2002 / 11

 

11/05

「耳」というのは、身体の外に露出させる器官としては、複雑な 形をしている。

人によっても形は千差万別(せんさばんべつ)だが、目や鼻に 較べると、美醜(びしゅう)があまり問われない部分でもある。

日本人で耳にある溝(みぞ)があまりなく、ふくらんで丸くなっている 人達がいる。時々、「ギョーザ耳」などと呼ばれることがある。
この人達にケンカを売ってはいけない。「ギョーザ耳」の原因は 柔道などの練習によるものだからだ。 畳に身体を摺り合わせる練習を長年続けると、この形になる。 ギョーザ耳の人は有段者であることが多い。
(本当に上手い人はあまりならないという説もある)

もうひとつ、よく話題にのぼるのが、「福耳(ふくみみ)」 耳の下の部分を「耳たぶ」と言い、肉厚で、垂れ下がっていて 大きい程、縁起(えんぎ)のよい耳だとのことだ。
よく「お金持ちになる」と言う。

ところで、アメリカに住んでいる方には、来年、日本から最高の 野球選手が来るというニュースを聞いただろうか? 彼が活躍することは間違いない。

彼は、私がこれまでに見たなかで 最大の「福耳」の持ち主だからだ。

 

2002 / 11

 

11/06

デパートなどには、海外旅行のコーナーがある。

パスポートや航空機のチケットが入るケースや、ポケットが無数に あるカバン。ホテルの部屋で洗濯して干すための道具や水道水をろ過する ためのパイプなど、いろいろなものが売られている。

伝統的な道具としては、お金を隠す道具がある。 「海外は物騒(ぶっそう)だから」と、いろいろな工夫がなされてきた。 靴底に1万円ぐらいは、隠しておいたほうがいい、と書いてある ガイドブックは多い。

知人(50代の男性)は、悩んでいた。

特別な財布を持つのは、泥棒にお金のありかを教えるようなものだし ベルトに書くしポケットが付いているのは、便利だけどデザインが よくない。
水虫(みずむし)だから、靴の中にはあまり物を入れたくない。

「ああ、じゃあ、、、」 と言いかけて、止めた。

私がいくら無遠慮な人間だからって そのカツラの中はどうですか? とは言えなかったからだ。 最も安全なところだとは思うのだが。

 

2002 / 11

 

11/07

日本でよく知られているアメリカの新聞といえば ニューヨークタイムズ、ワシントンポストだろうか。 他の国の新聞は、ほとんど知られていない。

知られているのは、理由がある。 ハリウッド映画が公開される度に、それらの新聞でいかに評価されたか ということが、広告に載るからだ。
「かつてない戦慄(せんりつ)!」といった調子だ。
映画雑誌だと思っている人もいるかもしれない。

ニューヨークタイムズの劇評はレベルが高いと聞いたことがあるが、こと、最近の映画評に関しては、ゴミのような映画にも空疎(くうそ)な 褒め言葉を送っている。
こういう記事を「ちょうちん持ち記事」などと呼ぶ。

まあ、もちろん、映画や音楽に関しては、日本のメディアもちょうちん持ち 記事ばかりで、何が何だかわからなくなっていますが。

 

2002 / 11

 

11/08

「今、趣味の王道(おうどう)って何かな」
「そうだなあ、『趣味』という言葉が少し古くなってるかもね」
「ああ、昔なら『読書』とか『レコード鑑賞(かんしょう)』とか
  『映画鑑賞』っていうところだな。『3大趣味』ね」
「30年前の『無難な趣味』ね。お見合いの席とか、面接で使える」
「そう。切手集めとか、鉄道模型は、少し印象が悪かった」
「そうかな、今ほどじゃないよ。行動的という印象はないけど」
「でも、『趣味』というのは、屋内でやるものじゃないの」
「『テニス』とか『野球』は、スポーツだから、趣味じゃないのか」
「今は、読書とか音楽を聞くのは、趣味とは呼ばないかもね」
「じゃあ、何?」
「『趣味は』と聞かれて、無難な答えというのは難しいね」
「『アウトドア』は、いいんじゃないの」
「ああ、それそれ! 野外キャンプとか、釣りとかね」
「『オタク』っぽくないしね」
「そうだね、エコロジーな雰囲気もあるし、オジサンとも話が合うし
  女の子の受けもいい」
「まさに『無難』だねえ」
「ところで、お前の趣味は、ホントは何なの」
「う〜ん。実は、読書と音楽鑑賞と映画鑑賞なんだよ」

 

2002 / 11

 

11/12

ここ10年ほど、市や区などが合併することが多くなった。

もちろん、大きい市のほうが、国から多くの予算をふんだくることが できる、という理由の他にも事情があるのかもしれないが 詳しいことは私にはわからない。

将来は、町や村という単位も無くし、市だけになるという。 つまりは、行政側が管理しやすいという理由もうかがえますね。

いつも問題になるのは、新しい地名をきめる時だ。 最近の流行では、地元の文化人などがいくつかの候補を選んだ上で 住民投票で決める、というやり方だ。 文化人というのは、郷土史(きょうどし)の研究家や大学教授、芸術家など。
彼らは、昔からの地名を参考に決めることが多い。

一方、政治家などは、1円でも不動産価格が上がるように、現代風の 洗練された地名を好む
。近くに大都市があれば、それにあやかって 「東**」などと付ける。(**には大都市の名前が入る) また、町名では、「緑」「自由」「青葉」などが入った名前は 人気がある。「緑が丘」などは、ここ10年で量産されている。

今、東京の隣の県の埼玉で問題が起きている。 大宮(おおみや)、浦和(うらわ)、与野(よの)という市が合併して さいたま市となった。その市内を分ける「区」の名前で揉めている。

住民の多くは、中央区、とか東区、といったものがいいようだ。
「さいたま市 東区」と書くと、何やら大都市の住民であるような気分に なれるからだ。 ひとつだけ「見沼(みぬま)区」になりそうな所がある。

この「沼」という字のイメージが悪いと、大騒動になっている。

 

2002 / 11

 

11/13

「沼」というのは、辞書によると、「湖の小さくて浅いもの」で 「水深5メートル以下で泥が多い」ところだそうだ。 この地域はその沼を利用した水田が多いところで、古くからの地名でもある。

昔からこの地域に住んでいる人にとっては、納得のいく名前のようで、住民投票でも上位に入っていた。 反対しているのは、新しい住民だ。五千万円も出してローンで買った 家の住所に、そんなダサイ名前が突然付くことに納得がいかないようだ。

投票によると、「緑」とか、「西」などが人気とのことだ。

テレビのインタビューに答えて、「住民投票の結果が反映されないことが 問題なんです」と言っていたが、本音は違うところにあるらしい。
ある人は、正直に「『見沼』なんて地名は恥ずかしいし、不動産の価格も 下がってしまう」と語っていた。

 

2002 / 11

 

11/14

地名を住民投票で決めることは、「民主的」で、正しいのだろうか?

今の日本では、投票できめると、「緑」とか、「東**」など 無難で、無味乾燥(むみかんそう)な名前が増殖していくことになる。

区や市の名前を決めるのに、不動産価格が決め手になるのは 中途半端な田舎や観光地だけだと思っていたが、都会でも重要なことらしい。

しかし、東京で今は、都会で高級とされている地域の地名も決して 洗練されているとは言いがたい。 銀座も神田(かんだ)も麻布(あざぶ)も、その土地が昔 どういった場所だったかを示しているに過ぎない。

いまや、全国の人々が、「一見洗練された名前の土地」に 住みたいと考えているようだ。
そのうち、30年もすると、飽きられ、また、流行の地名に変えよう などということになるかもしれない。

ほとんどが木造建築であるこの国の町並みを昔のまま残すことは ほぼ不可能に近い。すると、土地の歴史を象徴するものは 地名しかないということになる。
その地名が、緑とか、青葉とか薄っぺらな名前にどんどん変わっていく のは、恐ろしいことだ。

そのうち、「日本」という国名も、住民投票でカタカナになるかも しれない。
「グリーンアイランド」とかね。

 

2002 / 11

 

11/15

お風呂の中で、夫婦の会話

「背中、流してくれる?」
「ああ、いいよ」
「ああ、そのへん、まん中の窪みのとこ」
「 あ、うん、あれ、よごれてるなあ」
「そこ、手が届かないのよ」
「そうだな、、、」
「どうしたの?」
「いや、どうして、動物は自分の身体で手が届かない所があるんだろ?」
「え?」
「いや、人間は道具を使えるから何とかなるけど」
「ああ、あなた、最近、動物学の本、読んでるものね」
「そうそう、猿もね、背中は手が届かないから、群れで生活するんじゃないかな
  と思ってさ」
「ああ、ノミを取ったり、怪我したらなめたりね」
「そうそう、でも人間は道具を使ったりできるから、とりあえず ひとりでも
  生きていける」
「動物はすべて、群れじゃないと生活できないの?」
「いや、そうでもないけど、群れから孤立すると、寿命が極端に短くなるらしい」
「そう、背中に手が届かない、というのは結構、大変なことなのね」
「いや、まあ、今は、せいぜい、うまく洗えないって程度だけどね」

「背中を流す」というのは、誰かに石鹸とタオルで背中を洗ってもらうこと。

 

2002 / 11

 

11/19

テレビ番組で根強い人気なのは、旅番組だ。

国内旅行でも最近は和風が流行のようで、かつてのように、「スペイン風 の観光地」というバカな企画は少なくなった。 もちろん、今でもスペイン村とかドイツ村といった観光地は各地にあり 田んぼの隣に、ドイツ風のコテージとビアガーデンがあったりするのだが。

旅番組では、有名なテレビタレントが2.3人で出演する。 景色と温泉、旅館の料理の紹介。寝室に戻って最近、芸能界にデビューした 息子に心構えを説いたりする。
旅館の連絡先や料理屋の場所なども紹介される。

しかし、こういう番組にだまされてはいけない。 実際に行ってみると

料理屋では
「え、うどん? 今日はもう、おわり」
先週の番組では、テレビタレントに愛想よく応対していた主人が 野良犬でも追い払うように怒鳴る。

旅館では
「ええ、普段は12000円なんですけど、今はシーズンですので 22000円です」
「あのテレビで見たお部屋は?」
「あちらは特別室でして、34000円です。でも来年まで予約がいっぱいで」

などということになるからだ。

 

2002 / 11

 

11/20

最近は、ロードムービーなどと呼ぶらしいが、2人組が旅先で いろいろな事件に会う、というのは、映画向きのシチュエーションだ。

日本では、股旅(またたび)物という言葉があって、こちらは歩いて 旅をする。
舞台は東海道(とうかいどう)。
2人組は、どちらも、どこか抜けていて、失敗ばかりしている。

「Road to ...」というタイトルでお馴染みの映画はボブホープとビング クロスビー。
戦後、日本でも大人気だったそうだ。日本のタイトルは 例えば「モロッコ珍道中(ちんどうちゅう)」という風に訳される。

話は変わるが、漢字の教科書に「漢字の道 A road to Kanji」というのが ある。
日本語で「道」というと、ひとつのことを時間をかけて 極めていく、という意味がある。
柔道や茶道などでも使われる。

どうして、こんな名前を付けたのだろうか。

映画好きの人には 「漢字のテキストは、これを使います。A road to Kanji 。
著者は ボブホープとビングクロスビー、、、、じゃないよ」 というと、たいていは
爆笑(ばくしょう)してくれる。

 

2002 / 11

 

11/20

「相撲部屋(すもうべや)に入門した外国人は日本語の上達が早い」 ということだけで一冊の本を書いた大学教授がいる。

5分ほどで読み終えたその本には、タイトル以上の情報はなかったので 理由はわからなかったが、確かに外国人力士の日本語の上達は早い。

白状すると、私も、時には、

「つべこべ言わずに、動詞の変化を 来週までに覚えてきな、もし、一つでも
  忘れたら、あめえの、その 長い指がこのテーブルの上にころがることになるゼ」

と言えば、後々、天才的な語学教師として、尊敬されることになるかも しれないと、考えることがある。

しかし、まあ仕事というのは、つらいものだ。せいぜい夜中にため息を つきながら
「いいかげんに覚えてほしいなー」と呟くのがせいぜいだ。

 

2002 / 11

 

11/22

アメリカ人と日本人の会話

「よく日本のヒトは、『がんばって』って言うでしょ」
「ええ」
「あれ、どういう意味なんですか」
「う〜ん。難しいわねえ」
「辞書には、『Do your best』って書いてありますけど」
「そうねえ、でもちょっと違うのよ」
「あまり意味はないんですか」
「励ましていることは確実だけど。状況によるわねえ」
「営業で出かける時なんかは?」
「それは、あまり意味がないかも。『無理しないでください』っていう
  意味もあったりするしね。単なるかけ声ね」
「ああ、微妙ですね。そうですか」
「スポーツなんかでは、『行け!』とか、『がんばれ!』は強いはげましね」
「それは、わかります」
「そういう単純な状況では、文字どおりの意味だけど」
「なるほど」
「あまり深く考えないほうがいいんじゃない」

 

2002 / 11

 

11/26

仕事として国に登録されているのは、何万種類もあるそうだ。

部屋の中をグルリと見渡してみても、家具や電化製品、それらに関わる 仕事はたくさん想像できる。そう考えると、「サラリーマン」という 日本語は、あまりにも大雑把なのかもしれない。 サラリーマンは「給料をもらって生活している人」という意味で 使われる。

ただ、近頃は、ビジネスマンという呼び方もあり、後者の ほうは、会社組織に縛られない、より有能な、という意味が込められている。

女性の場合はどうか。 「OL(おおえる)」が一般的だ。
しかし、このOLというのは 「社内では大事な仕事を与えられず、30才前後までには、結婚して 退社し、家庭に入る女性の社員」というニュアンスがあり、仕事を 続ける女性には、きちんとした呼び方はないようだ。

「会社員」が今の所、もっとも無難な呼び方かもしれない。

 

2002 / 11

 

11/27

「雑居(ざっきょ)ビル」というのは、主に都市の駅前などにある ビルのことで、店鋪(てんぽ)や事務所、住宅などが混在している ビルのこと。

新宿などは、この種のビルは多く、権利関係も複雑に入り組んでおり ビルの所有者が誰で、どこにいるのかもわからないそうだ。

新宿に関しては、いろいろな噂がある。雑居ビルのほとんどは 実質的なオーナーは外国に住んでいるとか、実は政治家が所有しているという ものから、国際的なマフィアのものであるという話まである。

問題となるのは、火事の時だ。ビルの管理者がはっきりせず防災設備も 乏しい。
古いものも多く、建てた会社の管理責任はすでに時効(じこう) となっていることもあるそうだ。

 

2002 / 11

 

11/28

牡蠣(かき)が美味しい季節ですね。

牡蠣に関しては、生で食べる習慣が世界中にあるのに対して なぜか、日本では、ほとんどの魚介類を生で食べるにも関わらず、牡蠣は、 熱を通して食べることが多い。

味噌(みそ)で味付けした牡蠣鍋、野菜と炒めたもの。
そして何といっても、牡蠣フライ。

牡蠣フライは、牡蠣を揚げたもので、寒くなると、町の定食屋の メニューに並ぶ。もちろん今では、養殖モノが一般的なので 一年中置いているところも多いが。 この牡蠣フライは、外国ではほとんど見られないそうだ。

牡蠣を上手に揚げるのは、難しい、衣(ころも)はカリカリで 中は熱が通っているが、半生(はんなま)で、ジューシーでなければならない。

定食だと5つぐらいついてくるので、2つをウスターソースで。 残りをマヨネーズに玉ねぎやパセリなどの薬味を刻んだものに 付けて食べるのが私の食べ方。
カリカリの衣を、思いきってザクっと噛むと、プリプリの 身から美味しいジュースが弾ける。それらと少しの苦味が渾然一体 (こんぜんいったい)となって、うっとり。

日本で美味しい牡蠣フライを食べる方法は、まず、老舗のとんかつ屋を 探すこと。
11月ごろに「牡蠣フライはじめました」などと 書いてあったら、迷わず注文する。
出てきたら、慌てずにゆっくり食べる。

急いで食べると口の中を火傷(やけど)します。

 

2002 / 11

 

11/29

30代の男女の会話

「隆(たかし)くん、料理、上手なんでしょ」
「いや、凝ったものはできないけど」
「どこで習ったの」
「学生時代、洋食屋でアルバイトしてたから。4年間」
「4年間! すごいわね」
「オムレツは、1万個は作ったよ」
「洋食屋だもんね」
「あのね、ああいうところは、卵を割る時にね」
「うん」
「割った後に、殻の底のところをぐるりと拭うんだよ」
「残ってるの?」
「うん、ちょっとだけ。大量に作るから、結構、違いが出るんだよ」
「プロっぽいわね」
「そうそう、それで、実家に帰った時、母親に得意げに教えたらね」
「うん」
「『ああ、それ、おばあちゃんはやってたよ』って」
「あ、そうか、隆クンのおばあちゃんは昭和のヒト?」
「いや。明治。もう亡くなったけど」
「ああ、明治の人にとっては、卵は、特別なものだからね」
「そう。でも、戦後の一時期は、みんな、結構やってたみたいだよ」

 

2002 / 11

 

 

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