【過去記事】日本語教材のウェブサポートへの提案

日本語教材のウェブサポートへの提案 
2015年10月3日初版投稿 2018年1月31日改訂 約69000字
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

この記事のライセンスについて
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
引用する際は、著作者名のwebjapanese、ブログのURL( http://webjapanese.com/blog/j/ )とブログのタイトル、記事の投稿年月を記せば、複製、プリントアウトして研修などに使うことができますし、改変、加筆も自由です。詳しくはクリエイティブ・コモンズへのリンク先を参照してください。
また、この記事は、Googleドキュメント版があります。
Googleドキュメントは、Office互換のテキストデータですが、ePub形式やPDF形式でダウンロードできます。ライセンスは同じなので、二次利用可能です。
👉 ただし、このライセンスが適用されるのはオリジナルのテキスト部分だけです。本編内の画像、引用したリンク、動画などは制作者に著作権があります。
👉 この記事は、記述が古くなったり、間違いが明らかになった時は、訂正、修正していきます。ご指摘を受けての修正は、ツイッターアカウントのモーメントでまとめて、追加していきます。どういうご指摘を受けて、どう修正したか、あるいはしなかったか、は、このモーメントをご覧ください。閲覧にはツイッターアカウントが必要です(簡単な更新履歴はこのページの最後にあります)。
https://twitter.com/i/moments/815422590491594752


About
現在、日本の日本語教材の出版社は、良質な日本語教材のほとんどを作っていて量的にも圧倒していますが、驚くべきことに、どこも、ほぼすべて、サイトは日本語だけ、電子書籍化はほとんどされず、海外のアマゾンでは売ろうとしません。
結局、日本語の教材は学習者に「売る」のではなく、採用する担当者、例えば政府系法人の関係者だとか、日本語学校のベテラン教員、校長、理事長「採用されるかどうか」だから、というのがその大きな理由ではないかと思われます。
当然、日本語の教材を作る出版社は、学習者がサポートサイトに期待しているものは何か、をあまり考えていないフシがあります。同業者のサイトをみて「だいたいこんなカンジでいいんじゃないか」と作ったようなものばかりです。
例えば20代の新人日本語教師が、検索すると何もないので驚くと思います。そして、今、日本語の教材を使う人達、学習者の多くも20才前後の人なわけですが、その人達が出版社のサイトに期待するものが100なら、現在の日本語の教材を出す出版社が提供しているものはくらいです。
この記事では、現在の問題点と、どうあるべきかという提案を書いてみることにしました。
この記事は、2015年に投稿して、2016年と2018年1月にここで指摘したサイトについて再訪しチェック、記述を追加しました。これで検証は終わりにして、今後は提案部分の修正と更新を中心にやっていきたいと考えています。
👉 日本の出版社の日本語の教材は、海外のアマゾンには、チラホラあるだけで売れている日本語の教材は「げんき」と「Japanese for busy people」くらいです。その他はあっても在庫切れ、あとは海外の出版社が出している漢字やサバイバル的な教材ばかりです。国際交流基金の調査によると、学校で日本語を学んでいる日本語の学習者は国内は約50万人であるのに対して、海外は350万人で、ネットで学習している人は同数以上はいるとすると1000万人近く、つまり大多数は当然ですが海外にいます。しかし、海外では日本語の教材はネットでも買えないのです。知らない人は驚くかもしれませんが。

 

サポートサイトに期待されているもの

 

まず、日本語の教材のサポートサイトでありがちなことは、執筆側(学校、公的機関、グループなど)と出版社で2つできてしまうことです。傾向としては、執筆側のサイトが教師のサポート、出版社側が学習者サポート、という棲み分けになることが多いようです。サイトがひとつでも、日本語版は教師のサポート、英語版は学習者用と分けるところもあります。
ただ、これは絶対に一本化すべきです。
複数サイトがあると、まず、ユーザーが検索した際、検索結果に2つも3つもサポートサイトらしきものが現れて混乱しますし、音声ファイルはあっち、教師用素材はこっち、サンプルはどこ?ということになります。たいていの場合、お互いのサイトできちんとリンクがないので、すべての情報を収集するまで、ものすごく時間がかかる。「まるごと 日本のことばと文化」(以降「まるごと」)のようにポータルでまとめても、それぞれのサイトで独立した構造になっているので、直感的に全体像を把握するのは不可能、いつまでたっても、どこに何があるのかまったくわからないままです。製作側も、たとえ最初に神経を使って上手く作っても、今度は更新する際に混乱してしまう。いいことはひとつもありません。
教師と学習者で分けることにもメリットはありません。
教科書について、学習者にどんなサポートがされているかを教師は当然知っておくべきですし、教師が知りたいことは学習者にとっても意義があることで、知りたいはずです。2つに分ける意味はあるでしょうか?
基本的に、日本語の教材のサイトでは、教科書がどんなコンセプトで、どんなゴール設定でというようなことは何故か学習者にあまり提供されていません。教師向けの長々とした説明はあっても、学習者向けの説明は貧弱です。
そもそも購入前の訪問者には広告を、購入者にはサポートを、と分けて考える必要もないと思います。教科書を買う人が「情報」として欲しいのはせいぜい売れてるのかどうか、評判はどうか、くらいで、それは出版社のサイトではなく、アマゾンや日本語学習者のコミュニティで調べるでしょう。教材の購入者が出版社のサイトで知りたいのは製作者だから伝えることができる「どんな教科書なのか」の説明で、後は、せいぜい音声などの素材をダウンロードしたいだけです。

 


私はネットの教材のサポートでは出版物の説明のファイルや学習素材などの「情報・モノの提供」だけでなく教師や学習者のその教材に関するノウハウや経験などをシェアする「場所の提供」が期待されていると思います。ただ、情報・モノの提供も提供のフォーマット、質、提供方法、などを検討しなおす時期ですし、「場所」は、ユーザー登録をして新たにコミュニティーの「メンバー」にならなければならないような掲示板を主催するのではなく、ソーシャルメディアを活用しつつ、場所をプロデュースする。コントロールするのではなく下支えをする。という発想で作り直すほうが合理的です。


 

 

「情報・モノ」の提供

 

 

教材の何が知りたいか?

 

これは学習者が知りたいことと教師が知りたいこと、それほど違いはありません。下の1)から6)は共通していると思います。
1)なぜこの教材を作ったのか
2)誰に向けてつくったのか
3)ゴールはどこか
4)必要な学習時間は(総合教科書ならばシラバス的な提案も)
5)推奨される学習方法と他のアイデア
6)リソースの案内
7)開発コンセプト(教師向け)

このうち、1)から6)までは、教師と学習者向けに日本語版と英語、多言語版を作って提供する。同じ内容でまったく問題ないと思います。5)の「他のアイデア」は、例えば教室向けの教科書で、教師の元で使われる設計なら、それは率直に書くべきで、その上で、環境が整わない場合は、こういう方法もあるよ、と提案がほしい。例えば、海外なら日本人留学生を探して、その人に教師用指導書を読んで貰った上でプライベートレッスンを受けるとか。(これで学習者に、教科書と指導書がセットで売れる可能性も出てきます。もちろん、出版社が授業動画を提供すれば教室がなくても教科書が売れると思いますが)7)は教師や学校向けに監修者、著者、執筆陣による論文や、著者の紹介、著者の論文があれば、その紹介などが欲しいところです。PDF、できれば、後述するePub形式で。(学習者にもリンクなどで案内すればいいと思います)
総合教科書でこれらがあるのは(情報の提供方法に多少問題があり、学習者向けのものがほとんど無いという欠点はあるものの)「まるごと」だけです。「まるごと」は学習者の自律的な学習プランによって進めるというコンセプトであるなら、学習者に向けてもこれらの情報をきちんと伝えることによって、教材の説明、紹介のあり方の流れを変えてほしいです。
これは日本語教育関係者によくあることですが、ターゲットは留学生中心で20才前後が多いから「子供相手」みたいな意識があるのかもしれません。だから説明はほどほどでいい、というような。
あるいは、紙の教科書に入れ込むにはサイズ的な限界がある、紙媒体での広告もスペースが限られている、という時代の習慣をそのまま続けているのかもしれません。理屈ではわかっていても、ある程度ネットを活用していないと、デジタルの量的なイメージを持つことができませんから。今は、ネット上には十分なスペースがあり、テキストデータ主体であれば、もう「詳細はネットで」と書いても問題ない時代です。(ネット環境がない人にはネット用に作ったコンテンツをプリントアウトして冊子にして実費で郵送すればいいだけ。そういうニーズも、もう少ないはずです)
教師用、学習者用と分けるのではなく、一緒に作って、多言語化するか、どちらでも読めるように工夫する(最初で述べた学習者が読める日本語のことです)ほうが合理的です、分けるなら、本格版とライト版です。ライト版は短い概要動画と長めの説明動画、PDFやePub文書と組み合わせて、教室の運営者や学習者など専門知識がない人をターゲットに作ります。本格版は教師、学校の教務主任など、より深く知りたい、知らなければならない人達向けに文書中心で。こっちの作り分けのほうにお金と時間を割いたほうが、より「届くもの」になるはずです。
特に、今は、教師に向けたあれこれは、教科書に載せる必要はまったくなく、学習者に向けてしっかり説明を載せればOK。あとはサイト上で説明があるとか、ダウンロード文書があれば問題ありません。
ネットでの多言語での説明を考えた時、最も効果的で効率的なのは、案内の動画を作って字幕を多言語で載せることではないでしょうか。日本語で話し、字幕を入れてC.Cで公開すれば教材としても使えます。以下は、ケンブリッジの英語検定の説明動画。日本語を含む17カ国語の字幕があります。

 

素材の形式、フォーマット

 

教師に対してウェブでいろんな補助教材を提供しているところは増えてきました。ダウンロード形式のほうが本よりもいろんなタイプのものを提供しやすいですし、今後は絵だけでなくドリルや音声、動画など充実させてほしいところです。中には「にほんごこれだけ」のように、教師に対して教える場面のサンプル動画を提供しているところもあります。今はたいていのマニュアルが動画になってます。教師用指導書は今後は動画(youtubeもしくはVimeoで会員のみという形でも)と冊子(近い将来PDFからePubに)で作るという流れになるはずです。また、画像も、もうプリントアウトせず、そのままタブレットでタップしてフラッシュカードとして使う、ような使い方が増えているはずです。

テキスト系の素材


テキスト周辺はフォーマットはここ20年くらいPDFか、オフィス系なわけですが、今後は、互換性の高い標準的な形式としては、プレーンなテキストデータ、エクセル、はあるとして、Wordの代わりとしてLibreOffice、文書の配布方法は、PDFだけでなく、ePubでも提供してほしいところです。
最も効率的でユーザーにとっても便利なのは、Googleドキュメントで提供することです。見出しだけつけて置いておけば、ユーザーはPDF、ワード、ePub形式でダウンロードできます。このブログの記事のGoogleドキュメント版で試してみて下さい。Googleのアカウントがなくても閲覧、ダウンロードはできます。
Officeソフト、ユーザーは減っています。教育機関で使われることが多いChromebook上では動きません。Macでは、ビジネス目的でないかぎりオプション的な位置のままです。ソフトの契約形態も今後変わっていくようです。そもそも、スマホやタブレットはあっても、PC持ってない人がかなりの比率でいて、その比率は増えています。互換フォーマットとしてはしばらく君臨するかもしれませんが、もうすべての人が持っているソフトではなくなる可能性が高いです。テキスト系の共通フォーマットを何とするかは今、微妙なところです。
👉 LibreOfficeは、オープンソース(無料)のoffice互換ソフトです。(ちょっと前までOpenOfficeという名前でした)すべてのプラットフォームで使えて、モバイルOS版もそろそろ出るとアナウンスされていますから、ワード形式よりも、最初からodt形式で配布するほうがよいのではと思います。https://ja.libreoffice.org/
officeソフトを持っていない、使えない環境などを考えずに、配布できます。

そろそろePubで!


Googleドキュメントで提供すれば、見出しだけつけておけば、ePub形式でダウンロードできるわけですが、やはり出版社ならば、多少はePubで見やすい加工をした文書を配ることはできるはずです。
ePubは電子書籍のイチ規格というだけでなく、今後、テキストデータの標準フォーマットになる可能性が高いです。ハンディキャップを持った人へのアクセシビリティも圧倒的に高く、特に教材のテキストフォーマットとしては最も有力です。
ベースはHTMLですから、もっとも汎用性が高く(あらゆるOSで動きます)扱いやすく(データ容量はPDFより確実に小さくなります。PDFは検索できないことが多いですがePubはテキストデータ)、読みやすい(目次設定も簡単で読む際も呼び出せる。文字サイズも変更可能、多言語対応)、しかも作りやすい(簡単なのは後述。PDFと違って修正、アップデートも中身を直接編集できます)フォーマットです。今、移行しておけば、ePubの規格が進歩しても新たに作り直す必要はなく、同じ文書をいじるだけで済みます。長く使えるものになります。
PDFは、図表を入れたレイアウトも簡単で作りやすいですし、資料として読むにはいいのですが、テキスト主体のものならePubのほうが見やすいですし、PDFだと容量的に分冊にしなければならないものもePubではまとめてでOK。ePubはテキストデータは圧縮するのでテキストの分量が多いほど、PDFより軽くなります。分冊でもリーダーで串刺し検索もできます。例えば、教師用指導書的なものなどは読むだけで無く「使う文書」でもあるので、該当ページに移動したり、検索したりが必要なのです。
市販する指導書は、教科書と違って、基本文字ベースでいけるので電子化しやすいと思います。kindle版だともっとありがたい。重い指導書をスマホなどで持ち歩けるだけでとても助かるはずです。ちょこっと参照もしやすい。スマホ、タブレット使っている教師はみな分厚く重たい本よりkindle版を買うはずです。(その意味では、スリーエーネットワークの「はじめよう日本語初級」の教師用指導書と各国語語彙リストがkindle化されているのは画期的です)
ePub化するのは簡単です。いろんな方法がありますが、例えばテキストデータを下のでんでんコンバータのサイトにあるでんでんエディタにペーストして、章とか見出しだけ指定してボタンをクリック、あとはワープロソフトでやる程度の整形をやって保存、です。画像の挿入もボタンひとつです。これで、あらゆるデバイスで読めて目次からサクッと行きたいところに行けて、検索もできるデジタル文書になります。PDFに比べると二手間ぐらい多いですが、出版するわけではないので、タイトルと目次さえ動けばいい、というカンジで作るなら、慣れれば「ペースト、タイトル、見出し、はい、できあがり」というカンジでできます。ほとんどの場合、端末でポップアップ辞書が使えますし、音声読み上げなどのアクセシビリティも高い。
さらに、ePubは、ひとつの文書を多言語で(メニューで言語を選択して切り替える)作ることができます。学習者向けのテキスト系ファイルでも応用できます。よく無料で提供される語彙リストなどのPDFは、ひとつの多言語ファイルで提供したほうがよいのではと思います。複数言語で読む学習者もいますので。
出版社の方はePub文書については研修などでご存じだと思います。日常的に使うことでePubの扱い方や可能性など実感できるというのも大きな利点ではないでしょうか。
*でんでんコンバータ(テキスト文書を手軽にePub形式に変換できるコンバータ)
http://conv.denshochan.com/
境祐司氏による動画での解説

ePub ファイルで配布すればそれで問題ないですが、さらにkindleでも読めるようにする方法の動画も作ってくださっているので、ついでに。


👉 ePub化が簡単になったのは、このでんでんコンバータのおかげです。エディタや他のツール、いろいろありますけど個人で気軽に使えるような決定版はなく、日本語ベースのものも他にありません。こんなに簡単で安心して使えるものがあるのは日本語環境だけかも。ホントに神ツールです。
ePub文書を読む
どうやって読むのか、もいろいろあります。モバイルOS上のほうが環境はよく、無料のアプリもたくさんあります。ストアでePubで検索してみてください。PC上では、ブラウザーに機能拡張を入れれば読めます。Edgeは、デフォルトでePubに対応しています。
👉 簡単な表ならePubでもできますが、複雑な表や図版などePubにしにくく画像になっていないものは、力業ですが、HTMLなりパワポ、エクセルなどで作ったものをキャプチャソフトで、画像にして貼り付ける、という方法もあります。上の「日本語教育あれこれ」もそれでやりました。kindleだとちょっと読みにくいですがなんとかなります。これが多分一番早いです。

画像、動画など

イラストなどでプリントアウト前提ということなのか、PDFやワードなどでイラスト集としてレイアウトしたものがあります。これはそのままで配布するしかないのですが、もしイラストの原画があるなら、それはそのままバラで、gifやjpgなどで画像アーカイブから好きなものをダウンロード、のほうがありがたいです。今はプリントアウトせず、画像ビューワーなどでタブレットなどでそのまま使うというニーズもありますし、おそらく近い将来、それが多数派になるはずです。「*課用素材」として加工OKのライセンスで配布すれば、それを元にちょっとしたハンドアウトを教師が作ることができます。例えば、助数詞のところのいろんなイラストなどは、素材のままのほうが、加工してハンドアウトにもできるし、画像のままフラッシュカード的にも使えます。
動画の形式は何が標準なのか、なかなか難しいところです。ただ、後述する「配布方法」では、もうYoutubeかVimeoで提供してください、と書きました。Youtubeは原則ダウンロード禁止なので、ダウンロード配布とパスワードでアクセス制限をするならVimeoです(vimeoはパッケージで販売するサービスもあります)。Vimeoでは、ダウンロードされる動画の形式はmp4形式です。配布することがあるなら、汎用性が高そうなmp4が無難なんじゃないでしょうか。

音声

音声はMP3で10年くらい安定してます。ただ、Appleは、iPodもすっかり作らなくなってしまいましたし、数年後は音楽プレーヤーはどこかの会社が新しい音声の規格で覇権を握るかもしれませんが、これだけ普及すればなんとかなりそうです。あとナレーションベースのものなら、スタジオでお金かけて作っても、宅録で作って送ってもらっても、今は、たいしてクオリティは変わりません。CDをメインにしないという選択をするだけでかなりコストをカットできるはずです。(ネット環境厳しい人は有料でCD送付、にしても、それほど大量の注文があるとは考えにくいんですが、どうなんでしょう?あるいはもうUSBメモリ的なものを郵送のほうが作る手間がかからないような気もします。ただ、CD欲しいというのはCDで再生するからということもあると思いますから微妙なところです)
👉 画像のフォーマットは安定していてjpgやgif,pngで配布するばOKですが、動画や音声は5~10年単位でメジャーなフォーマットが変わります。その時々で汎用性が高く将来性がありそうな形式を注意深く選ぶことが重要です。今なら、音声はmp3かwave、動画はwmvでもaviでもなく、mp4だと思います。

著作権


配布されている教師用の素材などをどこまで使っていいのは、ほとんどの場合、きちんと書かれていません。改変してクラスで配布するところまでは想定されているとは思いますし、そこはOKだろうと使っているわけですが、気になるのは、教師が作ったものをネットで配布していいのか?販売できるのか?などです。ほとんどの場合、書かれていません。
例えば「げんき」の素材のページには、そういうことが書かれていませんし、素材自体にも記述がありません。交流基金の「みんなのCan-doサイト」も、登録して、Can-doサイト上で個々が作ったCan-doアイデアを公開したら、著作権は全て国際交流基金に譲渡する規約になっていて、互いに「シェア」というムードではありません。
cando

まず自ら提供するものに関しては、提供側の考えをしっかり書くか、クリエイティブコモンズのライセンスで明示するなどと決めるのが一番わかりやすいのではと思います。

クリエイティブコモンズによる説明動画

また、教師間などでシェアする場所をプロデュースするような時も、あらかじめ取り決めを作って合意してからにするか、クリエイティブコモンズを紹介して各自、ライセンスを明記することを義務づけるなど、きちんと方向付けをしたほうがいいと思います。ライセンスは提供者が決めるほうがフェアです。
👉 私はウェブで無償で配布するものに限っては「私的利用の範囲」をグレーゾーンにしたままにするより、CCなどで原作者のクレジットは、改変も、営利目的での利用もOKと明確にするのが一番わかりやすくていいと思います。「改変」も動画に字幕入れるのは改変か?というような細かいことが出てきますし「非営利」に限定すると、例えば民間の学校が、配布された素材を元に作った問題集をやる短期講習を料金とってやるのはアウトかセーフか?みたいなまたグレーゾーンのケースがどんどん出てきます。あいまいだと、著作権のことを知らない人は好き勝手にコピーするし、著作権を守ろうというようなマジメな人ほど悩むことになるのです。

 

学習者のネット環境

 

普及率

インターネット回線がない国もたくさんあるわけですが、まずインターネットの普及率です。簡単に言うと、回線があって加入できる人がどのくらいいるか、で結果、人口のどのくらいをカバーできているか、です。日本でも実は80%ちょっと(2015 年)。WIkipedia には、普及率のリストがあります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/国のインターネット普及率リスト
2016 年の統計はこちら。
http://www.internetlivestats.com/internet-users-by-country/
中国で 52%、インドネシアで 20%。アジアはここが弱いんですね。インフラは整備が進んでないこともありますが、家庭用の回線が来ててもデータ通信契約に加入できる世帯はまだ少ない。スマホはなんとか買ってもパソコンが買えない。アフリカ、南米も 50 を割る国が多数です。自宅と学校でネットに接続できるのは世界の平均でも意外と低いということがわかります。2014 年で 4 割とのこと。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20140508_647277.html
2016 年で 5 割くらいと考えていいでしょうか。
特に日本語学習者はアジアが 8 割とすると、ネットに接続できる率はより下がる可能性が高い。このへんは、OECD の調査が詳しいところです。もちろん、携帯回線もあるのですが、通話はできても、データ通信は3 G レベル。基地局の整備もいまひとつで、何より回線品質がイマイチであることが多いようです。大都市以外はかなり厳しい。

👉 日本の普及率に関するデータ(総務省)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc372110.html

👉 日本の場合は携帯回線利用者が多いので家庭回線はあまり伸びないかも、という、インフラどうこうの国の 2 歩先を行ってるというところです。

 

回線品質

これは資料としては、Akamai の調査というものが有名です。最新レポは登録してダウンロードですが、ひとつ前からオンライン上で読めます。現在整備されている回線のうち、どのくらいがブロードバンドか、みたいなことがあります。
https://www.akamai.com/us/en/about/our-thinking/state-of-the-internet-report/
例えば、回線速度が、4Mbps 以上(ADSL 品質)の比率は、日本は 90%なんですが、中国で 33%、ベトナムで 31%、インドネシアで 17%です。最初から携帯回線、というのは、いろんな大手の企業がいろんな国でやってるわけですが、日本のように全国津々浦々に基地局を置くみたいなことは難しいそうです。あと回線の品質も、日本の 4G(LTE)ではなく3G がベース。会社によっては安かろう悪かろうもあるとのことで、国によってばらつきがあり、ハードや通信契約もいろいろ。途上国では基本、高品質な回線をしいているところは従量制が多く、安さで勝負のところは定額もあるとかとというレポを見ました。3 G 回線が普及するため、家庭でネットに接続する習慣がないということも起きているらしく、その場合は例えば学習者が家庭でスマホで携帯回線を使うことになるのかもしれません。通信費もあるでしょうし、どこまで自由に使えるかはわかりません。

 

世界の日本語学習者のネット環境

アジアやアフリカなどは最初から家庭のネット回線よりも携帯用の回線でやる、あるいは携帯回線敷設優先、というところが結構あるようです。日本のような4Gまではいかない3G回線で多少途切れがち、というカンジみたいです。つまり動画のストリームなどは厳しい。テキストのやり取りはなんとかなる。端末はモバイルOS。これは頭に入れておいたほうがいいと思います。
日本語の教科書は国内の日本語学校などでつめこみ的にやる前提のものが多く、教室外での学習はあんまり想定していないというところがあります。ただ、紙だともう見てもくれないという世代がすでにいるわけで、教科書を持ち歩いてはくれませんがアプリなら肌身離さず持っていてくれるわけです。
👉 世界のネット回線状況に関しては、以下が定期的にレポートを出しています。
https://www.akamai.com/
http://www.internetsociety.org/globalinternetreport/

👉 ただ、日本語の学習者が多いところ、中国、東南アジア、では、PCを所有してなくてもスマホは持ってるという人が多数派で、そこを意識して作っていくべきだと思います。ウェブにアクセスすることを前提に教科書自体を作るのはちょっとまだ厳しいですが、もちろん音声ファイルは次の項で書きますようにもはやダウンロード提供をメインにしなければならない時代なのですが、ウェブ提供に一本化するのは早計で、CDや記録メディアでも対応すべきです。過渡期はコストが増えますが仕方ありません。今は過渡期で、両方に対応しないといけない、という認識が大事なのではと思います。

 

日本語教材、本編までの長い道のり
aisatsu

* 「みんなの日本語」初版、(まったくの初級者用の教科書)の冒頭の「あいさつ」の一部

日本語の教科書、特に初級教科書は、本編がはじまるまで10数ページも前書き的なものが続きます。かなりの部分は教師や日本語教育関係者向け。学習者向けの説明もありますが、ほとんどは学習者が読めない日本語で書いてあったりします。

 

今手元にある「みんなの日本語」(初版)はあいさつ(上参照)が2P。教師への説明が4P。学習者への説明(教科書終えても読めない日本語)が1P。目次5P。登場人物紹介2P。50音図など4P。合計18Pで本文。学習者が読めるのは13P。
「JBP(Japanese for busy people)」は、目次2P。あいさつ1P。コンセプト紹介3P。表記の説明5P。看板などの写真3P。合計11P。英語話者向けなのですべて読めるとは思いますが。
「BASIC KANJI BOOK」は、コンセプト4P(教師向け)。使い方〔教師向け)4P。学習者向けコンセプト説明2P。使い方(学習者向け)3P。学習者向け表記説明2P。目次3P。合計18P。
「日本語でビジネス会話」は、まえがき1P。使い方(教師向け)2P。まえがき英語1P。使い方英語2P。目次4P。表記3P。フレーズなど2P。合計15P。ほぼ学習者向け説明ですが、学習者は3Pは読めないページがある。これでも少なめ。
「まるごと 日本のことばと文化」は、まえがき1P。その英語訳1P。コンセプトの説明(教科書修了しても学習者は読めない。下参照)6P。その英語訳6P。目次が日英で2Pづつ。合計18P。これは多言語向けですが英語苦手な学習者だと18P全部読めない。
「できる日本語」は、まず、日本語の前書きが2P。目次が2P(日英韓中)。教師向け教科書の使い方が8Pで本編。日本語部分はいずれも教師向け。学習者は100%読めないレベルの文章。

 


 

ホントに学習者向けの説明?
marugoto*「まるごと 日本のことばと文化」初版入門編(まったくの初級者用の教科書)のおそらくは学習者向け説明(続けて同じものの英訳があるので)の一部
例えば「みんなの日本語」は日本語のみ。初級の1では、漢字にふりがなはなく、「基本語彙」「こつ」というような語が出てくる。「まるごと」の最初の入門編の扉の学習者用説明で、ふりがななしで「黙読」「構造」「負担を軽くするために」という表現が出てくる。同じ内容で英語訳が続くが、英語が読めない学習者は、まったくこの部分は読めないことになる。(まるごとは約200Pなので、最初の18Pは、全体の1割弱)

日本語の場合、文章の難易度が考慮されてないのも不思議なんですが、ふりがながふられてないので辞書ひくこともできないんですよね。初級教科書であと300時間勉強しても読めるかどうかの文章が本を開いて本編まで15ページくらい続くというのは、どう考えても疑問なわけです。

→ 教科書は学習者のものだ、学習者の立場で語学は教えられるべきだと言うならば、少なくとも表紙を開いて本編までは、その教材を使うであろうと想定されている学習者が読めるものだけで十分だと思います。そして教材によってターゲットは違うといっても、そのターゲットの言語か、多言語化、あるいは、せめてその教材が終わった時には辞書ひけば読めるというような基準で書いて、イラストなどを多用して最低限のことは学習者に伝わるように工夫してほしいです。「あいさつ」「教師用の説明」は巻末あるいはサポートサイトからのダウンロードで十分。学習者向けの使い方やコンセプトの説明は一番お金かけて作るべきところのはずです。

 

素材を提供、公開する手段

 

教師や学習者に対して素材などを提供する場合、自社のサイトでうまく対応していないこともあると思います。普通はダウンロードするファイルもファイルをサーバーにアップしてページ作って、みたいな手順か、ブログ的なページ(いわゆるWordpressでいう「ページ」)でわかりやすく作ってくれればいいんですが、たいていは記事の投稿の際に添付するみたいな形か、検索で出てくる教材のページからが多いです。やはりトップページからアーカイブまで1クリックでたどり着けて、ちゃんと一覧できてということにならないと、ダウンロードするほうが使いにくい。教材の出版社では英語のMP3ファイルがダウンロードということが多いんですが、サイトの中でもまだオマケ的なポジションで、正直、どこもあんまりパッとしません。見つけにくく、ダウンロードしたzipファイルにReadMe的なものも入ってなかったりして。
画像や音声などは個別でもzipファイルでダウンロードもできるけど、できればどんなものか聞けて、みられてのほうがいい、となると、そのためには、ギャラリー形式で見られるものが欲しいとなりますが、それを自社のサイトに追加でつけるのは結構大変です。インストールはできても、一度作ったら、またメンテやらアップデートやらが必要になりますし。また、Wordpressは(プロがガリガリにカスタマイズすれば別かもしれませんが)基本、一覧的なものは苦手だと思います。
で、これは、外部の無料サービスを利用するのが手っ取り早いし、素人でもファイルのアップロード、設定などが簡単です。そのへんのサイト制作会社に頼むよりしっかりしたものができると思います。画像ならgoogleかpinterest、ドキュメントならgoogleドライブ、動画は次で別に書きますが、Youtube,Vimeoです。
自社のサイト設計が古くて融通がきかない、という時に、この外部サービスの活用に踏み切ることができるかどうかが大きなポイントだと思います。(よく勘違いされがちなんですが、ユーザーはこれらの外部サービスのアカウントを取得しなくても、配布されたものを受け取ることはできます)

 

音声ファイル

 

教科書を作ったら、サポートサイトを作って、そこでMP3形式などで音声ファイルをダウンロード配布するのは、マストだと思います。もうCDを再生できないという人は多いわけですから。CDラジカセはもうハードオフのジャンク売り場にもありません。そして、ドライブがないノートPCやタブレットかスマホだけ、という人はかなりの比率でいます。もはやCDはカセットと同じと考えるべきです。
また、日本は「CDが生き残っている貴重な国」です。つまり海外だともっとCDは使われていない地域が多い。若い世代はみたことがないという人もいます。日本語の教材のユーザーは「海外の若い世代」が最も多いはずです。
ダウンロード配布当然、ということでその先の話をしますと、、、
配布の形式はユーザー登録してから、あるいはファイルそのものをパスで保護するなどして制限を設けるところが多いようです。ただ音声ファイルはMP3で配布すれば、もうコピーは不可避です。C.Cで(ついでにスクリプトつけて)制限なしでダウンロード可能にしたほうが、教科書の宣伝になっていいのではという気がします。教材を作り始める時から準備が必要です。なんとなく発注するのではなく、ライセンスなどを含めた契約をしなければなりません。
研究社の「中級から学ぶ日本語」の音声ファイルは登録なしでダウンロードできます。音声ファイル聞いて、よさそうだから教科書買おう、ということはあると思います。(出版社にしてみれば、コストもかかってるし、つい最近まで2000円で売ってたモノなのに!ということかもしれませんし、政府系機関なんかでは、セットで高くても買ってくれるみたいなこともあるのかもしれません)
ユーザー登録させるなら顧客管理もしないといけない。音声はCCで無償配布にすれば、個人情報流出のリスクもひとつ減ります。
👉 すでに作ったものでも、著作権者と交渉すれば、ライセンスの変更と配布は可能なはずです。私どもも、音声などの素材の一部は再交渉で承諾を得て、CCでの配布をしました。
音声ファイルをCCで配布する大きなメリット
音声ファイルのライセンスが使いやすいものだとその音声ファイルで出版社も日本語教師も、デジタルの準拠教材が簡単に作れるという大きなメリットが生まれます。
今は音声ファイルは、簡単にサイト上で再生可能な形で公開できます。知識がほぼ不要というのはもちろん、ほとんど何も考えずに、mp3ファイルを添付するようなカンジでブログ記事として投稿し、あとは範囲指定して何度かクリックするぐらいで以下のように、ページ上で音声を再生するようなものが作れます。

これを利用してページ上で音声関連の設問を作れば、ネットに接続されできればどんな端末上でも使える教科書準拠の補助教材を世界中に公開できます。専門的な知識なしにどんどんアプリを作って配布できるようなものです。(上のサウンドプレーヤーはHTML5なので、再生環境を選びませんし、スマホ対応。ブログはプラグインひとつでスマホ対応になります)あっという間にウェブサポートの最先端を行くことができます。
つまり、一般の人や学習者、日本語教師などが、その音声ファイルで作った準拠教材、ドリルが、ネット上でどんどん増殖するかもしれません。これをケシカランと考えるか、コストゼロの強力な宣伝と捉えるか、です。私なら、音声その他の素材をC.Cで加工自由にして配布、その素材で作るウェブ教材のセミナーを開いてその動画をYoutubeにあげる、つまり積極的に作り方も紹介して、勝手に、自由に教材作って公開してね、とやります。「ネット上では圧倒的に**という教科書の補助教材」が多い、ということになるのは音声素材のライセンス次第だと思います。
👉 Wordpress使っているところが多いようなので、少し補足を(このブログもWordpressです)音声プラグインはHTML5(Flashはダメ)のものがいろいろあります。このページでは mb.miniAudioPlayer を使ってます。ダウンロード可の設定にもできます。
👉 ユーザー登録での音声ファイル配布、現在行っている「まるごと」はユーザー名とパスだけ。もしかしたら出版社によっては、近い将来、ユーザー登録は教科書のシリアルを入力する的なことになるかもしれませんが、教科書は人の手から手へと渡ることも多いので(そういう場面はよくみます)古本であっても所有者であれば使い続けられるような配慮もしたほうがよいと思います。
👉 「みん日」の音声は本冊の問題と会話(教科書の中身の50%以下)は付属のCDですが、その他すべての音声は別売りのCD提供で上下分(10枚)で合計約16000円+税。突出してます。今、CDをセットでこの値段で売るのは宗教団体くらいです。教科書の購入者には、無償配布かせめてネット上で気軽に注文できて、世界のどこからでも3000円以内で届くくらいに抑えないと、学習者が音声ファイルを聞くのは不可能な教科書、ということになってしまいます。だいたいの計算ですが、2018年で17000円は今日本語学習者が増えているベトナムやフィリピン、タイ、インドネシアの中流家庭の月収の半分以上です。
👉 スカイプやハングアウト、Youtubeなど、生の日本語の音声は、ネットがない時代と比べると飛躍的にアクセスしやすくなりました。ただ、ゼロ初心者から中級前半くらいまでの学習者に必要な「学習者が聴くことをある程度考慮されたスクリプト付きの音声ファイル」は、ネット上にはほとんどありません。英語に比べると極端に少ない。日本語の教材を出している出版社は、期待されているはずです。

 

画像など

 

画像は、見渡す限りでは、Zipでまとめてダウンロード、しかないわけですが、もうちょっとちゃんとやるには、ギャラリー的なものを設置するしかない、ということになるはずです。ギャラリーはオープンソースでいいものがいろいろありますし、簡単に設置できるんですが、アップデートなどメンテがそこそこ大変。外注して作ってもらうより、外部サービスを活用したほうが合理的です。
配布はこちらの素材を出すだけですが、ユーザー(教師)同士で素材をシェアする場合、これまでは掲示板などで場所を提供して、という形が多かったですが、これはそのコミュニティを構築するまで時間がかかり、それをきちんと運営する手間もバカになりません。(潰すに潰せないまま廃墟化している掲示板が多いはずです。廃墟化した掲示板は活用されてなくてもメンテは必要だし、潰せば印象悪いしで、かなりやっかいです)
これは、一旦集めて配布がベストです。素材を集めるハブ的役割をやるほうが、掲示板などの場所を運営するよりはるかに手間がかかりませんし、ユーザーも気楽です。
例えば教師同士の素材のシェアならば、「オリジナルに限る、著作権放棄もしくはC.Cで規定する、返却しない」くらいのルールで、編集部にフォーム経由(これのほうが容量制限できますから)で送ってもらい、編集者が使えると思ったものを、紹介、再配布する、googleフォトや、gooleドライブの公開フォルダに入れて公開、落選素材は削除、みたいなことのほうが、結果として手間もかからず(場所を提供するとその運営の手間がバカにならない。一旦、間に入る形にするほうがかえって楽です)素材のシェアはうまくいくと思います。
□ Googleフォト
素材の配布はGoogleDriveのほうがいいかなと思いますが、Googlephotoにアップして公開するだけでもいいと思います。もちろん、写真だけでなく動画にも対応してますが、ここは写真とイラスト周辺が得意なので、画像一般はgoogleフォトで、動画はYouTubeかVimeoを使い分けたほうがよさそうです。
□ Pinterest
googleアカウントでやるのに抵抗があるならこのピンタレストのアカウントを取るでもいいのではないでしょうか。Pinterestは、ネット上にある画像を自分のボードに勝手にPinして留めておくみたいなサービスですが、自分が持ってる画像をアップロードして掲載もでき、そっちを活用して企業などは自分の商品の宣伝をしたりしています。その画像がPinterestユーザーに気に入られれば勝手にPinされて広がっていくというメリットもあります。
Pinterestは、最近ちょっと下火ですが、そこそこユーザーは多いのでどこかが買収しても続くはず。法人や教育機関などもアカウントをたくさん作っています。本の宣伝場所としてもかなり有効だと会社を説得しやすいのではと思います。(ちなみにウチではこんな活用をしてます)
Pinterest の紹介動画

GoogleDrive
以下は、この記事のために作った、私どものアカウントのフォルダのうちの1つを公開設定にしたものです。googleアカウントがなくても、誰でも見られて、そのまま表示、再生できて、上のアイコンで印刷、ダウンロードもできます。写真数枚とmp3ファイル2つ、サンプルのテキスト文書、PDFを入れてみました。もちろん大抵のファイル形式に対応しているので動画も大丈夫です。これはただ放り込んだだけですが、さらに3つのフォルダに分けて整理して配布することもできます。自由に試してみて下さい。googleアカウントがある人は、自分のドライブに移動できます。試してみて下さい。
https://drive.google.com/folderview?id=0B5TCRiHE2W6oOGtUSnl0VVFya0E&usp=sharing
以下は、私どもがGoogleDriveで公開している素材のトップのURLです。書籍の音声の他に動画、画像、学習ゲーム的なものなのがあります。
素材アーカイブ 
https://goo.gl/slSSc9
下はこの記事のために作った私どものgoogleアカウントのgoogleフォトの一部です。いくつかあるうちのフォルダのひとつを公開(共有)設定にしてみました。写真3枚入れてます。googleアカウントなしでも見られます。(アカウントを持ってれば、自分のgoogleフォトにサクッとコピーできます)
https://goo.gl/photos/1fHadzHExAEVkoLaA

 

テキスト関係

 

□ Googleドライブ
googleドライブはgoogleのアカウントを取れば無料で15GBまで利用できるオンラインのストレージ(ファイル置き場)で、そのスペースを区切って、このフォルダは、自分だけがアクセスできる、知り合いと共有する、ネット上のすべての人が共有できる、というようにアクセスする権限を設定できます。
GoogleDriveに関しては、日本語教育サクサク 基礎編 に書きました。無料のweb版がありますので、そちらをご覧下さい。
👉 すべての人がアクセスできつつ、知り合いと共有して、知り合いはそこにファイルを放り込んだり、編集したりもできる、という設定もできます。つまりネット上で公開しても「すべての人」は編集まではできない、ということです。

 

動画

 

ウェブサポートをするということは、ずっとウェブの進化、流行と付き合っていく覚悟が必要です。見るほうはどんどん贅沢になっていきます。古くなったら作り直すしかない。そのコストも織り込んで作るしかありません。で、そういうことをウォッチしている人が一人いないとまずいです。やっとついて行けている人よりも、余力がある若い人のほうがよさそうです。
今、一番劣化が早く、取り扱い注意なのが動画です。多分、HD、FHD、4Kと来て、少しスピードが鈍ってきたと思うので、今ちゃんとFHDあたりで作って置けば過去5年と比べて長持ちするとは思います。現時点でも、すでに写真などの画像はもう一眼レベル、動画は最低でもHD画質の動画じゃないと見てくれないと考えるべきです。(そうでないものは即、入れ替える必要があるということです)
ウェブサポートで提供される素材は、どこも最初に作ったものを、そのまま3年も5年も置きっ放しというところがほとんどです。特に動画は、もう画質は悪いし、規格は古いしでゾンビ化(動くけどほとんど死んでいる)しているものがあります。再生された様子もなく、どのくらいダウンロードされたかも、あまり気にされていない。広告で「無料動画ダウンロードできます!」と書くためだけに作られたような動画。。。
一般のユーザーが贅沢になっていくのに合わせるのは大変ですが、語学の教材は若い人が主なターゲットであり、特に日本語の教材のターゲットは20歳以下ということが多いはず。そういう人達はテレビの解像度も高画質、ネットでももうHD画質以下の動画をあまり知らない世代です。つまり日本語の教材は常にそういうことに一番厳しい顧客を相手にしている、ということで、可能な限り先取りして作って、アップデートして、というくらいでやらないと追いつきません。
今は、オンラインソフトの使い方の説明も文章では無く動画です。デスクトップの動きを動画でキャプチャーしているのを見たことがある方はいると思います。(こういうソフトで簡単に作れます。フリーのソフトもあります)今後、動画は本の紹介だけでなく、教え方サンプル、学習者向け、スキット的な動画など、作らざるをえない、ということになると思われます。
以下は、現時点であった日本語教材関連の動画です。宣伝の動画が多いですが、授業サンプルや学習者向けのものなどもありました。見つけたものだけ。
□ Genki(JapanTimes)の学習者向け動画 
(自社サイトからダウンロード。wmv形式、10~20MB前後。制作はおそらく2009年前後)
http://wpgenki.whitebase.co.jp/self/genki-movie

 

□ genkiの動画はリニューアルされました。YouTubeで、おそらくFHD、短めでみやすいものになっています。ただ、動画リストから飛べるものの限定公開で、アップロードしたのは個人(?)となっていて、チャンネルでの公開ではないのが残念です。限定公開は、ほぼ意味がない設定なのでチャンネルを作り、そこで展開したほうがよいと思います。
リスト
http://genki.japantimes.co.jp/site/video/jp/

□「まるごと 日本のことばと文化」(国際交流基金)の短い教科書紹介動画(2013/12/13 Youtubeで公開)

 

□ はじめよう日本語初級(スリーエー)のホラー映画の暗視カメラシーンのような授業サンプル動画(2013/08/07公開)

 

□ NEJ テーマで学ぶ基礎日本語(くろしお出版) 4分の紹介動画。ほぼ静止画とナレーション。 2013/06/11公開 Youtube。

□ NEJ テーマで学ぶ基礎日本語(くろしお出版) 2分50秒の推薦動画。2013/01/30にアップロードだが、なぜかYoutube上では非公開設定。

 

□ にほんごこれだけ (ココ出版)
(2011年ごろから随時追加?自社サイト上で公開。ダウンロード不可。Flashなのでモバイル上で再生できない。音量バラバラだがバグなのか音量コントロールできない)
http://cocopb.com/koredake/

 

問題点まとめてみます。
・公開後のチェックはおそらくされていない。
「はじめよう」の動画は2013年8月公開で5000回ちょっと。これは関係者と買った人が一度みただけ、というところです。一本しかない15分の教え方のサンプルなら、よく出来ていれば5万回でもおかしくないはずです。多分、再生回数を気にしている人がいない。(と、ここで思いついたんですが、ひょっとして再生回数が知られるのがイヤだから学習系の動画はYoutubeにアップしない?)
genkiの動画も、おそらく最初(2009年と動画にはクレジットが)に作って置いただけ。そしてせっかく作ったんだから置いておこう、というカンジで置かれています。わたしは「長い」と思います。3分以内、できれば1分。そしてせめてスクリプトを字幕で入れて欲しい。
・公開方法も考えられていない。
多分、動画作ったら自サイトで公開するよりもうYoutubeなどの動画サイトに置くのが最も合理的です。ファイル形式がどうだを気にしなくてすみますし、置き場所の案内も楽、アクセシブルで、広告効果も高い。快適にみられる画質をユーザーが決められる(日本語学習者はインフラが弱い地域に多い)。ダウンロード可能にするならYoutubeは厳しいですがVimeoなら大丈夫です。どちらも無料で容量もファイル数も気にすること無く使えます。
後は自サイトに貼り付ければいいだけですし。CMSにはいろいろ動画アーカイブ的な機能ありますが(私もあれこれ試しましたが)どう考えても、動画サイトを活用するほうが合理的ですしユーザーにもやさしい。
例えば、ココ出版の動画は自社サイトで公開ですが、flashなので、モバイルOS上からは再生できません。作り直すとしても自社サイトでやろうとすると、ブラウザやOSなどで仕様が変わる度に作り直しです。今も放置状態なわけですから、YoutubeかVimeoに放り込む、が正解だと思います。
いずれにしても、動画は自社サイトとかダウンロードではなく、もうYoutubeか、Vimeoに置くでいいと思います。自社サイトで引用できますし。
・作る時に先を見越していない。
今あるウェブ素材、まるごとのフラッシュ学習サイトをはじめ、他の教材の動画なども、作った時点でかなり古い技術、機材で作られている、というのが気になります。ウェブ教材を作る、もしくは動画、画像を使う場合は、作る時点で3年、5年先も通用しそうなもの、つまり「可能な限りその時点での最先端」で作るべきです。
「はじめよう」はおそらく撮影時期は2011年前後です。げんきは2009年とのこと。ちなみに2010年の時点で量販店で売ってた普及機(10万円くらい)の画質はこのくらいです。つまり当時のそこそこの普及機で作っておけば、今でも十分に見られたはず、ということです。
「量販店で売ってる新しめ」でOKです。今(2015年)ならビデオカメラはすべてFHDで4万円くらい。4Kで安定しているもので15万くらいです。10万を惜しまない、という程度のことです。今4kで作ってもちゃんとみられる人は逆に少ないかもしれませんが、Youtubeにアップすればそれぞれの再生環境に応じた解像度を選んで観ることができますから問題ありません。今、4Kで作って置けば3~5年は大丈夫(かどうかわかりませんが、その時点でベストを尽くすべきです)なはずです。
・なんとなくただ撮っている
ハードに(わずか数万円の)お金かけるかどうかで画質は決まってしまいます。ここはなんとしてもケチらずやる、で、次はやはり、もうちょっと考えて作ってくださいよ、というのがあります。外注でやったんだとしても、結婚式の動画を作ってるとこに頼んだ感があります。。。
同じ語学の出版社の例を少し。
このページの最初でご紹介した英語のベストセラーの語学書、English in use のサンプル授業とプロモーション動画です。おそらく「げんき」の動画が公開された同じ年に公開、「はじめよう」や「NEJ」の動画と同時期か前(2013年1月)に作られています。

もちろんある程度の編集もしてあるしお金かかってます。でも画質はいいし、しっかり作ってあるので、作った時期は日本語教材周辺のものと変わらないのに、今も十分みられます。しかもCambridge University Press は今も新しい動画を作り続けています。
以下の2本の英会話動画は、2008年に作られたものです。実写で鮮度が落ちる原因となりやすい髪型、服、メイクなどをなるべく抑えたトーンにしてあったり。背景が白黒の書き割りであることで、白黒と実写のカラーの対比で無理にアップにしなくても観る人が自然と話者の顔にフォーカスするようになっています(このシリーズは出演者の服装もほぼ白黒です)。背景が実写じゃないので鮮度が落ちない、映り込み気にしなくていい、室内なので安定したクオリティ(光、音)で撮れる、というメリットが多い優れたアイデアです。長く使えるようにいろんな工夫がしてあります。

👉 この動画はカメラは複数あって編集もしてありますが、がんばれば、カメラ1台でもカットを割れば、家庭用の電気スタンド持ち寄って、銀紙でレフ作って、PCで編集、でも同じ程度のものは作れます。書き割りはかなりクオリティ高いので厳しいかもですが、何か工夫はできるはず。編集で背景合成するとか。


👉 実は私達も昔、日本語学習動画を作ろうとアレコレやってみたことがあります。
編集に凝るよりも、音はカメラまかせにせず、別途マイクで拾うなど、数千円お金をかけて、できればライティングもがんばれば、アングル固定で素人の演技でもなんとかなります。げんきの動画のように無理にライティングが難しくお金がかかる外で撮らなくてもいいはずです。
あと動画は繰り返し見られるのが長所なので標準的なスピードで話しても問題ないと思います。そしてとにかく短く作るぐらいでやったほうがそれが結果として自然な「編集」となるということがあります。5分で入ると思ったら、そこからがんばって1分にするぐらいでちょうどいいはずです。必要なら分ける。ダラダラした10分の動画を作るより1分のを5つ作ったほうが絶対に学習効果も高いはずです。googleが作る動画は101秒とか1分半です。サクッと伝えるならそのへんが限界ということだと思います。

 


 

プロモーション、紹介ムービーなども日本語の教材関連は、基本スライド的な静止画が切り替わってナレーションが入ってるものばかりですが、中身の説明がある紙芝居形式の4分のNEJの動画は2013/06/11に公開、2015年の9月18日の時点で再生回数318回(2018年1月21日で1062回、2年半でわずか700回程度の再生回数)。紙芝居的な謎アニメの(あれだけアニメをプッシュしているのに…)横スクロールの文字がプルプル震える1分のまるごとの動画は、2013/12/13公開で、同時点で1954回(2018年1月21日で4902回。2年半で3000回、あれだけプロモーションしているのに…)です。これは関係者以外ほぼ誰もみてない、というところだと思います。大学の発表とか関係者へのプレゼンの時に使う用で、その他の誰かに見てもらおうという気は最初からないのかもしれませんが。

今は、本のプロモーション動画は、開発者インタビューなどの実写か、アニメイテッドインフォグラフィックで作られるのが普通です。以下は2013/03/27に公開されたブリティッシュカウンシルのソーシャルメディアに関する動画「これ2013年の動画です。もう今、このくらいのものは作らないと」と会社を説得したり「こんなものを作りたい」と制作会社に言ったりしてみてください。

同じYoutubeで公開された動画でだいたい同じくらいの期間ですが再生回数は84643回です。英語だしネームバリューあるし、というのは確かにそうですが、私は、最後まで観てしまいました。内容はたいしたことないのに。NEJやまるごとのプロモーション動画、最後まで観た人何%ぐらいでしょうか?

 

👉 「ちょっと先の標準」のわかりやすい目安としては、iPhoneの現行機種の画質が参考になると思います。撮るほうも見るほうも、大多数が満足するラインがあれです。画像・動画投稿サイトでは、ブログの画像、動画はiPhone基準で仕様が変わっています。iPhoneの現行機種の画質が1,2年後にはデフォルトになる、今でも、もう一眼レベル。動画は1,2年後には4Kが標準になりそうです。

 


 

 

「場所」の提供

 

 

教師に対するサポート

 

最初に書きましたが、総合教科書は、開発意図や関連論文の紹介、シラバス関連の提案は重要です。Can-do、タスクベースとうたうならポートフォリオも準備してほしい。それらがあるという前提で、もうひとつ、情報交換、シェアをする場もほしいということになると思います。
学習者に対する教材の多言語化も必要ですが、教師に対しても学習者の母語別の対応など細かなノウハウの提供があってもいいはずです。これも、ネット上にそういう場所があれば、いろんな言語が得意な教師がもちよる情報をシェアできる可能性があります。教科書のユーザーである教師のコミュニティを活用しない手はないはずです。
これが例えばネットに強い人が多い翻訳業界なら、ネットユーザーの数も多く、ネット上の自主的なグループが何かを始めたりという発展があるのですが、正直、日本語教師はかなりネットに弱い。いろいろと動きはあっても決定版がない。掲示板ではもう人は集まらない。いろいろと考えて場所を作り、提供していた人も結局続かず力尽きて終わってしまう、ということがあります(そして残念ながら、現状、この種のシェアサイトには怪しげなものもあります)。成功する可能性がありそうなのは、そこそこシェアを持っている教科書を出してる出版社が主催するものぐらいだと私は思います。
教師へのいろんなシェアの場所提供は、どういう場がよいのか? 私はWikiを軸にやるのがベストだと思います。
ノウハウの蓄積の場としてのWiki
掲示板はダメ、基本、時系列で整理され、流れて行ってしまうブログやSNSも向いていない。
で、オープンにアクセスできて、ユーザーのアクセスのレベルもコントロールできる、常に最新の成果に効率的にアクセスできる、という点において、Wikiが最も適していると思います。ただし誰でも編集OKにするのではなく、ある程度権限を与える人を絞ってコントロールしながら運営していく。
出版社の担当者がWikiを設置して、あらかじめ情報提供者を決め、ある程度の編集権限を与えて共有するのがベストだと思います。出版社で担当一人。編集権限を与える人が50人くらいを目標にする。例えば、教科書を使っている学校と提携してwikiでの共有をする契約をする、ということもできます。毎月当番校を作って書き込み、管理の仕事をする、とか。(共有契約をした学校だけにシェア、もできますが、そこはネット上で公開して、**学校による提供、とすれば学校の評価にも繋がるはずです)
一般の日本語教師の情報提供を受ける窓口を作るのも簡単です。wiki内にコメント投稿、フォームを設置してその他の意見を取り込む窓口を作るだけです。もちろん、このWIkiの名前でツイッターアカウントをとってリプライやDMでいつでも提供を受けることにすれば、ツイッターユーザーは気軽に意見を出せます。
日本語教師は、今のところ、基本的にネットに弱く掲示板などへの参加意欲も薄い人が多いので、まずこの編集権限の50人を少なくともwikiの編集ができる程度まで(といっても基本的な仕組みとwiki記法を覚えるだけなので簡単です。最近は記法がないシステムも多いですし)育てる。50人が日常的にwikiを維持していき、その50人の外のユーザーはツイッターやコメント欄などで気軽に参加できる仕組みを作ること。この「2つの層」を作り、ユーザーを広げていく、というのがポイントです。
実は、ネットに弱いベテラン教師ほどwikiに貢献できる知恵も知識も持っています。ここも、工夫すれば、この50人の層で拾っていくことも可能です。メールで、FAXで受け付けてもいいと思いますし、いろんな学校に50人がいるなら、現場で受け付けてもいい。ネットの外の情報もwikiに取り込んでいけます。自分のノウハウがネット上にありいろんな教師が参考にしているということは、ベテラン教師にとってもうれしいことなのではないでしょうか?ベテラン教師も、ネットを覗いてみようかというキッカケになるかもしれません。
wikiの設置は比較的簡単です。pukiwikiみたいな日本語のフリーのwikiは、掲示板を設置する程度のこと(ファイルアップロードしてパーミッション設定するだけ)なので、個人ページでも、ほぼ何の知識もなしに、どんどん設置しています。レンタルもありますし。本格的なwikiシステムも、今は安いレンタルサーバーでも、ボタンひとつでインストールみたいなことになっています。あとはコンパネで設定するだけです。
pukiwiki活用事例(pukiwikiは国内で最も使われているオープンソースのwikiです)
http://pukiwiki.osdn.jp/?PukiWiki%2F%E6%B4%BB%E7%94%A8%E4%BA%8B%E4%BE%8B
👉 Wikiの設置は、自分でレンサバ借りてサイト運営をしているくらいの人(結構います。やれと言われればできる人も含めると30才以下なら石を投げればあたるくらい)なら誰でもできます。プログラミングの知識は不要です。インストールして基本的な設定を考えてやったら、後は、運用も管理画面で設定するだけですから上で提案したような使い方の範囲なら問題ないはずです。ホンモノのウィキペディアで使ってるMediawiki もオープンソースで設置は難しくないですし、同じくオープンソースで設置が簡単なdocuwikiもあります。Pmwiki もあります。Tikiwikiは書き手の会員管理ができる掲示板やメーリングリストもついてて便利です。

 

学習者に対するサポート

 

ユーザー登録した人にクラウド上にポートフォリオを提供して簡易SNS的なものも…、と言いたいところですが、それはもうGoogleがやりそうですし、理想的ですが、現状では目標にするには遠すぎるかもしれません。もう少し現実的なところから…。
教師には蓄積する場所としてのWikiが必要だったわけですが、学習者にとってはどちらかというと蓄積よりも、学習者同士を「やんわりと」繋げる仕組みを作る(というか支える)ことが最優先事項です。そのためには、学習者にとっても欲しい情報、その場、その場の問題の解決の場の提供のほうが重要だと思います。そこが試験のカンニングに使われても宿題をサボるために利用されてもいいんです。まずは有益な場を作ることが大事。
これも掲示板のような場所ではもう可能性はなく、やはり、ソーシャルラーニング的な方向ではないでしょうか。
kindleでは、すでに読者同士のコミュニケーションが可能な場が提供されていますし、すでにアチコチにコミュニティはあるわけですが、ある程度シェアを持っている教科書というのは、強力なハブになれる潜在力を持っていると思います。
「*課のあそこがわからないんだけど」
「ああ、それは**で」
というような学習者同士のやり取り(当然、多言語でなされるわけです)をきちんと整理しながら蓄積しつつ、SNS的なネットワークを維持するのは大変ですが、近い将来、ネット上にどれだけの資産を持っているかで教科書の勝ち負けが決まる時代が来るような気がします。
ソーシャルラーニングは、教師ありき、教室ありきの教材しかない日本語の教材の現状を補完してくれる可能性もあります。しっかりしたソーシャルコミュニティのバックアップがあれば、教師がいなくても教室がなくても「みんなの日本語」や「まるごと」が個人相手に売れていく、ということも起きる可能性があります。

 

ツイッターでの学習者サポート

 

情報を発信するための活用方法は、後で書きます。ここでは、学習者に向けての活用を。
ソーシャルメディアも学習者向けのアカウントは必要だ思います。外国語でツイートしなくてもいいので、そこで、BOTでもいいのでクイズを流すことから始めるのはどうでしょうか。
BOTは、ツイート2つをペアにして、問題を流して、*分後に回答を流す、みたいな単純なものから、画像や動画を使ったり、週に1度くらいは担当者が2時間くらい常駐してリアルタイムで早押しをやったりもできます。「開」という漢字を探して写メでハッシュタグつきでツイートした人が勝ちみたいな。
イベントもできます。例えば、一年に一度くらいは教科書の著者降臨、みたいなことも面白い。ハングアウトでちょっと授業みたいなことをやって、ツイッターで質問を受け付けるという使い方もできます。アンケート機能でいろんな反応を集めれば、貴重なデータとなるはずです。
ツイッターは、wikiのように、うまく蓄積される仕組みではないものの、ハッシュタグをからめて収集したり、リプライなども含めてまめにログをとって整理しながら運営していけば、蓄積したデータは、改訂の際の重要な資料にもなるはずです。
ツイッターのさらなる活用
ある程度ユーザーが集まってやれるとなったら、例えばハッシュタグでソーシャルラーニング的な試みを始めるのはどうでしょうか?
kindleのように読者がリアルタイムで、という仕組みも、多くの読者をかかえる教科書なら、作れないことはありません。例えば、紙の教科書であっても、その教科書専用のハッシュタグを #mnihongo #genkiJ などとあらかじめ決めて、それに課の数字をつけてツイートする、あるいはFacebookで投稿するということにすれば、#mnihongo04 でツイートしたら「みんなの日本語の4課やってるけど」という意味になる、というわけです。
いろいろとこちらからも仕掛けたりしながら、このハッシュタグでツイートしてくれる人を増やします。
定着してくれば、検索すれば、毎日このハッシュタグでのツイートや投稿を目にする、ということになるはずです。手応えがあれば、もう最初から教科書の扉でハッシュタグを紹介して、各課の最初に 「8課 **** #mnihongo08」と入れておけばいいわけです。(もし、ツイッターが廃れても、このハッシュタグは必ずネット上での何かしら活用できる共通の目印になるはずです。それに、この例でいえば、#mnihongo のツイートをしっかり記録していけば、教科書の使い方に関する学習者の膨大なデータが集まるはずです。魅力的だと思いませんか?)
このハッシュタグで検索して、例えば、南アフリカで「12課が難しい、これどういう意味?」というツイートがあって、たまたま同じところで悩んでるカナダの人が「そうそう、私も」とツイート、インドネシアの人が「ああ、それは…」と教えあう、というような光景が生まれたら成功、というわけです。
ここから先は何が起こるか分かりません。コミュニティをウォッチしながら、どういうサポートがあればいいのか、Wikiなのか、アーカイブなのか、ツイッターでのより深い関与か、その時その時で空気をよみつつやっていくしかありません。
サポートというと、購入者から何かリアクションがあって、それに対応しなければならないものだ、と考えずに、読者同士が上手に交流できる場を演出するという発想でやればいいと思います。ソーシャルラーニングというのは自律的な学習という側面が強調されますが、教材を提供する側、教える側として、何ができるかを考え、学習者を支えるものを提供することが大事です。アマゾンのようにハードを軸にしたプラットフォームではない土台を作れるのは、出版社ではないかと思うのです。
👉 ツイッターアカウントは、出版社でひとつあるとして、学習者用は別にひとつ作る必要があると思います。教師用も作ったりで、増えるかもしれません。ただ、複数のアカウント管理は、PCなら、TweetDeckやHootsuite、Jannetterなどのクライアントソフトが、モバイルのアプリもたいてい複数アカウント対応です。(Facebookも同時に管理できるものもあります)ひとつの投稿をワンアクションで同時に複数アカウントに投稿したり、公式RTを複数アカにしたりができるので、一人で3つくらいまでなら、管理できるはずです。持っているSNSの窓口を連動させて上手に管理すれば、基本的にひとつの投稿をすれば、すべてのツイッターアカウント、フェイスブック、ブログにすべて投稿される、ということもできます。ネット上でおもしろい記事を読んだら「これはフェイスブックと会社の代表Twitterアカに」「これは教師用アカと学習者用アカに」と振り分けることもできます。
👉 ハッシュタグは今、下火であまり使われてないのも活用には有利だと思います。日本語のハッシュタグも学習者は使ってみたいものであるようです。
👉 ソーシャルリーディングという読み物や、kindleの使い勝手などもあるソーシャルリーディング時代のはじまりなどを参考にしてください。
👉 教科書会社が独自にSNSを運営してもいいと思います。テキストベースであれば、3G回線でも気軽に利用できます。教科書の利用者が仮に10万人なら、独自SNSの構築はそれほど難しくはないはずです。民間のサービスもありますし、オープンソースのSNSスクリプトを使えば、少人数で運営可能です。

 


 

ご存じですか?
今は、ブラウザーのふりがな機能拡張などで、ツイッターにも自動的にふりがながふられるということ、ご存じでしょうか?
画像、順番にひらがな、ローマ字、ふりがなを白に設定したもの(範囲指定でふりがなが見える)です。

hiragana
ro-maji
idea

かなり精度が高く「間違えもあるよ」と理解したうえでなら、実用レベルです。この種の機能拡張はいろいろ出ており、ChromeでもFirefoxでも複数あります。これを案内すれば、無理に翻訳ソフトを使ったりしなくても、初級レベルの日本語で書くことで、対応はできます。

 


 

執筆者はどこに?
日本語の教材に限らないんですが、教科書は執筆者が話題になりません。ある教科書について褒めたり貶したりはあっても、あの人はどうだという話しにはならない。ちょっと不思議に思ってます。もちろん出版社は著者を守らねばならないという考えがあるとは思います。ただ、今は著者もネット上で実名で「ワインなう。***のバーカ」などとツイートしたりしてます。
教師や学習者のサポートに執筆者は応えてもいいんじゃないでしょうか?その義務があるとまでは言いませんが、小説やエッセイとは違って、執筆者の提示する方法に従って学ぶ以上は、学習者に対して、ある程度のサポートをする責任はあるような気がします。そして教科書を使う教師に対しても。
サイト上に教科書の執筆者に繋がるフォームを作ってあってもいいと思います。半年に一度まとめて執筆者に送り、その中で大事だと思うものの回答を三ヶ月後にでもFAQ的なコーナーに追加するでもいいですし。
おそらく改訂版などのために、感想などは送られているはずですが、直の感想、学習者の意見が届く窓口が増えることは執筆者にとってもありがたいことなのでは?(アマゾンの評価なんかみな気にしています。やっぱり気になるはずなんです。否定されると悲しいけど、単純な褒め言葉でもうれしいもんなんです)
あまり執筆者にスポットライトがあたると、その人がネット上で少々窮屈になる、ということはあるかもしれません。しかし、今は本の著者は教材に限らず、ネット上で自分で窓口を作っていますし、個人でもSNS楽しみたいはず。そういう人は増えるはずです。そこで、例えば、FacebookやTwitterなどでアレコレ質問されるのはさすがにキツイでしょうし、出版社が窓口を作ることによって、その防波堤になるという意義はあるように思います。窓口として作っておけば執筆者も「本のことは出版社のフォーム(URL)からね」と逃げられます。あと数年もすれば、教科書の執筆者で検索すれば、その人のSNSアカウントがヒットするというのは普通のことになりそうですから。
学習者にとっても、教科書を書いた人達にコンタクトできる窓口があるだけでうれしいのではと思います。

 

日本語の教材で著者みずから説明する動画を作っているのはくろしお出版のNEJです。今後は日本語教材の出版では主流でなかったところから新しい動きが出てくるのかもしれません。(でももうちょっと撮り方あると思います。語りかける形式なのに、なぜ最初から最後までカメラを見ずに横向いて喋ってるのか…)

 

これは字幕はありませんが、出版社提供の英語の教材のベストセラー、English grammar in USE の著者インタビューです。(これはインタビュアーに答えているという形式なので、カメラみなくても不自然じゃない。「インタビュアーに向かって熱心に話す姿を切り取る」という構成になっている。人に見せる動画を撮る時は、おさえておくべき「映像の文法」みたいなものがあるのです…)

 

👉 世界最大の出版社ランダムハウスには執筆者の紹介ページがあり(海外の出版社にはよくあります)その人の書籍、イベントの予定、情報を受け取るメーリングリスト、などが書いてあります。学習書の出版社である  ケンブリッジ大学出版局 にも執筆者紹介ページが。海外の出版社のリンクはこのページの最後に少しあります

 


 

 

出版社別に

 

(以下は、2015年の10月に調べたサイトの状況などを元に書き、2018年の1月に再びチェックしました)
日本語の教材を出している主な出版社のサイトをピックアップしました。多分、これらのサイトは、学習者はもちろん、日本語教育関係者は、教材の発注をする担当者以外はほぼ誰もみてないと思います。明らかにお金も手間もかかってないですし、そもそも読むところがないし、あらゆる意味でアマゾンのほうが使い勝手がいいし、アマゾンにある以上の情報はないと一度みればわかるし、結果、アマゾンがあれば特に問題ないからです。
教師も学習者も、教科書を出している出版社のサイトは、一度は検索してアクセスするはずです。で、ほとんどの人は、黙って去っていって二度と来ない。だから、クレームが出版社に届いてない。出版社の人は気づかない。でも日本語学習者は世界中にいますし、教材名でググればサイトは上位に来ますから、そこそこアクセス数はある、外注したところは当然「ほらこんなにアクセスありますよ」なんて言う。で、ダメかなと薄々感じていても、それほどたいしたことじゃないと思ってしまう。というようなことなんでしょうか。
私も、提案だけ書いて終わりにしようと思ったんですが、それぞれの出版社のサイト開設当初から使い続けてきたユーザー(ストアは使ったことありませんが)として、この際、2015年の時点の記録として残しておく意義もあるし、率直にズケズケと書くことにしました。出版業界のことはまったく無知だし、サイト制作に関しても素人分析で間違いも的外れなところもあると思いますが、ご容赦ください。
👉 日本語の教材の出版社のサイトの月の訪問者数は、まるごと、その他で5000人くらい。スリーエーや凡人社でだいたい2万人くらい。例えば、有斐閣東京書籍が7~8万、新潮社が24万、講談社カドカワが共に60万くらい、たびたび例にあげる英語教材を出しているケンブリッジ大学出版局(会社の規模としては講談社の半分以下)は、1200万。アマゾンジャパンは、月1億5千万人です。サイトの客観的なデータを得るために、以下を利用しました。
アクセス数など:http://www.similarweb.com/
サイト、ドメイン情報など:http://toolbar.netcraft.com/site_report
アクセシビリティ、サイトの質など:http://nibbler.silktide.com/
サイト制作の方法、ツールなど:http://builtwith.com/

 


 

サイトの作り方は、ざっとみた印象では、ストアとコンテンツ部分は切り離して、ストアは外注、コンテンツはWordpress(ブログのシステムとして世界シェアトップのスクリプト。ここ数年、個人や小さなサイト制作会社などはこれでやることが多い。このブログもWordpressです)で更新できるようにしてもらった、みたいなところが多いようです。今、安くあげるならそうなるのかもしれません。ただ、そのWordpess部分がどうも。。。ストアとの連携も全然。。。というカンジです。切り離すか、統合するならきっちりやるか、のどちらかだと思うんですが、中途半端。その最初の設計が悪いうえに、更新する人もよくわからないままやってるのでは、という気がします。多分、ちゃんとお金かけて作り直さないと今後も屋上屋を…的なことになっていき、ますますカオスなことになる予感がします。(個人的にはストアは決済だけにして完全に切り離して、コンテンツ部分をイチから考え直すほうがいいと思います)

 


 

コンテンツ関連だと、まず、なんといっても日本語教材の2大出版社であるスリーエーネットワークと凡人社が自社でほぼサンプルの提供がなく、アマゾンのなか見検索!にも未対応というのが大きいです。凡人社は自社のサンプル提供は無しで、紹介文は、あっても、ほぼすべてツイッターの文字数(140字)程度。紹介文がない本も大量にあります。スリーエーの紹介文も300字を超えることはほとんどありません。スリーエーはなんといっても「みん日」でサンプル版を提供していないので、リアル書店でないとどんな本なのかわかりません。
凡人社は英語はほぼ無し。スリーエーネットワークは日本語の紹介文の英訳だけ(しかも日本語と英語のページは相互にリンクがない)で、英語サイトの検索は今のところ壊れてます。
結果として、日本語教育業界で最も教材を作っている出版社の教材と圧倒的なシェアの教科書は、ネット上に情報がほとんどなく教材の中身も見られない、というのが日本語教育業界の出版事情の大きな特徴だと思います。

 

かつて日本語の教材を出していたところも、もう改訂はしないままというところが多く、出版社の中での扱いも小さくなっていってます。小さなところは能試と初級の教科書以外は、古い教材は放置状態です。あきらかに日本語教材の出版は縮小しているように思います。目立つのは能力試験対策本ばかり。今後数年で撤退するところは増えてもっと環境は悪くなるかもしれません。
今後は、大学発信、あるいは自主出版のような形で作られる教材が軸になるのではという気がします。そちらのほうがネット対応も進むでしょうし、海外の学習者とダイレクトに繋がる可能性もあります。

 

👉 私は日本の大学で日本語教育学科があるところや別科で長くやってるところなどは、オックスフォード出版みたいな方向を目指さないならば、出版社を介して売るのはもうやめて、大学の出版局は編集部を強化してKDPCreateSpace,Luluなどと提携、あるいは利用して、直で、電書とPOD(Print On Demand)で教材を作って売ればいいのに、とずっと思ってます。著者との契約形態はあれこれ工夫できる(囲い込みもできる)し、かなり安く、アクセシビリティが高い教科書を、世界中の学習者に直接届けられる。まさに大学がやるべき仕事ではないですか?(「扱ってもらえなくなったから事実上絶版」みたいな教材も生き返るかも)
👉 海外生活が長い方や都会の方はピンとこないかもしれません。今、地方では日本語の教材は、車で平均片道1時間くらいの大きめのモール(小さいモールにはほぼ無いです)の書店に棚があるかどうか、で、あったとしても100冊ぐらい。そのうち30冊は「みんなの日本語」関連。40冊は日本語能力試験関連。残りの30冊に漢字とか日本語教育能力検定試験関連本にまじってその他の教材がチラホラ、というところです。

 

 



 

スリーエーネットワーク

 

http://www.3anet.co.jp/
 ストアなし。アマゾンのなか見検索は未対応(だが旧版のみん日は一部対応していたりする謎の基準)サイトの訪問者数は月2万5千人前後。
なんといっても世界で圧倒的なシェアを誇る「みんなの日本語」を出しているところ。ただし「みん日」も出版物のひとつという扱い。他の出版物ではある立ち読み機能もなし。
スリーエーによるみんなの日本語のシリーズ紹介ページは300字前後の紹介とFAQ(7問)のみ。
説明も、本冊の1が

1998年に出版されて以来、日本語教科書の定番としてロングセラーの『みんなの日本語 初級Ⅰ 本冊』が、より使いやすく生まれ変わりました。
 整理された学習項目(文法シラバス)はそのままに、古くなった語彙を新しい語彙に差し替え、イラストを使った練習を増やしました。「問題・会話」の音声の入ったCD付です。

2が

『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版 本冊』(第1課~第25課)に続く25課構成(第26~第50課)で、初級後半レベルの総合的な日本語力を身につけることを目的にしています。初版の学習項目(文法シラバス)を整理し、古くなった語彙・表現を新しくしました。「問題・会話」の音声の入ったCD付です。

以上。サイトをアチコチ探しましたが、わかっている限り、これが出版社がネット上で提供している「みんなの日本語」に関する日本語での情報のすべてです。
みんなの日本語の関連サイトでは
http://にほんご.みんな
という2014年7月スタートの日本語ドメインの「みんなの日本語倶楽部」という特設サイトがあります。
(人生で関わりがあるサイトで日本語ドメインをはじめてみました)
コンテンツは1年を経過した2015年9月の時点で
一覧:スリーエーのサイト(検索結果)に飛ぶ。
概要:スリーエーのサイト(みん日のシリーズトップ)に飛ぶ。
活用講座:スリーエーのサイト(みん日関連の過去の連載)に飛ぶ。
人物相関図:イラスト一枚。
みんなチェッカー:甲南大学のサイトに飛ぶ。
ダウンロード:教科書に出てくるお店のメニューなどPDF2枚。

です。
👉 甲南大学の「チェッカー」は、入力した語が何課にあるかわかる、というもの。教科書自体が電子化するか、自炊のPDFでも時間かけてスキャンすればなんとかなると思います。あと、ちなみに、スリーエーのサイト内にある過去の連載のトップはここなんですが、誰がどういうテーマで書いたのかわからず、説明なく丸数字の「4」で始まり、なぜか途中ヌケがあり、21からは全角の数字になっています。
👉 これは、スリーエーのサイトに1ページだけ作って置いて、トップからそこにリンクをはればいいだけで、別ドメインでやる理由はまったくわからない。ゴミ屋敷の隣に4畳半のアパートを借りて生活道具だけ持ち出して使っているようなものです。

 

 カテゴリで検索できるが、ザックリのソート(並び替え)だけなので、実質的には検索で探すしか方法がない。しかし検索対象は本や記事、新刊情報などで分かれておらず、ただテキストでズラズラと出る。英語版はあるけれども、トップページの一番下にEnglishとあるだけなので気づきにくい。多言語化されているのはみんなの日本語の本冊だけ。副教材、中級編は英語のみ。その他の教材もすべて英語のみ。
英語版トップのほうが、まだメニューなどは若干整理されていて、みんなの日本語の紹介も少しだけ(本冊に書いてるものを多言語化した程度)ありますし、学習コンテンツなどへのリンクもあります。ただ、英語ページは完全に独立していて、例えば日本語の教材の紹介ページから英語ページへのリンクはないので、英語のページは英語でまた探さなければならず、英語ページの検索は、「minna」「nihongo」「yomikaki」「kanji」で検索しても結果は何故か0で日本語ページに飛ばされるので、使えない。
日本語版は、2015年9月20日の時点で「広報からのおしらせ」には以下のお知らせがあり、解決したのかはわからない。「書籍紹介ページ」は多分本の紹介のメインページだと思われますが「ブックサービスへのリンク」がわからない。「ブックサービス」とは?社内連絡?(この半年に一度くらいの「広報からのお知らせ」は何のために。。。)
3akoohoo

右メニューに「レベル・目的別で探す日本語教材チャート」があると書いてあるので、これが日本語の本をガイドする仕掛けなのかな、とクリックしてみると、、、

3achart

すごく小さな字で書かれたPDFが。

pppddd

これみて、検索で入力して探してくれ、ということだと思われる。あと「初級前半 総合教科書 みんなの日本語 初級1」というのが並んでますが、これが学習者用というのはよく意味がわからず。

サンプルは「みんなの日本語」関連はすべてナシ。他の書籍は、基本的にないが、時々ある。基準はよくわからない。
電子化は一部やっているけど、教材系は今のところkindleでは一部だけ、他は国内の電書ストアのみという方針のようです。
Facebookで「いいね」を押した人は2015年の9月の時点で2488人。もうひとつの学習者向けと思われるFacebokのアカウントもある。また、ツイッターアカウントはサイトで紹介されていない。
とにかく、スリーエーのサイトは、どこに何があるのか、今、自分がどのページを見ているのか、まったくわからないのが特徴です。過去の連載などのコンテンツは存在するはずですが(例えばこういうものとか)トップページからはたどれずほとんど死蔵。「みんなの日本語」でもシリーズのトップのページから本冊や関連本にリンクはありますが、逆に本冊や関連本からシリーズトップへのリンクはほとんどの場合ありません。稀にあってもかなりヘンなところでほぼ見つけるのは不可能、サイト内で一步進むと戻れなくなってしまいます。
トップページはスッキリしているのできれいにみえますが、基本、ナビは検索だのみで検索対象は書籍だけ。コンテンツは常に一冊の本に関連付けされててその本の紹介ページからじゃないと辿れない。根本的に作り直すしかないのでは。。。
👉 私ならこれだけのシェアがある教科書のサポートなら、当然、独立したドメインをとってあれこれとやります。「買って始めたけどあきらめた人向けページ」は絶対に作ります。「教室に通えない人のための授業動画」も。授業動画は教師向けのサンプルにもなります。いろいろ事情はあるとは思いますが。30年以上も世界中の教室で圧倒的に使われている教科書があるなら出来ることが無限にあるはずで、アクセス数が月2万ちょっとというのは本当にオカシイ。ケンブリッジ大学出版局が1200万ならせめて100万くらいを目標にすべきでは?
👉 2017年の年末に再度、じっくりみたんですが、まったく変わってませんでした。そこで再訪記事を書きました。
スリーエーのサイトの探検のしかた。
https://webjapanese.com/blog/j/meikyuu3a/

 


 

凡人社

 

http://www.bonjinsha.com/
ほぼストアのみ。アマゾンのなか見検索は未対応。サイトの訪問者数は月2万人前後。
70年代から日本語の教材を作り、販売し続けてきた老舗です。ここでしか買えない教材や辞書がたくさんあり、日本語教育の世界で最も重要なサイトでありネット上のストアであると言っても過言ではないと思います。

ここも、トップページから本を探すのは検索しか方法がなく、どんな本があるのかまったくわからないというサイト設計。正確な検索語がわからないとお手上げ。個別の本の紹介は、50~200字。ほぼ情報はない。サンプル無し。世界でここにしか売ってない日本語学習書はたくさんあるのだが、サイトもストアも日本語だけ。Facebookは、2015年9月の時点で検索しても出てこない。ツイッターアカウントは月イチだったり週一だったり気が向いたらツイート。トップページでは紹介されていない。その他SNS関係一切ない。RSS配信もない。ストアはカートに入れると白バックで文字だけ、一部画像がリンク外れのページに飛ぶ。画像のリンク外れがあるストアで買い物をするのは勇気が必要です。
カートに入れたら出てくる画面(2015年9月)
bonjinstore1

👉 会員登録(ここにも画像リンクはずれあり)では性別は必須項目ではないが男女どちらかをラジオボタンで選択することになっている。他の選択肢はない。

 

👉 凡人社は2010年の12月に文化中級日本語と関連教材のアプリを出したはずなんですが、その後(2015年9月の時点では)ストアからは消えています。

以上は、2015年の9月まで。10月にリニューアルされました。以下はリニューアル以降について
 リニューアル後、改善されたのはストアが細かいカテゴリーでソートできるようになったこと。ただその他は変わらず、検索の質も変わっていない(書名をちょっとでも間違うとヒットしない。例えば、「にほんご」と「日本語」のような違いでもダメ。アマゾンは候補らしきものを検索結果で出してくれ、ほぼたどり着けます)。本に関する情報量は同じで、サンプルもなく、あいかわらず日本語のみです。サイトのナビゲーションは、ストアとコンテンツを切り離したものをひとつにしたような形。カテゴリ分類で本のリストがドーンと出るようになったことで、書影がほとんどなかったり、個別の本の説明が全然なかったりが浮き彫りになった感もあります。これからここをしっかり埋めていってくれるのかどうか。ここは技術は不要で時間をかけてコツコツやればできるはずなんですが。。。
トップページには新刊と売れているランキングが表示されるが半分くらい書影がなく、クリックすると説明はほぼない。本にたどり着く方法は検索かカテゴリー(短期滞在とか文法とか表記とか)でソートされたものから辿るしかなく、ソートの選択肢も、更新の新旧と新着(つまり更新ではなく登録が新しいという意味だと思われる)あと値段の高い安い(教材なのに値段でソート?)しかない。英語化もされていない。
カテゴリー検索、「学習者用教科書」>「表記(かな・漢字)」(この下のカテゴリはない)で出る画面。
bonjinkana

書影がほとんど出てこない。これはほとんどのジャンルで半分以上はでない。個別の本のページでも、著者名がないことがほとんど。出版年の数字が0000年となっていたりする。しかし、その書名でネットで検索すると、出版社にもアマゾンにも書影も情報もたっぷりある

タイトルをクリックすると、だいたいこんなカンジ。
bonjinsha2
追記 2018年1月に同じ検索結果です。

1ページ目はかなり書影も増えてました。

しかし、2ページ目、6ページ目になると半分くらい書影がないです。新しい本でもない。

本の情報ページはあいかわらず説明どころか著者名もないし、出版日も0000などっと書いてあってほぼ何も情報がない。

同じ本のアマゾンの紹介はこちら。書影も説明もきっちりあります。

2018年のドラえもんの本も古めの(2000年)本ですが、情報はきっちりあるし、買った人のレビューもたっぷりあります。
https://www.amazon.co.jp//dp/4092531737/
「一見さんお断り」というのは変わっておらず、指名買いとか追加注文の人しか利用しないだろうという作り。問屋的なストアというのか。。。ただ、ここにしかない教材や辞書は多いので、それを求める学習者などはどうすればいいのだろうか?
カテゴリーとは別のメニューで、日本語能力試験関連というのがあり、これをクリックすると、問題集が3種類出てくる。そこだけ少し英訳がある。そして何故かここだけドイツ語、中国語の切り替えメニューが出るが、ドイツ語、中国語の説明はなく日本語みろとなっている。そこに出る数冊の本をクリックしても、表示されているページがリロードされるだけ。なぜかリンクはすべて、同ページへのURLになっている。。。(あとHow to finds us をクリックするといきなりPDFになるのはビックリした)
👉 これも2018年1月で変わらず。

 

👉 Facebookのアカウントがトップページに現れ、存在が確認されました。イイネの数は618人。ツイッターアイコンも。ただし更新頻度は、これまでと変わらず。ストアは、メアドで仮登録申し込みをして、正式申し込みとなっていて買い物はできず、中は確認できませんでした。ストアのページもリニューアルされているようなので、画像のリンクハズレは無くなっているとは思います。ただ、コンテンツ部分で出る書名はクリックしてもストアに繋がっていない。(この記事を書いている最中のリニューアルで「やっとリニューアルした!」と期待して覗いただけに、とてもガッカリした)
👉 2018年1月、FBのイイネは1,295でした。
👉 文化中級日本語と関連教材のアプリは「コンピューター」というカテゴリにもないので消えていると思われる。
👉 ユーザー登録の性別の項目は今回のリニューアルで無くなりました。

 


 

アルク

 

http://www.alc.co.jp/
 ストアあり。アマゾンのなか見検索はほぼ対応。月の訪問者数は900万くらい。(ただしここは書籍の紹介だけでなく利用ユーザー数が多い英語辞書があるので参考にならない)
CMSのデフォルトのテンプレで作ったようなデザインで、日本語の教材は、基本的に出版物のひとつ、という扱い。「できる日本語」はコンテンツも豊富で、紹介文、サンプルなどもあるが、いかんせんサイト全体の設計がわかりにくく、デザインがヒドい(アフィリエイトに血迷ったブロガーみたい)ので、どのページを見てもメインコンテンツは常にサイトの隅にある感が致命的。開発元のサイトには教師向けのリソースもあるのだが、そのサイトへのリンクは見あたらない。SNS関係は日本語関係は存在しない。ストアはしっかりしてそう。
「できる日本語」以外の教材は紹介もあっさりでカテゴリ分けも雑。サンプルなども目次だけでアマゾンのなか見検索!のほうが充実している。養成講座関連への誘導が9割。教材はもうあまり興味ありません、というカンジ。
2017年12月に専用のサポートサイトができましたが、アクラスのサイトとアルクにあった情報をWordPressで整理しただけでした。言語も日本語のみで学習者向けにはまったく作られておらず、教師向けの情報ブログというところです。日本語のみ。実践例なども、正直、内容は少なく教師にとっても有益なものはほとんどない。補助教材はダウンロードではなく、フォームで申し込むとPDFとワード形式の文書を送ります、という謎の形式。音声や動画、あるいはスライドなどの素材提供はないようです。元々、教科書のコンセプトにないのだと思われます。
2011年に初版が出た語学の教材なんですが、中身はともかくコンセプトとサポートは他の言語の語学教材に比べて15年くらい遅れてるという印象です。
http://www.dekirunihongo.jp/
👉 2015年9月のアルクのトップページから「日本語・日本語教師」というカテゴリをクリックした画面。27インチモニターでは画面の4割くらいは全体のナビゲーションと他のジャンルの情報で、残りの「日本語・日本語教師」の部分の95%は養成講座とその教材の情報。教材は普通のモニターサイズではスクロールダウンしてもできる日本語(書影なし)と教えるキット、ぐらいしか出てこない悲しい画面。
alc

 

👉 アルク提供の特典音声・復習用コンテンツでは申し込みが必要。性別は必須項目で男女どちらかをラジオボタンで選択することになっている。他の選択肢はない。

 


 

アスク出版

 

http://www.ask-books.com/
 ストアあり。アマゾンのなか見検索は対応。月の訪問者数は4000人くらい。

書名などでGoogleで検索して上位に来るストア(ask-shop.net)は情報が少なく、紹介はGoogleでもなかなか出てこない別ドメインの「本の紹介所」にあるという二本立てになっている。紹介所とストアからホームへのリンクはわかりにくく、普通は気がつかない。紹介所からはストアにはリンクがあるが(アマゾンへのリンクもある)逆はない。つまりGoogleで上位に来るほうのページで本は買えるが紹介は読めない。紹介は基本同じものだが、一方にしかないこともある。量もほぼ0かと思えばそこそこあったり、とバラバラ。全体的にチグハグ。

→ 2017年5月からは、ask-books.comに統合された模様。ただし、2018年1月の時点でアスクのストアは管理されず放置状態でした。2017年の5月からこの状態とのこと。顧客管理などは大丈夫なんでしょうか?

「本の紹介所」は、紹介とサンプルはあるが、編集部コメント、著者プロフィールなどは実質情報はない。読者レビューは、匿名の称賛コメばかり。ショップへのリンクは外れていることもある。本の紹介ページとしてトップに一覧などはなく、単に検索結果がずらずらと出るだけで、カテゴリもただカテゴリでソートされるだけ。書名で検索してちょっとでも間違うと検索結果は0。「タグ」は鬼のように数があり、複数指定はできない。しかもタグごとに現れる数はひとつとかふたつがほとんどで、検索ページでは件数が少ないほうが上、という、設計者もタグふった人も、おそらくタグ検索のことがわかっていない。読者登録という謎のカテゴリは、クリックしてもサーバーエラーのまま。
* 「日本語単語ドリル」で検索した結果。(正解は「にほんご単語ドリル」)
ask
2018年1月に同じ条件で検索しましたが、同じく0件。デザインは新しくなって見映えはきれいにリニューアルしたけど機能は古いまま、というのは日本語教材の出版社あるあるです。安く外注するとこうなります。

* アマゾンで「日本語単語ドリル」で検索した結果。きっちりトップ表示。アマゾンはやさしい。(凡人社でも「にほんご」じゃないとヒットしません。2015年10月のリニューアル後も同じ)

askamazon

 

👉 グループのサイトはここの会社紹介的なところ。ここから飛ぶアスクブックスというのが出版のトップで、そこから本の紹介所が本の紹介ではメインで、ストアはまた別となるらしい。全部別ドメイン。しかもアスク出版のトップのサイト名は「アスクブックス」でドメインもask-books。出版物で検索すると前述のほうにストアか紹介所に飛ぶ。で、このストアと紹介所からアスクブックスへのリンクがわかりにくい(紹介所は右下のアイコンだけ、ストアは発見できず)ので、アスクブックスのトップページを目にする人はかなり少ないはず。本来ならこのトップが紹介所とストアを繋ぐハブになるべきなのでは?アスクブックスのトップはコンテンツがいろいろあり、ツイッターアカウントも紹介されているのに。
👉 Facebookは、2015年9月の時点で155人がイイネ。会社で4つあるツイッターアカウントのうち日本語編集部は数ヶ月に一度くらいツイート。他の3つ(英語、中国語、営業)は数日おきにツイートしているのに。
👉 FBのいいねは、2018年1月の時点で198人、全然増えてませんでした。
👉 会員登録では性別は必須項目で男女どちらかをラジオボタンで選択しないと登録できません。

 


 

Japan Times

 

http://bookclub.japantimes.co.jp/
 ストアなし。アマゾンのなか見検索はほぼ対応。月の訪問者数は2万人くらい。げんきのサブドメインサイトは月4万人くらい。
JapanTimesのサブドメインの書名でGoogleなどで検索して出るサイトのトップはメインの画像はFlashでモバイルOSでは表示されない。その下の画像がいきなりリンク外れで、日本語の教材の情報はかなりスクロールダウンしないと出てこない。デザインもソースをみても(HTMLでがっちり組んである)90年代の香りが。
jt1

ページの一番下のほうに、テキストリンクでひっそりとその他の中に日本語学習書というのがあり、クリックすると検索でソートされたものがズラズラと出てくる。日本語の説明は少ない。

英語版のトップでは日本語学習書がフューチャーされているが、当然説明は英語。
jte

げんき関連だけは、別ドメイン(サブドメイン)で紹介しているけれども、このサブドメイン、ごちゃごちゃしてて見にくい。これもWordpress?上のメニューのサブメニューが左に現れたり、現れなかったりと、ヘンな構成。テンプレが古い?基本的な設計は5年くらい前でそのまま?

SNS関係は、日本語学習方面は一切ない。ストアはなく「カートを見る」をクリックするとなぜかアマゾンのカートに。連動させているみたい。アルクと同じく、どう見てもげんきと関連の漢字の教材以外は置いているだけという印象。ただ、ここは、もうサイトはこのままではないか、という予感がします。。。
👉 2018年1月の時点ではサイトはリニューアルされてました。ただ、、、これはCMSのテンプレに載せただけで、かなり使いにくいです。外注するにしても、会社の人がちゃんと発注できてチェックできないんだと思います。
https://bookclub.japantimes.co.jp/jp/

 

「まるごと」関連

 

 アマゾンのなか見検索は対応。
「まるごと 日本のことばと文化」国際交流基金が2013年に出した新しい日本語の初級~中級の教科書です。出版は三修社
日本語の教材の中で「まるごと」はウェブの活用においては先頭を走っていると思います。ウェブ上でいろいろと展開していこうという意気込みは感じます。ただ、まだ分量としては「げんき」よりも「みんなの日本語」よりも少ない。
ウェブ活用&サポートでは先頭を行こうとしているのに、関連のサイトは主に4つでしたが、2016年にeLearningサイトとしてひとつ加わり5つになりました。どこが何を担当してて、何があるのかわからない状況です。学習者向けの情報はほとんど無いのも残念です。少し整理してみます。
1)jfstandard.jp
国際交流基金によるサイト。月の訪問者数は5000人くらい。日本語のみ。完全に教師、関係者向け。サイトの検索は見当たらない。
このサイトでは「まるごと」は、あくまでひとつのコンテンツという扱い。「まるごと」はCEFRを国際交流基金が解釈したところのJFstandardという考え方に基づいて作られたので、このJFstandardというドメインでは、コンテンツの一部として扱われている、ということだと思われる。「まるごと」使うならまずここで勉強しろ、というサイト。
PDFが100ファイル近く、合計でおそらく1000ページ以上のPDFが資料として置いてある。ただ、重要なPDFはどれなのかがとてもわかりにくい。
つまり、サイト構成をみるかぎり、「まるごと」を使うなら、JFstandardをまるごと導入せよ、ということになっている。おそらく、このJFstandard内の関連資料をすべて読むことが期待されているが、どういう順番で何を読めばいいかは示されない。かたっぱしからこのサイトにあるPDFを読め、ということなら、それは普通の人には無理。
このサイトの件は、下で別途書きました。
2)marugoto.org
国際交流基金によるサイト。月の訪問者数は4000人くらい。英語版はあるが実質的にコンテンツはないので英語を選んでも変わるのはトップページだけ。
「まるごと 世界」などで検索するとトップ表示で「国際交流基金オフィシャル日本語コースブック『まるごと 日本のことばと文化』の公式ポータルページです。」とあるので、ここがメインになるはず。ただ、いまのところ、おそらくこのページ自体にはほぼ情報がない。こういう空のポータルをメインの公式サイトにするのは圧倒的に効率が悪く、これまでみたことがないので、最終的にはここにコンテンツが集約されると思います(希望的観測)。
👉→ 2017年4月にリニューアルして、ポータルとしては整理されてきました。ただ、ドメインは別のままでジャンプしたら、それぞれのページからはここには戻れない(リンクはあるけど母→子という構造になってないので)、ということでした。やはり複数のサイトをポータルで整理するのはどう考えてもダメだと思います。
👉 ドラクエ知ってる方は小島にある旅の扉的なサイトだと捉えると分かりやすいと思います。
3)marugotonihongo.jp
月の訪問者数は5000人くらい。
出版社(三修社)によるサポートサイト。まるごとのためにドメインを取得して作られている。ストアはない。音声ファイル配布などサポート的なサイト(日英)。一番地味だが教材のサンプルPDFなど、購入、導入を検討している人が一番みたいものがある。しかも、音声ファイルなど大事なものがあり、それをゲットするためのユーザー登録もここでする。つまり、教科書を使うためには超重要なサイトで概要を知るにはここが一番手軽だが、サイトが乱立しているので「まるごと」で検索しても4つの中ではorg、jfstandardの次の3番目にしか表示されない。「隠れ家的サポートサイト」?
ただ教科書の説明も、JFstandardの枠組み的な説明もほぼ教科書の本冊にあるものとほぼ同じ。基本的に教科書の本冊とプロモーション用に作られた説明と英語訳をそのまま使っているだけで、このサイトで追加されたものはほとんぼ無い。
👉 世界中で売らないといけない教科書だと思いますが、三修社は電子書籍化が得意なところ?(でもアプリしか出してない様子)米アマゾンに刑事訴訟法の本や英会話の本など自社の他の本も英語の説明無しでドーンと出したりしています。

4)marugotoweb.jp
国際交流基金によるサイト。月の訪問者数は2万人くらい。英語とスペイン語。
名前は marugoto plus で、ドメイン名となぜか違う。marugotoplus.jpは交流基金で取得済みなので、そのうち移行する?学習クイズなどウェブ学習関連がある学習者向けのウェブ学習コンテンツのサイト。レンサバでスタートしたのが、2013年5月ということで、この時点であえて将来消えることが確実視されていて、スマホでは動かず、近い将来PC上でも動かなくなるFlashで作った理由はわからない。
eLearningといっても、カッチリしたプログラムあるわけではなく、まるごと準拠の単語、フレーズがあり、確認テストで理解したかをチェックという簡単な構成。教師のコーティングがあるコースもあるとのことだが、まだ未知数。
5)まるごと日本語オンラインコース
国際交流基金によるサイト。英語のみだが多言語化していくとのこと。
2016年の8月の時点では、上の情報ページがあり、トップページに行こうとすると「403 Forbidden」となってしまう。
eLearningサイトの「みなと」というところで登録し、ここで学習するという仕組みで、elearningサイトとして独立しているので教科書はなくてもいいとのことだが、作りは準拠のウェブ学習コンテンツで、marugotowebとの棲み分けをどうするのかわからない。PC版はまだフラッシュ。これもよくわからない。
👉 公開時のファーストインプレッションです。 16080612_MinatoZakkan

 


 

まとめると、1)は教師、関係者用の資料が未整理のまま置かれていて、PDFがワラワラと現れる。2)は空。3)は教科書に載ってる情報と同じものがあり、他は音声ファイルのダウンロードが日本語と英語で出来て、4)はモバイルOSでは動かない日英西対応のFlashの学習ドリル。5)は4)とかなりカブる簡易eLearningサイト。
というわけで、現状で、まず、欠落しているのは学習者に向けた説明で、実質0です。教師に向けた説明も実はほとんどなく関連の資料だけで(JFstandardか活用事例ぐらい)しかも、あまり整理されていない。それぞれのサイトの棲み分けは、JFstandardが教師用、3)は音声ファイルサポート、4)は学習ドリル、ということだと思いますが、今後の発展は、ドリルは追加されたとしても、教科書の説明が洗練されるとか整理されるかはあまり期待できないような気もします。現時点では、学習者向けの説明、学習素材もまだ「げんき」に遠く及ばず「みんなの日本語」よりも少なく、教師向けの説明もJF standardを除けば0に等しいので、今後発展がなければ、あるのはドメインだけ、ということになってしまいます。
👉  国際交流基金はドメイン取るのが好きみたいです。予算の制度的な足かせ(無理やり新規プロジェクト的なことにしないとまともな予算が出ないとか)があるのか、とりあえずドメインとって予算組んで、という流れになってしまっているのだと思われます。そこが変わらないかぎり、多分、今後、まだまだドメインは増え、どんどん情報は分散していく恐れがあります。 marugotochuukyuu.jp とかmarugotoAPP.jpとか、marugotokanji.orgとか、marunichi.jpとか。。。
ちなみにまるごとの教科書には、序文でサポートページから音声ファイルがダウンロードできますとmarugoto.org のURLが紹介されていますが、そこにある写真の音声サイトの紹介の写真のURLは3)のmarugotonihongo.jp になっています。。。

marugotourl

 

 

JFstandardのサイトについて
http://jfstandard.jp/
今のところ、国際交流基金が「まるごと」をコンテンツとして扱うサイトは、jfstandardしかないので、多分、今後、jfstandardのサイトをどうするかがポイントになるような気がします。
現状は、ものすごく使いにくい上に資料が少ない。その資料も未整理という印象です。以下、jfstandardのサイトに対する感想を書いてみます。
まず特徴的なのは、サイトの上のメニューをタブで開けない、ということです。あまり経験がないので驚きました。同時に開かせない意図があるのかと思うとトップページ内にリンクがありあっさり開きます。よくわからない。
□ トップページ
メニューは上にあるのだが、ページ本編内にもメニューの1行程度の紹介と共に同じページへのリンクがある、しかも2カ所づつ。ここは各メニューの紹介だけで、リンクはつけず上のメニューで移動させるのがセオリーでは?
jftop

結局上のメインメニューがページ内で2度出てくるだけ、とも言える。しかも各メニューの説明は1行なら、上のメニューにマウスオーバーで出せば済むのでは。。。

□ jfstandardとは

おそらく、このサイトの最重要ページ。
ページすぐにパンフを公開しましたとリンクがある。pdfへのリンクだがpdfであることは書かれていない。クリックすると、同ページにあるイラストと説明と同じものがある。ただ、なぜか表紙と裏表紙はA4なのに、中身はA3サイズなのでモニターで見ることはほぼ不可能。プリントアウト前提だとしても、A3をプリントできる人は少ない。このページを印刷すれば済むのでは。なぜこの縮尺。。。(下の2枚目はAdobe readerで100%で開き27インチモニターで画面いっぱいに表示したもの。27インチでギリギリ)

jfpanfu
jfpanhu2

この「jfstandardとは」ページ内でも上のメニューの「みんなのCan-doサイト」へのリンクがある。ここでクリックしたらページの途中で移動してしまう。イラストをまじえた説明はざっくりすぎて。。。あと説明の軸を「講演やプレゼンテーションをする」にして、結果として、6段階のうち、4つの説明文で「~プレゼンテーションができる」となってしまっているのは、正直、説明の例としてイマイチなのでは。

突然イラスト付きざっくり説明は終わり、紹介PDFのダウンロード一覧になる。このPDFはこのサイトでも最重要資料なのだが、資料がどういうものかはタイトル以外で説明はない。それぞれ合計で4~7MB程度だが、各章ごとにバラでダウンロードできるようになっていることと、版が入り乱れているので、混乱している。
jfshiryoo

ダウンロードしてほしいのは、パンフはともかく

『JF日本語教育スタンダード2010』第三版
『JF日本語教育スタンダード2010 利用者ガイドブック』第三版
Can-do一覧 カテゴリーごと
Can-do一覧 レベルごと
の4つのはずなので、これにしぼって、これの完全版を1つづつ置いて、ファイルに関する補足説明を入れるべきでは。
その他のPDFは、註で、英語版と韓国語版は必要な人にひとつ版が古いけどどうぞ、試行版は必要ならどうぞ、でいいような気がする。(Can-do一覧の「旧訳」はなぜあるのかわからない。その説明もない)バラでのダウンロードは必要だとは思えないけど、どうしても置くなら、あとでまとめて
→ 章ごとでも、ダウンロードできます:1章(134kb)、2章、3章,,,
とすればいいのでは。
👉 例えばブリティッシュカウンシルのサイトのダウンロード文書は、まずカテゴライズされて、個別の文書の十分な説明があってPDFをダウンロードという手順になっている。このほうが文書をバラにするより親切なのでは。
Linking the Aptis Reporting Scales to the CEFR
http://www.britishcouncil.org/exam/aptis/research/publications/reporting-scales

👉 JF日本語教育スタンダードも、ガイドブックも、サイト上の説明と同じイラスト図版で説明もかなりカブリがある。あんまり棲み分けがハッキリしていない。ここもやはり、本格版、ライト版、に分けるという強いコンセプトが欲しかった。あと、基本、紙の冊子をスキャンしたもので見開き前提なので、1ページだとうまく読めないところがあったり、サイズがA4じゃないものも突然出てきたりして、PDFとして読むの大変。中のページ数とPDFのページ数も違うし。50ページと90ページのカラーのPDFをプリントアウトするのは大変。デジタル文書として読めるように別途作ってほしい。。。
□ みんなのCan-doサイト
300字くらいの短い説明と概要PDFとサイトへのリンクだけ。メインのメニューに入れる意味はよくわからないし、他のページの本文からここにリンクをはる意味もないように思う。JFstandardのページか、資料で十分なのでは。

 

□ まるごと日本のことばと文化
やっと「まるごと」の説明だが、ここでもjfstandardとまるごとの関連の説明はほとんどない。(JFstandard関連のPDFでも2010年製だからか、まるごとのことは一切出てこない)そして、このページがかなりわかりにくい。
最初のテキストリンクは、ページ内の内部リンクの目次になっているが目次と示すものは何もない。他のページではテキストリンクは普通のリンク、しかも外部リンクかPDFだったので、パッとみて目次であることに気づく人は少ないはず。せめて、今一般的な目次のスタイルである枠で囲むべきでは。クリックすると同ページの該当記事に飛ぶ。
その下に書影が出てくる。説明はなく、書影をリンクすると、ページ内の説明箇所に移動してしまう。この書影の一覧自体不要という気もするが、置くとしても内部リンクする意味はわからない。ページ自体それほど長いわけでもないのに。
次にこれもなぜか説明なしに「関連情報」が来て、外部のサイトのバナーが置いてある。クリックすると当然外部のサイトに飛ばされてしまう。
で、その下から、ページの本編が始まる。ここまで、本編を素直に読ませないためのトラップがいくつも仕掛けてあるというカンジ。
1.『まるごと 日本のことばと文化』とは
は、この1ページの半分のあいさつのPDFへのリンク。。。
2.JFスタンダードと『まるごと』
の説明はよくわからない。イラストと説明が少し。結構重要と思われるJFstandardとまるごとの関連のPDFもサラリと置いてありますが、表だけで補足説明なし。
3.『まるごと』の概要
は、各教科書の本冊の目次(三修社でもアマゾンのなか見検索!でもみられるもの)をPDFにしたもののみ。まとまってみられるという意味はあるかもしれない。
4.『まるごと』の資料
は、教材開発のシンポジウムの簡単な報告と当日配布のパワポ資料への外部リンクのみ。メインメニューの「資料」との棲み分けは?
5.『まるごと』の開発
は、実物が見られる場所の案内だけ。関西のセンターの場所とか。つまり「開発」関連の資料ではない。タイトルややこしい。
以上で「まるごと 日本のことばと文化」の説明は終わり。ここにしかない、重要な資料はこのJFstandardとの対照表1ページのPDFぐらい。このPDFは、JFstandardのモロモロのPDFを読んでおかないと理解できない。それはもうそういう方針なら仕方ない。ただ、それなら「まずJFstandard理解してね」と最初に伝えなければならないのでは?

 

□ JF日本語教育スタンダード準拠 ロールプレイテスト
国際交流基金が進めている口頭での課題遂行能力をみるテストの説明。これも残念ながら、まるごととの関連は書いていない。
□ 活用事例
いろんな報告もあるが、基本的にJFstandardの活用事例で、紀要の論文などが時系列で出る。今のところ、2010~2015年で9件。
□ 資料
このサイトの関連資料を整理したアーカイブではなくて、jfstandard関連の発表などを時系列で知らせる場所。「活用事例」も時系列なので、違いがわかりにくい。

 


 

「まるごと」に関して教師がみるページはここしかないと考えると、現状では、かなりさびしいものがある。まずJFstandardの枠組みありきだから、とするなら、まるごととの関連の説明があると期待するが、それが一覧のPDFひとつだけで、ほぼない。つまり、枠組みからの~という、かなり難しい説明をしなければならないのに、説明の絶対量が不足している。教科書に興味をもった、あるいは買った人が訪れたら、具体的な使い方などはまったく得られない。しかも、サイトの設計も正直、ひどい。

 

とにかく情報が未整理という印象が強く、時に概要説明があってその下にPDFファイルがずらーっと出てくるかと思うと、別のページでは時系列でまたPDFがズラズラ。肝心のそのPDFに関する説明がほぼ無い。
どういう人が訪れるか(例えば、JFstandardとはなんぞや、とか、「まるごと」を買って教科書のことをもっと知りたいという目的の違いや、教師とか教室運営者とかという人の違い)が想定されておらず、当然、こういう人達には、ここまで説明して、できればここまで、という切りわけや道筋の設計もない。今のところは、何かを説明するというより「ああ、それはjfstandardのサイトをみてくれ」と言うためだけに置いてあるのではという気がします。「資料置き場」というのか。ひょっとして、最初、コンテンツが少ないので、多く見えるように無理やりあれこれやったのかな、という疑問もわいてきます。(で、今はそこそこPDFなど増えてきたのに、どこに入れるかわからなくなっている、とか)
学習者がみて理解するのは絶望的。「まるごと」は他のサイトも含め、学習者に向けた説明は本冊にある以上のものはほぼ0です。そういう方針なら、もう仕方ないですが、せめてポートフォリオの紹介や説明とPDFくらいは、本冊以外にも丁寧な説明があってもいいのでは。
日本語教室の運営者など、日本語教育の知識が少ない人が来ることもまったく想定されていない(他にあるとすれば比較的コンパクトな三修社のサイトだが、あそこも説明しようというサイトではない)。地域で日本語教室をやろうとか、技能実習生を受け入れたけど従業員のために日本語教室作ろう、というような人達(こういうところこそ「みんなの日本語」ではない選択肢が必要なのでは?)にもわかるように「まるごと」でのシラバスの作り方、学習者の理解定着の測定の方法、教師の評価の方法、そして能試や留学生試験との関連をわかりやすく整理、説明した「導入ガイダンス」的なひとつのPDFを作るべきでは?
サイトの構成や作りに関して勝手なことを言わせてもらうなら、まず、メインのメニューのページへの移動は原則、上のメニューバーだけにすべきだと思います。
で、外部リンクとPDFへのリンクはそれを明示する。これだけで、全然違うはずです。メインメニューを選択してページを移動したら、少なくとも、そのページをスクロールして最後まで読むように作る。PDF、外部リンクは別窓で開くようにする。ページ内リンク的な目次は不要。
私なら基本外部リンクの「みんなのCan-doサイト」は上のメインのメニューに入れませんし、サイト内で紹介したPDFは一覧でダウンロードできるページも作ります。活用事例と資料は、時系列ズラズラじゃなくて、これも統合してひとつにして、サブカテゴリなどで「まるごと活用事例、jfstandard関連活用事例、関連論文・紀要、その他報告」などと分けてアーカイブ的な作りにする。時系列は「新着・更新情報」などでお知らせ的に使うだけにする。「まるごと」をこのJFstandardというサイト内で紹介するということは、「JFstandardという枠組みの中でのまるごと」を説明しないと意味がないので、それをしっかり作る。
で、トップページは、サイトを訪れた人を想定して例えば「まるごとを使う、使おうと考えている人はこう読み進めてくれ」「JFスタンダートについて知りたい人はこう」「ロールプレイテストに興味があるならこう」というようなガイドを置きます。まるごとはJFstandardありきだから、まずその理解からね、ということも書きます。もちろん文書は足りないので作って埋めていく。
もちろんメインメニューのタブは新規で開けるようにします。タブで複数開くニーズがありますから。

 


 

やっぱり、どう考えても「まるごと」は独立したサイトをひとつ(marugoto.org)に絞るべきだと思います。そこにjfstandardにあるまるごと関連のものや三修社のサイトの音声ファイルなど、すべてを集約する(学習コンテンツは別サイトでもいいです)。jfstandardのサイトでは「まるごと」の位置づけだけ書いて詳細はまるごとサイトへ、とする。
で、そのひとつのサイト(marugoto.org)に、教師、学習者、関係者、すべてを誘導する。学習者にコンセプトをわかりやすくしっかり伝えて、教師には、使い方はもちろん、その先まで道筋を整理する。一般の人もわかる短い動画と30ページくらいのPDFを作る。そこを訪れれば「まるごと」のすべてがあるというサイトにする。もう無理かもしれないけど。
👉 2018年1月再訪しぐるりとみましたが、まったく変わらずでした。時系列で追加される構造の活用事例や資料なども年に2,3件の記事が投稿されるのみ。このペースなら、アーカイブとしてまとめるほうがセオリーだと思います。しかし、国際交流基金は、20代、30代という若い世代もネットには弱く、大幅な組織改革でもないかぎり変わらないのでは。

 


 

その他の出版社のサイト


以下、2018年1月にサイトを再訪しみましたが、変化があったのは、2016年にリニューアルしたくろしお出版のみでした。
チャールズ・イー・タトル出版
http://www.tuttle.co.jp/
スリーエー、凡人社よりも圧倒的に歴史が長い日本語教材出版の老舗。主に英語圏向け。簡易辞書からナンパ日本語まで。ストアはあるが法人しか買えない。デザインは90年代風。英語あり。
ココ出版
http://www.cocopb.com/COCO/home.html
2008年にできたばかりの出版社。ボランティア編集員(?)を募集している。日本語教育業界内の同人誌的な出版社?サイトは2009年の4月からだが、アクセスはデータ無し(実質関係者のみというレベル)ストアはなく、アマゾンではなか見検索にも対応していない。サイトは検索もなく、ナビゲーションがよくわからない。基本、本ごとにサポートページがありコンテンツがあり、そこへは、その本を探してたどり着くしかない、という「日本語の教材出版社のサイトデザインあるある」的な構造。「にほんごこれだけ」のサポートサイトの動画の問題は上の「動画」のところに。電子書籍は出していない。新しい出版社なのにデジタル弱そうなのは何とも残念。
学習者本位の教材といいつつ、多言語化するでもなく学習者に向けた説明がほぼないのも特徴的。あと、教授法関連(?)の講演の動画は、Youtubeなどで公開すればより多くの人に伝わると思うのだが。。。
専門教育出版
http://www.aikgroup.co.jp/senmon/index.htm
ここも老舗。日本語関係の試験を主催していたり、初級の教科書を作っていたりする。語彙をカテゴライズした教材などが多い。ただほとんどの教材は、90年前後から改訂もないまま。サイトにはかなりたっぷりとしたサンプルもあったり、なかったり。サイトは日本語のみ。ストアは見当たらない。ドメインのトップは学校経営のコンサルティングのあれこれで、日本語学校相手のコンサルもやっている様子。
Jリサーチ出版
http://www.jresearch.co.jp/
主に、日本語能力試験の問題集に特化して作っているところ、という印象。一部の教材の音声は自由にダウンロードできる模様。日本語のみ。
ユニコム
http://www.unicom-lra.co.jp/
米アマゾンでもプライム会員へのレンタルに対応したりしていろいろと新しい試みをしている。サイトのデザインはもうテキトーとしか言いようがないけれどストアは普通。英語のページは昔ちょっとだけ作ってそのまま、というカンジ。
くろしお出版
http://www.9640.jp/
言語学系の専門書が多い。教材は、最近NEJを出してプッシュしている。
アクセスするたびにURLにでる「xoops」の文字をみて「昔xoopsで作ったけど、作った人は今いない的なことなのでは…」と心配になってしまうが(2016年、リニューアルによってこの問題は解消されました)、日本語教材は、http://nihongo.9640.jp/ のサブドメインで展開。
サイト上の本の紹介はツイッター程度の文字数と目次だけ。英語化はされているけど、説明は英語化されておらず英語化の意味がよくわからない。NEJはサブドメインの特設ページもあるが、ここはなぜか日本語のみ。
動画のところでも引用した学習者の推薦動画は使っている人の声の動画はYoutubeにあるが、なぜか限定公開で、英語ネイティブは多くないようだが全員英語で推薦コメントをしている。しかも日本語の字幕。誰に向けて作られたものかハッキリしない。
先生の声、というこれまた視聴者に語りかけるのに横を向いて淡々と話すという動画もありました。

サンプルはある。アマゾンのなか見検索にも対応。老舗なので教材はよく書店でもみます。

👉 たくさんあるサブドメインに飛ぶと戻るのは小さなテキストリンクしか方法がない。離島に連れ去られるような感覚。せっかくサイト全体ではコンテンツ豊富だし、アチコチに関心がある人が多そうなのに、もったいないような気がする。全体の設計を見直したほうがいいのでは。。。(できればサポートに不安があるxoopsじゃないCMSで。。。)あと日本語教材に限って言えば、学習者が読むページはほぼ無い。

 


 

👉 他にも旺文社なども能試関連は出してます。元々教材作ってたところが「能試関係は売れそうだからやってみっか」的に始めたというのは多いです。能試自体が下り坂なのですが、今後、EPAとか技能実習生の日本滞在の要件になったりするとまた盛り返すかもしれません。

 


 

ストアのセキュリティ
規格があります。SHA-1という規格は2013年11月に廃止のアナウンスがあり、2017年1月1日には使えなくなります。(たしか2016年からはSHA-1では新規で作れなくなるとか。あまり詳しくないんですがそうアナウンスがあったはず)だいたい2014年中にSHA-2に移行しているはずです。今は、普通の高校生なんかが借りる月300円くらいのレンタルサーバーのフォームでも移行済のはずです。
ハッシュアルゴリズムのSHA-1からSHA-2への移行に関して
https://www.symantec.com/ja/jp/page.jsp?id=ssl-sha2-transition
業界全体に求められる「SHA-2」の重要性 – GMOグローバルサインに聞く 2014年4月
http://news.mynavi.jp/articles/2014/04/18/sha2/
迫る期日と進まない移行……SHA-1の脆弱性放置の危険性(1/3)
http://www.rbbtoday.com/article/2014/12/04/126131.html
2015年10月3日の時点で、、、
凡人社 (SHA-1)
bonjin

アルク (移行済)

alc

アスクブックス (移行済)

asuku

👉 こんな記事も。「SHA-1の廃止前倒しを」 専門家チームが提言
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1510/09/news054.html

👉 2018年1月、再訪しましたが、変化はないようです。個人的には日本語教材の出版社でID登録をしたりするリスクは依然として高いと思います。推奨はしません。

 


 

 

他ジャンルの教材のサポート例<

 

■ 世界シェア(多分)トップの英語の文法学習書 English grammar in use を出しているケンブリッジ大学出版局
http://admin.cambridge.org/about-us/
→ 上で紹介した動画を作っているところです。電子書籍、アプリで発売されていて、Win版のソフトもある。簡単な紹介動画、目次とサンプル(48MB)PDF、動画などの学習リソースがダウンロードできる。月の訪問者数は1200万人くらい。
Youtubeにチャンネルがありたくさんの動画がある。ほぼすべての動画が10万単位の再生回数。合計で500万回以上再生されている。
https://www.youtube.com/user/CambridgeUPELT
Facebook,Twitter,Google+ でほぼ毎日情報が提供されている。
👉 ケンブリッジ大学出版局は、老舗でブランド力も高いですが会社としてはKADOKAWAの半分くらい。日本の企業でいうと中小企業の平均くらいの規模です。(最後の「リンク・資料」のランキング参照)
■ 日本の公立学校の英語の教科書シェアトップのNew horizon
日本語教材いろいろ、で「日本語の教科書は買われるものではなく、採用されるもの」ということが日本語教材の停滞感に繋がっているのではと書きましたが、基本採用されるしかない教材である公立高校の英語の教科書のサポートです。
H18年度の採択率は42.5%でダントツのトップということだそうです。
http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu/eigo/index.htm
・7ページの要項説明(ワード、PDF)。・6ページの指導学習内容一覧。・11ページの編集趣意書(コンセプトと学習指導要領的な説明)・10ページのシラバス作成用資料(ワード、PDF、一太郎形式)・プロモーションビデオ(短めの動画が5本、クリックで新窓で再生)・14課分のサンプル音声・より詳しい紹介はウェブ上でもPDFでも読める。月の訪問者数は4万5千人くらい。
かなり見やすい構成で最新技術で工夫されている。PDFもほとんどカラー。採択されるといっても、ある程度競争があるから、きっちりサポートサイトも作るということなのか、こうなってくると、日本語の教科書がなぜ説明や宣伝に消極的なのか、よくわからなくなってきます。

 


 

改善の提案いろいろ

 

「こうあってほしい」は最初に書きましたので、ここでは、とりあえず、現状をふまえて、今の延長上なら、これはこうしてほしいというようなことを書いてみます。制作者に対する提案を書けるほどの専門的な知識はないので、使う立場として、また学習者にとってこうじゃないか、という視点でも。

 

ドメインはひとつで


教科書の情報を求めてサイトを訪れるユーザーにとって、ドメインが別であることのメリットなんてひとつもありません。世界的な大企業でもネットで勝負するためのドメインはひとつ、そこにモロモロを集約するのがセオリーです。itunes.com とか、googledrive.com みたいなドメインはおさえても、別には作らずメインのサイトに誘導するようなことになっています。多国籍企業でもローカルドメインではなくサブドメインで作ることが増えてます。二つあっても管理の手間が増えるだけです。
「みんなの日本語」や「げんき」は、たしかに独立したドメインでやってもいいくらいのビックコンテンツだと思います。多分、独自ドメインでやってもあっという間に検索上位に来るはずです。ただ、主力のものを切り離してドメインを別にすると、やはりコンテンツはそちらに集約することになりますから、本家のサイトにかなり影響します。ややギャンブル的な要素はあります。
しかし有力な初級教科書は、商品のひとつというより、日本語教育における重要な資産でもあるので、個人的には、独立したドメインで展開すべきだと思います。個別ドメインでネット上で存在感を持つことがその教科書のブランドにもなります。また、版元が変わっても教科書は継続すべきものですし、そうなった時に同じドメインで継続すればネット上でのブランドも引き継げます。

 

ストアはないとダメですか?


講談社や新潮社などの大手の出版社にも無いのに、中小の出版社がストアを置くことを不思議に思っている人は多いと思います。アマゾンは対応が遅く品切れになりがちらしいですし、中小だからこそ、いろんなルート、需要に対して案内できる独自のストアが必要、というような理由があるのかな、ぐらいは想像はできるのですが。。。
ストアとコンテンツを共存させつつきちんとしたサイトを作るのは結構大変です。多分、ちゃんとしたウェブ制作会社じゃないと難しい。出版社側にも、専門家か、ある程度わかっている人がいないと厳しい。情報の追加、更新などもやることを考えると、維持費は膨らむ。で、サイトにお金をかけないならストアとコンテンツを切り離して作って、なんとかくっつけて形にするしかない、というのもなんとなく理解できます。
ただ、ストアとコンテンツ部門、分けるのはいいとして、それらを統合する段階で混乱してる感があります。
コンテンツをみせる障害になっていてもストアを置かざるを得ないのなら、コンテンツとの連携はやめて、完全に切り離して買うだけのコンビニみたいな形にするとか(商品説明は小窓でコンテンツ部門から引っ張ってくるとか)、注文の数が少ないなら、カゴに入れて、みたいなことはしないで、もうフォームで受注して発送するほうがスッキリしていいような気がします。安上がりだし。そこに電話番号とFAXも置けば、発注は全部そこ見てくれ、で済みますし。
今のところは、それぞれが互いの障害となって足を引っ張りあっている、結果、コンテンツはグチャグチャ、ストアは本の説明は中途半端、システムも古くてセキュリティも怪しい、と、共倒れになっているような気がします。
なんでアマゾン以外のストアには置かないのか、とか、出版社同士でストアだけでも共有してしっかりしたものを作ればいいのに、とか、いろいろわからないことが多いので、この件はここまでにしますが、いずれにしても、一般の人にとっては、ストアよりコンテンツです。ほとんどの人は出版社にはアマゾン以上の紹介、説明があるだろうとアクセスするわけです。でも、それは、少なくとも日本語の教材を出している出版社には無い。なぜ、その多数の人達のためにサイトを作らないんだろうか、というのは長年の謎なんです。
👉 これだけ個人情報がアレコレと言われている中、出版社のサイトで買おうとすると少なくとも数社はユーザー登録しなければなりません。サイトも古そうで不安を感じつつ、それをする人がいるでしょうか?いたとして、今後増えるでしょうか?「ウチは信頼がある」と考えているその中小出版社の人達は、はたして、自分はネット上でアチコチにユーザー登録しているんでしょうか?

 

カテゴライズ


まずサイトのメニュー(カテゴリ、検索、サポート、もしくはアーカイブ、ダウンロード、aboutusなど)があり、そのメニューのメインとしてカテゴリーがある、という構造にするという前提で書きます。
多分、今は、トップページにたどり着いた人は、カテゴリーがあってサブカテゴリーをみて、選ぶ、という仕組みになれているはずです。サイトが使いやすいかどうかは、この道筋をどう作るかで決まりますし、専門出版社は、もちろん専門知識もあり、顧客の嗜好も掴んでいる、アマゾンよりうまくやれるはずだと思うのですが…。
なんとなくこんなものを期待してアクセスするかなというのを書いてみます。
教材は、主教材、副教材(目的別含む)という分類があるとして、ひとまずひとつ。その他、分けてあったほうがいいのは
漢字、能力試験対策、辞書、ぐらい。参考書・専門書も別枠、電書で買える、というのも欲しいです。
つまりトップカテゴリーは
教材
漢字
能力試験対策
辞書
参考書・専門書
電子書籍・アプリ
連載
あたりでしょうか。そして、まんべんなく本があるなら、このカテゴリーのトップにはそれぞれ何かコンテンツが欲しいです。どういうラインナップがあって、今、どういう傾向で、というような。あと新刊情報は、このカテゴリー別に欲しいところ。トップの新刊情報やおすすめはスルーしても、ここならみます。
もちろん、教材は、「主教材、副教材、目的別」あたりまでのサブカテゴリーはほしい。(日本語関係あまりないよ、という場合でも、教科書、副教材、参考書、くらいは分けてほしいところです)
もちろん、総合教科書とその準拠教材やシリーズのものは、シリーズでトップページがあって、シリーズとしての狙いなどが書いてあり、ここに関わった人達の話なども読んでみたい。
「連載」は、過去の読み物含めて、テキストで一覧できるようなイメージです。とりあえずこれを作れば過去のコンテンツが死蔵となることは避けられます。
で!これ重要なんですが
top > トップカテゴリー > サブカテゴリー > シリーズ名 > 教材名 
みたいなナビゲーションを各ページの上において欲しい! 
パンくずリストなどと呼びます。このブログでも使っています。つまりWordPressでも対応しているので、やろうと思えば、設定を変えるだけでできます。これで、全体の構造がどうなのか、自分がどこにいるのか、がわかるんです。ナビゲーションのやり方、もちろんいろいろあります。メニューを上とか横に常に置くのも大事です。ただ、それやってても中途半端で破綻していることが結構あります。それなら、いっそ、全ページにこれをおいて欲しい。そして、これを置く前提でサイトの構造を再度整理して、作り直してほしい。凝ったことをするより、これが最もわかりやすく親切です。(で、これは中途半端に作らないでください。スリーエーはこれありますが、ざっくりすぎて全然使えないんですね)
👉 もちろん、出版社によって、大事な教材は、特設ページなり、サブドメインなりで別枠で作り、トップカテゴリやメニューに入れる、みたいなことはあると思いますしサイトを訪れるほうもそれを期待しているはずです。

 

検索


日本語関係の出版社はトップページで、サイトにどんなコンテンツがあるのかわからないままなんですが、もしかしたら「検索つけたから目的のものがある人はたどり着けるだろ」ぐらいのカンジなのかもしれません。
しかし、それならば、ストアの検索システムはせめてアマゾンと同じクオリティじゃないとマズいはずです。あいまいなタイトルで検索してもたどり着くというような。。。
もうひとつ、本を探す検索と記事の検索は分けて欲しい。コンテンツが少なくても例えば「みんなの日本語」と入れて、本か記事かのセレクタを選んで検索、というものです。これは作る時に考えていれば検索対象を変えるだけで済むのでは、という気がします。できないことはないと思います。さらにストアを対象という選択肢を加えれば、最初から買うのが目的な人は、それを選択して検索するはずです。(これもストアはストアで分けたほうがいいような気がします)
つまり、「本(紹介)」「記事」「本(購入)」この3つのセレクタがあって、かつ、少々あいまいなワードでもヒットしてはじめて検索使おうという気になるはずです。
Wordpressでコンテンツ部分を作るなら、多分、検索はwordpressに依存することになると思うのですが、単純にデフォルトの検索窓をつけるだけでなく、タグと併用するとか、検索対象を絞るみたいなことはできるはずなので、外注でやっているなら「こういうことできないか?」と頼めばやってくれると思います。
👉 検索システムのことは専門的な知識もなく、よくわかりません。システムそのものがダメでも、あらかじめいくつかを想定して、例えば「にほんご単語ドリル」「日本語単語ドリル」でタグ的にふっておけばヒットするはずなんですが。。。これは手間さえかければ出来ると思うんですが。。。(昔、私、そういう作業やったことがあります)
👉 タグで検索とかソートする場合の切り口としては、いわゆるジャンル的なものの他では「言語対応別」「レベル」「教室向けか自習可能か」あたりではないでしょうか。個人的には「改訂年」「出版年」の年代別(80年、90年、00年、10年くらい)「作ったのは、大学か政府機関か民間の学校か」などもあると面白いです。ソートしたいと思ったとしても、少なくとも「値段の高い安い」ではないはず。デジカメじゃないんですから。
👉 余談ですが、国際交流基金の「まるごと」は、「まるごと 日本 文化 言葉」 と4つのワードがあり、このうち3つはひらがなか漢字かわからないといことになっています。正解は「まるごと 日本のことばと文化」なんですね。世の中にはGoogleのようなちゃんとした検索だけではなく、このように検索の時に正確な書名ではヒットしないシステムがこれだけ多いので、これは致命的な弱点になります。また、正式タイトルに、スペースが入ってるのも大きなトラップです。一般語との競合を考えた時に「まるごと」は競争が厳しいというのも考えるべきでした。略称は「ごと日」だと「五十日(ごとうび、ごとにち)」という語と競合します。「まる日」なら検索でトップはとれそうですが今のところ、検索してもまったく上位にはきません。初級教材で勝負する教科書のタイトルとしては検索対策は0点だと思います。

 

多言語化 ~ 学習者と教師で区別は不要 ~


まず、サイトの設計を言葉に頼らなくても動けるようにわかりやすくして、トップのメニューできちんと学習者でも読めるよというガイド(後述するふりがなとgoogle翻訳の説明など)を作って、常駐のメインメニュー、カテゴリーと各ページでの最初の案内さえ英語化すれば(あるいはCMSなどでメニューを多言語化すれば)ナビゲーションに関してはそれほど問題はないと思います。まずサイトのナビをきちんとやることが大事です。
あとは末端のコンテンツをどこまで英語化もしくは多言語化するかです。全面的な多言語化、英語化は、その後の更新も考えるとコストがかかる。で、何もしないまま、というところがほとんどです。でもやれることはたくさんあります。
サイトそのものにふりがなスイッチをつけてもいいと思います。(サイトそのものにフル方式とブラウザーの機能拡張でやる方式があります。後者のほうが今は簡単です)ふりがなありきでサイト内のすべての日本語を「500時間学習した人なら、ふりがながあれば、読める日本語で書く」ということもできます。日本語教育の教材が主力の出版社なら書ける人は周囲にいるはずです。リライトを頼めばいい。ふりがなありきなら、中級レベルで書いても辞書ひきながらなら読めますし、それならもう日本語教師向けにも自然で十分に読みやすい説明がかけるはずです。
つまり
・ふりがながふられ、ポップアップで辞書がひける環境を前提に書く。
・ふりがなを消せば、日本語ネイティブにとっても自然で読みやすい文章。

紙媒体前提の「やさしい日本語」をデジタル環境に置き換えて1.5段階くらい難度をあげた「やさしい日本語+」あるいは、「eにほんご」というところです。「やさしい日本語」は日本語とは別の言語として作らなければなりませんが、これは日本語そのものを、デジタルの機能を活用してユニバーサルなものにする、ということなので、それが有効な場所(日本語の教材を紹介するサイトとか!)では合理的な選択ではないかと思います。
このやり方で作れば、学習者向け、教師向けと区別する必要はないと思います。トップには「サポート」というメニューがあって、その先の「アーカイブ(音声ファイル、語彙リストなど教材関連素材)」「学習コンテンツ(ウェブ上でやるゲーム的なもの)」「お問い合わせ」くらいまでは学習者が来ることを意識して道を作ればいいですし。目当ての教材がある人は検索なり、カテゴリーなりでたどり着ける。そこに日本語しかコンテンツがなければ、あきらめる、ということになります。これはナビがしっかりしてれば、日本語しかなくてもあまりストレスにならないはずです。ふりがなあれば読める人もそれなりにいるわけですし。
以下は、ある本の紹介ページにChromeのふりがなの拡張機能google翻訳の拡張機能でみた画面です。
furigana

上はスリーエーネットワークの説明文です。システムの問題なのか、スペースでヘンなワカチが入っていますが、スリーエーの説明文は比較的簡単な日本語なので、現状でも、この2つを使えばかなり理解できます。(「判型」をサイズにするのと、B5は国内規格なので実寸大のサンプルへの註リンク付けるぐらい?)これらのふりがなや辞書の機能は、おそらくかなりのユーザーは知っていて、すでに使っている可能性が高いですが、まず、それをトップで案内する。サイト制作者がそれを知ってて作ってるということを伝えることも大事なので。

アマゾンジャパンの英語ページでもすべて英語化しているわけではなく、ナビだけしっかり作ってあって、個別の商品は日本語のままです。もちろん、アマゾンのサイトになれている人が多いとはいえ、常にトップに戻れる、カテゴリーメニューが常駐している、ということだけで、基本、ストレスなくナビできれば情報がなくても、納得感がある、少なくとも「どういう情報があるか」まで伝わるから、また来てくれる(例えばふりがなありなら読めるようになった時とか)ということではないかと思います。
👉 ブラウザーではFirefox,Chromeで機能拡張を検索すれば出てきます。サイトそのものにふりがなをふるのは有名なものではこことか、こことか、こういうものもあるようです。自治体のサイトでもふりがなボタンを使っているところは増えてきました。
👉 お金も時間もないなら、いっそgoogle翻訳でサイトそのものを多言語化してもいいのでは?語学関連の出版社としてプライドが、みたいなことがあるのかもしれませんが、ユーザーにとってはないよりあったほうがましです。
👉 eNihongo、もう少し補足しておきますと。「やさしい日本語」は紙媒体前提で、かつ、かなり低いレベル設定になってます。これをそのまま読むのは日本語ネイティブにとってはストレスが大きい。デジタル文書ではもう少し高めに設定できます。ふりがなは自動的にふってくれる(しかもクリックひとつで消せる)、辞書も引きやすい、という前提で、N2手前ぐらいで書けば、初級終えた学習者もチャレンジできる、中級者なら辞書だけで読める、日本語ネイティブもふりがな消せば、普通によめる、というところで設定する。辞書をひく対象がわかりにくい場合は半角スペースでワカチを入れるとか、ポップアップ辞書の第一候補であるgoogle翻訳で素直な訳が出る語彙を意識する、みたいなこともおもしろい。もちろん、各社、自分達が考える設定があっていいと思います。ルール作りを待つより、いろんな試行錯誤があって、ルールが出来ていくほうが自然です。

 

情報の配信


今、アチコチにメールアドレスを登録したい人はいないはずです。メルマガをやめて、新刊情報などはツイッターとFBで発信することにしてしまえばいいと思います。メールアドレス管理という仕事も減りますし、個人情報流出のリスクもひとつ減ります。
ただ、FBは3日に一度くらいでもカッコがつきますが、ツイッターは、営業日は、一日に少なくとも3件くらい発信してやっと「活用している」と言われるのでは、という気がします。
何でもいいと思います。倉庫の写真でもいいし、近所のランチ屋紹介でもいいです。写真だけでも100枚くらい撮っておけば困ったときにそれ使えますし。思い切って顔出し、名前出しをして、自分や出版社の誰かをキャラ化するでもいいですし。
自分発で何か書けない時は、ネット上の記事から拾ってくる、CiNiiで週に一本論文を紹介する、などでいいですし、曜日ごとに何か定期でやることを作るといいかもしれません。Youtubeで日本語関連の個人の動画からピックアップするとか。ツイッターならRTも使えます。著者など関係者や、他社の情報をRTしてもいいですし。(あんまり社交辞令、接待感が出るとアウトですが。フォロワーにとって必要かどうかでご判断を)
→ BOTや予約投稿機能などの活用を
続けるためには、クライアントの予約投稿機能(TweetdeckHootsuiteにはあります)を活用すると楽です。発信する時間を、朝7~8時とか、夜8時など、ネットユーザーがチェックする時間帯にあわせて決める。で、リアルタイムでやらなくても、予約投稿機能を使って、思いついたら書いて予約投稿としてストックしておくこともできますし、ネット上で気になった記事も、その時間帯に予約しておけばOKです。最低一日3つなどとノルマを決めて。1時間もネットをウロウロすれば2,3日分は収集できるはずです。毎朝新聞を読むのはそれほど苦痛ではないでしょうから、新聞読みつつ、気になった記事をスクラップするような気持ちでやればそれほど苦ではないのでは。
また、BOTを軸にして、一日3つくらいのツイートを、日に3度くらい繰り返して流す、毎日入れ替える、というやり方もあります。ユーザーがネットに接続する時間はだいたい決まっているので、それぞれの時間帯(朝、午後イチ、夕方~夜くらい)で一度づつ流せば、だいたい行き渡る、という考え方です。BOTは、無料のサービスがネット上にたくさんあります。ツイートの感覚は24時間ごと、などもできるので、その月プッシュしたいプロモーションなdはBOTで24時間ごとで流して、同じアカウントで通常のツイートもすることにすれば、少なくとも一日ひとつはツイートされるので廃墟的なアカウントだとはみなされないはずです。(ただプロモーション情報をながすBOTの内容は月イチくらいで変えたほうがいいと思います。その辺のさじ加減はネットを観察しながら考えてみて下さい)
Hootsuiteでのソーシャルメディア管理の簡単な説明(英語のみ)

HootsuiteのYoutubeチャンネル(英語ですが使い方の動画が)

https://www.youtube.com/channel/UClKEOcBKOcphClAWHQkgeDA

👉 TweetDeckは、ひとつの投稿で複数のアカウントに、Hootsuiteは、さらにFacebookやWeiboなどにも同時に投稿できます。他にもビジネス向けで有料サービスのものには同じようなクライアントソフトがあるそうです。
また、Wordpressは、プラグインで、投稿した記事をツイートに流すことができますし、逆にツイートを一週間まとめてWPに記事として投稿するようなこともできます。FacebookとTwitterを連動させれば、例えば、クライアントソフトで複数箇所に一度に投稿すれば、それをFBにもWordpressにも自動的に掲載される、あるいは、Wordpressを更新すれば、自動的にツイッター、Facebookに流れる、というような、ピタゴラスイッチ的な流れも簡単に作れます。続けるためには楽できるところは楽したほうがいいです。Wordpressに詳しい人に相談してみてください。


モバイルOSへの対応


モバイルOSに対応しないとあと1,2年でまずいことになるのは明らかです。そろそろ国内でも半数くらいはスマホからのアクセスです。日本語教育関連の出版社のサイト、もちろん、ほぼモバイルOS対応じゃありません。
モバイルOS対応ではないということは、きちんと表示されないので読めないということとに加えて、画面上で画像が表示されない、動画が動かない、ボタンをクリックしても動かない、音声が出ない、ということが起きます。「スマホみたいな小さな画面でサイトを読んだり商品を買ったりしないだろう」と考える人が多いようですが、残念ながら、あらゆる調査で普及率と連動しています。
ただ、スマホ対応にすればOKということではありません。スマホのモニターも大きくなってきている。タブレットではPC向けを選ぶ人が多い。実はスマホ用ページは使われなくなりつつあります。PCかスマホか、ではなく、PC、タブレット、スマホで快適で、かつユーザーが選べる作り方が主流です。
What is Responsive Web Design? [In 60 Seconds]

ここのサイトは日本語学習者向けのサイトとして1997年から運営してます。このブログ以外すべて英語で、アクセスの9割が日本語学習者、そのうち7割以上が海外からですが、モバイルからのアクセスは4割です。かなり多い。

スマホやタブレットでサイトがどう表示されているか、そういうものを持ってない人には、テスト表示のサイトがあります。
http://mobiletest.me/
http://mattkersley.com/responsive/
http://www.testiphone.com/
ソフトもあります。
https://mobilizer.apportal.jp/
「ウチのサイト、半分くらいの人は表示されてませんよ!」とエラい人に見せてください。

 

「アマゾンに出来ないこと」を


もう出版社の方々は、十分承知なんだろうと思いますが、これも書いてみます。申し訳ないですが、今は、普通はアマゾンみます。わざわざ出版社のサイトに行くのは、アマゾンに無いものがあるんじゃないかと思うからです。
例えば、私は出版社のサイトに求めるのは
1)アマゾンにはない本の情報
→ 出版社のサイトの本の紹介がアマゾンの紹介文より短いことが多いのは理解できない。同じでもレビューがある分、情報量としてはアマゾンには負けているのに。。。いろんな角度の情報。著者周辺、教材なら著者の研究実績、論文へのリンクとか。下(「出版社のサイトに面白い読み物が無いなんて。。。」参照)に書いた「おもしろ周辺記事」もアマゾンには絶対できないことなのでは。(今、アマゾンは著者として登録されている人は自分の紹介ページと写真、動画まで置かせてもらえます。もし著者が「個人として、書き手としてアピールしたい」「ネットで認知度を高めたい」と思ったら、すでにアマゾンのほうが都合がいいということになっているわけです)
2)アマゾンにはない本のプレゼン方法
→ 例えばアマゾンの日本語教材はカテゴリ分けがちょっと雑でこれはアマゾンの弱点です。語学>日本語学習>と進むと日本語教育関係だけでも「外国人向け日本語教育」「日本語教育」「日本語研究」「日本語能力検定試験」となっていて、カテゴリ分けはそこで終わり。うまく分けられてなくて、かなりダブってますし、関係なさそうな本もたくさんあります。ベストテンもグダグダです。専門出版社は、ジャンルを専門家が使いやすいように、納得できるようにビシッと分けることができるのが強みではないでしょうか。
(でも、現状は、これもアマゾンより出版社のサイトのカテゴリ分けのほうが雑。どういうことですか。。。)
3)アマゾンにはない本の情報発信
→ 教材買う人は教材の新刊情報ほしいはずです。アマゾンにはメール配信ありますが最小カテゴリが「本」ですから。。。あとRSSもありますが前述のようにカテゴリ分けがイマイチなのでわかりにくく、利用している人はほぼいないはず。出版社なら細かい情報発信できます。今は、日本語関連の出版社はWordpressで作った部分は、RSSは全部でひとつになっているし、単なる更新情報なので、フィードを読もうという気にはなりません。
できれば、日本語教材、参考書・研究書、専門書、ぐらいに分けて新刊情報と関連コンテンツの更新情報をツイートなどで積極的に発信してほしいです。(上にも書きましたが、基本、アレコレと個人情報を登録したくない人は多いですし、今はアチコチにとにかく登録するものが増えているので、情報配信はもうメルマガじゃなくて、ツイート、もしくはFBのほうがいいと思います。日本語関連の出版社は、やっててもメール配信だけというところが多いです。
4)アマゾンにはない本のサポート
→ 「場所のサポート」で書いたようなことはアマゾンには絶対できない。例えば、ネット上で学習者のコミュニティをサポートしつつ関連書籍の宣伝もできます。

5)その他アマゾンにできないこと

→ 季節ごとに壁紙変えるとかレイアウト変える、みたいなことをアマゾンはしません。多数のユーザーを抱えていて利便性優先なので。それに比べると、小さなところはちょこちょこ変えてもあまり怒られない、小回りがきく、というところがあると思います。地味だけど、マメに壁紙だけでも変えるとか。日本語教材関係の出版社のトップページは数年、下手すると10年くらい同じままです。アマゾンより変わらない。
→ 出版社の人のキャラのプッシュとか。アマゾンはまったく「中の人」は出てきません。好きずきありますが編集者はネットで顔出してあれこれやってる人は他ジャンルでは多いです。「編集者」という職種に対する信頼感もネットにはありますから利用しない手はないと思います。
→ その他、SNSでのまめな対応とかも、アマゾンはもちろんできないわけです。顧客もアマゾンには求めていない。出版社がやれば、そういうニーズが掘り起こされるかもしれない。でもどこもやってない。「アマゾンは本を単なる商品だと思っている」と言われますが、ネット上では出版社のほうが本を「単なる商品」として扱っているように見えてしまってます。日本語教材を扱う出版社のサイトは、商品をむきだしのダンボールに入れたまま、注文あれば売るよ、と言ってる現金問屋のようです。
👉 多分、一人の担当者(専門知識はまったく不要。最低限、ほぼ毎日ネットに接続してて、普通にネットで買い物をしてる、SNSは何かひとつは使っている、はクリアしていて、かつ、ネットで検索して情報収集できる、やる気がある人)を置いて、その人に協力しようという空気さえあれば改善できると思います。抜けてるデータを埋めて、リンクを繋ぎ直して、整理してトップページからきちんとナビゲートするのは、時間かければできます。ホントは「わかっている人」がウェブ担当として常駐するのが理想なんですが。
👉 外注で頼んでいるのなら、他のサイトなどをみて、「他でやっていることをウチでもやってほしい」と言うとか、もうちょっとこみ入ったことを頼むなら「wordpress +(やってほしいことを英語のワードで)」で検索して、プラグインなんかでやれそうなら、そのURLを入れて「こんなの見たんだけど、やれるよね?」と発注すればいいと思います。また、wordpressのスクリプトがあるサイトのPluginsをクリックしてそこでやってみたいことを英語で検索すれば、やれるかどうかあたりをつけられます。もちろん、プラグインも限界がありますし、それが可能なプラグインがあるからといって出来るわけじゃないんですが、ちゃんとした製作会社ならプラグインくらい自作できるはずですし、スクリプトからアレコレいじってカスタマイズできるはず。外注先も選んだ方がいいということだと思います。「社長がパーティーで紹介されたとこ」になんとなく頼んでませんか?

 


 

出版社のサイトに面白い読み物が無いなんて。。。
出版社やその周辺には、その教科書を書いた人だけでなく企画した人、編集した人、手伝った人、などたくさんの人がいるはずなのに、ほとんどの場合、何一つサイトにその人達の話は載りません。
もちろん、開発意図、コンセプト、活用の提案、シラバスの例など(「みん日」に限ってはこういうものがまったくないので、その充実が先だと思いますが)は知りたいんですが、設問作りやったヘルプの人の苦労話とか、著者インタビューなんかも読みたいです。「いろいろ批判もされてるけど、じゃあ、これできんの?」みたいな本音もチラリみたいなものとか。
「著者の**さんは遅筆でよく近所のファミレスに逃げ込んでいた(ファミレスの写真付き)」「改定版の作業中担当編集がハマったスイーツ(写真)」とか「使った資料の山(写真)」でもいいです。基本、日本語教師とか語学に興味あるなんて人は多かれ少なかれ活字中毒気味なんですから何でも読みます。
編集者なら、デジカメもって執筆者の研究室行ったら関係者にインタビューしたり写真撮ったりで50ページくらいコンテンツ作れるはず。動画撮るなら本編以外もカメラまわしておいて、メイキングやNG集を作って公開するぐらいのことはしてほしい。(動画の編集なんてOS付属の無料ソフトで、タイトルつけて簡単な切り貼りくらいなら誰でもできます)
「この机で草稿書いた(写真)」「*課に出てくる山は実はあの山をイメージした(写真)」みたいなことでも十分コンテンツになるはずなのに!多分学習者も知りたいはず!そしてそういうこと考えたり作ったりするのが好きな人が出版社に就職するんじゃないの?若い人に遊んでもらうつもりでサイトを任せたら?と思うわけです。

 

リンク・資料など

 

電子書籍化に関しては、「日本語教材いろいろ」の3で少し書きました。
海外の出版社のウェブサイト
ペンギン・ランダムハウス(米英独)
http://www.penguinrandomhouse.com/
ピアソン(英)
https://www.pearson.com/
Phoenix Publishing and Media Company(中)
http://www.phoenix.com.ph/
China Education Publishing & Media Holdings Co. Ltd.(中)
http://www.cepmh.com/english/
wjthinkbig(韓)
http://www.wjthinkbig.com/
いろいろデータ
日本の出版社リンク集(丸善):日本語教材関連の出版社のサイトとくらべてみてください。
海外の出版社リンク集(丸善):再編が進んでいるせいか、リンク外れや転送もありますが、サイトのクオリティは総じて高いです。デザインだけでなく本1冊に対する情報量が圧倒的に多い。アマゾンと戦ってるカンジがします。
世界の出版社売上げランキング2015年
日本の出版社関係のデータいろいろ
👉 興味ある方は、他の出版社のサイトが、どのくらいのアクセスがあり、どうやって作っているか、など以下で調べてみて下さい。URLを入れるだけでわかります。
アクセス数など:http://www.similarweb.com/
サイト、ドメイン情報など:http://toolbar.netcraft.com/site_report
アクセシビリティ、サイトの質など:http://nibbler.silktide.com/
サイト制作の方法、ツールなど:http://builtwith.com/