が必要と考えています。日本語教育関係者がSNSに参入してきたのは2015年前後からですが、SNSに対する理解度はあまり上がってないように感じます。よく仕様は変わりますが、その仕様が変わったことによる影響も、あまり理解されていません。
以下は、オフィスワーク中心の仕事なら、就職して数年でだいたい習得するけども、日本語教師として日本語学校で働く人は届かない部分です。
- 動画音声や画像の基礎知識と素材から簡単なものを作るくらいまでの知識
- テキスト形式は、プレインテキストとワードとPDFに加え、HTMLやePub、電書とプラットフォームの関係、制約
- エクセルなど、データ系のフォーマットの知識、変換。
- 教材の共有で必要な、基本的なアクセス権の知識。
- 社内、社外の情報管理における、個人情報保護の知識
- 社内で作成した文書の著作権の考え方の知識(例えば、就業時間内に製作したものであっても利用の方法によっては作成者の許諾が必要みたいなこと。報酬を伴わず作らせたものは学校に著作権は無いことなど)
- ファイルの配布で必要なファイル形式、圧縮などの基本知識
- プロジェクターの設定、スピーカーの性能、Bluetoothの形式の違いによる音の遅延など、教室の学習環境を大きく左右するハードの知識
上のような知識が不足していて、さらに以下のようなことがあります。
- スマホを日常的に使っていないので、PCとの違い、例えば、表示、ブラウザの機能制限、広告の悪辣さみたいな知識が薄いので、スマホに対応させる方法がわからない。
- 学習アプリ的なものを作ろうと思っても、今の技術で何ができて、何ができないか、どのくらいのコストがかかるか見えていないので開発者と上手く話しができない。
- ハードの知識も乏しく、5万円で済むものを業者から50万で買ったり、3年で寿命が来るハードをメンテ契約付きで買わされたりしています。その種の業者にとって日本語教育業界は「カモ」になってるような気がします。
- サイト製作も業者任せで、お知らせを投稿するくらいしかできないので、誰もアクセスしない看板程度の活用しかできない。
- 結局、業者頼みじゃないとDX化できないので、コスト的にやらないという選択をしてしまう。
LMSを採用すると、LMSの仕様の範囲でしか学習しないので、
なぜ、2025年になって、こんなことになっているのかは、率直に言うと、これは日本語教育業界でセミナーなどレクチャーをする「自称デジタルが得意な人達」の低い天井が、そのまま業界の天井になっているということがあると思います。SNSでブランディングできれば4合目くらいの人でも麓にいる人に対して3合目くらいまで案内する2000円くらいのセミナーは主催できる、みたいなノリがあります。4合目の人達は、3合目で十分という言うしかないわけです。
教育業界で日本語学校、日本語教員が一番遅れている
現在小中学校で進められているGIGAスクール構想ではすべての教職員は個人情報保護の基本知識を身につけることになっていますし、ネットワークの基本知識の研修を受けることになっています(これは海外の義務教育の教師も同じで、2000年代から始まっています)企業でも、ファイル共有の前提知識としてアクセス権の付与の基本ルールくらいは理解が求められます。それらの強固な基本知識に、4合目、5合目の積み上げがされている最中です。つまり、今の日本語教育関係者のネットやデジタル知識は、世の中の平均値よりかなり下ですが、中にいると気がつかず、「日本語教育関係者の中ではデジタルが得意なほう」に甘んじてしまいます。
「GIGAスクール構想推進委員会」研修サブ部会セミナー – YouTube https://www.youtube.com/playlist?list=PL88_itf-BOcC3Rak_IkFlcHIdwTCROvTP
GIGAスクール 教員 – YouTube https://www.youtube.com/results?search_query=GIGA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%80%E6%95%99%E5%93%A1
国内外の教師のICTの知識レベルについてのレポート
https://chatgpt.com/share/692f596b-9d2c-8013-a395-f8fa47987898
上にあげたような、デジタル知識の遅れは、何かのセミナーで解決するようなことではないので、自主的に2,3年コツコツやっていくしかないと思います。さらに、AIの活用で必要になる知識が結構あります。
多分、今後重要になりそうなデジタル方面の知識
AIの活用は、テキスト、音声、画像、動画の基本的なフォーマットの知識みたいな部分の底上げがないと厳しいです。AIは、いろんなものを「作る」ことが簡単になるツールですから、素材の知識がないとどうにもならない。つまりAIでどういう形で出力させるか、それをどう汎用性が高い素材にするかというようなことです。以下は、その上で、今後重要になりそうなものです。
いずれもそれほど難しくありません。
- マークダウンの使いこなし : Googleドキュメントのデフォルトに採用されたので、テキスト形式のハブ的な役割を担う可能性がある。AIとの親和性も一番高い。マークダウンは標準が結構曖昧なところがありましたが、今後はGoogle採用のものを標準として覚えればいいのでは。
- スプレッドシートの使いこなし : データとして扱い、シェアするためには、Google スプレッドシートが最適で、Geminiとの統合も期待できる。
- ショート動画作成 : ClipchampやGoogle Vids など無料のツールで十分なので、サクッと10~90秒の動画を作れるようになること。
- AIは、学習者がどう使うかが重要 : プロンプトの知識はそれほど重要ではない。tiktokやYoutube、Reddit などで学習者がAIをどう使っているかを知ることが重要。AIの教育利用に関しては、(APIを使って何か作れるなら別ですが)教える側ができることは、実はほとんど無いと考えています。AIは紙の時代を終わらせて、フルデジタルの時代が来るきっかけになるということが重要で、つまりデジタル知識の本格的な底上げ、積み上げが必要になった、ということだと思います。今AIでやれることは、無料のアカウントで、AIの挙動をなんとなく知るくらいまででは。