【資料】日本語教育関係のデータまとめ

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【資料】 日本語教育関係のデータまとめ 
2016年12月27日初版投稿 2018年1月31日改訂 約29000字
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この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
引用する際は、著作者名のwebjapanese、ブログのURL( https://webjapanese.com/blog/j/ )とブログのタイトル、記事の投稿年月を記せば、複製、プリントアウトして研修などに使うことができますし、改変、加筆も自由です。詳しくはクリエイティブ・コモンズへのリンク先を参照してください。
また、この記事は、Googleドキュメント版があります。
Googleドキュメントは、Office互換のテキストデータですが、ePub形式やPDF形式でダウンロードできます。ライセンスは同じなので、二次利用可能です。

👉 ただし、このライセンスが適用されるのはオリジナルのテキスト部分だけです。本編内の画像、引用したリンク、動画などは制作者に著作権があります。

以上は、このブログ全般共通のライセンスの説明ですが、こういう公的データの著作権、これが難しいです。元データがあるところ(国や政府関連の機関、公益性が高い法人などでは著作権に関して記述が微妙です。しかし、基本、公益性が高く、省庁がもしくは省庁などの委託を受けて関連法人が情報公開として出したものです。もしかしたら、自由に使っていいと勝手に許可を私が出すわけにはいかないかもしれません。ミスなどもあるでしょうし、その点責任は取れません。

引用する場合は、引用元(ここのURLと責任者名 webjapaneseで結構デス)を明記して引用すれば大丈夫なこの整理したものを転載、引用は自由なんじゃないかなーと知り合いのウチの近所に住むおじさんが言ってましたという噂を聞いたような聞かなかったような気がします。

ちなみに私は他の記事内で使う際は、表として移すのと、キャプチャをとるケースがあります。キャプチャでやったほうが表示は安定するのでいいと思います。(ブラウザーで表示比率を75%くらいにして、部分キャプチャをとって、画像として貼り付ける式です)

👉 しかし海外では基本税金でやった調査(公益性が高い関連法人も同様)は公開が原則で、引用元を示せば自由に使っていいはずということになっています。CCがついているケース、フェアユースとして「使っていいものだ」という了解があるケースなどいろいろですが、基本は、自由です。

About

はじめに

この資料は、ウェブ上で公開されている日本語教育関連の公的な調査のデータを整理したものです。転載時のミスが多々あると思います。ソースのURLは書いてあるので、詳しくは、そちらにあたって確認してください。

公開後も、作業用のページも兼ねているので、ちょこちょこ修正、アップデートはしていきます。

日本語教育関連のデータの特徴

1)地味

「情報公開しろと言われたからします」「最低限やれと言われたものはやってますから」というスタンスでサイトで地味に公開されてます。

2)余計なことはやりがたらない

調査年ごとの推移がないというのが大きな特徴のひとつです。それがあるのは文化庁の調査と日本語教育能力検定試験を主催する日本国際教育支援協会のサイトくらいです。推移の一覧や表、グラフは作らない。ただし「右肩上がりなら作ることもある」という法則があります。調査する機関が省庁と結びつきが強い財団法人だとか社団法人なので、景気の悪い印象を与えると組織の存続に関していろいろマズいといったような事情がありそうです(独立行政法人の国際交流基金でさえ、あからさまにそうです)。

3)公的機関のデータは素直でない

例えば、日本語教育業界にはいくつか業界団体がありますが、違う組織の学校はカウントしない、みたいなことになっていて、全体を網羅した数字がなかなかありません。日本語教育振興協会(日振協)の加盟校は6割くらいですし、全国日本語学校連合会は25%くらいです。どちらの数字も全体象を表しているとは言えませんが、そうは書きません。「数字でみる日本語学校」みたいな紹介のしかたをします。

公的機関だからといって、公開されているものを素直に受け止めるのは問題があります。文化庁、法務省などの省庁はいいんですが、省庁周辺の、独立行政法人、公益法人、財団法人、学校法人は、行革風が怖いのか、それぞれの組織の利害もあるのか、ちょっとでも都合のわるい結果の時は、公開の方法であれこれと変化球を投げてきます。上で述べたように、組織の責任がちょっとでも問われるなら推移は出さない。数字は出すけどあえてバラバラで(時にPDFにしたり、別のページにしたりで)計算しないと全体像がわからない、みたいな。これは政府系の「なんとか法人」に共通しているので、ある程度マニュアル化されているようです。それは、個別にちょこちょこ書きます。

4)ちょいちょい数え方が変わるので推移がわかりにくい

2010年に就学(日本語学校の学生)と留学(大学、専門学校)のビザが統合されたのが最も大きいですが、そのほかにも、日本語能力試験もレベル分けが4つか5つになったりしましたし、日本語学校の数値が、大学や地方公共団体の日本語講座ではない「その他」で括られる(民間蔑視的な?)ので、日本語学校の数で数字が出ない、わかりにくいというようなことがあります。

留学生の政策はいろいろ問題も多いのでルールなどが変わりやすいという理由もあるようです。2010年の事業仕分けの影響も大きいです。

👉 あと、年号表記、というのもわかりにくい大きな理由です。昭和には25を足す、平成からは12を引く、と西暦になる。あと、次の年号の1年は2019年ですから、新年号+18年が西暦になりそうです。1990年が平成2年、2000年が平成12年と覚えているとだいたい計算できます。こういう対照表もあります。

日本語教育関係の調査をして公開しているのは、まず、文化庁国際交流基金学生支援機構日本語教育振興協会などがあります。あとは日本語能力試験のデータは専用サイトに、日本語教育能力検定試験のデータは主催の日本国際教育支援協会のサイトにあります。ここでは、いろんな調査でわかった数字の調査年ごとの推移をみるために公開されているデータを整理しなおしてみました。「これを調べるならここ」と、元データがあるサイトは、各項目のところで紹介しています。

👉 この記事は、2018年の3月末日で新規の情報追加は終わりました。間違いなどご指摘あれば修正いたします。About-usのフォームからお願いします。ここに関しては、新たな情報の追加は時間があればやれるかな…というところです。

 

 

海外の日本語学習者数の推移

2015年の調査で約365万人となり、調査を始めて以来初の減少、しかも一気に8.3%減となりました。

これは国際交流基金が3年後ごとに調査をして発表しています。これは「機関学習者」つまり日本語が学べる学校に通っている学習者の数です。すべての数ではありませんが、増減の目安のひとつとなります。
http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/

2015年の調査の結果はこちらにあります。2012年は要旨だけで本編は買わないといけなかったんですが、今回は全文ダウンロード可能です。
http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/survey15.html

この調査も毎年発表されるのですが、推移の表などは上位の10カ国が作られるくらいで、長い期間の推移の表がないので、主な国だけ整理してみます。学習者数が多い国と最近伸びてきた国が中心です。

海外の日本語学習者数の推移

1998 2003 2006 2009 2012 2015
中国 245863 387924 684366 827171 1046490 953283
韓国 948104 894131 910957 964014 840187 556237
台湾 161872 128641 191367 247641 233417 220045
米国 112977 140200 117969 141244 155939 170998
オーストラリア 307760 381954 366165 275710 296672 357348
インドネシア 54016 85221 272719 716353 872411 745125
タイ 39822 54884 71083 78802 129616 173817
マレーシア 9219 17460 22920 22856 33077 33224
ベトナム 10106 18029 29982 44272 46762 64863
ネパール 1153 1512 1731 3748 2748 4262
ミャンマー 1712 4164 6976 4131 3297 11301
カナダ 21784 20457 19551 27488 23110 19601
ブラジル 16678 19744 21631 21376 19913 22993
イギリス 14451 16323 14928 19673 15097 20093
フランス 12118 14445 15534 16010 19319 20875
ドイツ 11025 12655 11945 12390 14393 13256
トルコ 1340 1229 1473 1189 1965 2194
サウジアラビア 20 31 40 27 46 27

 

日本語学習者数の増減は神8の動向次第

日本語学習者数は、調査が始まったころから、ずっと中韓台の三カ国(約200万)で半数以上を占めてきました。それに90年代に入って増えてきた豪、米、インドネシア、タイの4カ国(150万弱くらい)を合わせた「神7」で今も世界の日本語学習者の9割以上を占めてきました。

これらの国(と地域」ですが、以降国でいきます)は義務教育や大学などの選択科目に日本語があるというような国々です。この神7に、最近学習者が増えている新たにベトナムを加えた「神8」の増減で世界の日本語学習者数は決まるということになっています。日本政府や日本の企業の働きかけの結果、インドネシアやベトナムのように、中学高校の時に、もう日本語を選択するしかないみたいな状況がアジアでは(特に民主化が遅れている国や地域で)あるようです。(2013年前後にインドネシアは選択制になり日本語の選択者は減りました。政権の中国シフトもあって、今後も減りそうです)その他の地域は基本、弱含みで、微減、微増を繰り返しています。つまり世界の学習者数は日本語学習熱を反映しているというよりは、八カ国の動向で決まってしまう。それらの国の政策や日本政府の働きかけ、日本の企業の補助などによる変化が大きいということです。

この神8の学習者数は2010年以降、下降気味です。前述のように選択が日本語必須だったものが自由選択になったとか、豊かになって留学先として他の国々への留学や就職が視野に入ってきたというのが理由ですが、やはり世界の中での存在感が希薄になり、多くの日本語学習者予備軍が「中国語に乗り換えた」というのが実際は多いのではという印象を持っている日本語教育関係者は多いと思います。東京でさえ、来日ビジネス関係者の語学レッスンは中国語におされぎみなのです。東京の都心のカフェで外国人は中国語の勉強をしています。

だいたい20位くらいまでは万単位で学習者がいますが、その下は数千人です。25位からは5000人を切り、3000人前後になります。数千人となると、国に1つか2つ大学に日本語コースがある。首都にひとつ政府や企業の補助による日本語コースがあり、そこで学んでいる人がチラホラというカンジです。50位以下あたりから1000人を切ります。

イメージと違って意外と少ないなというのは、25位以下のグループでは、ミャンマー、ネパール、トルコがあり、50位以下のグループにオランダ、エジプト、ケニアがあります。

今後は、中長期的にも、東南アジアやアフリカなどで、日本の政府や企業の投資が集中する国(で、あまり対中関係がよくない国で、かつ民主主義が浸透してない国)で増えるが、その他の地域ではジリ貧ということになっていきそうです。そしてそれらの国の民主化が進む、あるいは豊かになって政治から経済指向になると日本語学習者は減る、という法則があるように感じます。

👉 ちなみに、調査が始まったのは1974年で世界の日本語学習者数の合計は7万7827人。1980年は12万7167人。1985年は58万4934人(中国の学習者数は6万弱だが中国政府の調査では50万人いるかもしれないとなっている。50万人いるなら合計100万人とのこと)。1990年は98万1407人(前回の中国の推定値は多すぎた?)。1993年は、162万3455人。1998年は、210万2103人。2003年は235万6745人、2006年は297万9820人。2009年は、365万1232人。2012年は398万5669人。2015年は365万1715人です。

👉 インドネシアでは2004年から教育課程が変わり、高校の第二外国語で日本語が選択可能になり、次第に必修化されましたが、2013年には自由選択となったとのこと。豪州では、90年代は中学でも日本語必修が多かったが、2000年以降は、高校からの自由選択となり、結果、日本語学習はほぼ地理学習的なものになったようで、日本語能力試験の受験者数は年1000人弱となっている。ベトナムでは2016年から一部の小学校などで日本語が必修となり、中学校で選択可能となりつつある。

👉 近年、世界的に語学スキルとしての外国語学習ではなく、相互理解のための一環としての語学という考え方が広まり、各地で多様な言語を選択肢に入れる傾向が高くなっています。「語学としての選択肢」でも英語一辺倒ではなくなっています。「アジアの言語もひとつ入れようか」というような流れがあります。そういう場での選択肢のひとつにしてもらうための「働きかけ」であるなら必要なものであると思いますが、今のところ、日本語の場合、援助や企業誘致とのバーターみたいな形が多いようです。工業団地を作る>現地での雇用も引き受けることになる>道などODAも>その地域(海外では教育政策は国単位ではなく州単位で決めることが多い)の公立学校で日本語必修化スタート、現地の人達、急に日本語勉強することになってビックリ、みたいな…。

「日本語教育機関調査」のバイアス

概要

この調査、国際交流基金には、この数字は基本的に右肩上がりでなければならない、という考えがあるようで、2015年の減少という調査結果を受けて、かなり慌てた様子でした。発表もかなり遅れました。2015年の速報のプレスリリースでは毎回作っていた学習者数の表やグラフではなく、代わりに「減った国以外は増えてる」というグラフを作ってました。


👉 この「減った国以外で増加した17万人」のうち約8万は「神8」の増加分です。その他の約130カ国で9万人しか増えてないということです。全体では30万人近く減ってるわけですが。

また、速報の時に出されたスライドは、全編「減ったけど減ってない」というトーンでまとめられています。「本調査の対象外となっている、独学で勉強している学習者等については、インターネット環境の普及に伴い増加しているとの報告が一部の国から上がっています。」と続き、「参考」という資料で、国内の日本語教育機関の学習者は入っていないこと(昔から入れないので増減には関係無いし、入れても20万人くらいですが…)、海外の独習者は入っていないことを強調したりしています(これも昔から入ってないので定点観測としては無理に入れないのが正解なのですが…)(海外の独習者はネットの発達で可視化されてきましたが、おそらく日本語学習機関外の独習者が最も多かったのは2000年前後だと思います)。
2015年度速報結果説明

その2ヶ月後には、国際交流基金は冒頭でふれた電通との協同調査で、韓台香で、学校以外の学習者は8倍いるというような(かなり特殊なサンプリングで疑問が残る)発表をしたりしていました。調査段階で減少がハッキリしたので「2015年では減少となったけど、ホントは減ってない」というキャンペーンもセットで準備したんだな、という気がします。

関係者は薄々知ってた人も多いと思いますが、ここまで露骨にやってしまうと、もう増加でなければならないというバイアスが調査機関の国際交流基金にあることがはっきりしてしまったという気がします。これだけアレコレ発表方法でドタバタするということは、調査自体は客観性が保たれているということかもしれないのですが、それにも疑問符がという論文もありますし。。。

しかし毎回、プレスリリースを出したら翌日には新聞に載るのですが、今回の減少はまったく報道されませんでした。杞憂に終わったわけですが、メディアも日本語教育に関しては、景気の悪いニュースなら要らない、という程度の関心しかないのだ、という二重に悲しい結果となりました。国際交流基金関係者はホッとしたのではないでしょうか。いずれにしても学習者が減ることは悲しいのですが、調査は調査なので淡々とやって発表してほしいところです。

👉 この論文には、2012年の調査に関して集計方法などを変えたり、かなりの「掘り起こし」があった、という記述もあり、そうなると元データ自体も恣意的に作ろうとしているのか…ということになってしまいます。
国際交流基金のレトリックが日本語教育から見えなくするもの http://ow.ly/tt0p302Bx3g

👉 同著者によるこの論文では、2005年前後に国際交流基金の方針が明確に変わったことがレポートされています。
国際交流基金の日本語教育政策転換について
http://www.arskiu.net/book/pdf/1347330374.pdf
以前から国際交流基金のことを知っている人は「2000年以降、なんか変わったな、変だな」と感じているはずです。明らかに「世界の日本語学習者のサポート、支援、下支え」というスタンスからリーダーシップを発揮して「日本語学習者の発掘、学習者数増加のための効率的な投資」「国益としての日本語教育推進」を、ということになっています。それによって組織は拡大しているので成功となっているようなのですが。
→ 方針転換に関する外務省の資料は以下に。
日本の発信力強化のための5つの提言
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shingikai/koryu/pdfs/h18_teigen.pdf
我が国の発信力強化のための施策と体制~「日本」の理解者とファンを増やすために~
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shingikai/koryu/pdfs/toshin_ts.pdf
関連論文:日本語普及による我が国のプレゼンスの向上―経済成長を推進する知的基盤構築のために―
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3533036_po_20120111.pdf?contentNo=1

👉 外務省は、2013年の海外における日本語の普及促進に関する有識者懇談会で「2020年までに世界の日本語学習者数を500万にする」という目標があると発言しています。そのために同年スタートした日本語パートナーズ事業(300億円)やアジアセンターを作ることになった、とのこと。学習者を増やすという目標の妥当性は横に置くとしても、もう学習者数が増えないと困る、みたいなことにはなってそうです。

 


 

では、世界の日本語学習者数は何人くらいが「自然」なのか?

米国は、日本語の学習や日本のカルチャーに対するアクセスが簡単な国で、義務教育での日本語教育はほぼないものの、やろうと思えば進学先などで自由に選択ができ、かかるお金もそれほどではありません。日本語を学ぶメリットもそこそこあります。

この米国を「義務教育化など強制がほぼなく、自由に外国語が選択できて、しかも日本語学習へのアクセスがいい環境のサンプル」として考えるとします。日本語学習者はここ数年、だいたい15万人で人口(3億2千万)の0.04%。無理のない環境下では、0.04%の人が日本語を選択する。人口1000万人あたり4000人。これを世界の人口(72億)に適用すると、280万人です。米国は例外的な、ほぼ最高の環境ですし、世界の人口のほとんどは厳しい環境にいるわけで、この数字は、かなり最大限の、天井と言ってもいい数字です。

もうひとつ、考えてみます。上で紹介した国際交流基金の「韓国中国インドネシアを除いた日本語学習者数」は約140万人でした。世界の人口の約0.02%です。これだと人口1000万人あたり2000人の学習者数です。突出した数字が抜けるので、当然、ランキングの20位以下の国の比率とかなり近くなってきます。これも「自然な数」に近い指標になるかと思います。

間をとって0.03%として、72億だと216万人、これを上限とすると、100万から200万人くらいの間で増減がある、というのを「無理な働きかけ」無しでの素直な日本語学習者数だと考えておいた方がいいような気がします。2000年前後の世界の日本語学習者数がだいたい200万人ですから、そのあたりがピークで、その後はある種の「バブル」だったかもしれません。100万人台になっても不自然じゃないですし、それでも学習者数として決して少ない数ではありません。もう学習者数に一喜一憂するのは、やめたほうがいいのでは。

👉 人口の0.03%、つまり人口に0.0003をかける(「小数点以下ゼロみっつで3」と覚える)と妥当な日本語学習者数が出るということになります。日本語学習者が多い上位の国だとその数字の数倍になりますが、10位以下のフランスやカナダあたりだと国際交流基金の学習者数とほぼ同じになります。0.0003はおぼえておくと便利かもしれません。

👉 海外の日本語教育機関がどのくらいあるかは、このマップの「[1] 日本国外の大学で日本語、日本関連のコースがある(かつてあった)ところ」をご覧ください。

 


 

機関外の学習者はどのくらいいるのか?

数を正確に推定できるような調査をするのは無理だと思います。ただ、これは、まず学習者の定義(日本語だと、ひらがな、カタカナの読み書きで、かなりフィルタリングできるかもしれません。どちらも完全に書けて、かつ学習を続けている人をカウントする)を決めて、定点(例えば、辞書や自習用教材の発行部数、ネットを意識するなら、日本語学習コンテンツの訪問者数、オンライン辞書やひらがなAPIへのアクセス数とか、コミュニティのアクティブ登録数、SNSでのノンネイティブの日本語での投稿数など)をいくつか定めて、データをとっていけば、増減はわかります。学校以外の学習者へのサポートを考えるならば重要な数字なので、はじめるべきだと思います。

今は、独習者はネットで情報を収集する確率が高いと思われます。ネットのデータをみてみましょう。

例えば、国際交流基金の日本語学習コンテンツは2016年でも、多いものでも月の訪問者は10万くらいでここ10年くらい変わりません。初級学習者を取り込むつもりで2016年に作られた「みなと」というサイトも、月の訪問者数は15万くらいです。2018年の目標は登録人数が12000人とのことなので、それほど多くはありません。

海外での教材の売れ行きはどうでしょうか。

海外には自習用の日本語教材は英語でちょっとあるだけで、他の言語ではほとんど売っていません。良質な日本語の教材はかなりの部分、日本の出版社が作っているのですが、教室前提のものがほとんどで自習用教材はほとんどありませんし、何より出版社に海外のアマゾンで売る気がないようです。国内の日本語学校でメジャーな教科書は海外のアマゾンでは無いか、あっても常に品切れです。レビューもまったくついておらず売れていないことがわかります。電子化もまったくされていません。

英語で説明がある独習可能な日本語の教材のベストセラーのJapanese for busy people という教科書の発行部数は1984年が初版。30年間の累計で200万部らしいです。分冊で準拠問題集などもあるので、その合計が200万部ということだと思います。最初の「1」が売れた数は多く見積もっても120万部くらい?でしょうか。「1」は、年に4万部くらい売れている可能性があります。
http://www.ajalt.org/textbook/japanese_for_busy_people/

もちろん、教材がなくても、ネットで日本語に興味を持ち、ネット上のリソースやSNSやスカイプや他の学習コミュニティなどで勉強している人はいるのですが、そういうコミュニティも20万を超えたものはないようです。Duolingの日本語版はスタートしましたが、登録者は公開されていません。50万ということはないと思います。やはり多くても20万くらいなのでは。

というように、だいたい出てくる数字はどれも20万を超えないくらいです。

ずっと日本語学習者相手のコンテンツを作ってきた者として、感覚だけで言うと、現状、学校以外で自習でやっている学習者は何人か?は、「初級の最後(300時間くらい)までやってくれると期待できる数」とすると、学校の学習者数と同数(つまり+365万人)か多くてその2倍(+730万人)くらいかな、というところです。つまり、2倍としても、学校での学習者365万人と合わせて1000万人くらいと考えるのが妥当なところなのではないでしょうか?

👉 ついでに言うと、機関外学習者の独習者の数のピークは、GoogleTrendの検索結果と同じく、おそらく2000年はじめあたりだったと思います。その後、ネットの発達、インフラの整備で特に2010年以降は、語学の自習環境は飛躍的にあがったんですが、残念ながら、日本語学習熱のピークとはすれ違いになった感があります。

👉 日本語学習者と世界のネット環境に関しては、こちらにまとめました。
https://webjapanese.com/blog/j/netkankyoo/

人口比でみる日本語学習者数

**国で日本語が人気!と言われて学習者数が引かれますが、その国で人気かどうかは、数より比率でみるほうが正確かもしれません。

国際交流基金から2017年に日本語学習者数の調査の確定値が出ました。2015年の調査ですが、これで人口比での学習者数を出してみました。
2012年、398万5669人が、2015年は、365万5024人となっていて一気に8.3%減となりました。

調査の概要はこちら。
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/survey15.html

学習者数の一覧はこちら。
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/dl/survey_2015/spreadsheet.pdf

まず学習者数が1万人以上の国と地域をピックアップして比べてみました。19あります。人口比だと他にも高いところがあるかもしれませんが。また、日本語学習者が多いネパールと、多いと思われているトルコの2国も参考までに入れてみました。上の「バイアス」の中の「自然な数」で少し触れましたが、比率だと、だいたい0.01~0.03%あたりが真ん中ではないかと思います。

人口比 学習者数 人口
豪州 1.5% 35万7348人 2313万人
韓国 1.1% 55万6237人 5022万人
台湾 0.9% 22万0045 2352万人
ニュージーランド 0.6% 2万9925人 447万人
香港 0.3% 2万2613人 718万人
インドネシア 0.2% 74万5125人 2億4999万人
シンガポール 0.2% 1万0798人 539万人
タイ 0.2% 17万3817人 6701万人
マレーシア 0.1% 3万3224人 2972万人
中国 0.07% 95万3283人 13億5700万人
ベトナム 0.07% 6万4863人 8971万人
フィリピン 0.05% 5万0038人 9839万人
米国 0.05% 17万0998 3億1890万人
カナダ 0.05% 1万9601人 3516万人
スリランカ 0.04% 1万0120人 2048万人
フランス 0.03% 2万0875人 6603万人
イギリス 0.03% 2万0093人 6410万人
ミャンマー 0.02% 1万1301人 5326万人
ブラジル 0.01% 2万2993人 2億40万人
ドイツ 0.01% 1万3256人 8062万人
インド 0.001% 2万4001人 12億5200万人
ネパール 0.01% 4242人 2780万人
トルコ 0.002% 2194人 7493万人

 

留学生数

留学生数は、留学ビザで日本に滞在している人、ということになると思います。ビザの種類ごとの統計は法務省が、留学生数としては日本学生支援機構が出しています。

法務省 在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

日本学生支援機構(文科省) 外国人留学生在籍状況調査
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/index.html

法務省によると、2016年6月の時点では、留学ビザでの滞在は226131人、日本学生支援機構はその1年前の2015年5月の時点で208379人となっています。2万人ほど違います。日本学生支援機構は「我が国の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、我が国の大学に入学するための準備教育課程を設置する教育施設及び日本語教育機関における、外国人留学生の在籍状況に関する調査」となってますからここから漏れるケースがあるのかもしれません。ひとまず留学生の数としてよく引用される学生支援機構の数字で整理しています。

👉 法務省のほうでは、2016年6月では257739人で、約3万人増となってます。

「留学生30万人計画」は、この数が指標になっています。ただし、2010年までは大学、専門学校の学生は「留学生」、日本語学校の学生は「就学生」として区別していました。日本語学校の学生は「留学生」としてはカウントしてなかったわけです。2010年以降は、統合されて、日本語学校の学生約3~5万人が加算され、見た目の数がグンと増えました。日本学生支援機構の調査では、それから少し遅れて2014年から留学生数に日本語学校の数を入れることになったようで、2014年に5万人前後増える結果となっています。2017年は日本語学校の留学生数は7万人を超えました。

*日本語学校の学生を留学生に含めるようにしたのは、これは他国が語学留学で民間の学校への留学も「留学生」としてカウントしているから、という理屈があるようですが、日本の場合、日本語学校は、語学だけが目的の留学はほとんどなく、大学や専門学校への進学前提の学生がほとんどなので、英語やフランス語とは実態は違います。矛盾はしてても他の国からケチがつくわけではないし、30万人計画の達成目標年は2020年だし、それまでは、みたいなことでしょうか。

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
123829 132720 141774 138075 137756 135519 184155 208379

👉 日本語学校の学生数を引いた数字は、2014年で139185人、2015年で152061人です。
 

 

留学生の国籍別の推移

これも、日本学生支援機構(文科省) 外国人留学生在籍状況調査の上位国からとった。法務省の留学ビザの統計には国籍がすべてあるのでそこで集計することもできる(でもさすがに面倒なのでそれはやりませんでした)。
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/index.html

上の留学生数のうちの国籍別の推移です。最初の世界の学習者数と比較すると必ずしも連動していないことがわかります。

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
中国 72766 79082 86173 87533 86324 81884 94399 94111
韓国 18862 19605 20202 17640 16651 15304 15777 15279
ベトナム 2873 3199 3597 4033 4373 6290 26439 38882
台湾 5082 5332 5297 4571 4617 4719 6231 7314
ネパール —- —- —- —- 2451 3188 10448 16250

👉 数字がないのは、その調査回は上位5位以内ではない、ということです。

👉 中国は100万人学習者がいて、留学は9万人くらい。韓国もだいたい同じくらいの割合。留学生数/学習者数で、何かの指標になる数字を出せそうです。だいたい多くて15%くらいが上限で、50%を超えると普通ではない、というような。しかし、ネパールは国際交流基金の世界の学習者数調査では、ここ5年くらい、4000人に満たないくらししか学習者はいないんですが留学生数は2万人になろうとしてます。ベトナムも同調査の学習者数の9割近くの数が留学していることになってます。

 

日本語学校の学生数

これがハッキリしません。

留学ビザで来日した人のうち、日本語学校の学生のみの数です。新規入学数ではなく、就学留学ビザなどで滞在している総数です。古いものはビザの種類で就学ビザの統計を整理したサイトからとって、新しいものは文化庁と学生支援機構のデータからとりました。詳しくは、下の補足参照。

 

1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995
18631 22154 25643 31251 41347 35576 35953 33107 20580 14585
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
11224 13234 15269 21787 30631 33757 39205 42729 35379 25860
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
30607 31663 34937 42651 43669 25662 38085 50295 62647* 71231*

👉 2014、2015年の数字は、文化庁の「日本語教育機関・任意団体等」の数字。日本学生支援機構の調査の数字では、2014年が44970人、2015年は56317人となっています。14,15に関しては、学生支援機構の数字のほうが正確かもしれません。2013年以前に関しては学生支援機構は日本語学校だけの数字は出していません。

👉 2011年以前の日本語学校にしぼった数字は文化庁の調査では日本語学校だけに絞った数字がないのでわからない。で、2010年までは就学ビザという在留資格があったので、それで出した。つまり2010年以前の数はほぼ日本語学校の学生の数と思って間違いない(ただ、就学生制度ができたのは91年からなので、90年以前は留学生の数)。就学ビザの数で参考にしたのは、こちらのサイト
http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/ryu.html

👉 在留者などの統計は入国管理局のサイトの統計のページに
http://www.immi-moj.go.jp/toukei/
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan42.html

👉 88年の増加はほぼ中国からの増加分。89に韓国が1000から急に3000台になり、91年に6487でピーク。以降5000前後で推移。その他の年の急な増減は2010年ごろまでは、ほぼ中国からの人数の増減に影響を受けている。ここ30年だと、増えて4万を越えると不法就労などで締め付けがあったり、その他の原因で減る、またじわじわ4万まで戻す、という周期があるようです。90年代が日本留学のピークだと考えると、4万くらいが天井とも言えますが、2010年以降、世界的にも学習者数は減っているにも関わらず、5万から7万と増え続けているのは、留学生じゃない人を留学生として日本に入れるようになった、ということだと思われます。
ただし、中国からの留学生は今は自己資金での留学となりましたが減っていません、つまり、ある程度豊かになると自己資金でも来るようになる。もちろん中国は実行も圧倒的に多いので、基本的には自己資金になると減る可能性のほうが高い分けですが、今後、アジアの経済成長などで自己資金での留学が増えるとまた新たな段階に入るかもしれません。

 

日本語学校の数の推移

これは、ちゃんとした統計がない(どこかにあるのかもしれないが、ネット上では見当たらない)ので、日振協のデータからとった。日振協はすべての日本語学校が加盟しているわけではないので、不完全なデータです。

 

1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995
342 435 463 433 407 365 322
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
287 276 265 268 289 327 381 409 395 383
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
387 383 395 426 449 451 430 393 359 336

👉 文化庁の日本語教育実態調査でも日本語教育機関の数字はあるが、いわゆる日本語学校だけの数字ではなく、調査年によって切りわけもマチマチなので、日振協のものをベースにした。http://www.nisshinkyo.org/article/overview.htmlただし、日本語学校のうち日振協に加盟しているのは、6.7割でその比率は下がっていると思われるので、この表の数字は、日本語学校の総数ではない。増減の参考の数字としてみてください。

👉 日本語学校の基本データは、2017年の文科省提出のデータによると、日本語学校に在籍している学生数は、定員が95326人で在籍学生数は80046人。定員充足率は85%です。能試のN1,N2に合格者の数は12316人で15%、N3の合格者数は4315人。大学、大学院、短大の合格者数は9549人で12%、専門学校の合格者数は14108人で18%です。
文科省に届け出があった国内の日本語学校のデータを整理して「日本語学校の選び方 日本語版」にまとめてあります。上のメニュー(日本語教師のサブメニュー)から行けます。海外の日本語学習者向けに作ったページです。日本語能力試験の合格率、数、大学進学率、専門学校進学率、定員充足率、経営母体の会社、ウェブサイト、など、公開情報を一覧にして、解説してあります(日本語です)。

国内の稼働している日本語学校の数がハッキリしない問題

ハッキリしなかったんですが、2017年に改善されました。

ネット上で日本語学校の公開すべき情報を出しているところなかったのですが、2017年に文科省が出しました。

日本語教育機関における外国人留学生への教育の実施状況の公表について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1382482.htm

今後はこの文科省のページで確認できます。

この文科省のデータ公開に提出したのは370校前後です。告示校の数は2018年1月の時点で650超。2018年の10月には2017年に出した法務省の新基準に満たない学校は削除されると言われており、だいたいハッキリすると思います。おそらく稼働している学校は400~500校となりそうです。

これまでの数がはっきりしなかった時のあれこれ

日本語教育機関といして留学ビザで学生をとってもいいかは法務省の認可を受けたかどうかということです。認可を受けた学校(「告示された」と言うみたいです。「法務省告示校」などと宣伝で使われています)は以下にリストがあります。

告示された日本語教育機関等
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukanho_ho28-2.html

ただし、過去の記録は見当たらないので、年ごとの推移はわからない。今、認可しているのはこの学校ですよ、というだけ。
正確な数は、政府の委託を受けて政府刊行物として民間の出版社から毎年出版されている日本語学校全調査を揃えて、変化したものをとればわかるはず。

この版元は、この本を元にしたウェブ上にデータベースを作っている。基本、すべての日本語学校があるはずだが、あまりデータは更新されていない。(ウェブ版は、学校が載せてくれと申し込む式になっている模様。公的機関の情報開示の面でかなり問題ありと思われる)
全国日本語学校データベース
http://www.aikgroup.co.jp/j-school/japanese/
これをみると100校くらいは稼働してないことがわかる。つまり告示校は認可をうけたけど休眠中の学校(2017年の時点で100校近く)がかなりあるということでした。

👉 ちなみに、この政府の委託を受けたAIKグループというのは、専門教育出版という出版社で、代表者はJaLSAの役員だった。会社は、日本語学校のコンサルティングなどもやっており、近年は、NAT-TESTという能力試験を主催し、技能実習生のビザ延長の要件となったりしている。このデータベースのウェブ版は、独自データも入れたからか著作権も明示しておらず、抜けも多く使いにくいものとなっている。日本語学校の情報は公益性が高く、開示は重要だと思われるが、この出版社にはそれをやる意志が感じられなかった。しかし、なぜか日本語教育業界で政治的な影響力が大きい出版社。

 

能力試験の受験者数の推移

能力試験のデータは、毎回の結果があるだけで、推移もなく、資料として見せようという気がないのが特徴です。もう長年減少傾向なせいでしょうか?推移がみられないので、整理してみました。合格者のデータはこちらにあります。
http://www.jlpt.jp/statistics/archive.html

2011年からレベルが4つから5つになりました。能力試験は読む、聞く能力が主に試されます。ペーパーテストと聴解試験だけ。2009年が受験者数もN1合格者数もピークです。震災の前から落ち込みが始まっていることが重要です。特にN1は合格までに数年かかることを考えると、2009年がピークだったということは、モチベーションが高い学習者数のピークは2009年以前だったという可能性が高いです。

日本語能力試験は、日本の一流大学に留学するためには、N1が必要、ということと、海外の企業などで日本語能力がほしいという時はN2がラインになっていることぐらいでしたので、受験者は、留学生の他は、実力試し、目安として受けてみようという人がほとんどでした。ただ、2010年以降、技能実習生やEPA(看護など)の足切りラインとなったり、2017年以降、介護のビザの来日一年後の延長の要件となり(他のテスト、NAT-TEST,J-TESTなどとの競合もありますが)N3までの受験者は増えることが(おそらく今後5年で10万単位で)予想されます。受験者数は今後は増えるでしょう。ただし、N1の合格者が2009年を超えることはなさそうです。

つまり日本語学習者数の指標としては、今後は、N3以下のレベルは、目安にはならない。レベル分け変更の影響も受けなかった、N1とN2の数字が今後大事になっていくのではと思われます。

開催会場はかなりのペースで増えています。2009年からは年に2回となり、試験が行われる回数もここ10年で激増していますが、減少には歯止めがかからないという印象です。

↓ 日本語能力試験のことを知らない方は。

日本語能力試験に関するおおまかな説明

日本語能力試験に関するおおまかな説明

日本語能力試験は関係者内で「能試」と省略されることがあります。しかし試験の主催者のサイトの説明は、とてもわかりにくく、一般の人の理解は長年進みません。

■ 読むこと重視!

まず日本語能力試験は、マークシートで、書くと話すは試されませんから、会話能力に関しては「会話のための知識がある」という目安に過ぎません。日本語教育は留学生相手の市場(学習者数ではなく市場として大きいということです)が最も大きく、進学のための語学教育という日本の英語教育と基本的には変わりません。N3が中学英語相当、N2が高校英語相当としても、そこそこ成績がよくても英語が読めるとか英会話力が高いという保証にはならないことをイメージしてください。N1は英検だと二級か準一級かもしれませんが、やはり結構勉強したなというところまでです。

■ 必要な学習時間

□ 基礎(N5・4・3)

代表的な日本語の総合教科書である「みんなの日本語 初級」の想定学習時間は200~300時間となっています。一般的な日本語教師の理解でも、基礎部分の理解でだいたい200~300時間、しっかり定着するまでプラス200時間くらいが目安だと思います。漢字圏(中国、台湾)の人や言語の構造が似ている韓国語話者の人(また東アジアの人は試験慣れしているみたいなところもあるように思います)は8ガケくらいかもしれません。

基礎がしっかり理解すれば合格するレベルがN3と言われています。N5は、ひらがなとカタカナとあいさつぐらいで、必要な学習時間は50時間程度、N4は、N3の前半なので、プラス100時間程度、あいさつに加えて、簡単な会話や単文が理解できるくらいです。

👉  日本の中学の英語の学習時間は、2011年までは約250時間でこれが350時間くらいになりました。高校は新旧ほぼ同じで600時間くらいです。

順番に受けるというより、最初にN3受けて、次はN2かN1というパターンが多いような気がします。日本に留学する人は、基本N1が目標なので、ガーッと1年くらい勉強していきなりN1合格する、みたいな人もいます。

□ N2とN1

N3からN2,1までに流れている川は深いです。N3までに必要な学習時間が500時間とすると、N2やN1は、ハイペースで勉強を続ければ、プラス500時間くらいで到達する人もいれば、プラス1000時間かかる人もいます。しかし、N2以上に合格する人は、かなりがんばった人です。

N2は、英語だと、中学英語に+αというところ。漢字は1000くらいです。旧2級とほぼ同じ。海外の日系企業などでも、現地での就職で、N2=旧2級は必要とするところがあるとよく聞きます。N3合格して自習でも中級の教科書などで勉強を続けていれば、ガリガリ試験対策をしなくても、翌年か翌々年には合格するかもね、というカンジです。

N1は、英語だと高校英語をそこそこ高いレベルで理解している、くらい。漢字は2000。語彙数は10000くらい。日本の「まともな」大学に入るのはこれの取得が必要。旧1級とほぼ同じ。漢字の勉強が苦にならず、試験対策の問題集をバリバリやるくらい試験慣れしてないと合格は難しいかも。でも、N2まで行く人は、そのままの勢いで、合格するというケースもあります。

■ 日本語の能力とは?

・諸説あるんですが、一般の成人で読んで意味がわかる語彙は3~5万くらい、新聞を読むのには5万語近く必要で漢字は4000字以上使われている、と言われてますから、N1合格でも、まだ新聞を読めるとは言い難い。上級者認定というより「上級者になる準備ができた」と考えたほうがいいと思います。一般的には「N1は上級」「もうペラペラ」というイメージですが、個人差があります。まったく流暢には話せないN1合格者もたくさんいます。所詮マークシートの試験です。

・日本語学校の滞在の上限は2年3ヶ月まで。1年720時間以上という規定がありますから2年で1500時間くらい勉強することになります。まったくの初心者で来て、はやい人は1年でN1まで行きますが、普通は1年半から2年かかります。日本語学校の留学生でも合格者は毎年15%程度ですから、2年の留学で合格する人は30%以下です。(しかし90年代のほうが留学生の合格率は高く、50%以上だったはずです)

■ 日本語能力試験とビザの関係

□ N5

JITCOによると、技能実習生は日本に来る前に200時間勉強してくることになっていますが、到達目標はN5程度となっています(普通は200時間ならN4には到達するはず)。

□ N4

看護介護で日本に来る人の最初の足切りラインになると言われています。

□ N3

技能実習生枠の介護では、来日1年でN3取得できないと帰国になりました。ちなみに、これを日本語学校の留学生に適用すると、半数以上の学生が帰国になります。

□ N2、N1

今のところ、N2やN1が、新たなビザなどの要件になるという話はありません。「まともな」大学に行くにはN1取得がマストですが、N3くらいでもいける大学や専門学校はあるようです。

👉 ちなみに、帰化による国籍取得は日本語の読み書きができること、となってますが、能力試験は関係ありません。永住許可は、近年、いろんな方法があり、まったく日本語ができなくても大丈夫なケースもあります。

👉 日本語能力試験は2014年に大規模な不正があったようですが、詳細は公開されていません。カンニングは横行しているという話はあります。

👉 介護の技能実習生などでは、日本語能力試験と同じ指標として、J-TEST、とかNAT-TESTという試験もレベル判定として認められるようになりました。民間の出版社系がやっている能試の模試的なテストです。ほぼ同じ形式です。J-TESTは、A~Dレベルと、EFレベルの二種類の試験で、点数でA~Fを認定するというやり方です。A~DレベルがN1-N3、EFレベルがN4,5とのことです。NAT-TESTは、能試と同じ5段階です。

👉 留学生以外では、試験そのものに興味がない、という人も多いです。語学のゴールはそれぞれです。

 

1992~2011年

 

*受験者数と合格者の数です。

1992 2002 2009 2010 2011
実施国・地域数 26 39 54 58 62
受験者数 68565 242331 768113 607972 608157
N1 78688 67608 65629
N2 90772 88437 76647
N3 61262 38009 35390
N4 22951 25038 31685
N5 24603

 

2012年~

2012 2013 2014 2015 2016
実施国・地域数 64 65 67 69 69
受験者数 572169 571075 594682 652529 755802
N1 60272 64197 59544 56262 59929
N2 72410 75400 72818 76687 89185
N3 33013 55184 41882 49057 66333
N4 25031 29469 29309 31058 35752
N5 259878 29884 29732 34731 38045

👉 もうちょっと昔からの数字はあこちらありました。
JLPT主な国・地域別受験者数(1984~2016)
http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/jlpt-data1.html
留学生試験のデータも。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/eju-data.html

 

日本語学習者数との関係

2015年のデータでみてみます。

各国別の受験者数も公開されています(ただしこれも年ごとにまとまっていないし、推移もありません)このより詳しいデータをみると、年2回開催といっても、ほとんどの国、米国や豪州でさえも、年に一度だけ、みたいなこともわかります。年2回なのは、学習者数が多く、能試がビザに関係してくることで受験者数が多いアジアの国が主になってます。

2015年第一回
http://www.jlpt.jp/statistics/pdf/2015_1_3.pdf
2015年第二回
http://www.jlpt.jp/statistics/pdf/2015_2_3.pdf

これの合計が2015年の結果です。日本国内でも日本語学校の留学生をはじめいろんな国の受験者はいますが、10万人程度です。ほとんどが、中国、韓国、ベトナムというところだと思います。中間は受験者数が多いですし、国別の受験者数を考える時、ベトナム以外はほとんど影響しないはずです。

まず、国によってかなり違いがあります。2回ある国は、重複して受験する人もかなり多いと思われるので、2回を2で割ってひとまずの平均とします。

2015年の日本語能力試験の受験者数と学習者数の対比

 

第一回 第二回 合計 平均 学習者数 受験者数の比率
中国 93800 87454 181254 90627 953283 9.5%
インドネシア 6033 11790 17823 8911 745125 1.2%
韓国 26703 27563 54266 27133 556237 4.9%
台湾 34030 36117 70147 35073 220045 15.9%
ベトナム 22449 24672 47121 23560 64863 36.3%
オーストラリア 1117 1117 1117 357348 0.3%
米国 3904 3904 3904 170998 2.3%
ブラジル 2894 2894 2894 19913 14.5%
ネパール 326 461 787 393 2748 14.3%
イギリス 482 548 1030 515 15097 3.4%

 

大きく3つに分けられると思います。

ひとつは、中韓のように、学習者の5~10%が受験する国。学習者数が多く、勉強したからには就職などでも活用するために試験を受けておいた方が、というようなところです。両国は、試験好き、というか試験に慣れているというところもあります。台湾もここに入れてもいいかもしれません。

2つめは、勉強したからには能試は受けてビザや就職に役立てる、という国です。10%を越えてきます。ベトナムネパール。特にベトナムは日本での受験者も万単位でいる可能性があるので、受験比率は5割近くになると思います。突出してます。

3つめは、学習者数は2,3万くらいで、そのうち本気でやってる人は、力試しで受けようか、というくらいの国です。いわば普通の、自然な数字。イギリス米国など、欧米の国はだいたいここかなと思います。受験の比率は5%以下です。

どれにもあてはまらない国として、ブラジル豪州インドネシアがあります。ブラジルは能試の受験率が高いのは継承語としてやってる人達など、受験を奨励されているということがあるのだと思われます。

豪州、インドネシアは学習者数に対して極端に受験者数が少ないです。5%を越えてきても不思議じゃ無いのに、過去の数字もみても多くない。特に豪州は受験者数は極端に少ないです。インドネシアはまだ就職に直結するケースがあるけれども、豪州の場合は、それほどでもない、というようなことかもしれません。日系企業に就職するならN2が必須と言われますが、そこまで到達する人が少ないのではないかと思われます(豪州は毎年N1N2の合格者はそれぞれ200人前後です。35万人も学習者がいるにしてはかなり少ない)。つまり学習者数としてカウントされている数は多いが、本気の学習者は、中韓などに比べるとかなり少ないことが伺い知れます。

インドネシア、豪州ともに、小中学校で日本語の授業が行われています。これがカウントされていますが、実際は継続的に学習している人は少ない。それに加えて、おそらく小中学校などで、地理的な(文化学習、相互学習)学習の一環として行われている日本語学習のクラス(語学は参考程度で日常会話レベルまでもいかない)の学習者もカウントしている可能性もあります。

オーストラリアとインドネシアに関しては、受験に積極的な中韓と比べるのは酷かもしれませんが、その他の平均的な国、例えばイギリスなどと比べるならば、受験者数から割り出す豪州とインドネシアの「本気の学習者数は」だいたい、学習者数として出ている数の10分の1くらいと考えるのが妥当かもしれません。インドネシアは74万人なので、7万4千人。オーストラリアは35万人なので3万5000人です。これは、人口に、0.0003をかけた数だと、豪州は、6939なのでその約5倍、インドネシアはちょうど75000人なので妥当な数字です。2015年の世界の日本語学習者数は365万人でしたが、これを他国の平均的な学習者と均して、実態に即した数にすると、ここから100万人くらい減るという計算です。

今後は、こういう相互学習的なクラスの学習者を「日本語学習者」としてカウントすべきか?ということについて、考え直すべきかもしれません。この種の語学学習は、世界的に広がりつつあり、そこで日本語が教えられるケースも増える可能性があります。しかし、この数を入れるなら学習者数は実態以上にふくれあがってしまいます。正確な見極めができなくなりそうです。例えば日本語教育のビジネス関係者にとっては、実態を反映した数字でないと困る、ということがあるはずです。少なくとも別枠にして、7万人、カッコ内で相互学習を入れると70万人、という形でいいのではないでしょうか?

👉 しかし、国際交流基金は学習者数は多ければ多いほどよい、学習者を増やすのが使命、ということになっているので、数字として入れられるなら入れる、ということになると思います。国際交流基金の調査の数は本気の学習者数ではない、となってしまうのは、調査の方法としていいことだとは思いませんが、一般の関心は低いので正確な数を知りたいというニーズはありません。メディア受けするもの「多ければ多いほどいいだろ」ということになるのです。

 


 

 

日本語教師の数

国内の日本語教育に関しては、この文化庁の調査(H24年度)に、ここ10年の推移のデータがあります。
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

データは、平成だとわかりにくいので西暦にしました。

この20年での推移です。専任、非常勤、ボランティア、数と比率。

1992 2002 2012 2015
教師数 16276 27372 34392 36168
専任 2317 (14%) 4042 (14%) 3975 (11%) 4146 (11%)
非常勤 6325 (38%) 10091 (36%) 9631 (28%) 10304(28%)
専任+非常勤 8642 (53%) 14133 (51%) 13606 (39%) 14450(39%)
ボランティア 7634 (46%) 13239 (48%) 20786 (58%) 21718(60%)

 


 

 

日本語教育能力検定試験の受験者の年代別比

こちらにデータがあります。
http://www.jees.or.jp/jltct/result.htm

94年、2002年、2012年、2014年、とだいたい10年ごとと最近の推移です。年代別比は、日本語教師に関してここ20年で最も変化が大きいです。

1994 2002 2012 2014 2017
50才以上 587 (24%) 702 (11%) 1225 (25%) 1290 (29%) 2126 (37%)
45-49 362 (5%) 323 (15%) 356 (7%) 396 (9%) 627 (11%)
40-45 482 (19%) 359 (5%) 490 (10%) 425 (9%) 582 (10%)
35-39 468 (7%) 450 (7%) 488 (10%) 415 (9%) 471 (8%)
30-34 667 (10%) 724 (11%) 545 (11%) 452 (10%) 559 (10%)
25-29 1137 (18%) 1402 (22%) 787 (16%) 675 (15%) 680 (12%)
20-24 2429 (39%) 2153 (35%) 863 (17%) 678 (15%) 652 (11%)
20未満 0 0 44 (-) 32 (-) 36 (-)

👉 これは、教師の年齢の比率ではなく、試験の受験者、スタートラインに立った人の年齢構成です。つまりキャリアを積んだ高齢の教師が日本語業界にいるのではなく、キャリアの浅い高齢の新人教師がどんどん入ってくる業界であるということです。会社などの組織の年齢比は、一般的には40代にピークがあって、真ん中が膨らんでいるのですが、日本語教師の世界は、極端に高齢化していて、しかも高齢者はベテランではなく新人である、というかなり残念なことになっています。
日本には日本語教育学科を卒業する新卒生が毎年4000人前後いるのですが、ほぼ日本語学校には就職しないと言われています。ほとんどの場合、日本語教師養成講座を修了した人が検定試験も受けて、中途採用で入ります(民間の日本語学校では、採用時は養成講座のほうが重視されます。検定合格は単独ではやや厳しい。養成講座の修了に+して、あればちょっと有利くらいでしたが、人手不足の時は、どっちか一方でOKみたいなことになってるようです)。

 


 

👉 検定試験の主催者であるJEESの2017年の年齢比のデータの画像です。こっちのほうが見やすいかもしれません。

👉 転職可能な上限と言われる35才以下の比率がどんどん下がっています。日本語教育能力検定試験は日本語教師養成講座に較べると若干数は少ないのですが、国内の日本語学校の就職では所得していれば有利と言われていますので、就職希望者の受験率は高いと思います。

 

養成講座数の推移

文化庁の調査をもとに、日本語教師養成講座の講座数の推移の一覧を作ってみました。

 

1993-2008年

 いわゆる一般の日本語学校は「一般の施設・団体(日本語学校など)」

1993 1998 2004 2005 2006 2007 2008
大学院・大学 100 180 200 203 214 215 223
短期大学 11 37 21 12 12 10 13
一般の施設・団体(日本語学校など) 108 167 169 261 302 316 285
合計 219 384 390 476 528 541 521

👉 2004から2005年の大幅な増加が気になります。後で示しますが、この年は、講座受験者数はそれほど増えていません。この年は日本語学校の業界団体が分裂した年でもあり、利益が出る養成講座の許認可に何か動きがあったという可能性があります。

 

 

2008年~

以降は以下。分類が変わりました。(2008年だけダブリます。いわゆる一般の日本語学校は「上記以外」)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
大学等機関 236 205 207 207 213 217 214 174
地方公共団体・教育委員会 37 54 62 55 66 86 68 84
国際交流協会 131 130 137 106 161 139 136 164
上記以外 117 171 146 157 160 165 139 101
合計 521 560 552 525 600 607 557 523

2006年以前のデータは
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9218806/www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/jittaichousa/

 


 

 


日本語教師養成講座 受講者数の推移

これも文化庁の調査しかない。
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/
2012年からいわゆる日本語学校などの数字を別に出すことになった模様。

 


1998 / 2002~2010年まで 

1998 2002 2003 2004 2005
大学短大など 20621 24585 23601 30773 24315
その他 8668 11516 13218 9956 13350
合計 29289 36101 36819 40729 37965
2006 2007 2008 2009 2010 2011
大学短大など 22481 23491 29356 22913 18229 19555
その他 14947 14709 11230 10695 10997 9427
合計 37965 37628 38200 40586 33608 29206

👉 その他は地方公共団体、教育委員会、国際交流協会などの主に地方の公的機関と日本語学校の数字を足したもの。

 

2012~

2012 2013 2014 2015 2016
大学短大など 20230 17403 13723 15754 14531
地方公共団体・教育委員会・国際交流協会 6686 7922 11467 10487 9076
日本語学校など 4881 4785 11467 2771 5660
合計 31797 30110 35818 26142 29267

👉 2012年から地方の公的機関と日本語学校などを分けるようになった。

👉 2014年の倍増からの2015年の激減の変化が目を引きます。データは一年遅れなので前年のものです。2015年は日本語学校の新設も増え、日本語教師の人手不足が起こりました。時給もそれまで15年近く1200~1500円で推移してきたものが、急に1700~1800円台になりました。一般の求人サイトにも日本語教師の求人が出るようになり、日本語学校業界で養成講座への勧誘のセミナーが始まり、日振協にも求人コーナーが出来たりしています。特に新設校で必要な主任(専任3年経験以上)の好条件の求人が目立ちました。しかし、その後、養成講座に人が戻って2016年は回復しています。そしてやはり、2017年後半から「経験者のみ」などという強気の求人が増えまた時給は下がりぎみです。

👉 日本語教師養成講座は、日本語学校業界の民間資格なのだから、本来なら、日振協、JaLSAなどの学校の業界団体はちゃんと講座数、学習者数だけでなく実態を調べて調査し、数字を出すべき。たとえ文化庁がやっていたとしても。無責任。

 

留学生のアルバイト時間の国際比較

 

週何時間?

留学生に許されているアルバイトの時間数の国際比較です。左から週あたりの時間数。許可が必要か。時間の所属教育機関での監視が必要なら○。同じく教育機関からの報告義務があるなら○。参考の法定労働時間は一般社会人の法定労働時間です。

バイト上限/週 許可は 教育機関による監視 同 報告義務 (参考)法定労働時間 補足
日本 28 40 36時間に拡大案
オーストラリア 20 不要 38 院生以上は無制限
カナダ 20 40(8/h)
フランス 18.5 × 35
ドイツ 18.5 35-38
イタリア 20 × 40 年間1040時間まで
イギリス 20 48
アメリカ 20 40 休暇中はフルタイムOK
韓国 20 40

 

*中国は留学生のアルバイトは禁止。

アルバイトの時間は参考資料の「外国人留学生の受入れとアルバイトに関する近年の傾向について」を元にしました。2015年の論文です。留学生のバイト時間は「一般の労働時間の半分」で考えられているようです。日本の28時間は突出して多く、これが36時間となると一般の法定労働時間も越えてしまうこともあります。

時々報道される日本語学校の経営者が不法就労助長で逮捕となるケースでは週に平均30時間を越える労働をさせた、というケースが多く「学生は疲れた様子で勉強も手につかず」などと報道されます。実際に、そういう学校の進学実績をみると、ほぼ例外なく悪いということになっています。進学実績は上の「日本語学校の選び方」に一覧があります。

日本語学校では1年700~800時間、2年で1500時間以上は学習することを義務づけられていますが、日本語能力試験ではN3(到達までに300~500時間と言われている)の合格でさえ極端に低い結果となっています。通常は日本語学校にとってN3は「通過点」です。1年目の前半に試しに受けるか、もう受けない学校もあるくらいです。日本語学校の目標はN2(到達まで1000時間)、N1(到達までに1500時間~)です。「普通の」専門学校や大学で勉強できるギリギリのラインがN2。通常進学できるのはN2からです。

👉 ILO(国際労働機関)では、週48時間、1日8時間を越えてはならないことになっている。

👉 法定労働時間はドイツは産業別ですがだいたい35-38時間とのこと。イタリアは「40時間以上は禁止で越えたら訴えられる」だったりと細かい違いはあるようです。また改正もよくあるので、上の数字はあくまで参考です。2004年のOECDの調査がいっせいにされたものがベースになっていますので、上の数字の調査年は、法定労働時間に関しては、まちまちです。ただし、EUの平均労働時間は週40時間で過半数は40時間以下。イギリスは43時間で、かなり「多い」と言われてます。つまり、40時間は残業手当の目安ではなく、実質的な守るべき労働時間の目安となっており、それを越えることはほぼないということが重要です。法定時間を越える国は、おそらく上のリストでは日本と韓国のみです。

👉 参考資料 
外国人留学生の受入れとアルバイトに関する近年の傾向について 2015 志甫啓 
http://ow.ly/xCGh309jxAx
諸外国の労働時間制度の概要 2005
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0520-7a.html
労働政策研究、研修機構
http://www.jil.go.jp
留学生の資格外活動許可基準の歴史的変遷とその諸問題
https://drive.google.com/file/d/1nDECqH73lMReqJmeMCxd8HZGM7eHY4r3/view?usp=sharing

留学ビザと進学準備ビザの違い国際比較

2010年までは、日本でも留学ビザ(大学や専門学校に通う学生のビザ)と就学(しゅうがく)ビザ(大学に進学するための語学学校である日本語学校の学生のためのビザ)と分かれており、アルバイト時間も就学生は1日4時間実質週20時間(土日もOKと解釈しているケースもあった。その場合は28時間)、というルールでしたが、2010年になぜか留学ビザで一本化されました。海外では分けていることが多く進学準備の語学学校の学生のアルバイトは禁止ということがほとんどです。

以下は、ざっと調べたものです。バイト規制は、2017年現在、厳しくなりつつありますので、しっかり知りたい方は新たにググって最新情報を調べて下さい。

□ ドイツ

大学などの留学ビザ、留学目的の語学学校のビザ、単なる語学学校のビザの3段階になっており、バイトができるのは大学などの留学ビザのみ。

□ カナダ

大学の留学ビザは週20時間のアルバイトが可能だが、語学学校はアルバイト不可。

□ フランス

3ヶ月以上の留学は、すべて長期学生ビザ。アルバイトは週18時間。

□ アメリカ

大学は学内のアルバイト以外は原則禁止。語学学校の留学生は全面禁止。

□ ニュージーランド

語学学校でも週20時間アルバイトできるが、国の審査で質が高い学校であると認定を受けた学校だけで、審査は厳しく、仮に日本語学校にあてはめると、30校ぐらいになる?

□ イギリス

細かく分かれており、1年以内の留学ビザではバイト不可。大学や専門学校の長期ビザ所有者のみ週20時間。語学留学の学生はアルバイト不可。

□ 韓国

大学や専門学校の学生と大学の語学学校などへの留学はビザで区別され、後者は、来日半年はアルバイトはできない。

□ オーストラリア

語学学校でもアルバイトが可能。

👉 上記の国々では、若者でバイトしたいならワーホリで、という棲み分けがあります。

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