皆さん、こんにちは。日本語教師の麻子軒です。現在、私は京都外国語大学で日本語教師の資格取得を目指す学部生に日本語教育学や言語学を教えるとともに、留学生への日本語教育も担当しています。母語は中国語です。もともと私自身も日本語学習者だったため、中国語話者が日本語を学ぶ際にどこでつまずきやすいかに気づきやすく、そうした現象についての研究に取り組んでいます。
今回は、私が関心をもっているテーマの一つ、「品詞」についてお話しします。品詞というと、名詞・動詞・形容詞といった分類を思い浮かべる方が多いと思いますが、皆さんは英語や日本語といった外国語の勉強をする前に、品詞というものを意識したことがあるでしょうか。おそらく、多くの方は国語の授業で古文を読むとき以外、あまり意識したことがないのではないかと思います。なぜなら、品詞は文法、特に構文を説明するために設けられた分類であり、母語話者は普段の言語活動において品詞を意識しなくても、問題なく受容と産出ができるからです。
しかし、外国語を学ぶ場合は、母語の勘が通用せず、構文を正しく理解するためには、品詞が重要になります。以下、「見た目」という観点から日本語と中国語の品詞の違いについて説明し、中国語話者に見られる品詞に関する誤用のパターンを見ていきたいと思います。
- 書いた人:麻 子軒(中国語話者のための日本語教育研究会)
- 個人ホームページ:https://kenjima.net/
- 台湾生まれ。京都外国語大学外国語学部日本語学科講師。専門は日本語学・日本語教育・コーパス言語学・日中対照研究等。
- 著作:『無生物主語他動詞文の日中対照研究:大規模均衡コーパスと多変量解析を用いた新たなアプローチ』「ゲームコーパスの設計方針と構築方法」(『言語資源ワークショップ発表論文集』,2023)