wikipediaの中の日本語教育

wikipediaの中の日本語教育

この日本語教師読本WikiもWikiの一種ですが、WikipediaはそのWiki形式の代表的なコンテンツとして知らない人はいないと思います。Wiki形式とは何かというのは、掲示板などで少し説明しています。ネット上のサイトは、HTMLという共通の記述のルールがあり、それを元に作られていましたが、今は、作るサイトの目的によってCMS(Contents Management System)というパッケージになったようなシステムで作ることがほとんどです。SNSはそれを運用するための巨大なシステムがあり、日記的なものはブログ形式、ショッピングは専用のシステムがあります。Wiki形式というのは更新可能な辞書のようなものを作る際に便利な構造になっています。

ここでは、Wikipediaに関することに絞って整理していきます。

通常、左に出てくるメニューの画像です。あまり見る人はいないかもしれませんが、一度はみておくことをお勧めします。特にページを作りたい、すでにあるページの記述を修正したい場合はヘルプなどは重要です。

ページの編集に参加する場合はページ右下に出る「インフォメーション」のガイド、利用案内などの項目は読み込んでおくことが必要です。今は、wiki用の記述ルールを覚えなくても大丈夫でワード並みに簡単になっています。

内容に関するガイドラインは重要です。ページの作成や編集に関するルールがあります。

Wikipediaはwiki形式の代表的なコンテンツです。Wikipediaの評価はいろいろですが、現在、たいていの場合、検索すればかならず上位に来ることもあり、記述がおかしいとそのジャンルに対する正しい理解が行われない恐れもあり、ジャンルによっては大学や研究機関などがウォッチして正しい内容になるようにチェックしていることがあります。もちろん政治や宗教、社会、健康など関心が高い項目は編集も秒単位で行われており、かなり偏った記述になることがあります。wikipedia上で激しい編集合戦が行われることも多いと言われています。

日本語のWikipediaは編集に参加する人も少なく、それをチェックする人も手が足りていない様子です。英語に比べると記述が少なく、記述の根拠なるソースも明示されていないことが多く、英語にはあるその項目に対する批判的な記述なども無いことがほとんどです。ジャンルによって偏りが激しいことも日本語のWikipediaの特徴です。テレビやアニメマンガなどサブカルチャー関連の記述は充実しているのですが。。。

👉 何かを調べていて日本語のWikipediaを参照する際は左のメニューで同じ項目の英語版をクリックして読むことをお勧めします。

日本語教育のページは少なく、編集も専門家によって行われているとは言いがたく、不正確な記述、項目は多いです。しかし「日本語教師」や「日本語教師養成講座」などで検索すると該当するWikipediaのページは必ず上位に来るので、一般の人の理解はこれらのWikipediaの記述にかなり影響されていると思われます。このへんは後述。

Googleなどで母語で検索すれば、かなりの確率でそのワードのWikipediaの項目が出てきて、その関連の言語のWikipediaのサイトが開きます。上のメニューの画像にあった言語を選択すれば、そのページの外国語版のページが出てきます。書いている人は別なので、当然内容は違いますが、Wikipediaのページの内容はだいたい似たような見出しの構成なので、ページ構成は似ています。

Wikipediaの項目名は基本的に正式名称であることが多いですが、通称でも一般的に認知度が高いものはそれがトップにきます。例えばCEFRは、「ヨーロッパ言語共通参照枠」です。日本語がURLに入るので、URLは長くなってしまうのは、Wikipediaの弱点のひとつです。

タスクのように、いろんな意味がある場合は、このようにそのワードのポータル(入口みたいな意味。ネットでよく使われます)に飛びます。

Wikipediaは誰でもページが作れ、編集に参加できますから、大学の専門家が書いたかもしれませんが、中学生がいたずら半分でテキトーに書いた可能性もあります。ページを作ったり、編集した場合は、審査があり、却下されることもありますが、この審査もボランティアがほとんどですし、すべての項目の知識の妥当性を判断するのは無理なので、警告マークをつけたまま掲載となるページが多く、結構無法地帯になっているケースがあります。

自分自身や自分が関わる組織に関わることはページを作ることも編集することも禁じられていますが、監視が行き渡ってないこともあり、ビジネス関係のコンサルなどが、自著の宣伝やブランディングと称して自分で自分のページを作り、経歴を追加するみたいなルール違反を犯し、有名になると、過去のこの行為がバレて炎上するみたいなことは、時々起こります。

誰が書いたかを知るのは重要です。

そのページは誰が書いたのかは、ページ上の右にある「履歴表示」をクリックすれば見ることができます。(「閲覧」は通常のページです)

以下は、履歴表示の画面です。

赤で囲った部分の名前が、このページの編集に参加した人です。その右に(会話|投稿記録)というものがありますが、これはこの人が、過去にWikipedia上で行ったことへのリンクです。会話は、wikipedia編集部とどういうやり取りをしたことがあるか、投稿記録は、これまでのどんなページのどんなところを書いたかの履歴です。つまり編集した人がどんな人なのかを公開することで透明性を高めるという仕組みです。会話ではWikipediaから警告を受けたかなどがわかり、投稿記録は他にどんなページに関与して、ジャンプすれば、どういう編集をしたかを見ることができます。

アカウントを取得してログイン後に編集に参加すればアカウント名(実名やニックネーム)が、アカウントなしで、あるいはログオフして編集すればIPアドレスの数字が出ます。IPアドレスは「IP address search」などで検索して出てくるサイトなどで検索すれば書いた人の場所が県単位ぐらいでわかるようになっています。法人や省庁の場合はIPアドレスから法人名などもわかることがあり、時々、省庁の人が関係のページを編集したりして批判されています。

→ ニュース「自民党のWikipediaの編集履歴が発掘 原発に関する記事編集等がバレる」(2014.8.29作成) - Togetter → 小林貴虎議員、Wikipediaの「三重県議会」の項目を、必死で編集?!:Togetter

👉 自分のページなどをログアウトして編集するみたいな違反は多いです。

日本語版の記述は安定しているとは言い難く、時に編集合戦となることもあれば、関心が薄い項目は、誤った記述のまま何年も放置されることがあります。このへんは、Wikipediaを意識して違うジャンルを見て歩くとだいたいの雰囲気がわかると思います。

例えば「季語」みたいな語は比較的安定しています。見る人が多いワード、アニメやマンガや有名人などのページは見る人も多いので、編集に参加する人も多く、日々更新されています。更新ペースが早いと荒れることもありますが、基本的な記述は安定しますし、情報のアップデートもされます。アニメマンガに関しては日本語版はおそらく記述の量は世界一です。

しかし、編集に参加するネットやデジタルの知識のハードルを考えても、参加できるのは、だいたい1970年代生まれ以降になるので、古いことは弱いです。文化だけでなく学術方面もせいぜい80年代以降の項目に限られ、その前は、ほぼ偉人扱いで数行で終わるか存在しないこともあります。

編集に参加するような人のタイプと警告

英語版では「これはこういうもので、こう定義されるべきだ」という考えでページが作られたり、更新されますが、日本語版の編集に参加する人は、「これはこう解釈されるべきだ」という考えでやる人が多いです。つまり書き手の考えに影響されやすく、偏った記述になりがちということを覚えておいたほうがいいと思います。Wikipediaの方針とも異なるので、ページは作成されても、警告が表示されることが多いです。

このような警告がページの上に表示される場合は、なんらかの懸念があるということです。

渡邊芳之先生ynabe39の「Wikipediaは誰でも編集できるのだから「内容がひどい」「間違いがある」と思ったら自分で修正すればいいのだ。」 - Togetter

Wikipediaは、Wikiというスタイルを有名したコンテンツです。誰もが知っているものですが、どういうものか(誰が書いていて、そのルールはどうなのかなど)は、日本語教育関係者にはあまり知られてません。英語のページでは、大学や研究者などが、若者の情報源となっている現状を考え、ネットの知識のデータベースとして重要視し、プロジェクトとして記述をアップデートしていたりするので、論拠となる論文や記事の質も高く、それなりに信頼性があるジャンルもありますが、日本語のページは、少数の人が好き勝手に書いているものがほとんどで、信頼性はかなり低いです。しかし、Googleでも、検索ではほぼ1ページ目の上位に来るようになっています。

日本語のページは、オタク系のページは超充実していますが、学術系では人文系の記述が弱く、中でも教育関係のページは悲惨で、英語教育に関わることはそこそこありますが、日本語教育のページは、ほとんど10人くらいの人(?)が自説を盛り込みつつ書いているという状況が開始当初から続いています。大学や大学院などがプロジェクトとしてページを作り、アップデートをする、みたいなことをしたほうがいいのでは…と度々SNSで投稿したりしましたが、その後も悲惨な状況は続いています。

日本語ページでは、Wikipediaのルールも、守られていません。比較的法律は守るけど、ローカルルールは守らないというのも日本のネットの特徴だと思います。英語圏ではネット上のローカルルールは個人の自由を尊重するためにもむしろ法律よりも大事というマインドがあるのですが、そのへんの感覚が共有されていないと思います。

新しい項目(ページ)を作るのも、既存のページを編集するのも自由です。ログインも不要。アカウントは無料匿名で作れますが、無くても編集可能です。ただし、ログインなしだとIPアドレスが公開されます。自分が詳しいジャンルの項目でWikipediaの記述がオカシイと思ったらページの記述を変えることができますし、この項目が無い、必要だと思ったら0からページを作ることもできるわけです。

ただしルールがあります。有名なものでは自分のことや自分が関係する(利害関係がある)人や組織に関しては関与できないというルールなどの基本的なルールや自分で勝手に作った概念や方法論、宣伝のページを作ったり編集するのもアウトです。それらを守れば誰でも新しいページを作ったり、すでにあるページの書いてあることを修正したり削除したりできます(しかしこのチェックはあまり行われていません)。

ただし、ページ作成や編集はアカウントを取得して編集に関与すればアカウント名が、取得せずに、あるいはログインせずに編集すればIPアドレスが記録されます。いつ、誰が、どう編集したかは記録され、公開されますのでチェック漏れのルール違反ページは炎上して削除にならないかぎり永遠に晒されたままです。

ここ数年で編集は簡単になりました。ワードなどとほぼ同じ画面です。書くのは誰でもできますから、後はwikipediaのルールを確認してやるだけです。できれば、アカウントを実名で作ってログインしてからやったほうがいいと(フェアだと)は思います。

一般的に英語のWikipediaは、大学や専門家による編集の関与が多く、説明には根拠となる論文や新聞記事などのリンクが貼られ、ページの一番下に記載されていますが、日本のWikipediaは、こういう作法が守られないことが多く、ページのトップにWikipediaからの警告が記載されることが多いです。

まずはページが作られたらざっとチェックが入りこの表示がルールを守られていないものに付きますが、その先のチェックやフォローは人が足りずに行われないことがほとんどです。

【参考】

wikipediaで記事を書く前に読むべきもの - Togetter https://togetter.com/li/180382

ウィキペディアに参加する - Wikipedia

ウィキペディアの書き方/入門編/ウィキペディアとは? - Wikibooks https://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AD%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%81%AB%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%81%99%E3%82%8B

ウィキペディアの基本的な編集方法と考え方 間違いを正しく編集する https://jstage.jst.go.jp/article/johokanri/55/7/55_481/_html/-char/ja

👉 Wikipediaのチェックは有志によるボランティアによって行われています。第三者の申し立てなども受け付けていますが、よほど編集合戦が行われ話題になっているとか炎上していないかぎり、深い関与は対応は難しいようです。

現存する日本語教育関連・周辺のページ

国語学(日本語学)、言語学、第二言語習得に近づくと急にページは増えるのですが、日本語教育だけ完全に抜けているという印象です。他の言語と比較してもとても少ない。基本的に言語教育関係は、関連組織や教師の位置づけ、教授法、主な教科書、辞書などはありますので、まだまだページは足りないと言ってもいいと思います。しかし検索すればほぼ上位に来るので、日本語教育の知識が無い人、特に若い人ほどWikipediaの知識がスタートラインになっていることが多いと思います。これは結構深刻な問題だと思います。

前述のように、日本語教育関係者のデジタルやネットの知識が弱いということもあり、継続的に編集に関与しているのは、おそらく10人程度(?)だという印象です。なんとなくですが…

日本語教育関係者は、ネットは情報収集するところまでで、発信者となるところまでのスキルや知識レベルが上がっていかない。 仕組みを知らないままWikipediaは専門家が書いたそこそこ信頼できる「読み物」という理解で留まっている。 中立的な視点でソースを示しつつ書くのはそれなりにバランスが取れた知識と理解が必要だが、それができず結局、自分の思い込みを書いてしまう。 という傾向があると思います。

できれば、基本知識を得るためのポータルページとなるためにも、大学院の授業などで、ソースを示しながら記述レベルを上げることをやってほしいところです。大学の日本語教育学科などでWikipediaの日本語教育関連のページの記述が正しいのか、必要なページ、不要なページはあるか、などチェックするプロジェクトをやってほしいなと思います。授業などにも取り入れてやってもよいと思います。海外の大学などでは、そういうプロジェクトやプロジェクト的な授業がいくつもあります。

wikipediaを充実させる2ヶ月間 - Togetter

全部ピックアップするのは無理なので、代表的な、象徴的なもののみです。

大きなワード

言語学、国語学は項目はあります。言語関連では言語学が最も充実していると思います(研究者の世代の違い?)。

日本語教育関連になると、大項目的なワードも日本語教育になると質が低下し、情報のアップデートもされません。

日本語教育の業界用語になると、ほぼありません。みんなの日本語、日本語の基礎などの教科書も日振協も、日本語教育の参照枠も、ありません。業界や学術の世界での日本語教育関係者(世代を問わず)がネットに弱いということの現れという気がします。

があるくらいです。

JPT日本語能力試験はありました。

国際交流基金関係のページは多いですが、ほとんどの場合、ページ作成も編集も基金の関係者によって行われており、これはWikipediaのルール違反(自分や自分が関与している組織については編集できない)なので警告が出ていたりします。

JF日本語教育スタンダード

語学教育関連

語学教育関連も、あっても記述の質は低いです。細かな用語、例えばタスクでも語学の世界における意味は調べることができません。大学の研究者などによって中立的な記述で、積極的にアップデートされることを期待したいです。

日本語教育能力検定試験などで出てくる用語は、ほぼ全滅ですが、語学教育一般のものは、そこそこあります。しかし日本語の記述は貧弱です。

👉 「インクルーシブ社会」はインクルージョンで探して辿り着いたもの。なかなか辿り着けないことも多い。英語はあっても実は和製英語だった、ということもあります。

以下は一般的にも使うし、まあまあ同じ意味で使われているからある、というもの。

無い場合の探し方

項目の名前はいろいろなので、探せないこともある。例えば、「なんとかシラバス」などは、日本語版Wikipediaではタスクに基づく言語指導法なので、検索しても辿り着くのは難しい。「タスクシラバス」とか「TBL」で検索してもヒットしない。そういう場合は、以下の2つの方法が有効

-英語で検索し、英語ページがあれば、それを読むか、メニューの日本語があれば、日本語の項目名がわかる。 -Wikipediaで検索しても無い場合、用語とwiki でGoogleで検索すればWikipediaの該当ページがヒットすることがある。

項目がないワード

2021年11月の時点の確認です。

  • 言語観
  • オーディオリンガルメソッド
  • 多読
  • 複言語主義
  • ビリーフ
  • アンラーン(アンラーニング)
  • 化石化
  • サイレントウェイ
  • TPR
  • 行動中心アプローチ
  • 直説法|ロールプレイ
  • アクティビティ
  • ポートフォリオ
  • 「なんとかシラバス」の類い

はありませんでした。他のジャンルでも使うから項目としてはあるけど、日本語教育における使われ方は書かれていないというものも含みます。

japanese languageでさえ、たっぷりとした記述がある。言語、語学教育、教授法などは、圧倒的に英語版のほうが充実しており、参考文献の記述も豊富です。日本語版の中には英語版をパクって翻訳しただけ、みたいなページもあります。

日本語教育の用語で英語オリジンのものは、英語のWikipediaで検索したほうがいいと思います。教科書的な記述はしっかりしており、引用元もきちんと書かれていることがほとんどです。日本語版があっても、英語版も目を通すことをオススメします。英語で検索してDeepLで翻訳しましょう。

👉 以下、最後の/以下が項目名です。

https://en.wikipedia.org/wiki/Common_European_Framework_of_Reference_for_Languages

https://en.wikipedia.org/wiki/Direct_method_(education)

https://en.wikipedia.org/wiki/Grammar%E2%80%93translation_method

https://en.wikipedia.org/wiki/Bilingual_method

https://en.wikipedia.org/wiki/Communicative_language_teaching

https://en.wikipedia.org/wiki/Audio-lingual_method

https://en.wikipedia.org/wiki/Focus_on_form

https://en.wikipedia.org/wiki/Silent_Way

https://en.wikipedia.org/wiki/Task-based_language_learning

https://en.wikipedia.org/wiki/Instructional_design

https://en.wikipedia.org/wiki/Basic_interpersonal_communicative_skills

以下は「BICS(Basic_interpersonal_communicative_skills)」の英語版のページをwww.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳したもの。日本語版にはページはありませんし、カミンズの論文も引用されてます。

BICS(Basic Interpersonal Communicative Skills)とは、友人とのおしゃべりなど、社会的な場面でのやりとりに必要な言語スキルです。BICSは主に、幼児や園児が最初に学ぶ言語のように、日常的な社会的相互作用で使用される、文脈に縛られた対面式のコミュニケーションを指します[要出典]。この用語は、ジム・カミンズの言語習得と学習に関する研究に由来しています[1]。 また、この用語と一緒に使われることが多いのが、CALP(cognitive academic language proficiency)です。CALPとは、教室で行われる抽象度の高い、文脈を無視したコミュニケーションのことで、特に小学校の後半に多く見られます。このCALPには「学びの言葉」が含まれており、子どもたちは自分が経験したことのない状況でも、問題解決、仮説、想像、推論、予測を行うことができます。これは、読み書きを学び、学業全般を成功させるための前提条件です。BICSとCALPの概念が子どもたちに与える影響は、子どもたちがアカデミックな環境の認知的要求を満たすことができるように、第二言語または教室の言語が十分に発達している必要があるということです[1]。通常、子どもたちは2~3年でBICSを習得すると考えられていますが、教室で母語を話す相手と同じレベルになるために必要なCALPを身につけるには5~7年かかります。BICSとCALPという言葉は今でも広く使われていますが、Cumminsは最近になって[いつ?]、会話言語と「アカデミック言語」という言葉を使っています[2]。

若干怪しいところもありますから、英語を比較しつつ読むほうがいいと思いますが、これを読むだけでも概要を知るには十分だと思います。

英語のWikipediaのほうが記述がフェアであることが多い

これも重要です。学術的に怪しげなもの、商業主義的なものには英語のWikipediaは厳しく、時に厳しすぎるほどですが、日本版はネガティブな記述が少なすぎるという欠点があります。

例えば…

日本語版のポジティブ心理学には一切、批判的な記述はなく、自己啓発とは違うみたいな一文までありますが、英語版のPositive_psychologyでは、「Criticism」という項目で引用元を示したうえでビッシリと批判があります。これは心理学系の用語だけでなく他のジャンルのグレーゾーンの用語でもよくあることで、日本語版にはネガティブな記述がなく、英語版にはきちんと書いてあるケースをしばしば見かけます。

日本語教育の世界でも、「これ学術的にはどうなんだろう?」と思った際に、論文アーカイブで検索してみるとまったく出てこないということがありますが、なぜ無いのか?がわからないことがあります。(日本の学術の世界では他の研究をあまり表だって批判しないカルチャーがあるようです。お酒の席では他の研究や研究者の悪口は盛んみたいなこともあるみたいですが)この英語のWikipediaの「Criticism」を探して読むことも役に立ちます。

人の名前

Wikipediaの人の名前の項目は誹謗中傷合戦になったりすることもあり維持が難しいジャンルですが、日本語教育では、人名はほぼ無いと言ってもいいと思います。重要な人の名前ほどないです。

一般的に、Wikipediaの日本語関係は、人の名前も少ないです。あっても記述はわずかです。人物の項目の偏り、記述の量のアンバランスはWikipediaの限界を示すものです。新しいものでネットを使う世代のものは記述が多く、他の言語に比べると、日本はアニメマンガに偏っています。例えば寺村秀夫は経歴だけ、三上章も10行くらいで、ドラゴンボールのフリーザの家来でベジータに秒殺されたナッパのページの記述のほうが圧倒的に多いです。

👉 日本語教育の世界でもお友達同士でページを作ったり編集したりしあうみたいなことをしている人もいる増えてきたようですが、これもほぼルール違反です。

日本語教育関連のページ作成の履歴 定点観測的に、この時はこういう項目があり、こう言うモノは無かった、ということを記録していきます。

2017年の11月

の時点で現在項目があったのは。。。

日本語教師 | 日本語学校 | 日本語教育 | 日本語教室 | 日本語能力試験 | 日本語教育能力検定試験 | 日本留学試験 | 日本語教育スタンダード | JF日本語教育スタンダード(上と重複?) | エリンが挑戦!にほんごできます。 | 日本語学科 | 国際交流基金 | 日本学生支援機構 | 国際交流協会 | 語学教授法 | オーラルメソッド | コミュニカティブアプローチ | サジェストペディア | イマージョンプログラム

以下は2017年11月の時点で項目がありません。(その後、項目が出来てるか、確認してみてください)

日本語教師養成講座、日本語教育学、留学生別科(「別科」の項目の中にはある)、直接教授法、間接教授法、日本語教育文法、日本語の基礎、新日本語の基礎、みんなの日本語、日本語初歩(国際交流基金の昔の教科書)、An introduction to Modern Japanese(昔の英語圏の教科書の定番)、げんき、まるごと 日本のことばと文化、基礎日本語学習辞典、A Dictionary of Basic Japanese Grammar、日本語教育振興協会、日本語学校連合、日本語教育学会、AJALTもページはありません。

Wikipediaのように大型のwikiシステムでやるとデータベースも使ってサーバー側であれこれしないといけませんが、レンタルや、pukiwikiなどの小規模のスクリプトでは、設置も簡単でデータ移行も楽なので、仲間内とか学校内でも使えます。そういうものを利用したサイトは無数にあります。

人工言語学 Wiki | Fandom Japanese Story 2021

町情報の老舗 エケペディア マンガペディア(MANGA PEDIA 空想鉄道/道路/地図 Wiki 北大Wiki ポケモンWiki

海外製(多言語対応)

Mediawiki Wikipediaが使っているので安定性は高い。もっとも多くの言語に対応している。 https://www.mediawiki.org/wiki/MediaWiki/

Dokuwiki こちらも日本語をはじめ多言語対応。掲示板的なコミュニティも併設できる。 https://www.dokuwiki.org/

日本製

Pukiwiki 開発は止まったままだが、いろんなバリエーションがある。大学などでもよく使われている。 https://pukiwiki.osdn.jp/

Crowi 最も新しい多機能のWIkiスクリプト。 https://site.crowi.wiki/

Qiita エンジニア御用達。 https://qiita.com/

レンタル

FC2 WIKI(ウィキ) https://wiki.fc2.com/

WIKIWIKI https://wikiwiki.jp




研究

→ Wikipedia 日本語版のかかえる問題点について - Togetter https://togetter.com/li/115985

→ 江川紹子@amneris84氏の語る、『Wikipedia』の理不尽さ・・・もしも『記事が間違いだらけだったら』 - Togetter https://togetter.com/li/88035

Wikimedia財団、大学と共同でWikipediaの公共政策分野の記事を充実へ(米国) | カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/node/17069

ウィキペディア編集体験|NECネクサソリューションズ https://www.nec-nexs.com/supple/autonomy/column/takano/column043.html

ウィキペディア編集者向けの文献提供プロジェクト開始!ウィキペディア図書館の紹介と利用の仕方 https://media.niche-life.com/series/006/Niche006_01.pdf

各国の大学図書館員によるWikipediaの活用例を紹介する単行書“Wikipedia and Academic Libraries: A Global Project”がオープンアクセスで公開される | カレントアウェアネス・ポータル https://current.ndl.go.jp/node/45006

ウィキペディアの基本的な編集方法と考え方 間違いを正しく編集する https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/55/7/55_481/_html/-char/ja

Wikipediaの編集を取り入れた授業における学習者の投稿行動の特徴と学習効果の検討 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/36/Suppl./36_KJ00008609772/_article/-char/ja/

Wikipediaにおける編集履歴を利用した編集者の能力推定 https://ci.nii.ac.jp/naid/170000179679



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