日本語学習者

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日本語学習者

学習者のざっくりとした数字

  1. 海外の機関学習者数(学校などで勉強している人)の数は、80年は10万、90年は約100万、2000年は200万、2010年以降はだいたい350万前後で推移。ピークは2012年の400万。アジア圏が9割。平均で人口の0.02%ぐらいが学習している。
  2. 国内の留学生は、90年は4万人、2000年に7万、2013年に13万人、2014年から日本語学校の学生数(5~10万)が加算する計算方法になり2015年に20万人突破、2019年に30万。その30万の内訳は、大学院が5万、大学9万、専門学校7万、日本語学校9万、とその他。
  3. 技能実習生は40万人。特定技能は3万人。留学生は30万人。児童や家族で日本語サポートが受けられていない人達が5万人前後?
  • 日本に生活しているが日本語の学習が必要な人(在留孤児など。数万人)
  • 90年代に南米からきた日系の人達(成人、児童、10万人前後?)
  • 技能実習生(30万人超)
  • 特定技能(今後10年で30万人に)
  • 留学生(30万人)
  • その他(数万人?)

→ 合計100万人強?

日本語学習者の定義

日本語教育関係者は国内、国外に日本語学習者が何人いるのか?をあまり知りません。法務省は在留資格別の人数だけでカッコ付きの「外国人」の数(300万人弱)がわかるだけで、このうちどのくらいの人が日本語の学習を必要としているか、わからないままです。文科省が数えるのは日本語が学習できる機関で勉強している人達(数十万人)だけで「外国人」の過半数はカウントされません。

日本語教育学会は国内の日本語学習者がどのくらいいるか、数えたことがなく、3年ごとに発表される海外の日本語学習者の数は、これも日本語の学習ができる機関で勉強している人の数(350万前後)だけです。

日本語学習者としてカウントするための定義と、日本語の学習が必要だと考えている人の数の定義はかなり違うことになりそうです。

日本国内の日本語学習者の数

前者をひとまず「日本語の学習を(独習でも)継続中で、ひらがな、カタカナをクリアして、初級をクリアしたいという程度の目標があり、そこまでは行きそうな人」とすることはできそうです。これなら国内の300万人のうち、就労系の在留資格とその家族、留学で100~200万人くらいの間になりそうです。

海外の日本語学習者の数

海外は機関学習者数の350万は日本語学習者としてカウントするとして、これにプラスすべきは独習者ですが、このカウントは難しいです。

  • 国際交流基金がやっている無料のオンラインコースの「みなと]」は、1~3万人で、修了率は5%程度。
  • 2020年の段階でDuolingoの日本語コースをとった人は「のべで」600万人いるとのことですが、中級まで到達するのは1000人程度なので、幅がありすぎます。多めにとって3割ぐらいとして150万人くらい?
  • すでに上級となった人は、勉強という形でなくても学習を続けている可能性があります。日本語学習が本格的に広まりはじめたのは1980年代で、1984年からスタートした日本語能力試験の最上級のN1(旧1級)の合格者は、最初の10年強は3万人以下、90年代あたりから毎年6万人前後です。累計でざっくり計算すると2020年で200万人超ぐらい。このうち150万人が日本語学習者とカウントするとして…

だいたい300万人。これにネットを利用しない独習者が50万人(かなり多めのカウントですが…)いるとして、350万人。ちょうど機関学習者と同じくらいいるということになります。

なので目安としては、そこそこ本気の学習者は機関学習者を入れて、機関学習者の倍くらいの数(今なら700万人)いる。とするのがだいたいの目安だと思います。

国内に日本語教育が必要な人は何人いるのか?

2021年の時点で、国も日本語教育関係者も数えたことがないのでハッキリしない。ざっくりと言えば、留学生(30万人)と技能実習生制度と特定技能(45万人)だけで、75万人で、この人達はほぼ日本語のレベルは0に近い形で来日する。永住者など、すでに住んでいる人で日本語学習のサポートが必要な人は10万人以上はいて、その他の在留資格で来日し、日本語の学習が必要な人も10万人前後はいるとすると、だいたい100万人±数十万人はいるという計算になる。

外国人の数

入管に数字があり、令和2年(2020年)は約288万人となっている。「中長期在留者数は257万6,622人,特別永住者数は30万9,282人で,これらを合わせた在留外国人数は288万5,904人」という形で分けて発表されるのが普通。

永住者は80万人。つまり、この合計の数、すべての人が日本語教育が必要というわけではないことに注意。

令和2年6月末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/nyuukokukanri04_00018.html

統計 | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/index.html

留学生数の推移

以下は2008年までの留学生数。この後、2010年の就学生(日本語学校などの学生)と留学生が統合され「留学生」となり、日本語学校の約9万人が+され、2020年に30万人となった。

👉 総論:データで見る外国人材受け入れの実態とその意義 | 外国人材と働く - 特集 - 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロより。

日本語学校の学生数の推移

👉 留学生全体の数はJASSOの調査でわかります。2003年に「10万人計画達成」、2008年に「30万人計画」、2019年に30万人達成、という流れです。(2014年から日本語学校の学生数も入れることになり数万人単位で増えた、という事情もあります)

就労系の外国人の推移

技能実習生は2020年前後で40万人になっており、新しく作られた特定技能は2030年までに30万人を見込んでいる。

👉 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和2年 10 月末現在)

言論の自由はいろんな指標があるわけですが、ひとまず「ネット上で自由に自分の政府の批判ができるか?」を軸に考えてみました。その他、ジェンダーなどいろいろなタブーなど難しい問題がありますが、罪に問われる可能性も考えてみました。国家としてネットを検閲している国は米国をはじめほとんどそうなのですが、制限を設けていたり、逮捕されるリスクがあるなら×、というところです。

これは例えば、ネットに投稿するようなことを授業で扱えるか、どの程度配慮が必要か?という際の参考にしてください。自由に書けない人は意外と多いです。

以下、ザックリ調べた一覧です。「自」は「自由度」×は気軽にネットに自分の考えを書けないと言ってもいいという意味。△は微妙ですが、計算には「不自由」には入れてません。ご自身で調べて○も人によっては違うので興味がある方は全部調べてください。

2021年の時点では、技能実習制度はベトナム、フィリピン、カンボジア、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、中国、モンゴルの9か国と協定があり、特定技能では、フィリピンやカンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイの12か国と協定がある。

2020年代はだいたい40万人強前後で推移(技能実習40万人、特定技能3万人)しており、国籍別の比率ではベトナムと中国で70%超を占め、フィリピンとインドネシアが10%弱、その他という内訳。つまり、8割前後は言論の自由がないがない国から来ている。

中国×
ベトナム×
フィリピン
インドネシア
タイ
ミャンマー×
ネパール
モンゴル
カンボジア
スリランカ
バングラデシュ
ウズベキスタン×
パキスタン

【参考】

世界報道自由度ランキング - Wikipedia

【国際】世界報道自由度ランキング2021年版
https://sustainablejapan.jp/2021/04/25/2021-world-press-freedom-index/61287

(国際交流基金の2018年の調査を元にしています。)

国名2018
合計384万6773人-
中国1004625×
インドネシア709479
韓国531511
オーストラリア405175
台湾170159
米国166905
タイ184962
マレーシア39247
ベトナム174521×
香港24558×
フィリピン51530
インド38100
スリランカ8454
ニュージーランド32764
ブラジル26157
ロシア11764×
ネパール5326
ミャンマー:35600×
カナダ19489
イギリス20040
フランス24150
ドイツ15465
トルコ2500×
サウジアラビア60×

→ 上の×の国の学習者数の合計は1218078人。全体の31%。ただしその他の国の数字を入れると四割は超えそう。

国内の留学生がネットで自由に発言できるかどうかは、授業の遂行において結構大事な要素です。場合によっては配慮が必要になります。2020年の日本学生支援機構の調査のトップ10。

👉 国からの監視がなくても、同級生からの監視があるケースも結構あるようです。

国名人数
中国121845×
ベトナム62233×
ネパール24002
韓国15785
台湾7088
インドネシア6199
スリランカ5238
ミャンマー4211×
バングラデシュ3098
モンゴル3075
合計279,597-

→ ×の国の人数の合計は188289で、全体の数での比率は67%。おそらくその他の国を入れると70%を超えそう。

在留外国人の日本語の習熟度は違い、すでに帰化した人もいるので、この数とサポートすべき言語とは必ずしもシンクロしないが、一応の目安にはなります。法務省は地位別でも出しているので、地域別の偏りもわかります。

日本語学習者数としてカウントされる数とも違うことに注意。多言語はどこまでサポートすべきかは、いろんな考え方があるが、数字も重要。大多数の国で英語は義務教育で学習されていることも無視できない。

言語別のだいたいの順位だと、トップ20で、順に、中国語・ベトナム語・韓国語・フィリピノ語・ポルトガル語・ネパール語・インドネシア語・スペイン語・英語・タイ語・ヒンディー語・ミャンマー語・タミル語・シンハラ語・ウルドゥー語・ベンガル語・クメール語・モンゴル語・マレー語・ロシア語となる。(最後のロシア語は9116人)

となるので、国で多言語サポートの重要言語を決めるなら 中国語・ベトナム語・韓国語(朝鮮語)・フィリピノ語・ポルトガル語・ネパール語・インドネシア語・スペイン語・英語・タイ語の10言語になる? これを基本(サポート義務)として、地域別に+3
5言語とすれば、かなりの部分がカバーされるのでは。

👉 公的な日本語学習コンテンツは、国際交流基金は英語スペイン語重視で中国語が遅れがち。その他の言語はバラバラ。他の省庁の国内向けのものは地域別で統一感がないが、英語、韓国語、中国語、ポルトガル語はあっても、ベトナム語、ネパール語は少なく、明らかに就労系の人達が視野に入っていない。

2021年6月の在留外国人のランキングと人数

No国名人数主な言語
01中国 745,411 中国語
02ベトナム450,046 ベトナム語
03韓国416,389韓国語
04フィリピン277,341フィリピノ語
05ブラジル206,365ポルトガル語
06ネパール97,026ネパール語
07インドネシア63,138インドネシア語
08米国53,907英語
09台湾52,023中国語
10タイ51,409タイ語
11ペルー48,105スペイン語
12インド36,777ヒンディー語
13ミャンマー35,692ミャンマー語
14スリランカ29,353タミル語、シンハラ語
15朝鮮26,792朝鮮語
16パキスタン19,149ウルドゥー語
17バングラデシュ17,394ベンガル語
18英国16,568英語
19カンボジア16,054クメール語
20モンゴル12,976モンゴル語
21フランス11,836フランス語
22カナダ9,762英語
23マレーシア9,587マレー語
24オーストラリア9,138英語
25ロシア9,116ロシア語
26ボリビア6,144スペイン語
27トルコ6,087トルコ語
28ドイツ5,888ドイツ語
29イタリア4,138イタリア語
30イラン4,071ペルシャ語
31ウズベキスタン3,632ウズベク語
32アフガニスタン3,476パシュトゥー語・パーリ語
33ナイジェリア3,309英語
34スペイン3,232スペイン語
35ニュージーランド3,095英語
36アルゼンチン2,936スペイン語
37ラオス2,872ラーオ語
38シンガポール2,785マレー語
39メキシコ2,669スペイン語
40ガーナ2,523英語他
41コロンビア2,471スペイン語
42ルーマニア2,222ルーマニア語
43パラグアイ2,119スペイン語
44エジプト1,933アラビア語
45ウクライナ1,860ウクライナ語
46スウェーデン1,428スウェーデン語
47ポーランド1,390ポーランド語
48オランダ1,230オランダ語
49アイルランド1,106英語
50カメルーン1,052フランス語・英語

👉 多言語の国も多いので、厳密に言うと50位までで1000人以上が話す言語は100以上ある可能性もあります。

👉 在留外国人統計(旧登録外国人統計) 在留外国人統計 月次 2021年6月 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

東京都のコロナ相談14言語対応のレポートなど

14言語での対応で起きた様々なことがレポートされている。ただし、言語によって対応の濃淡(人数など)があったかなど、詳しいことはわからない。東京都つながり創生財団が請け負ったとのこと。

がいこくじんそうだん | 東京都つながり創生財団 https://www.tokyo-tsunagari.or.jp/joint/

総務省のレポート https://www.soumu.go.jp/main_content/000695189.pdf

東京都外国人新型コロナ 生活相談センター (TOCOS)報告会 https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/chiiki_tabunka/tabunka/tabunkasuishin/files/0000001451/TOCOSreport.pdf

TOCOSの現場から見えた相談事業の変化とやさしい日本語 https://www.moj.go.jp/isa/content/001344265.pdf

留学生数は、留学ビザで日本に滞在している人、ということになると思います。ビザの種類ごとの統計は法務省が、留学生数としては日本学生支援機構が出しています。

法務省 在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

日本学生支援機構(文科省) 外国人留学生在籍状況調査
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/index.html

法務省と学生支援機構の数字は微妙に違うようです。日本学生支援機構は「我が国の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、我が国の大学に入学するための準備教育課程を設置する教育施設及び日本語教育機関における、外国人留学生の在籍状況に関する調査」となってますからここから漏れるケースがあるのかもしれません。ここでは、ひとまず留学生の数としてよく引用される学生支援機構の数字で整理しています。

「留学生30万人計画」は、この数が指標になっています。ただし、2010年までは大学、専門学校の学生は「留学生」、日本語学校の学生は「就学生」として区別していました。日本語学校の学生は「留学生」としてはカウントしてなかったわけです。2010年以降は、統合されて、日本語学校の学生約3~5万人(その後10万人近くまで増える)が加算され、見た目の数がグンと増えました。日本学生支援機構の調査では、それから少し遅れて2014年から留学生数に日本語学校の数を入れることになったようで、2014年に5万人前後増える結果となっています。2017年は日本語学校の留学生数は7万人を超えました。30万人計画の達成目標年は2020年でした。

200820092010201120122013
123829132720141774138075137756135519


2014201520162017201820192020
184155208379239287267042298980312214279597

これも、日本学生支援機構(文科省) 外国人留学生在籍状況調査の上位国からとった。数字がないのは、その調査回は上位5位以内ではない、ということです。2016年以降は国別のデータは発表されなくなっています。法務省の留学ビザの統計には国籍がすべてあるのでそこで集計することもできる(でもさすがに面倒なのでそれはやりませんでした)。
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/index.html

上の留学生数のうちの国籍別の推移です。

国名20082009201020112012201320142015
中国7276679082861738753386324818849439994111
韓国1886219605202021764016651153041577715279
ベトナム2873319935974033437362902643938882
台湾50825332529745714617471962317314
ネパール245131881044816250


国名20162017201820192020
中国98483107260114950124436121845
韓国1545715740170121833815785
ベトナム5380761671723547338962233
台湾83308947952495847088
ネパール1947121500243312630824002

コロナで減り、コロナ後に増えるのか?

東日本大震災の年に減った留学生は翌年V字回復しました。ちょうど、東アジアの学習者が減少を東南アジアへのシフトチェンジでカバーするという動きが始まったころで、それが加速したタイミングでした。ベトナム(人口約1億)、ミャンマー(約5500万人)、ネパール(約3000万人)、の留学生増でなんとかなったというところです。この3カ国で、2010年から2020年の10年でほぼ0から10万人のプラスでした。

コロナ以降ではミャンマーが政変であと10年は安定しないだろうと言われるようになり、スリランカ(人口約2300万)やカンボジア(約1600万)は

  • 2017年以降、国は明らかに就労目的の留学生をカットし特定技能に仕分けるという流れになっている。
  • ベトナム、ネパールはコロナ以前の2017年から2018年にかけて延びが鈍化している。
  • ベトナム方面の関係者は、2017年あたりからピークを過ぎたという声が多い。(就労系での増加も期待できないという声が強い)

コロナの影響?

コロナ前後の変化です。いずれも始めての減少に転じたということになっています。どこまでがコロナの影響なのかはハッキリしません。2020年の4月で規制がはじまったので、この4月分の入学の数だけ減った?もっと長期的なもの?

法務省(入管)

  • 2019年12月 留学 345791人
  • 2020年6月 留学 280273人

文科省(日本学生支援機構の調査)

  • 2019年5月1日 312214人
  • 2020年5月1日 279597人

入管はすべての留学という在留資格の人の数で、文科省は大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、大学の別科、日本語教育機関とのこと。後者の数で考えるのが妥当でしょうか。とすると、減少は32617人です。

これがハッキリしません。

留学ビザで来日した人のうち、日本語学校の学生のみの数です。新規入学数ではなく、就学留学ビザなどで滞在している総数です。古いものはビザの種類で就学ビザの統計を整理したサイトからとって、新しいものは文化庁学生支援機構のデータからとりました。

2011年以前の日本語学校にしぼった数字は文化庁の調査では日本語学校だけに絞った数字がないのでわからない。で、2010年までは就学ビザという在留資格があったので、それで出しました。つまり2010年以前の数はほぼ日本語学校の学生の数と思って間違いないと思われます。ただ、就学生制度ができたのは91年からなので、90年以前は留学生としての数です。

1986年から2010年までは、ビザの種類で就学ビザの統計を整理したサイトから。

1986198719881989199019911992199319941995
18631221542564331251413473557635953331072058014585


1996199719981999200020012002200320042005
11224132341526921787306313375739205427293537925860


20062007200820092010
3060731663349374265143669


この2011~2013年は文化庁のデータから。

201120122013
256623808550295


2014年以降はJASSOのデータに日本語教育機関が加わったので、このJASSOのデータからとった。

2014201520162017201820192020
44970563176816578658900798381160814

在留者などの統計は入国管理局のサイトの統計のページに
http://www.immi-moj.go.jp/toukei/
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan42.html

👉 2013年以前に関しては学生支援機構は日本語学校だけの数字は出していません。 

88年の増加はほぼ中国からの増加分。89に韓国が1000から急に3000台になり、91年に6487でピーク。以降5000前後で推移。その他の年の急な増減は2010年ごろまでは、ほぼ中国からの人数の増減に影響を受けている。ここ30年だと、増えて4万を越えると不法就労などで締め付けがあったり、その他の原因で減る、またじわじわ4万まで戻す、という周期があったようです。

90年代が日本留学のピークだと考えると、4万くらいが天井とも言えますが、2010年以降、世界的にも学習者数は減っているにも関わらず、5万から7万と増え続けているのは、留学生じゃない人を留学生として日本に入れるようになったことが始まったという可能性が高い。ただし、中国からの留学生は減っていません、つまり、ある程度豊かになると自己資金でも来るようになるということかもしれません。今後、アジアの経済成長などで自己資金での留学が増えるとまた新たな段階に入るかもしれません。

日本語学校の数の推移

日本語学校はいろんな種類がありますが、留学を扱う告示校に限って言うと法務省のページにリストがありますから、これをカウントして「700校超」などと報道されたります。しかし、過去の確定の数字や年ごとの推移などがあるページはありません(どこかにあるのかもしれないが、ネット上では見当たらない)

別の調査では、文化庁の日本語教育実態調査でも日本語教育機関の数字(「法務省の告示機関」としている。2019年の調査では506で、これは調査に応じる稼働している学校がこの数ということだと思われる)がありますが、いわゆる日本語学校だけの数字ではなく、調査年によって切りわけもマチマチなので、この日振協のものをベースにしました。ただし、告示校のうち日振協に加盟しているのは、半分以下に減りつつあり、その比率は下がっていると思われるので、不完全なデータです。日振協は、自分のところのデータを日本語学校すべてのデータであるかのように語りがちなので注意が必要です。

2020年には800校を越えているはずです。増減の雰囲気が掴める程度と考えてください。ただし、報道される700だとか800という告示校の数は登録してある学校のことで、実際に稼働しているのは400~500校だと思われます。以下は日振協で審査を受けている学校なのでほぼ稼働している学校だと考えてもいいと思います(一部休眠中のものもあるようですが)。

1989199019911992199319941995
342435463433407365322


1996199719981999200020012002200320042005
287276265268289327381409395383


2006200720082009201020112012201320142015
387383395426449451430393359336


20162017201820192020
315285270258252

文化庁の文書に日本語学校関連の数字が載るようになりました。
国内の日本語教育の概要
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

国内の稼働している日本語学校の数がハッキリしない問題

ハッキリしなかったんですが、2017年に改善されました。

ネット上で日本語学校の公開すべき情報を出しているところなかったのですが、2017年に文科省が出しました。

日本語教育機関における外国人留学生への教育の実施状況の公表について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1382482.htm

今後はこの文科省のページで確認できます。

この文科省のデータ公開に提出したのは370校前後です。告示校の数は2018年1月の時点で650超。2018年の10月には2017年に出した法務省の新基準に満たない学校は削除されると言われており、だいたいハッキリすると思います。おそらく稼働している学校は400~500校となりそうです。

技能実習生が30~40万人、特定技能などで今後プラス20万人くらい増えるのではと言われている。50万人超と考えることができそう。

以下にデータがあります。コロナで増減しましたが、コロナ直前は40万人。2022年に特定技能も10万人目前となり、今後、この2つの制度の就労系の数の比率がどうなるかは未知数です。統合の可能性も高そうです。

統計 | 外国人技能実習機構

日本語教育のサポート

技能実習生制度には日本語サポートの法的な義務はない。いろんな仕組みがあるがほぼ機能していない模様。日本語教育に関わる人が有資格者である必要もない。

例外的に2017年に新設された「介護」において来日後240時間の学習時間が義務づけられ、このうち200時間は日本語学習とされ、担当は有資格者マストとなったのみ。

介護の人数は2020年でまだ1万人以下

介護実習生・技能実習計画認定件数、令和元年度は8967件、約4割はベトナム : 日本介護新聞ビジネス版バックナンバー

上で述べたように2022年に10万人に近づきつつあり、今後は技能実習生制度との統合の可能性も高いと思われます。

2021年9月の時点ではまだ3万人前後。現状では技能実習制度からの移行がほとんど。今後、最初から特定技能という人が増えそう。日本に入国する条件として国際交流基金日本語基礎テストに合格するというハードルがあるが、これはCEFRのA2なので、やさしい日本語の理解も難しいレベル。以降の日本語教育のサポートは保障されていないので、ここもサポート対象だと思われる。有資格の教師による授業なども義務もない。

特定技能1号在留外国人数【2020年9月末時点】 | 特定技能online

今後は技能実習生や留学などから特定技能に移行させるという方向なので、特定技能が増えた分、他で減るということはありえるが、新規の数としても介護などで人数を増やしそうだと言われている。当初の計画では、5年で34万人だがコロナもあり難しそうだが、そういう計画であることは念頭においておくべきと思われる。

「特定技能外国人5年で34.5万人」はどう算出されているか | 三菱UFJリサーチ&コンサルティン

特定技能が35万人になったとしても、35万人が増えるわけではなく、技能実習生制度や留学から移行する可能性が高いので、おそらく新たに開拓し獲得する外国人の人数は10~20万かもしれない。

技能実習生を廃止して特定技能に完全移行になるという話が出ている。これは安倍政権の初期の方針もそうだったので、それが進む可能性もある。しかし、確保しなければならない数字がある以上は、特定技能で30~50万人を確保できる見通しが必要。統合するとしてもかなり先になるかもしれない。

👉 介護は2030年までに最低でも10万人は外国人で補填しないと破綻すると言われており、30万人必要という声もある。EPA、技能実習制度、特定技能、留学、介護、といういろんなルートで「かき集めている」状況だが苦戦中。

日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00400305&tstat=000001016761

日本語指導が必要な児童は約4~5万人と言われている。小中学校などを通じて日本語サポートは行われるが、日本語教師の資格は問われない。リタイアした国語教師などがあたることが多い。これは教員養成系の大学関係者によって勧められた有識者会議で決まったこと。日本語教師の有資格者は議論でまったく語られなかった。

「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」の結果について

ただし、これは学校に通っている数。学校に通っていないいわゆる不就学の児童は約2万人いるのではないかと言われている。

日本にいる外国人の子ども、約2万人が不就学の可能性…文科省 | リセマム
https://resemom.jp/article/2020/03/30/55564.html

さらに、南米からの移民政策では日本語教育が行われなかったケースが多々あり、今でも日本語教育のサポートが必要な人が万単位でいると言われている。

仮にこれらを合計して10万人いるとして、今後はこの数は確実に増え続けると言われている。2017年以降、特定技能を経て永住となり家族を呼ぶケースも増える。

就労系の在留資格である特定技能では5年目から家族を呼べる可能性があり、永住や長期の生活で家庭を持つことになる可能性も高い。ここでも日本語教育のサポートが必要になる。

その他

中国からの引き揚げ者、など、いろんな種類の日本語学習サポートが必要な人がいるが、おそらく数万人単位だと思われる。

週何時間?

留学生に許されているアルバイトの時間数の国際比較です。左から週あたりの時間数。許可が必要か。時間の所属教育機関での監視が必要なら○。同じく教育機関からの報告義務があるなら○。参考の法定労働時間は一般社会人の法定労働時間です。

国名バイト上限/週(大学)バイト上限/週(語学学校)事前の許可教育機関による監視教育機関による報告義務(参考)法定労働時間補足
日本28284036時間に拡大案
オーストラリア2020不要38院生以上は無制限
カナダ20不可40(8/h)
フランス18.518.5×35
ドイツ18.5不可35~38
イタリア20-×40年間1040時間まで
イギリス20不可48
アメリカ20不可40休暇中はフルタイムOK
韓国20*40
  • 中国は留学生のアルバイトは禁止。
  • 韓国は大学と語学学校は区別され、入国後後半年はアルバイト不可。
  • 海外では語学学校の留学生は通常「留学準備ビザ」的な資格で大学などの留学生と区別されることが多い。(日本も2010年までは区別)

アルバイトの時間は参考資料の「外国人留学生の受入れとアルバイトに関する近年の傾向について」を元にしました。2015年の論文です。留学生のバイト時間は「一般の労働時間の半分」で考えられているようです。日本の28時間は突出して多く、これが36時間となると一般の法定労働時間も越えてしまうこともあります。

時々報道される日本語学校の経営者が不法就労助長で逮捕となるケースでは週に平均30時間を越える労働をさせた、というケースが多く「学生は疲れた様子で勉強も手につかず」などと報道されます。実際に、そういう学校の進学実績をみると、ほぼ例外なく悪いということになっています。進学実績は上の「日本語学校の選び方」に一覧があります。

日本語学校では1年700~800時間、2年で1500時間以上は学習することを義務づけられていますが、日本語能力試験ではN3(到達までに300~500時間と言われている)の合格でさえ極端に低い結果となっています。通常は日本語学校にとってN3は「通過点」です。1年目の前半に試しに受けるか、もう受けない学校もあるくらいです。日本語学校の目標はN2(到達まで1000時間)、N1(到達までに1500時間~)です。「普通の」専門学校や大学で勉強できるギリギリのラインがN2。通常進学できるのはN2からです。

👉 ILO(国際労働機関)では、週48時間、1日8時間を越えてはならないことになっている。

👉 法定労働時間はドイツは産業別ですがだいたい35-38時間とのこと。イタリアは「40時間以上は禁止で越えたら訴えられる」だったりと細かい違いはあるようです。また改正もよくあるので、上の数字はあくまで参考です。2004年のOECDの調査がいっせいにされたものがベースになっていますので、上の数字の調査年は、法定労働時間に関しては、まちまちです。ただし、EUの平均労働時間は週40時間で過半数は40時間以下。イギリスは43時間で、かなり「多い」と言われてます。つまり、40時間は残業手当の目安ではなく、実質的な守るべき労働時間の目安となっており、それを越えることはほぼないということが重要です。法定時間を越える国は、おそらく上のリストでは日本と韓国のみです。

参考資料

外国人留学生の受入れとアルバイトに関する近年の傾向について 2015 志甫啓 
http://ow.ly/xCGh309jxAx
諸外国の労働時間制度の概要 2005
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0520-7a.html
労働政策研究、研修機構
http://www.jil.go.jp
留学生の資格外活動許可基準の歴史的変遷とその諸問題
https://drive.google.com/file/d/1nDECqH73lMReqJmeMCxd8HZGM7eHY4r3/view?usp=sharing

留学生の定義は国よって違います。ほとんどの場合、大学や専門学校に進学するための語学学校の留学は「留学生」ではない名称だったりして、アルバイトはほぼ禁止みたいな制限があります。日本はすべて同じで、制限も同じというかなり特殊な制度になっています。これは2010年に統合になり同じなったという経緯があります。これで30万人が達成されたことになっています。統合がなければ、今も20万人程度です。

以下は、各国の進学準備の留学生の待遇を、ざっと調べたものです。バイト規制は、2017年現在、厳しくなりつつありますので、しっかり知りたい方は新たにググって最新情報を調べて下さい。

□ ドイツ

大学などの留学ビザ、留学目的の語学学校のビザ、単なる語学学校のビザの3段階になっており、バイトができるのは大学などの留学ビザのみ。

□ カナダ

大学の留学ビザは週20時間のアルバイトが可能だが、語学学校はアルバイト不可。

□ フランス

3ヶ月以上の留学は、すべて長期学生ビザ。アルバイトは週18時間。

□ アメリカ

大学は学内のアルバイト以外は原則禁止。語学学校の留学生は全面禁止。

□ ニュージーランド

語学学校でも週20時間アルバイトできるが、国の審査で質が高い学校であると認定を受けた学校だけで、審査は厳しく、仮に日本語学校にあてはめると、30校ぐらいになる?

□ イギリス

細かく分かれており、1年以内の留学ビザではバイト不可。大学や専門学校の長期ビザ所有者のみ週20時間。語学留学の学生はアルバイト不可。

□ 韓国

大学や専門学校の学生と大学の語学学校などへの留学はビザで区別され、後者は、来日半年はアルバイトはできない。

□ オーストラリア

語学学校でもアルバイトが可能。

👉 上記の国々では、若者でバイトしたいならワーホリで、という棲み分けがあります。

日本もかつては大学などの「留学生」と語学学校などの「就学生」として区別されていてアルバイト時間なども違ったが2010年に統合され留学生ルールで統一、アルバイト時間も28時間に拡大された。

このような規制とそのルールは、「2010年に留学生と就学生が一本化され」とまとめられますが、国が勝手に決めたのではなく、日本語学校関係者が署名活動や(主に自民党関係者に)陳情をして国の委員会などで質問がされ、実現したものが多い。しかし、実現した後はこれらのことは無かったことになり「国が(勝手に)方針転換をした」ということになります。以下は、JaLSAがネットで公開していた会報です。陳情には日振協も同席していたという記述が多いので、基本的には両団体の総意だったと言えそうです。

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日本語学校関係者(JaLSAと日振協)は、表には出ないところで、2000年代から、バイト時間拡大や就留一本化だけでなく、すごいいろいろと政治家に陳情しているんですよね。エステで働けるようにしろとか、風俗店でも掃除くらいいいだろうとか、学校にバイトの斡旋業をやらせろとか。。。

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呉 禧受(おひす) 名古屋大学 国際言語センター 非常勤講師
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研究

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  • 最終更新: 2023/06/03 20:29
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