(三渓園の猫たち)
隣の芝は青く見える? コミュニティは大きくても小さくても運営が難しい。大きすぎれば何かの取り決めをする際に意見がまとまらず、小さすぎれば人間関係が密で閉塞感が生じてしまう。場合によっては密さから「村八分」に発展してしまうこともあるだろう。それでは、何人なら正解かというと難しいところだが、仮に最適な人数だとしても、たった1名の「トラブルメーカー」がいるだけでコミュニティには暗雲が垂れ込めてしまう。それは猫とて同じだ。 三渓園に大勢の猫が暮らしていると知ったのは、つい最近のことだ。最初に訪れたときは園の中ほどでひなたぼっこをする白黒のぶち猫を見かけただけだったが、何度か訪問するうちに、大勢の猫が暮らしていることを知るようになった。なぜこれまで見かけなかったのだろうかと情報を収集してみると、どうも彼らは陽気のいい日しか表に出てこないらしい。暑い日や雨の日はどこかでしのぎ、陽気のいい日には表に出てきて思い思いに日なたで過ごす。気が向くと来園者の相手をする愛想のいい子もいる。