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日本語教育業界の謎と神話

日本語教育業界では、身内のことはあまり批判しないという空気があるようで、おかしなことがずっとそのまま放置されてしまう傾向があります。

「困ったもんです!」と嘆く人は多いのですが、そのほとんどは「自分はそういう種類の人間ではない」という表現であるようで、具体的に批判する人も訴える人もいないので、何も変わらないままです。そういうユルい業界であるので、他の業界では絶滅したような労働環境であったり、低レベルな、これはさすがにひっかからないだろう、というようなこと、普通は最初の段階で批判されて消えるような人達、も、日本語教育業界では生き残っています。

クラスタにもよりますが、日本のSNSはロジックやエビデンス、科学的な検証よりも「共感」重視という傾向が強いように思います。「わかる!」「前からそういうことあると思ってた」みたいなことが人気があります。ツイッターではRTされ、フォロワーを増やすために、そういう共感を誘うことばかり追いかけるみたいなことになってしまってる人もいます。タイムラインの多数の意見をふまえてじゃないと物を言わないみたいな。

「何かに詳しい人、専門家」として自分をブランディングしているけど、実態は…という人が放置状態、ということもよく見ます。そういう人に「ホントに専門家?」などと問いかけるのは面倒だからです。基本、自己防衛しかありません。肩書き、大きな組織、有名であること、は横において、まず検索してみましょう。信者になる前に、名前やワードでちょっとだけ検索してみましょう。

出てくる名前にも注目しましょう。大学関係者でもちゃんと論文を書いてる人なのか?は重要な指標になります。特に日本語教育のダメな「有名人」は論文全然書いておらず雑誌の連載記事しか出てこない、ということが多いです。

研究者検索 http://researchmap.jp/search/
論文検索 CiNii http://ci.nii.ac.jp/
論文検索 Jstage https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/
論文検索(英語) https://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja

 

私達は、ずっと業界のちょっと外で仕事をしてきたので、空気を読まずにズケズケと書くことにしています。以下の一部は、ツイッターのモーメントという機能で「日本語教育の謎理論」としてまとめていたものを転載しましたので、ツイートも参考までに示しました。まだまだたくさんあるのですが、時間があれば、また、今後も「なにそれ?」と思ったことは追加していくかもしれません。

せっかくインターネットという個人が自由に発信できるツールがあり、比較的自由にものが言える国に所属している人が多いと思いますので、これからは「それダメだよ」「間違いですよ」と自然に、力まずに、言う人が増えることを期待したいです。

 明治大学の疑似科学に関するサイトでは、いろんなものが扱われてます。http://www.sciencecomlabo.jp/

 検索で便利なワード。疑似科学 Pseudo トンデモ 批判 Criticism …(英語で検索するほうが情報が多いです)

 海外のネットでは(私がわかるのは英語だけですが)、個人のアカウントで、実名出して批判するのは普通のことです。きちんとしたロジックで批判できるかどうかは、大事なことだということになってます。日本のネットでの個人の迂回したモゴモゴした物言いは、多分日本のテレビでのモゴモゴのマネがベースにあって、具体的に批判をしないことで、関係を継続したい、できれば仕事ももらいたい、というサインを送ってるんだろうな、と思います。テレビと違って、そんなにたいした仕事くれないよ、と思うのですが。

 

 

タタミゼ

タタミゼという言葉自体は、英語をしゃべってる時は人格変わるよね~みたいな話の日本語版です。言語学者の鈴木孝夫氏がおおまじめにとりあげたことで、だんだん「日本語が世界平和を作る」みたいな話になっていってます。言語によって世界の捉え方が違う、というのは、諸説あるようで、まだコレという結論は出てないようですが、**語を勉強したら**人みたいになる、というようなざっくりとした荒唐無稽なものは、みたことがありません。しかも、その「**人みたい」は、スペイン人=情熱的とか、ドイツ人=厳格 みたいな絵に描いたようなステレオタイプを前提にしたものであり、日本人は「きまじめ」「マナーがいい」みたいなことで、さらに「女性が従順になる(!)」みたいなことになっています。新潮45の読者には響く内容ということかもしれません。。。

 一般論として英語を話す時はアメリカ人っぽくなる、イギリス英語だと~みたいな話はありますよ。でもたいたいの場合上達するとだんだん落ち着いてくるもんです。下手な間はボディランゲージなど、いろんなもので補わないといけないし、まず友好的な人間だと伝えるために相手の文化に過剰に適応しようという気持ちにもなりますから。

最近では、施 光恒九州大学准教授という人が、伝道者的なことをしてるみたいです。慶応大学にタタミゼプロジェクトというのがあるそうで、そこで、「これからの日本の言語政策に向けて――英語化批判、および「タタミゼ」型秩序形成の可能性について」という学会発表をしているとありました。「タタミゼ」型秩序形成…。

いずれにしても、「日本語学校から報告がある」というのが結構重要な根拠になっているようで、報告者として、コミュニカ学院という日本語学校の名前もあがってます。コミュニカ学院の学院長は日本語教育学会の理事(2017~)でもあります。

このタタミゼに関しては、日本語学校や日本語教育関係の組織でも講演が行われています。日本語学校の経営者などにもかなり支持されているようです。こういう人達にとって「日本語を学ぶことが日本人的な優秀さを身につけることに繋がる」という考えは歓迎すべきことのようです。留学生に日本語を教えてサポートするのが日本語教育の役割だったはずなんですが、留学生を「日本的成熟(?)に導かなければならない」あるいは「日本化」しなければならない、と考える日本語教育関係者は、東南アジアにシフトが始まった2000年代後半から特に増えたように思います。

 ただ、昔から日本語学校業界には日本語教育でサポートするというだけではなく、実際に帰国して指導的立場になった人も多いことから、そういうエリート教育を支えているという自負は、一部に、あったように思います。

 関連ツイート
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また、これとは別に、金谷武洋という人が、日本語に主語はない。欧米の文法観に囚われているのだ、日本語はすばらしい。みたいなざっくりした理論で同じような人達のハートを開拓しつつあるようです。

これには専門家から公開質問状的な批判(日本語教師の方は必読だと思います)なども出ていますが、回答はなかったようです。日本語教育関係者にもファンは多く、SNSでも時々引用されているのをみます。現在、日本語教育に大きな影響力を持つ、やさしい日本語ツーリズムとThe日本語Learning Communityの主催者の電通の吉開章氏の論文でも参考文献としてあがっていました。
文法の話は、専門家にお任せで、とスルーしていたんですが、上の論文にもあるように、2010年以降は、困ったことに、日本語を学ぶと、気持ちがやさしくなるとか、日本語が世界を平和にするとか「日本語脳」がどうこう、みたいなことを言い出しているようです。日本語はすごく人気があって(どの調査でも学習者は減少してますが)、カナダ人が日本語を勉強すると攻撃的な性格がおだやかになり、ジョンレノンは日本語を勉強したから日本的、と、言語学博士が言うこととは思えないけども、いかにも今の日本で受けそうな、人気がでそうなことを書いたり語ったりしているようです。

 他にもジャーナリストが書いた日本語の論理性のおかげでノーベル賞が多いみたいな本は結構新書や選書にたくさんあります。血液型占い的な広がりを見せていて、流行りのジャンルは日本語の構造がドーシタ、みたいな話になってきています。

この世には学術的に否定されていても、論文として発表されてなくても「学者が実感したんだから本当だろう」と考える人がかなりいて、さらに、そういう人達は学者の信用度を偏差値が高い大学とか海外の大学の博士(困ったことにタタミゼ系のことを言う学者もそうです)みたいなことで決めます。これは仕方ないかもしれない。でも、せめて日々、日本語教えてる人達くらいは冷静に判断しましょうよ、と思うのですが。。。

 


 

 

NLP心理学

日本語教師養成講座の最大手で420時間の講座での有資格者の6割以上を占めるヒューマンアカデミーでは、NLP心理学の講座は人気講座でもあり、日本語教師養成講座の講師にNLP心理学の資格を持つ講師も多く、養成講座の受講者にも積極的にNLP講座のオープン講座への参加を勧めているようです。

日本語教師向けに行われた銀座校の授業では

“相手の視線の動きから脳のどこ(どの感覚)にアクセスしているかを実践!”
” 相手の優位感覚(視覚・聴覚・体感覚)を見つけて ”
” 視線の動きで、脳のどこにアクセスしているかがわかるのです”
” 会場からは、最初から最後まで へぇ~!へぇ~ッ と初めて聞くことに感嘆の言葉”

ということだったとサイトに書いてありました。

こんなことを教えているのかと驚きました。後述しますが、もちろんすべて学術的な根拠はないものです。もう一つの日本語教師養成講座の大手でもあるKECでも、NLP心理学講座は大きな目玉となっており、この種の資格スクールではNLP心理学の講師の資格は、ドル箱になっているようです。おそらく日本語教師養成講座で資格を取る7割程度の人(ヒューマンアカデミーとKECでこのくらい行くと思います)は、NLP心理学をなんらかの形で受講を薦められ、養成講座の講師もNLPの資格を持った人である、ということになっています。

文化庁のシラバスには、心理学関係の項目はありますが、もちろん、NLP心理学とは無縁です。心理学の世界では、NLP心理学は、そもそも無視されている存在のようです。日本語教師養成講座で例えシラバス外の無料講座であっても、講座への誘導が行われているとしたら、かなり問題なのではと思います。これがいいのではあれば、シラバスと対立するものも、無料で参加強制でなければ、どんどん入れてもいいという理屈になってしまいます。これから教師になり学習者と対峙していく人達に、根拠もなく学習者は3つのパターンに分かれるなどということを教えるのは、あってはならないと、私は、思います。

学習者の適性に注目しよう、適性に応じて教え方をアレンジし、学び方のアドバイスもしないといけない、という話には説得力があります。そのプロセスで、学習者のタイプをいくつかわけて考えてみる、というのもひとつの頭の体操としていいかもしれないという気もします。ただし、そこから「3つのタイプにしぼられる」「それはこのテストでだいたいわかる」「このタイプにはこういう教え方はいけない!」というのは飛躍がすぎる。こういう飛躍はよく疑似科学で行われるロジックです。

日本語教育に限らず語学教育では、学習者の個人差をどうとらえるかという研究はあります。これは大阪外国語大学の真嶋 潤子氏が、学習スタイルに関する研究をまとめられたものです。NLP心理学が主張するVAK(視覚:Visual、聴覚:Auditiory、触覚:Kinestheticの3つのうちどれかの感覚が強いみたいなタイプに分かれるみたいな話)のような、ざっくりとした分類があった。それが、いろんな検証によって否定され、今も注意深く検証されている最中であることが書かれています。

海外では一時NLP心理学は普及しましたが、2010年以降は学術的なエビデンスがないということで、ガーディアンをはじめ主要なメディアでも問題視する記事が増えており、公的な機関が採用をやめるという事態になっています。

■ 概要

□ NLPは、英語版Wikipediaでは、疑似科学のリストに入っている。

□ その他のNLP関連の記事
米軍でのNLPセラピーに問題があったという2013年のBBCの記事
Neuro Linguistic Programming: Mental health veterans therapy fear – BBC News
http://ow.ly/Qk6T30eC0C2

■ 問題視する論文

□ Neuro‐linguistic programming: cargo cult psychology?
http://www.emeraldinsight.com/doi/abs/10.1108/17581184200900014
□ The Eyes Don’t Have It: Lie Detection and Neuro-Linguistic Programming
 (視線の動きによってどうこう、というのはウソだったという論文)
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0040259
□ the Skeptic’s Dictionary(疑似科学、オカルト辞書) neuro-linguistic programming (NLP)
http://skepdic.com/neurolin.html
□ GoogleTrendでも、いろいろな問題、論文、記事などの影響で、検索数はじわじわと下がっている。
https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=all&q=Neuro%20Linguistic%20Programming
□ 右脳左脳に個人差がある俗説を否定する研究結果
An Evaluation of the Left-Brain vs. Right-Brain Hypothesis with Resting State Functional Connectivity Magnetic Resonance Imaging
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0071275

■ 問題視する新聞記事

□ VAKは迷信のようなものという記事
Students taught pseudo-scientific ‘rubbish’, experts warn
http://ow.ly/h7ze30eDQpa
□ ラーニングスタイルというジャンルそのものへのWikipediaの批判
https://en.wikipedia.org/wiki/Learning_styles#Criticism
□ ラーニングスタイルという「神話」に関するWIREDの記事
All You Need to Know About the ‘Learning Styles’ Myth, in Two Minutes | WIRED
http://ow.ly/7ERT30eDQRr
□ NLPにエビデンスはないというガーディアンの記事(2006年)
Just a slogan in search of a meaning
http://ow.ly/cq4m30eDwDL
□ NLPの教育利用には問題があるというガーディアンの記事(2008年)
https://www.theguardian.com/education/2008/feb/26/schools.teaching

 関連ツイート
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NLP心理学の人達でもこういうVAKは疑似科学だ、ホントは***(これもかなり怪しいもの)だという悲しい論争があるようです。

 「今、日本語教育、こんなカンジなんですよ、どうしたらいいでしょうか?」という話をしてたら、心理学の研究者の方に、これを勧められました。 
「英語教育学と認知心理学のクロスポイント: 小学校から大学までの英語学習を考える」太田 信夫

 


 

 

特定のソフトで「繋がれば」なにかが起きる理論?

繋がる系?

日本語教育には「繋がる系」というジャンルがあるようです。教師や学習者同士で、いや社会と繋がって、教室外と繋がる、、、というようなことです。たしかに今、学習者は教室や教材、教師からだけ学ぶのではないという側面は強くなっています。それを取り込んでいかねばというのはわかりますが、今のところは、まだちゃんと観察も行われていないという印象です。また、関わる研究者の人達のネットの知識も危ういところがあるように思います。遅ればせながらSNSやスカイプを体験して「これはスゴい!」という興奮がまだ静まってない人達というのか。。。

 もちろん学習者が自律的に「お勉強」以外のところでどんどん上達していく、という例は昔からあったわけです。ネットでそういう人達が増えているのも事実ですが、じゃあネットの発達で日本の英語学習者の英語力が飛躍的に伸びたか?というとそうでもない、ということもあります。繋がる系の人達には、ちょっと落ち着いて、まずは観察してみようよ、と言いたいです。

 

zoom周辺の人達

このzoomというソフトを使っての「繋がる系」の周辺にいる人達は、このzoomというソフトの米国の会社の日本の代理店と契約をしているようです。主催者の(メディアは信用できないので新聞などは読まないという)田原氏は代理店の代表者でセミナービジネスへの応用の有料コンサルティングとのパッケージの販売もしています。(サイトのFAQの本文中に一度だけ代理店契約をしているということが出てきます。サイトからクリックするとURLに追跡記号が付きます。これでトラッキングをしているようです)。プロモーションと自らの活動を一緒にやってるということのようで、セミナー主催者は接続の人数制限などがあるのでセミナーをやるなら有料アカウントが必要になりますし、顧客もスカイプやハングアウトとは違って、無料版では45分までという制限があるので、そのうち有料アカウントをとることになるという仕組みになってます。

この主催者と周辺の人達の「自らの活動」ですが、どうやら自然農法とかオーガニックなどの信奉者が多く、教育関係者が多いようです。日本の教育は根本から間違っており、メディアはウソばかり、右脳が感性で左脳がロジックで、みたいな例えや、「3S(スクリーン、スポーツ、Sex)に穢された現代人!」みたいな表現も出てきます。ワクチン反対、福島の子供達を守れ、みたいな人達もいます。陰謀論めいたことを主張するジャーナリストや、謎の水を100CC5000円くらいで売ってたりするセミナービジネス関係者などもいました。そういう自然信仰みたいなことをベースに、このzoomで、オンラインの世界で繋がりを作っていこうという人達が中心となっているようでした。

どうやら、基本には、穢れたものを廃して自然な状態に人を置けば自然といろんなことが生まれる、自律的な学習意欲が「自然と」高まり、繋がることで対話もわき出てくる、という考えがあり、それをアクティブラーニングとか、反転授業などでの支柱となる理論に、ということらしいです。。子供達の教育に、ということもあるようで、教育関係者が多く、アクティブラーニング系の学会などでも発表をしています。2015年ごろから日本語学習者に注目しはじめ、大学の非常勤講師や准教授などを参加し、日本語教育関係者からもFacebookを通じてアプローチがあって、交流が始まったようです。2017年以降は日本語教育関係者の関わりはますます大きくなっています。

 3S政策というのは、こういうカンジでよく語られるワードです。

 言うまでも無く、語学教育におけるいろんな授業の方法は日々の試行錯誤であったり、検証してデータをとったりで考え、行っていくものなので、こういう自然農法みたいな発想ありきで進めるものではありません。念のため。

zoomというソフトは「普通」

zoomというのは、いわゆるネット会議用のソフトです。無料版ではウェブミーティングは45分までという制限があります。この点、スカイプやハングアウトとは大きく違います。日本ではほぼ無名、米でもシェア10位ぐらい?比較サイトでもユーザーが少ないのであまり情報がないことも多いです。スカイプやハングアウトでのテレビ電話で複数で会議するシステム。機能としては「普通」です。同ジャンルのシェアトップのCISCOの人が始めたベンチャーなので、同時接続時の安定性の技術だけは引き継いでCISCOの廉価版的なもので、個人市場を中心に勝負というようなところのようです。

個人向けにUIを工夫し、知り合い同士の通話機能に加えて、SNSのように、イベントをやって、それを不特定多数に告知できる。というソーシャル的な機能があり、それが集客に便利だと、日本では、セミナービジネス関係者中心に広まっているそうです。便利ですが、これらの機能は既存のSNSと組み合わせてやればいいわけですし、スカイプを買ったMicrosoftのほうが圧倒的に強いでしょう。唯一のウリである同時接続の安定性というのは、回線状態の影響を大きく受けるので技術的な多少のアドバンテージではどうにもなりません。

つまり、どう考えても、ウェブ会議のソフトは、一対一や複数相手のビデオ会話であれば、無料で制限時間もないスカイプやGoogleのハングアウトで十分です。ハングアウトもビデオ会話で同時で10人、会話だけなら150人まで可能です。本格的にウェブ会議システムを導入するならば、ハングアウトからChrome Box に移行するのが最も安く(ハードが8人用で35000円、20人用で20万くらい)信頼性もありますし、もうちょっと本格的にやるなら、世界シェアトップのCISCOスカイプのビジネスなどを素直に使えばよく、価格もシェアトップのCISCOが年間5万円くらいで(同時接続は200人まで)、スカイプビジネスはzoomより安い5000円ほどです。

zoomに技術的なアドバンテージはないと思いますので(あれば業界トップになってるはず)セミナーの顧客予備軍になる気がないのなら、無料で時間制限なく使い続けられ、ユーザーも多いスカイプやGoogleのハングアウトが安心感もあり、いいと思います。というか、会社でウェブ会議をするならCISCOでいいし、個人ユーザーの法人の間くらいの人ならスカイプでやって不満ならスカイプビジネスにアップグレードか、ハングアウトからChrom Boxに移行するか、が普通です。で、個人ユーザーなら無料のスカイプかハングアウトの二択です。その他のやり方を選ぶメリットはほぼないはずです。

 Market Share Web Conferencing などで検索しても、存在感はほぼありません。満足度ではハングアウトと同じ数値ではありますが、ユーザー人気では新興戦力に抜かれ、トップではシェアを争うところとして紹介されることはほぼありません。トップシェアのCISCOから出た2011年スタートのベンチャーとしてはかなり厳しいと思います。

自己啓発系?

ちなみに最近は自己啓発などのセミナーは、利益の出ないリアルのセミナーから、低コストのオンラインセミナーに移行しており、顧客を囲い込んで、さらに、複数のセミナーから個人のコンサルティングに誘導して、それを高額で行う(最初は1時間8000円で、会員制を経て、じょじょに、1時間数万円になったりする)ということになっているようです。

このzoomというソフトの日本語版紹介サイトも、セミナー主催者に対して、活用方法などを有料でアドバイスするというような販売戦略をとっています。セミナーの主催者がその顧客や潜在的な顧客として新規開拓をしたりで、ユーザーがふえていて、おそらく、ユーザーのほとんどは、セミナー主催者経由で増えているはずです。セミナー主催者か、セミナーの顧客予備軍みたいな人達が中心ではないかと思います。zoomでアカウントを取るということは「そういうコミュニティに入る」という側面が大きいということです。一般ユーザーがほとんどおらず、セミナーの顧客予備軍という人達ばかりで、そういう人達を囲い込みたいという人達にとっては便利なツールです。そういうこともあってか、日本では、IT系のサイトやメディアなどでは、ほぼ紹介されていません。

このソフトはサイトにアクセスすると自動的にエクゼファイルのダウンロードが始まる、という恐い仕様(それが普通になったらウイルスをばらまくのも簡単になってしまいます)になっているので、サイトは紹介しません。もちろんインストールは推奨しません。無料でも使えますが、45分までで、有料サービスは年間15000円ほどで基本有料アカウントに誘導するというビジネスモデルです(Skypeのビジネスアカウントは年間5000円)。ペアで推奨されるUMUというソフトも最初無料ですがちゃんと使うには有料アカが必要で、いずれも有料への誘導が強いです。アフィリエイトのような仕組みで特定のサイトから無料でアカウントを作ると、紹介者と紐つくようなシステムになっています。例えば、有料アカウントに移行すれば紹介者にボーナスということになっている可能性が高いです。

 シェアの低い米国企業が販促で自己啓発系のグループを使うのはよくある話です。特に海外では数字を出すとこに丸投げ、というのもよくある話。ネットワーク販売も多いです。米国はそういうビジネス形態の本場といってもいいと思います。

 

日本語教育関係者への広がり

このzoom周辺のイベントの日本語教育関係者の関与は、2015年あたりから?のようですが、2017年に目立ち始めました。国際交流基金の日本語上級専門家の村上吉文氏をはじめとする複数の日本語上級専門家、アクラスの嶋田和子氏、日本語教育学会副会長の神吉宇一准教授、カンタベリー大学の荻野雅由氏という日本語教育のど真ん中みたいな人達が関わっています。また、大学の日本語教育関係者である松本一見氏や大隅紀子氏という方々もコンサルタントとして活躍(スタッフとして報酬を得ている?)されているそうです。今後広がっていく可能性は大きいです。私には、その理屈はさっぱりわかりませんし、日本語教育学会のトップみたいな人達が右脳とか左脳などと言ってるのは恥ずかしいという気持ちしかないですが。

 関連ツイート(イベントなどの勧誘や参加者など)
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日本語教育関係者による日本語学習者への拡散

これが最も問題だと思いました。

しかしまだ教師の間でやっているうちはいいのですが、日本語教育関係者が日本語学習者を勧誘するようになってきました。言うまでもなく日本語学習者は、コミュニティがどういうものなのか判断できるだけの情報も日本語能力もありませんから、そこが日本語学習が目的の場なのか、セミナーへの勧誘が目的のイベントなのか、わからないまま参加することになります。教師や大学関係者が紹介すれば、特に注意することもなく入っていってしまうと思います。

zoomというソフトをインストールすれば、いろんな勧誘が始まるはずです。顧客としての魅力だけでなく、日本人の顧客の獲得のためにも、外国人との交流イベントなどはぜひともやりたいというセミナー主催者は多いでしょう。セミナー主催者同士で顧客のIDの「共有」も行われている可能性も高いです。ネット以前の時代から、よくわからない組織や宗教団代の広告塔的な存在として利用されてしまっている日本語学習者は結構いました。こういう仲介を、日本語教育関係者はやってはならないと、私は、思います。

このzoomの人達は日本語学習者のグループいくつか主催しています。そこでzoomをダウンロードさせて日本語の練習をしようというイベントも活発になってきています。国際交流基金関係者も日本語教師だけでなく学習者にも勧めているようです。しかし、ひとたび学習者がzoomをダウンロードし、ユーザー登録すれば、おそらくいろいろなセミナー関係者からのイベントへの勧誘も増えてしまうでしょう。日本語の知識がない学習者が、それが、単なる交流の場なのか、セミナービジネスの場か、自己啓発グループなのか、あるいは宗教団体なのか、を正しく判断できるかは疑問です。日本語教師はそういうものから学習者を守るフィルター役にならねばならないと思いますが、窓口になってしまっているようです。残念です。

問題だと思って、ネットで最も精力的にzoomに言及し日本語教師への勧誘を行っている村上氏に一応、リプライしてみました。

 返信はありませんでした。

ともあれ、参加する前に、できればzoomというソフトをインストールする前に、このzoomの関係者や周辺にいる人達の名前で、その人達がどういうことをやってきたのかを、しっかり検索することをお勧めします。

 関連ツイート(日本語学習者への拡散)
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 在ミャンマー日本大使館の広報文化部で勤務している藤原尚子氏がイベントに参加するという告知をやってました。国際交流基金から大使館関係者に広がってるんですね。

 

日本語教師のお悩み相談ビジネス

日本語教師向けの有料の相談をかかげるビジネスは増えています。最初は数千円から始まり高額の個人コンサルティング(今はカウンセリングと称してやると訴訟リスクがあるということで、コンサルティングという言い換えが行われています。しかし実際に訴訟になった時はほぼ関係無いのではと思います)まで誘導するという手法は、他の「相談ビジネス」でも一般的になってきていています。

かつてリアルセミナーメインでやっていた自己啓発系の人達がオンラインに移行し、オンラインセミナーをやり、そこからより利益率が高い、高額のオンライン個人コンサルティングへ、という誘導をするのがパターンとなっていて、それは日本語教育でも広がっているというわけです。

日本語教育能力検定試験の相談や、勉強会、には、経験者の教え方のノウハウ伝授をこえて、人間関係などの悩み相談を引き受け、有料の個人カウンセリング、メールでのサポートと、いうものは増えています。フリーランスの日本語教師の生活はなかなか厳しく、時間当たりの稼ぎは日本語学校やプライベートレッスンよりも日本人相手が、日本語教師相手のほうが、稼げる、という単純な理由だと思われます。この人達が有料で「お悩み相談」をする資格があると考えている根拠はNLP心理学の資格や知識のようです。脳科学の知見を生かしたみたいなことを書く人までいます(どこの大学で勉強したんでしょうか。。。で、脳科学で悩み解決?)。

この人達が、ネットの知識を得て、他の自己啓発系セミナービジネスと同じく、ネットの個人カウンセリングに移行する可能性があります。個人の心の問題まで踏み込み、素人が有料で解決しますとやるのは、訴訟などもあり、実は、とてもリスクが高いビジネスなのですが。

このようなセミナーと相談、メルマガなどの情報商材に関しては、日本語教師と法律:学習ノート の「勉強会とノウハウ伝授とお悩み相談」というところに少し書いています。個別サポートになると、景品表示法に基づいて、主催者の名前や住所などをきちんとサイト上で示す必要が出てくる可能性があります。法的にギリギリでも、名前や連絡先などがなく、Facebookなどある程度本名と紐ついたものがない場合は申し込みは避けた方が賢明です。

お悩み相談は職場の人にしましょう。ツイッターでアカウントを作り、日本語教育関係者をフォローして、いろんな呟きを読んでみるのもいいでしょう。聞けば何か答えてくれるかもしれません。そして何より相談相手がいなければ相談できる人がいる職場を探すのが一番です。そういう職場に転職することに全力を傾けるほうが合理的です。

 日本語を教えるのは素人には無理であるとよく日本語教師は言うのですが、心理カウンセリングは素人でもできると考えるというのはどういうロジックなのかはわかりません。病院や公立の学校で心理カウンセリングをするのは資格が必要です。大学で修士まで学んだ臨床心理士、2017年からは心理学の学士が取得できる公認心理士という国家資格もできることになりました。これらのプロのカウンセラーは、訴訟用の専用の保険に加入して仕事をしています。この他、心理学には民間の資格も多いのですが、基本的に大学で心理学を学び学士を取得しないととれない資格でないと認められないことになっています。2017年からスタートした公認心理士の出現で民間資格でのビジネスは厳しくなるのではと思います。

 大学の日本語教育関係者による、1時間54000円(会員割引あり)の日本語教育のオンラインコンサルティングというものも存在します。

 参照 勉強会とノウハウ伝授とお悩み相談について

 関連ツイート
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ワールドカフェ

人が集まったときに、こういう手順でやるとはやく打ち解けられますよ、みたいな方法論として一部に普及しています。考え方に幅があり「こうやるのが正しい」「こうでないといけない」といろいろあるようです。リラックスして話せるようにしましょう、というライトなものから、自分をさらけ出して、正直なことを話す、というような集団カウンセリングのようなものもあれば、感動で泣き出す的なヘビーなものもあるようです。特に新しいやり方ということでもなく米で有名ということでもないのですが、日本では何故か、この形式でやればうまくいくと考える人が一定数います。会議などで自由に発言できる空気が作りにくいカルチャーがあるところなどでは重宝されているのかもしれません。

大学などでは新入生相手に新興宗教などのいろんな団体が「ワールドカフェ開催 外国人とお友達になろう」などというイベントで勧誘したりしています。つまりワールドカフェそのものは、古い、それほどパッとしない会議の方法論なのですが、今は、その使われ方にいろいろ問題があり、注意が必要、ということです。日本のワールドカフェの紹介の団体も基本、企業の「感動」研修などのかなり濃いセミナービジネス系のところのようです。

今は、リアルなイベントを中心に自己啓発ビジネス関係者に方法論が活用され、オンラインに移行中というところでしょうか。オンラインワールドカフェは増えています。上のzoomを使ったアクラスのイベントでも、このワールドカフェ形式で進めたとあります。ネットを使って、海外の人達とも繋がろうみたいなイベントで使われることも増えてきました。アクティブラーニングとからめて教育でも応用できるという人はいるようです。なぜ、語学の教育に、自己をさらけ出すことが必要なのか、私にはわかりませんが。ともあれ、日本語教育とも無縁ではなくなってきたわけです。

 「外国人と話せるワールドカフェ」で日本人を集める、ということも考えられていると思います(昔からよくあるパターンですが)。外国人が広告塔として利用されるみたいなことです。日本語教育関係者は、そういうものに日本語学習者を誘導しないように注意が必要だと思います。

 アクティブラーニング関係と自己啓発ビジネスはいろいろと関係が深いようです。大学関係者がいて「学会」と名乗るところもあります。注意が必要です。というか、せっかくの新たな試みがこういう利用のされ方をするのはとても残念です。

□ ちなみに、ワールドカフェの2004年からの検索数です。

日本語の「ワールドカフェ

英語「world cafe」(World Café でもほぼ同じです)

英語ではもう終わったワードという印象です。本家のサイトのアクセスも、ここで調べると、月の訪問者は15000人。日本の地方のアイドルのサイトより下です。95年ごろにちょっと話題になったくらいのことなので。。。

こういう設定などしなくても、企業ではゴール設定がある場合もまずブレスト的にアイデアだけ出す(アイデアに対してはあまり否定をせず出すことを重視)会議をしたりと段階を踏んでやったりします。日本語教育で応用といっても、グループワークのやり方として「最初は大人数で、その後チームで」というような方法は、これまでもいろいろと考えられてきた蓄積がありますし、ネットの活用でもちょっと考えれば、議論や会話のゲームのルールを決める方法は無数にあるわけで、そのうちのひとつの(しかも古い)バリエーションに過ぎない、このワールドカフェ方式でわざわざやる理由はよくわかりません。

教室で教える日本語教師であれば、形にとらわれずに日本語教育の過去の試みから探したり、自分なりに考えたり、やってみてアレンジしたりとやってみれば済むことなのです。それは得意分野のはずです。

 しかし、もし私がセミナービジネスをやっていたら、顧客獲得のためにこれほど便利なイベントはありません。「ワールドカフェ形式」は一般の人には、会議の一形式として知られている。最初はリラックスして話すためのものとして、じょじょに、自分をさらけ出すというようなものに移行すればいいわけです。個人コンサルティングまで持って行けそうな「カモ」を探しだすのにも便利です。オンラインの場合、スカイプでは無理ですが、zoomなら、交流イベントを打って人を集めることはできるし、セミナー主催者同士で顧客のIDを共有することもできます。

 関連ツイート
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 参考 関係者にたびたび引用される「ポジティブ心理学」なるものについては、専門家の間ではほぼスルーされており、英語版WikipediaのCriticismにかなり辛辣なことが書いてあります。https://t.co/033LwsPOzx

 


 

 

国際交流基金関係者によるWikipediaでのルール違反

Wikipediaには、いくつか日本語教育関係の記事があります。その中で「国名(ベトナム中東セルビアなど)の日本語教育」という項目には、いずれも国際交流基金関係者が編集に加わっており、当事者は編集できないというWikipediaのルールに従ってWikipediaのコミュニティから警告を受けています。編集者もレスを書いて対応していますが、残念ながら確信犯的に警告を無視して編集は続けられています。

Wikipediaからの警告のキャプチャです
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第三者からみた一般の日本語教育に従事している方からの項目作成、再編集が望まれます。海外の日本語教育に関しては国際交流基金の関係者はおそらく一番事情を知っている可能性は高いのですが、国の政策として外交政策の強い影響下で進めている事業である以上はバイアスがある、中立性は保てないということだと思います。例えば日本の英語教育事情がブリティッシュカウンシルの職員によって書かれたり、日本の中国語教育事情が孔子学院の関係者に書かれるよりは、第三者によって書かれたほうがいいだろう、というようなことを考えるとわかりやすいかもしれません。その国の大学の日本語教育関係者など、個人の執筆者が出てくるまで待つしかありません。

2017年5月26日追記 

この記事の投稿(2016年5月)から1年を経過しましたが、改善がみられないので警告の件など、URLを入れて具体的に示しました。しかし、編集者である(やむなくお名前も出しますが)基金の日本語上級専門家の村上吉文氏は、これらの一般的な項目に加えて自分自身の項目自分が考えたメソッド(?これも記事自体に論拠を示せとWikipediaから警告を受けています)の項でも、(おそらくは)自分で項目を立て、編集を続けています。警告後は匿名(IPはエジプト→ハンガリーと氏の赴任地と重なっている)で。
そして、これらの行為は、「自分自身の記事を作らない」という、Wikipediaの基本的なルール違反です。こういうことは、関係者もスルーしていることも含め、他の業界ではあまり起きないことで理解しがたいのですが、残念ながら続いています。

 関連キャプチャ
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 村上氏のWikipediaの投稿、編集記録です。この他、匿名での編集も多々あるようです。

日本語専門家は、国際交流基金の職員ではなく契約関係にあるということですが、長年慣例として職員として仕事をしていることもあり、日本語専門家は国際交流基金の日本語教育における顔でもあります。国際交流基金の組織としのWikipediaに対する見解を知りたいところです。

Wikipediaは万能ではありませんし、いち機関であり、そのルールはローカルルールに過ぎません。しかし、ネット上の重要なコンテンツのひとつとして、ネットの人達によって自然とルールが尊重されてきた歴史があります。今は検索でもかなり上位に来るので、そのジャンルのことを知りたいという人にとって、重要な情報源となってきており、記述の中立性は大事です。

自分の名前の項目や自分で考えた理論の項目を自ら作るのは論外です。日常的にネットを活用する人は誰もが知っているルールで、かなり恥ずかしいことです。また、海外の日本語教育事情の項目を基金の関係者が編集に関わるのも、猜疑が出ている以上はやめるべきだと思われます。各国の日本語教育事情は、現地のノンネイティブの日本語教師などにまず母語で自由に書いてもらい、それを有志が日本語に訳すのがいいのではないでしょうか。Wikipediaのような多言語の開かれた場所では、現地の事情は日本の政府機関によってではなく、まず現地の当事者によって書かれるべきです。母語で記事があれば、現地の多くの方々の意見が反映される可能性があり、より練られた記事になります。ある国の日本語教育事情が日本語からの視点で、日本語でしか書かれていないという状況は現地の人達にとっても、アンフェアです。国際交流基金は、自ら編集するのではなく、Wikipediの日本語教育の記述の充実のためにキャンペーンをはるなどして、海外の大学の日本語関係者とつながりがある方などに呼びかけていただくことを期待したいです。

 村上氏は、ご自身のブログではWikipediaを参照に値すると解説したり紹介したりしています。また、この氏のブログも、著作権に関するあやうい記述数々統計に関する混乱した説明根拠薄弱な説の紹介、このページでも取り上げたzoomコミュニティへの教師学習者の勧誘、ネットやデジタル活用に関する細かい間違いや基本的な知識の欠如、などなど問題が多いのですが長年ほぼ誰も指摘しないままです。

 キャプチャ | 01 | 02 | 03)|

2017年12月5日追記

このページに転載した後、2017年12月5日に村上氏からDMが届きました。リプライでDMを引用追加しますと許可を得ましたので、そのままのキャプチャを置きます。

 個人名がありましたので、その部分はカットしようかと考えましたが、平井憲夫氏という方は、どうやら、原発関係の有名な方とのことなので、そのままにしました。もちろん、知らない人です。今回はじめてお名前知りました。

ご本人は、自ら削除依頼をしたということでした。

補足します。Wikipediaの村上氏のルール違反は、冒険家メソッドだけでなく、村上吉文というご本人の項目も、ほぼすべてご自身が書かれており、これはすべて基本的なルール違反で、長年、Wikipediaから指摘を受けています。ページの上にずっと書かれていました(現在は削除モードなので消えています)。ルール違反だから削除すべきということよりも、ご自身のブログでもWikipediaの記述の正当性を称賛する記事を複数書かれているのに、その正当性を支えることになっている重要な基本ルールを自ら破っているのはちょっと理解しがたいという指摘です。そしてこのルール違反は、上で書いたような一般の記述に関しても及んでいるので、ご本人にも、他の方にも、考えていただきたいと思い書いた次第です。

 Wikipediaのルールはここにあります。自分自身の記事は作らない独自研究は載せない出典を明記する、など、細かいルールがあります。

311の件

また、DMにある311の際の件も補足しなければなりません。この件は、日振協の件とは違い個人の問題でしたし、当時はいろいろと判断ミスもあっても仕方ないと書かないことにしていましたが、DMでのご指摘も事実関係が違いますし、書きます。

これは、こちらに当時のやり取りがあります。この私どものツイッターアカウントは、2017年末で運用をやめますので(ツイッター社は組織による複数アカウントは、あまり推奨しない方針になりそうだということでした)記録としてキャプチャを残します。

311の後、2週間ほど経過してからのころです。すべての専門家が発言に慎重であった時期でしたが、氏は、マスコミは正しい情報を出さない!と、原発関連のツイートを続けていました。やり取りにある「5号機~」は、すでに削除されているようで見当たりませんが、当時(もうおぼえている方は少ないかもしれませんが)、漏れがひどかったところではなく、被害が少なかった5号機、6号機のデータのみを出して、こんなに安全だとツイートされていたりしたことを指摘したものです。こちらに少し説明があります。

 この私どものアカウントは、スタッフなどとやり取りするために作ったものでした。ログはここにあります。削除はしていません。ただし、このTwilogは、同じアカウント名で新たなIDが作られると消えます。念のため、ツイートのデータはバックアップがありますので、必要があれば公開可能です。
http://twilog.org/wjstaff/archives

3月24日は、まだ原発付近への立ち寄りも制限がなかった時期でした。立ち入りが禁止になったのは、翌4月の下旬です(その後も侵入は可能でした)。危険だと煽ることも問題でしたが、かといって、安全だと言うこともリスクがありました。やり取りにもありますが、危険だとも安全だとも言えない時期でした。ただ、このページにもあるように、日振協は原発まで近づいてもいいという文書を掲載していた時期です。日本語教育関係者は、とにかく風評被害は避けたいという意図で動いていたと思われます。

そこで、本人にリプライするより、周囲の人から言ってもらうほうが落ち着いて聞くかもしれないと、ややおせっかいであることは承知で基金のhatonohi氏に(以前に両氏の間でやり取りをしていたのをみていたので、お知り合いであることは知っていました。現在は鍵をかけていてツイートもされていないようです)この方には、同様の内容のDMも1通送ったと思います。しかし、DMで「その件は承知しているけども、国際交流基金とは関係の無い立場なので」というような趣旨のお返事がありました(DMは鍵をかけられたので引用できません。日本語専門家は形式上は外部委託となっているので正確には職員ではありません)、村上氏にも、リプライしましたが、マスコミが正しい情報を出すようになるまでやめないと言う事なので、そこで、hatonohi氏には責任はないことだし、村上氏も、上のやり取りあるように、もうこれ以上言っても仕方ないなと「すみませんでした」ということで終わりにしたという経緯があります。それが、このへんのやり取りです。

以上がDMとその中身の経緯、補足です。いただいたDM、やり取りのツイート、すべて編集なしでそのまま掲載しました。

 ちなみに、私が村上氏のアカウントを知ったのは、311の前です。「アラブの春」と言われた頃に「市民記者」と称して、滞在中のエジプトで、現地の日本語学習者相手にインタビューをし、名前を名乗らせた上で「民主主義をのぞんでいる」と発言させた動画をツイッター上で公開していました。かなりRTされていて、私は、これも危ういなと思っていました。これは当事者を危険にさらすことで、ジャーナリストであってもいろいろ保険をうち、慎重を期した上で(匿名にするなど特定されないように配慮して)やるようなことだと思います。その後、その人がどうなったのかはわかりません。

 私は、Wikipediaは引用しますが、かなり使い方要注意だと思ってます。全面的に資料として使えるとはまったく考えてません(日本語教育関係の記述などひどいものだと、このページでも書いています)。それでも、検索でも上位に来るし、ちゃんと書かれたほうがいいだろうとも思ってます。Wikipediaのガイドラインも妥当なものだと考えています。

 中東欧の専門家として編集に関わるのも、私はアウトだと思うということは、すでに書きました。日本語専門家は国際交流基金の正式な職員ではないのだから、自由という理屈なのかもしれません。しかし、政策に関わることを政府系の職員が書くのはアンフェアだというのもWikipediaの基本的な考え方です。国際交流基金の信用問題にも関わるのではと思います。

2017年12月6日追記

DMですべて削除するとご連絡がありました。経緯として記しておきます。

 


 

 

日本語教師養成講座の95%超の「就職率」

「就職率」は、いろいろな計算方法があります。

資格ビジネスというのは正規雇用指向の人がターゲットなので、基本、正規雇用の数で勝負です。非正規は含めないのが一般的です。また、大学などと違って、生徒は就職前提で学校に来るので学生の数は就職希望者ではなく、総数で計算すべきです。高額を支払って資格スクールに通ったのに就職を希望しないのは、資格そのものの魅力や資格をめぐる環境に問題があるとしても、それも引き受けるのが資格スクールですから。

そういう意味では、日本語教師養成講座の計算方法は、逆の最も甘い数値の取り方をしているわけで、しかも、ほぼ100%非正規雇用での「就職」ということは隠したままで、資格ビジネスとしてはかなり疑問が残る計算方法です。それは資格を与えているだけでなく、その受け入れ先も日本語学校で、相互チェックがない、緊張関係がない、ということも大きいと思います。

そういうモラル的な問題とは別に、法律的な問題もあります。

日本語学校の管理は国内では主に文科省がやっています。実は文科省には就職率に関してルールがあります。かいつまんでいうと、分母は「就職希望者の数」でいいんですが、分子は、基本正規雇用として就職した人か、非正規でも1年以上の契約でないといけません。日本語学校の非常勤の契約は1年以上であることはほぼない(通常三ヶ月単位です)ので、非常勤契約は入れてはいけないことになります。入れるならば、非常勤で就職した人の追跡調査をやらねばなりません。

最近は最初から専任として正規雇用で雇うところも、わずかにありますが、あっても5%以下ですし、ここ数年の新設校ラッシュで専任講師として雇わないと行けなくなったという状況がおさまれば、以前のようにほぼ100%最初は非常勤からということになるはずです。

もうひとつのウソは、日本語学校の求人で、「経験者のみ」「経験者優遇」ということが結構あるということです。つまり修了しただけでは就職できないケースがあります。例えば、東京中央日本語学院は、求人では原則4大卒となっていますし、就職率95%と宣伝している同時期のインターカルト日本語学校の非常勤の求人は「講師経験が6ヶ月以上あること」という条件があります。養成講座を修了しただけでは、応募もできないわけです。これは需給バランスによって変わるのですが、修了しただけで就職できるという状況は90年代からの30年で2015~2017年の3年間ぐらいで、後はほぼ買い手市場でした(おそらく2018年以降、大手は強気に転換するはずです)から、そういう意味でも日本語教師養成講座が就職率を喧伝するのは疑問です。

つまり、日本語教師養成講座の就職率は、正規雇用で考えると、おそらく5%以下。4大卒マストで、60万かけて、420コマやるのに、ほぼ非正規としてしか就職できない。が正しいのです。

 日本語教師養成講座のこのような根拠を示さない就職率での勧誘は消費者庁の景品表示法違反の可能性があると思います。過去に就職率に関連して問題となったケースがあります。

 仮に日本語教師養成講座の就職率をどうしても出したいのなら、分母は就職希望者数ではなく修了者数にして、就職は専任と非常勤で分けて出す。非常勤は本来の数である1年以上と、1年未満で分けて出す。就職先も有給であるとか法人であるというような定義を決める。非常勤での就職は追跡をして、3年後、5年後に専任になったかを出すのが最低ラインなのでは。今は、せいぜい「過去1年の実績」程度で、どう計算したのか、どういう数字なのか何も説明がないままなので。

 


 

 

電通と国際交流基金の謎のインバウンド調査

「日本の観光地で向こうからやってきた韓国客が台湾人で、しかも、18~64才の間だな、と確信がもてた時に、3人いれば1人は日本語が話せる可能性が高い」という謎の結論を導くために、電通と国際交流基金が突然調査をしました。私の知るかぎり国際交流基金が日本語学習者に関する調査をするのは、3年に一度やっている学習者数調査以外でははじめてです。

どうやら、このやさしい日本語ツーリズムとヒューマンアカデミーのやさしい日本語講師の講座というプロジェクトが先にあり、そのための調査だったようです。ツーリズムの電通の吉開氏という人が中心的な人物で国際交流基金の知り合いと進めたようです。国際交流基金のサイトには、この調査のことは一切載っていません。不思議です。どういう名目、予算で行われたのか、わからないままです。

やさしい日本語は95年以降、多くの研究者が関わり、論文や本も出ていますが、やさしい日本語の研究者からこのツーリズムに対しては、きちんとした言及はありません。やさしい日本語の定義は複数あり、それを教える資格みたいなこともみたことはありません。このツーリズムに関係している学術研究者、東外大の荒川洋平氏、東海大学の加藤好崇氏、跡見学園女子大学の村上雅巳氏にやさしい日本語に関する論文はありません。

調査のスライドと後日出た電通自身による調査の補足です。補足を読む限りでは、ほぼすべてのことに関して、調査結果として使うことはほぼ無理と思われます。

しかし、それでも「少しでも日本語を話す」という表現を使って、インバウンド関連で使っていきますよと宣言してます。日本人のほとんども、英語を学んだことがあり(「ことがある」どころか3年以上は勉強しているわけですが)、「少しでも英語を話す」と言えるわけですが。

台湾、香港の日本語教育関係者からも疑問の声が出ていました。私の実感としても、明らかに変です。少し補足します。

例の調査ですが、まず、現在学習中の人は12.8%、学習経験者だと60%(?)。「学習経験者の66%が日本語で話したい」つまり、台湾の人が10人いたら、日本語で話したい人は4人。となります。ただこの4人に「やさしい日本語」が通じるかは調査ではわからない。

おそらく「経験者」よりも12.8%の「学習中の人」は「やさしい日本語」もある程度はいけそう、と考えるとします。さらに「経験者」にはもうある程度話せるという上級者もいるとすると、それを上乗せして、2割、10人で2人はやさしい日本語が活用できる可能性があるかもしれません。これはかなり話せるだろうという可能性を汲んで甘くとったら、というところです。

多分、プロジェクトの趣旨からいっても、まず台湾から来た人にどの程度「やさしい日本語」でいけるのか、ということ、次に、日本語学習者に限定したらどうか。で、それは他の国ではどうか、みたいなことが観光地の人は知りたいところでしょう。順に10人に2人、10人に4人、最後はわからない。というのが自然な結論です。

また、台湾は人口2000万で20万人の機関学習者がいて対人口比は1%(仮に今回の調査の200万人超の学習者がいるとなると、人口の10%が日本語学習者?)学習者密度が世界で2番目に高い。韓国は人口約5000万で機関学習者80万人で一位で、対人口比は1.6%。学習者数が100万人近いインドネシアは機関外学習者の人口比は、0.3%。ベトナムは0.05%、アメリカで0.04%。このへんが多分、平均的な数値で、韓国、台湾は突出しています。台湾の観光客が日本語が話せるなら、ほぼ同じ比率で韓国からの観光客も話せるはずです。しかし韓国に対しては調査もされずスルーされています。また、この2国以外ではまったく期待できないことがわかります。

 関連ツイート(日本語学習者への拡散)
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 日本語教育に関するデータはこちらにまとめました。
http://webjapanese.com/blog/j/suii/

 そもそも「やさしい日本語」はいろいろと流派があり複雑です。このツーリズムのやさしい日本語がどういうものなのか、まったく説明がないままです。初代の責任者の荒川氏は、退任してからは、自著の宣伝で全国行脚してるようです。「ライフワークです」みたいなこと言ってたのに。。。

 電通の吉開氏は、日本語学習者に関するプレゼンをしたり、論文を書いたりしていているのですが、正直読んでもよく理解できませんでした。また、FBの日本語学習者のコミュニティを主催しています。この日本語学習者コミュニティは、日本語教育能力検定試験の情報発信と関連ビジネスとの提携などはあるようですが、学習者コミュニティの中は、よく実態がわかりません。

 


 

 

情報公開されている数字がガタガタな件

2017年から文科省は日本語学校のデータ(定員、在籍学生数に加え日本語能力試験の合格者数や進学者数など)を収集し公開することになりました。これまでも法務省が告示校として認可した際のデータは冊子で公開されており、請け負った民間出版会社が独自に毎年収集したものだけをネットで公開していましたが、データはアップデートさないところも多く、ヌケも多いものでした。また、日振協(日本語教育振興協会)でも同様に毎年データを収集して公開していましたが、加盟校は6割程度であり、全体象を把握するのは難しかった、という事情がありました。

そこで、2017年時点で確定している2015年の日本語能力試験の受験者数と合格者数で、文科省提出の数字と日振協提出の数字を、いくつかの有名校のデータが正確なのかチェックしてみると、10校中6校の数字が間違っており、どちらの数字が正しいのかわからないことになっていました。

以下は比較したツイートのキャプチャです。

 

 

能試の合格者数くらいはデータをとっているはずなので、これだけ違うのは変です。一般財団法人に過ぎない日振協へ提出するのと、文科省への提出とでは、重みが違うのではと思われますので、文科省のデータのほうが正しいのかなという気がしますが、今後、情報公開として出されるデータの正確性にも疑問符がつきます。情報公開は新基準で、日本語学校にも、他の大学などと同等の義務が課されることになったようですが。。。

 


 

 

東日本大震災時の問題PDF

これは、ツイッターで関係者に直接リプライしたのですが、改善されず、その後、何の問題もなかったことになっているようです。記録の意味も込めて。

震災の2日後、13日に作成され、おそらく15日前後に、日本語教育振興協会のトップにリンクが貼られたPDFです。

日振教による原発関連文書

以下は結論部分の抜粋。原発まで近づいても大丈夫、なんて書いてあります。事故発生当初からかなり長い期間、原発には立ち入り可能になってました。誰も何が起きているかわからない段階で、政府の規制も遅れたわけです。その中で、こんなことを書く人はいなかったわけですが、なぜか勝手に安全宣言をしてしまっています。私の知るかぎりでは、こんなことをした組織団体は日振協だけです。

その後、日振協は学生に東北にボランティアに行かせるイベントを主催したりと、風評被害対策に取り組みます。おそらく、最初の段階で風評被害を恐れた人達が勇み足をしたのではと思われます。

ツイッターでこの文書の作成者であるカイ日本語スクール代表、山本弘子氏に、今の段階で勝手に安全宣言みたいな文書を関係ない組織が出すのは問題、取り下げるべきだとリプライを送りました。

以下のリプライが来て

数日後に修正されましたが、免責の文言が追加されただけで、問題である「原発まで近づいても大丈夫」という部分は残ったままでした。

修正後

その後、このPDFはニュアンスを変えながら掲載は続きました。この件は、通常ならば、大きく責任を問われるはずですが、今は「なかったこと」になっています。

 以下は、ツイッターのやり取りです。
⚡️ 「2011年3月11~21日の記録」(作成者: @webjapaneseJ)
https://twitter.com/i/moments/784151492190089216

 ちなみに、2016年5月の熊本地震では、日振協やJaLSAなど日本語教育関係の組織からの情報発信は皆無でした。2011年でマニュアルを作ったりをしなかったんですね。関連ツイートの抜粋です。
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謎の検定試験 Jr日本語検定

2017年の春頃にJr日本語検定というものの宣伝が始まりました。子供向けの日本語の検定とのことでした。しかし、サイトには、連絡先も代表者の名前もありません。高額な法人料金などが書かれており、説明の文言も明らかに日本語教育の知識を欠いたもの(「第二母国語」なんて語は使いません)で、専門家が書くような文章ではありませんでした。そこで、ちょっと追いかけてみました。

以下、追跡したんですが、まったく情報が入ってこないままです。サイトがあるwebnode に要確認事項だとメールしましたが、2017年11月2日の時点でもサイトはあり、対処はされませんでした。

現在もほぼ情報がありません。以下の投稿によると、Brisbane Brisbane QLD 4000 で、担当者は吉岡となっています。メールはgmailですし、まったく手がかりがありません。もちろん、Jr日本語検定もJr日本語検定協会も、日本語教育関係者は誰も知りません。普通は問題作成などで日本語教育関係者が関わるはずなので、誰かが知ってるはずなんですが。

 


 

 

日本語教育関係のWikipedia

日本語教育関係のWikipediのページは、数も少なく、あっても記述の質は低いです(2017年11月時点)。しかし、検索すると上位に来るので、Wikipediaで情報を収集する人は多いと思われます。できれば大学の日本語教育学科や院の授業などで、記述を充実させるプロジェクトなどをやっていただければと思います。よい練習になるのではないでしょうか。

現在項目があるのは、、、

日本語教師 | 日本語学校 | 日本語教育 | 日本語教室 | 日本語能力試験 | 日本語教育能力検定試験 | 日本留学試験 | 日本語教育スタンダード | JF日本語教育スタンダード(上と重複?) | エリンが挑戦!にほんごできます。 | 日本語学科 | 国際交流基金 | 日本学生支援機構 | 国際交流協会 | 語学教授法 | オーラルメソッド | コミュニカティブアプローチ | サジェストペディア | イマージョンプログラム

などです。

2016年5月の段階で、かなり少ないです。国語学(日本語学)、言語学第二言語習得に近づくと急にページは増えるのですが、日本語教育だけ完全に抜けているという印象です。他の言語と比較してもとても少ない。基本的に言語教育関係は、関連組織や教師の位置づけ、教授法、主な教科書、辞書などはありますので、まだまだページは足りないと言ってもいいと思います。

以下は2017年11月の時点で項目がありません。

日本語教師養成講座、日本語教育学、留学生別科(「別科」の項目の中にはある)、直接教授法、間接教授法、日本語教育文法、日本語の基礎、新日本語の基礎、みんなの日本語、日本語初歩(国際交流基金の昔の教科書)、An introduction to Modern Japanese(昔の英語圏の教科書の定番)、げんき、まるごと 日本のことばと文化、基礎日本語学習辞典、A Dictionary of Basic Japanese Grammar、日本語教育振興協会、日本語学校連合、日本語教育学会、AJALTもページはありません。

 
 異文化コミュニケーションとか共生みたいなワードもすでに項目があります。また、例えば「母語話者」は、母語に、日本語教員は日本語教師にリダイレクトされています。これ全部やるのは大変なのでまずはページを作ってから、ゆっくりやればいいと思います。

 


 

 

円で支払われない日本語教師の求人の掲載

スカイプなどによる日本語レッスンは、2015年前後は1時間2000円くらいが相場(教師は1500円以下)だったんですが、2017年にはアジアのスカイプ英会話をやっているところが日本語を始めたりして、25分500円が相場になってしまいました。おそらく教師の取り分は時給だと東京の最低賃金前後か下回るのではないかと思います。

こういう求人をのせるところもあります。中には、ポイントで報酬を支払うというような説明をするところもでてきて、それもそのまま「」大手の求人サイトが掲載しています。

求人だけでは教師の報酬の500Pがいくらなのかわからないのですが、学習者向けの料金説明によると、1Pは1円だということがわかります。

こういう求人広告を掲載する問題点に関して、責任者に訊ねてみました。

以下の返信がありました。

キャプチャ画像 

あくまで掲載希望があったものを掲載するだけだという理屈のようです。これ、現状でも東京都の最低賃金を上回っているか怪しいですし、円との交換レートはこの会社次第ですから、50円になるかもしれません。

実は日本語教師向けの求人を掲載するところは、ほとんど職業紹介ではなく掲載しているだけ、という理屈で、求人の記載内容の文書での確認や法的な問題などのチェックをしていないのが実態です。求人の掲載は法人にとって命綱でもあり、その掲載の許可を厳しく管理していくことは、業界の自浄能力をみる大事な指標なのですが、まったく存在していません。

 ⚡️ 「日本語教師の求人あれこれ」
https://twitter.com/i/moments/890754032272158720

 


 

 

違法性が高い教師の研修

東京文教学院というところで校長氏がしきりと宣伝している、入社したら返金するという日本語教師の事前研修は、違法性が高いのではないかと考えています。まず入社は保証されているわけではないこと。また、この研修を受けることが仕事をする条件となっており、これは業務に必須の研修と考えられるため、返金だけではなく、有給で会社が行わなければならないからです。時間外ならば、時間外手当ての時給で「会社が社員にお金を支払って」受けて貰うべき研修です。

この種の入社前研修制度は、他の業界でも行われてきましたが、裁判などもあり、今はやらないところがほとんどです。

この研修については、過去に校長氏が、新人相手に研修をするが、研修を受けてすぐにやめる教師がいる。そういう「食い逃げ」に悩まされていると書いています。つまり、そもそも必要な研修は会社が支払うべきコストであるという認識がないことがわかります。

この学校のように、入社前の研修を行うところはいくつかあるようです。日本語学校が専任や非常勤に対して行う教師の研修はほぼ100%業務に必要な研修と考えて良いと思います。この種の研修を有給で行わない日本語学校は多く、勉強会と称してやらせたりしているところも多数あると聞きます。業務に必要な研修は、業務時間内に行うことになっています。拘束した時間は時給で支払わなければなりません。これを入社前研修としてやることも大きな問題をはらんでいます。

非常勤が7割近くを占める日本語学校業界では、非常勤に研修を行い育てるのは当然大事な「業務」です。たとえ研修だけ受けてやめる人がいたとしても、それは支払うべきコストなのです。それは学校だけでなく、教師のほうも知っておくべきことで、問題があれば、労基署に通報し、自らの働く環境を良くしていく努力をしてください。

 関連ツイート
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 入社前研修 違法 – Google 検索 http://ow.ly/DSPL30eeG5q

 


 

 

海外の日本語教師養成講座の迷走

2017年に文化庁が日本語教師養成講座の実質的な審査をスタートしました。この影響でこれまで野放しだった資格ビジネスにメスが入り、混乱が続いています。2017年の時点では海外の養成講座は審査も行わないことになり、海外の日本語教師養成講座は正式なものではなくなってしまいました。これまで大きなシェアをもっていた海外の通信系の日本語教師養成講座は、迷走しています。

中でもJEGSの通信講座は、受理されていないことは、かなりあいまいにしたまま、宣伝を強化しています。ドイツでもその他の国でも養成講座が受けられる。とうたっています。文化庁の認可などはあまり意味がないというようなステマっぽいサイトも出来たりしてました。

また、420時間履修と認められるとも回答しています。誰が認めるのかは、文化庁しか考えられないんですが、受理はされてませんから、認められてはいません。

この講座は、実際はWJLCというところがやっているようで、豪州在住という八尋俊朗氏、八尋好孝氏という人が責任者。オーストラリアに本拠地があり、そこから通信用のDVDの教材が送られてくるようです。JEGSだけでなく、他の機関からのリンクもあるようです。基本的に英語で日本語を教える教授法がベースになっているということで、その点からも、文化庁のシラバス準拠とは言えないかなと思われます。文化庁のシラバスは特に特定の媒介語を使った教授法が軸ではないので。

今後もしばらく、受理関連の混乱は続きそうです。もちろん、日本語教師養成講座を受講するなら、受理された講座であることは必須だと思います。受理されているかどうかは日本国内の告示校で働けるかどうかだけだとは言っても、文科省が正式に管理強化を進めていく以上は、受理講座が正式なものとなっていく可能性は高いですから。

 詳しいことは、こちらで。 日本語教師養成講座の基礎知識 – http://ow.ly/O46g30gix4N

 関連ツイート
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発明系

 

6倍速く学べる日本語

これはキャプチャも撮ってないんですが、「アメリカの大学院で学んだ私が」「6倍速く学べる方法を開発した」という日本語のレッスンの広告がありました。トップページを開くとBGMが自動的に鳴り始めるというサイトでした。

「高齢者を活用しなければならない」とあり、実際に高齢の人を日本語教師として採用している様子でした。サイトには写真がありましたが、ほぼ60代以上の方々が30名ほど写っていました。サイトを隅々まで読みましたが「何の6倍」なのかは書いておらず、大学院は何を学んでいたのかも書いていませんでした。今はサイトは見当たりません。どうなったのやら。。。

 

「2週間程度の座学と3週間の実践」で日本語教師を育成

2017年に、NPO法人Trellisというというところが、ベトナムで日本語教育をやるというベンチャーが北陸大学の石津みなと氏が開発したという方法で短期促成でプロの日本語教師を育成するプログラムがあると宣伝をはじめました。

このツイートの直後、サイトの(といってもwantedly上ですが)石津氏の名前は削除されました。しかし、2017年末の段階でも、日本語教師のインターンをやっているそうです。石津氏は、日本語教育学会の会員ですが、日本語教師の育成に関する論文はありません(というか、そもそも論文が見当たりません)。教師育成の何かを思いついたのなら、研究者であるなら、研究発表して社会にシェアしてほしいと思うのですが。

 こういう専門でないところで、顧問とか責任社として名前が出てくる日本語教育の大学関係者はいます。同じような人達がいろんなところで出てきます。特にeLearing系の会社の広告では「またこの人、顧問やってる。デジタル関係の論文もほぼ無いし、ネットに詳しいわけないのに…」ということあります。日本語教育の大学関係者の世界には、昔から、そういうポジションがあるようで、そういう席を狙っているのかな、という若い人もいます。ちゃんと継承していくことになっているようです。

 


 

 

「非漢字圏」の学習者は日本語習得に1.5倍の時間が必要?

2017年 日本語教育振興議員連盟のヒアリングで日本語学校の団体を代表した4つのうちのひとつ日本語学校ネットワークは「非漢字圏の学習者が増大しており、現行の2年では不足している」と主張しました。

 プレゼン資料 https://goo.gl/CNsCCU

同組織の幹事でもある石原進氏は議連の議員へのインタビューで具体的には3年を想定している旨の質問をしていました。

漢字圏の中国、韓国、台湾の学生に代わって、ベトナム、ネパールなど非漢字圏の留学生の増加が目立っています。こうした状況の中で日本語学校の一部から就学期間を2年から3年に延ばしてほしいと言う声もでています。

 インタビュー https://archive.is/KNzBe

日本語学校ネットワークの会員の日本語学校。2017年11月28日現在。大手の老舗の日本語学校がほとんどであることから、日本語学校では、非漢字圏の学習時間は1.5倍必要ということが語られているのだと推察できます。
https://goo.gl/Dkt16p

漢字圏 非漢字圏とは?

これが、まずハッキリしません。日本語教育の世界で、そういう区分けがあるのか?あるとしたら、どのような基準で分けるのか?

日本語学校関係者において、「漢字圏」とは、一般に、90年代に、民間の日本語学校で主流だった中国、台湾、韓国からの学生をさすようです。漢字を使っている国、使っていた国、ぐらいの意味でしょうか。また、非漢字圏とは、新興勢力、つまり、ベトナム、ネパールの学生をさしており、ベトナムは漢字を使っていた国ですが、非漢字圏を代表する国とカテゴライズされています。

漢字圏、漢字文化圏、いろいろと名前はありますが、定義はあいまいです。濃淡があり、モンゴル、ベトナムは漢字圏(漢字文化圏)だが、淡のほうである、というカテゴライズもあるようです。

論文では?

CiNiiで「漢字圏」で検索すると300件近くヒットします。漢字圏は使うが、非漢字圏は使わない、またその反対もあるようです。どちらかというと、非漢字圏を「現在、漢字を使わず、漢字が未知のものである学習者」くらいの意味で使い、どう漢字を教えていくかみたいなものが多いようです。ここでも、特に定義をしたケースはほとんどなく、ベトナム語話者は非漢字圏であることが前提になってるようです。

非漢字圏で検索すると200件前後です。タイトルをみるかぎでは、ほぼすべてが漢字教育がテーマであり、漢字の学習は負担になっているということが伺い知れますが、日本語学習そのものが非漢字圏の学習者にとってハンディがあるというような趣旨のものは見当たらず、あくまで漢字学習に限定されたものという印象です。

母語と外国語学習との関係でよく語られる「言語間の距離」と漢字の関係はどうなのか、と探しましたが、それも見当たりませんでした。そもそもこの「言語間の距離」というコンセプトは、外国語の難しさというのものは、あくまで相対的なものであって、絶対的な順番をつけることに、あまり意味はないよ、ということであって、これでもって難しさを判定しようというものではないのかなと思われます。

 ベトナム語ネパール語に関するWikipediaの説明を読む限りでは、この2つの言語を一緒に論ずるのは疑問ですし、日本語から特別に遠い言語という印象もありません。

上級に達するまでにかかる時間について

現在、日本語学校ではひとまずN2がゴールの最低ラインと考えられているようです(日本語ネットワークのプレゼンでは、なぜかN1になってましたが、そのほうが困難だと言いやすいからでしょうか?)。

法務省の規定では、日本語学校の年間の授業時間は570時間。2年で1140時間です。しかし実際は、日本語学校ネットワークに所属しているような名門とされる日本語学校は年間600~700時間近くは授業を行っていると言われています。前述の議連のヒアリングでも、専門学校の代表者が924コマ授業を行っているとプレゼンしています。これは、924コマ時間のことのようなので、時間に直すと693時間で約700時間、2年で1400時間です。

 ただし、日本語能力試験は、読むことと聴くことしかありません。また、N1は漢字の数でいうと、2000個前後、読解その他の能力も、大検の資格と同等かやや低めという設定だと思われます。N1合格は上級者の称号ではなく、上級者になる資格を得た、というほうが正しいのではと思われます。海外では上級の定義は様々ですが、新聞が読めて、そのトピックに関して議論もできる、という基準のところも多く、N1ではかなり不足かなと考えられます。

もうひとつ、ほとんどの日本語学校は、入学の資格として、N5レベルを要求しています。来日前のチェックでも、だいたいN5レベルが目安になりつつあります。N5レベルに達するまでに必要な学習時間は個人差ありますが、50~100時間でしょうか。

つまり、仮に日本語のN2レベルに達するまでに必要な時間が1000時間だとすると、最初の100時間は日本語学校入学前に終えているということです。

まとめると、、、

・日本語学校では年に700時間、2年で1400時間勉強する。
・日本語学校入学前にすでに100時間は勉強している。

ということになります。

□ 能試の基準

日本語の習得時間に関しては、いろんな考え方があります。日本語能力試験の主催者は、かつて、以下のような目安の時間を掲げていました。

1級 900時間 N1
2級 600時間 N2
3級 300時間 N3
4級 150時間 N4-5

1,2級は、そのまま、N1,2と考えてよいと思います。3級も、今のN3は、ほぼ同じと考えてよいと思います。ここでは、N2以上が対象なので、600時間だったというわけです。2010年に日本語能力試験が改訂されて、この必要な学習時間の目安はなくなりました。

なくなった理由ははっきりしませんが、学習には個人差があるということ、はもちろん、これまで、この目安は少なすぎるのではないか?という意見はありました。つまり、国内の日本語学校で週20時間日本語だけをやるという環境であれば、可能だけども、それは例外的な恵まれた学習者なのだ、という意見です。

しかし、これは、今の漢字圏、非漢字圏の議論とはあまり関係がありません。これは同じく日本語学校で密度の濃い学習をする学習者に関する議論なので。つまり、2級(=N2)に達するまでの600時間は、それほど無理な数字ではないということです。これは90年代から日本語学校で教えていた日本語教師は理解できるところであるはずです。1年でN2やN1に合格して進学するケースも多かったですし、2年かけてN2合格しない学生はかなり少なかったように思います。

 ちなみに、日本語の基礎部分と言われる初級の教科書の装丁終了時間は200~300時間です。これに300時間上積みをすれば、N2というのは、「漢字圏」中心の日本語教育の世界では妥当なところだったということでしょうか。200~300時間となっているのは、漢字圏の学生は早く終わる可能性があるので幅を持たせてある、と言われていました。つまり、母語関係無く遅くとも300時間で十分という見立てがあったわけです。

□ その他の調査など

米国の調査では、英語話者にとって日本語は難しい言語であり週30時間で44週(=1320時間)かかる、というものがあります。これは想定されているのは超上級ということで、N1以上でしょうか。

TR.Odlin, Language Transfer,1989

政府系の言語教育機関の言語の難しさというものがあります。英語話者(非漢字圏)にとっての難易度です(こういう記事になってます)。ここでも中国語韓国語アラビア語と同じく最も難しい言語にカテゴライズされていますが、これも、読み書き含め、バイリンガルほどではないが、ビジネスに活用できるほどの能力がある、ということですので、だいたいCEFRのC1、最高難度の次で、ほぼ完全に使いこなすことがゴール設定なので、能試で考えると(違うものなので難しいですが)N1以上だと思われます。

では、なぜ、非漢字圏の学習者に限って1400時間では足りないのか? 結局、これがわかりません。論文を探しても、漢字圏ど真ん中と思われる中国からの学生はたしかに有利な点がある、言語の距離が近い韓国語学習者は早い、ということが経験的に語られてるということはあっても、「あくまで目安より早い」のであって、漢字圏でないから、標準よりも時間がかかる、という記述はありませんでした。

なぜ、突然、1.5倍時間がかかる、ということになったのか? 就労目的の学習者が増えモチベーションが低いからであるとか、国内の日本語学校にとっては新しい学習者なので、まだ教授法など研究が足りていない、という要因はないのか?検証されるべきではないかと思われます。学習者の母語が原因であると結論づけるのは、あまりに早計ですし、何のエビデンスもありません。少なくとも日本語教育の専門家による、検証が必要です。

日本語学校の在留期間が3年になれば、当然、学生募集もやりやすくなります。世界で最も多くアルバイトができて、しかも3年滞在できる留学ビザは他にないはずです。地元の人手不足対策にもなる、企業も自治体も大歓迎であることは間違いありません。

この項目は調査の途中です。今後もわかったことは追加していきます。

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