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〈大学生×漫画×日本語史〉の「講義実況」 00 この連載について

日本語には、文献資料で辿れるだけでも1500年近い歴史がある。普段日本語を使っているときに意識することはなくても、その日本語は数百年やそれ以上の長い歴史を背負っていたりする。だから、現代日本語の使い方をよく観察すると表現の背後にある日本語の歴史が透けて見えて来ることがある。

私は日本語の歴史(日本語史)を研究領域とし、勤務する大学の授業でも日本語史を中心に教えている。講義では日本語学の基礎概念や基本的な言語変化の解説にほとんどの時間を使う。学生に身近な話題もできるだけ入れるよう心掛けてはいるが、割合は微々たるものだ。これは私の教師としての力量の限界のせいもあるし、個別事例の深掘りよりも前に「体系的」な日本語学や日本語史の世界を見渡してみてほしいという欲を捨てきれないからでもある。

しかし、本当は学生の身近にある表現を深掘りした日本語史の話もしたい。私が「文学科日本文学専攻」で教えていることもあり、授業に集まる学生は、日本語はもちろん〈物語〉に関心の高い者が多い。その点は留学生も日本人学生も同じである。そして学生たちが心を寄せる〈物語〉は、小説、映画、舞台、ゲーム、アニメ、漫画など、さまざまな形を取る。日本語史的な背景を観察できるのは、日常会話だけではない。こうした〈物語〉に使われている日本語も、やはりさまざまな日本語の歴史を背負っている。個別事例を深掘りするなら、私も好きな漫画を起点とした日本語史の話をしてみたい。

とはいえ、漫画については日本語学を含め諸領域で優れた研究が数多く展開されている。私はそこに新たな知見を加えようというのではない(そもそも私の研究上の関心は漫画とは別のところにある)。私がしたいのは、漫画を入口とした日本語学や日本語史の概説的・入門的な、そして「体系的」ではない話だ。

私の担当する科目には、十数名の少人数クラスに分かれて進めるものが少なからずある。初回授業の自己紹介でお互い何を「紹介」したいか学生たちに決めさせると、必ずと言っていいほど「好きな作品は?」が出てくる。小説や映画があがることもあるが、漫画やアニメが話題になることが多い。そして、好きな作品について少しはにかみながらも熱心に語る学生の生き生きとした姿は、見ていて大変微笑ましい。そんな学生たちに向かって「この漫画のこの部分を日本語史的にこう見ると私は面白いんだけど、あなたはどう思う?」と問いかけてみたかった。

だから、この連載は私にとってはチャンスだ。学生がふとした折に教えてくれる、彼女・彼の読んでいる漫画(アニメ版だけ見ていることも少なくないが)を私も読んでみよう。それらを基に日本語史の「講義」をしてみよう。日本語学や日本語教育学を学んでいない人にも「講義」を楽しんでもらえるよう専門用語は必要最低限とし、それらにも簡単な説明を加えながら話を進めたい。そして、私の目の前には留学生も日本人学生もいる。日本語を第一言語(生まれて最初に身に付ける言語。「母語」と言うこともある)としない人もする人も大歓迎だ。

これは、学生とのやりとりが楽しくて仕事を続けている、しがない日本語史研究者による〈学生×漫画×日本語史〉の「講義実況」である。

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近畿大学文芸学部准教授。専門は日本語史。明治時代の日本語を中心に研究を進めている。大学では日本語史や日本語学の授業を受け持つかたわら、日本語教員養成課程の運営にも携わっている。雨後のタケノコのごとく湧き出る大学の仕事をさばいたりさばききれなかったりしながら、授業では学生たちと格闘し、家では2人の子供と格闘する毎日。隙をみて明治期の文献資料を読んだり探したりする。気晴らしは、ジョギングと『ハノン』(ピアノの運指練習曲集)を弾くこと。無心になれる時間が尊い。