みなさん、こんにちは。日本語教師の鈴木一徳です。現在は、千葉県にある城西国際大学で日本語教師を目指す学生に言語学関連科目や第二言語習得論、日本語教授法などの授業を教えています。
今回は、私の授業で扱っているネタの一部を紹介します。
1つ目は、「の」の過剰使用に関する誤りです。「*先生が書いた
の論文」のような誤りは広く観察されています。そして、その誤りの原因は「負の転移」によって起こると分析されることが多いです。しかし、言語構造の差異という視点で「の」の過剰使用を分析してみると、その起こりやすさに違いがあります。
2つ目は、格助詞「が」「を」の省略現象についてです。中国語には格助詞は存在しないため、「負の転移」の影響は大きいと言えます。「どの学生
が教科書
を買いましたか」という文で、「が」と「を」のどちらを省略した方がより自然に聞こえるでしょうか。そして、学習者はこの差異をどのようにして身につけるのでしょうか。
学習者の誤用すべてを「負の転移」として捉えるのではなく、学習者は体系的で豊かな言語知識を有していることを示すべく、実際の研究データを踏まえながら紹介していきます。
- 書いた人:鈴木 一徳
- 城西国際大学国際人文学部国際交流学科助教。専門は第二言語習得研究、日本語教育、心理言語学、応用言語学。米国で日本語教育の経験を積み、帰国後、国内の大学にて様々な背景の学習者を対象に日本語教育に携わる。現在は、主に日本語教員養成のための科目を担当している。
- 著作:「中国語を母語とする上級日本語学習者による『の』の過剰使用―主格・属格交替現象に基づく分析―」(『日中言語対照研究論集』21号, pp. 224-238, 2019年)、「日本語の自動詞文における遊離数量詞の解釈―中国語を母語とする日本語学習者のデータから―」(『中国語話者のための日本語教育研究』11号, pp. 142-156, 2019年)、「中国語を母語とする日本語学習者の格助詞の顕在性に関する知識―省略現象を中心に―」(『日本語教育方法研究会誌』32 号1巻, pp. 38-39, 2025年)、など。
- 個人ウェブサイト: https://sites.google.com/site/kazunorisuzukiittoku/home