2024年の10月の衆議院選挙では、野党議員が外国人アクセントを真似た動画が問題視されていました。すぐに削除されたようなので見てませんが、24年の時点で、基本的によくないことであるという空気は政治的なスタンスの違い関係なく、共有されているようで、少なくとも公の場で外国人アクセントで揶揄するようなことは、ほとんど見かけません。お笑いでも、外国人アクセントや外国人の行動を笑うネタは、結構ありましたが、現在は放送されません。劇場などではわかりませんが、放送コード的なフィルタリングはあるようです。この記事も24年の秋の時点のこの空気の記録的な意味でも書いています。
いわゆる外国人訛りをジョークにすることは、国内外、古今東西、よくあったものですが、かなり減っていることは確かです。ただ、国や文化圏によってかなり濃淡があり、線引きも違います。
方言やその他の話し方をマネして揶揄したり笑ったりすることの問題はどこにあるのか?は、何を扱っているか(ネイティブではない発音、方言、特定の人達の話し方)、どういう文脈か(嘲笑、揶揄的なものか、引用、伝聞上必要、あるいは語学の授業におけるもの、漫才口調、例えば関西弁や最近だと岡山弁を使った構文的な言葉遊びみたいなもの、公の場、プライベート)、などで違うというものもあれば、一律にダメだという考えもあるようです。
伝聞、引用的に行う場合までダメとされると、東京方言的な共通語(この記事のタイトルにあるような標準=標準語という表現は使わず共通語と呼ぶことは日本語教育的には了解があると思います)に翻訳しなおすか(これはこれで標準的な方向に矯正されてしまうという規範性の問題もからんできそうです)オリジナルの話者をそのまま引用するしかないことになり、(しかし演技においても、方言、外国人アクセントは真似るのではなく、本物を使うべきという意見はあります)
外国人の訛りを模倣すること (タナナことば研究室)
https://www.tufs.ac.jp/blog/ts/p/tanana/2022/02/post_1983.html
シボレス、始めて知りました。
私は、海外のアクセントを扱ったパロディ系の動画を見るのが好きで、スクラップ的に少しブックマークしているので、以下、一部、引用してみます。30年位前のものもあれば、10年くらい前のものもあります。
ここ10年くらいの表現規制はどこの国もかなり大きく(厳しい方向に)変化しており、おそらくはほとんど今は揶揄するパロディ的なものは作るのは難しい。英語では、イギリス英語やアイルランド訛り、アメリカ英語を笑うというジョークは昔からの定番で、まだやってもよいという空気はあるようです、基本、マイノリティの発音に対してやるのはタブー化しつつあるようですし、方言を揶揄するのもかなり減っています。イギリスは寛容な傾向があり、北米は厳しい。フランスはパロディや笑いに対して制限を作ること自体が問題視される傾向が強いです。自国を自虐的に扱うケースも多く、これは結構許容されている、など、いろいろです。
» アメリカ人に英語の授業をするイギリス人が面白いw【解説】 – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=FSkkGkUo1SE
イギリス英語とアメリカ英語の笑いは、かなり昔からありますが、嘲笑的なトーンの基調には、ある種尊重した上でのゲームだというような了解があるとは思います。(もちろんそうでないものも無数にある)
笑うこと自体を考える必要もありそうです。笑うという行為に差別的な要素が色濃くあることが多いことは事実としても、違うアクセントや方言を聞いて面白いと思う理由はどこにあるのか?嘲笑的なものが根底にあるのか?あるいは違うものを楽しむ要素はあるのか?は、結構難しいと思います。
例えば、タモリ氏の四カ国語麻雀は、今でも、職人芸として賞賛されることが多いです。外国語アクセント揶揄に批判的な人も、これを批判的にとりあげないというケースも散見します。ネットではタモリ氏は、「賞賛されるべきキャラ」として定着している感があり、簡単に批判できないという要素もありそうです。ただ、タモリ氏自身は、リクエストされても、あまりやらない、これは自主規制的なものなのかはわかりません。
四カ国語麻雀 – 検索 / X https://x.com/search?q=%E5%9B%9B%E3%82%AB%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E9%BA%BB%E9%9B%80&src=typed_query&f=live
中川家の中国人風モノマネは、中国語ネイティブに見せた動画なども多数あります。
台湾人に聞いた「中川家」の中国語はどう聞こえる?を解説【海外の反応】 – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=be_hmq_lCOo
かまいたちも、中国人風アクセントのコントは定番でしたが、ここ数年は完全に封印されているようです。テレビと劇場でどうなのか、吉本などにどういうガイドラインがあるのかはわかりませんが。
人によって、どこまでセーフで、どこからアウトかは、違うと思います。もうちょっといろいろな例を出してみたいですが、とりあえず、以下にずらずらと。今後、アップデートするかもしれません。
“The Soul Brothers” from Airplane I & II – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=zdCjbJ6NEfc
An Audience with Peter Ustinov 1 https://youtu.be/Cl7cT2fGF-I?si=oTqdp5AvRl8MaTwF
ものまね 外国語 fake languages telegram ver. 1973 – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=_fnXce4peF8
Eleventh floor – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=Avp9aUkM5g0
日本昔話をギャル語に訳した結果wwww – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=s6gr7Ljl0x8
Catherine Tate – The Offensive Translator [HighQuality] – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=Vc8tfioOKvU
バターのボロアクセント – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=MU5L9rIOaqw
Downton Abbey With American Accents Is Bizarre – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=wElbSFWgseA
Peter Stormare Is the King of European Accents – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=uvROISVUdKE
イギリス🇬🇧元首相トニー・ブレアのEU関連のこぼれ話が本当に面白い。TLに出てきたので字幕つけてシェアします。 pic.twitter.com/YW6tfAsNBi
— 久保山 尚 🏴のバズらせ特級出羽守 (@KBYMScotland) November 9, 2024
以上、YouTubeで比較的再生回数が多いものです。その他、海外には地方のアクセントを扱った動画は多数あります。方言の場合は、そもそも米国のように、方言が(日本ほど)揶揄の対象ではないという前提で扱われているケースもあります。イギリスのように都会の下町言葉の独自のアクセントが対象になることも多いです。
ちなみに、私は、ここにあげた動画はほぼ笑います。自分なりにどういう基準があるのか、まだよくわからないこともあり、時間をかければ書けると思いますが、これはそのうち書くかもしれないし、書かないかもしれないというところです。
【追記】
その後
れいわ山本氏の片言の日本語動画「外国人差別」と炎上 投稿者が謝罪 – 衆議院議員総選挙(衆院選) [れいわ]:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASSC13TRGSC1ULLI00HM.html
以下です。
10月25日(金)に公開した、「ナインだよ」のオマージュ動画(いわゆるカタコトの動画)が炎上し、削除するにいたった件について。
これは、私が、9月の山本代表の来阪時、動画出演を依頼し、代表が演じたものを大石事務所が編集したコンテンツです。…
— 大石あきこ れいわ新選組 衆議院議員 大阪5区 (@oishiakiko) November 1, 2024
こういうのはよく後でこっそり削除されたりするので、以下に転載。
10月25日(金)に公開した、「ナインだよ」のオマージュ動画(いわゆるカタコトの動画)が炎上し、削除するにいたった件について。
これは、私が、9月の山本代表の来阪時、動画出演を依頼し、代表が演じたものを大石事務所が編集したコンテンツです。
カタコト動画の元ネタは、ナインさんというタイ在住のTiktokインフルエンサーがカタコトの日本語でタイを毒舌気味に紹介するものです。
わかりやすい、新鮮に聞こえる、意外性が笑える、そういう文脈で流行っていて、若い人などがマネ、パロディ動画をたくさん出しています。動画を作成・公開したのは、流行っているから、おもしろいから、その流行自体に「カタコトへの差別的意味合い」は無かったから、です。
社会で虐げられている人を見下す文脈で、その人たちに言及したり揶揄したりマネをしたりすることは、たとえ巷で流行ったとしても許されないですが、そういう流行ではないと判断しました。
新しい言語のあり方(流暢な言語が上位とは限らないし、むしろそれを破壊する新たな価値観)も提案するものだと思っています。一方、巷で流行している文脈はそうであっても、公人がカタコトのマネをするのはまた違う文脈が生まれるのだ、という指摘は重く受け止めお詫びいたします。今後、気を付けます。
私は、差別であるかどうかは、差別的な意図があるなしはまったく関係無いとは考えないのですが(まったく関係ないのだという考え方は結構ありますが)、意図がなかったからセーフではないので、謝罪で使う理屈ではないかなと思います。
「新しい言語のあり方(流暢な言語が上位とは限らないし、むしろそれを破壊する新たな価値観)も提案するもの」は、誰かの入れ知恵っぽく、一見専門家の知見風ですが無理矢理な理屈です。つまらないことを追加したなという印象。この種の一見難しげで、いかにも学術的な背景があることを匂わせるような、一般人を煙に巻こうというような無理矢理な理屈は、時々見ますが、(仮に本気でそう考えていたとしても)今回の一連のプロセスの中で、最も差別的で罪深いものだと思います。
普通に愚かだったと謝罪すればいいのにと思います。
11月に入り、上の謝罪の関連でテレビでも報道され、一部を見ることができました。やるべきではなく、おもしろくもなく、おそらく効果もなさそうでダメ動画ですが、やったこと、本人への謝罪が必要なものだとは思います。山本氏自身の謝罪は無い模様。2024年はこの種のことは指摘もはやく、対処もはやい。もう政治的スタンス関係無く、アドバイザー、コンサル、内規などでも「すぐ消せ!」ということになってるんだろうと思います。去年はこれが数日間くらいでした。