあまりないようです。そもそも「**語学習者数」に信憑性を求めるのは難しいということかもしれません。


ただ、この文の目的は、学習者数の正確な把握ではなく、国内の日本語教育がメインなので、以降は、国内の数字を軸に進めていきたいと思います。

国内の日本語学習者の数 

日本に滞在している外国人在留者は何人?

必ずしも外国人在留者=日本語学習者ではないのですが、ひとまず。。。
2014年の法務省の統計によると2014年6月の時点で235万9461人。このうち観光、商用など短期滞在の人が25万1187人なので、長期在住者は、210万8274人となります。このうち永住者が66万4949人(特別永住者が36万3893人)です。(ちなみに、外国人技能実習生制度関連の人は16万2157人。EPA関係は1580人です)

法務省統計
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

要約版PDF
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000049149.pdf

*日系定住者には特別枠があります。上の数字だと統計上は永住者に含まれるようです。現在は18万人前後と言われています。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_NINTEI/index_zn3.html

この定住者には日本語教育が不十分だという政府の報告があります。
http://www8.cao.go.jp/teiju/guideline/pdf/fulltext.pdf

*外国人研修制度と外国人技能実習制度、は、ちょっと違うようです。研修制度で勉強して、技能実習制度で仕事をしながらさらに技術を磨く、となってます。今は検索する場合は「外国人技能実習制度」のほうがいいようです。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_NINTEI/zairyu_nintei10_0.html
が、ここでは、同じものとして扱います。

*ちなみに、2020年までに外国人技能実習制度で補填したいとする人の数は15万人、介護人材の不足が30万人と言われてますので合計で45万人です。(事前に基礎的な日本語学習を終えてから来るはずですが、実態はかなり怪しい。いずれにしても、基礎的な日本語研修を終えたとしても、国内で学習を続ける必要はあります)210万人が255万人になるわけです。ちなみに、日本の人口1億2700万人に対する比率は1.6%から2%になります。

→  参考までに欧州の移民の比率はだいたい10%前後、カナダで約20%、

各国の移民人口の推移
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1171.html

各国の移民人口比率
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1170a.html

OECD International Migration outlook(ソース、動画あり)
http://www.oecd.org/migration/international-migration-outlook-1999124x.htm

国内で日本語学習を必要としている人はどのくらいか?

国内の学習者数に関しては、文化庁の調査があります。文化庁で把握している日本語教育機関に調査票を送って回答があったものの統計です。


http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

H24年のデータ
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/h24/
と過去のデータ
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpad198801/hpad198801_2_198.html

を参考にすると

1987 43368人
1978 10889人

1992 69950人
1998 83086人
2002 126305人
2008 166631人
2009 170858人
2010 167594人
2011 128161人
2012 139613人

となっています。ちなみにピークの年は2009年、留学生が10万人になったのは2003年。2012年の留学生数は137756人なので国内学習者数とは2000人程度の差です。

つまり、この数字は、ほぼ留学生と自分の意志で学校に通っている人の数です。「日本語教育が必要な数」とは違います。ここから漏れた数として考えられるのは、まず外国人実習生の16万人、南米などから来て永住権を得ている約18万人です。この計約34万人は今のところ、日本語の学習が必要な可能性が高い。公立小中学校にもすでに1校あたり約2名、合計6万人以上の学習が必要な児童がいると文科省の調査にもありますし、その他、カウントされない学習者(あるいは学習サポートがされるべき人達)はまだいるはずです。在留資格でいえば「家族滞在」の12万人も無視できない今後拡大する枠だと考えられます。

長期在留者の合計210万人のうち、仮に上の34万人だけに絞ったとしても、これに文化庁の13万7756人をプラスして、約48万人が現状で国内で日本語教育を必要としている人達だと、ひとまず、考えられます。(「ひとまず」です。いわゆる中国在留邦人、難民など、まだまだいますが、まず数を仮で確定したほうがこの後、進めやすいので)

これに、10年後の2025年まで不足すると言われている介護士30万人と、オリンピックまでにのべで必要と言われている技能研修生の15万人が、10年後にはプラスされる予定です。介護士は永住までの道が整備されることもあり、「家族滞在」も飛躍的に伸びる可能性があります。もちろん日本の国籍を持っていても日本語学習が必要な人もいます。ただここは、確実に一般の人にもわかりやすく、かつ多くの人に理解が得られる最小限の数字で試算してみます。すると、単純に、今48万人で10年後には少なくとも45万人が増える、合計で93万人、おそらく100万人を越えるのは確実だということがわかります。

国内の総合的な日本語教育施策は、2013年に関係省庁で調整しながら対策を出すことになっています。
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_suishin/
が、第一回の議事録の「関連組織、団体、関連省庁」をみると、とても連携が可能とは思えないとタメイキが出ます。国やいろんな省庁や関連法人にとって「日本語教育」は、総合対策をやると大変だ、ただ、ちょこちょこ予算がとれる便利なテーマだ、ということなのかもしれません。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_suishin/01/pdf/shiryo_1_1.pdf

 その後
文化庁の日本語教育実態調査では、国内の学校などに所属する学習者数をカウントしているわけですが、ピークは2009年(H21)の170858人でした。震災を経て現象傾向があったのですが、2012年(H24)から回復基調となり、2013年(H25)に前年より約17000人の増加となります。この年、震災後も減少が続いていた中国(-1167)、韓国(=595)の分を補填する形でベトナム(+7776)ネパール(+4278)が増加し、この年以降、学習者増の主役は東南アジアとなったということがハッキリしてきました。
その後、2014年(H26)に174359人となり、2009年の数に追いつき、2015(H27)は、19万人となっています。

 「留学生の数」は時々話題に上がります。1983年に留学生10万人計画が始まり、2003年に達成(目標は2000年)、2007年に留学生30万人計画は2020年が目標。数字を出しているのは日本学生支援機構です。
この「30万人計画」達成のためかなのかはわかりませんが、2010年より数え方が変わり、それまでカウントしていなかった日本語教育機関(民間の日本語学校)の数(5万人前後)も2011年から入れることになりました。経緯はこちらに。海外では短期留学生もカウントすることが増えてきたので、日本語学校のビザも「就学」から「留学」にしてカウントすることにした、という理屈ですが、日本語学校は昔から、語学の短期留学はごく一部で、専門学校や大学の予備校的な存在であることは明らかなので、それを大学の下請けと考えるならいいんですが、大学には留学生別科という短期留学制度があるので、かなり苦しい理屈なのでは、という気がします。

 


 

すこし個別にみてみます。

介護、看護師の日本語教育

看護師は今後もEPAを中心に受け入れを続けていくようです。EPAルートの場合は、日本語能力試験を来日の要件にする方向で進んでいます。ただしEPAでは年間でも百人から千人程度のペースなので、より人手不足が深刻な介護士は技能研修生枠でということになりそうです。

2014年に政府から出された「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」があります。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000073122.pdf

「現場の要請」ではN4でも許可してほしいという声が多い、というような内容です。

これに対し、日本語教育学会は次にような抗議を出しました。
http://www.nkg.or.jp/oshirase/2015/kaichoseimei.pdf

日本語教育関係者は、日本語能力試験そのものの評価はともかく、N3合格が基礎的な能力の証明に最適、というコンセンサスはあるので、N4は不足であることは一致するところかなと思います。N3なのかN2なのかは議論があるところです。これは事前に十分な能力を要件にするか、日本で研修するかという考え方の違いではないかと思います。私は、後述する「日本語教育ネットワーク」のようなもので、実際に働く地域で方言含めた研修をやるほうが効率的だと思います。

それはともかく、介護士、看護師はどんな枠組みで来日するにしても、地域で実際に人と接する仕事をすることになりますから、日本での継続的な日本語研修は必須であることは間違いありません。そして、そのための日本語に関する総合対策はまだないはずです。

介護士が日本に来るルートが技能研修枠になるということは、研修生として実務に就くまで「外国人技能実習制度」の枠組みになることを意味します。多少の考慮はされるはず(希望的観測)ですが、この枠組み自体、まったく日本語教育を重視していないのが心配です。外国人技能実習制度の日本語教育に関しては後述します。

2016年11月に法律が公布となりました。
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142615.html

「日系定住外国人」への日本語教育

日系の在留者18万人は、そのほとんどが南米から来た人達です。現在、減少しつつあります。しかしながら無視できない規模の数であり、家庭を持ち定着している人達も多数います。比較的新しい政府の報告では、今のところ下げ止まりとみたのか、「日系定住外国人」と位置づけ、定住を支援していくという姿勢があるようです。

日系定住外国人施策の推進について
http://www8.cao.go.jp/teiju/suisin/sesaku/index.html

日本語教育関係の話の前に基本的なプロセスをざっくりと。

80年代の後半はバブルで人手不足、ビザ免除の協定がある国からたくさんの外国人労働者が来たが、不法就労問題などもあり、80年代後半に方針を転換。1989年に入管法改正で日系の人達に家族を含めた移住を許可することになった。ただ当初は永住前提の移住が目的だったようで「出稼ぎ」は想定してなかったとのこと。
http://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/SO/0040/SO00400L001.pdf

例えば、ブラジルでは、日本とブラジルの間で、あまり法的なすりあわせが行われていなかったようで、日本に来て、日本国籍を取得する人も増えたが、ブラジルは国籍離脱を認めておらず、日本国籍を取得した場合は、結果としてブラジルとの二重国籍ということになるとのこと。日本政府は二重国籍は認めていないので、ブラジルでは国籍を離脱したことになってないけど、日本では「事実上の日本国籍者」として扱われる、というかなりこみ入ったことになっている。こういう実態上二重国籍になる可能性はブラジルに限らずあるので、日本も二重国籍は認めるべきでは?という気がします。

原案を作成した当時の法務官僚、入国管理局の中の人の話
http://jipi.or.jp/?p=779
興味深いので一部少し引用します。

1988年4月、私は法務省入国管理局の総括補佐官というポストにあったが、そんな私に、突然上司から、「入管法の在留資格はいまの時代に合わない。外国人労働者問題に対応するため在留資格の全面的な見直し案を作るように」との特命が下った。

役所に入ってまもない私は、日本政府が最優先に入国を認めるべき外国人は、日本人の子供であり、また日本人の配偶者であると思っていた。それは、国民の福利を守るという行政目的から導かれる自然な考えであった。

実際、英国など諸外国の入国管理法制を見てみても、自国民との間で、血縁関係や婚姻関係を有する外国人がもっとも優遇されていた。そのような考え方は、世界のどの国でも同じで、入管当局の共通認識だと思っていた。

ところが驚くべきことに、当時の入管法は、「日本人の子」と「日本人の配偶者」を正面から受け入れる仕組みになっていなかったのだ。

法改正にあたって私は、「日本人移民の子孫たちに対して入管行政は何ができるのか」という視点を在留資格に反映させたいと考えていた。

私が原案作成で主導的な役割をはたした入管法の改正法は、1989年の国会で成立し、翌年6月から施行された。

改正入管法の施行により、私の悲願であった日本人の配偶者および日本人の子として出生した者を受け入れるための「日本人の配偶者等」の在留資格と、日系人の子孫(「日本人の実子」および「日本人の実子の実子」に限る)などを受け入れるための「定住者」の在留資格が新設された。

「出稼ぎ」は想定されてなかったとしても、「労働力補填」という意図はあったようです。

まず「日系」の定義はいろいろと難しそうだと思ったら、やはりいろいろ議論があるようです。

1990 年入管法改正を経た〈日系人〉カテゴリーの動態
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/ce/2009/ic01a.pdf

その後、15~20万人で推移していたが、0年代後半、仕事が激減し、2009年4月から一年間、帰国希望者に30万円、家族に1人当たり20万円、を支給し、3年間は再入国できない、という「帰国支援制度」を実施し、この制度を利用して2万1675人が帰国した。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gaikokujin15/kikoku_shien.html

しかし、3年を経過しても日本は、再入国を認めておらず、問題となっています。
http://minorityyouthjapan.jp/projects/view/5

この帰国支援制度に関しては、海外でも、いろいろと報道されています。
http://www.globalpost.com/dispatches/globalpost-blogs/weird-wide-web/top-5-worst-countries-for-immigrants

http://foreignpolicy.com/2010/04/29/the-worlds-worst-immigration-laws/

本題の日本語教育について

元々、出稼ぎは想定してなかったとするなら、定住前提の方策だったとなります。なおさら国に日本語教育のサポートをする義務はあるわけです。帰国支援で一旦帰国して再入国を希望している人も多いと聞きますし、政府の方針によっては、また増加する可能性も残しています。

先にあげた政府の報告にもあるように、日本語教育が不十分であるという認識は国にもあり、基本的には、文化庁の日本語教育推進会議
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_suishin/
で決まったことをベースに文化庁主導でやっていくようです。ここは、各機関の「情報交換」が目的で、日本語学習に関しては、「各種手続の機会を捉え、日本語習得状況について確認し、必要に応じ日本語教育を受けることを促す」と、今のところは「日本語勉強したほうがいいよ」と啓発していく程度のことみたいです。そして学習のサポートは基本、自治体まかせです。また、この会議の目的は定住者で日本語のサポートが必要な人、特に児童の日本語教育が主なテーマで、ここには外国人技能研修生などは含まれません。

文化庁の基本政策、日本語コーディネーター。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/seikatsusha/
年間の予算2億では、1県あたり500万円ですから、コーディネーターの謝礼と、地域の教室にわずかな補助金が出て終わり、という可能性が高いです。しかも「日本語コーディネーター」は、地域によって偏りがあり、定着が進めば進むほど(例えば学習者が結婚して引っ越すとか)カバーできなくなっていきますし、後述する近い将来の日本語学習者の広がり(介護や看護で国内にまんべんなく日本語学習のニーズが広がっていく)にも対応できなくなるはずです。

その他、児童の日本語教育に関しては、文科省が公立学校ベースでは100億円近い予算(H24年度で80億円規模)で、「不就学・自宅待機となっている外国につながる子ども」には、国際移住機関を通じて「虹の架け橋教室」という日本語サポートを展開しているようです(2014年で終了)。公立学校の児童教育はリタイアした国語教師などがあたるとしており、校舎の「教室」も日本語教師の資格の有無は問われません。つまり日本語を教える場面で、日本語を教える資格をもち訓練をした日本語教師は不要でボランティアで十分という考え方をベースにした予算と言えます。

国際移住機関(国連の機関)
http://www.iomjapan.org/japan/kakehashi_top.cfm

H21年(2009年)度の国際移住機関への補助金は約37億円。
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2011/08/15/1309746_05.pdf

この37億円の基金を軸に数年運用していくことになった。地域の教室などが国際移住機関に申請し認可が下りれば補助金がもらえる仕組み。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/todofuken_kenshu/h27_hokoku/pdf/shisaku02.pdf

この機関がサポートするのは公募で決まり、2014年は22の機関。
http://www.iomjapan.org/img/usr/2014_jisshidantai_ichiran.pdf

この基金でのサポートは2009年にスタートし、2014年で終了。約6年間。

□ その後の進展

虹の架け橋教室の基金は、2014年で終了となり、文科省が本格的に対応することになった。
その後文科省で

学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/121/giji_list/index.htm

委員
池上 重弘  静岡文化芸術大学 教授
伊東 祐郎  公益社団法人日本語教育学会 会長
東京外国語大学留学生日本語教育センター センター長
各務 眞弓  NPO可児市国際交流協会 事務局長
古角 美之  兵庫県教育委員会事務局 人権教育課長
佐藤 郡衛  目白大学 学長
佐原 光一  豊橋市長
菅原 雅枝  東京学芸大学 国際教育センター 准教授
高田 和明  愛知県教育委員会 義務教育課長
高橋 清樹  NPO多文化共生教育ネットワークかながわ 事務局長
神奈川県立橋本高等学校 教諭
竜澤 規之  甲府市教育委員会 学校教育課 指導主事
藤巻 秀樹  北海道教育大学 教授
松本 一子  愛知淑徳大学 非常勤講師
吉住 健一  新宿区長

が2015年の12月から2016年の4月にかけて5回行われ、提案が出された。内容は、すでにいるとされる1600人の日本語指導員を増員すること、教職課程に日本語の単位を盛り込む準備をすること、集住散住のバランスをとるために拠点校を設けてそこを軸にやっていくこと、高校入試で受け入れ枠を作り便宜を図ること、など。就学している児童へのサポートは強化されるとのことだが不就学の子供などがどうなるかは不透明。

参考までに、ここで言及されている「日本語指導員」とは、93年から行っているというJSLカリキュラムに従った研修をうけた教員、ということになっている。おそらく独立行政法人教員研修センターで行われる外国人児童生徒等に対する日本語指導指導者養成研修で、修了証書を取得した人ということだと思われる。管理者向け研修は2日間、教員向けは4日間、20人クラスの授業。
以下、この研修の内容(2016年4月)を引用します。

目的
 日本語指導が必要な児童生徒等の増加等を踏まえ、これらの児童生徒に対 し適応指導・日本語指導を行うとともに、関係機関と連携し、受入れ体制を整備するなど、学校全体できめ細かな対応を図ることが重要である。本研修では、学校全体での外国人児童生徒の受入れ体制の整備、関係機関との連携、日本語指導の方法等について、必要な知識等を習得させ、各地域において本研修内容を踏まえた研修の講師等としての活動や各学校への指導・助言等を行うことのできる指導者の養成を図る。

内容
・外国人児童生徒教育の現状と課題、「特別の教育課程」による日本語指導の要件、日本語能力の評価の在り方等に関する講義
・外国人児童生徒教育の先進的な取組に関する事例発表・協議
・外国人児童生徒等の受入れ体制、JSLカリキュラム・外国人児童生徒の生活背景や学習経験等を踏まえた日本語指導や学習支援の内容と方法、日本語能力測定方法(DLA)等に関する演習
【管理者用コース】
外国人児童生徒等の受入れ体制について、管理者としての役割や関係機関との連携の在り方の理解を深めるなどの具体的な対応について行う。
【日本語指導者用コース】
「初期指導プログラム」「中期・後期指導プログラム」及び「教科指導実践プログラム」に分け、基本的に受講者の希望を参考に行う。それぞれのプログラムの内容は以下のとおりである。
「初期指導プログラム」
  来日直後等の児童生徒に対する日本語指導を中心とした内容 
「中期・後期指導プログラム」
  日常会話ができる児童生徒を対象とした「読む力・書く力」を高めるための日本語指導を中心とした内容
「教科指導実践プログラム」
  日常的な会話はある程度できるが、学習活動への参加が難しい児童生徒に対するJSLカリキュラムを活用した「日本語と教科の統合学習」を中心とした内容(「国語」「社会(地理・歴史・公民を含む)」「算数・数学」「理科」のうち希望する教科をもとに研修を行うが、班編成の関係上第1希望に沿えない場合がある。)

受講者

【管理者用コース】
1)都道府県・指定都市・中核市教育委員会の指導主事及び教育センターの外国人児童生徒等教育担当者並びにこれらに準じる者。
2)小学校、中学校、高等学校、中等教育学校並びに特別支援学校の校長、副校長、教頭であって、各地域・学校において本研修の成果を活用できる者。

【日本語指導者用コース】
1)都道府県・指定都市・中核市教育委員会の指導主事及び教育センターの外国人児童生徒等教育担当者並びにこれらに準じる者。
2)外国人児童生徒等に対する日本語指導等について経験を有する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校並びに特別支援学校等の主幹教諭、指導教諭及び教諭等であって、各地域・学校において本研修の成果を活用し、外国人児童生徒等の教育の中心的な役割を担うことができる者。

過去の実施要項などをみるかぎりでは、集住地域の人と散住地域(ここでの表現は「分散地域」)の人は別クラスになる。集住の定義は、このPDFによると、外国人児童生徒」が10名以上在籍する」となっている。

ある程度日本語指導の経験があることが前提となっているが基準はないので、基本、この研修を受ければ「日本語指導員の指導」つまり日本語指導のリーダー的な存在として活動することになるということのようです。

JSLカリキュラムは、2006年の文科省の方針では、これを軸に定着促進ということになっているが、2016年の有識者会議でカリキュラムの見直し(どの程度かはわからない。誰が関わるのかも)も言及された。会議の最後(すでに骨子は出された4回)では非就学児童に関する意見も出たが骨子には反映されていない。

 参考までに、一般的な教職の単位数は、小中学校でいうと、だいたい40~90くらい。日本語教師の資格は、日本語教育学科ならば大卒までの単位数すべて、日本語教育に特化したものなら文科省のガイドラインをふまえて、最低でも26単位となっており、民間の学校などでの養成講座では420時間が目安。現場での経験と4日間の研修で「日本語指導員の指導」ができる修了証書が取得できるのは前述の日本語教師に求められる文科省のガイドラインからみても疑問。

 


 

内閣の定住外国人ポータルサイトはこちら
http://www8.cao.go.jp/teiju-portal/jpn/

一般就労者には日系人就労準備研修というものがあり、日本語資格コースとして240時間が割り当てられているようです。この一般財団法人 日本国際協力センター(JICE)というところは、元々外務省所管の組織で、JICAと連携して国際的な人材派遣などをしていたところみたいです。ここでも独自の「JICEならではの日本語講習」をするそうですが、授業、カリキュラム、教材、いずれも不明です。講師の資格が問われるのかは不明です。
http://sv2.jice.org/jigyou/nihongo.htm

在留者は「一定の質が保証された」日本語教育を受ける権利があると考えるのは自然なことで、現在の状態は、日本が批准している国連人権A規約、子供の権利条約に違反しているという指摘もあります。
http://www.kanaloco.jp/article/84593/cms_id/127849

国連人権A規約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2b_004.html
子供の権利条約
http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html

 

いわゆる「外国人技能実習制度」の日本語教育

外国人技能実習制度は、1993年スタート。日系移住者の政策に次いで、大きな方針転換。バブル後期のビザ免除国からの出稼ぎ労働者問題からの転換で労働力確保はこの制度でやっていくとなった、ということだと思います。

この制度で来た人達は、ピーク時の2008年ごろは20万人近く、現在は、日本にいるだけで16万人、公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)によると、8割が20才代、今後、オリンピックの建設需要などで2020年までに15万人、さらには介護士もこの枠でという声があります。

これまで多くの問題点が指摘され、報道されています。

外国人技能実習生の現状と課題
http://r-cube.ritsumei.ac.jp/bitstream/10367/4899/1/as36_yoshida.pdf
外国人受入れ制度検討分科会 議事
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri06_00032.html

外国人技能実習で検索すると最低賃金での試算結果を示して「コストを削減!」「人手不足解消!」をうたい文句にした組織がたくさんヒットします。また、よく農業、漁業に焦点があたりますが、対象職種はかなり幅広いです。
http://www.jitco.or.jp/system/shokushu-hanni.html

しかし、ここでは、なるべく日本語教育に焦点をあてて書いていきます。

派遣前の日本語教育に関しては、このガイドラインが基準となっています。
日本語の授業は最低でも、例として月金で一日3時間で3ヶ月、などと、まとまって200時間程度の日本語研修が示されています。
http://www.jitco.or.jp/pdf/guideline_hakenmaenihongo.pdf

*上のPDF、2015年3月22日に削除されました。改訂中とのこと。新しいものがアップされるまで保存したものを以下に。2007年版です。
研修生派遣前教育ガイドライン 日本語教育編

実際に200時間以上実施されているようです。
http://www.jitco.or.jp/nihongo/data/enjo_jittai_okuridashi.pdf

ただし、このPDFを読む限りでは、日本語教師に関する規定はないようです。ガイドラインの中であるのはこれだけ。短いので全文引用します。

派遣前日本語教育の目標を設定し、その達成に向けて必要なカリキュラムをこなしていくためには、相応の日本語指導員を配置する
ことが必要です。日本語指導員は、派遣前の日本語教育を担当する者として、日本語指導に関する基本的な知識やノウハウが必要であることは言うまでもありません。送出し国の事情にもよりますが、その送出し国出身の指導員であれば、地元の高等教育機関等で日本語を学んだ人や、日本への留学経験者等が考えられます。日本の生活や社会情勢、経済事情等についても精通し、指導員自らの経験もって説明できるような経歴があれば、なお望ましいでしょう。
日本人の指導員であれば、日本国内で一般的に日本語教育の専門家に求められる要件、すなわち、日本語教育能力検定試験の合格者や所定の養成講座を修了した人が考えられます。しかし、一般的に、送出し国で日本人の日本語指導員を継続的に確保するのは難しく、現状では、送出し国出身の日本語指導員が派遣前の日本語教育を担当する場合が大勢を占めています。母国語で説明することにより、指導内容を十分理解させることができるのは送出し国出身の指導者ならではの利点といえるでしょう。
他方、こうした送出し国出身の日本語指導員がより効果的な日本語指導を行うためには、正しい発音を伝えることに留意する必要があります。日本人の発音を吹き込んだCD教材等を適宜活用すると、発音練習や聞き取り練習を行う際の不便さを補い、正確な発音を指導することができます。

「日本人の発音」「母国語」というような表現は、日本語教育の専門家は使わないと思われますが、それはともかく、いろいろ大変だろうから、そっちで決めていいよ。ということでしょうか。

ガイドラインにも、JITCOの日本語指導の手引き
http://www.jitco.or.jp/download/data/nihongo_shido.pdf
にもありますが、日本に来る前に、1)ひらがな、かたかなの読み書き2)聞いたことが書き取れる。3)簡単な文が書ける。4)「禁止」などの実用漢字が読めなくても意味がわかる。5)数字、日付が聞き取れ言える6)簡単な指示を理解し行動できる。まではやること、入国後は日本の生活習慣を学び、生活の中でふれる表現になれる。となっています。

「8割以上が20才代」と言われる学習者相手に、200時間の日本語研修をするにしては、この「手引き」の目標設定は極端に低いと言わざるを得ません。

さらに入国後は、最初の受け入れ機関(第一次受け入れ機関)で平均173時間(うち方言に関しては2時間)の日本語研修を受けているようです。(その後日本語研修を続けるところは6割となっていますがアンケートの回答率が65%なので、全体の比率は実際はもっと低いことが予想される。3割以下?おそらく、ほとんどの研修生にとってこの373時間で日本語の研修は終わりです)

実際に研修を行う機関(第二次受け入れ機関)に行くまで、最低でも平均で373時間の日本語研修を受けていることになります。

*日本語の学習時間と到達するレベルの目安

日本語の学習時間と達成できるレベルに関しては、明確なものがありませんが、ある程度の目安として日本語能力試験が以前設定していた時間があります。4級(=N3~N4)で300時間、3級(=N4~N5)で600時間というものです。ただし実際は、毎日勉強できるような環境ではもっと短く設定されています。また、日本語教育の場でも最も使われている初級の総合教科書である「みんなの日本語」では、300時間で終了するとなっています。「みんなの日本語」を終えて理解度が高い学習者は、N3は合格すると見込まれています。N3は介護や看護の入国基準として有力とされている基準で、日常会話はなんとかこなせるだけのレベルと言ってもいいと思います。(日本語学校では、漢字圏の学習者は多少有利なので必要な学習時間は七掛けか八掛けくらいで考えることが多いです)

まずは300時間で基礎的な部分の学習時間は終わる。個人差もあるし、学習したことが定着して「使える」ようになるまで+200~300時間、合計500~600で、「日常会話ならなんとか大丈夫」というところまで行くかな、というところでしょうか。もちろん、これはN3レベルで漢字は300~500くらいです。この後の継続的な学習は必要です。学習を継続するための最低限の準備として最初の300時間は必要と考えたほうがいいでしょうか。(参考までに、日本の義務教育の英語の学習時間はだいたい900時間、オーストラリアやカナダなどでも外国人在留者への英語教育では500時間前後が「初級」の目安になってるようです)

しかし実際は、373時間の学習を経て、実際に研修を行う段階になっても、ほぼ話せない聞き取れないということが起こっているというのは、まず、母国での200時間が形骸化していること、国内との連携に問題があること、国内の日本語学習環境(後述しますがプロの日本語教師は3割という調査結果)など、いろんなところが機能していないということだと思われます。

日本に入国後の日本語教育に関しては、外国人研修制度を請け負っている公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)では研修生の日本語教育に関して以下の調査をしています。(前述のように調査のアンケート回収率はとても悪く、第一次受け入れ機関が65%程度、2次受け入れ機関だと50%です。日本語教育に関する質問もあるのですが、日本語教育の専門知識もない人に「どこに問題があるか」と尋ねてもあまり意味がないように思います。例えば、「母国で日本語ネイティブ教師の指導を受けていないからダメ」という回答がありますが、資格をもち経験を積んだ日本語教師であれば、日本語ネイティブかどうかはその質には関係ありません。

 第一次受け入れ機関とは、入国後最初に受け入れる組織団体などのことで、第二次は実務を行ういわゆる「現場」ということのようです。

日本語教育実態調査ホーム
http://www.jitco.or.jp/about/chousa_houkoku.html

第一次受け入れ機関の日本語教育研修のアンケート調査
http://www.jitco.or.jp/nihongo/nihongotyousa.html
ここに日本語研修の中身、達成度などがあります。ただし、どのレベルにまでいったかは、具体的な記述なし。以下のような記述があるのみ。以下のような記述のみです。

実際に日本語学習が十分なのかについては、以下のような結果がありました。引用します。

まずは仕事上の問題。

日本語に起因する実務研修実施上の問題点

研修生の日本語が不十分であることに起因する実務研修実施上の問題については、企業の担当者や経営者から「問題などを聞いている」と回答した第一次機関が66.0%、「問題などを聞いていない」としたところが33.3%であった(第33図)。
第33図 日本語に起因する実務研修実施上の問題点
「問題などを聞いている」と回答した347カ所の第一次機関が聞いた問題点は、「日本人社員とのコミュニケーションができない」が61.7%と群を抜いて高かった。このことは、研修生の未だ十分でない日本語能力が隘路となっているものと考えられる。さらに、「報告・連絡・相談などが行われない」が37.5%、「社内の約束事や取決めが守れない」が36.0%、「技術・技能の移転が思うように進まない」が35.7%と、これらの3点も比較的多い問題点であった

研修生の日本語が不十分であることに起因する日常生活上のトラブルに関し、企業の担当者や経営者から「問題などを聞いている」と回答した機関が54.6%、「問題などを聞いていない」機関は45.4%であり、「問題などを聞いている」方が9.2ポイント上回った

繰り返しますが、調査で戻ってきた調査票は65%なので、実態は上よりも悪い可能性があります

ただ、結論はこうなっています。

「集合研修終了時」では「殆どできない」が激減して1%程となり、「少しできる」が30%程度と半減し、「ある程度できる」が50%台になる等、大幅な改善がみられた。さらに「かなりできる」が10%台となり、1%台とわずかではあるが「とても良くできる」との評価も出現した。このことから、研修生の日本語能力の改善に関し「集合研修」がいかに重要であるか理解できよう。

なにがどう「できる」のかはよくわかりません。集合研修とは、第一次受け入れ機関の研修終了時(その後日本語研修は行われいるところは3割以下)つまり373時間の実質的な研修が終了した時点ということだと思われます。

また、この国内の日本語教育のほぼすべてを担当すると思われる第一次受け入れ機関の日本語教師について

第一次機関が実施する集合研修における日本語教育の教師は誰かとの問いに対しては、「当機関又は傘下企業社員(海外勤務経験なし)」が31.4%、「当機関又は傘下企業社員(海外勤務経験あり)」が27.0%であり、次いで「外部委託した日本語専門機関の教師」が30.6%(161カ所)、「地域のボランティア」が15.2%であり、ボランティアの協力度も高い。
また、「その他」も34.0%占めたが、その具体的内容は「元中学・高校の教師」、「通訳」、「日本人と結婚した中国人」等であった

とのことです。「海外勤務がある」かどうかが日本語を教える能力とどのような関係があるのか、よくわかりません。少なくとも、有資格者のプロの日本語教師は、3割以下、(繰り返しますが)調査票の回収率が65%であることを考慮すると2割以下、ということでしょうか。これでは、入国前の200時間の教師の質に関してあれこれ指導を期待するのは無理でしょう。つまり外国人技能研修制度を利用して日本に来る人達が受ける日本語の研修は、そのほとんどを素人が教えているということです。

研修生の日本語教育の一部はこの国際研修協力機構から(あるいは日中技能者交流センターという組織を介して?)委託をうけ公益財団法人国際日本語普及協会(AJALT)が主に行っているようです。
http://www.ajalt.org/study/tech/

あたらしいじっせんにほんご (技能実習編)
http://www.amazon.co.jp/dp/4906096204
という教科書も作っています。

日本語教育の指導方針として日中技能者交流センターのサイトにAJALTの講師による「日本語教育再考」という連載があります。
http://www.jcsec.or.jp/files/archives02.html

「現場のニーズにこたえる」「重要なことは、教室活動と現場を結びつけること」とするこの「あたらしいじっせんにほんご」という教科書をベースにした日本語教授の考え方における「現場のニーズ」は、学習者のニーズというより雇用者のニーズに近いようです。例えば、日本語教育・再考のその4には「現場」を見学したという講師が以下のようなことを書いています。

しかし学習者の実習の現場、働く現場は、その丁寧な言い方より、「こっちへ来い」「まだ!」「向こうへ運んで」「ここに置いて」「スイッチ切れ!」などの表現をよく聞きます。学習者は教室の中での日本語と現場の日本語のギャップにびっくりします。もちろんギャップはあるのは当然ですが、できるだけ、少しでもそのギャップを少なくすることが大切だと考えます。『あたらしいじっせんにほんご』は一課から両方が出てきます。一課から慣れていくことが大切だからです。

その6には

実習生や働く外国人にとって一番大切な、仕事場での日本語の指示を聞きとって、すぐに行動出来るようになるための練習をします。

などという記述があります。

「現場のニーズ」にそって、ひとつ現実的な提案させてください。技能研修生に日本国内で行われる日本語の研修が、すでに200時間を学習した人を対象にするのであるならば、一課は「労働基準監督署に申し立てをする」からスタートするのはどうでしょうか。「現場のニーズ」から作っていく教材として、また、労働管理に頭を悩ませている関係各所にとっても「ニーズ」は一致するはずです。もちろん、労働基準法については、すでに学習者の母語で十分にレクチャー済みであると思いますので。あとは具体的に申し立てをする方法をまじえて場面を作って構成するだけです。匿名でもメールでも申し立てはできますし、実名でより本格的な申し立て(こっちは監督署の監査が入ります)をするところまでは行けるのではないかと思います。

また、日本語教育・再考 その9には、興味深い記述があります。「現場」からの質問として

来日前に自国で200時間以上も日本語を学習し、教科書も2冊くらい終了していると記載されている実習生達が実際にはこちらの質問にほとんど答えられないのですが、虚偽の記載ということでしょうか。そのような学習者にはどのように教えたらいいのでしょうか。(漢字圏の実習生の例)

という問いがあり、これに「その9」の執筆者は次のように答えています。

確かにオーバーに書かれていることもあるかもしれませんが、ほぼ事実です。しかし、学び方が違います。教科書を読んだり、書いたりすることが中心の学習を自国でしてきたのです。来日前の日本語研修の視察に伺ったときに、教室内から聞こえてくる言語は自国語がほとんどで、日本語は皆で読んだり、書いたり、暗記して発表しているときだけでした。また、先生方の多くは来日したことがないということでした。しかし、その学習は無駄ではありません。頭の中にはたくさんの日本語が入っているからです。ただそれをどのような場でどのように使うかを学習していないのです。せっかく学んだ日本語を使えるように指導する。つまり、日本語の運用能力をつけることです。

母国で200時間でインプットされているのだから、後は日本でアウトプットすることを学べばよい、という主旨だと思いますが、まず、JITCOが設定した200時間の達成目標は、日本語教育におけるせいぜい50時間分程度であり、「たくさんの日本語が入っている」状況にはほど遠いようですし、おそらくほとんどの日本語教育関係者は、最初からインプットとアウトプットをバランス良く教えていけばいいのでは?と考えると思います。

現在、日本語の教え方は「生活者としての日本語」「Can do と日本語教育」「タスク優先」いろんな新たな考え方を軸に再構成されつつあり、転換期といえます。個々の是非はともかく、これらの言葉の表面的な意味だけが流通し、現実に、技能研修生相手の日本語教育を考える際に「現場のニーズにあった」と安易に読み替えられていく動きをみると、やはり、今、日本語教育関係者は、一旦「日本語教育の多様化」という紋切り型はNGワードにして、日本語学習者、日本語教育を政治的経済的なプレッシャーから守る戦略として、例えば「初級の学習者に対しては、ゴール設定のいかんに関わらず、最低でも**までは達成目標とするべき」というようなガイドラインを示し、政策の中に、安全装置として、今のうちに織り込むことを働きかけておくべきではないでしょうか?それがやれそうで、やるべきなのは日本語教育学会しか思い当たりませんが、いかがでしょう?

 他の国々との比較

「技能を学ぶ場」というより事実上、単純労働者確保の国際競争であるという側面も一般の知るところとなってきました。いろいろと比較研究もあるようです。以下は直接的な競合相手となる(と考えられていた時代のレポなので)アジアの例ですが、最初のほうでご紹介したように、(いろいろ国に入ってくるプロセスが違うとか政策も変わったりしているようで一概にはいえませんが)一般的にカナダ、オーストラリア、欧州では、特に区別することなく、在留外国人すべてを対象に無償の言語サポートが作られています。利用率は高くはないようですが、希望すればプロの教師としっかりしたプログラムが用意されている、ということが重要です。

それはひとまず横に置いて、、、
ここでは、まず単純労働者とされる人達への外国語教育に絞ってわかるかぎりの資料をあげてみます。ただし、単純労働者の言語教育は、移民政策における言語教育と別枠で語られるべきことなのかは議論があると思います。ワタクシは後述する「日本語教育ネットワークで」同枠でやるべきだと考えています。移民政策としての言語教育に関しては、このページの一番下に「資料 1」として、リンクを中心に紹介してます。

韓国

韓国の「雇用許可制」と外国人労働者の現況 : 日本の外国人労働者受入れ政策に対する示唆点(1)
http://ci.nii.ac.jp/naid/120005479902

韓国でも送り出し国と入国後で語学研修を分けているようですが実務研修に入る際、雇用時に韓国語の試験があり合格しないとアウトとのこと。

少し詳しいことがここに。
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_rnote/e_rnote010/e_rnote005.pdf

入国前は150時間、入国後は20時間、合計170時間(日本は前200後173時間で合計373時間)だったものが、このテストの導入によって入国前の時間が85時間に減ったと書かれている。しかし、現状では、研修の現場では、韓国語ができないという問題が37%となっていて解決したという報告はない。合格率60%(日本の原付の免許の合格率がこのくらい)というところにカラクリがありそうで、学習時間数を減らす名目で導入されたか、合理化を試みたが、結果、労働需要の声におされてテストは形式的なものになってしまったという可能性があり、学習時間を削る目的で「独自の試験」を作るのはリスクが高い。日本でやるなら独自試験ではなく客観性を担保できる日本語能力試験しかないように思える。(変更前も韓国語が話せない問題は散見され、その際「日本に較べて学習時間が少ないからではないか」という声があがっていた)

台湾

この調査によると
http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/handle/2324/17927/p069.pdf
送り出し国では簡単な会話のみで、入国後も決まった研修はなさそう。

その他の国々に関してはこちらに
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g50924a01j.pdf
言語教育に関する項目はほとんどありませんが、仕事が遂行できるレベルが要件となっていることがわかります。

まとめ