以下はざっくり計算してみたものです。細かい数字は怪しいですが、それほど誤差はないはずです。
旧有資格者の日本語教師は28万人とします
日本語教師の資格は、1985年に国による検討がはじまり、1988年に旧ルールが出来ました。今年は2023年なので、この旧ルールは35年間です。この間、大学は毎年約3000~5000人の有資格者が出て、民間の日本語学校などによる日本語教師養成講座も同じく3000-5000人の有資格者を生んでいます。どちらも4000人とすると合計年8000人。これが35年なので28万人の有資格者がいることになります(もちろん亡くなった方などもいるでしょうが)。
👉 日本語教育能力検定試験は上の講座系の有資格者と重複することもあるので、一旦省略します。
新資格に移行できるのは25000人?
仮に2024年からスタートする新資格への移行は2029年までの5年間なので、この間、仮に年1万人平均で5万人の日本語教師が誕生したとして、このうちの半分くらいは新規の資格取得者だと思われるので、旧資格から移行した教師は25000人となります。累計で28万人のうち移行したのが25000人だとすると、移行は1割以下ということになります。9割以上の日本語教師が資格を失います。
移行の成果の責任の所在
この新制度と移行期間が日本語教師の安定的な確保を目的とするなら移行が1割というのは明らかに失敗といえるのではないかと思います。しかし、その責任は誰がとるのか?は曖昧です。業界みんなで決めたんだから仕方ないよね?ということになりそうです。
仮に、移行が目的ではなく、将来を見据えてのことなのだからいいのだ、ということであれば、5年後、10年後に、資格を持った日本語教師が何人必要かを試算する必要があります。それが5年後、10年後の達成目標となるはずです。これも見当たらない。誰かが責任を問われるようなことにはしない、という不文律があるのかもしれません。
日本語教師の利益を代表する組織の不在
以上のことは、もし、日本語教師の利益を代表する組織があり、今の制度の成立に人を送ることができていたら、違った形になった可能性があります。会議で、旧資格者の移行が目的であるのか?目的だとするなら、何割の人が移行したら成功と言えるのか? 移行が目的ではないなら、日本語教師の確保は何人必要なのかを、聞きただし、言質をとれたかもしれません。
【参考】
日本語教師読本
日本語教育関係のデータ
https://webjapanese.com/dokuhon/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E6%95%99%E8%82%B2%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AE%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF
日本語教師の待遇