皆さん、こんにちは。日本語教師の杉村泰です。現在、私は大学で日本語教師や日本語研究者を目指す大学院生に日本語文法を教えています。
さて、今回も日本語の有対動詞の自動詞・他動詞・受身の選択についてお話しします。言語学ではよく英語はスル型言語で他動詞が使われやすいのに対し、日本語はナル型言語で自動詞が使われやすいということが言われます。これと呼応して、日本語教育でも「私は結婚することにしました」と言うよりも、「私は結婚することになりました」と言う方が普通であるというようなことが言われます。
しかし、一般に会社の上司や学校の先生に報告するときは「結婚することになりました」と言うのが普通ですが、結婚について上司や先生に相談していた場合は「結婚することにしました」も使えます。また、両親に報告する場合に「結婚することになりました」と言うと、本人の意思がないようで両親は不安になるため、「結婚します」の方が使われやすくなります。
確かに英語はスル型言語で、日本語はナル型言語であるという傾向はありますが、日本語教育ではもう少し細かい場面に分けて見ていく必要があります。そこで今回は日本語の有対動詞の自動詞・他動詞・受身の選択のうち、人為的事態(人間の行為による対象の変化)の場合についてお話ししたいと思います。
