日本語教材いろいろ 1 総合教科書

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日本語教材いろいろ 1 
2016年5月5日初版投稿 2018年1月31日改訂 約35000字
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ここは日本語教材いろいろ1 初級総合教科書編 です。他のページへは以下のリンクからどうぞ。
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この記事のライセンスについて
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About

「日本語教材いろいろ」について

  • 私達のグループで教師、学習者に評価が高かったものを中心にピックアップしています。
  • 日本語教育の知識がない方々にもなるべくわかるように書きました。
  • タイトルの教科書名や画像などからアマゾンの該当ページに飛びます。アソシエイトプログラム経由です。
  • 印刷版の教材中心です。ウェブ教材などは Nihongo-eななどで調べてください。
  • 日本語の教材の品揃えは日本のアマゾンが最も充実していますが、カテゴリーは外国人向け日本語学習までなのでイマイチ探しにくいです。

1 総合教科書編について

ここでは現役で使われているもので、代表的な教科書を中心にとりあげました。

総合教科書というのは、読み書き話し聴く、ということが偏りがないよう配慮してある、ということが前提で、加えて、初級教科書は、初級の次の段階(初中級とか中級)の教材が「初級ではだいたい終えているだろう」ということをひととおり網羅している教材、ということになるでしょうか(とはいえ、中級の教材のほうが初級に準じて作られることがほとんどだとは思いますが)。

中級は初級と比べると何を教えるべきかということは、かなり意見が分かれるところです。まず、初級で学んだことをしっかり定着させ、使えるようにする段階が必要で、これを初中級と呼ぶ考え方もあります。
基本的には、初級で学んだことを組み合わせて、いろんな定型的な表現を軸に学ぶのが中級という考え方が主流であるようです。文が2つになり、「~にも関わらず~」というような句がプラスされて、ちょっと複雑になっていく、というようなことです。

日本国内の日本語学校は、基本的に大学や専門学校への進学予備校的な色が濃いので、日本語能力試験(マークシートで読解と音声を流す聴解の試験だけ)や留学生試験(日本語に記述試験が加わり、理系には数学などもあります。留学生用センター試験のようなもの)」の対策が中級から始まります。就職でも介護でも、日本語能力試験の合格がいろんな段階でビザ延長の指標になるので、これまた試験対策です。

日本語の教材は国内の日本語学校の意向の影響下にあるので、進学志向の教材が多く、特に中級以降は年々バリエーションは減っているという印象です。今のところ、初級を終えて、能力試験、大学進学というゴールではない、初級を終え、会話重視の人にはコレ、というモノがなかなかありません。

日本語の教材を出している出版社は、ネットでほとんど教材の情報を提供してくれません。学習者向けの情報がほぼ皆無なのはそもそも日本語教育において教材を買うのは学校や教師で学習者ではないということを反映しているのだと思います。この点は「日本語教材のウェブサポートに対する提案」に問題点と提案を書きました。海外のアマゾンにもほとんど置いてませんし、電子書籍化もまったくされてません。海外の学習者は日本の出版社の教科書を買うのは不可能という残念なことになっています。

この学習者には、あるいはウチの職場の環境にはどんな教科書がむいているか、は、なかなか難しい問題で、「**向き!」と宣伝していたりそういうタイトルになっているかや、教科書が設定している主人公キャラ(留学で来た、とか日本で仕事をしているとか)や、場面(教科書によってそれほど違いはありません)が身近だから、ということよりも、本編内の会話例の口調が学習者の周囲で聞く会話に近い、なんとなく自然に感じる、みたいな感覚で選んだほうがいいかもしれません。教師に選ばせると、使い慣れたものを選ぶ人が多いでしょうから、地域で教室などを運営している人は自分がみている学習者のことを考えながら「これはどうですか?」と提案できたほうがよいと思います。

総合教科書は作るのにかなり時間とお金がかかるはずです。きちんとした日本語コースがある学校で採用されるためには、少なくとも、音声ファイルの提供、ドリル的な副教材、多言語展開、教え方マニュアルなどの教師への情報提供、が必要だからです。ある程度売れる可能性がないと開発はスタートできないはずです。
今のところ、教室向け総合教科書では、圧倒的なシェアをもつ「みんなの日本語」を作っているスリーエーネットワークと、国際交流基金の「まるごと 日本のことばと文化」があります。スリーエーは元経産省の、基金は外務省の組織なので、日本語の総合教科書を作るには税金が使えないと厳しいということになっています。純粋に民間の出版社の制作のものでは、英語圏向けの「げんき」と、後発のアルクの「できる日本語」もあります。

👉 日本語学校でどんな教材が使われているかは、毎年政府が発行している日本語学校全調査という本にざっくりと各学校の使用教科書(の他、住所、連絡先、在籍者の国籍比率、事務、教務責任者名、特色、寮の有無、進学先、能試の合格者数なども)が書いてありますので、だいたいのシェアはわかります。この本は、図書館でも時々みかけます、学校を案内する必要がある場合は参考になるかもしれません。(あと日本語学校全調査で検索するとなぜかgooglebooksにファイルがあがってます)

日本語能力試験に関するおおまかな説明

日本語能力試験に関するおおまかな説明

日本語能力試験は関係者内で「能試」と省略されることがあります。しかし試験の主催者のサイトの説明は、とてもわかりにくく、一般の人の理解は長年進みません。

■ 読むこと重視!

まず日本語能力試験は、マークシートで、書くと話すは試されませんから、会話能力に関しては「会話のための知識がある」という目安に過ぎません。日本語教育は留学生相手の市場(学習者数ではなく市場として大きいということです)が最も大きく、進学のための語学教育という日本の英語教育と基本的には変わりません。N3が中学英語相当、N2が高校英語相当としても、そこそこ成績がよくても英語が読めるとか英会話力が高いという保証にはならないことをイメージしてください。N1は英検だと二級か準一級かもしれませんが、やはり結構勉強したなというところまでです。

■ 必要な学習時間

□ 基礎(N5・4・3)

代表的な日本語の総合教科書である「みんなの日本語 初級」の想定学習時間は200~300時間となっています。一般的な日本語教師の理解でも、基礎部分の理解でだいたい200~300時間、しっかり定着するまでプラス200時間くらいが目安だと思います。漢字圏(中国、台湾)の人や言語の構造が似ている韓国語話者の人(また東アジアの人は試験慣れしているみたいなところもあるように思います)は8ガケくらいかもしれません。

基礎がしっかり理解すれば合格するレベルがN3と言われています。N5は、ひらがなとカタカナとあいさつぐらいで、必要な学習時間は50時間程度、N4は、N3の前半なので、プラス100時間程度、あいさつに加えて、簡単な会話や単文が理解できるくらいです。

👉  日本の中学の英語の学習時間は、2011年までは約250時間でこれが350時間くらいになりました。高校は新旧ほぼ同じで600時間くらいです。

順番に受けるというより、最初にN3受けて、次はN2かN1というパターンが多いような気がします。日本に留学する人は、基本N1が目標なので、ガーッと1年くらい勉強していきなりN1合格する、みたいな人もいます。

□ N2とN1

N3からN2,1までに流れている川は深いです。N3までに必要な学習時間が500時間とすると、N2やN1は、ハイペースで勉強を続ければ、プラス500時間くらいで到達する人もいれば、プラス1000時間かかる人もいます。しかし、N2以上に合格する人は、かなりがんばった人です。

N2は、英語だと、中学英語に+αというところ。漢字は1000くらいです。旧2級とほぼ同じ。海外の日系企業などでも、現地での就職で、N2=旧2級は必要とするところがあるとよく聞きます。N3合格して自習でも中級の教科書などで勉強を続けていれば、ガリガリ試験対策をしなくても、翌年か翌々年には合格するかもね、というカンジです。

N1は、英語だと高校英語をそこそこ高いレベルで理解している、くらい。漢字は2000。語彙数は10000くらい。日本の「まともな」大学に入るのはこれの取得が必要。旧1級とほぼ同じ。漢字の勉強が苦にならず、試験対策の問題集をバリバリやるくらい試験慣れしてないと合格は難しいかも。でも、N2まで行く人は、そのままの勢いで、合格するというケースもあります。

■ 日本語の能力とは?

・諸説あるんですが、一般の成人で読んで意味がわかる語彙は3~5万くらい、新聞を読むのには5万語近く必要で漢字は4000字以上使われている、と言われてますから、N1合格でも、まだ新聞を読めるとは言い難い。上級者認定というより「上級者になる準備ができた」と考えたほうがいいと思います。一般的には「N1は上級」「もうペラペラ」というイメージですが、個人差があります。まったく流暢には話せないN1合格者もたくさんいます。所詮マークシートの試験です。

・日本語学校の滞在の上限は2年3ヶ月まで。1年720時間以上という規定がありますから2年で1500時間くらい勉強することになります。まったくの初心者で来て、はやい人は1年でN1まで行きますが、普通は1年半から2年かかります。日本語学校の留学生でも合格者は毎年15%程度ですから、2年の留学で合格する人は30%以下です。(しかし90年代のほうが留学生の合格率は高く、50%以上だったはずです)

■ 日本語能力試験とビザの関係

□ N5

日本語学校などの入学の要件はN5となっています。ひらがな、カタカナが書けて挨拶ができるというところです。また、JITCOによると、技能実習生は日本に来る前に200時間勉強してくることになっていますが、到達目標はN5程度となっています(普通は200時間ならN4には到達するはずが)。

□ N4

日本語学校に入学してさらにビザを延長するためと、看護介護で日本に来る人の最初の足切りラインになると言われています。ちゃんと日本語を勉強するかどうかの最低限の足切りラインということでしょうか。

□ N3

日本語の基礎がしっかり理解され定着しているというラインでしょうか。かつては3級が請け負っていたところですが、若干それより上のレベルという認識を持っている人が多いようです。技能実習生枠の介護では、来日1年でN3取得できないと帰国になりました。ちなみに、これを日本語学校の留学生に適用すると、半数以上の学生が帰国になります。

□ N2、N1

今のところ、N2やN1が、新たなビザなどの要件になるという話はありません。授業で日本語の論文を読むような「まともな」大学に行くにはN1取得がマストですが、N3くらいでもいける大学や専門学校はあるようです。

■ CEFRとの対照

CEFRは日本国内の英語教育で新たな基準として話題になっているもので、欧州の語学教育の目安として作られたものです。A1 A2 B1 B2 C1 C2と難しくなっていく6段階があり、Aが基礎、Bが自立、Cが熟練、という区分けになっています。欧州なので英語やフランス語、ドイツ語が軸なので日本語教育にはあてはめて考えるのは難しいと言われていますし、日本語能力試験とはまったく違う切り取り方なので、N3がB2だ、みたいなことは言えません。しかし日本語教育でもCEFR基準でやれと国は言い出しています。国際的な説明責任として便利という発想でしょうか。

ひとまず国が日本語教育で使おうとしているのはCEFRのA2だけで、これはだいたいN4と同じくらいと考える日本語教育関係者が多いようです。

👉 ちなみに、帰化による国籍取得は日本語の読み書きができること、となってますが、能力試験は関係ありません。永住許可は、近年、いろんな方法があり、まったく日本語ができなくても大丈夫なケースもあります。

👉 日本語能力試験は2014年に大規模な不正があったようですが、詳細は公開されていません。カンニングは横行しているという話はあります。

👉 介護の技能実習生などでは、日本語能力試験と同じ指標として、J-TEST、とかNAT-TESTという試験もレベル判定として認められるようになりました。民間の出版社系がやっている能試の模試的なテストです。ほぼ同じ形式です。J-TESTは、A~Dレベルと、EFレベルの二種類の試験で、点数でA~Fを認定するというやり方です。A~DレベルがN1-N3、EFレベルがN4,5とのことです。NAT-TESTは、能試と同じ5段階です。

👉 留学生以外では、試験そのものに興味がない、という人も多いです。語学のゴールはそれぞれです。

 

 

初級

 


 

みんなの日本語

👉 上に画像が出ない場合は、こちらをクリックしてください → みんなの日本語

 

概要

□ :25課・25課
□ 想定学習時間:150・150時間
□ レベル:N5~N3
□ 翻訳:英、仏、独、西、伊、露、ポルトガル、韓、中、タイ、インドネシア語の文法解説版あり
□ 備考:教室授業で圧倒的シェア(8割ぐらい?)

課ごとに、それぞれ「あいさつ」「これをください」など学習テーマがある。1課は7,8ページ。教科書自体に人間関係の設定があり、それぞれ名前や職業が決まっていて、最初に紹介される。自己紹介からはじまり、設定された社会の中で少しづつ複雑な表現が必要な状況になるという形。特に主人公は決まっていないが、会社員が中心で、大人(20~30代)同士の会話が多い。

1)学ぶ文型と典型的な例文の紹介
2)会話
3)文型の練習いろいろ
4)応用問題(音声を聞きながら)いろいろ

という構成。

教科書の説明の時間数で単純に計算すると1課6時間で45分授業なら8コマで、導入例でも5~7コマとされているが、日本語学校などでは、3,4コマでやるところも多い模様。課によりけりだが、学習者の母語が同じで、文法語彙の翻訳解説版を使いながら教師が媒介語で補足可能なら3コマでもできるのかも。ただもっと早くやって、その後じっくり定着させていくという方法もあるとのこと。使い方いろいろ。

出版社による解説ページ:「みんなの日本語」での検索結果

Youtubeにも、いろんな人があげた授業、応用例の動画が:https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E

 

圧倒的なシェア

民間の日本語学校をはじめ世界で圧倒的なシェアを持つ定番教科書。1974年の「日本語の基礎」→「新・日本語の基礎」→「みんなの日本語」とタイトルが変わったが40年以上シェアトップ。「みん日(にち)」と呼ばれることもある。2分冊で計50課を300時間で終えることになっている。教室での授業を前提としており、一般の日本語学校では日に4時間、週5日20時間程度なので、15週で終えることになる。74年に経産省を中心に作られたという経緯を持つ。(経緯については「日本語教育あれこれ」に少し書きました)

👉 海外では委託して現地版を作ってることもあるが、アジアではかなりコピーも出回っている。この記事によるとインドネシア(義務教育中心で違法コピーは比較的少ないのではと思われる。民間の学校では?だが)では2003年から正式ライセンス版が出ていて毎年約5000部出ているとのことなので、インドネシアにおいて正式版だけで累計10万部くらいには達していると思われる。

多言語展開

教室授業では、圧倒的なシェアなので情報が多く教師間のノウハウの交換でも事実上の標準として扱われている。ネットでも100万件単位でヒットする。ユーザーコミュニティが圧倒的なのが強み。教師用マニュアルの完成度が高く、関連教材が豊富。セットで買えば、他にあれこれ買う必要がない。文法解説本の翻訳版(英、仏、独、西、伊、露、ポルトガル、韓、中、タイ、インドネシア語、ベトナム語、イタリア語)が充実してるのも大きなアドバンテージ。語彙だけならさらに多言語に対応している。

副教材など

教科書ごとに準備しなくても教材として揃えようとなった時、本冊と教師用指導書と音声ファイルは必須なので、これだけで小さな教室では大きな出費となり、他のワークブック的なものまで手が出ない可能性はある。他にもネット上にもいろいろと教師が作った教案や授業動画などがある。ショッピングモールの書店の本屋にも置いてある可能性が高い。

基本的に、日本語で日本語を教え、学習しましょうという考え方の教科書で、教室である程度の時間的な拘束をして、教師が教える、ということが前提となっている。学習者だけで自習する教科書ではない。予習復習は副教材などで教師が配慮しないと期待できない。最初から学習者はひらがな、カタカナを学ぶ。中級版までは用意されている。

コンセプト

文法をあれこれ説明するというより「文型」として文法事項を文の典型的な形として覚えて使いこなしながら定着させて進める、という80年代から日本語教育では主流の教え方をベースにしている。

既習事項に「積み上げていく」という考え方で、基本、一日4時間、週5日のペースで学習する密度でガリガリやることを前提としているので、教室授業であっても時間数が少なかったり、間隔が空くケースやモチベーションがそれほど高くない学習者の場合はどうか?地域の教室や実習生、ビジネス関係者相手なら「まるごと」や「げんき」という選択肢も有力だと思われる。たとえ日本語教師が(慣れているし他の教師との連携もとりやすいからと)使いたがったとしても。

👉 音声は本冊についているのは一部(会話例と問題で音声が設問にからんでいるところ)だけでその他の音声(語彙、文型、例文、練習問題など)は、別売りのCDで提供。これが1と2が各8000円で合計16000円というのは、全日本語教材の中で突出して高い(今は教科書付属か無償でダウンロード)。おそらく教室で使うので、教室単位あるいは学校単位でひとつしか買わないだろう、ということがあるのだろうか?しかしそれだと個人まで確実に届かない可能性があるし、CDは残すとしても、音声は教科書の購入者には無償でダウンロードでいいのでは。

👉 日本語の教材の出版社のサポートに関しては「日本語教科書のウェブサポートへの提案」にちょっと書きました。スリーエーネットワークのサイトはほんとにひどくサイトに情報はほとんどないと言ってもいい状態。

サポートサイトはまったくダメ

「日本語教材のウエブサポートへの提案」にも書きましたが、スリーエーのサイトは見た目がきれいですが、ものすごく使い勝手が悪い。素人設計。全然改善されないので、その後こんな記事も書きました(この記事で「隠された秘宝」として補助教材ダウンロードのページと、「日本語教科書活用講座という迷宮」というページを紹介しました)。音声も今どき別売りで、8000円×2。新興宗教の講演CD並みに高い。当然ダウンロードはなくCD再生環境がなかったらアウト。

👉 しかも多言語化されておらず、英語版サイトはちょっとだけ。検索は全然使えない。学習者がみるところはまったくない。

研究

CiNiiで「みんなの日本語」で出てくる件数は26件、旧タイトルである「日本語の基礎」だと8件

 

関連本

他を寄せ付けない膨大な関連本と多言語展開が強み。今、どういうものが出ているかの一覧はスリーエーのサイトのここにあります。

□ 教師用指導書
みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き
みんなの日本語初級II 第2版 教え方の手引き

□ 音声
みんなの日本語初級I 第2版 CD5枚セット
みんなの日本語初級II 第2版 CD5枚セット
みんなの日本語 初級I 第2版 会話DVD
みんなの日本語 初級II 第2版 会話DVD
みんなの日本語 初級I 第2版 会話DVD PAL方式
みんなの日本語 初級II 第2版 会話DVD PAL方式

👉 PALとは映像の再生の規格のことで、主に欧州や東南アジア、日米韓台フィリピンなどはNTSC方式。フランス、露、東欧などはSECAM方式 → Wikipedia 世界の放送方式

□ 漢字
みんなの日本語 初級I 第2版 漢字練習帳
みんなの日本語 初級II 第2版 漢字練習帳

□ 問題集
みんなの日本語 初級I 第2版 書いて覚える文型練習帳
みんなの日本語初級II 第2版 書いて覚える文型練習帳
みんなの日本語 初級I 第2版 標準問題集
みんなの日本語初級II第2版標準問題集

□ 聴解
みんなの日本語初級I 第2版 聴解タスク25

👉 初級Ⅱの聴解タスクは未発売(2018年1月)

□ 読解
みんなの日本語初級I 第2版 初級で読めるトピック25
みんなの日本語 初級2 初級で読めるトピック25
小説 ミラーさん -みんなの日本語初級シリーズ-

□ 作文
みんなの日本語初級 第2版 やさしい作文

□ その他
みんなの日本語 初級I 第2版 導入・練習イラスト集
みんなの日本語初級II第2版導入・練習イラスト集
みんなの日本語初級II 第2版 絵教材CD-ROMブック
みんなの日本語 初級I 第2版 絵教材CD-ROMブック

□ ローマ字版・各言語版

みんなの日本語 初級I 第2版 本冊 ローマ字版
みんなの日本語 初級I 第2版 翻訳・文法解説 ローマ字版【英語】

みんなの日本語 初級I 第2版 翻訳・文法解説 英語版
みんなの日本語初級II 第2版 翻訳・文法解説 英語版
みんなの日本語 初級I 第2版 翻訳・文法解説 中国語版
みんなの日本語初級〈2〉翻訳・文法解説 中国語版
みんなの日本語初級I 第2版 翻訳・文法解説スペイン語版
みんなの日本語初級II 第2版 翻訳・文法解説 スペイン語版
みんなの日本語初級I 第2版 翻訳・文法解説ドイツ語版
みんなの日本語初級II 第2版 翻訳・文法解説 ドイツ語版
みんなの日本語初級I第2版翻訳・文法解説 ポルトガル語版
みんなの日本語初級II 第2版 翻訳・文法解説 ポルトガル語版
みんなの日本語初級I 第2版 翻訳・文法解説ベトナム語版
みんなの日本語初級II 第2版 翻訳・文法解説 ベトナム語版
みんなの日本語初級I第2版翻訳・文法解説フランス語版
みんなの日本語 初級II 翻訳・文法解説 フランス語版
みんなの日本語初級I 第2版 翻訳・文法解説韓国語版
みんなの日本語 初級II 翻訳・文法解説 韓国語版
みんなの日本語 初級I 翻訳・文法解説 タイ語版
みんなの日本語初級II 第2版 翻訳・文法解説 タイ語版
みんなの日本語初級II 第2版 翻訳・文法解説 インドネシア語版
みんなの日本語初級II 第2版 翻訳・文法解説 インドネシア語版
みんなの日本語初級I 第2版 翻訳・文法解説 ロシア語版(新版)
みんなの日本語初級II 第2版 翻訳・文法解説ロシア語版(新版)
みんなの日本語初級I 第2版 翻訳・文法解説イタリア語版
みんなの日本語初級II第2版翻訳・文法解説 イタリア語版

□ 語彙訳

語彙のみを訳したものがあるが、アマゾンでは販売されていない。出版社のサイトで申し込めばⅠ冊800円で実費で購入可能とのこと。(2019年3月以降は要ユーザー登録)

語彙訳 詳細
【初級Ⅰ 第2版】
発行言語:ペルシア語、ネパール語、ビルマ語、アラビア語、アルバニア語、中国語繁体字、アゼルバイジャン語、シンハラ語NEW!
内容:『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 翻訳・文法解説』の各課の語彙部分、はじめの「日本語の特徴」「日本語の文字」「日本語の発音」「教室のことば」「毎日のあいさつと会話表現」の翻訳
【初級Ⅱ 第2版】
発行言語:ペルシア語、ネパール語、ビルマ語、アラビア語、中国語繁体字
内容:『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版 翻訳・文法解説』の各課の語彙部分の翻訳

以下は初版

【初級Ⅰ(初版)】
発行言語:グルジア語、フィリピン語、モンゴル語、トルコ語、クメール語、オランダ語、ポーランド語
内容:『みんなの日本語 初級Ⅰ(初版) 翻訳・文法解説』の各課の語彙部分、はじめの「日本語の発音」「教室の指示のことば」「毎日のあいさつと会話表現」「数字」の翻訳
【初級Ⅱ(初版)】
発行言語:シンハラ語
内容:『みんなの日本語 初級Ⅱ (初版)翻訳・文法解説』の各課の語彙部分の翻訳

👉 『みんなの日本語 初級(初版)』の「語彙訳」は『みんなの日本語 初級 第2版』には対応しておりませんので、ご注文の際にはお気をつけください。

【中級Ⅰ】
発行言語:イタリア語、インドネシア語NEW!
内容:『みんなの日本語 中級Ⅰ 翻訳・文法解説』の各課の語彙部分の翻訳

以上、サイトからの抜粋(2018年1月)

□ 準拠教材

みんなの日本語初級1携帯用絵教材
みんなの日本語初級2携帯用絵教材

👉 この「携帯」は、携帯電話(ガラケー)のこと?やや古いので、絵教材なら上のイラスト集やCD-ROMブックのほうがよいと思われる。しかし、軽い画像が多そうだし、加工して使うなら、これもわるくないかも。

👉 他の出版社でも、みんなの日本語準拠となっているものがあったが、現在はハッキリと書かれたものは見かけなくなった(いろいろ厳しくなった?)しかし、課の順番どおり、みたいな「隠れ準拠」の教材は結構あるようです。

□ アプリ

Android
みんなの日本語初級Ⅰ 第2版 聴解タスク25

iOS
みんなの日本語初級Ⅰ 第2版 聴解タスク25

 


 

 

げんき GENKI


👉 画像が表示されない場合はこちらをクリックしてください。→ GENKI

 

概要

□ :12・11課
□ 想定学習時間:1課9時間、23課で合計200時間
□ レベル:N5~N3
□ 翻訳:本冊に英訳がある。英語圏を想定した教科書。
□ 備考:米アマゾンでは圧倒的トップで多くの(ほぼ絶賛の)コメントがついている。

2分冊。基本英語での説明の教科書で、自習も可能だと思われる。構成は会話文法と読み書きで分けてあり、Ⅰが1~12課、Ⅱが13~23課、合計23課で想定されている学習時間は200時間。英語での説明があり自習も可能。課のテーマは「忘れ物」「愚痴とうわさ話」といったように場面、状況設定に工夫がされている。

日本に留学に来たメアリーが主人公で、あとは周囲の友人や家族がいる、という設定。

まず会話・文法編があり

1)会話
2)会話の英訳
3)単語リスト(英訳)
4)文法の説明(英語による)
5)練習

という構成。次に読み書き編

1)その課に出てくる漢字のリスト
2)漢字の練習問題
3)短め、とやや長めの文章を読む練習
4)自由作文

中身のサンプル:http://genki.japantimes.co.jp/about/about08

テーマに関する補足的な英語のコラム、最後に使える表現の追加、整理などがある。ほぼすべての文に英訳があり、文法などの説明もすべて英語、原則日本語でしか進めない「みんなの日本語」とはまったく違うアプローチだが、文法の説明は従来の日本語教育的な解釈をベースにしているという印象。

英語圏で圧倒的人気

英語圏でシェアを伸ばしていて、かつてのJapanese for busy people に代わって英語圏の日本語教科書の定番となった。米のアマゾンでも高評価が300以上もついているのは突出している(みんなの日本語や他の教科書はせいぜい数件)。個人相手に売れているという意味では多分トップ。北米では人気で有名大学でも利用されているとのこと。教師用指導書、ワークブック、がある。音声は教科書付属CDで提供。多言語化はされる様子はない。

サポートサイトも充実

独立した(サブドメイン)サポートサイトがあり、なんといっても学習者の言語(英語)対応なので安心して案内できる。

ゲーム的なアプリもある。

http://genki.japantimes.co.jp/
このページのリソースライブラリでは、教師用の素材(授業の素材、一覧など)が配布されている。
また、学習者向けにひらがなや漢字の練習などのクイズ的なウェブ素材がある。

「げんきな自習室」にあった動画は2017年4月にリニューアルされた。長くても90秒くらいでYoutubeアップというセオリー通りで、見やすく、アクセスしやすいものでした。
http://genki.japantimes.co.jp/site/video/jp/

👉 ただ、サポートサイトからのアクセス想定でYouTubeでは限定公開、個人名でチャンネルもないのは謎。ちゃんと展開すれば良いのに…。

👉  一時期JapanesTimesの出版部門は日本語教育から撤退というニュースが流れたが、2010年に改訂もされており、今後も出版は継続されるもよう。新しい教科書のわりに構成、学習項目、説明などはオーソドックス。

研究

タイトルが「げんき」なので、検索で確認はしにくいが、研究者にも評判はいいと思います。

 

関連本

□ 教師用
GENKI: [ Teacher’s Manual ](2nd Edition)

□ 問題集
GENKI: Workbook I [Second Edition] 初級日本語 げんき ワークブック I [第2版]
GENKI: Workbook II [Second Edition] 初級日本語 げんき ワークブック II [第2版] [ペーパーバック]

□ 教師用素材
GENKI: Picture Cards on CD-ROM I [Second Edition] 初級日本語 げんき げんきな絵カード I イラストデータ版 [第2版]
GENKI: Picture Cards on CD-ROM II [Second Edition] 初級日本語 げんき げんきな絵カード II イラストデータ版 [第2版]

□ 漢字
KANJI LOOK AND LEARN
→ 準拠ではないそうですが、セットで宣伝されている漢字教材。独立した漢字教材としてもすぐれている。

GENKI: Answer Key [Second Edition] 初級日本語 げんき 解答 [第2版]
(本冊、ワークブックの設問の回答や原稿など。教師用指導書には別冊でついてくるとのこと。Webで配布でもいいのでは。。。)

アプリ

Android
GENKI Vocab Cards
GENKI Kanji Cards

iOS
GENKI Vocab Cards
GENKI Kanji Cards
GENKI Conjugation Cards

👉 iOS版はアップデート遅れがちっぽいです。

 


 

 

まるごと 日本のことばと文化

初級 :りかいとかつどうでワンセットでそれが3段階(入門→初級1→初級Ⅱ)という構成




初級以降は、初中級、中級1、中級1の3段階(これで完結とのこと)

👉 画像が表示されない場合はこちらをクリックしてください。→ まるごとシリーズ

 

概要

□ :9課づつとなっている。
□ 想定学習時間:書かれていないが、初級はやはり100~300時間くらい?
□ レベル:N5~N2
□ 翻訳:初級までは本冊にローマ字や英語訳の補足がある。中級以降は日本語のみ。
□ 備考:米アマゾンでも売られているが独習向きではないこともあってコメントもなく売れている様子はない。

サンプルはここでみられる。
https://www.marugoto.org/about/

国際交流基金が出した教科書。CEFRのレベルに準拠しているということになっている。

初級が入門、初級1、初級2 の3段階
初中級が1段階
中級1、中級2の2段階

という構成。2017年に中級が出版されシリーズ完結。初級で理解編と活動編の2冊でワンセットだが、初中級と中級は分冊ではなく1冊なので合計で9冊。

3分冊、合計6冊。教室用教科書としては多言語対応(にする予定?)でみんなの日本語に取って代わる教科書にしたいと、関係者の鼻息も荒いです。文の形の定着練習でも、音声の聴き取りとミックスさせたりといろいろと工夫が施されている。音声ファイルはネットで提供(要ユーザー登録)なのは画期的。今後音声はネット提供で希望者には実費でCD購入の道を作るというこのまるごと形式がスタンダードになってほしいところ。

初級の「りかい」と「かつどう」は、同じ課の数でテーマも同じ。テーマを元に設定した場面でキーワード、表現を覚えて聴いたり話したりをやり場面ごとの課題を解決するというのが「かつどう」で、テーマ周辺の表現の説明、理解は読み書きも含め「りかい」でやるということになっている。「かつどう」をサバイバル教材として使ってもいいし、りかいを組み合わせれば総合初級教材として使えるというように考えることもできるし、「りかい」をメインの教科書にして「かつどう」は自作で済ますということも可能と思われる。自由度が高い初級のための「素材系教科書」というところか。

フルカラーで一課に数枚写真が使われているが比率としてはイラストのほうが多い。最初に6ページくらいこの教材の元々のコンセプトから使い方などの説明が英語と日本語である(合計12ページ)。他の教科書のように、主人公、周囲の環境、人間関係、というようなきっちりした設定はない。

りかい編

1)まずその課のタスク(これができるようになるというような目標)が日本語と英語で示される。
2)次に語彙、表現、漢字など必要な素材を練習しながら
3)会話例、重要な文法事項、練習が2セットぐらい
4)読解、作文系の設問

半分くらいで音声も使われている。

かつどう編

かつどう編では、聴く練習が多く、単語、フレーズなどを駆使して状況を解決するという体裁になっている。教室で展開するための写真イラストや設問などがある。

初級の次の初中級、中級1、中級2は、分冊ではなくそれぞれ1冊づつ。

 

素材としての教科書

養成講座修了しましたというぐらいの経験の少ない教師にはサイトの指導のヒントだけでは難しいかもしれない。最初の使い方、巻末のポートフォリオも英語のみ。ローマ字もヘボン式で英語色が強い。多言語対応が待たれます(サイトは今のところ英語、西語対応なので予定はあると思いますが)。できれば準拠の辞書も作って欲しい。簡単なデジタル例文辞書でいいので。巻末の助詞の整理、初出の課に加えてページがほしい(電子化の際は内部リンクで)サクッと文脈確かめたいでしょうし。

説明、関連論文などが多い

発売されたばかりで、国際交流基金も普及に必死なのでいろいろと紹介の文書が多い、国際交流基金が掲げるJF日本語教育スタンダードという考え方に基づいて作られた教科書なので、まずそのJF教育スタンダードとは何かということが専用サイトで説明されている。

JF日本語教育スタンダード
https://jfstandard.jp/

ただし、「まるごと」そのもの説明はあまりない。初級編の著者による教科書の説明は以下が丁寧でわかりやすい。

『まるごと 日本のことばと文化』ミニ解説 
https://www.sanshusha.co.jp/np/blog/recid/15/

課題遂行を出発点とした学習デザイン -『まるごと 日本のことばと文化』中級(B1)の開発をめぐって-
http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/research/report/14/pdf/05.pdf

サポートは充実しているが分かりにくい

□ Youtubeのmarugotosupportというチャンネルに教科書の紹介動画が数本ある。

中身のサンプルはこちら: http://marugotonihongo.jp/introduction/

サポートサイトは4つあり、複雑。簡単に書きますと、、、

1)jfstandard.jp
:指導書的な各課の簡単なコンセプトが説明された教師用リソースがダウンロードできる。コンセプトの本格的な紹介(PDF文書が100近くある)

2)marugoto.org
:公式サイト。ただし中身はなく、他の3つのサイトに飛ぶポータル。

3)marugotonihongo.jp
:出版社(三修社)によるサポートサイト。音声ファイル配布などサポート的なサイト(日英)。教材のサンプルPDFや音声ファイル(要登録)がある。

4)marugotoweb.jp
:学習者向けのウェブ学習コンテンツのサイト。FlashなのでモバイルOSで動かないことに注意。

他の総合教科書と違って、ワークブック的なものはウェブで無料で配布される(要登録)。語彙と文法説明も多言語化はされていない。教師用指導書の代わりに1課につき1ページ程度の「教え方のポイント」が交流基金のサイトで「教師用リソース」としてPDFで配布されている。ウェブでゲットできる副教材を揃えても、一般的な教室ではやや練習の絶対量が不足気味になりそうなので、何か別途問題集などが必要になるかもしれない。教師のやる気と工夫が問われる教科書。

eLearningのサイトもあり、eLearningでは日本語・英語・スペイン語・中国語・インドネシア語・タイ語・ベトナム語に対応している。
https://www.marugoto.org/e-learning/

音声ファイルも代表的な日本語教科書では、唯一、デジタル音声をDLで配布している(要ユーザー登録)。もう他のジャンルではCDではなくDL配布が主流なので、やっと追いついた感がある。

👉 しかし、ウェブサポートのドメインの乱立によって、どこに何があるのかまったくわからない。。。一部多言語化しているはずだが、どういうもので、どこまで多言語化したものかは、ここに書いてあるだけ。

👉 このウェブサポートの問題点は「日本語教材のウェブサポートへの提案」にちょっと書きました。

売り方が下手…

□ 書名が「まるごと」「にほん」「ことば」「ぶんか」という4つのワードがあり、それぞれが、ひらがななのか漢字なのか迷ってしまうことは、検索では致命的(Googleでは、どちらでもヒットするけど、出版社の検索などでは、正確にひらがな、漢字をやらないとヒットしない)。おまけにまるごとの横にはスペースが入っていることに気づきにくい。加えて、検索の際の略称が「まるごと」「まる日」「ごと日」といろいろ候補があるとして、関係者は「まるごと」と呼んでいるようだが「まるごと」は「みん日」と比べて検索ワードでライバルが多い。

□ CEFRのレベルに対応したとなっているが、初級、初中級、中級という分類はそのままなので、書名のナンバーリングが絶望的にわかりにくい。
入門A1りかい・かつどう → 初級1A2りかい・かつどう → 初級2A2りかい・かつどう
書店に行っても、まず順番どおりに並んでません。日本語が上達すれば危険度(何の?生活の?まあともかく…)も下がっていく(赤→オレンジ→黄→緑)と覚えるしかないような気がしますが、このオレンジと黄色の見分けがまた難しい。しかも中級はグレー(正直、中級はひどいデザイン)。

□ 教科書の趣旨からいっても、最も教材がフィットするであろう日本国内のボランティアの日本語教室などから開拓していけばいいのに、あくまで「メジャー」「主流」であるところの日本語学校でシェアを伸ばそうとする戦略のまずさ。

□ 執筆者、国際交流基金の日本語専門家がネットやツイッターなどで「これまでの『古いやりかた』をやってきた教師には使いこなせない」「すでに過去のものとなった教え方に固執する教師ではまるごとは使えない」というような発言を繰り返すので、おそらく、みん日を使ってきた教師に心理的な抵抗しか生まれない。これも教科書普及における戦略の不在、貧しさを感じる。

□ 海外のアマゾンでも売ってるけれども、説明文がおざなり(例えば入門理解ではこのコピペ感まるだしの改行無しの説明文があるが、その後の本はなぜかまったく説明なしでこれだけ)で売る気が無いことがありあり(発売5年近くたっても評価は自費出版なみの3つ。げんきは333)。上のリンクでもわかるようにアマゾン登録の書名が長く(「Marugoto: Japanese language and culture Elementary2 A2 Coursebook for communicative language competences “Rikai” / まるごと 日本のことばと文化 初級2 A2 りかい(JF Standard coursebook / JF日本語教育スタンダード準拠コースブック)」これ全部で書名)アソシエイトなどでも紹介しにくい。

□ 上でも書きましたが、なんといってもサポサイトのドメイン乱立がひどい。もうどこに何があるのか全然わからない。複数ドメインをまた新たなポータルドメインでまとめようにも、もうアチコチに飛んで、飛んだ先では別のナビ設計なのでもうむちゃくちゃ。

□ さらに、JF日本語教育スタンダード(このサイトの設計もひどい)でのまるごとの説明が雑。まずJFスタンダードを理解してね、という考え方らしいが、JFスタンダートの説明もわかりにくい(細々と散らばったPDFが100種類ぐらいある)。でJFスタンダードの先のまるごとの説明はほとんどない。

👉 このへんは「日本語教材のウェブサポートへの提案」を。

👉 JF日本語教育スタンダードは、言語政策としてはじまったCEFRとは根本的に違うので「CEFRに沿ったものだ」と言うことはできない(日本語が読めない、あるいは日本語教育にあまり詳しくない日本の語学関係者にはCEFRの日本語版だと理解されているが…)。また、国際交流基金は日本語能力試験も主催している。JF日本語教育スタンダートと能試的な方向は相容れない部分が多く、もちろん「まるごと」は能試対応とは言えない。と、いろいろと矛盾をはらんでいることも普及が難しい大きなポイントなのではと思われる。

苦戦中?

2013年の8月に初版1万部づつ発行で2014年2月でほぼ半分くらいは売れた模様。これはほぼ国際交流基金の直営の教室や関連の日本語コースを中心に売れたということだと思われる。しかし、なかなか一般の日本語学校などでは普及しない。副教材も少なく多言語対応もない、なにより日本語教師が使い慣れていないことが原因か。

初版から4年、2017年に累計10万部になったとのこと。国際交流基金の教室中心に使われている。それ以外でもじわじわ拡大中というところだがまだまだ限定的。はっきりと能試対応と書いていないし、そういう趣旨の教科書ではないので、能試対策をしたいところは採用しないということかもしれない。しかし、教室で週20時間つめこみ前提の「みんなの日本語」に比べて、柔軟な作りの「まるごと」は、上手く使えば、比較的時間が少ない地域の日本語教室や技能実習生、生活日本語のクラスで有用な教科書だと思われるが、上で書いたように国内では、あまりプロモーションを行っていない。

多言語化も少しづつ進んでいる。できれば本冊をきちんとすべて多言語化するところまでやって完結させてほしいところだが、サイトには多言語化に関するハッキリとした情報がない。

👉 語彙リストの多言語化などは、Wikiなどで場所を開放し翻訳の提供を募り、CCでダウンロード可ということにすればいいのでは。

👉 国際交流基金は、じわじわと能試を修正してJF寄りにしたいと考えているようですが、能試は長くいろんな場で能力評価の指標となってきたということもあり、なかなか難しいという事情もあるようです。

研究

CiNiiで検索すると5件ヒット。ただ、この他にも教師向けの開発時の論文は多数、国際交流基金のサイトにある。(ただしバラバラで読みにくい。内容も個人的にはやや物足りないと感じるが、教科書製作に関する論文がきちんとあるのはこの「まるごと」くらい)

 

関連本

語彙

タイ語、ベトナム語、モンゴル語、スペイン語、フランス語、英語などの語彙翻訳があり、ユーザー登録すればダウンロードできる模様。

👉 こういう何語に対応しているか、みたいなことがパッとわかるページがない。。。

アプリ

まるごと関連というわけではないが、国際交流基金には初級用アプリがいくつかある。
Android
https://play.google.com/store/apps/developer?id=The%20Japan%20Foundation&hl=ja
iOS
https://itunes.apple.com/us/developer/the-japan-foundation-japanese-language-institute-kansai/id1023654861?mt=8

 


 

 

できる日本語


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概要

□ :15・15
□ 想定学習時間:それぞれ150時間?
□ レベル:N5~N4前半、N4後半~N3前半
□ 翻訳:基本日本語で場面説明などに英語、中国語、韓国語がある。
□ 備考

場面ベースの構成だが各課ごとに「行動目標」がある。初級の項目を揃えてそれにプラスして初中級までをカバーした教科書。中級もあり。音声は付属CDで提供。語彙は英語・中国語・韓国語・ベトナム語が版元からダウンロードできる。(要メアド登録)

出版社による解説:http://www.alc.co.jp/jpn/article/dekirunihongo/

中身のサンプルはこちら:http://www.alc.co.jp/jpn/article/dekirunihongo/look/

中級版。音声は付属CDで提供。語彙は英語・中国語・韓国語・ベトナム語が版元からダウンロードできる。(要メアド登録)

出版社による解説ページ
http://www.alc.co.jp/book/7008004/ 
http://www.alc.co.jp/jpn/article/dekirunihongo/

中身のサンプルはPDFで提供:http://www.alc.co.jp/book/img/7008004.pdf

→ 2017年にサポートサイトが作られた。
できる日本語ひろば
http://www.dekirunihongo.jp/
まだ内容は少ないし、関連の素材も要登録。音声ファイル配布はなし。

研究
関連論文はみあたらない。

 

関連本

□ 教師用
できる日本語 初級 教え方ガイド&イラストデータCD-ROM
できる日本語 初中級 教え方ガイド&イラストデータCD-ROM

□ 文法ノート
わたしの文法ノート 初級 (できる日本語)
できる日本語 わたしの文法ノート 初中級

□ 語彙
わたしのことばノート 初級 (できる日本語)
できる日本語 わたしのことばノート 初中級

👉 「文法ノート」は文型、学習項目の整理、「ことばノート」は語彙の整理の副教材

□ 漢字
漢字たまご 初級
漢字たまご 初中級

👉 「漢字たまご」は準拠の漢字教材とのこと。

□ 準拠教材
できる日本語準拠 たのしい読みもの55 初級&初中級

 


 

 

日本語初級 大地


👉 画像が表示されない場合はこちらをクリックしてください。→ 大地

 

概要

□ :22・20
□ 想定学習時間:各100~120時間
□ レベル:N5~N3
□ 翻訳:文型説明は英語、中国語、韓国語がある。
□ 備考:多言語化は語彙訳のみ。

「みんなの日本語」のスリーエーネットワークが作った、留学生向けの、やや短期促成的な?、教科書とのこと。多少、「みん日」より実際に使われる場面に関連づけて作ったという意図は(ちょっとだけ)感じる。音声は付属CDにて提供。語彙訳のみインドネシア、タイ、ベトナム、繁体字、スペイン、ポルトガルは、無料でダウンロードできる。

最初に教科書全体で人間関係の図がある。このへんは「みん日」的な構成

1)会話例
2)会話の文の練習
3)設問、練習用の素材

ここまでは「みんなの日本語」とほぼ同じ。これに

4)自由会話用の素材

という構成。

説明はこちらのサイトに。
https://www.3anet.co.jp/np/books/2300/

多言語(インドネシア語、タイ語、ベトナム語、中国語繁体字、スペイン語、ポルトガル語、ビルマ語)の語彙訳もある。

違いがわかりにくい

この「大地」は「みん日」のライト版? ただ、通常なら削除されてもいいようないわゆる迷惑受け身はあったりして意図を知りたいところ。(どこかにあるのかもしれないが)もう少し開発意図、コンセプトなどの説明がほしい。「みんなの日本語」「大地」「はじめよう」の詳細な比較ページを作って欲しいところ。学習項目の比較一覧だけでなく、コンセプトの違いが知りたい。しかしたっぷりお金がかかっていて副教材なども豊富。書店でもみないし、正直、使っているという話をあまり聞かない。

スリーエーはみんなの日本語もそうですが、どう使って欲しいか、も、どう使われているかという例もないので、圧倒的なシェアのみん日はともかく、この「大地」はどう説明していいのやら。。。

研究

論文などは出てこない。

 

関連本

□ 教師用
日本語初級〈1〉大地―教師用ガイド「教え方」と「文型説明」
日本語初級〈2〉大地―教師用ガイド「教え方」と「文型説明」

□ 多言語版
日本語初級〈1〉大地―文型説明と翻訳 英語版
日本語初級〈2〉大地―文型説明と翻訳 英語版
日本語初級〈1〉大地 文型説明と翻訳 中国語版
日本語初級〈2〉大地―文型説明と翻訳 中国語版
日本語初級〈1〉大地 文型説明と翻訳 韓国語版
日本語初級〈2〉大地―文型説明と翻訳 韓国語版
日本語初級1大地 文型説明と翻訳 ベトナム語版
日本語初級2大地 文型説明と翻訳 ベトナム語版

□ 問題集
日本語初級〈1〉大地 基礎問題集
日本語初級〈2〉大地―基礎問題集

□ 聴解
文法まとめリスニング 初級1―日本語初級1 大地準拠―

👉 初級2の「文法まとめリスニング」は未発売(2018年1月)

□ 漢字
日本語初級1 大地 漢字学習帳 〈英語版〉
日本語初級〈2〉大地 漢字学習帳―英語版

 


 

 

はじめよう日本語初級


👉 画像が表示されない場合はこちらをクリックしてください。→ はじめよう日本語初級

 

概要

□ :12・10
□ 想定学習時間:150・150
□ レベル:N5~
□ 翻訳
□ 備考

基本は「みんなの日本語」ベースのようですが、それを場面、話題(自己紹介、病院、道順、将来の夢、とオーソドックス)で組み替えて、コミュニケーションよりにした(「みんな」ではできない冒険をここで?)という印象。目次は英語と中国語、韓国語で本編は日本語のみ。会話例があり、続いて教室で教師が使う素材としてのイラストや設問がある。ワークブックが問題集として完成度が高く単独でも使える。執筆は民間の日本語学校、TIJ東京日本語研修所。音声は付属CDで提供。

出版社による解説ページ:https://www.3anet.co.jp/np/books/3140/
https://www.3anet.co.jp/np/books/3150/

出版社のチャンネル配信の開発元(TIJ東京日本語研修所)による授業サンプル動画

研究
論文はみあたらない。

 

関連本

□ 教師用
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級1授業の進め方
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級2授業の進め方

□ 問題集
毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級〈1〉ドリルと文法
毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級〈2〉ドリルと文法

□ 多言語版(語彙リスト)
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級語彙リスト英語訳 English
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級語彙リスト中国語訳 中文
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級語彙リストベトナム語訳Tiếng Việt
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級語彙リスト韓国語訳한국어

□ 電子版(kindle版)

👉 
語彙リストと指導書はkingle版がある。ただし、自社サイト上でも「『語彙リスト』が、紙の書籍と電子書籍の2種類から選べるようになりました。」と書いてあるだけだし、アマゾン上では紙とkindleで相互リンクが貼られていないのでほとんどの人は気がつかない。極秘プロジェクト?

□ 教師用
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級1授業の進め方〈デジタル版〉
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級2授業の進め方〈デジタル版〉

□ 多言語版(語彙リスト)
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級語彙リスト中国語訳 中文〈デジタル版〉
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級語彙リスト英語訳 English〈デジタル版〉
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級語彙リスト韓国語訳〈デジタル版〉
改訂版 毎日使えてしっかり身につく はじめよう日本語初級語彙リストベトナム語訳〈デジタル版〉

 


 

中級

 

中級からは、民間の日本語学校は基本、大学への進学予備校なので、このへんから能力試験対策にシフトしますが、初級と違って総合教科書的なものだけではなくいろんな教材との組み合わせになるようです。
本来、語学学習では、中級あたりからは学習者のゴールによっていろんなバリエーションがあってもいいのですが、中級をうたう教材は総合とあっても読み書きに重きがおかれ、最終的には能試を意識したものになっているように思います。能試的な方向ではない、いろんなバリエーションの中級の教科書があってもいいと思います。

👉 90年代は会話重視の中級教材はそこそこありましたが、今はかなり減りました。初級に比べて学習者の絶対数が少ない中級は教科書の栄枯盛衰も激しいです。日本語学校で採用されなければ早々に消えるみたいなところがあるのかも。

👉 「まるごと」と「できる日本語」の中級編は上で一緒に紹介しました。

 


 

 

テーマ別 中級から学ぶ日本語

👉 画像が表示されない場合はこちらをクリックしてください。→ 中級から学ぶ日本語

 

概要

□ レベル:N3~N2
□ 翻訳:日本語のみ
□ 備考:三訂版

日本語学校では最もよく使われているのではと言われている中級の総合教科書。20年以上前からの定番。2014年に改訂で、2014年の時点で累計31万部とのこと(中級教科書としてはかなり多いと思います)

1)単語、テーマの提示があり
2)長文
3)文型的な練習
4)まとめ

というような構成。総合教科書という体裁をとりつつも読み書き重視で、じわりと能力試験シフトで日本語学校ウケもいいのかな、という印象。これをとりあえずの軸として使いつつ、試験対策問題集なども入れつつ、そのまま同じシリーズの上級編(テーマ別 上級で学ぶ日本語)にというところも多いようです。能力試験のN1合格がゴールであるならひとつの選択肢ということかも。

出版社による紹介ページ:英語、中国語、韓国語、ベトナム語の新出語の訳がダウンロードできる。サンプルも。http://webshop.kenkyusha.co.jp/book/978-4-327-38465-4.html

 

関連本

□ 教師用
テーマ別 中級から学ぶ日本語〈三訂版〉 教え方の手引き(教師用マニュアル)

□ 問題集

テーマ別 中級から学ぶ日本語 〈三訂版〉 ワークブック
テーマ別 中級から学ぶ日本語 〈三訂版〉 ワークブック CD ()

👉 2014年の改訂で三訂版(=ver.3.0)となったが、アマゾンでも出版社でも旧版が混在していてわかりにくいので旧版を買わないように注意。本編の音声ファイルは出版社のサイトから自由にMP3をダウンロードできる。iTunes経由でも。ただ、教科書内の聴解部分は、ワークブックのCD別売りで4500円。高い。

 


 

 

みんなの日本語 中級


👉 画像が表示されない場合はこちらをクリックしてください。→ みんなの日本語 中級

 

概要

□ :12・12課
□ 想定学習時間:各100~150時間
□ レベル:N3~N2
□ 翻訳:英、仏、独、西、伊、露、ポルトガル、韓、中、タイ、インドネシアの文法解説版あり

みんなの日本語の中級版。中級用教科書としては後発で、中級からは学習者のゴール設定によって変わってくるため、この中級版を使っているところは初級版に比べるとかなり少ないが、年々シェアを伸ばしているとのこと。多言語対応がある中級の教科書はこれだけなので、そういう意味では貴重。

出版社による説明ページはこちら:「みんなの日本語 中級」の検索結果

 

関連本

□ 教師用
みんなの日本語 中級〈1〉教え方の手引き
みんなの日本語 中級II 教え方の手引き

□ 問題集
みんなの日本語中級I標準問題集
みんなの日本語中級I くり返して覚える単語帳

□ 多言語版
みんなの日本語 中級〈1〉翻訳・文法解説 英語版
みんなの日本語中級II 翻訳・文法解説 英語版
みんなの日本語 中級〈1〉翻訳・文法解説 中国語版
みんなの日本語中級II 翻訳・文法解説 中国語版
みんなの日本語 中級I 翻訳・文法解説 ベトナム語版
みんなの日本語中級II 翻訳・文法解説 ベトナム語版
みんなの日本語 中級〈1〉翻訳・文法解説 フランス語版
みんなの日本語中級2 翻訳・文法解説 フランス語版
みんなの日本語 中級〈1〉翻訳・文法解説 ドイツ語版
みんなの日本語中級〈2〉翻訳・文法解説―ドイツ語版
みんなの日本語 中級〈1〉翻訳・文法解説 ポルトガル語版
みんなの日本語中級II 翻訳・文法解説 ポルトガル語版
みんなの日本語 中級〈1〉翻訳・文法解説 韓国語版
みんなの日本語中級II 翻訳・文法解説 韓国語版
みんなの日本語 中級〈1〉翻訳・文法解説 スペイン語版
みんなの日本語中級II翻訳・文法解説 スペイン語版

□ 多言語版(語彙リスト)
👉 語彙訳は初級と同じく800円で購入可能

🗨 【中級Ⅰ】
発行言語:イタリア語、インドネシア語NEW!
内容:『みんなの日本語 中級Ⅰ 翻訳・文法解説』の各課の語彙部分の翻訳

 


 

 

中級日本語文法要点整理ポイント20

👉 画像が表示されない場合はこちらをクリックしてください。→ 中級日本語文法要点整理ポイント

□ 
□ 想定学習時間
□ レベル
□ 翻訳:本編に英中韓で補足あり
□ 備考

教科書として進めていくという教材というより、中級の表現がまとめて整理してあるという本。既習事項の再整理に。整理がわかりやすく学習者にも評判がよかった。

出版社による紹介ページ:「中級日本語文法要点整理」の検索結果

 


 

その他まとめて

初級

初級の総合教科書は他にも文化初級日本語は、関連教材もそれなりに豊富で、初級 日本語と共に長く使われていますが、ここでは、扱いませんでした。ノウハウの蓄積がある「みんなの日本語」や新しいコンセプトで作られている「げんき」や「まるごと」ではなく「コレを使う」という積極的な理由が見いだせませんでした。(「一覧」にはリンクあります)

2017年、日本語教師養成講座で有名な(日本語学校はそれほど有名ではない)ヒューマンアカデミーが初級の総合教科書を作りました。

 

出版社のアスク出版によると、タスク先行型で、文型を軸に、場面で、できる、わかる、日常会話も、サバイバルに、CEFR対応、JF日本語教育スタンダート対応、能試対応、ビジネス日本語も、という「全部入り」的な説明でちょっと買う気を失いました(この宣伝文句があったページは削除されてました)。まだ現物はみてません。

👉 そのうち腰痛にも効く、ということになるのでは…。

👉 しかし、養成講座のシェアはトップですから、養成講座で採用すれば、売上げは伸びるし、6割の教師がこの教科書で勉強したとなると、学校でも採用するところが出てくるかもしれません。

Japanese for busy peopleも、かつて英語圏の自習もできる教科書として定番でした。3分冊で、想定されている学習時間は合計300時間で他の教科書とほぼ同じか長めで、実は、busy people向けというカンジではありません。欧州ではまだ人気がありますが、20年以上基本的な構成が変わらないJBPより、今なら新たな構成、考え方で作られた「げんき」を選ぶのが自然じゃないでしょうか。

また、2017年に介護の技能実習生のビザの延長要件に能試の他にJ-TEST、NAT-TESTが採用されました。両者とも主催は民間の出版社なので、それぞれ準拠の問題集や過去問を売っています。NAT-TESTのほうは、学ぼう! にほんごという準拠の教科書もあるようです。今後は介護系を中心にシェアを伸ばしてくるかもしれません(これ買うなら「みん日」でいいのでは…という気はしますが)。

中級

90年代にいくつかあった中級の総合教科書は、姿を消しつつあります。これも日本語学校で初級を終えた後に総合教科書を続けることが少なく、基本、能力試験に一直線になること、同じく初級を終えて能試に興味がない学習者は会話重視にシフトすることが影響しているように思います。大学が中級の総合教科書を作っていたという印象があるんですが、教科書ではなくオリジナルな教材や方法でやることにしたんでしょうか。中級を総合教科書でやるべきかは議論が分かれるところかもしれません。

今のところ、総合教科書としては多分一番売れている「テーマ別 中級から学ぶ日本語 」があり、これに「みん日」の中級と「できる日本語」の中級、「まるごと」の中級がある。後は、能力試験のための整理的な方向のものが多く(それらは別ページの「副教材・目的別教材・辞書など」で紹介しています)ここであげた「中級日本語文法要点整理ポイント20」はその整理と総合教科書的の中間くらいの存在かなと思います。

👉 昨今、生活者としての学習者というようなことが言われ、日本語の教え方を考え直すべきだとなっていますが、主に初級を中心とした議論が多く、中級以降は、いまひとつです。

その他、日本語学校で使われている教科書としては、ニューアプローチ中級日本語[基礎編] 改訂版のシリーズがあり、個人向けでは、わかって使える日本語―中級レベルなども使われたりしています。

短期促成的な教科書は、別ページの「副教材・目的別教材・辞書など」で項目を作っていくつかピックアップします。

他にもまだあるのですが、今のところは、無理に探さなくても、ここでピックアップしたお金を時間をかけて作られた教科書の中からとりあえず選んで、後は教える際に工夫して学習者のニーズにあうように調整すればいいのでは、という気がします。「**向け!」と書かれた教科書が向いているとは限りませんし、それより教科書としての完成度のほうが大事なので。

 


 

日本語の初級教材概観

 

ざっくりと

学校で使うような総合初級教材は、ほぼ国内の出版社で独占しているはずです。つまりこのページにある教科書が世界の日本語学習者のほとんどをカバーしている。良くも悪くも、このページにある教科書が日本語教育の最前線です。

一般的に語学の教科書は、教室で授業をするためのものと、自習も可能なものに分かれます。もうひとつの軸は、ゴール設定です。だいたい初級で学ぶべきものとされているものをカバーしようという総合教科書と学習時間がとれないなどの事情を考慮して日常会話で役に立つようなものを中心に構成されたサバイバル系教科書に分けることができます。いろいろ比較軸はありますが、ひとまずこれでマッピングしてみると。。。

教科書

他のサバイバル系、自習向きの教材は英語圏向けに限れば数点あるのですが、ここは広く一般学習者向けということなので入れませんでした。日本語の教材は自習可能なものがほとんどなく「教室で」「教師が教える」ものにかなり偏っています。(海外の出版社、特に英語圏の日本語学習教材はこの左下をターゲットにしたものが多いです。自習できてサバイバル的なもの、能力試験はスルーして会話に特化したもの、などなどです。(「NEJ」と「これだけ」は、副教材のページに掲載しています。)

また、ほとんどの日本語学校(基本的には国内の民間日本語学校は大学や専門学校に入るための予備校的要素が強い)で、中級以降は能力試験のN1(最上級)対策重視となってしまい、語学学習で本来あるべき中級以降の多様なニーズ、に対応しきれていないのも、日本語教材の問題点です。「どんな語学でも、結局、売れるのは初級だから」「能試関連以外はもう…」という声をよく聞きます。

 


 

教室で使われる初級総合教科書は「みんなの日本語」が圧倒的なシェア(ハッキリしませんが世界の日本語クラスで8割以上?)を持っているため、多言語対応と副教材の制作、教師用指導書、海外での販売網などが必須の「教室で使われる総合教科書」というジャンルに挑戦するところは少なく、今のところ対抗できるのは、多言語化は弱いですが、公的補助で作られる国際交流基金の「まるごと」ぐらいだと思います。

かつてそこそこシェアがあり評判のよかった教科書(例えば英語圏学習者の定番だったAn Introduction to Modern Japaneseとか日米会話学院の初級からビジネスパーソン対象で教えるという個性的な日本語でビジネス会話(リンク先は中級編。初級編見当たらず)とか、早稲田のTOTAL JAPANESEとか)も改訂されなくなったまま本屋でみることはなくなりました。

ここでピックアップした教科書では「大地」「はじめよう日本語初級」が最初からワークブック、指導書、多言語で出せていて、継続できるというのも「みんなの日本語」を有するスリーエーネットワークだから、ということかもしれません。

初級で、今後も改訂しながら継続されそうな教科書は「みん日」と、公的な資金で作られている国際交流基金の「まるごと」。英語圏でベストセラーの「げんき」ぐらいかもしれません。その他はどうなるかわかりません。

「げんき」の台頭で、英語圏では長年ベストセラーだったJapanese for busy poepleはそろそろ役割を終えたと言ってもよいと思います。JBPはアマゾンでも旧版新版入り乱れて混乱状態。制作のAJALT(国際日本語普及協会)は文科省など国内で政府の委託を受けることが多い公益社団法人ですが技能実習生向けの教材作りでもいろいろと疑問が残りますし、別ページで紹介している姉妹シリーズのJapanaese for young peopleも音声は今だにカセットで提供です。廃墟化しているまるまる外注っぽいサポートサイトをみても、関係者のウェブの知識はほぼ0だと思います。

近い将来、AJALTに代わる、国の委託で技能実習生や児童用の日本語教科書を作る新しい組織が、若い日本語教育の研究者を中心に作られることを願ってます。

コミュニカティブ?

今、売っている初級の日本語の教科書は、どれも「よりリアルなコミュニケーションを想定した」的な宣伝文句がおどります。つまり、これまではそうでなかった、という日本語の教え方の流れがあったということです。

特に2000年代になってからは大学などで日本語教育を研究している人達の間でも「もうこれまでの初級の定義そのものから洗い直すべき」ということになっているのですが、それに本格的に対応しようという教科書はそれほど多くありません。長く続く総合教科書は、どれも2000年以降、大幅な改訂をしているのですが、改訂の度合いもかなり違います。

👉 待ち合わせの場面で携帯を使います!みたいなことは宣伝するんですが、根本的な見直しはやってない、みたいなことはありがちです。

どこで買えるのか

日本語の教科書は、国内のリアル書店でひととおり揃っているのは、麹町の凡人社、神保町のそうがく社ぐらいです。(ただ両者のネット上のストアは残念ながら、どちらも一見さんお断り、関係者が知ってる教科書を追加注文するためにある、いうカンジです)

地方の大都市ではジュンク堂や紀伊國屋があり、そこそこ日本語の教材はあるのですが、日本語の教材コーナーは多いところで棚1m×4段くらい。このページで紹介した教科書が全部揃うことはありません。その他の地方ではリアル書店はツタヤ(「ほぼ無い」と言ってもいい)かモールの書店ぐらいです。棚は1m×2段あればいいほう。1段が日本語能力試験と日本語教育能力検定試験(日本語教師になるための試験)。「みん日」関係が1段の半分。残りを他の教科書と漢字、で終わりです。

というわけで日本語の教材を買うのは、実質的にはアマゾンの一択かなと思います。書店が減る中、出版物のサイト上の本の紹介はかなり重要になってきているのですが、日本語関連の教材を作る主要な出版社は、アマゾンの紹介以上の記述はなく、サンプルを作らずアマゾンのなか見検索にも未対応なことが多いので、もう地方では、中身を見ることすらできません。(教材の中身を見ずに買うのはギャンブルすぎます。どうすればいいんでしょう?)

また、残念なことに、日本語の教材の出版社は基本的にアマゾンに商品を置くことに対して積極的ではありません。在庫無しが多く、古い版が混在していて探しにくい。海外のアマゾンでは、超メジャーな教科書がかろうじて置いてあるだけです。在庫切れも多い。当然ながら、学習者のほとんどは海外にいるのですが。。。

海外で学習者が日本の出版社の日本語教材を購入するのが難しいのは、大きな課題です。日本の出版社の日本語教材で、海外のアマゾンで買え、売れているのは、Japanese for busy peopleとげんき、くらいです。2010年代に入って「まるごと」が買えるようになりましたが、「まるごと」はそもそも独習は難しいので個人の購入はあまり期待できません。教室授業偏重で個人相手の教材開発が遅れていることで、海外のアマゾンで個人相手に勝負できる教材が少ないのです。海外の出版社の日本語教材は本格的なものは少しあるのですが、かなり古く値段も高いものばかりです。

みんなの日本語」「できる日本語」は、一応、置いてはいるけれども、みん日は、本の紹介文はツイッター並み。「できる」は紹介文すら載せていないし、どう検索しても初級の1がやっとで、2が出てこない。本気で海外のネットストアで個人相手に売る意欲はなさそうです。レビューも全然ついてません。
参考までに、米アマゾン英アマゾンの日本語テキストジャンルのランキングです。

誰が買っているのか?

これが結構重要なことで、国内外で、政府系の組織に教材などの打診があったりして決まることも多いようです。国内関係はAJALT(文科省、文化庁関連)が難民や技能実習生を請け負い、最近でも技能研修生向け教材を作ったりしています。海外は、子供用ならAJALTの Japanese for young people、どこを経由してどこに打診があるかによって、AOTS(経産省)系の「みんなの日本語」、か、国際交流基金(外務省)の「まるごと」、というカンジです。

民間の日本語学校では、ほぼ「みんなの日本語」です。教師用指導書もよく出来ていて、90年代以降、養成講座もこの教科書で授業をする前提でやっているようなところもあり、事実上のデファクトスタンダード。非常勤講師が7割程度で教師の出入りも激しい学校側としても、違う教科書を使うとかオリジナルの教科書を開発して使うより都合がいい、ということがあるようです。

つまり、日本語の教材(特に教室で使う初級の教科書)のほとんどは、政府の関係機関が作ったものを、法人や政府機関、民間の日本語学校のグループが「採用している」というカンジです。これは多分、ここ30年くらい同じです。

教科書はどうやって選ぶべきか

ボランティア教室や自治体や企業で日本語のクラスをやろうかとなった時、クラスの運営責任者が、教科書を選ぶ時が来るかもしれません。地方自治体の助成の対象はまちまちですが、教師分の教科書代までは出ることが多いようですから、この教科書の選定でクラスの性格が決まる可能性があります。

日本語教師に決めさせると「みんなの日本語」を使いたがるかもしれません。使い慣れてますから。でも、他の教科書もみて比較して考えてみて下さい。せっかく選べるんですから。

ただ、前述のように、教科書の出版社によるサポートページは基本、日本語教師向けに書かれています。業界用語も多いです。ただ、今後何年も使うことになる教科書なので、できれば、候補になりそうなものを数冊買ってみて、あるいはサンプルをプリントアウトして、じっくり読んでみて下さい。そして、それを知り合いの日本語教師にみせて(「みんなの日本語」以外ちゃんと読んだこと無い教師は多いはずです)「どれが私達の対象の学習者に合ってるだろうか?」と相談してみてください。10年くらい経験がある教師なら答えられるはずです。教材選びに関心がなく「みんなの日本語しか知らない」あるいは「みんなの日本語でいいんじゃないの」という教師は疑問です。「みんなの日本語」がダメというわけじゃないんですが。

今後、教材は出るのか?

「日本語教育あれこれ」という記事にも書きましたが、日本語学習者は客観的にみるかぎりではここ15年で減り続けています。特に個人の学習者は減り、その減ったところを東南アジアの国々などで政策として学校で決められた必須科目として勉強する人の数が増えたことで補っていて、見た目の数は横ばいか微減に「見える」というのが、私の見立てです。

個人で教材を買おうという層は元々少ないうえに減っている。教材は「購入」されるものではなく政府や学校単位で「採用」されるものでないと生き残れない傾向に拍車がかかっていると思います。

2010年前後から「生活者向け」という日本語の教科書がすこし出るようになりました。自治体などで手製の教材が作られているわけですが、ようやく、そのノウハウを集めたものが教科書として作られるようになってきた、ということだと思います。

一方で、介護、看護、技能研修生などをターゲットにした教材は、今後、いくつか出るかもしれません。これまでと違う出版社が出したり、東南アジアに進出している日本語学校が新たな教材を開発して出版する可能性はあります。技能研修生やEPA関連で日本で生活する人が増えることも予想されていますから、これまでのように留学生中心ではない「生活するための日本語」を軸にした教材開発も少し動きがあります。今のところ、国として総合対策はなく自治体単位で対応することになっていますから、自治体で採用されることを想定して作られる日本語の教科書は増えるかもしれません。

電子化は

基本、海外で売る気はあまりないことは書きましたが、当然電子化にも積極的ではありません。
教材は、kindleできっちり表示されるものを作るのは結構大変です。スリーエー、アルク、講談社はすでに電子書籍化の実績がありますが、元々個人相手であまり動かない業界ですから一般の出版社に電子化は、当分の間、厳しいのではという気がします。「まるごと」は予算はあるかもしれませんが、スリーエーネットワーク(「みんなの日本語」)とJapan times(「げんき」)が始めないことには、日本語の教材の電子化は進まないと思います。

* kindle化された教材は「4 その他」にまとめました。

 


 

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