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リレー連載 中国語話者のための日本語教育 13 自動詞・他動詞・受身の選択の話1

 皆さん、こんにちは。日本語教師の杉村泰です。現在、私は名古屋大学で日本語教師や日本語研究者を目指す大学院生に日本語文法を教えています。  さて、今回は日本語の有対動詞の自動詞・他動詞・受身の選択についてお話しします。有対動詞というのは相対動詞とも呼ばれ、「開く(自)/開ける(他)」や「焼ける(自)/焼く(他)」のように共通する語根を持ち、自他の対立を持つ動詞のことです。  このような動詞の場合、日本語母語話者なら「風でドアが開いた」と自動詞で言うところを、日本語学習者は「風でドアを開けた」と他動詞で言ったり、「風でドアが開けられた」と受身で言ったりすることがあります。これは同じ現象を見ても、日本語母語話者と日本語学習者では物を見る認知の仕方が違うためです。  この認知の仕方は、同じ日本語学習者でも韓国語話者と中国語話者では違いがあります。そこで今回と次回の二回に渡って、有対動詞の自動詞・他動詞・受身の選択について、日本語母語話者、韓国語話者、中国語話者の違いを見ていきます。今回はまず非人為的事態(自然現象)の場合についてお話ししたいと思います。