1999 /10

 

10 / 01

公園でまじめな顔をして話しているカップル。
新婚旅行でどこに行くかという話し合いをしている。

「結婚式場(しきじょう)のセットでハワイにすれば、 半額(はんがく)だよ」
「いや。半額とか、そういう問題じゃないでしょ」
「今回は休みがあまりとれないんだから、ハワイでいいじゃん」
「じゃあ今年中に2週間くらい休めるの」
「2週間は無理だよ」
「年明けにまた一週間休みをとるから、ヨーロッパはその時な」
「ハワイとか、どこが面白いの」
「おまえ、行ったことないんだろ」
「ないけど、海以外になにがあるの」
「なにもないところがいいんだよ」
「えー。なにそれ」
「だから、今回は、抽選(ちゅうせん)で当たったと思えばいいだろ どうせ、
 自分達のお金じゃないんだし」
「だって、。。。。」

今日は、サリン事件で、始めて死刑判決がでた。

また、日本ではじめて 原子力発電所付近で、大規模な放射能もれがあり、3人の被害者がでた。 このカップルは、その両方のニュースはすでに聞いていると思うけれども それぞれに、大事なことというのは、違って当然なのだ。

 

1999 /10

 

10 / 04

ソニーの盛田(もりた)さんが無くなった。78才。

創業時からのパートナー 井深(いぶか)氏も、すでに故人(こじん)となっている。 仕事柄、外国人と日本経済に関する話題になることが多いせいか、 ソニーやホンダというのは、特別な会社だ。

「でも、ソニーとかホンダという例外もありますよ」 というフレーズに何度、助けられたことか。 両者とも日本の会社の中では、例外的にリベラルで、風通しのいい会社だ。

さて、現在30-40代の日本人は、子供の頃にソニーの製品(せいひん)に 関する思い出をたくさん持っていることだろう。

もちろん、ウォークマン。私も3つぐらい買ったことがある。
ソニーの製品は、デザインは最高、でもちょっと壊れやすいという心配 があった。しかし、それもまた魅力のうちだった。 今では、他社の日本製品は、すっかり壊れやすくなってしまい、むしろ、 ソニーのものは、丈夫なほうである。

ウォークマン発売後、日本国内でも、各社が競って同じタイプのものを 発売した。中には、性能は同じで、安く、より丈夫なものもあったが、やはり ソニーのものが欲しくなるのだ。

しかし、しばらくすると、他社のものがより多く売れるようになる。 あまり値引きをしないソニーの製品は、販売店にも嫌われるようだった。

ソニーは、戦後に大きくなった会社だが、増々発展している。
日本では「会社の寿命(じゅみょう)は30年」と言われている。

 

1999 /10

 

10 / 06

「物(もの)」という字は、いろいろな言葉を作る。

よく使う表現は、買い物、食べ物、飲み物、忘れ物など、これらは、 動詞(どうし)とのコンビネーションですね。

他には、作り物。これは、「自然にできたものではない」という意味で 偽物(にせもの)とほぼ同じ意味だ。 造花(ぞうか)を指して、 「これ、作り物でしょ? 本物みたい」などと言ったりする。

名詞(めいし)といっしょになる場合もある。 男物、女物、春物、秋物、冬物、夏物、などは、洋服などに使われる。輸入物、などもある。

買い物の時に便利な言葉が多い。

一品物(いっぴんもの)というと、手製 (てせい)で、同じ物がないという意味。 作家物(さっかもの)というのは、工芸品(こうげいひん)によく使われる 言葉で、「作り手が特定(とくてい)できる、有名な人のもの」という意味。

陶磁器(とうじき)や漆器(しっき)などで、お土産やで売っているものには 作家物は少ない。 当然、作家物は高い。陶磁器でも、漆器でも、一万円以下のものは あまり見たことがない。

私は中学生の時に無理をして作家物のぐい飲みを買った。ぐい飲みは、お酒を飲む器で、必要ないのだが、欲しくなったのだ。
店主は、「どうしても欲しいの?」と聞き、5000円で売ってくれた。
値札には、1万円と書いてあった。

 

1999 /10

 

10 / 07

都心のマンションでは、洗濯物(せんたくもの)を外に干しては いけないという規則(きそく)があるところがあるらしい。

「美観(びかん)を損(そこ)ねる」というのがその理由で、 誰がそれによって不利益(ふりえき)を被るのかは、わからない。

洗濯機は現在、安いもので2万円ほどなので、それほど高いものではないが、学生がアパートに住んでいる街では、コインランドリーが残っている。
洗濯が150円。乾燥機が10分で100円といのが相場(そうば)だ。

 

1999 /10

 

10 / 11

物には決まった値段がある。これを定価という。

80年代に入って、特に電気製品を安く売る店が増えた。

それまでにもあったが、限られた特別な場所だけだった。 これらの店は、定価の2割り引き、3割り引きで売った。 メーカーは、その種の店に製品(せいひん)を出荷
(しゅっか)しない ようにして、価格の低下をおさえた。 これによって、一般の店は、実質的に価格を下げることはできなくなった。 メーカーとの関係を悪くしたくないからである。

最近は、オープンプライスとかオープン価格と書かれてることが多い。 これは、値段は、販売店(はんばいてん)が決めます。という意味だが、 実態はそうでもないらしい。

コンピューターなどは、主導権(しゅどうけん)は販売店にあるようだが、その他の 電気製品は、まだ、メーカーのほうが強い。 洗濯機(せんたくき)やテレビなどは、一年に2回もモデルチェンジするが、 旧機種を安く売ることは、今でもタブーのようで、1年を経過すると ほとんど不可能になるそうだ。

かといって、新しい機種(きしゅ)のどこが新しくなったのかは、店員も よく知らないのだ。

そこを尋ねると、 「ええと、(カタログを見ながら)、感知(かんち)センサーというのが つきました」などというが、そのセンサーが何なのかは 知らないといったふうだ。

日本は何でもモデルチェンジのサイクルが早い。電気製品は、1年。
アパートは、20年。
家は25年。

2年目の小渕(おぶち)さんは、もう旧機種(きゅうきしゅ)という かんじである。

 

1999 /10

 

10 / 12

来年の4月から2000円札が出来るそうだ。 夫婦の会話。30代後半。

妻「何に使うの? 2000円」
夫「何にって、そりゃ、人次第(ひとしだい)だよ」
妻「そりゃそうだけどさ、何が便利になるのかしらねえ」
夫「財布(さいふ)の中のおさつが少なくなっていいかもな」
妻「外国なんか20のお札があるからね」
夫「旅館のチップなんかいいんじゃないか」
妻「2000円じゃ少ないかな。まあ、ふつうの旅館ならいいかもね」
夫「もしかすると1800円くらいのものが、ついでに値上げするんじゃない」
妻「例えば」
夫「映画代とか」
妻「ああ、そうか。野球の切符(きっぷ)も1800円とか、ありそうね」
夫「そう」 妻「それから一日2000円で暮らすと、一ヶ月60000円でしょ。多分、   家計(かけい)の目標にはなるわよ。1000円じゃ三人家族だと厳しいもの」
夫「なるほどねえ。ああ、あと定食やなんかでは、2人で2000円セット
   なんかやりそうだな」
妻「あら、お昼は、いつも2人で食べるの」
夫「うん、ああ、時々ね」
妻「へえ、誰と」
夫「同僚(どうりょう)とか後輩(こうはい)とか」

まあ、ここから、妻の表情は険(けわ)しくなり、当然、話題は変わった。
ちなみに夫は下着のデザイナーで 会社の7割は女性社員である。

 

1999 /10

 

10 / 13

ラグビーのワールドカップがウエールズで行われている。

今回も、南半球(みなみはんきゅう)の国々が強いが、 イングランドや地元(じもと)のウエールズもいいチームだ。

日本も参加(さんか)している。監督は、平尾(ひらお)氏。
彼は、日本のスポーツマンの中では、数少ない、知的でアイデア豊富な人物だ。
すでにウエールズ、サモアには、負けたが、4年前にくらべると、長足 (ちょうそく)の進歩(しんぽ)だ。 かつて日本のナショナルチームが短期間にこれほどの進歩を示したことは ないと思う。

ラグビーには、「36ヶ月、その国でプレーしたものはナショナルチームに 入ることができる」という規則(きそく)があるため日本にも5人の外国人 プレーヤーがいる。サモアやニュージーランドでのかつての名選手も 含まれている。

残念ながら、日本人で一流といえるのは、2.3人だが、よいチームだ。
4年後は、「ひょっとしたら勝つ」レベルになるかもしれない。

 

1999 /10

 

10 / 14

「斜陽(しゃよう)」と呼ばれる産業はいくつかある。

石炭(せきたん)もそのひとつで、斜陽と呼ばれて何十年も立つが、 いまだに斜陽と呼ばれつづけながらも存在していることを考えると、まだ、需要(じゅよう)は 少ないながらもあるらしい。

大きなものでは、鉄道(てつどう)も斜陽だ。

飛行機(ひこうき)が発達 している国々では、移動のコストは、高くつくようになっている。 日本も国内では20年程前に同じか、飛行機のほうが安いことになった。 貨物輸送(かもつゆそう)も、トラック全盛(ぜんせい)で、鉄道は、 今や、近距離(きんきょり)の人の移動に使われることが主となった。

 

1999 /10

 

10 / 18

「秋は、ひと雨ごとに寒くなる」と言われている。

10月に入ってから、少しずつ雨がふるようになり、今週になって、 やっと秋らしくなった。半そでのシャツでは寒いぐらいだ。

10月は、幼稚園(ようちえん)や、小学校などで、運動会(うんどうかい) が行われる。中には、両親が見にこられるようにと、日曜にやる学校も あって、10月の日曜は、その音で目を覚ますこともしばしばだ。

聞くところによると、もう10年ほど前から、運動会では、順位(じゅんい) をきめないそうだ。30年ほど前には、一位になった子供には、賞品 (しょうひん)で出ていたというのに。

「子供に順番をつけるのはよくない」というのがその理由だが、実は、 数学(すうがく)や英語(えいご)の順番は、歴然(れきぜん)と わかるようになっている。

 

1999 /10

 

10 / 19

朝晩は、ずいぶん寒くなりました。

日本へ来る予定の方は、コートをお忘れなく。

日本では6月に梅雨(つゆ)があり、集中的に雨が降るが、10月も雨が 多い。
秋雨前線(あきさめぜんせん)といって、この雨が寒気(かんき)を もたらす。
しかし10月後半になると雨は減り、かわりに紅葉(こうよう) が始まる。

1年で最も美しい季節かもしれない。
人々は、海外から国内に目をうつし、週末を利用して、いそいそと、 国内旅行にはげむのだ。

 

1999 /10

 

10 / 20

最近は夜遅くまであいている店が多くなった。

「あ、祝儀袋(しゅうぎぶくろ)、買うの忘れてた」
「コンビニに売ってるよ。」
「そう? キヨスクは?」
「売ってる」
「筆(ふで)ペンは?」
「多分、売ってると思うよ」
「ああ、どうしよう。紙おむつも買うの忘れた」
「ううん。それは、多分、だめかもね」
「どこか今(夜の2時)あいている店ないかしら」
「今ねえ。じゃあ、とりあえず、コンビニで探して、なかったら、車で 街道
  (かいどう)沿いのスーパーに行こう」
「今、開いてるの?」
「うん、夜3時までやってるらしいよ」

コンビニは、コンビニエンスストアー。24時間営業の店のこと。
キヨスクは、電車の駅にある小さな店のこと。JRの店はキヨスクという。
最近では、JR でなくても、駅のホームにある店はキヨスクと呼ぶ人が多い。
筆ペンは、筆で書いたような味(あじ)が出せるボールペンのこと。

 

1999 /10

 

10 / 21

日産(にっさん)という会社を御存じだろうか?

日本で二番目に大きい車会社で、つい最近フランスのルノーとの 提携(ていけい)を発表した。 実質的なトップには、新しくカルロスゴーン氏が就任(しゅうにん)した。 「コストキラー、コストカッター」と呼ばれた人物だ。

彼の株主総会での日本語でのスピーチは、見事なものだった。 来日して一年にも満たない外国人ビジネスマンであそこまできれいなスピーチ ができるのは珍しい。
その後、彼は、長めのスピーチは、すべて日本語で こなしている。

ここからは、私の勝手な推量だが、彼は、実は、スピーチで話したレベルの 日本語は話せないのではないだろうか? いや、ひょっとすると、まったく日本語は話せないかもしれない。 しかし、抑揚(よくよう)も完璧(かんぺき)に近かった。
もし、私の推察(すいさつ)どおり、彼が、日本語をまったく理解しない のなら、スピーチを指導した人も見事だが、ゴーンさんの能力もすばらしい ことになる。

驚いたのは、よく言われる「日本語のgood morningは、アメリカのOhio州の発音と同じ」 といったレベルのスピーチではなかったからだ。 株主に向かって、また、社員に向かって、会社の状況を説明し、 日本では、かつてないほどの規模(きぼ)の従業員(じゅうぎょういん)の 解雇(かいこ)を伝え、またその必要性を説く。 というとてつもなく難しいスピーチだった。

ゴーンさん。もし、本当に日本語が上手だったら、ごめんなさい。

私は、このゴーン氏が日本に与えるインパクトは、単にひとつの会社のことだけには、留まらない と考えている。

 

1999 /10

 

10 / 22

日本人は外国人、特に欧米人の評価を気にする傾向が強い。とよく言われる。

外国人に日本人はどう見えているか。という神話(しんわ)は数限り無く 存在するが、マイナスイメージは、克服(こくふく)されたものだとし、 プラスイメージは声高(こわだか)に語られる。

30代の夫婦の会話

「ねえ、職場のイタリア人に誘われちゃった」
「へえ、まあ、社交辞令(しゃこうじれい)みたいなもんだよ」
「私の髪に触れながら、『イタリアにも黒髪の女性はいるけど、千絵の髪は
 特別な黒だ』なんて言うのよ」
「特別ねえ。日本男児(だんじ)には言えないセリフだなあ」
「やっぱり日本人女性はもてるみたいよ。」
「そうかなあ、ちょっと考えてみてよ。東アジア、いや、全アジアで  最も性
  モラルが低いのが日本だろ。そりゃ、口説(くど)くに決まってるよ」
「ええっ! そんなことないわよ。やっぱりアジアの中でも日本人の やさしくて
  繊細(せんさい)なところがいいってよく言ってるわよ」
「ああ、そう。まあ、そう思っておいたほうが幸せかもね」
「あなたなんか、結婚してから、全然、ほめてくれないじゃない」

と、ここから、また、けんかになった。

 

1999 /10

 

10 / 25

先日の原子力関連の事故の詳細があきらかになってきた。 今回の事件は、臨界事故(りんかいじこ)といって、相当に深刻な 事故である。40人近くの人々が被爆し、うち15人は近所の住民や 消防隊員だった。 以下は、情報がどうやって我々に届いたかという記録である。

9月30日、午前10時35分、事故発生

5分後:警報が鳴り、職員が避難(ひなん)する。
10分後:社長が臨界事故だと認識する。     
    被爆(ひばく)した職員のため救急車(きゅうきゅうしゃ)が呼ばれる。


この時点で救急には、被爆のことを告げなかった。そのせいで、 救急隊員も被爆する。収容先(しゅうようさき)を探すため、 手間取(てまど)る。 救急車が病院に向かって出発するまで90分近くかかっている。

30分後:政府に連絡
1時間後:事故を起こした会社が地元の村の役場
     (やくば)に報告 (FAX一枚だったそうだ)
2時間後:政府が正式に事故を確認(正式にって、なんだ?)
3時間後:現場近くの住民に(理由は言わずに)避難するように連絡が始まる。

このころから、テレビ、新聞、インターネットで報道がはじまる。 事件があった隣の会社では屋外(おくがい)で作業をしていた。 彼等はテレビの報道で事件を知ったのは、午後1時ごろ。 事件から2時間半が経ってから。

6時間後:政府から地元の村の役場に連絡(これもFAX一枚だった!)
7時間後:地元の人々に、事故の詳細が知らされる。


この所長は、10分後には、深刻な事故であると知っていたにも 関わらず、救急隊員を被爆させ、隣の会社にも知らせず、政府の判断を まっていたことになる。

私の予感(よかん)では、管理体制の不備は裁(さば)かれても、この報告に 関する失点(しってん)は、裁かれないと思う。

それにしても、日本では、FAXを持っていないと、死ぬかも知れませんね。

 

1999 /10

 

10 / 26

図書館には、本の他に、いろいろなものが借りられるようになっている。

レコード、テープ、ビデオ、CD。

コンピューターの雑誌などについているCD-ROMは、まだ、無理のようだ。

レコードやCDでは、クラシックからポップミュージックまで、落語や 講演のテープなどもある。最近では、CDの割合が多く、テープやレコード は少なくなった。

ビデオを置くところも増えてきた。古いハリウッド映画や、ドキュメンタリー など。

目の悪い人のための大きな活字(かつじ)の本も多い。 盲人(もうじん)用に、無料で、本を読むサービスをやる図書館も増えてきた。

日本にすむ人で、住所が確認できる人なら誰でも利用できる。 これは、昨日、図書館で借りてきたスティービーワンダーを聞きながら 書いている。

 

1999 /10

 

10 / 27

日本語の活字(かつじ)を作るのはたいへんらしい。

コンピューターの書体(しょたい)などは、英語のものは、無料のものから 高くても3000円ほどだが、日本語の場合、安くても10000円程度。 5万円でも安い方。

なぜなら、作らねばならない文字の数と種類が膨大だからだ。約6万の字を 作らねばならないらしい。 また、それだけ種類が多いということは、作る際のバランスにも影響する。 小さいサイズで、文字が潰れて見えなくなってはいけない。

ある書体などは、5〜10人のスタッフで2年かかったそうだ。
しかし、まだ、日本語の美しい書体は少ない。

 

1999 /10

 

10 / 28

コンピューター上の書体に関してはいろいろと問題がある。

日本、中国など漢字をつかう国の漢字を統一しようという試みがある。

このほうが合理的なのは、理解できるが、「どうやって統一するか」の 議論は、実質的には、始まっていないようだ。 日本でも、小説家や、大学教授などは、文化的な侵略(しんりゃんく) などと言って、反対しているようだが、私は、実は、たいした問題では ないと考えている。

なにしろ、ここ50年で、日本では、相当、漢字の表記を変えてきたのだ。
他の漢字圏の国々と話し合って、漢字を2万程度に絞り込むことは、 難しい話ではないはずだ。

多少の不便は、あるだろうけれども、得られることのほうが大きいと 思いますけどね。

 

1999 /10

 

10 / 29

セクハラというのは、セクシャル ハラスメントのことで、こういう長い 言葉は、日本語に輸入されたとたんに、省略される運命(うんめい)にあります。

「高木さん、係長、『どうして髪切ったの』ってうるさいんですよ。」
「ああ、あの人はね、いつもそんなことしか言わないの。まあ、適当に
  あしらっておけばいいのよ」
「『ショートが流行っているんで』って言ったんですけど、『それだけ?』
  とかって、言うんです」
「しょうがないわねえ。」

女性が髪を切るのは、恋人と別れたからだ。という認識を持っている男性は 多い。

この高木さんという上司は、そういう類いの人だ。 まあ、男性は、どの職場にもいて、詮索(せんさく)好きというわけではなく 実は、女性に対して不器用な人が多いので、「こう言えば、間違いなく 反応してくれるフレーズ」をくり返すんですね。 それが例え、否定的なものであっても、反応さえ、示してくれたら、 コミュニケーションをとった気になっているものです。

それがエスカレートすると
「まつだくん、みかん、3つも食ったの? 妊娠してるんじゃない」 なんて言ってしまう。

大人の女性の振るまい方をおもしろおかしく書いて、人気がでた最近の 本「大人の女 養成講座(ようせいこうざ)」によると、

「わかります? 課長の子ですから認知(にんち)してくださいね」 などとブラックジョークでかえすと、よい。 とある。

日本では、セクハラという言葉が浸透(しんとう)してきたと言っても、 いつも、この国は、法律面でのサポートがないので、しばらくは、 たくましくなるより他に方法がないようである。

「大人の女養成講座」 石原 壮一郎 著  扶桑社(ふそうしゃ)

 

1999 /10

 

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