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大学の日本語教育の現場から 00 連載について

 皆さん、こんにちは。日本語教師の大澤恵利です。現在、私は複数の大学で留学生に「外国語としての日本語」を教えています。学部留学生、大学院留学生、交換留学生、研究留学生など、様々な留学生に日々接しています。

 この連載が目に留まった皆さんは、少なからず大学での日本語教育に興味関心をお持ちだと思います。今日本の大学にはどんな国・地域から学びに来ていると思いますか。また、彼らはどうして日本で学んでいるのでしょうか。

 私が駆け出しの日本語教師だった頃というと、もう20年以上も前になりますが、その当時と比べて日本語教育の現場はすっかり変わりました。まず、教室の風景が様変わりしました。今では学生がスマートフォン、タブレット、PCを横に置いて授業を受けるのが当たり前になりました。わからない言葉があれば、すぐ辞書アプリで調べる。長文はカメラで撮影して翻訳アプリにかける。電子化された教科書にペンで直接書き込みをする。新しい単語や漢字はフラッシュカードアプリで覚える。どの学生も複数の端末を巧みに使い分けています。

 学習ツールだけでなく、学生を取り巻く環境も日々変わってきています。2020年、コロナパンデミックをきっかけに日本語教育の現場は大きく変わりました。変わらざるを得なくなったと言ったほうが正しいかもしれません。大学では対面授業ができなくなり、授業はすべてオンラインで行われました。従来のやり方では、授業そのものが成り立たなくなったのです。

 コロナパンデミックが落ち着いた今、私の担当クラスは対面授業に戻りました。しかし、一部の授業は今もオンラインで行われています。コロナ前と同じ状況に戻ることは今後もないでしょう。今や私たちの生活に欠かせない情報通信技術(ICT)ですが、教育現場も間違いなくICTの恩恵を受けています。コロナパンデミックの時、私たち教師がごく短い準備期間で対面授業からオンライン授業に切り替えることができたのもICTのおかげです。コロナパンデミックの時に整備された学習管理システム(LMS)と電子化された教材は、対面授業に戻った今も活用されています。教師がICTに精通していることは今や必須条件です。

 コロナパンデミックを経た今、日本語教育は様々な意味での転換点にあると言っていいと思います。
この連載では、これから10回くらい(?)にわたり、私が大学の日本語教育の現場で日々見聞きしたこと、感じたことなどをお話していきたいと思っています。

 これからどうぞよろしくお願いします。

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