日本語教育関係のデータ

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日本語教育関係のデータ

日本語教育関係の調査をして公開しているのは、まず、文化庁、国際交流基金、学生支援機構、日本語教育振興協会などがあります。あとは日本語能力試験のデータは主催者のサイトに、日本語教育能力検定試験のデータは主催の日本国際教育支援協会のサイトにあります。ここでは、いろんな調査でわかった数字の調査年ごとの推移をみるために公開されているデータを整理しなおしてみました。「これを調べるならここ」と、元データがあるサイトは、各項目のところで紹介しています。

まずは俯瞰で考えてみます。

規模感を掴むため、ざっくりとまとめてみました

  1. 教師の数はここ数年、国内は4万人前後で、常勤(専任)が5000人、非常勤が15000人、ボランティアが2万人で推移。
  2. 有資格者の教師は累計で20万人はいるのではと思われる。国民600人に1人。10万都市に166人いる計算になる。
  3. 海外は65000人で、そのうち5万人がノンネイティブ教師。
  4. 告示校の教室の最大人数は20人までという規制がある。
  5. 定員の人数40人あたり専任は1人以上必要。(ST比40ルールは2023年10月からスタート)
  6. 国内の教師の平均年齢は55才前後。
  7. 学習者は世界に350万人前後おり、9割以上がアジア。
  8. 日本国内の日本語の学習が必要な人はおそらく100万人前後。

時間

  1. 日本語教師養成講座の時間は420「コマ」時間。1コマは最低45分なので、315時間。学費の平均はだいたい70万前後。
  2. 告示校は年間760コマ時間の授業が義務づけられている。1コマは最低45分なので570時間
  3. 専門学校や大学などはさらに多い授業時間が義務づけられている。

お金

  1. 民間の日本語学校の年間の学費はだいたい70万前後。来日時に半年分の寮費(3×6=18万くらい)と20万くらいの入学金(その他ブローカーへの手数料)などで100万円超が必要。自己資金でまかなう人は少なく、日本でバイトで返す予定のローンを組む。これは法務省が2005年前後に雇用予定証明(来日したら雇いますという国内企業の書類)があれば自己資金が少なくても留学OKとしたことから可能になった。この返済と進学先の入学金も日本で稼ぐ。
  2. 日本語学校設立の費用は自己所有の教室(300人規模でやるとして、地方なら数千万、大都市は億単位)と人件費、諸経費、に加えて3年くらいの運転資金(3000万くらい?)と言われてます。すべて終えて申請して早ければ1年で開校可能
  3. 既存の日本語学校は100~300人くらいの中規模で2±1億ぐらいで売りに出ることが多い。
  4. 専任の年収は約300万前後で、その後、昇給しても平均だと400万くらいまで。退職金はあっても100万くらい(小中学校の教員の退職金は2200万)。
  5. 非常勤の時給はコマ(45分)給が多くだいたい1500+α(2~300円)。2010年代後半に数年間の売り手市場は終わり、非常勤の昇給はほぼ期待できない。
  6. 日本語教師養成講座の講師の時給は3000~5000円。
  7. 大学の別科などの講師(修士マスト)の時給は4000円~。
  8. オンライン教師の1時間の料金設定のボリュームゾーンは1000~1500円で、1500円としても手数料は20%前後が多いので、手取りはだいたい時給1200円くらい。
  9. 海外の求人はほぼアジアのみで、東アジアは修士マストの流れで月給10~20万。東南アジアは学士でOKだが5~10万。その他の地域(北米欧州)は新規の求人はほぼ出ず、博士でも厳しい情勢。

その他の数字

  1. 日本語学校の数は登録上は800校前後だが連絡がつくのは650校前後で稼働しているのは500校前後だと思われる。
  2. 3年離職率はおそらく4~5割くらい(一般の平均は3割)
  3. ほとんどの日本語学校は、1週間20コマ以上、年間35週以上。
  4. 1年在学でCEFRのA2をクリアする学生が7割を下回ると許認可取り消しリーチ。3年連続でアウト。
  5. 設置者(代表者、理事長)は、禁固刑や執行猶予が終わった日から5年たてば復帰できる。
  6. 学生の出席率は日本語学校が管理する。8割マスト。
  7. 問題学生(失踪、低出席率)が5%を超えると「適正校(優良マーク的なもの)」の認定取り消し。定員増不可など制限が増える。

- 日本語学校の教師の比率は専任が3割、非常勤が7割。

👉 【参考】 (主な大学の)非常勤講師給・最低賃金(週1コマの月額)経年変化と、その2011年改訂版念のため保存したPDFその2

==== 今後必要な日本語教師の数と計画

  1. 留学生:約30万人。増える?
  2. 就労系の人達:約40万人で今後10年で70万人に?
  3. 児童&家族:少なくとも10万人。これも増加?
  4. その他:現在、未手当の人は数万人単位?

現在、80万強で、今後10年で+30~50万人?ただし、現在は就労系のほとんどは日本語教育のサポートはないので、これをカバーするなら、+70万人強となる。

学生数と必要な日本語教師の数

留学生の30万人は、約5000人の専任と15000人の非常勤(と大学の日本語教師1000人くらい?)で手当てされている。30万/2万人で、学習者15人あたり、教師1人が必要になっているという計算になる。

今後80万人増えるなら、現在の2万人に加えて教師はあと53333人必要ということになる。

👉 2020年の小学校の教員の数は約41万人、中学校の教員数は約24万人。

ここは日本語教育に関して調べた時にあたるべきソースを書いていくページですが注意すべきことがいくつかあります。

調査が少ない

特に日本語教師と日本語学習者に関する調査は少ないです。国が把握しているのは、告示校(法務省&文科省)周辺と大学(文科省)、日本語教師養成講座(文化庁)までなので、これらの学校関係のデータばかり。留学生や教師に関する調査はほとんどありません。

また、就労系(技能実習生制度、特定技能)の日本語教育機関に関する調査もほとんどありません。日本語教育に関しては特に規制下にはなく、現地の送り出し機関も日本国内の受け入れ期間も日本語教育は「おまけ」のサービスにすぎません。

調査が雑

おおまかな数字しかないものがあります。公表のしかたも雑です。

勝手に代表することがある

国の調査はともかく、日本語学校の組織の調査は、所属している学校の、全体の半数程度のデータしかないのに「日本語学校の全体像はこうである」と言いがちです。ときどきそれがそのまま全体の数値として報道されていたりします。例えば、日本語教育業界にはいくつか業界団体がありますが、違う組織の学校はカウントしない、みたいなことになっていて、全体を網羅した数字がなかなかありません。日本語教育振興協会(日振協)の加盟校は6割くらいですし、全国日本語学校連合会は25%くらいです。どちらの数字も全体象を表しているとは言えませんが、そうは書きません。「数字でみる日本語学校」みたいな紹介のしかたをします。

国の調査もいろんなバイアスが

省庁は調査も発表方法も比較的まともです。ここ数年の推移も出します。しかし、政府系法人などは、調査自体は大丈夫だと思いますが、発表の方法で、自らに都合のいいようにあれこれと「工夫」します。学習者数とか受験者数のように増減が組織の評価に影響するような数字は、過去からの増減の表は作らない。基本的に「やれと言われた範囲で」「都合のいいところまでしかやらない」という特徴があります。

例えば、能試の受験者数や合格者数は、2010年代の半ばまで、どこにも「**年の数」が出ておらず、年ごとの記録をみて書きだして、前期後期を足して、年ごとに自分で並べてみないとわからない、みたいなことになっていましたし、国際交流基金の海外の学習者数の調査では、減少した2015年の調査結果では「全体では減ったけど、減っている国以外では増加した!」みたいな変な発表のしかたをしてました。2005年に「学習者開拓」という方針に転換した国際交流基金は「学習者数」は「開拓」の成績表でもあるということなのか、増えないと困るみたいなことになっているようです

右肩上がり信仰

右肩上がりじゃないものは、調査年ごとの推移がないというのが大きな特徴のひとつです。推移があるのは文化庁の調査と日本語教育能力検定試験を主催する日本国際教育支援協会のサイトくらいです。ただし「右肩上がりなら作ることもある」という法則があります。調査する機関が省庁と結びつきが強い財団法人だとか社団法人なので、景気の悪い印象を与えると組織の存続に関していろいろマズいといったような事情がありそうです(独立行政法人の国際交流基金でさえ、あからさまにそうです)。

PDF、PDF、PDF…

法務省が出す告示校のリストは1枚のPDFファイルでしかも縦書きの一覧。文科省が出す日本語学校の基礎データはPDFで、しかも一校単位で地域別に1枚づつ。日本語能力試験のデータは2018年ごろに在留資格と結びつけられて増加が見込めるようになるまで、年ごとの比較は出しませんでした。今も、ざっくり「増えてます」という表があるだけで、別途あるPDF(これもPDF)はかなりわかりにくいものになっています。

例えば学校名で検索できたり、Web上で数値ごとにソートできる。みたいなことはしてくれません。PDFだけ。データは自分で数えたり、一覧を作って並べないと学校のデータの順位や数年の推移は比較できないように作られています。

👉 PDFは、「PDF エクセル」などで検索すれば変換ツールがみつかります。コピペしたり変換したりと工夫しながら自分で一覧を作るしかないようです。

年号と西暦

国の文書のほとんどが年号なのも読解を難しくしています。年号を西暦にするには

  • 昭和:25を足す
  • 平成:12を引く
  • 令和:18を引く

です。
平成12年が2000年、平成22年が2010年、平成30年が2018年、令和2年が2020年と覚えておくのも役に立ちます。

👉 西暦和暦年齢一覧表というサイトもあります。

2010年と2020年がターニングポイント

日本語教育の現代史は1973年に始まり、1988年に国の関与が本格的になり、その体制が約20年続きました。2010年は、日本語能力試験なレベルが4段階から5段階になり、就学と留学に分かれていた在留資格が留学に統一され、調査や統計でも数え方が変わったりしました。 2013年ごろから日本語教育の政策が国で議論がスタート、2017年あたりから決まったことが施行されはじめ、2019年に日本語教育の法律ができました。2010年体制を経て2020年体制が始まったところです。今後、調査の母体や調査方法が変わる可能性があります。過去からの定点観測的なデータがとりにくくはなりますが、ちょっとはよくなるかもしれません。

2010年に就学(日本語学校の学生)と留学(大学、専門学校)のビザが統合されたのが最も大きいですが、そのほかにも、日本語能力試験もレベル分けが4つか5つになったりしましたし、文化庁の調査でも日本語学校の数値が、大学や地方公共団体の日本語講座ではない「その他」で括られる(民間蔑視的な?)ので、日本語学校の数で数字が出ない、わかりにくいというようなことがありましたが、2010年代になってやっと分けられました。

留学生の政策はいろいろ問題も多いのでルールなどが変わりやすいという理由もあるようです。2010年の事業仕分けの影響も大きいです。

就労系の人達は日本語学習者だと考えられていない

ほとんどの調査は留学系の外国人のものです。30万人くらいが対象です。技能実習生、特定技能はすでに40万人超で留学生より多いですが、ほとんどの場合、調査対象になっていません。例えば、やさしい日本語関係の調査で語られる「日本語が通じる割合」などの調査は地方の日本語教室に通っている人が対象なので、技能実習生の実態が反映されているとは言えないはずですが、もう20年以上基本データとして使われ続けています。

民間の業界団体は

民間の日本語学校の業界関連組織は国への陳情のために会員校にアンケートをしても結果は一般公開されることはほぼありません。サイトの多言語化はほとんどなく、例えばベトナム語は一切なし。情報公開にかける意欲はゼロに等しく、80年代から学生の満足度、教師の待遇に関する調査をやっているのを見たことがありません。日本語学校は養成講座などを主催していることが多く、資格業界という要素もあるのですが、資格業界には欠かせない調査、例えば、資格取得者の就職状況や日本語教師の待遇などは、養成講座の集客に影響するからか、一切やりません。日本語教師の収入がどうなのか、30年以上調査がありません。平均勤続年数も離職率も年齢も男女比もわからないままです。資料はほとんと無いはずです。今は、日本語学校の団体は全体の半分くらいしか所属していないところばかりなので、調査をしても、全体像はわかりません。
一般的に、日本語教育関係者は、何かを考える時に、データをあたろう、調べよう、必要だ、という考えがほとんど無いように思います。来年学生が来るかは心配していても、日本国内に日本語の学習者が必要な人が何人いるのか、実は、これまで誰も数えたことがありません。

つまり、日本語教育業界でデータを調べる時は、普通ならあるものが無い、ということが時々起きるということを知っておくことは重要です。このページから辿った先でデータがなければ、あとは論文の独自調査ぐらいです。他の職種の人と話してて「えっ?ないの!」と言われたことは何度もあります。

2018、21年の文化庁による調査は重要

文化庁は審議中の日本語教師の公的資格化に反対する立場(おそらくは数が集まらないであろうことも、報酬に関心が無い人が多いということも見越してのことかなと思います)から、はじめてアンケートをとることになりました。報酬、養成講座の学費まで項目がありますが、時給は1000円未満、1000~2000円とかなりざっくりした回答項目です。つまり待遇について細かいことの調査が目的ではなく、資格化の議論の参考程度ということでしょうか。皮肉なことにこれがおそらく始めての日本語教師の待遇に関する本格的な調査になりそうです。

1) 2018年 日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)
https://webjapanese.com/dokuhon/files/source_arikata.png

:日本語教師の資格に関する議論の基本資料としてまとめられたもので、日本語教師に対する国の調査では最も詳細なもの。 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/r1393555_01.pdf

2) 2021 日本語教師の資格創設に係る状況調査の概要 | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/92591701.html

👉 念のため保存したアンケート用紙

結果

日本語教師の資格創設に係る状況調査の概要

https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/92591701.html

重要文書がある10のサイト。

  1. 告示校のリスト(法務省):告示校のリスト
  2. 日本語教育機関の開設等に係る相談について:「日本語教育機関の告示基準」と「日本語教育機関の告示基準解釈指針」が置いてあるページ
  3. 日本語教員養成研修の届出について(文化庁):日本語教師養成講座に関することの規制など。
  4. 日本語教育実態調査等 |(文化庁):国内の日本語学校と日本語教師養成講座
  5. 日本語教育機関調査(国際交流基金):3年ごとの海外の日本語教育機関の調査
  6. 留学生に関する調査 JASSO(文科省):留学生の国籍別の推移など
  7. 日本語能力試験:過去の受験者などのデータ
  8. 日本語教育能力検定試験(JEES ):教師の年代別比率がわかる資料。

重要な会議関連のサイト

2020年以降、重要な2つの会議。日本語教育政策のほぼすべてが決まる。

日本語教育推進会議 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_suishin_r01/

日本語教育推進関係者会議 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_suishin_kankeisha/index.html

日本語能力試験に関するデータは、以下のサイトに古くからのデータがあります。

JLPT主な国・地域別受験者数(1984~2016) http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/jlpt-data1.html

留学生試験のデータも。 http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/eju-data.html

日本語学校関係のデータについては以下にあります。 http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/ryu.html

政治資金センター :公益財団法人が作ったサイト。 https://openpolitics.or.jp/

日本語教育で検索すると2012年に日本語教育振興協会が自民党の下村氏に政治献金をした記録が出てきました。下村氏は2017年に日本語学校への口利き疑惑が文春に出た人で、日本語議連のトップです。日本語学校連合会(JaLSA)の荒木幹光氏も、2011年からずっと自民党の高村氏に献金してました。日本語学校の2大組織は自民党支持のようです。おそらくこの他、いろんな名義でいろんなところに献金が行われていると思います。日本語学校の理事長やその親族の名前などで検索してみては?

より詳しいことは日本語学習者のページに集約します。ここでは概観とソースのみ。

日本語学習者数の調査はかなりくせ者です。国内は就労系の人達の数が入っていないことがほとんどで、海外は増加でなければならないというバイアスが調査機関である国際交流基金にあるようです。つまり調査結果の数字をそのまま鵜呑みにする&使うのはダメで、かなり注意が必要です。よって補足も多め。

以下は在留資格が留学の人の数です。つまり日本語の学習者必要な人の数ではなく、学習しているだろうという人の数であることに注意する必要があります。留学は2020年の時点で約30万人ですが、就労系の40万人超の数やその他の在留資格の人達の数は入っていないのです。この留学の数を学習者とする考え方は日本語教育の世界でも定着してしまっています。

在留資格が「留学」の数

法務省 在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

日本学生支援機構(文科省) 外国人留学生在籍状況調査
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/index.html

日本語学校の学生数

これも在留資格が留学の人の数です。以下の2つを付き合わせないとだめっぽいです。

日本語教育実態調査等 | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

外国人留学生在籍状況調査 - JASSO
https://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/index.html

👉 2011年以前の日本語学校にしぼった数字は文化庁の調査では日本語学校だけに絞った数字がないのでわからない。で、2010年までは就学ビザという在留資格があったので、それで出した。つまり2010年以前の数はほぼ日本語学校の学生の数と思って間違いない(ただ、就学生制度ができたのは91年からなので、90年以前は留学生の数)。就学ビザの数で参考にしたのは、こちらのサイト

国際交流基金が3年後ごとに調査をして発表しています。

国際交流基金 - 海外日本語教育機関調査
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/

海外の日本語学習者数は今後の日本語学習者数を占う意味で重要ですが、調査機関の国際交流基金が2005年に「海外の日本語学習者のサポート」から「日本語学習者の開拓」へと方針変更したことで「成果としての学習者数は増えなければならない」ということになり、調査ではかき集め、機関での数以外にもまだいる!となり、減ってるようだけど減ってない!というトーンになっているのが気になります。ネガティブな結果は小声で、ポジティブな変化は大声で発表することになっており、SNS上でも関係者がアピールします。つまり、この調査はかなりバイアスがかかったものだと考えなければなりません。

他に調査機関はないので参考にするしかありませんが、そういうものだとして結果を見て、行間を読みながら考えるしかなさそうです。

国際交流基金の方針についての論文

日本の発信力強化のための5つの提言
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shingikai/koryu/pdfs/h18_teigen.pdf
我が国の発信力強化のための施策と体制~「日本」の理解者とファンを増やすために~ http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shingikai/koryu/pdfs/toshin_ts.pdf
関連論文:日本語普及による我が国のプレゼンスの向上―経済成長を推進する知的基盤構築のために―
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3533036_po_20120111.pdf?contentNo=1

👉 関連論文ふたつ。国際交流基金の日本語教育政策転換について「日本語教育スタンダード」の構築をめぐって国際交流基金のレトリックが日本語教育から見えなくするもの

全体の数

国際交流基金が3年後ごとに調査をして発表しています。SNS上でも、日本語専門家などによって、学習者数が増えた回に限り、積極的にアナウンスされます。これは「機関学習者」つまり日本語が学べる学校に通っている学習者の数です。すべての数ではありませんが、増減の目安のひとつとなります。
http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/

197919841988199019931998
12万716758万493473万380298万1407162万3455210万2103


200320062009201220152018
235万6745297万9820365万1232398万5669365万5024人384万6773人


202120–20–20–20–20–
379万4714

この調査も毎回発表されるのですが、推移の表などは上位の10カ国が作られるくらいで、長い期間の推移の表がないので、主な国だけ整理してみます。学習者数が多い国と最近伸びてきた国が中心です。

国別の学習者数上位

国名20002003200620092012201520182021
中国245863387924684366827171104649095328310046251057318
韓国948104894131910957964014840187556237531511470334
台湾161872128641191367247641233417220045170159143632
米国112977140200117969141244155939170998166905161402
オーストラリア307760381954366165275710296672357348405175415348
インドネシア5401685221272719716353872411745125709479711732
タイ39822548847108378802129616173817184962183957
マレーシア921917460229202285633077332243924738129
ベトナム101061802929982442724676264863174521169582
ネパール11531512173137482748426253269646
ミャンマー17124164697641313297113013560019124
カナダ2178420457195512748823110196011948918293
ブラジル1667819744216312137619913229932615720732
イギリス1445116323149281967315097200932004014631
フランス1211814445155341601019319208752415029569
ドイツ1102512655119451239014393132561546511687
トルコ13401229147311891965219425003305
サウジアラビア2031402746276080

この調査の基本的な読み方

日本語学習者数の増減は神9の動向次第

日本語学習者数は、調査が始まったころから、ずっと中韓台の三カ国(約200万)で半数以上を占めてきました。それに90年代に入って増えてきた豪、米、インドネシア、タイの4カ国(150万弱くらい)を合わせた「神7」で今も世界の日本語学習者の9割以上を占めてきました。

これらの国(と地域」ですが、以降国でいきます)は義務教育や大学などの選択科目に日本語があるというような国々です。この神7に、最近学習者が増えている新たにベトナムとミャンマーを加えた「神9」の増減で世界の日本語学習者数は決まるということになっています。日本政府や日本の企業の働きかけの結果、インドネシアやベトナムのように、中学高校の時に、もう日本語を選択するしかないみたいな状況がアジアでは(特に民主化が遅れている国や地域で)あるようです。(2013年前後にインドネシアは選択制になり日本語の選択者は減りました。政権の中国シフトもあって、今後も減りそうです)その他の地域は基本、弱含みで、微減、微増を繰り返しています。つまり世界の学習者数は日本語学習熱を反映しているというよりは、八カ国の動向で決まってしまう。それらの国の政策や日本政府の働きかけ、日本の企業の補助などによる変化が大きいということです。

この神9の学習者数はベトナムとミャンマーの新規参入組みを除くと2010年以降、下降気味です。前述のように選択が日本語必須だったものが自由選択になったとか、豊かになって留学先として他の国々への留学や就職が視野に入ってきたというのが理由ですが、やはり世界の中での存在感が希薄になり、多くの日本語学習者予備軍が「中国語に乗り換えた」というのが実際は多いのではという印象を持っている日本語教育関係者は多いと思います。東京でさえ、来日ビジネス関係者の語学レッスンは中国語におされぎみなのです。東京の都心のカフェで外国人は中国語の勉強をしています。

だいたい20位くらいまでは万単位で学習者がいますが、その下は数千人です。25位からは5000人を切り、3000人前後になります。数千人となると、国に1つか2つ大学に日本語コースがある。首都にひとつ政府や企業の補助による日本語コースがあり、そこで学んでいる人がチラホラというカンジです。50位以下あたりから1000人を切ります。

イメージと違って意外と少ないなというのは、25位以下のグループでは、ネパール、トルコがあり、50位以下のグループにオランダ、エジプト、ケニアがあります。

今後は、中長期的にも、東南アジアやアフリカなどで、日本の政府や企業の投資が集中する国(で、あまり対中関係がよくない国で、かつ民主主義が浸透してない国)で増えるが、その他の地域ではジリ貧ということになっていきそうです。そしてそれらの国の民主化が進む、あるいは豊かになって政治から経済指向になると日本語学習者は減る、という法則があるように感じます。

👉 ちなみに、調査が始まったのは1974年で世界の日本語学習者数の合計は7万7827人。1980年は12万7167人。1985年は58万4934人(中国の学習者数は6万弱だが中国政府の調査では50万人いるかもしれないとなっている。50万人いるなら合計100万人とのこと)。1990年は98万1407人(前回の中国の推定値は多すぎた?)。1993年は、162万3455人。1998年は、210万2103人。2003年は235万6745人、2006年は297万9820人。2009年は、365万1232人。2012年は398万5669人。2015年は365万1715人です。

👉 インドネシアでは2004年から教育課程が変わり、高校の第二外国語で日本語が選択可能になり、次第に必修化されましたが、2013年には自由選択となったとのこと。豪州では、90年代は中学でも日本語必修が多かったが、2000年以降は、高校からの自由選択となり、結果、日本語学習はほぼ地理学習的なものになったようで、日本語能力試験の受験者数は年1000人弱となっている。ベトナムでは2016年から一部の小学校などで日本語が必修となり、中学校で選択可能となりつつある。

👉 近年、世界的に語学スキルとしての外国語学習ではなく、相互理解のための一環としての語学という考え方が広まり、各地で多様な言語を選択肢に入れる傾向が高くなっています。「語学としての選択肢」でも英語一辺倒ではなくなっています。「アジアの言語もひとつ入れようか」というような流れがあります。そういう場での選択肢のひとつにしてもらうための「働きかけ」であるなら必要なものであると思いますが、今のところ、日本語の場合、援助や企業誘致とのバーターみたいな形が多いようです。その後、公立学校で日本語必修化スタートというパターンがあります。

各調査の補足

2018年の調査についての補足

2021年の調査についての補足

「日本語教育機関調査」のバイアス

まずGoogle Trend のここ15年(2004~)の検索回数をみてみます。

Japanese languageでの検索結果

japanese lessonでの検索結果

→ 2022年3月3日の時点の15年(2004~)の検索件数

2000年代以降、あきらかに減少傾向がみてとれます。国際交流基金の日本語学習者数調査とは違う風景があります。これは国内外の日本語教育関係者が実感として持っているものと同じではないかと思います。21世紀に入り、海外の民間の日本語教育機関はほぼ消え(先進国の大都市周辺の民間の語学学校には日本語コースがありましたが、0年代に大半は消えました)、大学などの日本語コースは明らかに減っています。その減少分をアジアの国々への「働きかけ」によって中高で第二、第三外国語の選択肢に入れてもらって学習者数で補っているというのがリアルなところだと思います。しかし2010年代になっても基金の関係者は「学習者は増えている!」「調査を読め」と認めようとしませんでした。

2015年、始めての減少へ

国際交流基金の2015年の調査では、はじめての減少を受け、調査開始以来初の減少という調査結果を受けて、かなり慌てた様子でした。発表もかなり遅れました。2015年の速報のプレスリリースでは毎回作っていた学習者数の表やグラフではなく、代わりに「減った国以外は増えてる」というグラフを作りました。 また、「本調査の対象外となっている、独学で勉強している学習者等については、インターネット環境の普及に伴い増加しているとの報告が一部の国から上がっています。」と続き、「参考」という資料で、国内の日本語教育機関の学習者は入っていないこと(昔から入れないので定点観測であるこの調査の増減には関係無いし、入れても20万人くらいですが…)、海外の独習者は入っていないことを強調したりしています(これも昔から入ってないので定点観測としては無理に入れないのが正解なのですが…)(海外の独習者はネットの発達で可視化されてきましたが、おそらく日本語学習機関外の独習者が最も多かったのは2000年前後だと思います)。

結果として、2015年の調査報告は、国際交流基金にとって、学習者数は基本的に右肩上がりでなければならない、という考えがにじみ出たものとなっていました。これだけアレコレ発表方法でドタバタするということは、調査自体は客観性が保たれているということかもしれないのですが、それにも疑問符がという論文もあります。

👉 しかし次の2018年もそうでしたが、実は海外の日本語学習者の増減は、10くらいの日本語学習者が多い国々の増減で決まります。減った分の9割以上はその10の国の減少分で、その減少分をやはり10の国の増加分で補うという構造になっています。その他の国々は基本的に微減です。

👉 その2ヶ月後には、電通との協同調査で、韓台香で、学校以外の学習者は8倍いるというような(かなり特殊なサンプリングで疑問が残る)発表をしたりしていました。調査段階で減少がハッキリしたので「2015年では減少となったけど、ホントは減ってない」というキャンペーンもセットで準備したんだな、という気がします。

ただ、プレスリリースを出したら翌日には新聞に載るのですが、2015年の減少はまったく報道されませんでした。杞憂に終わったわけですが、メディアも日本語教育に関しては、景気の悪いニュースなら要らない、という程度の関心しかないのだ、という二重に悲しい結果となりました。2018年は、増加しましたが、この20万人の増加分はベトナム、ミャンマー、豪州の増加分(おそらくは中高などでの文化/地理学習的なもの)でなんとかカバーしたというものでした。この結果も増加であるわりには、あまり報道されませんでした。

👉 この辺りの関連論文は最後にあります。

ネットには10倍の日本語学習者がいる?

ネットには基金の調査の10倍はいるはずだというのは、やさしい日本語ツーリズムなどでも語られる数字で、基金の村上氏などは少なくとも3倍としている。その根拠を尋ねたところ「公開できない秘密の資料でそうなっている」という回答がありました。

これは、どうやらこのやさしい日本語ツーリズムの根拠のひとつとされている電通の吉開氏の2014年の 第10回日本語教育・日本研究シンポジウム口頭発表資料にある調査あたりが、根拠になっているようでした。ただし、この推定の数字は翌年、査読で却下となっています。

日本語学習者の学習意識における 学習者本人と日本語教育者・一般日本人の認識の差
:機関外の学習者の推定関連は査定でNGとなっています。 https://www.slideshare.net/akirayoshikai/for-slideshare-42331966/33

日本語学習者の学習意識における学習者本人と日本語教育者・一般日本人の認識の差ー「インターネット時代の新自律学習者」が日本理解・日本コンテンツ/製品消費の主役にー
Akira Yoshikai, Co-founder at the 日本語 learning community at Dentsu
https://www.slideshare.net/akirayoshikai?utm_campaign=profiletracking&utm_medium=sssite&utm_source=ssslideview

日本語学習者の学習意識における学習者本人と日本語教育者・一般日本人の認識の差—訪日観光客・日本製品消費者としての日本語自律学習者についての考察— 国立国語研究所 日本語研究・日本語教育文献データベース
https://bibdb.ninjal.ac.jp/bunken/ja/article/200000204284

2017年以降

今のところ、アジアでは中国語は今世界中で学ばれている状況があり、韓国語の背中も見えなくなりつつあるというのが正確な理解というところです。長期低迷のドイツ語と同じ位置です。

→ 2022年3月3日の時点の過去5年の日本語、韓国語、フランス語、ドイツ語の比較

【試算】 「本当の数」を考えてみる

では、世界の日本語学習者数は何人くらいが「自然」なのか?

冷静に考えるために、試算してみます。米国は、日本語の学習や日本のカルチャーに対するアクセスが簡単な国で、義務教育での日本語教育はほぼないものの、やろうと思えば進学先などで自由に選択ができ、かかるお金もそれほどではありません。日本語を学ぶメリットもそこそこあります。

この米国を「義務教育化など強制がほぼなく、自由に外国語が選択できて、しかも日本語学習へのアクセスがいい環境のサンプル」として考えるとします。日本語学習者はここ数年、だいたい15万人で人口(3億2千万)の0.04%。無理のない環境下では、0.04%の人が日本語を選択する。人口1000万人あたり4000人。これを世界の人口(72億)に適用すると、280万人です。米国は例外的な、ほぼ最高の環境ですし、世界の人口のほとんどは厳しい環境にいるわけで、この数字は、かなり最大限の、天井と言ってもいい数字です。

もうひとつ、考えてみます。上で紹介した国際交流基金の「韓国中国インドネシアを除いた日本語学習者数」は約140万人でした。世界の人口の約0.02%です。これだと人口1000万人あたり2000人の学習者数です。突出した数字が抜けるので、当然、ランキングの20位以下の国の比率とかなり近くなってきます。これも「自然な数」に近い指標になるかと思います。

間をとって0.03%として、72億だと216万人、これを上限とすると、100万から200万人くらいの間で増減がある、というのを「無理な働きかけ」無しでの素直な日本語学習者数だと考えておいた方がいいような気がします。2000年前後の世界の日本語学習者数がだいたい200万人ですから、そのあたりがピークで、その後はある種の「バブル」だったかもしれません。100万人台になっても不自然じゃないですし、それでも学習者数として決して少ない数ではありません。もう学習者数に一喜一憂するのは、やめたほうがいいのではという気がします。

👉 人口の0.03%、つまり人口に0.0003をかける(「小数点以下ゼロみっつで3」と覚える)と妥当な日本語学習者数が出るということになります。日本語学習者が多い上位の国だとその数字の数倍になりますが、10位以下のフランスやカナダあたりだと国際交流基金の学習者数とほぼ同じになります。0.0003はおぼえておくと便利かもしれません。

機関外の学習者はどのくらいいるのか?

2015年の調査での減少を受け、基金は、この調査は機関で学習している人の数で個人でネットを活用して学習している人は増えているので正確なものではない、という主張をするようになりました。確かにアジアで常時接続環境になったのは2010年代なので、おそらくトータルでネットで学習をする人は増えていると思われますが、基金の関係者が言うように「調査の10倍の学習者がいる」というのは難しいと思います。「学習者」の定義から考えることも必要になります。誰でも**語やってみようかなとアプリをインストールしたり無料のコースにアカウントを作ってみたりするものです。これを「学習者」としてカウントすれば学習者数は跳ね上がります。

機関外、つまり自分で勉強してる学習者の数を正確に推定できるような調査をするのは無理だと思います。ただ、これは、まず学習者の定義(日本語だと、ひらがな、カタカナの読み書きで、かなりフィルタリングできるかもしれません。どちらも完全に書けて、かつ学習を続けている人をカウントする)を決めて、定点(例えば、辞書や自習用教材の発行部数、ネットを意識するなら、日本語学習コンテンツの訪問者数、オンライン辞書やひらがなAPIへのアクセス数とか、コミュニティのアクティブ登録数、SNSでのノンネイティブの日本語での投稿数など)をいくつか定めて、データをとっていけば、増減はわかります。学校以外の学習者へのサポートを考えるならば重要な数字なので、はじめるべきだと思います。

今は、独習者はネットで情報を収集する確率が高いと思われます。ネットのデータをみてみましょう。

基金の日本語学習コンテンツのアクセス数

例えば、国際交流基金の日本語学習コンテンツは2016年でも、多いものでも月の訪問者は10万くらいでここ10年くらい変わりません。初級学習者を取り込むつもりで2016年に作られた「みなと」というサイトも、月の訪問者数は15万くらいです。2018年の目標は登録人数が12000人とのことなので、それほど多くはありません。だいたい20万が天井です。

海外での教材の売れ行き

海外での教材の売れ行きに関しては、日本語の教材事情で少し分析しています。日本で使われている「みんなの日本語」がおそらく年20万部、中国で年間20万部、その他は合計で10万部いかないのではないか?というものです。

Duolingの日本語コースの登録者数

もちろん、教材がなくても、ネットで日本語に興味を持ち、ネット上のリソースやSNSやスカイプや他の学習コミュニティなどで勉強している人はいるのですが、そういうコミュニティも20万を超えたものはないようです。2018年にDuolingの日本語版がスタートしました。ユーザー数はプログラム選択時に表示されますが、これがあまりハッキリした数字ではないので、何とも言えない。2018年のDuolingo発表の数字だと以下になる模様。
https://jakubmarian.com/duolingo-number-of-users-per-language-statistics/

600万人が日本語を選択したとなっていますが、初級終わりくらいまでのコース修了率はかなり低い模様。(2019年1月)
https://forum.duolingo.com/comment/30363109/Percentage-of-users-who-complete-their-tree-for-each-language
日本語のコース修了者は 0.015%とのこと。600万人いるとして1000人以下。他の言語でも高くて0.1なので、まずはDuolingoのアカウントをとってみる、アプリをダウンロードしてアカウントだけ取ったけど放置、という人は無数にいると思われます。おそらくはアクティブユーザー数のうち、ちゃんと始める人は1割以下で、日本語だと初級前半修了くらいまで行く人は数万人単位ぐらいなのではと推測されます。

結論(推測)

ずっと日本語学習者相手のコンテンツを作ってきた者として、感覚だけで言うと、現状、学校以外で自習でやっている学習者は何人か?は、N5(ひらがな、カタカナをやり挨拶や単文の勉強を始める)をクリアして学習中で、「初級の最後(300時間くらい)までやってくれると期待できる数」とすると、学校の学習者数と同数(つまり+365万人)か多くてその2倍(+730万人)くらいかな、というところです。つまり、2倍としても、学校での学習者365万人と合わせて1000万人くらいと考えるのが妥当なところなのではないでしょうか?

大事なことは、統計では結果に忠実に伝えるべきであり、多く見せようとか少なく見せようということはやってはいけないということです。加えて、もし、学習者数を増やしたいと考えるならば、現状を正確に把握することが出発点です。この現状把握を間違えば、戦略も間違う。可能なかぎりリアルな、正確な現状を把握することは、もっとも重要、ということです。

👉 ついでに言うと、機関外学習者の独習者の数のピークは、Google Trendの検索結果と同じく、おそらく2000年はじめあたりだったと思います。(海外の若者が幼少期にマリオやジブリに増えた時期はだいたい2000年まで)その後、ネットの発達、インフラの整備で特に2010年以降は、語学の自習環境は飛躍的にあがったんですが、残念ながら、日本語学習熱のピークとはすれ違いになった感があります。

👉 日本では2000年代に入り、常時接続環境の整備が進みましたが、フランス語やタイ語の学習者が増えたとは言えません。ネットで語学の学習者が増えるというのは眉唾という気がします(むしろ英語偏重が進んでいるという気がします)。ついでにいうとネットの発達、活用で語学の上達速度が飛躍的に伸びる、というのも、日本での英語学習への影響を考えると、それほど期待できないと考えるのが自然です。

人口比でみる日本語学習者数

**国で日本語が人気!と言われて学習者数が引かれますが、その国で人気かどうかは、数より比率でみるほうが正確かもしれません。2015年のデータを基に人口比で出してみたものです。

まず学習者数が1万人以上の国と地域をピックアップして比べてみました。19あります。人口比だと他にも高いところがあるかもしれませんが。また、日本語学習者が多いネパールと、多いと思われているトルコの2国も参考までに入れてみました。上でも述べたように、自然な比率だと、だいたい0.01~0.03%あたりが真ん中ではないかと思います。

国名人口比学習者数人口
豪州1.5%35万7348人2313万人
韓国1.1%55万6237人5022万人
台湾0.9%22万00452352万人
ニュージーランド0.6%2万9925人447万人
香港0.3%2万2613人718万人
インドネシア0.2%74万5125人2億4999万人
シンガポール0.2%1万0798人539万人
タイ0.2%17万3817人6701万人
マレーシア0.1%3万3224人2972万人
中国0.07%95万3283人13億5700万人
ベトナム0.07%6万4863人8971万人
フィリピン0.05%5万0038人9839万人
米国0.05%17万09983億1890万人
カナダ0.05%1万9601人3516万人
スリランカ0.04%1万0120人2048万人
フランス0.03%2万0875人6603万人
イギリス0.03%2万0093人6410万人
ミャンマー0.02%1万1301人5326万人
ブラジル0.01%2万2993人2億40万人
ドイツ0.01%1万3256人8062万人
インド0.001%2万4001人12億5200万人
ネパール0.01%4242人2780万人
トルコ0.002%2194人7493万人

中韓はライバルか?

日本語教育の世界は政治と接する際に、よく「このままでは中国や韓国に~」と言うことがあります。2010年代の国際交流基金の予算がからむ文書やプレゼン資料にもよく出てきますし、コロナの時の日本語学校団体の陳情でも「このままでは中韓に遅れをとる」が常套句でした。実際にそれを真に受ける政治家も増えており、効果があると考えられているようです。しかし日本よりも強い制限をしている中国ですが、中国語の人気には影響していません。

21世紀に入ったころから世界の中国語学習熱は別格で、もはや英語に次いで学習されている言語と言ってもいいと思います。中国の留学生数は50万人を突破し、100万人を目指せば簡単に達成しそうです。しかも、中国の留学生はアルバイトは完全に禁止。つまり純粋に留学目的で、世界最長の週28時間のアルバイトが可能な日本の留学生数とは比較するのもおこがましいカンジです。

そして、2010年代にはいってからは、韓国の背中も見えなくなりつつあります。

Googleトレンドで、日本語、中国語、韓国語の検索数を比較してみます。

2004年から2022年までの検索の推移

基本減少傾向で、いずれも21年夏にデルタで落ち込んでますが、韓国語学習熱が元々強く「コロナで韓国語に流れた」とだけ言うのは無理そうです。中国語の数字は低くなっている理由はわかりません。中国語学習者数は10年ほど前から億単位になっているはずですから。
2017年から2022年までの5年間の推移

こちらは直近5年の比較。2018年前後に韓国語がピョコンと出てるのは多分、BTSなど米国でのKPOPブームの影響?2020年代に入り日本語に差を付け始め、その後コロナ下で引き離してからは圧倒し、日本とダブルスコアです。2022年でも継続しており、この検索数では現れない世界の中国語学習熱は別次元はともかく、韓国語の背中も見えなくなりつつあるというのが実態なのではと思われます。韓国のエンタメは米国でもメインカルチャーの真ん中で若者の人気を独占していて、日本のエンタメはどちらかというと40才以上のサブカル中年に人気という傾向はあきらかです。

Duolingoでも2022年になって学習者数は韓国に抜かれはじめています。

2022年の記録

韓国エンタメがNYを席巻、サブカルに追いやられた日本の逆襲は?(1/4)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット)

https://dot.asahi.com/dot/2022012900025.html

同時に、海外におけるソフト戦略というものがいかに風頼みのものかという気もします。今は日本国内の日本語教育の整備のほうが重要課題であり、海外は2005年以前の世界の学習の下支えに徹する方向に戻り、日本語国内の日本語教育の充実に重心を置いたほうがいいのではという気がします。

その他の参考になりそうなデータ

機関学習者数ではない学習者数も考えつつ、世界の日本語学習者数を推察するためのデータはいくつかあると思います。

  1. 能試の受験者数:コロナ前で約100万人ですが年2回なので複数回受験者もいますから7ガケくらいいい?
  2. Duolingoのアクティブユーザー数:これは上からだいたい100万人くらいでしょうか
  3. italkのニーズ:これはオンラインレッスンのプラットホームの「現在のニーズの試算」で少し分析してみました。1時間1000円を払って勉強する人の数として考えることができます。だいたい5000人はいないかなというところでは。
  4. 基金などの日本語学習コンテンツの訪問者数:多くても月10~20万くらいです。

1)は、例えば豪州は30万人超の学習者がいることになっていますが、受験者数は1000人程度です。豪州はオーバーカウントの可能性がある。つまり、機関学習者数の検算としても使えるということだと思います。

データで見る日本語能力試験 | 日本語能力試験 JLPT

https://www.jlpt.jp/statistics/index.html

【参考サイト】

アメリカの大学で学習されている外国語トップ10 | ごがくねこ

https://gogakunekoblog.com/learned-languages-ranking-usa/

日本語学校はいろんな種類がありますが、留学を扱う告示校に限って言うとhttp://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukanho_ho28-2.html

にリストがありますから、これをカウントして「800校超」などと報道されたりますが、過去の確定の数字や年ごとの推移などがあるページはありません(どこかにあるのかもしれないが、ネット上では見当たらない)。

http://www.nisshinkyo.org/article/overview.html はありますが、日振協はすべての日本語学校が加盟しているわけではないので、不完全なデータです。

法務省の告示校のリストにある800校前後には、休眠中の学校も多数あると思われます。稼働している数は文科省にデータを提出している学校(400前後)+α(100校以下)だと思われます。文科省にデータを提出しているのが以下の学校。

日本語教育機関における外国人留学生への教育の実施状況の公表について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1382482.htm

日本語学校関係のデータについては以下にもあります。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-koron/ryu.html

生活実態、収入などのデータは一切ありません。以下に国内の専任と非常勤とボランティアの数が載るのみ。

日本語教育実態調査等 | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

国際交流基金が3年後ごとに調査をして発表しています。これは「機関学習者」つまり日本語が学べる学校に通っている学習者の数です。すべての数ではありませんが、増減の目安のひとつとなります。最新版は2018年です。

国際交流基金 - 海外日本語教育機関調査
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/

男女比、年齢比などは、2014年以前は、以下から推測することができるだけです。

JEES 日本語教育能力検定試験 結果の概要
http://www.jees.or.jp/jltct/result.htm

現役で働く年代別の調査は文化庁の日本語教育実態調査では2014年(平成26年)から調査が始まりました。 日本語教育実態調査等 | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

一番古いデータと最新(2020年の時点でわかるもの)の比較です。

10代20代30代40代50代60代70代以上回答なし
2014186(0.5)2161(6.5)4000(12.1)5085(15.4)6010(18.2)7271(22.0)2601(7.8)5635(17.1)
2018143(0.3)2078(5.0)3801(9.1)6203(14.9)7373(17.7)9119(21.9)4089(9.8)8800(21.2)

これも文化庁の調査でわかります。講座の数、受講者数など。

日本語教育実態調査等 | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

2006年以前のデータは以下に
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9218806/www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/jittaichousa/

2018年 日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)
https://webjapanese.com/dokuhon/files/source_arikata.png

:日本語教師の資格に関する議論の基本資料としてまとめられたもので、日本語教師に対する国の調査では最も詳細なもの。 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/r1393555_01.pdf

法務省に提出される告示校のデータを基に委託された組織が独自に調査したもの(使用教科書、主任教師など)を追加した冊子が出版、販売されています。アマゾンで3000円前後で買えます。以前、法務省が政府刊行物として毎年作っていたものと同じです。独自調査も加わっているので、政府刊行物のままなのかは不明、著作権なども不明で、その説明もないので、引用しにくいデータです。報告してある数字の正確性にもやや疑問があります。

日本語学校全調査
https://amzn.to/30vIfj9

日本語教育現状調査-大養協による日本語教員数動向調査- 2012年
https://daiyokyo.files.wordpress.com/2012/02/14-2-2nisikawa.pdf
→ 調査結果はどこにあるのかわからず。

日本語教育機関における待遇実態調査の報告 2019年
https://daiyokyo.files.wordpress.com/2019/03/06e5a4a7e9a48ae58d94e8ab96e99b86efbc88e8a5bfe5b79defbc89.pdf
→ 結果の報告があります。

金沢大学 日本語教師採用基準アンケート2017年 アンケート
https://jp.surveymonkey.com/r/6CFFCBK
結果
https://www.dropbox.com/s/yh39fpd9zzyh32q/JPTeacher_matsuda2017.pdf?dl=0

能力試験のデータは、毎回の結果があるだけでしたが、2018年あたりから推移として表にまとめられるようになりました。 https://www.jlpt.jp/statistics/index.html

2011年からレベルが4つから5つになりました。2009年が受験者数もN1合格者数もピークで、2009年からは年に2回となり、試験が行われる回数も場所もここ10年で激増しています。2016年まで、2009年の数字がピークでした。しかし、2010年後半に、能試の合格が在留資格と紐つくことになり、2017年から一気に上向きとなりました。日本語学校の国の査定にも使われるので、N3N4は増えるのは確実です。在留資格との関連が無いN1が「本気の学習者の数」を見る上で重要になってきそうです。また、N2の合格者数のわりにN1が伸びない傾向も出てきています。N2は進学や就職などで重視されることが多く、N2がゴールとなりつつあるのかもしれません。

以下の表のレベル別の数字は「合格者数」です。上の主催者の推移は「受験者数」になっているので違います。(お試し受験もかなりあるので、合格者数のほうが推移をみるにはいいはずですが…)

1992~2011年

-19922002200920102011
実施国・地域数2639545862
受験者数68565242331768113607972608157
N1786886760865629
N2907728843776647
N3612623800935390
N4229512503831685
N524603

2012年~

-20122013201420152016
実施国・地域数6465676969
受験者数572169571075594682652529755802
N16027264197595445626259929
N27241075400728187668789185
N33301355184418824905766333
N42503129469293093105835752
N525987829884297323473138045

2017年~

-20172018201920202021
実施国・地域数8186872826(69)
受験者数88738010090741168535370028684907
N16624968506735473627068442
N21073791125041229706381190260
N377195889551020215314974337
N44240346301573822310941625
N54481449771524801373125031

👉 もうちょっと昔からの数字はこちらありました。JLPT主な国・地域別受験者数(1984~2016)

👉 2020年 第1回(7月)の試験は全世界で中止。

日本語学習者数との関係

国別の合格者数も出ますので、人口比で出してみます。年2回開催といっても、ほとんどの国、米国や豪州でさえも、年に一度だけ、みたいなこともわかります。年2回なのは、学習者数が多く、能試がビザに関係してくることで受験者数が多いアジアの国が主になってます。サンプルは2015年の結果。年2回ある国は、重複して受験する人もかなり多いと思われるので、2回を2で割ってひとまずの平均とします。

2015年第一回
http://www.jlpt.jp/statistics/pdf/2015_1_3.pdf
2015年第二回
http://www.jlpt.jp/statistics/pdf/2015_2_3.pdf

2015年の日本語能力試験の受験者数と学習者数の対比

国名第一回第二回合計平均学習者数受験者数の比率
中国9380087454181254906279532839.5%
インドネシア6033117901782389117451251.2%
韓国267032756354266271335562374.9%
台湾3403036117701473507322004515.9%
ベトナム224492467247121235606486336.3%
オーストラリア1117111711173573480.3%
米国3904390439041709982.3%
ブラジル2894289428941991314.5%
ネパール326461787393274814.3%
イギリス4825481030515150973.4%

大きく3つに分けられると思います。

ひとつは、中韓のように、学習者の5~10%が受験する国。学習者数が多く、高校や大学でも日本語が選択肢にあるころが多い。勉強したからには就職などでも活用するために試験を受けておいた方が、というようなところがありますが、日本語学習歴が長いのである程度落ち着いています。両国は、試験好き、というか試験に慣れているというところもあります。台湾もここに入れてもいいかもしれません。

2つめは、比較的日本語熱が高い国々で、かつ、勉強したからには能試は受けてビザや就職に役立てる、という国です。10%を越えてきます。ベトナム、ネパールなど。

3つめは、学習者数は2,3万くらいで、そのうち本気でやってる人は、力試しで受けようか、というくらいの国です。留学や就労系で在留資格と結びついているからということもない、いわば普通の、自然な数字。イギリス、米国など、欧米の国はだいたいここかなと思います。受験の比率は5%以下です。

どれにもあてはまらない国として、ブラジルと豪州、インドネシアがあります。ブラジルは能試の受験率が高いのは継承語としてやってる人達など、受験を奨励されているということがあるのだと思われます。

豪州、インドネシアは学習者数に対して極端に受験者数が少ないパターンです。5%を越えてきても不思議じゃないのに、過去の数字もみても多くない。特に豪州は受験者数は極端に少ないです。インドネシアはまだ就職に直結するケースがあるけれども、豪州の場合は、それほどでもない、というようなことかもしれません(それにしても米、欧州よりも少ない)。日系企業に就職するならN2が必須と言われますが、そこまで到達する人が少ないのではないかと思われます(豪州は毎年N1N2の合格者はそれぞれ200人前後です。35万人も学習者がいるにしてはかなり少ない)。つまり学習者数としてカウントされている数は多いが、本気の学習者は、中韓などに比べるとかなり少ないことが伺い知れます。

インドネシア、豪州ともに、小中学校で日本語の授業が行われています。これがカウントされていますが、実際は継続的に学習している人は少ない。それに加えて、おそらく小中学校などで、地理的な(文化学習、相互学習)学習の一環として行われている日本語学習のクラス(語学は参考程度で日常会話レベルまでもいかない)の学習者もカウントしている可能性もあります。受験者数から割り出す豪州とインドネシアの「本当の学習者数は」だいたい、学習者数として出ている数の10分の1くらいと考えるのが妥当かもしれません。インドネシアは74万人なので、7万4千人。オーストラリアは35万人なので3万5000人です。これは、人口に、0.0003をかけた数だと、豪州は、6939なのでその約5倍、インドネシアはちょうど75000人なので妥当な数字です。2015年の世界の日本語学習者数は365万人でしたが、これを他国の平均的な学習者と均して、豪インドネシアの数字を修正し、実態に即した数にすると、ここから100万人弱減るという計算です。

👉 今後は、こういう相互学習的なクラスの学習者を「日本語学習者」としてカウントすべきか?ということについて、考え直すべきかもしれません。この種の語学学習は世界的に広がりつつあり、そこで日本語が教えられるケースも増える可能性があります。しかし、この数を入れるなら学習者数は実態以上にふくれあがってしまいます。正確な見極めができなくなりそうです。

👉 しかし、国際交流基金は学習者数は多ければ多いほどよい、学習者を増やすのが使命、ということになっているので、数字として入れられるなら入れる、ということになると思います。国際交流基金の調査の数は本気の学習者数ではない、となってしまうのは、調査の方法としていいことだとは思いませんが、一般の関心は低いので正確な数を知りたいというニーズはありません。メディア受けするもの「多ければ多いほどいいだろ」ということになるのです。

日本国内

国内の日本語教育に関しては、この文化庁の調査(H24年度)に、ここ10年の推移のデータがあります。 http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

データは、平成だとわかりにくいので西暦にしました。

この20年での推移です。専任、非常勤、ボランティア、数と比率。ここ数年上向きですが、有資格者によるカバー率は2002年以前のほうが高いということに注意です。2017年に日本語学校はST比管理となり40が基準となりましたが、国内の専任の比率はほぼ変化なしです。

-1992200220122015201620172018201920202021
教師数16276273723439236168379623958841606464114175539241
専任2317 (14%)4042 (14%)3975 (11%)4146 (11%)4648(12%)5115(13%)5655(14%)6635(14%)5868(14%)6166(16%)
非常勤6325 (38%)10091 (36%)9631 (28%)10304(28%)11271(30%)11833(30%)12908(31%)15031(32%)13989(34%)14230(36%)
専任+非常勤8642 (53%)14133 (51%)13606 (39%)14450(39%)15919(42%)16948(43%)18563(45%)21666(47%)19857(48%)20396(51%)
ボランティア7634 (46%)13239 (48%)20786 (58%) 21718(60%)22043(58%)22640(57%)23043(55%)24745(53%)21898(52%)18845(48%)

👉 %の数は小数点以下は四捨五入。

👉 学習者数が、技能実習生+特定技能で25万人、留学生が30万人、その他が10万人とすると65万人。専任講師の数で割るとST比は「98」となる。(ST比は正規雇用の教師で計算するのが慣例)

海外の日本語教師の数

海外の日本語教師の数は2010年代以降、微増というところ。2015年の国際交流基金の調査によると、海外の学習機関で教えている日本語教師の数は、約64000人です。

国際交流基金の概況
http://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/dl/survey_2015/all.pdf

同調査によると、このうち日本語母語教師の比率は約22%。約14000人です。

https://webjapanese.com/dokuhon/files/kaigaikyoooshi1.png 

小中高校での比率もやはり2割くらいです。8割は日本語を学習した現地の教師です。

https://webjapanese.com/dokuhon/files/kaigaikyooshi2.png 

仕事として日本語を教えている教師は…

約14000人の海外の日本語ネイティブの教師のうち、基金の調査を基に教室で学習している学習者数の比率でわけると、東アジアが60%、東南アジアが15%です。つまり、8400人が東アジア、2100人が東南アジア、合計10500人に、残りの3500人がそれ以外の北米や南米、欧州、アフリカ、つまり、14000人の日本語ネイティブの日本語教師のうち、おそらく半数以上は月給10万前後で、2割は3~5万です。残りの3割4200人のうち、日本の労基法をクリアするレベル(東京労働局試算の月収14万円+手当て)で働いている正規雇用の教師は半数弱の2000人くらいというのが妥当なところでしょうか。

アジア以外の3500人のほとんどは、現地で結婚したり、配偶者の人の家族ビザだったり、レアケースですが、現地の大学を卒業し現地の教員免許を持っている人、あるいは、2000年以前に現地に渡り(当時は修士があれば現地でまだ仕事があった)なんとか続けているという人達です。日本語教師としてワーキングビザで滞在している人は世界に500人いるかな?と個人的には思います。その500人もほとんど修士博士あるいは特殊なコネみたいな人達です。

世界の日本語教師の数

国内で正規雇用が約4000人、非正規が約10000人、海外で約64000人(日本語ネイティブは14000人)です。 日本語ネイティブの教師に絞ると、国内14000人、海外14000人で合計28000人、このうち日本の労基法をクリアするレベルで働いている正規雇用の教師は国内で約4000人、アジアで2000人、アジア以外で500人くらい、というところでしょうか。

日本語教育能力検定試験の受験者の年代別比

検定試験の主催者であるJEESの2020年の年齢比のデータの画像です。 https://webjapanese.com/dokuhon/files/kentei2020.png 

こちらにデータがあります。
http://www.jees.or.jp/jltct/result.htm

👉 これは、教師の年齢の比率ではなく、試験の受験者、スタートラインに立った人の年齢構成です。つまりキャリアを積んだ高齢の教師が日本語業界にいるのではなく、キャリアの浅い高齢の新人教師がどんどん入ってくる業界であるということです。

👉 日本語教育能力検定試験は有資格者となる方法のひとつにすぎませんので、国内の日本語学校の就職では所得していれば有利と言われていますので、日本語学校への就職希望者の受験率は高いと思います。

👉 2020年は10月25日、第三波の直前に行われ、年末、新年に千人を超える感染者数となった。

文化庁の調査をもとに、日本語教師養成講座の講座数の推移の一覧を作ってみました。

1993-2008年

いわゆる一般の日本語学校や資格スクールは「一般の施設・団体(日本語学校など)」に含まれる。

-1993199820042005200620072008
大学院・大学100180200203214215223
短期大学11372112121013
一般の施設・団体(日本語学校など)108167169261302316285
合計219384390476528541521

👉 2004から2005年の大幅な増加が気になります。後で示しますが、この年は、講座受験者数はそれほど増えていません。この年は日本語学校の業界団体が分裂した年でもあり、利益が出る養成講座の許認可に何か動きがあったという可能性があります。

2008~2017年

分類が変わりました。(2008年だけダブリます。いわゆる民間の日本語教師養成講座(告示校+資格スクール系)は「上記以外」)

-2008200920102011201220132014201520162017
大学等機関236205207207213217214174194185
地方公共団体・教育委員会375462556686688410086
国際交流協会131130137106161139136164174149
上記以外117171146157160165139101114104
合計521560552525600607557523582524

2018年~

2018年からまた分類が変わり、「上記以外」として合算されていたものが、告示校と任意団体等の2つに分離されました。資格スクールなどは任意団体等に含まれるのではと思われます。この2つは文化庁に届け出をして受理されたところでしょうから、有資格者となるいわゆる420コマ時間の養成講座は、この告示校と任意団体等、あと大学等機関の修了者ということになり、その他のところは数時間から数十時間のコースの可能性が高いと思います。

-2018201920202021
大学等機関173180187195
地方公共団体・教育委員会9991116143
国際交流協会130136129152
告示校60596666
任意団体等58113105119
合計520579603675

2019年の増加分はほぼ「任意団体等(資格スクール系)」の増加分で告示校以外のところが日本語教師養成講座として受理されたものが増えた可能性が高いようです。

2006年以前のデータは
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9218806/www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/jittaichousa/

これは日本語教師の需給のバランスと人気度を測る意味で重要な数字。入学金が60万以上のところがほとんどなので、就職、転職を考えている人がほとんど。よく分類が変わる。

これも文化庁の調査しかない。
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/

1998年と2002~2010年まで

「その他」は地方公共団体、教育委員会、国際交流協会などの主に地方の公的機関と日本語学校の数字を足したもの。大学では2004年の3万人強がピークで、以降、2020年にかけて12000人程度まで減少する。

-19982002200320042005
大学短大など2062124585236013077324315
その他86681151613218995613350
合計2928936101368194072937965


-200620072008200920102011
大学短大など224812349129356229131822919555
その他14947147091123010695109979427
合計379653762838200405863360829206

2012~ 2017年

2012年から地方の公的機関と日本語学校などを分けるようになったが、この「日本語学校など」は告示校と資格スクールなども含まれる。

-201220132014201520162017
大学短大など202301740313723157541453112802
地方公共団体・教育委員会・国際交流協会66867922106311048790768936
日本語学校など4881478511467277156605318
合計317973011035818261422926727056

👉 大学での文学部で「の日本語教師陽性での人集めブーム」が終わった後は減少の一途。若者から就職先としては2010年代の10年で仕事として見限られたということは、上の教育能力検定試験でもこの時期から若者の受講者がぐっと減ったことからもわかる。一方で、民間の日本語教師養成講座は、養成講座は高齢者をターゲットにして伸びており、2014年の倍増からの2015年の(前年の反動での?)激減の変化が目を引きます。このころ、日本語学校の新設も増え、非常勤の時給も上がり、特に新設校で必要な主任(専任3年経験以上)の好条件の求人が目立ちました。

2018年~

2018年から日本語学校と任意団体(資格スクール系)が分離された。

-2018201920202021
大学短大など12031123721180113026
地方公共団体・教育委員会・国際交流協会9822506930243740
日本語学校など3867302240174596
任意団体等3841535928802440
合計2956131826261556789

2017年までは、民間の日本語教師養成講座数は、4000~5000で推移していたが、2019年に任意団体等(資格スクール系)の講座が一気に増え8000人台になっている。コロナ下でもあまり数字は減っていない。

👉 日本語教師養成講座は、日本語学校業界の民間資格なのだから、本来なら、日振協、JaLSAなどの学校の業界団体はちゃんと講座数、学習者数だけでなく実態を調べて調査し、数字を出すべき。たとえ文化庁がやっていたとしても。無責任。




研究

  • 日本語教育関係のデータ.txt
  • 最終更新: 2022/12/25 20:35
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