新型コロナウイルスと日本語教育 5 2023
目次
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👉 このページは新型コロナウイルスの問題を受けて、オンライン授業に関することを整理したページです。新コロナウイルスと日本語教育業界については別途「新型コロナウイルスと日本語教育」で整理しています。
2023年の状況
簡単に整理すると
- ワクチンの有効性は以前と同じく感染に対しては低いものの重症化や死亡に対する効果はありという調査結果だが、ブースター接種は3回目以降は高齢者以外は進まず、接種率は急激に低下。
- 日本語学校業界は2022年の春の入国規制緩和以降、コロナ関連の取り組みは無し。感染やワクチン接種率の調査もしないまま。関係者はコロナに関する投稿もしなくなっている。
というところです。
1月 オミクロン第8波 感染者、死者ともに過去最大。医療切迫
12月末からひきつづき世界で最も多い感染者数と死者数。他国はカウントしていないから、ということになっているが、少なくとも死者数はカウントされているので、世界の中で最も深刻な状況は変わらないまま。
中国は感染爆発だが、実際の数字は出てこないまま。検査をすると半数が感染となっているという話もあり、死者数も深刻である模様。変異株の情報も少ない。国は完全にゼロコロナ政策からの180度転換で海外旅行も解禁となり、世界各国で中国からの渡航者に対して検査をするなど警戒が高まっている。
しかし各国ともコロナ対応は緩和の方向なので文句も言えず困惑しているというところ?
就労、留学の中国人に対する入国規制がどうなるか、というところ。
日本はブースター接種はまったく進まず、5割前後から変わらない。感染者数と死者数は今後も増えていきそう。日本語教育業界では、コロナの話題は一切出ない。中国の状況も含めサイトでもSNSでもまったく語られない。中国からの入国規制は困るということでは一致しているはずですが、特にそういう投稿もないまま。何も無い。
1月スタート時の概況
病床
重症化も少なく、早めに退院することもあるので、デルタの時の医療崩壊の兆候のラインである400%ではなく、1000%ぐらいになっていると言われるが、東京は300%前後でもかなりひっ迫していると言われており、ここの数字だけではハッキリしないところもありそう。
ブースター接種率(100人中)
日本国内の接種率
新型コロナワクチンの接種状況 | デジタル庁 https://info.vrs.digital.go.jp/dashboard/
海外の感染状況、60位までのキャプチャ→
1月に起こったこと、記事など
NatureのmRNAに関するレポート
mRNAワクチン完成までの長く曲がりくねった道 | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio
関連記事のポータル
COVID-19特別翻訳記事 | Nature Research https://www.natureasia.com/ja-jp/collections/covid-19?utm_source=Twitter&utm_medium=NatureJapan&utm_campaign=SNS#news
日本語学校周辺の対応
新型コロナウイルスと日本語教育
— webjapanese 日本語教育 (@webjapaneseJ) January 4, 2023
[日本語教師読本Wiki]
:日本語学校の定点観測
相変わらず感染者の報告はゼロ。扉を開く会のサイトでは「新規入国の留学生によるクラスターは発生していない」ということになっています。https://t.co/yQVUVFtbOy
ワクチンの重症化、死亡への効果に関する調査いろいろ
新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第二報)
— EARLのコロナツイート (@EARL_COVID19_tw) December 28, 2022
国立感染症研究所https://t.co/yhpBzRv2JA
基礎疾患なしの死亡は58%
ワクチン接種対象年齢での死亡例のうち88%が未接種
死亡に至る経緯は中枢神経系38%、循環器系18%、呼吸器系8%
発症から死亡までの日数中央値は3日
オミクロン以降も、若年層、高齢者に対しても有効であることが明らかになっている。
新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第二報) https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2559-cfeir/11727-20.html
春から5類の方針が決まる
令和5年1月20日 新型コロナウイルス感染症の5類への見直しに向けた議論についての会見 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0120kaiken.html
「原則」なので、細かいことはわからないが、基本季節性インフルと同じ扱いとなる。主な変更は
- 行動制限はない
- 医療機関は受け入れてくれる一般の病院を探すことになる。
- 地方自治体は就業制限や入院勧告の措置がとれない
- 医療費は一部で自己負担が発生します
- 医師の届け出は7日以内とされ、患者の全数報告
で以下は2類相当となる模様
- 入院検査は当面無料は継続
- ワクチンはおそらく段階的に有料化へ
同時に屋内のマスクも「しなくていい」ということになるとのこと。
技能実習制度、特定技能、留学などの外国人受け入れ関係者の課題
- コロナを診てくれる病院の確保
- 治療関連の費用の負担。特に早期の薬物治療の費用(保険適用でも数万円)の負担
- 後遺症の対応も厳しくなりそう。
- 来日する人達はワクチン接種率が低く(ワクチン接種は来日条件になっていない)、感染、重症化のリスクが高い
が当面の大きな課題となりそう。ただでさえほぼ日本語ができない外国人を受け入れる病院は少ないので感染が広がると早期の検査、治療ができなくなり早期の薬物治療などが行わるタイミングを逸し、ワクチンを接種していない人の重症化のリスクは高くなりそう。
日本でワクチンを1から接種する期間はすでに過ぎており、ハイリスクのまま、悪住環境で過ごすことになる。(日本語学校の教室はたいてい換気もよくない)関連組織などでの情報共有が必要だが、これまで技能実習制度、特定技能、留学などの外国人受け入れ関係者はこれまで以下の件に関して何の調査もしていないので、おそらく何の対策もとられない。
- 感染者
- ワクチン接種率
- 教職員など関係者のワクチン接種率
- 後遺症
つまり、5類になってどういうことになるか、どうなったかは、何もわからないまま進むことは確実で、就労系の受け入れ関係者も日本語学校関係者も、コロナでは入国規制緩和については結束して意見提出までやったが、学生や就労者のための対策は何もしないまま国の政策は実質的に終わることになった。
日本語学校関連の団体のサイトをみたが、2022年の春の規制緩和からコロナの話題は更新されていないまま。関係者はこの5類への変更に関する投稿も皆無。ツイッターでもまったく話題にならないままでした。
助成も無くなる方向に
コロナ休校時の有給助成、4月に縮小 雇用政策も正常化: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2243Q0S3A120C2000000/?s=09
病院の受け入れ体制の状況
【識者の眼】「悪貨が良貨を駆逐しないように」関なおみ|Web医事新報|日本医事新報社
地域による予後の差
我々の新たな研究が出ました!都道府県別でCOVID-19の予後が違うような気がしませんか。大阪で死者が多いとか、沖縄があかんちゃうの?とか。でも、実際調べてみたら、、、続きは論文で! https://t.co/dDOAg2ZTyz
— 岩田健太郎 K Iwata, MD, MSc, PhD, FACP, FIDSA, CIC, CTH (@georgebest1969) January 26, 2023
外国人80件が受け入れ拒否
ありますね。コロナとは関係ないですが、先日は呼吸困難だった不法滞在の外国人が80件断られたそうで、うちで受けました。保険もなく支払えないから、どこも受け入れないのです。行政も補填してくれるわけではありません。
これは千葉県の一日の緊急医療のことらしく、全国規模ではどうなっているのかと考えると恐ろしいことだという気がします。言うまでもなく、不法滞在の外国人は元留学生であったり、技能実習生だったりする可能性も高いわけです。
「そんなことをするために医者になったわけじゃない」ピークの終わりが見えない救急医療。現場から見える風景とは https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-er-funakoshi
後遺症に関する調査
急性心筋梗塞が感染後に増えているという研究。
— Offside🌻 (@yfuruse) January 29, 2023
注目は、高齢者ではなく、25-44歳のリスクアップが目立つこと。これはアメリカの保険会社が発表した若い世代も死亡率がアップしていることと整合性がある。
決して高齢者が死んでおわり、という病気ではありません。https://t.co/XtCXjAfDRI
Excess risk for acute myocardial infarction mortality during the COVID‐19 pandemic - Yeo - 2023 - Journal of Medical Virology - Wiley Online Library https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jmv.28187
マスク着用の有効性に関するレポート
(一般人口における)マスク着用の有効性に関する科学的知見、について短く要点をまとめて報告させていただきました。科学的観点からは屋内環境でのマスク着用は推奨されるものであると考えます。https://t.co/tYSfucBJYT pic.twitter.com/4TWCA9Mv23
— Hiroshi Nishiura (@nishiurah) February 8, 2023
2月 第8波は過去最高の死者数。5類移行が正式決定。
第八波の死者数は過去最大になり死者数との比率でいうと感染者数はあまりに少ないという結果となっているが、一般の人はほぼ関心がないという状況になっている。
感染症の専門家は国内外ともにマスクは屋内で人との接触が多いならつけるべきという見解は変わっていない。海外ではマスクの有効性のエビデンスとしては日本の死者数が少ないことが挙げられていた。ただ、去年の年末からこの日本の動向が変わってきており、政府の緩和政策への転換やワクチンの接種率も低くなり、それによって死者数も増えていると、これまた海外で逆にマスクやワクチン接種の有効性のエビデンスとなっているという残念な状況
就労、留学の外国人受け入れ関係者は、
- 多くの人が有効性が低いワクチンであること
- 接種率がかなり低くブースター接種も日本で受けられていないこと
は重症化リスクを高めていてかつ
- 住環境が極端に悪く感染リスクも高いこと。
を考えると、日本国内在住者とはかなりリスクの高い状況であることは明らかで、引き続き警戒していくことは必要と思われますが、やはり何も対策の声は聞こえてこないので、政府の政策に従ってズルズルと緩和になっていきそうです。ただし、感染した場合の金銭的な負担などの問題は大きくなっていくことは確実で、電気代の値上がりなどと共に、生活を圧迫する要素は増えています。何かサポートをする準備は…やはりなさそうです…。
5類への移行
22年の後半に書いたことと同じですが…
5類になれば学生が感染した場合、引き受ける病院はますます探しにくくなり、費用は誰が負担するのか?という問題も出てきます。さらには早期の薬物治療に対する自己負担(平均8万円くらい?)がその先にあるとしたら、ブースター接種や質の高いワクチン接種者が少ない留学生、就労系の人達は追い詰められることも考えられる。外国人受け入れ関係者では後遺症の調査も行われておらず、その治療は現在も自己負担になっている。
5類にするならば、留学生や就労系の人達に対する配慮を同時に求めていくことが必要だが、そういう主張は見られない。おそらく、ただ、世間の「5類でいいだろう」という意見になんとなく同調しているだけと言われても仕方が無いという気がします。
しかし、日本語教育関連団体のサイトや関係者のSNSでもまったくこの件は出てこず。相変わらずコロナに関しては「水を打ったように静か」な状況です。
2月スタート時の概況
今月の情報取得は15日です。
病床
重症化も少なく、早めに退院することもあるので、デルタの時の医療崩壊の兆候のラインである400%ではなく、1000%ぐらいになっていると言われるが、東京は300%前後でもかなりひっ迫していると言われており、ここの数字だけではハッキリしないところもありそう。
ブースター接種率(100人中)
日本国内の接種率
新型コロナワクチンの接種状況 | デジタル庁 https://info.vrs.digital.go.jp/dashboard/
海外の感染状況、60位までのキャプチャ→
2月に起こったこと、記事など
卒業式ではマスクするなという政府の通達
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針の変更及び卒業式におけるマスクの取扱い等について(周知)(令和5年2月10日付) https://www.mext.go.jp/content/20230213-mxt_kouhou01-000004520_3.pdf
思い切って無くしたほうがいいのはどれ?
日本語学校は教室の換気も悪いので学校内は厳しめじゃないとダメという気がします。
3密を避ける、イベントでの大声禁止、科学的に意味があっても… 思い切って無くしたほうがいいのはどれ? https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/shiwake-social-distance
5類移行後、受け入れ病院は増える可能性は低い
東京都医師会 新型コロナの「5類」移行に向け「今以上の診療所が積極的にコロナを診るとは考えていない」(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/499ece1e1a9408100f1720c133452aa383c55c94
いろんな業界のガイドライン
日本語学校や技能実習、特定技能などの関連団体は独自のガイドラインを作ったことは無いです。国が作ったものをそのままサイトに置くだけ。
マスク緩和 業界団体の判断は ガイドライン見直しで着用推奨せずも | NHK https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20230227a.html
3月 感染者数は減少 各業界は独自のガイドライン作りへ
マスク緩和のアナウンスの影響はまだじわじわ出ているというところ。感染防止対策は自己責任となり各業界は、独自にガイドラインを作って対応する模様だが、就労や留学などの外国人受け入れ業界ではそういう動きはまったくなく、ネット上で個人の言及も皆無。おそらく、これまでどおり、業界としては感染対策はしないまま国の方針をそのまま守るということだけで行く模様。
病床は2月には落ち着いてきた様子で、医療関係者は少し休めるようになったとのこと。
2月は日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議が終わりパブコメもあったが、ここでも、他の議論でも、学校の校舎や住環境などコロナを経て改善が必要ではという議論はまったくでなかった。教室の面積などは告示にあったが、今後はどうなるのかわからないが、議論もなかったので、コロナのことはまったく何も反映されないことになりそう。
3月スタート時の概況
今月の情報取得は1日です。
病床
重症化も少なく、早めに退院することもあるので、デルタの時の医療崩壊の兆候のラインである400%ではなく、1000%ぐらいになっていると言われるが、東京は300%前後でもかなりひっ迫していると言われており、ここの数字だけではハッキリしないところもありそう。
ブースター接種率(100人中)
日本国内の接種率
新型コロナワクチンの接種状況 | デジタル庁 https://info.vrs.digital.go.jp/dashboard/
海外の感染状況、60位までのキャプチャ→
3月に起こったこと、記事など
日本語学校のコロナ対策 8版
3月13日からマスクは任意となり、このタイミングで8版が出た。
マスク関連の記述がすべて削除だが、近い距離では「教職員にはマスク着用を励行」のまま。
新型コロナ感染症対策 | 日本語教育機関関係6団体 事務局 https://jls6dantai.wixsite.com/website/covid19
保存したもの
日本語学校の状況アンケート
日本語学校関係者は8版を受けてどうするか、何もネット上に投稿していないので、業界の動向はわからない。以下はツイッターで日本語学校関係者と思われる人が行ったアンケート
留学生のマスクどうしますか?
— にほんご学校に生息する猫 (@Nihonpoingchan) March 5, 2023
小児のBA.5の流行に関する調査と論文
以前に分科会で引用された掲載準備中の論文がpublishされました
— 🎗新潟大学医学部小児科学教室 (@Niigata_u_ped) March 14, 2023
小児のBA.5の流行で
✅入院患者急増
✅神経学的合併症が多い
✅脳症で死亡例あり(基礎疾患なし、ワクチン未)
✅ワクチンでBA.5の入院予防効果75%
など重要なデータを含んだ研究
👇論文https://t.co/9FSUtDAg6s#pidj @PIDJournal https://t.co/q0lc1d1t5C