関連ページ:日本語学習者 | 中国帰国者 | 在日外国人 | 多様な学習者 | 子どもの日本語教育 | 高齢の学習者 |学習者向けリソース | 国を調べる
国を調べる
概要
国によってはYoutubeにアクセス出来なかったりブログやSNSで自由に発言できないことがあります。特にアジア、アフリカなどの日本語教育が盛んな国には多いことに注意すべきです。学習者の環境を考えた時に、母国にいる時だけでなく、日本にいる学習者でもネットでの発言は自由にできない、あるいはしにくいということはよくあります。教室にはいろんな考え方の人がいるので下手なことを言うと大使館に密告されたりすることがあります。
日本語教師がいろんな国に行って教えるケースも多いです。言論や出版の自由だけでなく、例えば女性や同性愛に対する差別そのものが法律となっている国もたくさんあります。法律だけでなく社会に理解がないということも多く、手を繋いで歩いているだけで暴行されるみたいなことも起こります。労働法関連が整備されていない国もあります、ワーキングビザ以外の身分で海外に行くと法律的な保護がなくほぼ奴隷と同じ身分で働くことになることもあります。豪州でも最低賃金の法律の保護がないまま低賃金で働いている日本語教師はたくさんいます。
日本語教育の世界では、そういう負の側面は語られないまま「日本語教育を必要としている国で教えよう!」「その国の文化を尊重しよう」というようなことだけを言う人達がいます。自分で事前にしっかりと調べておくことが必要です。
また、日本語学習コンテンツを作る際やネットを活用する際に注意すべきは、まず、国によってネットのインフラ環境も大きく違うということです。国の中でも地域差が大きいことを念頭において置くべきです。大都市では日本並みでも地方では電話も通じないという国はまだまだたくさんあります。
PCでみてもらう場合とスマホでみてもらう場合は回線環境が違います。途上国は携帯回線の方が普及していることは多いですが、それほど回線品質はいいとはいえず、契約形態も従量制(通話、通信しただけお金がかかる)のほうが多いようです。つまりインフラが整備されていても、気軽にアクセスできるというわけではないことがあります。
作るコンテンツがどのくらいの負担になるか、90年代は配慮して作ることが多かったですが、今はあまり考えず、光回線前提で作るようになってきています。しかし世界の日本語学習者の9割はアジアにおり、その半分以上はADSL回線以下であるということは考慮しながら作っていく必要があります。ビデオチャットなどでも相手の通信環境を考える必要があります。
より深い知識も必要
ここのページのリソースだけではわからないこともあります。以下は、日本語学習者からの引用です。「言論・表現の自由が許されている国」の学習者が多数派であることがわかります。ベトナムではつい最近、ブログが政府批判だとして逮捕されたりみたいなことも起きています。日本語学習者は、日本に住んでいたとしても、気軽にネットに書き込めない事情がある、ということは、教師は知っておくべきことです。
言論の自由はいろんな指標があるわけですが、ひとまず「ネット上で自由に自分の政府の批判ができるか?」を軸に考えてみました。その他、ジェンダーなどいろいろなタブーなど難しい問題がありますが、罪に問われる可能性も考えてみました。国家としてネットを検閲している国は米国をはじめほとんどそうなのですが、制限を設けていたり、逮捕されるリスクがあるなら×、というところです。
これは例えば、ネットに投稿するようなことを授業で扱えるか、どの程度配慮が必要か?という際の参考にしてください。自由に書けない人は意外と多いです。
以下、ザックリ調べた一覧です。「自」は「自由度」×は気軽にネットに自分の考えを書けないと言ってもいいという意味。△は微妙ですが、計算には「不自由」には入れてません。ご自身で調べて○も人によっては違うので興味がある方は全部調べてください。
2021年の時点では、技能実習制度はベトナム、フィリピン、カンボジア、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、中国、モンゴルの9か国と協定があり、特定技能では、フィリピンやカンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイの12か国と協定がある。
2020年代はだいたい40万人強前後で推移(技能実習40万人、特定技能3万人)しており、国籍別の比率ではベトナムと中国で70%超を占め、フィリピンとインドネシアが10%弱、その他という内訳。つまり、8割前後は言論の自由がないがない国から来ている。
中国 | × |
ベトナム | × |
フィリピン | △ |
インドネシア | △ |
タイ | △ |
ミャンマー | × |
ネパール | ○ |
モンゴル | ○ |
カンボジア | △ |
スリランカ | △ |
バングラデシュ | △ |
ウズベキスタン | × |
パキスタン | △ |
【参考】
【国際】世界報道自由度ランキング2021年版
https://sustainablejapan.jp/2021/04/25/2021-world-press-freedom-index/61287
日本語教育に関するデータ
国際交流基金 - 海外日本語教育機関調査
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/
:3年ごとに行っている日本語学習者数の調査です。国によっては州別の数字などもあります。ただし「機関学習者」つまりそれなりのコースがある学校でのが学習者数です。
国際交流基金 日本語教育 国・地域別情報 2017年度は、国別の日本語教育の歴史と現状などがまとめられています。正直、あまりデータがないところは「アニメ、マンガ人気で日本語に興味がある若者が増えている」と書かれて終わりというものも多く「親日的」という語も多用される外務省の方針(ソフト戦略)に沿った報告が多い、という印象。基金のサイトでは「親日」という語はよく使われます。
教育制度
教育制度については、以下が便利です。
外務省の「諸外国,地域の学校情報 | 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/world_school/01asia/index01.html
(キッズ外務省)世界の学校を見てみよう!|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/kuni/index.html
海外教科書制度 – 公益財団法人教科書研究センター
https://textbook-rc.or.jp/kaigai/?s=09
インフラ関係(ネット)
WIkipedia にはインターネットの普及率のリストがあります。
2016 年の統計はこちら。 http://www.internetlivestats.com/internet-users-by-country/
中国で 52%、インドネシアで 20%です。
以下は、教育でネットをどれくらい活用できているかというOECDの調査です。
Students, Computers and Learning: Making the Connection (Andreas Schleicher, (Director, OECD Directorate for Education and Skills) from OECD Education
*日本の普及率に関するデータ(総務省)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc372110.html
回線の品質も重要です。ブラウザのフリガナや辞書の拡張機能がストレスなく動くにはやはり光回線は必要です。ADSLで基地局から遠い場合は、実用にならないこともあります。回線品質に関しては、Akamai の調査というものが有名です。最新レポは登録してダウンロードですが、ひとつ前からオンライン上で読めます。現在整備されている回線のうち、どのくらいがブロードバンドか、みたいなことがあります。
https://www.akamai.com/us/en/about/our-thinking/state-of-the-internet-report/
国の体制はよく変わりますので、このWikiで追いかけるのは無理です。ここでは日本語教育と関係がありそうなこと(教育制度やウェブコンテンツ制作で必要ないろいろ)などのリンクを中心に記述していきます。
働く場所としての国
その国の法律がどうなっているのかは、JETROのサイトが便利です。労働関連の法律も書いてありますから現地で仕事をするなら必ず目を通しておきましょう。
https://www.jetro.go.jp/world/
日本とどういう関係なのかは、条約の批准に関することで検索できます。
外務省: 条約データ検索
https://www3.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/
ILO(国際労働機関)
条約一覧(番号順、議定書を含む) (ILO駐日事務所)
https://www.ilo.org/tokyo/standards/list-of-conventions/lang--ja/index.htm
国際労働基準(基準設定と監視機構) (ILO駐日事務所)
https://www.ilo.org/tokyo/standards/lang--ja/index.htm
その他、国際的な取り決めを批准しているかを調べる
人権 | 国連広報センター
https://www.unic.or.jp/texts_audiovisual/libraries/research_guide/themes/human_rights/
締約国一覧 | 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/ichiran.html
国連人権条約の締約国数一覧を更新しました(2018年2月15日現在) | ヒューライツ大阪
https://www.hurights.or.jp/japan/news/2018/02/2018215.html
子どもの権利条約 | ユニセフについて | 日本ユニセフ協会
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html
国際結婚に関する条約
ハーグ条約と国内実施法の概要 | 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000843.html
FORTH|厚生労働省検疫所
海外の感染症などの情報
https://www.forth.go.jp/index.html
リソース
学習者の国、地域の体制、法律、教育制度などをおさえておくことは重要です。
外務省 国 情報:一般的な情報。日本との関係からという切り口
JETRO国地域別に見る:経済関係に詳しい
厚労省 検疫所 国地域別情報:感染症に関することなど。
Wikipedia 自由度の指数:いろんな指数の紹介など。日本語。
Freedom House :言論の自由に関する調査を行う国際機関。英語。
Committee to Protect Jounalists:ジャーナリストを保護する国際機関。英語。
国境なき記者団:言論の自由を調査するジャーナリストの国際機関。英語
世界の学校体系:文部科学省:多数
諸外国の教育統計:文部科学省:日米英仏独中韓
各国の教育制度:文部科学省:英米仏独韓
各国の義務教育年限:文部科学省:多数
各国の教育制度:ベネッセ:日韓中米英フィンランド
世界のネット環境に関する資料
AKAMAI による世界のネット環境調査
https://www.akamai.com/jp/ja/our-thinking/state-of-the-internet-report/
OECD の世界の ICT に関する調査
Students, Computers and Learning Making the Connection
http://www.oecd.org/education/students-computers-and-learning-9789264239555-en.htm
そのサマリーのスライド
http://www.oecd.org/publications/students-computers-and-learning-9789264239555-en.htm
ISOC(インターネット協会)による年次報告書
http://www.internetsociety.org/globalinternetreport/
インターネットに関する統計など
http://www.internetworldstats.com/
ネット関連の国際機関
http://www.itu.int/en/Pages/default.aspx
データ配布ページ
http://www.itu.int/en/ITU-D/Statistics/Pages/stat/default.aspx