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EPA
概要
特定活動のひとつとして、2008年スタート。
不足が予測されている介護と看護に携わる労働者を補填するために作られた枠組み。
国際厚生事業団(JICWELS)を通じて来日。来日までの枠組みはキッチリしていて民間の斡旋などはない。送り出し国で研修を受け、能試で足切りラインを越えて来日し、滞在中4年のうちに介護福祉士の資格を取得すれば3年働ける(延長可)。対象国はインドネシア、フィリピン、ベトナムのみ。日本語研修は経産省(国内&教材開発も)、外務省(海外)が主導している。それぞれの国で締結した条件などが違う。
EPAの概要 (厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/other22/
来日前
応募の条件はフィリピンは4大卒か看護学校卒、インドネシアは3年以上の高等教育機関か看護学校卒、ベトナムは看護学校卒のみ、とのこと。 国際交流基金による六ヶ月の日本語研修でN5まで行かないと日本に行けない。(N4、N3合格者はこの研修が免除)、ただしインドネシアはN4がマストになりそうとのこと(ただしフィリピン、インドネシアはN4「程度」で能試の合格は今のところ要件にはなっていないとのこと)。ベトナムは12ヶ月研修でN3まで達しないと日本に行けない。
👉 国際交流基金は担当する日本語教師を募集しているが、基金の「専門家」とは違って「講師」という位置づけで契約社員的な待遇。給料も安い。
来日後
フィリピン、インドネシアは、6ヶ月、ベトナムは2ヶ月半の日本語研修がある。
と国によって来日前の研修も来日条件も違う。なお日本語研修の費用は日本の受入機関が一人あたり36万円を支払うということ(その他の費用は国が負担)ので本人負担はほぼなさそう。渡航費、滞在費も受け入れ機関が負担。
日本語教育関連
国際交流基金は、日本語教育の管轄は基金ではなくEPAの日本語教育の内容や方針などは大使館が決めたとしているが
分かってて話をそらしてませんか(^^)
— Yoshifumi Murakami (@Midogonpapa) July 4, 2022
基金のEPA事業に僕の主張が反映されていない理由は、相手国の外務省や日本大使館などが決定することなので、僕が内部で啓発を行っていないという平井さんの事実ではない書き込みの根拠にならないということです。
関係者によると事実は以下のようであるとのこと。
EPA事業に関しては相手国や外務省、日本大使館が日本語研修内容を決定したのではなく、国際交流基金でテキスト選定も含めた研修内容を決定しているということは国際交流基金の担当者に確認した内容を村上さんにもメッセンジャーでお伝えしました。事実と異なった情報をtweetすることは控えてください。
— border(HIRAI TATSUYA) (@border0023) July 4, 2022
「介護と看護のための日本語教育実践」でもJFの登里民子さんがEPA事業の日本語教育について報告しています。これらの資料でも村上さんのおっしゃるように相手国や日本大使館が決定したカリキュラムをJFが受託して実施しているのではないということはわかると思います。https://t.co/GWo2voHTMV
— border(HIRAI TATSUYA) (@border0023) July 4, 2022
わかりにくいが、EPAなどの制度において、国際交流基金は決定権は持ってないので、村上氏の主張であるブラック企業に対抗するためのCan-doが採用されないのは、自分の問題ではなく、制度が原因だという主張。それに対して、現場の@border0023氏は、形式上はともかく、相手国が日本語教育の枠組みを決めるのは不可能なので、日本側から出されたものはそのまま承認されるという返信。
2国間の協定なので、相手国の承認が必要なのは自然なことだが、村上氏の「形式的には相手国に決定権があるのだ」というようなものは、ある種の官僚答弁みたいなものと言えそうです。
以降のやり取りは、JF生活日本語can-doの「国際交流基金の方針?「ブラック企業と戦うための日本語」(2018)」を参照してください。
→ 全体的に手厚いし研修も無料だが、扱える人数に限界がある。元々母国で看護の資格を持っている人が多く母国でも仕事に就けるということで、日本に定着しにくい(母国の経済状況がいいと成立しない)2015年で568人。7年累計で約2000人。
厚労省が関連団体などに委託しているとのこと。
「介護分野の技能実習生の日本語学習方法及び学習教材等の調査開発事業」として厚労省から委託されているのは、国際厚生事業団とのことでした。また、実際にEPA介護福祉士候補者の日本語教育支援を担当しているのは横浜の日本語教師のグループである「国際交流&日本語支援Y」で、技能実習生のほうもやることになりそうとのことでした。
その他、日本語以外の介護の学習ツール開発などで公益社団法人日本介護福祉士会が採択されているとのこと。
国別の違い
国によって枠組みが違う。
インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/other22/index.html
EPA外国人看護師・介護福祉士受入れのあらまし | 公益社団法人 国際厚生事業団 JICWELS
https://jicwels.or.jp/?page_id=16
他の在留資格との関係
EPAでは集められる人数に限界がある(年間1000人)ということになり、2016年以降、技能実習生制度に「介護(技)」が加わり、在留資格にも「介護」が加わった。在留資格の介護は、日本に留学し日本語を勉強しつつ介護の資格を取得するというもの。この3つのルートで今後10年で年間数万人単位で人を集める方針とのこと。
現状
某誌の原稿ためのまとめたので貼っておきます。
— 澤田晃宏(高卒進路記者/ジャーナリスト) (@sawadaa078) December 14, 2021
専門学校などの介護福祉士の養成施設の入学者数は5割を下回る状況が続いていたが、外国人留学生の急増で定員充足率がようやく5割超え。
何も、介護士になりたい外国人が多いわけではなく、返済不要の奨学金など、国や介護事業者が準備したから。 pic.twitter.com/A6IHmaYLLH
宗教問題
イスラム教周辺については関連の連ツイがありました。
勤務中の宗教行為の禁止(お祈り、断食、ジルバブ着用)については労働基準局とかなりやり合いましたが、最終的に勤務規程として禁止することは違法ではないと言う回答でした。ただ募集では宗教行為の禁止は問題だと言う回答もあり、結局は雇用主の匙加減次第ということになってしまいます。 pic.twitter.com/hQTj7VaRZ8
— border(HIRAI TATSUYA) (@border0023) December 19, 2021
以下にまとめました。
EPA介護福祉士と勤務中の宗教行為の禁止などについて
その後、就労系のことではよく起きるのですが、基金の専門家によってブログ記事が書かれ、その記事についてのやり取りもありました。以下のツイートから辿ってください。
むらログを更新しました。「違和感で禁止してはいけない」https://t.co/ytE29CaAWH
— Yoshifumi Murakami (@Midogonpapa) December 30, 2021
👉 土葬か火葬かという問題もある。墓地、埋葬等に関する法律 - Wikipediaでは、特に禁じられていないが、自治体によっては条例で禁止しているところもあり、対応する墓地も少ない。
【資料】
EPA介護福祉士と勤務中の宗教行為の禁止などについて。
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-25463315/25463315seika.pdf
シンガポールにおけるムスリム女性のヒジャブの規制をめぐる考察
http://jams92.org/pdf/MSJ05/msj05(035)_ichioka.pdf
イスラム教徒女性のスカーフめくる 看護師試験の監督員:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL2R66XRL2RUTFK01M.html
よく比較となるナースキャップはアメリカやイギリスでは1990年頃までにほとんどの施設でナースキャップが廃止されており、日本でも、基本、廃止が進んでおり、不衛生、器具などに触れる可能性があり危険、ジェンダー的な押しつけなど、多くの理由があり、廃止を求めてきたという経緯がある模様。この問題を論ずる時は、文化や宗教への理解や不寛容ということだけではなく、いろいろとふまえなければならないことが多いという印象。
ナースキャップ着用の有無に関する調査
https://www.yachts.ac.jp/off/library/kiyou/ronbun/99.09.pdf
ナースキャップの表現する看護婦像とフェミニズム
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/25/2/25_20020212007/_article/-char/ja/
イスラム圏においても、ジェンダー問題として語られることもあるとのこと。
イスラームと性差別の問題を、さまざまな視点から | 東京大学
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/fsi009.html
介護の日本語の最先端を走る研究者が、介護の現場の実践を通して得た実態をふまえ、介護と日本語の関係についてゼロからやさしく解説します。
武内 博子 東京都立大学博士研究員、日本語講師 著
出版社による紹介ページへ
記事
資料
厚労省の推計で2025年には253万人の介護人材が必要だが、38万人近く不足となると報道されたのは、このプレスリリースが元になっています。
2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000088998.html
資料はこちらに。今後の高齢者人口の見通しについて
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/link1-1.pdf
総務省の人口推計では、高齢者の「数」に関しては2025年がほぼピークで、その後微増で2044年以降ゆるやかに下降する、という予測です。ただし、「比率」は20%近くあがりそうです。つまり、25年以降は必要な数(約250万人)は変わらないけど、急激に若者の人口が減るので担い手がいなくなる、という問題が出てきます。仮に、25年までの穴が外国人介護士で埋まったとしても、その後も、問題は膨らみ続ける。ますます外国人介護士に頼らないといけなくなる可能性が高い、というわけです。
1 高齢化の現状と将来像|平成27年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府
https://bit.ly/2Eh9JQk
一方、国内の介護士を作るほうは、日本介護福祉士養成施設協会(介養協)の調査によると2016年の定員(約16700人、377校)に対する入学者の数は7700人で46%とのこと。これは入学者なのでドロップアウトなども考えるとかなり厳しい数字。10年前の2006年は定員が26800人、409校で入学者が19200人だったとのこと。国内では待遇を多少改善しても人が戻ってくるという可能性はあまり見えません。
👉 読売新聞の記事
👉 一年前の調査(3月ごろの記事)2016年、加盟校の400校を対象に入学者数を調べた結果、定員17700人に対し入学者数は8800人、約50%。この5年間減少傾向(5年前は76%)都道府県別では最も低い自治体では30%程度のことのこと。
国際厚生事業団(JICWELS) https://jicwels.or.jp/
学んでみよう日本の介護 JACCW http://www.jaccw.or.jp/
http://www.jaccw.or.jp/pdf/home/foreign/gakusyutext.pdf
外国人介護人材の介護技能及び日本語能力の評価方法に関する調査研究事業 報告書
三菱UFJリサーチによる介護の日本語能力に関する総合的な報告書
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2019/04/koukai_190410_1.pdf
論文
医療現場における患者の方言使用問題を問う : 「共創空間」開発技法(CCHDモデル)からのアプローチ
https://ci.nii.ac.jp/naid/120004739189
医療現場における方言問題の現状とニーズ- 日台の看護師への調査から-
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nitsendaih/46/0/46_12/_pdf/-char/ja
看護師・介護福祉士候補者に対する専門日本語教育:初級からの取り組み
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jtje/15/0/15_23/_article/-char/ja/
過疎地・地方都市で働く外国人介護者
http://ow.ly/2Kb4306VpGc
福祉の現場から 外国人介護福祉士候補者の自律学習研究の必要性 : 候補者に対する日本語教育及び学習支援の現状報告
http://ow.ly/BqOn30hHwxv
介護分野における専門日本語教育 : 教科書教材を中心に
http://ow.ly/oX7B30i0IEg
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