1999 / 07

 

07 / 01

日本の医療制度は難しく、簡単に説明はできないが、私の知る限り、 主な病院の収入は、患者(かんじゃ)が払う三割の医療費と、国から 払われる医療補助費で成り立っている。

後者は、国民保険から払われるものだ。 現在、この国から払われる医療費の基準が問題となっている。

治療のうち、薬や検査に対してはポイントが与えられる。
つまり、かぜでも、「ゆっくり 休んで、ください」というより、注射(ちゅうしゃ)をし、薬を与え、 高い機械で検査をしたほうが、病院の収入はあがることになる。

特に老人医療などでは、この制度が原因で、問題が起きている。 老人が薬漬(づ)けになっているというのだ。 老人には、薬を与えたり検査をしたりする理由を見つけやすい。そこで 病院は、老人に精密な検査をして、病気を発見に努め、高価な薬を与えること になる。

 

1999 / 07

 

07 / 05

病院との癒着(ゆちゃく)がしばしば問題になるのは、もちろん医薬品の会社。
そしてあまり知られていないが、葬儀屋(そうぎや)がある。

葬儀屋は、病院内の細かな仕事、死亡後の家族が葬式(そうしき)のために遺体(いたい)を住む家へ搬送(はんそう) することなどを肩代わりするかわりに病院内での情報をもらったり、立ち入りを 黙認(もくにん)されたりする。

大きな葬儀屋などでは、看護婦長にリベートを渡すかわりに、 「近々、死にそうな患者のリスト」を毎月、送ってもらうことも あるそうだ。

医薬品の会社との癒着では、どこの国でもあることだろうが、安くて質の高い薬が いつも採用されるとはかぎらない結果(けっか)を産むことになる。

病院内で力のある医者は、ゴルフをしたくなった時、まず、医薬品会社の セールスマンに電話をする。
「来週、ゴルフに行くんだけど」

あとは、ゴルフ場の予約から、送り迎え、食事まで、すべて用意してくれるとのことだ。

 

1999 / 07

 

07 / 06

知り合いから聞いたある旅館の話し。

彼は、40才になった。子供は一人だったので、生活も少しは楽になった。
12月のボーナスで、ふと思い立ち、母親に一流の旅館の宿泊券 (しゅくはくけん)を送った。有名ではないが、小さな旅館で、品のよい 初老の女性が経営していた。

3日分で、3日目に、合流(ごうりゅう)する予定だった。 2日目に電話がなり、母親が倒れたとの知らせ。すぐに駆け付けたが、 間に合わなかった。
旅館の女主人は、いろいろと、手を尽くしてくれた。
最後まで宿泊費を 受け取らなかった。

翌年から、その旅館の女主人から年賀状と暑中見舞いが届くようになった。 彼は、しばらく、その旅館を訪ずれる気になれなかったが、七回忌(しちかいき)に、お墓参りをした時に泊まることにし、予約の電話を入れた。

旅館の玄関で、おかみさんは、迎えに出てきて、「よくおいでくださいました」 と言って奥に引っ込んでしまった。現在は、娘がきりもりしている。

旅館を去る時に少し歳をとったおかみさんは、「本当に...」といったきり、 絶句(ぜっく)してしまった。 彼も、「来年もかならず来ます」と答えてから、次の言葉がでてこなかった。 それから、毎年、彼は夫婦でそこに泊まるようになった。

彼によると

「七回忌で泊まった時、最初は、ふつうだったし、多分、いつもの料理で、 いつもと同じだったと思ったんだけど、何か、旅館の人がピリピリしている ようなかんじだった。オレは、もう、母親のことなんてむかしのことだと 思ってたけど、あのおかみさん、ずっと、気にしてたんだなあ」 とのこと。

 

1999 / 07

 

07 / 07

今年の梅雨(つゆ)はどうもはっきりしない。いつ始まったかも 解らないし、多分、なんとなく終わるのではないだろうか。

日本のサッカー代表チームは、南米のパラグアイで、コパアメリカに出ている。
招待(しょうたい)されたのだ。
日本チームはコンディションも悪く、いいゲームはできなかった。 おそらく、代表メンバーは、半分以上、若返(わかがえ)ることになるだろう。

昨今、日本は経済の構造改革(こうぞうかいかく)が始まり、あらゆるシステム が変化(へんか)を求められている。毎日のようにどこかの雑誌や新聞で、 日本人はどう変わるべきかといった記事が書かれている。

また、日本人はこういう議論が好きなんですね。

南米での日本チームを見ていると、少なくとも彼等にかけているものは、 技術でも、組織力でも、知性でもなく、勇気(ゆうき)なのだということに 気付く。

日本のサラリーマンに、時にはチームプレイを捨てて、ドリブルで突破 (とっぱ)する勇気はあるだろうか。

 

1999 / 07

 

07 / 07

「ひいき」と「かぶれ」では、意味が違う。

「ひいき」の人には、主体性を感じるが、「かぶれ」というのは、やや軽蔑 (けいべつ)を含んだ言い方だ。

例えば、吉田健一と言う人は、イギリスびいきだったと言われる。 彼は、イギリスの文学者や批評家(ひひょうか)の文章を引用(いんしょう) することが多かったように思う。洋服も酒もイギリス式。居酒屋も ロンドンのパブ風の店によく通った。アメリカ英語を嫌い、オックスフォード なまりの英語をしゃべった。飛行機会社は、いつも英国航空であった そうだ。

彼がイギリスかぶれと呼ばれなかったのは、よい作品をたくさん残した からだろう。小説を見る目は確かだった。

さて、今、日本には、日本かぶれといったかんじの外国人が多くいる。

彼等は、子供の頃、日本のアニメーションで育った世代だ。20代が多く、 男性の比率が高い。もちろん、できれば、日本人のガールフレンドが 欲しいと思っている。部屋は、日本のアニメや、まんがでいっぱいだ。 彼等の中には、日本のものならなんでもいいという人もいて、こちらとしても うんざりさせられる存在だ。

彼等が「日本びいき」なのか「日本かぶれ」なのかを、分けるのは、 日本語の能力だ。

変な漢字を書いたTシャツを着るのは止めた方がいいと思うよ。

 

1999 / 07

 

07 / 08

魚に対する感覚の鋭さは、日本人の長所(ちょうしょ)ではないだろうか。

生で食べることが多い日本では、素材(そ ざい)の鮮度(せん ど)や 捕(と)れた時期(じ き)などに非常に敏感(びん かん)になる。

「鈴木さんと飲みにいったら、さしみがまずいって言うんだよね」
「ああ、鈴木さん、北海道出身だもの」
「そうか。北海道に較べるとね」
「でも、一番おいしい魚は築地(つき じ)に行くらしいよ」
「そう? 本当においしい魚は漁師(りょう し)の人達が食べてるん じゃない」
「それ、よく聞くけど、実際は、売ったほうが儲かるから、食べないん だって」
「そうか、いつかテレビで見たけど、長い間、漁(りょう)に出る時の 昼飯
  (ひるめし)がうまそうだったなあ。まぐろの刺身(さし み)を しょうゆで
  漬(つ)け込んだのを、ごはんの上に載せて、冷(さ)めた みそしるをかけて
  食べるやつ」
「ああ、ひょっとすると、そういうのが世界で一番うまい昼飯かもね 重労働
  (じゅうろうどうどう)のあとだし」

*築地(つき じ)は東京の魚の市場。

 

1999 / 07

 

07 / 13

東京で引越しをする方法は2つある。

ひとつは、引っ越し業者に頼むこと。ひとり分の荷物で東京の中での引越し なら、5万円以内で大丈夫だ。

自分でレンタカーを借りてやる方法もある。これは、レンタカーを6時間借りて 約1万円。手伝ってくれる人に夕食などをおごっても全部で2万円くらい。

学生などは、レンタカーでやることが多い。
しかし、日本は、広い。
例えば、北海道から九州へ引越すと、引越し代も約4倍になる。

普通、転勤(てんきん)などでは、会社が引越し費用(ひよう)を出してくれるが、平均で20-30万円ほどだそうだ。

 

1999 / 07

 

07 / 14

古本屋で本を買う人は多いが売る人は、そのうちの3%ほどだそうだ。

文庫本(ぶんこぼん)などは、よほどめずらしいものでないかぎり、 「1mで200円」ぐらいだ。 その他、ハードカバーでも、若い人などに人気があり、すぐに売れそうなものは 100円ぐらい。 あとは、やはり「1mで、500円」といったかんじだ。

私は先日、本を500册ほど古本屋に売ったが、2000円であった。 どうして、こんなに安いかというと、ほとんどの本は、その古本屋で買ったもの だったからだ。

その古本屋は、品が良く、値段も良心的(りょうしんてき)だった。
実は、引き取ってもらえるだけで、感謝している。
また、これで、商売をしてください。

 

1999 / 07

 

07 / 16

夏休みはサラリーマンは1週間から10日ほどの休みをとる。 家族旅行をする人が多く、そろそろその申し込みの時期も終わりつつある。

「すみません、8月の10日から1週間くらいの計画なんですが 」
「御家族で、旅行ですか?」
「ええ、子供2人です。両方とも小学生です」
「どちらの方面を御希望ですか」
「シンガポールを考えているんですが」
「はい、少々、お待ちください。。。こちらが親子パッケージになっております」
「4泊5日ですか。いいですね。この基本料金っていうのは」
「往復の飛行機代と、その他の移動にかかる費用。すべての宿泊費と朝食代です」
「ああ、昼飯と晩飯はオプションなのね」
「ええ、夕食込みのパックもございます」
「面倒(めんどう)だから、それでいいかな。いくらになりますか」
「お子さまの料金は70%になりますので、こちらになります」

旅行代理店の人は、電卓で、料金をお客に見せた。
最近は、お金の額(がく) を言わずに、こうやって、お客に見せる店が増えた。
まわりの人に聞こえないようにという配慮(はいりょ)からだ。

お客は、ちょっと高いなという顔をしたが、やがて仕方ないといった風に うなずいて 「これでいいですよ。お願いします」 と言った。

 

1999 / 07

 

07 / 19

新聞と洗剤は深い関係がある。 日本に住んでいる人ならピンとくるはずだ。

新聞は、日本では宅配(たくはい)される。大手の新聞社は1000万部(ぶ) を誇っている。 大手と言われる新聞社は3つほどあり、それぞれが営業のために雇う人を 新聞拡張員(かくちょういん)という。

10年ほど前は、この拡張員はひどかった。ほとんどヤクザと変わらない 容貌(ようぼう)で、「あなたが契約しないと帰れない」なんて 言ったりしたものだ。

拡張員は法律の改正でずいぶんマナーはよくなったが、今も変わらず彼等の 大事な武器(ぶき)は、洗剤だ。 契約してもらった時の景品だ。

たくましい主婦は、3ヶ月ごとに、契約する新聞を変えて、その度に 洗剤を3つほどもらう。 「洗剤は買ったことがない」というのが、彼女たちの自慢でもある。

 

1999 / 07

 

07 / 21

昨日は、「海の日」だったそうで、休日だった。

20日は学校の夏休みが始まる日でもある。8月の末までの40日間が休みだ。
7月中は、海水浴場(かいすいよくじょう)も混み合う。8月になると、 海にくらげが増え、刺されるので、泳ぐなら7月のほうがいいからだ。

しかし最近は、海では、泳がない人が増えた。人は多いし、あまりきれいではないし、 くらげもいるからだ。

子供のころは、「海に来て、泳がないなんて、大人はバカだなあ」と 思っていたが、自分が大人になってみると、あまり泳ぐ気がしなくなった。

沖縄(おきなわ)や離島(りとう)の海以外は、泳ぐ価値(かち)は なさそうである。

 

1999 / 07

 

07 / 22

今日は夏らしく夕立(ゆうだ)ちだった。
日本の夕立ちは、文字どおり主に夕方で、 長引くのが特徴(とくちょう)だ。

日本人のビジネスマンを象徴(しょうちょう)するもののひとつとして 名刺(めいし)がある。日本の名刺は、PCカードほどの大きさで、名前と 会社の肩書き、会社の連絡先は、必ず書くことになっている。 日本のビジネスマンは、100%持っている。

この日本の名刺には、肩書(かたが)きが多い。会社での肩書きの他、何か 団体の肩書き、中には、これまでに得た賞を書いたりする人もいる。 大きな会社の社長の名刺などを見ると、裏に、びっしりといろいろな団体名が書いてあることがある。
セールスマンなどは、写真入りのものも使うことがある。

この名刺は、会社で作ってくれるが、自分ですきなものを作ることもできる。

100枚で2000円程度だ。最近は、会社とは別の名刺をプライベートで使う ために作る人も多い。デザインに凝(こ)ったり、趣味を書いたりして、 自己紹介を兼ねるものが多く、携帯電話の電話番号や自宅で使うメール アドレスを書いたりする。

 

1999 / 07

 

07 / 23

文芸評論家(ぶんげい ひょうろんか)の江藤淳氏が、亡くなった。66才。 死因(しいん)は、自殺(じさつ)。

今年、奥さんをがんで失い文芸雑誌に、そのことについて書いていた。 痛々しい文章だったが、書くことによって癒(いや)されいて いく手ごたえが感じられ、ひさしぶりに生々しい大人の文章を読んだ気がした。

江藤氏が書いた夏目漱石に関する文章は、100年後も200年後も読まれて いくに違いない。戦後史に関する著作も、重要なものであることは 間違いないが、本来、この人は、批評家で、文学を生きた人だった。 文学者の生(き)の資質(ししつ)に最も早く、敏感(びんかん)に 反応(はんのう)する人だった。

才能は若くから開花し、20代の前半に 書かれた著作のほとんどは、戦後を代表する批評となっている。

批評(ひひょう)ばかりではなく、犬の愛好家としても知られ、愛犬について書かれたエッセイも多い。身辺雑記風のエッセイも何冊か出版 されている。
気楽に書かれたこれらの文章は、上品で、読む愉(たの)しみに満ち あふれていた。個人的には、最も好きな文章だった。

江藤氏の死因が自殺と聞いて、ショックを受けたが、しばらく考えて、 「しかたがない」と考えるようになった。しかし、この「しかたがない」は、 暗澹(あんたん)たる「しかたがない」でもある。 私は、江藤淳が自殺する時代に、国に住んでいる。といったような。

どうか、奥様と安らかに。

 

1999 / 07

 

07 / 26

日本の夏でよく紹介されるのは、花火や、浴衣(ゆかた)などだが、意外と知られていないのが、麦茶(むぎちゃ)だ。最近ではウーロン茶も 人気がある。

これを冷蔵庫で冷やしておく。夏の家庭(かてい)には、必ずある。

昔は、一旦、お湯を湧かして、麦で漉(こ)して作ったが、最近はティーバッグのような簡単に作れるパックがある。

これを水に浸(ひた)しておけば、2時間ほどで出来てしまう。

自動販売機(じ どう はん ばい き)で買うこともできる。350mlで120円。
お茶や、麦茶、ウーロン茶などのお茶は、夏場は、コーラやアイスコーヒー
よりも売れるそうだ。

 

1999 / 07

 

07 / 27

洗濯機(せんたくき)や掃除機(そうじき)は、いろんな種類のものがある。

最近の流行は、両方とも音が静かな工夫をしたもの。 マンション住まいが多くなった影響もあるのだろうが、新しい理由としては、 働く女性が増え、洗濯や、掃除を夜や朝などにすることが多くなったからだ とも言われている。

「従来の機種の70%の音をカット!」などという広告をよく見かける。 「当社開発の独自のリングで、音が半分以下に!」という広告を見て、

「ねえねえ、これ、欲しいよ、買おうよ」などと女性が言う。
男性は、「ああ、でも、この前、買ったばかりだよ」
「でも、もう4年くらい使ってて、あれ、うるさいのよ。ほら、下の 山崎さんってさ『おたくのお子さんは元気ですねえ』なんて嫌みっぽいの 掃除する時に、いつもヤマザキさんの顔がちらつくのよ」

こういうとき、男性は、(その騒音が半分になるリングは、人間には つけられないのかなあ)と考えているに違いないのである。

 

1999 / 07

 

07 / 28

秋葉原(あきはばら)は、電気街として有名で、10年前は、家電(かでん) とオーディオだったが、今は、パソコンに占領(せんりょう)されている。

この街は、毎日のように電気機器を入れる紙の箱が大量に出る。
これを段(だん)ボールという。
この段ボールは、リサイクルが可能で、キロ単位で売ることができる。 これを専門に回収(かいしゅう)している業者(ぎょうしゃ)も多い。

段ボールは、いろいろな利用方法があり、押し入れの整理に使ったり、 本などを入れたりする。スーパーなどでも、無料で持ち帰ることが できるコーナーがあったりする。

最もこの段ボールを有効に利用しているのは、浮浪者(ふろうしゃ。最近は、ホームレスと呼ぶことが多い)で、 新宿の駅の近くでは、 彼等の作った段ボール製の家を見ることができる。

 

1999 / 07

 

07 / 29

新聞配達(しんぶんはいたつ)は、ひと昔前は、小学生や中学生にとって 大事なアルバイトだった。クラスに2.3人はいたものである。

しかし、最近は、アルバイトの種類が増えた。新聞配達は、あまり割のいい アルバイトではなくなっているせいか、人気がない。

新聞奨学生(しょうがくせい)というのは、新聞の配達をする学生に、大学 などへ行く学費(がくひ)を補助する制度だ。いろんな種類がある。 この奨学生制度を利用する学生は、まだ多いそうだ。

 

1999 / 07

 

 

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