新型コロナウイルスと日本語教育
目次
ここはコロナ関係のポータルです。短縮URLはhttps://bit.ly/3mQwmiLです。
- 新型コロナウイルスと日本語教育 1 (2020):第三波までです。
- 初期の外国人が感染を広めた的なデマのファクトチェック。
- 10月の最初の入国緩和。
- 新型コロナウイルスと日本語教育 2 (2021):第四波からデルタの第五派と年末の収束まで。
- 業種別ガイドライン。扉を開く会など日本語学校業界の陳情。
- デルタ株の第五派、オリンピック、菅政権退陣からワクチン接種完了。
- デルタ株収束。11月の入国緩和とオミクロン株での中止まで。
- 新型コロナウイルスと日本語教育 3 (2022)(1~6月):オミクロン株、留学生・技能実習生の入国再開。
- オミクロン株感染は五万弱で高止まりが続きその後減少、6月末に1万強で底となり再び上昇に転じた。
- 新型コロナウイルスと日本語教育 4 (2022)(7~12月):留学、技能実習生共に入国済み以降のこと。
- 6月にBA2,4,5の市中感染が広がり始め、再び上昇傾向に。
- 外ではマスクは不要というアナウンスがされたが、マスク無しの人はちらほら見かけるようになった。
- 7月の参院選挙ではウイルス対策はまったく争点にならず。
- 新型コロナウイルスと日本語教育 5 (2023):オミクロン第8波から
- 新型コロナウイルスと日本語教育 資料編 には上の記録に共通する以下のものがあります。
- 多言語情報の提供
- 体調管理アプリの活用
- 感染者の公表義務に関する法律、規制など
- 来日外国人の住環境
- 他業種の独自のガイドライン
- 豪州の留学生対応の例
- 日本語学校の定点観測
- 今の体制で国内の日本語学習者を守れるのか?(コラム)
- オンライン授業:コロナ下のオンライン授業の記録、研究、法整備などの記録。
- オンライン授業の種類、定義など
- 課題(接続・検証・評価・法整備)
- オンライン授業の著作権・個人情報保護
- 大学などによる資料・論文
基本的な情報
この「基本的な情報」は時系列の記録とは別に基本的なことを整理した項目です。各年のページのトップに同じものがあります。少しづつアップデートしており、現在バージョンはver 1.2。最終更新は22年の1月1日です。コピペしたりダウンロードして自由に使ってください。
👉 さらに詳しいことは新型コロナウイルスと日本語教育 資料編にあります。
重要な情報源
4つの基本的な情報源
以下4つのソースは国内外でほぼオフィシャルな場でも引用される確度が高いもの
- 世界の感染状況:日本時間の朝に主要国の数字がアップデートされる。https://www.worldometers.info/coronavirus/
- 日本国内の病床数:100%を越えると、他の疾患で手術、入院ができなくなるだけでなく医療関係者の疲弊など機能不全に陥ると言われている。https://www.stopcovid19.jp/
- ワクチン接種率のデータ:Googleが採用しているもの。国別などいろんなソートができる。どこの国も原則接種はほぼ義務では無く、接種できない人もいるので100%がゴールではない。一般的に目標の集団免疫となるには60~70%の接種率が必要とされているが、21年8月の段階では仮に70%接種しても手段免疫は無理という見解が支配的。また、ワクチンの有効性が続くかどうかは新株の出現も含め未知数。https://ourworldindata.org/covid-vaccinations?country=OWID_WRL
- 海外主要30カ国・地域のワクチンの種類:各国がどんなワクチンを接種しているかは、日本では今のところ、ここにしか情報がない。海外主要30カ国・地域のワクチン接種状況およびワクチン証明に基づく水際措置一覧
👉 国によって、コロナが直接的原因じゃないとカウントしない国(ロシアなど)は、他の一般的な数え方(コロナによって併発した病気による死亡も入れる)より半分以下になると言われている。その他、正確な数字が把握できていなかったり意図的に捜査されることもある模様。インドは感染者数、志望者数共に実際は約10倍近くではないかと言われており、中国その他の数字はそのまま受け取るのは難しいとのこと。
👉 ある日の感染者数、重症化、死亡の数などを調べる際はこちらが便利→ data-all
SNSなど
ツイッターアカウント
コロナ関連のツイートをする人はたくさんいますが、日本語で、感染症、公衆衛生の専門家など、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーなど。その他、で、比較的、情報提供に徹している人を中心に、最低限、フォローしておいたほうが、というアカウントに絞りました。以下のアカウントで示される文書、動画などをすべて読むことは重要です。
【専門家】
@senmonka21 | @nishiurah | @kutsunasatoshi | @kojiww | @hiro_icd | @imamura_kansen
【英語での発信。国際的な感染症の専門家】
@drericding | @jburnmurdoch |@nataliexdean | @miamalan | @EmilyAnthes | @carlzimmer
【国際機関、製薬会社、大手メディア】
@CDCgov | @WHO | @DrTedros | @pfizer | @moderna_tx | @AstraZeneca | @NYTHealth |@Reuters_Health |
Youtubeチャンネル
アドバイザリーボードとは、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が定期的に厚労省にプレゼンしている報告。文書は以下にある。上はその文書の解説動画。
新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第31回~第45回)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00256.html
PCR検査の情報
厚労省のコロナ関連多言語情報サイト
https://www.c19.mhlw.go.jp/
外国人向け多言語説明資料 一覧 (英中韓西葡)問診票など
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokusai/setsumei-ml.html
外国語の新型コロナワクチンのご案内
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_tagengo.html
多言語医療問診票サイト|MULTILINGUAL MEDICAL QUESTIONNAIRE
https://www.kifjp.org/medical/
ワクチンの種類と来日する外国人の関係
地域
国別のワクチンの種類などについて。ざっくり言うと、先進国は、ほぼmRNA系のファイザー、モデルナが主力で、アストラゼネカも承認。これにJ&Jが加わるかどうか。WHOは中国製のシノバック、シノファームと、ノババックスを承認しており、中国は東南アジアやアフリカなどにも中国製ワクチンを提供しているが、先進国ではほぼ未承認。21年末にWHOはノバックス製を承認。
留学や就労の人が多い東南アジアは、中国製のシノファーム、ロシア製のワクチンが多く、その有効性はやや低いと言われている。ある国がどのワクチンをどのくらいの比率で使っているかは、流動的でありハッキリしない。オミクロン株でブースター接種がマストとなったが、日本では承認しているファイザー、モデルナ、アストラゼネカの接種者へのブースターしか行わないので、留学生、技能実習生のブースター接種は難しいということになる。
海外主要30カ国・地域のワクチン接種状況およびワクチン証明に基づく水際措置一覧
有効性
オミクロン株への有効性は現在、検証されているが、12月でも中旬と末の結果はかなり違ってきている。まだハッキリとしたものはない。各国ブースターを急いでおり、先進国は1月末には7割くらい完了予定。日本は前倒しでも2月から高齢者が正式スタートで、夏頃までかかる?
今のところ(22年1月)わかっているのは…ハッキリしませんが…
- オミクロンに対しては、mRNA系は3ヶ月から半年で感染も重症化もかなり低下。特に感染は低下。
- アストラゼネカははやめに低下という調査がある模様。
- ファイザー、モデルナは3回接種なら重症化もデルタと同じ程度(やや低い?)に防げる。
- J&Jはケースバイケースだが、シノバック、シノファーム、スプートニクは、2回接種ではほとんど有効ではない。+mRNA系のブースターはそこそこ有効という検証結果もあるが、まだ検証中。
👉 WHOは、国ごとのワクチン格差を問題視する立場から、有効性が低くても承認する傾向が強い。先進国は自国の国民の安全性重視から有効性が高いワクチンしか承認せず、入国規制もワクチンの種類で選別することが多い。ここに対立関係があることを念頭においておく必要がある。
【参考】
Broadly neutralizing antibodies overcome SARS-CoV-2 Omicron antigenic shift | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.12.12.472269v1
中国シノバック製ワクチン、オミクロンに低効果=査読前論文(ロイター) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/747c69233a6118881ebc54c0e139669ca1449ce0
中国製ワクチンを使っている国は以下のとおり。
ハンガリー、セルビア、チリ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ブラジル、トルコ、UAE、バーレーン、ヨルダン、エジプト、セーシェル、ペルー、ジンバブエ、赤道ギニアそのた40カ国前後とみられている。
ブースター接種
2回目の接種から何ヶ月後に3回目か、は欧州は6ヶ月、日本は8ヶ月、イスラエルはもっと早い、ということだったが、オミクロン株で、12月に短縮の流れで、イギリスは3ヶ月、日本も6ヶ月になった。ワクチン接種の義務化は広がり、陰性証明ではダメになりつつある。フランスは12月に国民全員に義務化。出入国への影響も大きくなりそう。
中国製、ロシア製のワクチンへのブースター接種の情報は12月末あたりから少しづつ出てきた。
Sinovac COVID-19 shot with Pfizer booster less effective against Omicron - study | Reuters
👉 ブースターの接種率は最初に紹介したワクチン接種率のページにあります。
ブースター接種の繰り返し、免疫系に悪影響の恐れ-EU当局が警告 - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-11/R5K5LCT0G1KZ01
マスクの種類
N95、KN95、KF94のようなマスクは何回使えるかを考える記事だけど、それとは直接関係ないこの表は。感染者と非感染者がマスク無し同士だと15分で感染するが、両者がマスクしてると25時間まで感染させず引っ張れることを示してる。反マスク族が与える社会的費用を計量出来たら、ハンパないだろう。 https://t.co/PCimofbDcQ pic.twitter.com/WvOd6yxCev
— よしログ (@yoshilog) January 12, 2022
デルタからオミクロンとなり、不織布であるだけではなく、より密封性が高いものでないとダメだということになってきている。激安不織布マスクは使うことはできなくなってきた。少なくとも学校では厳禁だと思われる。
マスクの見分け方の記事
12 Signs You Have a Fake N95, KN95, or KF94 Mask | Wirecutter
薬に関して
https://webjapanese.com/dokuhon/files/kusuriiroiro.png
コロナの薬に関しては、日本感染症学会がCOVID-19 に対する薬物治療の考え方というわかりやすいガイドを出し、頻繁にアップデートしている。
- 発症から5~7日以内というものが多いので、リスク要因がある人は発症の発見から動く必要がある。
- 重症化のリスク要因があるか事前に把握しておく必要がある(持病や飲んでいる薬、血圧、血糖、BMIなど健康状態、妊娠など)
- 副作用が重いものもあり、基礎疾患や状況におうじて処方されるので、ちょっとでも懸念事項があると処方されない。
- 今のところ、すべて無償(数万円)だが、量の調達はギリギリ。
- 数日、飲み続けて重症化リスクが数十%下がるということなので完全ではない。
ワクチンの接種状況
概要
ワクチンの種類はさまざまだが、ほとんどの国で21年の2月あたりからスタート。日本は2ヶ月遅れだが、年末にはどこも2回接種は終わっている。先進国は拒否権ありで7割前後、半強制の国で8~9割?ブースター接種(3回目の接種)は、当初2回目の接種から6ヶ月が平均的な間隔だったが、オミクロン株の出現で3ヶ月に短縮する国も。
【日本国内】
国内は、約8割が接種済みで、21年4月スタート、高齢者は7月末に完了(約4ヶ月かかった)。希望者全員は11月末。最終的な数字は8割弱。他国と較べて高いが、例えば、韓国は若年層、高齢層ともに9割と高い。
日本の感染者の増減は、21年1月と5月に5000人前後、8月に2万人突破でその後急減。
日本語学校のワクチン接種状況
日本語学校の調査では、日振協が行ったアンケートのみで回答は92校で、告示校800校の1割、稼働中の日本語学校(おそらく500校前後)の25%以下。最終結果は&color(Black,antiquewhite){留学生のワクチン2回接種率は約55.1%。、教職員のワクチン2回接種率は約81.7%};。海外では教育関係者の接種は義務化の流れなので、この81.7%は低いと言わざるをえない。
関連記事
ワクチンが打てない人
日本の接種率は約8割です。ワクチン接種していない人の重症化、死亡率は高いことがわかっているようです。海外のように反ワクチン運動は盛り上がっていませんが、2022年になり5才以上の子どもの接種も始まり、ワクチン論議は高まる可能性があります。これまでの統計では、元々打てない人は、分母に含めてないものが多数だと思いますが、残りの2割(2500万人弱)は「打たない人」ばかりではなく「打てない人」も、かなりいることを知っておく必要がありそうです。日本語教育でいれば海外で働いている人などもこれに入ることがあるでしょう。
ワクチンを接種することができないのはどのような人ですか。|厚生労働省
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0025.html
基礎疾患(持病)のある方のワクチン接種。新型コロナ発症時のリスク、ワクチンの有効性や注意点は?|厚生労働省
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/column/0005.html
アナフィラキシー
アメリカのデータでは100万回あたり11.1例とされていたのが、日本ではおおよそ100万回あたり167例だが、この違いは基準の違いとのこと。
日本がコロナワクチンで「アナフィラキシー」が多い理由を感染症専門医が解説 | KARADA内科クリニック
https://karada-naika.com/blog/corona-and-anaphylactic/
子ども
統計局ホームページ/統計トピックスNo.125/全国によると、2020年の時点で 9~11歳が318万人(同2.5%)、6~8歳が304万人(同2.4%)、3~5歳が293万人(同2.3%)、0~2歳が275万人(同2.2%)
ワクチン接種の分岐点でいうと、12才に満たない年齢の子が1190万人、2022年にこのうち5才以上は接種可能になったので、新たに622万人が対象になり、5才以下の568万人は接種できない、ということになります。
後遺症(Long COVID)
英語では「Long COVID」「#LongCOVID」という語が使われることが多いです。
21年12月に厚労省からはじめて後遺症についての文書が出た。
診療の手引き 罹患後症状のマネジメント
https://www.mhlw.go.jp/content/000860932.pdf
👉 ただしオミクロン株は味覚障害などが少ないという報告もある。(初期の大きな自覚症状のひとつなので、発症に気づきにくいという点も感染が広がりやすい原因となっているとのこと)
後遺症に関する記事と研究
新型コロナ: 新型コロナ、体内に数カ月滞留か? 後遺症と関連探る: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC272LJ0X21C21A2000000/
SARS-CoV-2 infection and persistence throughout the human body and brain | Research Square
https://www.researchsquare.com/article/rs-1139035/v1
Long-term cardiovascular outcomes of COVID-19 | Nature Medicine
https://www.nature.com/articles/s41591-022-01689-3
Long COVID and kids: more research is urgently needed
イギリスでは2%が長期の後遺症を患っているという調査
UKHSA review shows vaccinated less likely to have long COVID than unvaccinated - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/news/ukhsa-review-shows-vaccinated-less-likely-to-have-long-covid-than-unvaccinated
ネット上の日本語学校&技能実習生周辺の投稿コレクション
⚡️「21年12月~22年オミクロン以降の日本語学校、大学などの風景」
https://twitter.com/i/events/1474514546027118593
明らかにガイドライン違反の教室風景の写真をアップしていて、ほとんど理解されていないことがうかがえる。
参考 日本語教育機関のガイドライン 第五版(実質的に最後のガイドライン)
*教室での学生の配置は以下の通達がでている。
https://webjapanese.com/dokuhon/files/gakkootsukue.png
資料1-1 学校における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル~「学校の新しい生活様式」~(概要)
👉 感染レベルは、現在はメディアではあまり使われなくなっているが、地方自治体は発表しており、22年4月現在では、レベル2か3ということになっている。「最低1mで、できるだけ2m」。