2000 / 12

 

12/1

男女の会話

「海外旅行に行くとさ、人格出るっていうじゃない」
「ああ、成田離婚とかね」
「あれ、英語ができないからなのかね」
「というより、英語とか、マナーとかでオドオドするのがまずいみたいよ」
「オドオドねえ。慣れてないなら仕方ないんじゃない」
「まあ、そうだけど。男性のほうが自己嫌悪(じこけんお)で元気がなく
  なっちゃうんだって」
「ああ、かわいそうに。最近は女性のほうが海外経験が豊富だもんね」
「そうなのよねえ。新婚旅行の前に練習で行く人もいるらしいわよ」
「練習で? すごいね」
「そういうツアーがあるんだって。新婚旅行が決まるでしょ? で後から
  男性のほうに電話があって、『こういうツアーもありますが。。』って」
「ああ、同じ旅行会社でやるわけね」
「この前、テレビで見たけど、ガイドさんが、道順から食事のマナーまで
 丁寧に教えてたよ」
「もちろん、秘密なんでしょ?」
「もちろんよ。本番では、さも昔から知っていたような顔をしてエスコート
  するのよ」
「大変だな。。。」

成田離婚というのは、新婚旅行で仲が悪くなり、離婚になること。 成田(なりた)は、日本最大の国際線の空港。

この新婚の男性のための下見(したみ)ツアーは、本当にあります。

 

2000 / 12

 

12/05

ヨーロッパから来た人に「ヨーロッパってどこからどこまでのことですか」 と聞くと、みな困ったような顔をして、答えない。

ぼんやりと分かっているのはキリスト教圏ということだけれども あいまいですね。

エジプトは入らない。
トルコも。
東欧もロシアも入るけど、中央ロシアは別。
中東は論外(ろんがい)。
イスラエルは、サッカーでは、なぜかヨーロッパになっている。
隣国(りんこく)は、アジアだったりアフリカだったりするのに。

まだ、いろいろと議論が分かれるようで、ユーロが問題になっていた時も
「お札ってのは、たいてい顔写真が入るけど、ユーロ通貨(つうか) に相応(ふさわ)しい顔はだれですか」 と聞くと、また一様にう〜んと唸(うな)ったものだった。

「人の顔は無理じゃないかな」というのが一般的な解答であった。

そのとおりになりました。

 

2000 / 12

 

12/06

アジアはどこからどこまでかと言うと、これがまた、はっきりしない。

サッカーでは中東は西アジアということなっているが、日本では中東がアジアであると意識している人は少ないだろう。しかし、中国にとっては、アラブは、かつての 貿易相手でもあったし、それほどでもないようである。

日本では、中国、韓国、日本などの東アジア、マレーシア、インドネシア ベトナムなどの東南アジアという区分けは、はっきりしているが インドやウズベキスタンなどの中央アジアに関しては、まだぼんやりと したままである。

ヨーロッパのように、ビザが無くなり、通貨ができるのは、21世紀中には 不可能かもしれない。経済格差も大きいし、宗教、文化など、がまったく 異なる。

ところで、オーストラリアは経済的にはアジア圏(けん)だという話は よく聞くが、おそらく自国がアジアの一部と考えているオーストラリア人 は非常に少ないのではないだろうか。
日本でもオーストラリア、ニュージーランドは、「欧米」と考える人が 多いように思う。

21世紀も、このあいまいな枠組みは続くのだろうか。

 

2000 / 12

 

12/07

会社を停年退職(ていねんたいしょく)した後、日本人は何をしているのか と時々聞かれることがある。

はっきりとは、わからないが、他国と違うところは、仕事への未練(みれん) が残るところであろうか。

退職してから、しばらくは、何をしてよいのか分らない。
どこに行っていいのかわからない。
家事(かじ)はまったくできないので 家にいても、自分がまったく役に立たないことにイライラしている。

友人は同じ会社の人が多い。停年後も仕事で得た人脈(じんみゃく)を 生かして、会社を作る人もいる。しかしこういった会社がうまくいった 話はあまり聞かない。

しかし、一方で、夫婦で旅行を楽しんだり、早朝に散歩をしたりという 人も多い。日本では老後、子供と同居する比率が高く孫の世話をするのも 楽しみの一つであるらしい。 家庭菜園(さいえん)に凝る人もいる。

朝、散歩している初老の男性は意外に多い。 退職してからの年月は、歩くスピードに表れるそうだ。 体力が衰(おとろ)えるからではない。 歩きながら周りの風景や花などに目が行くまで3年ほどかかるそうだ。

 

2000 / 12

 

12/12

アメリカの大統領選挙は、ややこしいことになっていますね。

12月ですから、クリスマスにホワイトハウスに大きな靴下(くつした) を下げて、当選したほうを、入れておくというアイデアはどうでしょうか。

日本では12月になると、街角はクリスマスの飾り付けでいっぱいになる。 日本でクリスマスが今のように大きなイベントになったのは1970年ごろで 東京の繁華街(はんかがい)のバーなどでやっていたものが次第に広がり 一般的になったとのこと。

80年代になってから大学生の間、特に若い世代には欠かせないイベント となった。家族で過す日というより恋人と過す日であると考える人が 多数を占める。

都心を少し歩くだけで、いくつものクリスマスツリーを見ることができる。
デパートの飾り付けも終わった。
しかし、おもちゃ売場よりも宝石店のほうが活気があるようだ。

 

2000 / 12

 

12/14

今年は自殺のニュースが多かった。

去年から今年にかけて不況(ふきょう)の影響もあって自殺者が 増えた。
日本は、年間3万人近くの人が自殺をする国である。

かつて日本のプロ野球チームのエースだった選手が引退後に。 まだ、30代だった。

銀行の関係者も多かった。

ギリシャで日本人観光客を載せたバスを乗っ取った犯人は警察署で自殺した というニュースが伝えられた。

クリスマスの映画と言えば、It's a wonderful life を思い出す人も 多いのではないだろうか。日本では「素晴らしき哉(かな)、人生!」 というタイトルだ。
自殺しようとした人物が主人公の映画だ。

映画の中に「一人の生は、多くの生に関わっている」という台詞(せりふ)が あるが、これは、裏返せば、一つの死は、多くの生に関わってしまうという ことでもある。
3万人の自殺者には、それぞれ家庭がある。
関わっている「生」のことを考えると、憂鬱(ゆううつ)な気分に なるのである

 

2000 / 12

 

12/15

男同士の会話。40代。

「この前、タクシー乗ったらさ」
「え、お前、タクシーなんて、乗るの? 景気いいねえ」
「いや、たまたまなんだけど」
「うちなんか、2年前から残業(ざんぎょう)の時のタクシー代が出なくなったから
 みんな11時には帰らなきゃいけないんだよ」
「いや、それは、うちも同じだよ」
「ああ、そうか、それで、タクシー乗ったら、どうなったの」
「いや、大した話じゃないんだけど、運転手が言ってたよ。お客さんはぜんぜん
  増えてないって」
「景気が上向きって言うけどね、うちもあまり実感ないもんね」
「不景気が長いから、みんなタクシーに乗らない生活に慣れちゃってもう
  戻ってこないんじゃないか、って心配してたよ」
「ああ、そうだな。よくタクシー運転手がいちばん景気に敏感(びんかん)だって
  言うものね」
「そのタクシー乗った時もさ、ワンメーターぐらいだから『近いんですけど
  いいですか?』って聞いたんだよ」
「うん」
「そしたら、『どちらでもかまいませんよ。どうぞ』だって」
「そうか。昔は、近いと、返事も悪かったよね」
「そう、それも、運転手さん、反省してたよ」
「ハハハ、そう」

ワンメーターとうのは、タクシーの料金の機械が一度、変わる程度の 距離、ということ。今は、700円ぐらいだろうか?

私も2年ほど乗っていないので、詳しくはわからない。

 

2000 / 12

 

12/18

今年 その1 「失われた10年」

今年、日本では「失われた10年」とは何だったのか。という議論が 盛んに行われた。 10年とは、バブル経済のころを中心にした10年のことで、この10年に 今の日本経済の衰退(すいたい)の原因があったのではないかというのが 主な論調(ろんちょう)だ。

最近では、バブル経済の功罪(こうざい)に焦点(しょうてん)をあてる だけではなく、戦後経済とは何だったのか、ということに論点(ろんてん) は移っている。

21世紀は、これまでの居心地のいい時間に安住するか、変化を求めるかの 二者択一(にしゃたくいつ)を迫られることになるだろう。

失ったものを、自らが認識するのに必要なのは、知性ではなく勇気だ。
過去というものは、誰にとっても、すでに失われた時間であるに過ぎない。
しかし、どちらの選択にも保証はない。
変化を選んだからといって 幸せになるとは限らない。

10年の間に失ったものが、これからを生きていく勇気でないことを 祈るばかりだ。

 

2000 / 12

 

12/20

今年 その2 「少年犯罪」

犯罪の低年齢化が進み。法律もそれに合わせたものに変わった。

12月は、師走(しわす)と呼ぶ。教師でさえ忙しいという意味だ。

今日(こんにち)、教師は最もストレスの多い仕事になった。

学校では授業中に生徒の半数は、勝手に教室を出ていったり、音楽を 聞いたりといった状況で授業ができなくなるらしい。これを 学級 崩壊(がっきゅう ほうかい)と呼ぶということだ。 小中学校(しょうちゅうがっこう)の半数近くがこういう状態だという報告もある。

今年目立った犯罪がほとんど17才の少年によるものだったことから 「17才」ということが必要以上に強調された。

少女ではなく少年であることにはあまり触れられていない。
それとも、 17才というのは みな少年のようなものなのであろうか。

例えば、夜の東京の渋谷の駅近く、地方都市の繁華街(はんかがい)や 公園は一人で歩くのは危険になった。

10年前に日本に来たことがある人には、信じられないかもしれないが、今、日本の夜で危険なのは、ヤクザでも不法滞在者(ふほうたいざいしゃ) でもなく、10代の少年だ。

このことは、日本に来る外国人は覚えて おいたほうがいいだろう。

 

2000 / 12

 

今年 その3

年末には各メディアで10大ニュースが発表される。

ここ4.5年の流れを見ていると一年単位では物事は進んではいない。
今年1年の10大ニュースといってもピンとこない人が増えたようだ。

今年のニュースであえて選ぶと、30代の男が少女を約10年にわたって 監禁(かんきん)していた事件がすぐに思い出される。

ふつうの町の一軒家の二階の男性の部屋で少女は発見された。
男は母親と 二人暮しだった。
母親は監禁の事実を知らなかった。
10年間少女は、部屋から出ることを許されず、保護(ほご)された時は 19才になっていた。

21世紀に、彼女がいい人に巡り逢い、幸せに生きることができるならば まだ、この世も捨てたものではないのではないだろうか。

 

2000 / 12

 

「どうしたの、元気ないね」
「いやあ年末で忙しいし、ストレス多くてね」
「ああ、そう。忙しいだけじゃないみたいね」
「ああ、心配事も多くて」
「何かあったの」
「いや自分のことじゃないんだけどね、他人の心配で疲れちゃった」
「はあ、そんな人のことで疲れてちゃ損だよ」
「でも、人のことだから、ストレスがたまるということあるからね」
「そうかな」
「自分のことなら、自力(じりき)でなんとかなるでしょ」
「まあ、そうだね」
「他人のことは、ああだこうだと言っても、結局は見ているしかないから」
「しかたないよ。何を言っても伝わらない時というのはあるからね」
「そうだな」

 

2000 / 12

 

 

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