東日本大震災と日本語教育

東日本大震災と日本語教育

Joohoo_sumawaseru.png,400×300

https://archive.is/Hyd67

東日本大震災の外国人の被災に関しては、一部の技能実習生の雇用先が実習生を助けたという美談は報じられたが、被災した外国人が何人で、どういう在留資格で、なぜ被災したのか(情報提供はあったかなど)のよい資料がない。特に日本語の情報提供が必要な人、つまり、来日して日が浅い留学生(日本語学校など)、技能実習生など就労系の人達の数がハッキリしない。以下、この「情報提供が必要な人はどうだったのか」を軸に資料を集めてみます。

当時何人いたのか?ということを中心に。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000194569.pdf

災害時にいた外国人登録者数は総務省に提出された特定非営利活動法人多文化共生マネージャー全国協議会による資料によると以下のとおり91147人(岩手宮城福島だけなら約3万人)となっている。ただし別の団体の資料では、27,283人(岩手、宮城、福島、2010年末)となっている。誤差はあるが、だいたいこのくらいの数字と言ってもよさそう。

#ref(https://webjapanese.com/dokuhon/files/Joohoo_soomu.png,400x300

ただしこれは永住者を含む数なので、情報提供が必要な数とは大きく異なることに注意。多言語ホットライン(英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、韓国・朝鮮語、日本語)に電話があったのは133件とのこと。なおサイトによる情報提供のアクセス数はSNSなどで拡散されたりということも多いと思われるので、実際に役に立ったという証明にはならない(特にヒット数は意味がない。少なくとも訪問者数、情報が掲載されているページごとのPVでなければならないはず)。

https://archive.is/Vx177

これによると、岩手、宮城、福島の技能実習生の数は3000人弱だった模様。ただし、県の労働局などの統計では「外国人労働者」としてあがるのは2011年前後で3000~4000人となっている(例 河北新報の2018年の記事)特定活動など技能実習生以外でも就労系の就労資格はあるので、この3県に茨城を加えると1万人弱の「外国人労働者」がいたのではないかと推察される。

東日本大震災において危機的な状況が危惧される方言の実態に関する調査研究 | 文化庁
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/kikigengo/shinsai_jittaichosa/index.html//

の外国人の被災と言葉には https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/kikigengo/shinsai_jittaichosa/pdf/iwate_03.pdf

&color(#8f8667,White){東日本大震災当時、岩手県には約 6000人の外国人登録者が在留していた。法務省の統計によると、2011年末の岩手県内の外国人登録者数は 6191人である。これが、東日本大震災直後の 2011年 3月末には 5257人(15.1%減)となった。この減少の大半が震災によって研修先が失われ帰国を余儀なくされた技能実習生である};

とある。

http://search.shinrokuden.irides.tohoku.ac.jp/shinrokuden/archive/023be2a0-a0b5-11e2-a19b-000c2923bf22.pdf

アンケートは地域の外国人コミュニティーなどが中心で就労系の外国人が含まれている可能性は低い。回答者の8割を留学生と教員が占めている。

2011年10月 中国・中日研修生協力機構訪問団による被災地視察について
https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/consultation/4154/

&color(#8f8667,White){3月11日に発生した地震による津波で同社の工場は建屋内が水没し甚大な被害を受けたそうです。しかし、幸いにも建物の骨格は無事だったため事業の再建を決め、社員の協力のもと徐々に瓦礫の撤去を行い、7月には工場の半分が稼働、10月初めからはフルに稼働できる状態になったとのことです。震災前に17名いた技能実習生はいったん母国に帰国していましたがその内2名が8月下旬に会社に戻ってきてくれたとのことです。};

という内容で被害の実態を調査したものではなく震災後の報道や報告でよくある「風評被害で人が減ったが回復している」というような記事。

移住者と連帯するネットワーク(移住連 https://migrants.jp/ )による資料が以下の二つの文献で引用されている。

#ref(https://webjapanese.com/dokuhon/files/Joohoo_shuurou.png,600x300

これによると、就労系が岩手、宮城、福島各県2000人前後で、岩手で30%、宮城で18%、福島で20%となっていることがわかる。つまり日本語の情報提供が必要と思われる就労系の外国人は3県で少なくとも5000人以上おり、外国人の人口の2割くらいに達するということがわかる。

*上の図は「震災が露わにした移住者たちの現在」の鈴木江理子氏が作成したもの。

震災が露わにした移住者たちの現在 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/18/11/18_11_10/_pdf/-char/ja
外国人被災者支援プロジェクト(外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会というキリスト教系のグループ)のサイトによると
http://gaikikyo.jp/shinsai/cn17/pg167.html

観光客

前月と一年前の3月の統計をみても、全国でだいたい月70万人くらいです。ハッキリしませんが、それほど大きな観光地もなかったことを考慮すると、災害時に当地にいて被災した外国人観光客は多くても1000人単位(1000人もいたかどうか?)ではないかと思われます。ただし、2019年には約270万人と4倍になっています。

訪日外客数・出国日本人数データ|統計・データ|日本政府観光
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/

上記の総務省の資料には外国人の被災者のうち死者は23人となっているが、行方不明者の数と負傷者の数は書かれていない。その後の追跡調査などでも、おそらくアンケートの対象になっていない可能性が高い。日本語教育関係者による調査はやさしい日本語にも書いたが、就労系の外国人は視野に入っていないことが多い。

メディアやJITCOなどの政府系の調査では、就労系の外国人に関する記事は「何人減って、その後何人確保できたか」という働き手の確保に関する調査ばかり。

結論としては2020年の時点でも就労系の外国人の被災状況は「わからない」まま。

以下にあるかもしれません。探してみて下さい。 JITCOのサイトの「東日本大震災 行方不明」の検索結果

「2011年3月11~21日の記録」
https://twitter.com/i/events/784151492190089216//

**その後 [#c02c9207]

東日本大震災への対応について | お知らせ | 日本語教育振興協会
https://www.nisshinkyo.org/news/jishin.html

4月15日に全国各種学校日本語学校協議会の堀道夫氏を代表に「12月末までに活動期間を限定し、帰国したり、入学辞退した学生の呼び戻しにつながるようないろいろな対策をうっていきたい」という主旨で、震災復興支援日本語学校協議会というものが作られ5月27日に200名近くの留学生を東北にボランティアとして派遣。5月27日は危険区域の指定なども、まだあいまいで(福島原発の近くへの立入が明確に禁止されたのは4月20日。動植物への被害は未確定)どこが危険でどこが安全なのかもハッキリしない時期だった。

これまでの避難指示等に関するお知らせ (METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hinan_history.html

19カ国・地域の留学生被災地へ - NPO法人 国際留学生協会/向学新聞
https://archive.is/EW1Sb

初期対応から、日本語学校関係者は大きな危機感で動いており「風評被害対策」で突き進んだ。結果として、不正確な情報を流し、時期尚早と言われつつも留学生を派遣したりということになった。ボランティアで派遣された留学生は、作文を書き、海外に発信せよ、ということになっていた模様。その後、風評被害対策で留学生を「活用する」ということの是非をめぐり、SNSでもかなり批判された。

⚡️ “2016年4月 熊本地震と日本語教育業界” https://twitter.com/i/events/798395741827907584

2022年に作られた外国人による体験談動画

ペルー人編

ベトナム人編

ブラジル人編




研究

  • 東日本大震災と日本語教育.txt
  • 最終更新: 2023/01/18 19:27
  • by webjapanese