留学

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留学

留学という在留資格に関することのまとめです。居住者で学校に通う人達とは区別します。

日本人にとっての留学

文科省は留学推進キャンペーンである「トビタテ!留学JAPAN」で、だいたい以下のようなことを書いています。

「文部科学省は、意欲と能力ある全ての日本の若者が、海外留学に自ら一歩を踏み出す機運を醸成することを目的として、2013年10月より留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を開始しました。(同年11月に開催された「トビタテ!留学JAPAN」TAKE OFFイベントへの安倍内閣総理大臣(当時)のメッセージはこちら)政府だけでなく、社会総掛かりで取り組むことにより大きな効果が得られるものと考え、各分野で活躍されている方々や民間企業からの御支援や御寄附などにより、官民協働で「グローバル人材育成コミュティ」を形成し、将来世界で活躍できるグローバル人材を育成します。」
https://tobitate.mext.go.jp/about/index.html

あまりハッキリしませんが、日本という国にとって「大きな効果が得られるものと考え」ていることはわかります。また2022年の7月時点の文科大臣である末松信介氏は

「若い時期の留学や海外経験は、将来の可能性や選択肢を広げ、また、多様な人々との関りの中で海外から日本を客観的に眺めることは、広い視野と俯瞰的な視点を身に付ける絶好の機会ともなります。」

と書き、それが「将来の日本を支えるグローバル人材の育成に」に繋がると結んでいます。

受け入れる国としての留学

上の理屈からすると、日本に来るほうの留学は留学生が「将来の可能性や選択肢を広げ、また、多様な人々との関りの中で海外から自分の国を客観的に眺めることは、広い視野と俯瞰的な視点を身に付ける絶好の機会」であり「将来の留学生を支えるグローバル人材」となることによって、留学生の母国の発展に繋がるということになるはずですが、そう書かれた文書はありません。奨学金のサイトでもなぜ奨学金を出すのかは書いていません。

外国人留学生の受入れについて:文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1306886.htm

外国人留学生の日本留学への誘い:文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1370866.htm

国費外国人留学生制度について:文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/06032818.htm

いろいろと検索しましたが、なぜ「留学生を受け入れるのか?」という理由は見つけられませんでした。ただし、予算審議や、政治家によるスピーチでは、「親日家育成」という理屈がよく使われます。これは外務省の方針とも合致します。コロナ下のワクチン接種などで外国人への接種の説明でも、「彼らは将来、親日家として母国とのつながりを作ってくれる大事な存在」ということが語られました。

令和4年3月3日 岸田内閣総理大臣記者会見 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/0303kaiken.html

22年の3月の入国規制緩和でも岸田首相は「留学生は我が国の宝」と語りましたが、どう宝なのかは、不明なままでした。おそらくは、留学生の受け入れというのは「日本にとってメリットがあること」であり、親日家の養成のために行われるものだという考え方が主流になりつつあるようです。2020年は、さらに、日本の会社で就職して、日本で働けみたいなことも加わりました。比較的に外国人問題に理解がある人も、日本に住んで、日本の国際化、多文化に貢献してくれ、みたいなことを言う人も増えました。

しかし、日本から海外に行く日本人の若者には、留学先の国を好きになって、できればそこで就職しろ、とは言いません。帰ってきて日本の発展に貢献しろということになっています。外資系の企業に就職したら奨学金カット、みたいなこともあるようです。

おそらくは自分の子供が留学する場合は、またちょっと違うかもしれません。成長は望んでも、国に貢献しろとか、留学生を好きになれとまでは言わない。基本、留学は個人のもので、国を背負うものではないし、国を好きになるかどうかみたいなことは、異文化体験、海外体験が多い人ほど考えないものだという気がします。

海外では

海外の政府関係者や奨学金を出す財団などになぜ留学を支援しるのかを訊ねると、ほとんどの場合、以下のような回答が出てきます。

  • (私たちの国、もしくは財団などは)学習する環境を作り若者に提供することができる幸運を得たので、それはシェアすべきだと考える。
  • 政治的などさまざまな理由で自由に学問をできない若者がいれば、その自由がある自分達の国で達成してほしい。
  • 経済的に苦しい国々に対し、それを救う義務がある、それを若者を育成する機会を提供することで実現したい。
  • 経済的な発展は途上国の犠牲の上にたっている側面があり、先進国は途上国に対して自立的な成長を促進することに寄与する義務がある。

こんなところだと思います。

自国の国益のために、私たちの国の味方を増やしたい、みたいなことは、国や政府、その周辺の人達に仮にあり、政府関係者が会議室の中で語ることはあっても、表立っては言わないみたいな不文律があるように思います。特に、第二次大戦の前後の文化・宗教侵略的な対外教育政策は自国中心主義的だと批判された経緯もあり、21世紀は、留学やそのサポートは、あくまで機会を提供するものであり、先進国が負うべき義務でもあり、世界の中でそういう役割をシェアすべきという考え方が中心となっている(はず)だと思います。

つまり、国益のために留学生は有益だみたいなことは、貧しい理屈であり、あまり口にしないほうがいいのでは、という気がします。しかし日本では、国益に資することを語ることは誇らしいことだという人は増えており、そう語ることにメリットは多いのが現状です。

JASSOに概要があります。

日本語教育機関 - JASSO
https://www.jasso.go.jp/sp/ryugaku/study_j/search/nihongokyouiku.html

国費留学生が中心ですが、私立中学や高校などの独自の交換留学制度や自治体のもの、短期留学生などいろいろあります。留学以外のビザの外国人の学生も増えていますので、昔のように学校の外国人はほぼ留学生ということではなくなっており、留学自体も減る可能性もあります。

留学ビザを受け入れるためには、法務省に日本語教育機関として認定される(告示校と呼ぶことがあります)必要があります。ただし日本語学校は昨今、留学生相手だけではなくなっており、学校には留学ビザ以外の学生もいることがありますが、留学ビザで受け入れた場合は、法務省の告示基準による規制があるので、最低限やらないといけない授業時間数があったり(760単位時間。1単位45分なので570時間)年間有資格者の教師でないといけないとか、1クラス20人を超えてはいけないという基準を満たさないといけないことになっています。

告示校のリスト(法務省)
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukanho_ho28-2.html

告示基準と解釈基準
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00044.html

直接大学に留学するケース、大学の別科と呼ばれる大学内日本語学校的なコースから進学するケースと、日本語学校から進学する3つのパターンがある。別科から他の大学に進学することもある。

大学が独自に海外に事務所を構えて募集活動をすることもあるが、ほとんどの場合日本語学校を経て推薦枠などで入学する。

こちらも大学と同じく、専門学校内やグループ内に日本語学校がありそこから進学していくるパターンと、受験や推薦枠などで一般の日本語学校から進学してくるパターンがある。専門学校が独自に海外から学生を集めることも少ないがある。専門学校のほうが民間の日本語学校への依存度は高い。

留学時にできるアルバイトのこと。原則として風俗関連以外はなんでもできるが、新聞奨学生のように特別なルートがあるケースもある。

*風俗営業の定義については「風営法解釈基準」を参照
https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/hoan20180130.pdf

アルバイトの時間に関する制度と変化

日本はつい最近(2010年)まで、大学や専門学校は留学ビザ、日本語学校は進学準備ビザ(就学ビザ)と別でした。1983年まではアルバイト禁止。1998年に週20時間だったものが、主に大学関係者の「実態に即していない」という声を受け28時間に拡大しましたが、日本語学校の就学生は休み期間の8時間は許されず4時間が上限でした。日本語学校関係者はこれに抗議して、就学生と留学生の統合とアルバイト時間の28時間への拡大の署名を集め政治家に陳情してきたという経緯があります。

2010年、おそらくは留学生30万人計画の達成(2020年までとなっていました)が危ういことを悟った政府は、2010年に就学生と留学生を統合し、就学生を留学生としてカウントすることにしました。結果、日本語学校の学生も留学生の規則に準じることになり、日本語学校の休業中の8時間もOK、28時間可能ということになりました。

このように、これまでアルバイト時間は「必要だから」「実態はそうなっていないから」というような理由で拡大されつづけ、結果として世界でも例外的な制度になっていったという経緯があります。

◆ 留学ビザの労働時間は自国の法定労働時間(日本を含むほとんどの先進国はILOの基準である週40時間以下です)の半分を目安にしていると考えられます。

◆ 留学生の資格外活動許可基準の歴史的変遷とその諸問題 https://ci.nii.ac.jp/naid/40006623237
http://www.jaise.org/ronbun/ronbunpdf/9_019.pdf

外国人留学生の受入れとアルバイトに関する近年の傾向について 2015 志甫啓
https://ci.nii.ac.jp/naid/40020606689

諸外国の労働時間制度の概要 2005
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0520-7a.html

労働政策研究、研修機構
http://www.jil.go.jp

新聞奨学生

90年代から(もっと前から?)読売、朝日、産経などほとんどの新聞社が新聞奨学生制度を設けている。選考は厳しく優秀な学生が多いと言われているが、新聞配達は朝夕刊となると激務であり、週28時間を越えているケースも多いのではと言われている。

外食チェーン

大手の外食チェーンも奨学生制度を設けているところがある。2004年に入管から雇用予定証明があれば留学審査において自己資金が少なくてもビザを出すという方針が示され、以降、奨学金とという形で契約をしてというケースが増えたのではと思われる。

コンビニ

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外食は特定技能などでカバーされるようになりつつあるが、コンビニは以前として就労ビザでの手当はなく、依然として留学生頼みだと言われている。

2020年の新たな規定

法務省:「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00059.html

留学生が大量に消えた東京福祉大学には学部研究生制度というものがあった模様。
https://archive.is/silv5 

就労ができる「その他の活動」として便利に活用されている項目。留学生関連では学校を卒業し就職活動をするためのオマケ的な在留資格として在留期間は6カ月でさらに6ヶ月延長可能で合計1年まで、というものだったが、2019年以降、在留資格並の滞在が許可される特例もできるようになりつつある。

特区だとやれることが多かったりと、いろいろと偏りはある模様。

起業マニュアル – Tongali(とんがり)プロジェクト
https://tongali.net/program/kigyou-manual/

留学で受け入れた学生は卒業したから終わりではなく、在留資格が切れると不法残留になってしまうので、学校が責任をもってやれと法務省(入管)から言われているようです。

例えば留学ビザで入国した人が日本国内で犯罪を犯し、逮捕された場合、どのこ学校を経由して来たかは明らかになるはずですが、メディアには公開されません。おそらくは学校関係者や所属団体(日振協やJaLSAなど)には連絡が行くはずです。これは告示周辺の規制や、学校の審査を行う上で、目に見えない形で大きな影響を与えることになるはずです。

法務省:留学生の卒業後等における教育機関の取組等について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00086.html 

この責任の所在は曖昧で、例えば学校が勝手に退学処分にして帰国させることは原則としてできないはず。しかし法務省は在学中の管理も学校に委託している部分もあり、退学処分に関しては、ある程度の裁量は認めている模様。ただし、近年学校側はこの裁量権を拡大解釈してトラブルを起こすケースが多く、裁判になって、退学処分にともなう強制帰国や授業料の未返金、授業を受ける権利の剥奪などに関しては違法と判決が出始めている。これは昨今、留学生問題が注目され、弁護士グループなどによるサポートによって裁判を受けることになって顕在化してきたという側面があり、これまでは泣き寝入りだった案件とも考えられる。

入管と日本語教育機関の間であうんの呼吸でやってきたことが人権問題として明るみに出るようになった、という解釈が正しい?あるいは入管が日本語学校の裁量権を認めない方向に動きつつある?(日本語学校は自己判断で入学させた学生は自己責任で最後まで管理せよというような?)

👉 2018年の佐賀の日本文化教育学院の裁判2019年のホツマインタナショナルの裁判(和解)など。

通常は進学や就職先が決まり在留資格変更をする。ただ、2018年以降、は介護や特定技能など、留学(=進学)から180度方向転換をする資格変更の道も出来たので、複雑化しつつある。今は以降期で、数年もすれば、最初から進学目的は留学に、就労は技能実習生制度や特定技能で来日するようになるという声もある(今のところどうなるかはまったくわからない)。

一般的な在留資格へ

特定技能へ

ただし特定技能への変更を前提にした留学は、ベトナムとの覚え書きでは、2年通い、特定技能の試験な合格するというハードルが設定された。 法務省:日本国とベトナム社会主義共和国との間の在留資格「特定技能」に係る協力覚書(MOC)の交換について
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00026.html

これまでにも多摩の日本語学校、佐賀のヒューマンアカデミー、離島の例など、自治体が校舎を提供したり、講師の人件費の一部を負担したりというものがあったが、2020年になっても継続中。

鹿児島県内初 閉校校舎に日本語学校 長島町、旧汐見小に開設 介護士目指す外国人向け、農作物収穫のアルバイトも想定
https://archive.is/QpfQN

在学中は地元の人手不足解消のアルバイト要員として、卒業後はできれば、地元の専門学校に進学し、あと2年いてもらう。卒業後は地元の介護施設で、という自治体発信の公的な外国人労働者斡旋事業とも言える。しかし「留学生」とのことで、在留資格は「留学」かもしれない。あるいは「介護」?

👉 地元に就職することを約束に、奨学金を出したりするのは、職業選択の自由、移動の自由を奪うものとして裁判になっており、違法という判決が次々と出ている。職業選択の自由、移動の自由などとの関連は学生の契約書次第では問題となる可能性もありそう。

留学生数は、留学ビザで日本に滞在している人、ということになると思います。ビザの種類ごとの統計は法務省が、留学生数としては日本学生支援機構が出しています。

法務省 在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

日本学生支援機構(文科省) 外国人留学生在籍状況調査
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/index.html

法務省と学生支援機構の数字は微妙に違うようです。日本学生支援機構は「我が国の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、我が国の大学に入学するための準備教育課程を設置する教育施設及び日本語教育機関における、外国人留学生の在籍状況に関する調査」となってますからここから漏れるケースがあるのかもしれません。ここでは、ひとまず留学生の数としてよく引用される学生支援機構の数字で整理しています。

「留学生30万人計画」は、この数が指標になっています。ただし、2010年までは大学、専門学校の学生は「留学生」、日本語学校の学生は「就学生」として区別していました。日本語学校の学生は「留学生」としてはカウントしてなかったわけです。2010年以降は、統合されて、日本語学校の学生約3~5万人(その後10万人近くまで増える)が加算され、見た目の数がグンと増えました。日本学生支援機構の調査では、それから少し遅れて2014年から留学生数に日本語学校の数を入れることになったようで、2014年に5万人前後増える結果となっています。2017年は日本語学校の留学生数は7万人を超えました。30万人計画の達成目標年は2020年でした。

200820092010201120122013
123829132720141774138075137756135519


2014201520162017201820192020
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これも、日本学生支援機構(文科省) 外国人留学生在籍状況調査の上位国からとった。数字がないのは、その調査回は上位5位以内ではない、ということです。2016年以降は国別のデータは発表されなくなっています。法務省の留学ビザの統計には国籍がすべてあるのでそこで集計することもできる(でもさすがに面倒なのでそれはやりませんでした)。
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/index.html

上の留学生数のうちの国籍別の推移です。

国名20082009201020112012201320142015
中国7276679082861738753386324818849439994111
韓国1886219605202021764016651153041577715279
ベトナム2873319935974033437362902643938882
台湾50825332529745714617471962317314
ネパール245131881044816250


国名20162017201820192020
中国98483107260114950124436121845
韓国1545715740170121833815785
ベトナム5380761671723547338962233
台湾83308947952495847088
ネパール1947121500243312630824002

週何時間?

留学生に許されているアルバイトの時間数の国際比較です。左から週あたりの時間数。許可が必要か。時間の所属教育機関での監視が必要なら○。同じく教育機関からの報告義務があるなら○。参考の法定労働時間は一般社会人の法定労働時間です。

国名バイト上限/週(大学)バイト上限/週(語学学校)事前の許可教育機関による監視教育機関による報告義務参考)法定労働時間補足
日本28284036時間に拡大案
オーストラリア2020不要38院生以上は無制限
カナダ20不可40(8/h)
フランス18.518.5×35
ドイツ18.5不可35~38
イタリア20-×40年間1040時間まで
イギリス20不可48
アメリカ20不可40休暇中はフルタイムOK
韓国20*40
  • 中国は留学生のアルバイトは禁止。
  • 韓国は大学と語学学校は区別され、入国後半年はアルバイト不可。
  • 海外では語学学校の留学生は通常「留学準備ビザ」的な資格で大学などの留学生と区別されることが多い。(日本も2010年までは区別)

アルバイトの時間は参考資料の「外国人留学生の受入れとアルバイトに関する近年の傾向について」を元にしました。2015年の論文です。留学生のバイト時間は「一般の労働時間の半分」で考えられているようです。日本の28時間は突出して多く、これが36時間となると一般の法定労働時間も越えてしまうこともあります。

時々報道される日本語学校の経営者が不法就労助長で逮捕となるケースでは週に平均30時間を越える労働をさせた、というケースが多く「学生は疲れた様子で勉強も手につかず」などと報道されます。実際に、そういう学校の進学実績をみると、ほぼ例外なく悪いということになっています。進学実績は上の「日本語学校の選び方」に一覧があります。

日本語学校では1年700~800時間、2年で1500時間以上は学習することを義務づけられていますが、日本語能力試験ではN3(到達までに300~500時間と言われている)の合格でさえ極端に低い結果となっています。通常は日本語学校にとってN3は「通過点」です。1年目の前半に試しに受けるか、もう受けない学校もあるくらいです。日本語学校の目標はN2(到達まで1000時間)、N1(到達までに1500時間~)です。「普通の」専門学校や大学で勉強できるギリギリのラインがN2。通常進学できるのはN2からです。

👉 ILO(国際労働機関)では、週48時間、1日8時間を越えてはならないことになっている。

👉 法定労働時間はドイツは産業別ですがだいたい35-38時間とのこと。イタリアは「40時間以上は禁止で越えたら訴えられる」だったりと細かい違いはあるようです。また改正もよくあるので、上の数字はあくまで参考です。2004年のOECDの調査がいっせいにされたものがベースになっていますので、上の数字の調査年は、法定労働時間に関しては、まちまちです。ただし、EUの平均労働時間は週40時間で過半数は40時間以下。イギリスは43時間で、かなり「多い」と言われてます。つまり、40時間は残業手当の目安ではなく、実質的な守るべき労働時間の目安となっており、それを越えることはほぼないということが重要です。法定時間を越える国は、おそらく上のリストでは日本と韓国のみです。

【参考】

外国人留学生の受入れとアルバイトに関する近年の傾向について 2015 志甫啓 
http://ow.ly/xCGh309jxAx
諸外国の労働時間制度の概要 2005
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0520-7a.html
労働政策研究、研修機構
http://www.jil.go.jp
留学生の資格外活動許可基準の歴史的変遷とその諸問題
https://drive.google.com/file/d/1nDECqH73lMReqJmeMCxd8HZGM7eHY4r3/view?usp=sharing

2010年までは、日本でも留学ビザ(大学や専門学校に通う学生のビザ)と就学(しゅうがく)ビザ(大学に進学するための語学学校である日本語学校の学生のためのビザ)と分かれており、アルバイト時間も就学生は1日4時間実質週20時間(土日もOKと解釈しているケースもあった。その場合は28時間)、というルールでしたが、2010年になぜか留学ビザで一本化されました。海外では分けていることが多く進学準備の語学学校の学生のアルバイトは禁止ということがほとんどです。

以下は、ざっと調べたものです。バイト規制は、2017年現在、厳しくなりつつありますので、しっかり知りたい方は新たにググって最新情報を調べて下さい。

□ ドイツ

大学などの留学ビザ、留学目的の語学学校のビザ、単なる語学学校のビザの3段階になっており、バイトができるのは大学などの留学ビザのみ。

□ カナダ

大学の留学ビザは週20時間のアルバイトが可能だが、語学学校はアルバイト不可。

□ フランス

3ヶ月以上の留学は、すべて長期学生ビザ。アルバイトは週18時間。

□ アメリカ

大学は学内のアルバイト以外は原則禁止。語学学校の留学生は全面禁止。

□ ニュージーランド

語学学校でも週20時間アルバイトできるが、国の審査で質が高い学校であると認定を受けた学校だけで、審査は厳しく、仮に日本語学校にあてはめると、30校ぐらいになる?

□ イギリス

細かく分かれており、1年以内の留学ビザではバイト不可。大学や専門学校の長期ビザ所有者のみ週20時間。語学留学の学生はアルバイト不可。

□ 韓国

大学や専門学校の学生と大学の語学学校などへの留学はビザで区別され、後者は、来日半年はアルバイトはできない。

□ オーストラリア

語学学校でもアルバイトが可能。

👉 上記の国々では、若者でバイトしたいならワーホリで、という棲み分けがあります。

日本もかつては大学などの「留学生」と語学学校などの「就学生」として区別されていてアルバイト時間なども違ったが2010年に統合され留学生ルールで統一、アルバイト時間も28時間に拡大された。

このような規制とそのルールは、「2010年に留学生と就学生が一本化され」とまとめられますが、国が勝手に決めたのではなく、日本語学校関係者が署名活動や(主に自民党関係者に)陳情をして国の委員会などで質問がされ、実現したものが多い。しかし、実現した後はこれらのことは無かったことになり「国が(勝手に)方針転換をした」ということになります。以下は、JaLSAがネットで公開していた会報です。陳情には日振協も同席していたという記述が多いので、基本的には両団体の総意だったと言えそうです。

日本語学校関係者(JaLSAと日振協)は、表には出ないところで、2000年代から、バイト時間拡大や就留一本化だけでなく、すごいいろいろと政治家に陳情しているんですよね。エステで働けるようにしろとか、風俗店でも掃除くらいいいだろうとか、学校にバイトの斡旋業をやらせろとか。。。

👉 このページに関連する私達の出版物のご紹介です。


元日本語教師の行政書士が、日本語学校や就労系の人達の在留資格について、基本からわかりやすく解説。在留資格のことが「わかる」ようになる一冊です。

辻󠄀 太輔 著
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研究

日本における中長期在留外国人の移動過程に関する縦断調査(2017年度調査)
http://www.ipss.go.jp/projects/j/PSIJ/index_psij.html

教育達成を通じた移住過程としての日本語学校
「日本の中長期在留外国人の移動過程に関する縦断調査(PSIJ)」を用いた分析
http://www.ipss.go.jp/publication/j/WP/IPSS_WPJ20.pdf

ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書)
https://amzn.to/3ieI8hb

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  • 最終更新: 2022/09/29 01:15
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