2003 / 03

 

03/04

日本の鉄道には、欠点が多い。

全国に張り巡らされてはいるが、料金は、他の交通機関と比べても 決して安くない。
指定席でないと座れるかどうかわからない。
シートが小さく固い。
近くに、おしゃべりなおばさんが座って眠れないかもしれない。
飛行機に比べると時間もかかる。
車のように好きな所に移動できる わけでもない。

しかし、、、例えば、、、

時刻表で乗り換えの時間を調べる。

どうやら、朝、7時発の東北行きに 乗れば、夜には秋田に着く、などと理解するまでが、ひと苦労。
だけれども、これも楽しみのうち。
翌朝、眠い目をこすりながら、駅でビールとつまみなどを買う。
弁当は山形で駅弁を買うことに決めた。
山形では、停車時間が5分あるので、ついでに、山形名物の 「だだちゃ豆」も買ってみよう、などと、ぼんやりと考える。

進行方向を向いて座れば、お昼には、左手に日本海の海の色 右手に水田が広がる風景が見えるはずだ。
夕方には、学校帰りの高校生の東北訛りに囲まれるだろう。
プラットホームの反対側には通勤客が列をなしている。
窓際に座り、横に荷物を置く。

半分、ウトウトしながら外を見ていると、列車は、通勤列車と反対方向に ゴトリと動き出す。
この瞬間の、表現しようのない喜びを共有できる人なら、あなたは 鉄道紀行作家、宮脇俊三(みやわき しゅんぞう)の作品を読むべきである。

残念ながら、先月亡くなったことが、今日、新聞で報道された。

 

2003 / 03

 

03/05

カンニングというのは、試験の時に隣の人の解答を覗いたり あらかじめどこかに答えを書いた紙をしのばせて、それを 見たりすること。

皆、いろいろな工夫をする。鉛筆を縦にふたつに割って、その間に 数学の公式を書いた小さな紙を挟む人。
眼鏡のフレームのところに書く人。
スカートの下の太ももに答えを書く女性もいる。
試験監督が男性の場合は、なかなか調べにくいからだ。

多くの外国人にとって、漢字を覚えるのは大変なことだが、もちろん 日本人も苦労してきたのだ。 小学校でほぼ2000の漢字を勉強することになっているので、小学校の 思い出は、漢字のテストだけだ、という人もいる。

漢字のテストの時は、面白いことが起きる。 たいていは、100の漢字の中から10問くらい出題されるので、テストが 始まって、しばらくすると、皆教室の中をキョロキョロすることになる。

教室の中のはり紙や、人の名前など、たいていは、どこかに ヒントが隠されているからだ。

 

2003 / 03

 

03/06

21世紀にふさわしい敬語の勉強のやり方を思い付いた。

そのうち、ビジネス特許をとって、大儲けするつもりなので 秘密にしてほしい。

まず、状況を設定する。

例えば、あなたは、大きな会社のある課で働いている 新入社員。相手は、その課の課長。 後は、相手が聞いてくる質問に適格に敬語を使って答えるだけだ。

「相手」は、どこにいるのか? 

あなたの目の前。そう、コンピューターだ。
実は、コンピューターというのは、いろんな質問をする機械だったのだ。

「保存しますか?」
→「はい、保存させていただきます」

「このメールはウイルスに感染している可能性があります。プレビュー しますか?」
→「あっ! はい、わざわざお知らせいただき、恐縮です。プレビューいたしますので、作業をお続けになっていただけませんでしょうか?」

「ただ今、ハードディスクをチェック中です」
→「お疲れさまでございます。また、本来ならば、私が気付くべきところでございました。申し訳ございません」

「保存しますか?」
→「おそれいりますが、今回は、保存しないまま作業を終えさせていただきます。勝手を申しまして、、、」

相手が「取引先のVIP」という設定では、何か尋ねられる度に、解答は 文書で、季節の挨拶から始めなければならない、というハードなものだ。

2日もすれば、あなたは、すっかりコンピューターを見るのもイヤに なっているはずである。

もちろん、冗談ですから、本気にしないでくださいよ。

 

2003 / 03

 

03/11

やっと、「ハリーポッターと秘密の部屋」を読んだ。

映画が公開されてしばらくすると、図書館でも借りることができる。
こういう人気がある本は、予約が殺到するので、ぶらりと図書館に 行って借りることができるようになるまでに時間がかかる。

いつもながら、著者の子供に対する観察眼(かんさつがん)に 感心する。主人公のハリーは、悲惨な家庭環境にいるが、彼を 癒(いや)すのは、魔法でも、自分が伝説の人物であることでもなく 学校で友人と他愛もないことをして過す時間であるのだ。

そういえば、私の小学校の同級生のミキエちゃんも長髪のくせっ毛で 成績はクラスでトップだった。
理科(りか)の実験があると、先生はお手本を見せるために 「みんな前に来なさい」と言う。
皆、自分の席を離れて、黒板の前の先生の大きな机の前に集まる。 そういう時、ミキエちゃんは、必ず、私の横にササッと来て座り 赤い顔をして、チラと私の顔を見る。 で、私が振り向くと、顔をそらす。

たったこれだけのことで、私は、たとえ、どんなにイヤなことが あっても学校に行ったものである。

ハリーポッターと秘密の部屋の原題は HARRY POTTER AND THE CHAMBER OF SECRETS

 

2003 / 03

 

03/12

日本の小学生は、ランドセルというものを使う。

ランドセルというのは、オランダ語でかばんという意味のランセル (ransel)という言葉が変化したものだそうだ。
男の子は黒。女の子は赤ということになっている。
安いものは人工の皮製で、5000円ほど。高級品は10万円のものまである。

このランドセルは、孫へのプレゼントに最適なので、つい財布の紐(ひも) は緩みがちだ。5万円程度のものが売れているそうである。

今、日本でお金を持っているのは、仕事をリタイアした老人達なのだ。

ランドセルを使うのは6年間だけだ。 卒業の時、このランドセルをもう一度加工して、ミニチュアを作る サービスも人気がある。

1万円ほどで、手のひらにのるランドセルが 出来上がる。 今の子供は、出産の時からデジタルカメラで撮影され、ランドセルは ミニチュアになる。

20年後、30年後に、このミニチュアは手元に 残っているだろうか。
出産ビデオを見ることはあるのだろうか。

 

2003 / 03

 

03/14

「昨日、歯医者、行ってたんでしょ」
「うん、もう1年くらい通ってるよ」
「うわ、いやだねえ、オレは、絶対イヤだな」
「でも、そんなに痛くないよ」
「どこに行ってるの」
「銀座の**歯科(しか)」
「へえ」
「料金は他のところと変わらないけど、痛くないので有名なんだよ」
「へえ」
「希望する人には、歯を抜く人にも全身麻酔(ますい)」
「すごいな。お金持ちが多いのかな」
「そうかもね」
「痛くない歯医者って、なかなかできないものなあ」
「医療は進んでも、そういう部分は遅れてるね」
「世界中、どこに行っても、歯医者に行くのは、憂鬱(ゆううつ)なことなんだよ」

 

2003 / 03

 

03/18

「今のアメリカは、常軌(じょうき)を逸(いっ)しているが ついていくしかない」 というのが、今の日本の政府の基本的な考え方のようである。

今回は、緊迫する北朝鮮情勢を含めた損得勘定(そんとくかんじょう) では、ここでアメリカを支持しておくことが、北朝鮮問題でのアメリカ の暴走の歯止めとなるという考えがあるようだ。
もちろん、戦争が短期で終結し、株価の下落も一時的なものに留まる。 ということが前提ということだ。

戦争が始まれば、株価は安定するのではという憶測(おくそく)も 飛び交っている。 日本政府も、アメリカが示す脳天気(のうてんき)なイラクの 戦後復興計画は、さすがに、聞かなかったことにするようだが 日本の政府は、イラクの戦後の補償に関わることで、アラブ世界にも イイ顔をすることができるという計算もあるようだ。

9月11日に、考えを巡らせた最悪の事態が始まろうとしている。

 

2003 / 03

 

03/26

今、日本では、有料テレビだが、アメリカのCNNとFOXニュース イギリスのBBC、中東のアルジャジーラ、その他、中国、スペイン フランスのテレビなどを比較的低料金(月1000〜3000円)で 見ることができる。

それらの有料テレビより加入者の多い衛星放送(えいせいほうそう)では 上記のテレビ局のニュースのサマリーを毎日放送している。
通常のニュースでは、アメリカのABCが中心で、今回のような緊急時は 一日中ABCのニュース番組が流されることもある。

いわゆる、一般のテレビ放送では、国内の大きな放送局がいくつかあり それぞれ、関係の深い海外の放送局の映像を引用しながら解説を 加えている。

引用されるのは、BBC、ABC、アルジャジーラ、などが多い。

アメリカ兵の捕虜(ほりょ)の映像は、アメリカでは、現在のところ 放映を自粛(じしゅく)しているそうだが、日本では、一部分が 流されている。

 

2003 / 03

 

03/27

今回の戦争は、情報戦だと言われる。

各国のニュースを較べてみると、日本では、報道の公正性は 保たれているほうだと思われる。
捕虜の映像に関しても、ジュネーブ条約は、明確な基準がなく イラク側が流した映像と投降(とうこう)するイラク兵士の映像との 違いをはっきりと定義して、分ける論理はないようだ。

また、イラク側にも民間人の被害が出ており、その映像はヨーロッパでは 流れても、アメリカではほとんど流されないということが あるようだ。
もちろん、これらの被害者の映像は、イラク側が報道陣を招いて 撮影させたものではあるが、アメリカの報道規制も大変厳しいと聞く。

フランス、ドイツのテレビ局は、戦況は、難しくなりつつある。と報じ イラクの民間人の被害を表に出した報道をしている。

BBCは、捕虜の映像が本当にジュネーブ条約に違反していると言えるか などといったレポートを出したりと、比較的、冷静な態度。

日本では、早くも、開戦当時のような特番(とくばん)は減り 戦争のニュースは、ニュース番組のトップニュースに甘んじている。

 

2003 / 03

 

03/28

日本のニュースなどでは、「世界中で反米運動」と取り上げられている。

日本では、実は、ほとんど盛り上がっていない。
千人程度のデモがあるが それも大きくはならないような気がする。

なぜか? 私は、現在、日本で、今回の戦争を注視している人々を、何かしら 諦めに似た無力感のようなものが包んでいるからだと考える。

今回、日本を包んでいるムードは、日本はアメリカの同盟国ではなく、衛星国 (えいせいこく)なのだという事実を、見せつけられたような重いものだ。
このムードは、長年、アメリカとの関係を重視し、与党(よとう)で ありつづけた自民党の政治家達にも及んでいる。

大使(たいし)を通じて、いろいろなメッセージが送られている。 イラク復興にお金を出せ、人を派遣しろ、イラク大使を追放しろ といった調子だ。

日本政府は、多少行き過ぎを諌(いさ)めながら、「ま、ここは、相手さんが冷静に なるまで適当にあいずちを打っておきましょう」という態度に終始している。

アメリカは、フランスやドイツなど旗色を鮮明にして議論した国との関係は修復が 効くかもしれないが、今回、手なずけたつもりの国々との関係には 今回、深くて、見えない、決定的な、亀裂が入ったかもしれない。

 

2003 / 03

 

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