(筆者撮影。もっといい写真と思ったが、SDカードが破損していて、シロタローの顔がわかるものはこの1枚しか残っていない。)
その街にどんな街猫が潜んでいるかは、実際に住んでみるか、足しげく通うかしないとわからないものだ。その点、のっぴきならない事情で町内で引っ越すことになった私は、新しい住まいの近所にひときわ人なつっこい白猫がいることを知っていた。名を打越シロタローという。打越の街に住む白猫だから、打越シロタロー。いたって単純だ。本稿を書くにあたってつけた仮名で、本名は知らない。おそらく本人ならぬ本猫も。
かつて打越の街には猫が無数にいた。しかし、TNR1の影響で個体数が漸減し、何らかの事情で街猫として生きる猫をときどき見かけるだけになった。シロタローもそのうちの1匹と思われたが、なぜかシロタローはサクラ耳ではなく、その証拠に「ふぐり」もそのままになっていた。人なつっこいシロタローが誰にも捕獲されず、TNRも受けていなかった理由は謎だった。