在留資格について

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在留資格について

在留資格そのものについてきちんと書くのは無理なので、日本語教育に関係するものを中心にざっくりと整理していきます。

日本の国籍がない人はすべて在留資格が必要。2018年で合計270万人くらい。

👉 法務省:平成30年末現在における在留外国人数について

👉 コンビニは在留資格がないので留学生などのアルバイト頼みとなっている。

ビザと在留資格

在留資格というのは日本に滞在してもよいという資格のことで日本(法務省)が発行するもの。ビザは日本に入国してもいいという上陸許可のことで日本以外の国で日本の大使館(外務省)などが発行するもの。あうんの呼吸で連携している。ビザは有効期限がだいたい三ヶ月で、その間に上陸して、日本の在留資格があると認められば、入国できる、というものです。

👉 しかし一般的に留学の在留資格は「留学ビザ」と呼ばれることが多く、このWikiでもそう呼ぶことがあります。

期間

留学は日本語学校などは最大2年、大学などは必要な場合は更新可。技能実習生制度、特定技能、特定活動は、原則最大5年まで。さらなる延長や家族の帯同、永住が認められるのは特定技能だけで、さらに5年で合計10年まで。条件を満たせば永住への資格変更も認められる。一般的な在留資格は更新が可能なものや定住、永住といろいろ。

新たな在留資格

新たな在留資格を作るのは国にとって大きな政策の変更なので国会の決議が必要ということになっているようです(ただこのへんハッキリしない)。しかし2010年以降は、新たな在留資格を作るのは大変なので、従来のものを拡大解釈してやることも多く、抜け道はいろいろです。

つまり、在留資格の細かい規定はいろんな解釈ができ、条件などは現場の判断で変更できるようになっているようです(法務省は留学関連のことを細々とよく変えます)。

こういうものが、2015年以降、かなり増えてきています。人手不足の業界からの突き上げを受けた政治家などが、「なんとかしろ」と指示して省庁側が「***という資格で、こういうことなら…」と応じる、みたいなことが起きているのだと推察されます1)。いろんな在留資格のスキマを利用して人を入れるようになってきて、本来なら留学生の就職活動のためのオマケ的な資格だった特定活動で、業種によって5年くらい滞在することが可能になったりしています。

つまり、在留資格は2010年以降、国内の人手不足に追いつかず、混乱しています。介護などは、技能実習生、特定技能、通常の介護、など、いろんな在留資格でかき集める、ということになっており、建築なども複数の在留資格があります。特区なんかも出来たりして、しばらくは、国内で仕事をしている外国人は、どういう在留資格で日本にいるのかは、職業ではわからないということになりそうです。本格的に在留資格を作って入れるとなると国会で揉めるリスクもあるし、それをやったから問題が起きたと後から責任を問われるリスクもあるので、従来の建て前のまま、微妙に解釈で開いたり閉じたりするほうがいいという発想なのではという気がします。

👉 介護施設で働いている外国人の在留資格は「介護」かもしれないし「技能実習生制度」かもしれないし「特定技能」かもしれないし「留学」かもしれないし、その他の可能性(「研修」とか「特定活動」とか?あるいは自治体独自の何かとか?)もいくつかあります。関わっている省庁は厚労省、文科省、法務省、外務省、とこれもいろいろ可能性があります。

教えるのは違う日本語?

学習者の環境に応じて教えることは変わると言われますが、まったくの初心者を想定したときに、どこまでを基本として教えるべきかはいろいろと議論があります。日本で生活するにしろ、海外でマンガを読むだけで満足であるにしろ、最低限知っておいたほうがいいことは、たいして変わりません。

しかし仮に、何をどこまで教えるかの考え方は違ったとしても、日本語教師が就労系の学習者に教えるとか留学生に教えるということで細分化、専門化するというのはやや極端な議論かと思います。

N1あたりが上級者の入り口だとすると、教師の役割はせいぜいその辺までであり、そこから先はほぼ学習者の領域です。基本的にどんな仕事をする学習者であろうと、語学教師であれば、そこまでの伴走は対応できるはずです。他の言語をみても、語学教師が学習者のタイプによってはっきりと細分化されるという話しはごく一部の例外2)であって、基本的には、どんな学習者であろうと事前に学習者の日本語環境を調べたりしながら対応するというのが語学教師です。

帰化というのは、日本の国籍を取得することです。在留資格は不要になります。名前、戸籍、パスポートが持てます。社会保障、参政権も得られます。ローンや土地取得など、いろんな制限が無くなります。

国によって二重国籍が認められる国とそうでない国があります。日本は認めていないので、元の国籍を捨てることが条件となっています。

帰化に日本語の要件はありません、書類が書けて面接などでそこそこ話せればOKで、問題があるかなという時は簡単なテストが課されることもある程度のことのようです。ただし犯罪歴の有無には厳しいと言われています。

帰化ではない場合は、在留資格の取得が必要になります。在留資格は基本的に一時滞在のものが多いですが、永住が可能なものもあります。

「永住」は在留資格のひとつで帰化とは別です。永住が可能な資格はいくつかありますが審査があるような更新が必要なものと、形式的な在留カードの更新だけのものがあるようです。永住も可能な「配偶者ビザ」は5年毎に更新が必要です。高度専門職2号(投資家向けのもの)も無期限で永住可能です。特定技能2号も無期限で永住可能になりましたが、ちゃんと運用されるのかは、まだハッキリしません。

現在は、国際的にも投資家などには永住も可能という在留資格を与えての獲得競争となっています。

ブルーカラー労働者に対しては、世界的に、2000年あたりまでは人道的な観点からも移民歓迎という空気がありましたが、2007年前後にやはり厳しいルールを設定すべきという揺り戻しがあり、テロ事件の影響も相まって、今はカナダなどの例外的な国を除き、基本的には欧州も歩米国も移民には慎重な姿勢です。日本の移民政策は、2008年前後の「揺り戻し」の時期に国の研究機関によって書かれた論文が現在の政策のベースになっていると思われます。

Cinii検索「移民政策」

在留資格にはいろんな種類があり、法務省の管轄下にある入国管理局に情報があります。

在留資格一覧表 | 出入国在留管理庁
http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.html 

観光や親族訪問などの短期滞在は手続きはほぼ不要です。

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術
  • 人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 興行
  • 技能
  • 介護
  • 高度専門職1号
  • 高度専門職2号

強い就労制限がない在留資格

  • 留学系
  • 技能実習1号
  • 技能実習2号
  • 技能実習3号
  • 特定技能1号
  • 特定技能2号

就労ではないもの

  • 文化活動
  • 短期滞在
  • 研修
  • 家族滞在

長く滞在している人達

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者
  • 特別永住者

新たな在留資格を作る場合は一応国会決議が必要みたいなことになってるようです。しかし内容や範囲、条件などは、政権の意向や大臣、省庁の判断で決められ、ちょいちょい修正、変更されることがあります。介護ビザも決議はありましたが、その後条件などは、N3はキツイからというような理由で半年ぐらいで、突然N4に変わったりしてます。

在留資格に関しては、2017年以降、二転三転しており、流動的です。しばらくは「こう理解しておけば大丈夫」というというものは無いのではないかと思われます。まずは概要だけ把握しておいて、時々アップデートしながらということになりそうです。ここでは、基本的なことだけ書いて、後は重要なリンクだけ置きます。

特定活動は最長5年で「その他」として便利にいろいろ使われる。インターンシップ、ワーキング・ホリデー、国際交流的なもの、建設、製造業もなぜかある。EPAもここ。

法務省:在留資格「特定活動」(例,外交官等の家事使用人,アマチュアスポーツ選手及びその家族,インターンシップ,特定研究活動,特定情報処理活動,本邦大学卒業者及びその家族等)を更新する場合
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_KOSHIN/zairyu_koshin10_21-01.html

特定活動 建設に関する国土交通省のガイドライン
特定活動 製造業務に関する経済産業省のガイドライン

特定活動の拡大解釈

いろんな政府への陳情などでやることになった場合、どういう枠組みでやるかが問題になるが、国会の議決が必要なものは避ける傾向があり、特に「そんなに長くは続かないかも」というものは、お試し枠として特定活動ではじめることが多い。投資家などをターゲットにした高度専門職は最初は特定活動だったが、2015年に一般の在留資格に「出世」した。クールジャパンとか、日系4世などもここでやることになった。

以下は最近「じゃあ特定活動でやりましょうか」と最近決まったもの。

外食関連ビジネス特例?

N1合格なら最大5年まで外食チェーンなどで働けるという特典が2019年5月、法務省によって突如作られた。特定活動の拡大解釈が可能になったことによって、職種の拡大、日本語能力のハードルを下げるなど、今後は何でもありになる可能性が出てきました。

クールジャパン特例?

アニメ・マンガ

従来は在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更許可申請する必要があったが、特定活動でOKになる?

日系4世の受け入れ

2018年、日本維新の会が提出した「日系4世入国容易化法案」を受けて作られた。ワーホリでやるという話だったが、結局、特定活動枠でやることになった。

原則2年で入国時にN4相当、2年後にN3相当なら延長で最長5年までというもの。4000人を想定していたが、1年を経過して取得したのは40人程度とのこと。

法務省:日系四世の更なる受入れ制度のための特定活動告示の一部改正等について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00167.html 

2021年 

3年目、在留資格取得が121人、来日が87人ということで、さっそく日本語要件が条件緩和となった模様。そのかわりにN2合格か、柔道やるとか自治会に参加するという「日本文化の理解」という謎の条件も強化され、JICAの研修なども要件に加わる。

https://drive.google.com/file/d/1BFWH2t8FWbpS-cGb2lZUClIrRveKazO7/view?usp=sharing

👉 旗振り役の維新系の議員は日系1世のサポートとしてこの事業を進めているようなので、一世、二世の人達の「日本文化研修」的なニュアンスを軸にしているが、四世にはそのへんが響かないのではないかという意見も。

ウクライナ避難民の受け入れ

特定活動で仕事も可能。1年くらいをメドに延長もありえる、みたいなことで急遽決まった。

日本語教育の言語政策 に「80年以降の人手不足解消としての外国人政策の試行錯誤の整理」という項目で整理しています。

2017年あたりから介護の人手不足が確実となったことをきっかけに、政府は人手不足は外国人で補填するという方針に舵を切った模様で、特定活動という「従来の在留資格でカバーできないところをする資格」でお試し枠を作り、継続なら一般の在留資格に格上げとなったりと、試行錯誤を続けている。

従来の実習生制度や特定活動では5年という制限があったため、なかなか人が定着せず、延長や永住なども視野に拡大しつづけている。特定技能1号から2号に進むと、条件を満たせば永住可能になりましたが、反対が多く「制度は作ったけど今は保留」ということになっています。

在留資格は国会決議が必要なレベルで物事を進めると動かなくなる可能性がある(与党も政治信条的には反対だが地元からの圧力が大きいという現実がある。野党は連合など基本組合組織が低賃金の外国人労働者を入れることに原則反対。つまり常に国会では与野党共に、圧倒的に反対勢力が多い)せいか、あいまいな枠組み設定ではじめて、省庁で調整し、運用しながらなんとなく定着するものはさせるというやり方で進めている模様。

人手不足まったなしということになってバタバタしているので、基本、入れる理屈はなんでもいい。日本語能力がハードルになるなら下げてもいい。新たな資格を作るのも、ハードルを調整するのも、法務省を中心に国会決議なしで省庁単位でどんどん決める、ということになった。従って、日本語教育のサポートは期待するのは難しいという状況。5年後、10年後に永住含め、長期滞在者が増えてきたらまた、大きな議論になり、本格的な政治的な争点になる可能性が高い。

今は、与野党ともに、人手不足の補填で必要だという共通認識はあるが、外国人を入れる入れないという議論になると、通るものも通らないという共通認識もあるので、なるべく政治的な争点にはしないように進めているというところ?

令和前後からかなり厳しくなったということです。特定技能の影響なのかはわかりません。

永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定) | 出入国在留管理庁
http://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyukan_nyukan50.html

【業務週報2019年9月第3週】ここまで厳しくなった永住ビザ申請 | 行政書士事務所OFFICE SHIBATA/オフィスシバタ
https://officeshibata.jvj.co.jp/info/2019-septembro-3/

一般的な在留資格はある程度の互換性を維持しないといけないこともあり似ているが、単純労働者の在留資格は、各国とも試行錯誤のはてに迷走中というところ。

第4章 各国の外国人労働者受入れ制度の比較
https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/07/dl/tp0711-1n4.pdf

  国際的な移民の定義はありません。しかし、国連の関連文書に「1年以上滞在したら移民」という文言があり、時々引用されます。留学ビザの人のほとんどが含まれます。これはどちらかというと移民に対してきちんと生活の保障をしなければならないという文脈で語られたものなので「移民問題」を議論する時の前提、定義として使うには微妙です。

難民と移民の定義 | 国連広報センター
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/22174/

移民の議論の際に前提となる定義は、国によってもいろいろですが、基本的には永住権を持つかどうか、それを目指すかどうかということが軸になるようです。日本だと最初から永住権を目指せる在留資格は、高度専門職と特定技能がまずあります。もちろんいろんなビザから帰化したり永住権取得に向けて動くことになるケースもたくさんあります。

日本では移民に関して、高度専門職ではほとんど議論は起きないまま法案は通りましたが、特定技能では反対意見が目立ちました。焦点はブルーカラー労働者の永住権ということになってきています。

海外で、移民問題として語られる際に出てくる数字は人口における比率です。

日本の場合、特定技能がスタート前の2017年の数字で、申請して永住の権利を得ている一般永住者は約75万人おり、ここ数年、3.5%、年2~3万人くらい増えているが、移民の比率は日本は約1.6%。5万人増えてもほぼかわらないと思われます。欧州は10%くらい、米国は約15%、カナダは20%超。 

https://finance-gfp.com/?p=5635 

Compare your country by OECD 日本の基礎データ
https://www1.compareyourcountry.org/indicators-of-immigrant-integration/en/0/all/default/all/JPN

Compare your country by OECD 各国比較表 
https://www.compareyourcountry.org/migration

よく犯罪率と結びつけて語られるところなので、正確なデータを基に議論するためにもソースを以下に。概要だけ書きますと、外国人の犯罪率は日本人の犯罪率より圧倒的に低く、ピーク時(2005)の約三分の一で、減少中。2020年代に入り、外国人人口は増える可能性が高いが、仮に増えても、犯罪率は日本人を超えることはなさそうで「**人の犯罪が増えた」というのも、人数が増えたことによるもので、国籍で突出したものがあるわけではない。外国人に凶悪犯罪が多いというデータもない。

というのが結論のようです。技能実習生には日本語学習のサポートが無いことを考えると「日本語能力と犯罪」を結びつけて考えることも誤りであることがわかります。日本語教育と犯罪は切り離して議論するべきという気がします。

法務省:犯罪白書
:第9章 外国人犯罪・非行に詳しいデータが。
http://www.moj.go.jp/housouken/houso_hakusho2.html

統計|警察庁Webサイト
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/index.html

外国人犯罪に関する研究 第3章 外国人犯罪者の実態 (法務省)
http://www.moj.go.jp/content/001130409.pdf

「外国人犯罪増加・凶悪化」のウソ : アムネスティ日本 AMNESTY
https://www.amnesty.or.jp/human-rights/region/asia/japan/rhetoric.html

日本における外国人の犯罪。在日外国人は本当に危険なのか。
https://brasiltips.com/foreiners-crime-in-japan/#toc2

👉 このページに関連する私達の出版物のご紹介です。


元日本語教師の行政書士が、日本語学校や就労系の人達の在留資格について、基本からわかりやすく解説。在留資格のことが「わかる」ようになる一冊です。

辻󠄀 太輔 著
出版社による紹介ページへ




研究

五色のメビウス
主に就労系の外国人に関する信毎Web(信濃毎日新聞)の長期連載。
https://www.shinmai.co.jp/feature/moebius/

総務省|高度外国人材の受入れに関する政策評価 <評価結果に基づく意見の通知> 2019
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_h310625.html

国際結婚後の離婚について知っておきたい5つの事
https://visa-immigration.net/info/international-marriage-divorce


1)
おそらく省庁が勝手にやってるというより、業界を背負った政治家のごり押しみたいなこと?日本語学校で政治家の口利きでビザがおりたみたいな話は昔からよくあります
2)
ハリウッドでは映画で求められる英語にする特殊な教師が1時間20万くらいで教えるみたいな話はあります
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  • 最終更新: 2022/09/29 01:12
  • by webjapanese