皆さん、こんにちは。東京都立大学で日本語を教えている劉永亮と申します。日本語を勉強し始めてから21年になります。
今回は日本語と中国語における「破裂音」の違いについてお話しします。中国語母語話者には「柿(かき)」が「鍵(かぎ)」のように聞こえることがあります。実は私自身も日本語を学び始めた頃、何年たっても破裂音の無声音(/p,t,k/)と有声音(/b,d,g/)の聞き分けがうまくできませんでした。
例えば、「た(ta)」という音は、中国語の“他(tā)”と同じだと思い込んでいました。しかし、日本語教育に携わるようになってから、両言語の音声体系の違いに気づきました。今回は、日本語を学ぶ中国語母語話者にとって、破裂音がなぜ難しいのかを解説し、その効果的な学習方法について紹介します。
破裂音というのは、口の中で一時的に気流を閉じ込めた後、一気に解放して出す音のことです。日本語と中国語はいずれも破裂音を持つ言語ですが、両言語における破裂音の音韻的区別の仕組みは大きく異なります。この違いが、中国語母語話者にとって日本語の破裂音の正確な習得を困難にしている要因であると思います。
- 書いた人:劉 永亮(中国語話者のための日本語教育研究会)
- 東京都立大学 助教
- 著作:「カンボジア人日本語学習者における日本語「カ行」・「サ行」の口蓋化音の知覚について」『人文学報』 517(7) pp.25-32 2021年3月
「モンゴル語を母語とする日本語学習者における日本語長音の知覚と産出の特徴」『言語の研究』第13号(特集号)pp.57-66 2024年3月