労働条件通知書についてと追加アンケート

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2017年の5月26日の沖縄タイムズの記事
https://archive.is/zWp7J
に、入管のビザ審査の厳格化で学生が減り、解雇された日本語教師のことがありました。記事中に「労働条件通知書を受け取った記憶はなく、自身の雇用形態は把握していなかった」とありました。この労働条件通知書を出さないのは沖縄だけのことなのか、日本語学校ではよくあることか、調べてみたいと考えツイッターで簡易アンケートをやってみました。期間は1週間です。2017年の5月26日まででした。

かなりの数の学校が労働条件通知書を雇用者に渡していないことがわかりました。追加的に一週間の期限を設けて、もう一問「それどこの学校ですか?」というのをお尋ねすることにしました。学校名とコメントだけで後は送信ボタンというものでした。以下のような但し書きをつけました。

ただし、匿名の投稿によるものであり、確実なものではないので学校名を公開するかどうかはわかりません。現時点では、今後、私共のブログやツイッターなどでの情報発信の際に(この学校は要注意だな…)というフィルターが増えるという程度かもしれません。例えば求人情報をツイートはしないとか、しても「労働条件通知書をきちんとくれるかはわかりません」と補足を追加するかも、みたいなことです。それでもよければご協力ください。

↓ 追加質問アンケートも終了しました。以下は、そのまとめです。

■ アンケート結果について

アンケートは終了しました。ご協力ありがとうございました。

超名門校、大規模校もあり、歴史や評判だけではわからないものだと感じました。集まった数が少ないので学校名の公表は控えますが、今後は求人などがあってもツイートしない、など「要注意学校」として、あたたかい目で見守っていきたいと考えてます。

労働条件通知書は、黙ってても出すべきものなんですが、もらえなさそうだと思ったら「すみません、労働条件通知書は…」と訊ねましょう。そこで気持ちよく対応してくれないところは、長居すべき日本語学校ではありません。そのことがわかるだけでも、最初に訊ねておくのは大事です。学校も聞かれることによって「やっぱり出さないとだめかな…」と考えを変える可能性もありますし。

■ 労働条件通知書について

特に日本語学校で関係が濃そうなものをピックアップしてみます。労働条件通知書をくれない学校もあるらしく、ある意味では「早めにやめたほうがいい学校」として、わかりやすい最初の目安になります。

労働基準法15条では、賃金や労働時間に関しては、書面で交付する義務を企業側に課しています。会社は、雇用者に正式に文書で契約形態を通知しなければなりません。常勤でも非常勤でも、労働条件通知書は必ず出さなければなりません。契約時に、これ出さない学校は、(言わないと出さないところも)労働基準法を知らないか、守ろうという気が無いわけで、早めにやめたほうがいいでしょう。

必ず書かれていないとダメなもの(絶対的明示事項)

労働契約の期間
就業の場所、従事する業務の内容
始業・就業の自国。所定労働時間を超える労働の有無
休憩、休日、休暇、就業時転換(シフト制の場合の説明)
賃金(退職手当、ボーナス規程、計算方法、支払い方法、支払い時期、昇給のルールなど)
退職に関する規則、退職事由と手続き等の明示
期間契約の場合、更新のルール。
制度があり、必要であれば書かなければならないもの(相対的明示事項)

退職手当
ボーナス規程
食費など付随的な事項
安全、衛生に関する規程
職業訓練に関する事項
災害補償及び業務外のケガなどの規程
表彰、制裁などに関すること
休職に関すること
*非常勤に対しては以下も明示義務があります。

昇給の有無
退職手当の有無
賞与の有無
*厚労省のガイドラインでコマ給の場合、授業時間以外で、労働条件通知書に明示し、時間に応じて報酬を支払わなければいけないとなっているもの

授業の準備・片付け、生徒からの質問・相談対応、テスト監督・採点、報告書作成、スケジュール作成・管理、システム入力、ミーティング、テキスト等作成、生徒・保護者との面談、保護者への連絡、販売促進活動、講師研修、朝礼・終礼、生徒の出迎え・見送り、清掃、戸締まり 等

厚労省による労働条件通知書のサンプルフォームです。

http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1l.pdf

これに準じていないオリジナルのフォームの場合は注意して欠けている条項がないか確認しましょう。このサンプルにある項目がしっかりあり、かつ、上記のコマ給の件などがきちんと書かれていることが重要です。「私、こういうこと詳しくないので、知人に尋ねてみます一度持ち帰って確認いたします」と書式のコピーをもらうほうがいいと思います。拒否されたら、そういうところです。

契約前、入社前にもらってから契約というのが本来の流れですが、契約後になることが多いようです。請求しないとくれないところもありますから、組合があれば組合を通じて、ただ、日本語学校で組合があるところはほぼないでしょうから、個人で事務の人などに「労働条件通知書は?」と訊ねるしかありません。請求してもくれない場合は完全に違法です。同僚などに聞いてみると誰ももらってない、ということが多いのではと思います。請求してもくれない場合は、労基署に相談すれば、会社を指導をしてくれることになっています。明確な違反なので、出さざるを得ないということになるはずです。

同僚が誰ももらっていない、そういう習慣が無い、あるいは職員には出すけど教師にはいちいち出さない、というような学校は早めに転職を考えたほうがいいと思います。長くいないと決めたのなら、労基署に言って、労基署から労働条件通知書を出せと指導してもらい、受け取っておいたほうがいいです。でないと辞める際にもめる可能性があります(特にそういうところは契約やお金にルーズな場合が多い)。学校で労働条件通知書を出すにようになれば、辞める際の同僚教師への置き土産にもなります。労基署も「あそこは…」と要注意リストに入れるかもしれません。これも大きな置き土産です。まずは管轄の労働基準監督署にメールを送ることからやってみては?

■ 雇用契約書との違い

労働条件通知書は、会社が雇用者に通知するもので、労働基準法が根拠。雇用契約書(正式には労働契約書)は、会社と雇用者との合意事項で、労働契約法が根拠です。労働基準法のほうが強いので、労働条件通知書は義務ですし、罰則があります。雇用契約書は罰則もないし、交わさなくてもいいことになっています。労働条件通知書は、通知書を出さない、内容に違反があった場合の罰則は原則30万円で、パート(非常勤)の場合は、+10万円となっています。雇用契約書の中に労働条件通知書で書かなければならない事項をすべて入れ込めば、雇用契約書で代替えできることになっているとのこと。

■ コマ給と労働条件通知書

2017年の厚労省の「指針」

「使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」ということになりました。そして、「「過少申告」が行われていないかどうか、企業側に実態調査をするよう求めた。」とのことです。2016年から働き方改革の流れで、新たにこれまで曖昧だった準備や勉強の時間が労働時間であると明確に認められるようになりそうです。

・会社や上司の指示がなくても、結果として業務に必要な勉強などをしなければならなくなった時はその時間は労働時間と認められる。

これは、コマ数契約の際、問題になる点です。コマ数契約は、授業の準備の時間などは労働時間に入れないという考え方をより進めたものですから、今の流れとは反対になります。また、研修や勉強など仕事に必要な勉強の時間も労働時間です。これは教師にとっては大きな変化です。

学習塾における講師等の労働条件の確保・改善のポイント(厚労省)
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/var/rev0/0120/1443/20182221457.pdf

厚労省によるコマ給の際の説明責任に関するガイドラインです。こちらにダウンロードしたものがあります。以下の画像はそのガイドラインの抜粋です。かなり細かいことを労働条件通知書に書く義務があります。授業時間以外の時間をきちんと計測し、時間に応じた報酬を支払わねばならないとなっています。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html

■ 資料

労働条件通知書のサンプル(厚労省)

採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。(厚生労働省のサイトより)

🗨 *ツイッターのアンケートについての補足。
ツイッターのアンケートというのは、ツイッターのアカウントを持っている人しか回答できません。このアンケートの場合(自由に設定可能)期限は一週間、私どものアカウントをフォローしている人(アンケート実施時に1237人)の何割かが目にし、リツイートという機能によって、フォロワー以外の人の目にも触れるようになりますが、きちんと読む人は3割ぐらいかもしれません。で、参加してもよいという人が匿名でクリックして投票を行います。結果は修了時に公開されます。一度しか投票できませんが、誰でも投票できるので、この質問のように「**だけに質問します」と書いて行っても、投票者を特定できない以上、正確とは言えません。ただ、日常的に日本語教師向けにツイートをしているアカウントなのでフォロワーの方の日本語教育関係者の比率はかなり高いと思われます。いわゆるスパムフォローも定期的にブロックしてはじいています。「正確ではないが、質問によっては、そこそこ参考になるかもしれない程度」と考えています。

 


 

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