自費出版のロイヤリティについて

いろいろあると思いますが、Amazonの自費出版サービスであるKDPを利用する場合でざっくり説明してみます。

 

その前に私どもの執筆依頼時のご説明について

2011年~2022年あたりまではサイトで説明してたんですが、ほぼアクセスがないし、執筆依頼をしても、事前に読んでいただけないことが多かったこともあって、今は、具体的にご依頼をする際に、最初に、アマゾンの支払い画像サンプルなどで作った詳しい著者用ヘルプ(約15MB、20万字)をご覧いただくことにしてます。非公開です。すみません。

チラ見せ

今、公開上にあるのは以下だけです。
About – WJ Office https://webjapanese.com/office/about

 

アマゾンのロイヤリティについて

電子書籍と印刷版(POD)では違います。「1000円の本で著者印税が10%だから100円」で考えると、1000円の本なら著者には最低100円は保証しないといけないということになるので、電子書籍でもPODでも、100円以上が確保できる価格設定になります。これを基本で考えてみます。

 

電子書籍

Amazonは公開しているので、以下で詳しいものが読めます。

電子書籍の価格(amazonKPD)
https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200644210

ちょっと複雑なので、ざっくり書くと…

2010年スタート時は70%でしたが、その後、70%と35%に分かれました。70%の条件はいろいろありますが、主なものは各国でやっている定額読み放題サービス(名称は国よって違う)に提供するかどうかが最も大きなポイントです。提供すると購入数は下がります。読み放題は読まれたページに応じたお金が払われるので、積ん読だとお金は発生しません。

いろいろ考え方はありますが、しっかり購入して読んでもらうためには、提供せず35%を選択するケースも多いようです。私どもも数年前に35%に移行し、結果売上はアップしました。

35%だと、定価が1000円の本なら、アマゾンからは300~330円くらい入ります。(場所代的なものが少しあります)

著者のロイヤリティは、この売上の何%か、という説明をするところが多いと思います。一般的に言われている「定価の10%」だと、70%と35%で違ってくるみたいな不確定要素があるので、こうします。

この売上の*%の契約が仮に20%なら、1000円の本の著者が受け取る額は330円の20%なので、66円ということになり、100円は確保できないので著者ロイヤリティをアップするしかありません。

 

印刷版

これもアマゾンに説明があります。

ペーパーバックのロイヤリティ(amazonKDP)
https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201834330

印刷版は、ページ数によって原価が決まります。売るほうが価格をつけることができます。つけた価格の60%から印刷代(ページ数によって変わります。100ページで500円くらい)を引いた額がアマゾンから支払われます。

100ページで、仮に1780円と価格をつけるなら、印刷代は500円くらい。アマゾンからは450円くらい入ります。この売上の20%なら90円です。つまり印刷版は1780円でも20%の設定では著者への支払いで100円以上は厳しいわけです。

 

私どもは売上の40%という契約です。

40%は電子と印刷版の合計の40%です。どちらが売れるかは流動的なので、別々に設定するケースのほうが多いかもしれません。うちは2010年からずっと印刷版のほうが売れてます。おそらくこの先、何十年と電子が印刷を超えることはなさそうな気がしてます。

40%だと、本の定価で考えてもなんとか15~20%くらいになるので、「定価の10%」よりちょっといいかなという程度です。地味なジャンルが多いのでそれほどたくさん売れるわけではないです。日本の自費出版は、印刷版のほうが強い市場なのにKDP利用だと印刷版で価格競争できないのが不利です。

 

KDP利用の自費出版で1冊の本でどのくらいの利益になるか

著者ありきの出版なら、うちの場合は売上の60%が入ってくることになりますが、あくまでの「売上の」です。定価のではありません。1冊の利益は今の平均の価格(電子1280円、印刷1780円)で300~400円というところです。1冊の本が仮に500冊売れれば、350×500で17万5000円ということになります。

自費出版で自分で書いたものなら、売れるのはほとんどの場合100冊単位ですから、だいたい印刷版は1650円くらいで200円くらい入っても、100冊なら2万円です。これが1000部なら20万。1万部なら200万ですが、例えば、新書で日本語関連でベスとセラーでも5万部以下で1万部ならヒットですから、自費出版で1万部は不可能。1000部も厳しいです。500部くらいが大目標です。

KDPで儲かるのかは、上の数字でだいたいわかると思います。出版社のように、本を作るのにコストをかけるのは完全に不可能です。校正、装丁、多くのスタッフによるチェック、書店で流通させるためにモロモロのコストを捻出するのは当然無理で、翻訳などは(昔挑戦しましたが…)道楽でないとできません。一人で何でもやる人がいれば、他に生活費を稼ぐ道があれば、できますが、10年続けるのは厳しいと思います。

自己啓発本でSNSで煽り宣伝をして数万部売る!というビジネスモデルはあるようですが、本を買うという習慣自体が激減している中では、大穴狙いのギャンブルに過ぎず、可能性があるのはマンガくらいなのでは。

 

一般の出版社は?

検索すればわかりますが、当然、自費出版より利益は大きいです。新書のように、紙の本を1000円以下で出せるのは驚異的な業界の効率化があるとわかります。自費出版は特に印刷版では全然適わないわけです。

出版社の利益というファンタジー|神谷竜介@俯旗軒 https://note.com/kamiya_ryusuke/n/n71e8eccb8aa0

〔本の売上の分配率〕出版業界のお金と各社の重要な役割 │ 超書店員 https://bookseller.work/distribution-01-4/

利益も大きいので、本を作るコストもかけられますが、昨今は厳しいのでギリギリであるようです。90年代までは利益確保のラインは1万部くらいと言われてたジャンルもあったようですが、今は数千部でも高い目標だと思います。出版社も100冊単位で増刷するようなことになっているようです。

出版社は儲かるの? 商業出版時の費用の種類・金額 【日本橋出版】 https://nihonbashi-pub.co.jp/831

 

ちなみに…

価格は自由に決めることができますが、最低価格が決まっており、レギュレーションは流動的ですが、電子では300円以下で設定されていて、印刷版では印刷代が500円くらいからなので、1000円以下の価格設定は難しいと思います。

海外の価格はここ数年円安で設定しやすくなってます。海外で売るかどうかも決めることできます。法人は海外で販売すると経理的な計算などがややこしいので避ける傾向があるようです。日本語の教材でも海外ではあまり売れないので、売らないという判断になるんだろうと思います。

ちなみに、2010年以降、これまで一番売れたのは日本ではなく米国でした。2012年に日本語会話の本が、amazon.com 日本語教材部門でトップになりました。今は日本がメインですが、毎年欧州北米、豪州では売上があります。時々、インドとかメキシコでも売れます。こういうのはKDP利用のおもしろいところです。