2001年11月


 
11/1

宝くじは、大手の銀行が発行しているものが有名だったが、最近は いろいろな
種類のものが発売されている。 海外のクジをモデルにした数を選んで当てる
ものやサッカークジなど である。

大手の銀行のものは、1千万円から1億円ぐらいまでで、安定した人気がある。
サッカークジは、今年始まったものだが、ゲームの結果によっては、1000円程度
であったりするので、あまり人気も盛り上がらないようだ。

宝くじが当たると 親類が増える、などと言われる。
どこからか皆の知るところとなり、 会ったこともない親類がお金を借りに来たりするそうだ。

くじは、江戸時代からあり、いろんな種類があったそうだ。中にはかなり
あやしげなものもあり、クジにまつわるトラブルも多かったそうだ。

くじやギャンブルなどで得たお金を「あぶく銭(ぜに)」などと呼び
正当な仕事で稼いだお金に比べると軽視される。中にはくじを買うこと
自体を批判する人もいる。

 


 
11/2

九州から東京への引っ越しは、4人家族で20万円前後、必要だ。
この「前後」は引っ越し会社によって違う。

「これで全てですか」
「はい、そうです」
「もし、25日に運び出すと28日ごろの到着になります」
「あ、到着は、いつでもいいので、その分、安くしてください」
「はい、少々お待ち下さい」
「はい」
「えーと、23万5千円ですが」
「あ、そうですか、うーん。じゃあ、あさってお返事します」
「あ、他社さんにもお見積もりを出されているんですか」
「ええ、あと、3社ほど来ていただいてからお返事します」
「そうですか、うーん、ちょっとお待ち下さい(電話をかける)」
「はい」
「ちなみに、他社さんはどちらですか」
「ええと、アヒル便(びん)とアーポ引っ越しセンターです」
「はあはあ、では、ですね、少しお勉強させていただいて、この価格で」
(紙には16万円と書いてある)
「はあ、わかりました」
「他社さんの見積もりが出た段階でもう一度お知らせいただければ
  ありがたいです」
「あ、はい、わかりました」

「勉強する」というのは、少し安くする。という意味。この会社の キャッチ
フレーズだ。 それにしても、最初からひとつのところに頼むのと、いろいろと
競争させるのと では、こんなにも価格が違うのだ。驚いた。

 


 
11/6

ディズニーランドの隣に同じような施設が出来て、やはり、人が たくさん
来ているそうだ。 こういう施設をニュースなどでは「娯楽施設(ごらくしせつ)」
「アミューズメント施設」と呼び、競争が激しくなっている、とのこと。

少し前にも大阪にハリウッド資本(しほん)のアミューズメント施設が 出来た。
こちらは、最初は、人が多かったが、徐々に落ち着いてきた。

これまでの小規模な施設は次々と潰れている。 これらの大規模の施設には
台湾(たいわん)や、韓国(かんこく)からも 観光客が訪れる。修学旅行
(しゅうがくりょこう)のコースに入っている ことも多い。

東京ディズニーランドの売り上げは世界でもトップクラスだそうだ。

 


 
11/6

海外旅行に行く時、何を持っていくかは、人によって違う。

お茶、梅干(うめぼ)しなどの食べ物に加えて、最近はパソコン関連の 周辺機器
(しゅうへんきき)など。

必ずしょうゆを持っていく知人がいる。この気持ちはわかる。
海外のスーパーで買ったスモークサーモンやローストビーフに しょうゆをかけて
ホテルで食べる。サラダに少しかけるだけで 「和風(わふう)」になる。

早朝に魚のマーケットに出かけ、携帯用の包丁(ほうちょう)で さしみを
作る人もいる。 どうしても日本の食べ物が食べたくなった時、彼は
マクドナルド (McDonald’s )で、フレオフィッシュを買い、しょうゆをかけて
「和風バーガー」にして食べるそうだ。

 


 
11/8

男性と女性の会話、共に30代のビジネスパーソン

「最近、勝ち組とか負け組って、言うでしょ」
「ああ、あるねえ」
「あれ、なにか基準があるのかな」
「さあ、なんか幼稚園(ようちえん)の名前みたいね」
「はは、そうだなあ」
「学校の先生が決めるんじゃないの?」
「そうか、株式のアナリストが先生ってことか」
「あの人達も相当、あやしいよ」
「そうだなあ。あんなのが先生だとイヤだなあ」
「ま、でも、日本ではだいたい業界一位が勝ち組で、二位以下は全部
  負け組らしいわよ」
「ああ、でも、外資系が来たら、業界一位も危ないな」
「そうねえ、仕事によって違うみたいね」
「戦前から、ずっと勝ち組だった会社ってあるのかな」
「会社の寿命(じゅみょう)は30年、って言うしね」
「大手の製紙会社は例外らしいよ」
「なるほど。他は?」
「う~ん。難しいね」

勝ち組、負け組は、最近、流行の言葉で それぞれgroup of winners
group of losers のこと。 ちなみに、私は、幼稚園のころ、カナリア組だった。

 


 
11/14

日本では、左利(き)きの人は少なく一割以下だとのことだ。

左利きの人が多い国というのは、まだ聞いたことがないが、近代化が 進むにつれ
どんどん少数派は暮らしにくくなっているようだ。

まず、生活用品はほとんどが右利き用である。電話や台所用品なども。
「左利き用の包丁はありますか」などと聞いても 「あ、それは、取り寄せに
なります」 などと言われてしまう。 また、こういったことに慣れてしまうようだ。

車も左利きの人間には使いにくい。バスや電車なども右利きを意識して
作られている。 こういったことがあるからか、幼少(ようしょう)のころに
左手を 使っている子供に注意して、右利きになるように育てる親が多いそうだ。

 


 
11/16

夫婦の会話、深夜

「ねえ、車だしてよ」
「どこ行くの」
「トイレットペーパー無くなったから」
「コンビニまで?」
「そう」
「歩いていけよ。またアイスクリームも買うんだろ」
「だって、雨なのよ。カゼひいちゃう」
「もう、面倒くさいなあ」

夫、仕方なく、準備をする。

「ねえ、ついでにさ、ドンキまで行こうよ」
「ああ、いいよ。でも何買うの」
「まあ、いいじゃない。下着とかも買って置きたいし」
「あ、そう」
「あなたも、カーナビとか見たいんでしょ」
「あ、もう飽きたよ。それに、あそこ、最新型は置いてないんだよ」

ドンキというのは、ドンキホーテという名前の大型深夜スーパー。
店によっては朝まで開いている。

 


 
11/20

夜9時。都心から郊外へ向かう電車は混んでいる。

座れる可能性は低く、ほとんどの人が立って、つり革につかまっている。
一人の男。

ビジネス書を読んでいる。「the Goal」という本の後書き。
後書きを丁寧に読むところからすると、几帳面な正確らしい。
歳のころは30くらいだろうか。結婚指輪はしていない。
細いセルの眼鏡をしている。

ポケットから携帯電話を取り出した。 メールをうっている。
「帰宅予定22時」とだけ書いて送る。 タイトルは「帰宅」
親と同居しているのだろうか。

服装はトラッド。シャツの色は青。やや保守的なファッションだ。
短く切った髪には乱れがなく、フケも落ちていない。

本の後書きに赤いボールペンで線をひきはじめた。 少し離れたところで
酔っぱらいが大声をあげた。ほとんどの人は 知らぬ顔をしていたが
彼はビクッと反応し、こわごわと声の方向を 見て、すぐに本に顔を戻した。
最初の大きな駅に着いた。私はそこで降りた。

降りる際に、チラと顔を見た。色白で、少し神経質そうな、まじめそうな 顔
だった。もしかすると20代かもしれない。

彼は出世するだろうか。家ではだれが待っているのだろうか。

 


 
11/22

表札(ひょうさつ)というのは、家を持ったという象徴(しょうちょう) の
ようなもので、今から30年ほど前は、お金をかけて作ったらしい。 フロッピーディスクを二つ並べたくらいの長方形(ちょうほうけい)で、ここには父親の 名前を
書くのが普通であった。 石を切り出したものを土台に名前を彫る。
これを玄関に埋め込んだ時に 大きな達成感を感じたものらしい。
これが、3000円というころがあった。 一ヶ月の給料が1万円から2万円の時代だ。

その後、家族の名前を並べて書くようになり、土台はプラスティックになった。
最近では紙に名前を書いてプラスティックでカバーするだけ というパターンが多い。
マンションなどでは、大きさの規格(きかく)にあったプラスティックに 名前を
入れるだけ。注文すれば3000円ほどだ。
値段は変わらないが、今の平均の給料は30万円ほど。

表札の価値は、ほとんどなくなったと言ってもいいだろう。

 


 
11/27

トミーフラナガンはいいピアニストだった。 日本の新聞では、写真入りで訃報
(ふほう)が載った。 おそらく日本では、ソニーロリンズのレコード
「サクソフォンコロッサス」 で知られることとなった彼の演奏は、ジャズの歴史
に大きな影響を与える ほどのものではなかったけれども、控えめで
しゃれていて、いつも 最高にスイングしていた。

訃報では、どの新聞社も代表作として「Over Seas」をあげていた。

確かに彼の名前で出たレコードであるし、演奏内容も充実している。
ジャズ評論家の評価も高い。 しかし、私は、「Over Seas」を挙げるのは
少々、キザで、スノッブ ではないかと思う。

もし、聞いたことがなかったら、ソニーロリンズの「サクソフォン コロッサス」
を買ってみてください。 50年代のジャズの最高の演奏を聞くことができますよ。

 


 
11/29

かつては、3という数字で、いろんなものを表現することが多かった。
日本三景(けい)などと、いって、景色や城など。

3という数字は 不思議と人気があった。 最近は、それが、日本100選(せん)に
なった。 好意的に解釈すれば、情報が豊富になり、よい景色も美しい城も
人の目に 触れることが多くなったということかもしれないが、この100の真の
意味は 観光資源の開発ということだろう。

100だと、各県にひとつ以上はあることになる。例えば、水や古い町並み
星空など、観光資源に乏しい自治体は、これらのいろいろな100選の中で
自分のものに当てはまるのを探し出す。

たいてい、こういうものを選ぶのは、政府系の機関なので登録を申し出る と
同時に、地元の政治家などを使って圧力をかける。 したがって、これらの
「100選」は、あまり当てにならないということに なる。

しかし都会暮らしが長い人々にとっては、普通の田舎の景色や 水の味も、特別な
ものに感じられる。看板の「日本100選の名水」などと 言う文字も説得力を
もったものになる。

 


 
11/30

かつて「会社をクビになる」というのは、日本では死刑宣告のような もので
あった。 女性と男性の会話

「ねえ、田中クンって、リストラされたって本当?」
「ああ、そうみたいだよ。半年前から転職先を探してたし」
「たいへんね」
「営業だからなあ、厳しいかもね」
「部長の知り合いの会社を紹介されたらしいんだけど、断ったんだって」
「あまり、仲がよくなかったからなあ」
「でも、まだ20代だから、何とかなるわよ」
「多分ね」
「いい営業マンは、今、すごいらしいよ。引く手あまたで」
「専門職のほうがダブつき気味らしいね」
「まあ上司とか会社との相性もあるからなあ」

田中くんは、この2人の友人みたいだが、この会話には、あまり 悲愴感
(ひそうかん)はなかった。

リストラ:restructuring

 



2001年10月


 
10/2

CDやビデオの普及(ふきゅう)で、生(なま)のものを見たり聞いたり
する機会が減ったという人は多いだろう。

映画も映画館で見る経験は少なくなり、音楽もインターネットの普及で ますます
直(じか)に接する機会が減った。

私達は、どこか油断していないだろうか。

映画館でしか感じることができない フィルムの質感(しつかん)や 画面から伝わる息遣い。生の楽器の音の豊かさ。

これらのものを、軽んじてはいないだろうか。

古今亭志ん朝(ここんてい しんちょう)さんが、今日、亡くなった。 63才。
落語家(らくごか)。

「しまった!」というカンジだ。私はこの人の生(なま)の落語を 聞いていない。
CDでは、あれほど聞いたのに。 恥ずかしいかぎりだ。忙しさを言い訳にして、ついさぼっていたツケが まわってきた。

もう後悔(こうかい)しても遅い。

私と同じ気持ちの人は多いはずだ。

それにしても、若すぎるよ。志ん朝さん。

 


 
10/3

10月になると、秋も本格的になるはずが、少し汗ばむ日が続いている。

実は秋の日射しは強いそうで、紫外線(しがいせん)の量も多いとのこと。
こういう知識は女性が詳しい。 10月1日から、学校の制服も冬服になり
ニュースキャスターも秋を 意識した装(よそお)いになる。

秋は、日本人に最も人気のある季節で、10世紀ごろから、秋の美しさを 讃
(たた)える詩も多く残されている。 「実りの秋」などとも言われ、農作物
特に米の収穫期(しゅうかくき)で あることもあって、何かと嬉しい季節だ。
収穫を祝う祭りも多く、各地で開かれることもあって、秋は旅行シーズン でもある。

 


 
10/3

テレビをつけると国会議員(こっかいぎいん)が、ステーキを食べている 映像が
流れていた。

「国産の牛肉は安全である」ということをアピール するために、わざわざ
テレビ局を呼んでパーティーを開いたそうだ。

かつて、食中毒 (しょくちゅうどく)の事件で同じようなことを、国会議員 がやっていた。
しかし、狂牛病は潜伏期間(せんぷくきかん)が長い。 こういうことを
パフォーマンスなどと呼ぶが、まったくくだらないものを 見せられたという
気分になった。

行政指導(ぎょうせいしどう)という言葉は、一時、アメリカとの貿易 の問題の
時に、有名になった。あいまいで、いろんな使われ方をされる。
この「指導」は、時には法的な拘束力(こうそくりょく)があるが、事実上
見のがされるというケースも多い。 狂牛病のケースは、原因となったえさを
使わないように指導が行われて いた。しかし、禁止されているわけではなかった。
罰金(ばっきん)を払うことになっても、小額であれば、コストの安い えさを使う
というわけだ。

日本の法律は、この「指導」のように運用(うんよう)の幅が広いものが 多い。
時には現場の担当者の裁量(さいりょう)で、大きく結果が違って くるものも
出てくる。

厳格(げんかく)な法律の摘要(てきよう)や、裁判(さいばん)での 決着は
国民性に合わないという人もいたが、もはや20年前の議論だと 言ってもいいだろう。

 


 
10/4

友人が披露(ひろう)した、人間の一生に関する興味ぶかい 新説(しんせつ)。

あのね。最近、考えるんだけど、40才になってから、どうも、性格が 変わった
ような気がするんだよ。同時にいろんなことが出来なくなった。
歳とったんじゃないの。 それもあるけど、この前、気がついたのは、オレ
小学校のころ、そういう 子供だったんだよ。集中力(しゅうちゅうりょく)
はあるんだけど 同時に複数のことをやるのが、極端に苦手だった。

あ、そう。

それでね。20代とか、30才前後ってのは、自分が大人になった。
成熟(せいじゅく)して、落ち着きも出て来た。と思ってたけど。

うん。

40になって、子供のころに戻っちゃった。

はあ、そう。

で、これは、つまり、10代の終りから、30ぐらいまでが、変だったん
じゃないかな。無理をしてた、というか、自分が成長したと思い込んでいた。
ところが、40になって、自分の本来の性格というか、実力が素直に あらわれる
ようになった。 だからね、考えてみると、結局、人間は10才ぐらいまでに
手に入れた もので、勝負するしかないんじゃないかな。
小学校のころ、友だちが少なかった人はまあ、一生、友だちは少ないし
手先が不器用だった人は、一生不器用。もてなかった奴(やつ)は だいたい
一生もてない。 でも、10代の終りから、30代までの15年くらいは
夢を 見ることができる。

自分ができなかったことができるような夢をね。

 


 
10/10

秋というと、晴れているイメージを持つ日本人は多い。

「秋晴れ」という言葉があるくらいだ。 しかし、「女心(おんなごころ)と
秋の空」とも言われる。 秋の天気と女性の気持ちは、変わりやすいという意味だ。

というわけで、10月は意外と雨が多い時期でもある。
佐藤さん(男性)の意見。

梅雨のように、朝から雨というわけでもないので、傘を持っていくのは 面倒だ。
といって、折り畳み傘(かさ)を持っていくのも、恥ずかしい。 いかにも
準備がいい、というのは、男らしくない。

特に職場の外国人社員は 「折り畳み傘を持って歩く男なんて、ダサイ」
と言うそうだ。

最近は、同僚の日本人の女性社員にも同調する者が現れた。
しかし、雨に降られると、書類は濡れるし、ウオークマンは、壊れるかも
しれない。高い外国製の革靴も気になる。

今のところ、彼は、折り畳み傘を持ち歩いているが、同僚には秘密にしている。
会社を出てから、しばらくは、濡れて帰るそうだ。

ダサイ:unfashonable /nerdy / bamma / corny /

 


 
10/11

プロジェクトXというテレビ番組が人気だ。

戦後の高度成長期を支えた技術者達の英雄(えいゆう)物語。

主人公達のほとんどは、戦後、地方の小さな町工場だったような会社の 人々だ。
ある人々は、腕時計を小さくすることに熱中し、また、ある人々は 電車の
改札機(かいさつき)を作ることに社運(しゃうん)をかける。
そのほとんどが今は、大企業となっている。

戦後、技術力で大企業となった会社は、これら数十人、時には数人の
プロジェクトによるものであった。 戦後の成功物語は、ホンダやソニーだけでは
ない。というのが番組の主旨だ。

この番組はビデオも発売され、驚異的な売り上げを記録しているそうだ。
買うのは、50.60代のサラリーマン。
会社単位で買って、社員に見せる 会社も多いという。

 


 
10/12

あるお店で、店主(てんしゅ)と40代の主婦の会話

「ねえねえ、この60円のスポンジと120円のとどこが違うの?」
「はあ、それは、ここが、ダブルの構造(こうぞう)になってまして」
「ダブルだといいの?」
「ええ、丈夫なんですね」
「ああ、そう」
「それに、表と裏で違う生地(きじ)なので使い分けできます」
「ああ、裏のほうが固いわね」
「ええ、そうなんです」
「さっき、丈夫って、言ったけど、どのくらい違うの」
「そうですねえ倍くらいですねえ」
「倍、値段といっしょね。うまいこと言うわね」
「ははは、いえいえ、そういうわけじゃないんですけどね」
「じゃあ、この60円のを二つちょうだい。二つ買うから少しまけてね」

こういう風に、細かいことを聞く主婦は少ない。値切るのも 珍しい。
しかし、関西では多いそうだ。 実はこの主婦も関西なまりであった。
店主は、ちょっと驚いたような、困ったような顔をしていた。

 


 
10/30

テロの影響で、国内の空港の警備は厳しくなった。

国内線でもチェックが厳しい。一人ずつ名前を言って確認しなければ ならない。
荷物のチェックも厳重になった。ラジオを入れていただけで バッグの中を
開けてみせなければならなくなった。

福岡空港では、アラブ系の外国人が搭乗(とうじょう)手続きをしていた。
他の客より質問の項目は多いようだ。 警備員(けいびいん)の視線は厳しく
他の乗客も不安げな面持ちだ。 手続きを終えた彼は私の横に座った。

(困ったもんだねえ)という表情でニコッと笑いかけると
彼は(やれやれ)という表情で、笑顔を返した。

 


 
10/31

携帯電話は普及(ふきゅう)が進み、そろそろ売行きも落ちているようだ。
今では中学生から大人まで、一人一台の時代と言ってもよいかもしれない。

都会では、小学生に携帯電話を持たせる親が増えている。

携帯電話を持っている人の現在の位置を調べるサービスもあり、ファックス で
簡単に知ることができるらしい。 このサービスは、子供や、老人などがいる
家庭にとっては重宝(ちょうほう) するもので、これからの成長産業だと
言われている。

また、これまでに盗まれた車がこのサービスによって発見される ということも
あった。 現在は半径100M ほどの範囲でないとわからないそうだが、将来は
かなり詳しく分るようになるそうだ。

しかし、このサービスは大人には評判が悪い。どこにいるか常に誰かに
知られるというのは、いろいろと困ったことがあるのだ。

 



2001年09月


 
9/4

子供が一人で買い物をしている時、店の人の反応は分かれる。

商店街や小さな店、デパートでは、子供なりの対応をする。
子供にもわかるような言葉づかいで、話す人は多い。

それに対して、 大きなスーパーなどでは 大人と同じ扱いをすることが多い。
「いらっしゃいませ」と言い、「ありがとうございました」と言う。
「店の規則で決まっているから」からだろうが、一見、丁寧だが 実は、決まった
対応のほうが楽だということがある。

小さなスーパーなどでは、顔見知りであることも多いからか、こういう ことは
少ない。「あら、一人で来たの? えらいねえ」などと声を かける店の人は多い。

コンビニ(コンビニエンスストア)は、大きなスーパーと同じで、型どおり の
やりとりで終ることが多い。若い店員が多いせいか、「子供は邪魔」 という
雰囲気すらある。

しかし、子供心というのは、複雑で、大人と同じ扱いをされることが
嬉しいこともある。

私も、「いらっしゃいませ」などと言われると 嬉しかった覚えがある。

 


 
9/5

日本は、トンネルや橋を作る技術は高いらしい。

国土の70%近くが 山林の島国であることが大きな理由だ。
今、日本の4つの島(本州、北海道、九州、四国)のうち、四国と本州は 橋で
他はトンネルで結ばれている。

つい最近まで、トンネル工事に人力がはたす役割は大きく、大きなトンネル
工事だと、死者がでるのは、珍しくなかった。
特に本州と北海道との トンネル工事では多くの犠牲者(ぎせいしゃ)が出ている。

トンネル関係の技術者は、自らを「トンネル屋」という。彼らは橋を作る
技術者を「橋屋」と呼ぶ。トンネル屋は、橋屋がうらやましいそうだ。

作っている過程が誰の目にもすぐにわかり、感謝される。
その点、トンネル屋が感謝されるのは、開通(かいつう)した日ぐらいだ と言う。

 


 
9/6

日本の車事情で、悪名高いのが、高速道路の料金だ。

もし、一人で東京から大阪まで高速道路を使うと片道約15000円は 覚悟
(かくご)しなければならない。 飛行機と電車で行くのと同じくらいだ。
しかし、車のドライバーは 自分の運転で、自分でガソリン代を払っているので
ある。 せめて半額でないと車で行くメリットはなくなってしまう。

こういった高速道路は、公共事業(こうきょうじぎょう)で作られる。
最近、新しくできた都心と千葉県を結ぶ道路は、海を渡る高度な技術が
使われている。途中までがトンネル、残り半分は橋となっている。

なぜ、半分づつになったのか? 半分づつだと、橋を作る会社とトンネル を
作る会社が、同時に儲るかららしい。セメントも鉄鋼(てっこう)も 必要になる。

この道路は、値段が高く、すこぶる評判が悪い。

 


 
9/7

「出張で時々、長野(ながの)に行くんだけど」
「え、出張、いいなあ。オレ、まだやったことないんだよ。出張って。」
「ホント、ああ、おまえの会社は、支店ないもんね」
「そうそう。やっぱり、長野名物とか食べに行ったりするの」
「いや、結局、接待(せったい)でね。あまり楽しめないんだよ」
「ああ、なるほどね」
「長野の支店長って、本社から来た若いやつを、いじめるのが好きらしくてさあ」
「ああ、最悪(さいあく)だな」
「2日滞在したんだけど、2日とも付き合いで、疲れた」
「自分の時間はなかったの?」
「ぜんぜん。駅で、お土産かっただけ」
「そうか。出張費はいくらでるの」
「一日8000円ぐらいかな」
「少ないね」
「そう。泊まるところも決まってて、手当が3000円というカンジかな」
「たった3000円か」
「そう、それも、お土産代で消えるんだよ」

 


 
9/11

Cubeというカナダ映画があった。
四角いパズルのような立方体に 人々が閉じ込められるというサスペンス映画。

日本には、カプセルホテルというものがある。この映画のシナリオライター は
このホテルに泊まったことがあるのかもしれない。

カプセルホテルは、長さ2mほどの棺桶(かんおけ)の幅を4倍に したぐらいの
サイズのホテルのことだ。しかし、この棺桶には、テレビ が付いており、
換気(かんき)も悪くない。夏場は冷房(れいぼう)も 効いている。
1泊3000-4000円ほどであり、これは、日本では安いほうだ。

たいていのカプセルホテルは、2階建てになっている。狭いスペースに 何人も
泊まれるので、例えば高級ホテルのスイートの広さがあれば 30人くらいの部屋が
作れることになる。

これが最近、日本を訪れる外国人に人気らしい。
もちろん、居心地は 悪いけれども、SF映画の主人公になったような気分になれる。

ただし、カプセルホテルには、少々、品の悪い人々も泊まっているので 御注意を。
殺人犯が逃亡する時に、カプセルホテルを泊まり歩いていた。
などというニュースはよく聞く。

まあ、それも、SF映画気分を盛り上げる大事な小道具(こどうぐ)だと 思えば
悪くはないが。

 


 
9/12

世界貿易(せかいぼうえき)センタービルの事件は日本では 夜の10時ごろに
報道が始まった。 金融機関(きんゆうきかん)が集まるこのビルには
日本の企業(きぎょう) も多く入っている。

日本にある、アメリカ軍の基地(きち)も、厳戒体制(げんかいたいせい) に
入ったそうだ。 このサイトは、アメリカからのアクセスが最も多い。
大学などの学校や、国防総省(こくぼうそうしょう)からもある。
もちろん、これまで何人ものアメリカ人、金融関係者を教えてきた。

明日のレッスンもニューヨーク出身のアメリカ人だ。
一人でも多くの命が助かってほしい。

 


 
9/13

一機目がビルに突っ込んだ時は、事故の可能性を疑った。
コンピューター関係の故障を考えた人も多かったのではないだろうか。

二機目で、テロだと確信を持った。しかし、あれほど簡単にビルが崩壊
(ほうかい)すると予想した人は少ないだろう。

日本では、日本人の生存者(せいぞんしゃ)に関する報道の他は、CNNや CBSの
報道をそのまま翻訳(ほんやく)したような情報が流されている。
東京には、7つのテレビ局があるが、そのうちの国営の教育テレビを 除くすべての
局は、事故発生から翌日まで一日中、報道番組を 流している。
夕方のニュースの時間帯(5-7pm)が終ると、通常の番組も始まった。
しかし9時を過ぎると、半数の局が、再び報道番組を始めた。

予定していた「ダイハード」などのテレビ映画はキャンセルとなり 過激
(かげき)なゲームソフトのコマーシャルも自粛(じしゅく) されている。

外に出て、近所を散歩してみたが、人通りは少なく感じる。
近くのスーパーの駐車場は、いつもより車が少ない。

日本でも、多くの人が、おそらく世界中の人々が口にしただろう 「映画みたいだ」
というセリフを呟きつつ、繰り返される事故の場面を 眺めている。
この場面は、どんどん新しくなり、はっきりとした映像に 切り替わっている。

ニューヨークでビデオキャメラを持って歩いている 人は多いはずだ。
今後はもっといろんな画像を見ることになるだろう。

今日、レッスンをするはずだったニューヨーク出身のアメリカ人は
「気持ちが落ち着かない」とレッスンをキャンセルしてきた。

 


 
9/14

「映画のような」テレビ画像が繰り返し放送されることで人々の関心 も
薄れはじめているようだ。

日本では話題は、経済への影響に移っている。 これからのことを考えると
非観的(ひかんてき)にならざるをえない。

アメリカは、そのイメージとは反対に、共和党政権のほうが、有事の 際は
比較的慎重な対応をとることが多い。しかし、今回は、そうは いかない
かもしれない。

「冷戦構造(れいせんこうぞう)は終った」というのが
ここ10年の キーワードであった。

2001年の9月で、冷戦は終ったことは確認された。 また、「構造」という名の
安定した状態も終りを告げたと考えても よいのではないだろうか。

この不安定な、HOT WARの時代は、ナイフ一本で始まった。
これから10年がどんな世界になるかは、アメリカの対応にかかっている。

 


 
9/18

先週の水曜日から、同時通訳(どうじつうやく)付きで、ABCのニュースを
見ている。

世界の支援(しえん)、支持(しじ)という時には、ヨーロッパの国々が
紹介され、事件の卑劣(ひれつ)さを語る時には、「パールハーバー」 のことが
語られる。
また、規模(きぼ)を語る時には、「広島(ひろしま)原爆(げんばく) の
50分の一」と言われる。

ニューヨークでは、市場が開き、注目されている。現在のところ、9000ドル
あたりで、なんとか、踏ん張っている。株価より、むしろ、ドルの下落
(げらく)が心配されており、前日に、日本政府は、この点を憂慮 (ゆうりょ)
して、市場に介入している。

 


 
9/19

テロ事件から一週間が経った。

この間の日本のニュースを少し紹介しましょう。 大きなニュースは二つ。
大手スーパーの倒産(とうさん)と狂牛病 (きょうぎゅうびょう)だ。

このスーパーの倒産は、以前から噂となっていたので、それほど大きな ニュースとは言えない。

汚染(おせん)された牛は一頭で、政府は、発見と同時に、安全性に
問題はないと発表した。 しかし、日本では、何か問題が起きると、すぐに政府
から「安全である」 という報告がなされる。

その後、「まだ調査しないとわからない」と いうことになった。 政府による
安全宣言(あんぜんせんげん)は、もう信用できないというのは 私だけでは
ないだろう。おまけに発見から発表まで2日もかかっている。

こういう時に、日本では、「私達の使う牛肉は安全です」ということを
言うところは少ない。なるべく騒ぎを大きくしないように、パニックに
ならないようにと、静かに、何も言わないという対応がなされる。

大手のハンバーガーチェーンや牛丼(ぎゅうどん)チェーンのサイトでは
ひっそりと、腫物(はれもの)に触るように、告知がされている。
「狂牛病」という言葉は、いっさい使われていない。

火事場(かじば)どろぼう、というのは、火事のドサクサに紛(まぎ)れて
泥棒をする者のことだ。ニューヨークでも少なからずいるらしい。
私は、こういう単純な犯罪は、まだ人間味(にんげんみ)があるような 気がする。
私も、目の前に価値のありそうな証券(しょうけん)でも 落ちていたら
拾うかもしれない。

しかし、こういった悲劇的な大事件に隠れて、巧妙にこっそりと悪事が処理
(しょり)されることがあるとすれば、許されないことだ。

 


 
9/20

70年代の石油ショックで、日本は、石油政策の一環としての中東研究が
進んだことを除けば、一般にアラブ世界と日本との接点は少ない。

80年代の後半から、好景気(こうけいき)の日本に仕事を求めて 多くの人々が
イランやパキスタンから来た。一時は東京の公園は イラン人の交流の場と
なっていた。 その後、バブル崩壊(ほうかい)で、仕事を失ったイラン人達は
ビザを失い、不法滞在(ふほうたいざい)が社会問題となったが そのほとんどは
日本を離れた。

今では、パキスタン人のほうが多いかなという印象だ。 一部の人は、日本人と
結婚するなどして、日本に定着し、東京には、立派な モスクができた。

中東(ちゅうとう)の情勢(じょうせい)に詳しい人を、日本で 探すのは難しい。
一般の人は、ほとんど何も知らないと言ってもいい。

特別に無知(むち)だということではない。例えば、北米やヨーロッパで 東アジアの 軍事バランス(非常に複雑だ)について知っている人の数を 考えると
参考になるかもしれない。
同じようなものだと思う。

 


 
9/21

30代のサラリーマンの会話、共に男性

「すごいことになったね」
「ああ、行方不明(ゆくえふめい)の人が神戸(こうべ)の地震(じしん)
と同じくらいだものね」
「うん。神戸の時は電車が動く前だったけど、今度は9時過ぎだからね」
「むしろ、被害者(ひがいしゃ)が少ないほうかもね」
「避難(ひなん)もスムーズだったし、警察とかレスキューの到着が
  早かったもんね」
「でも、神戸(こうべ)は天災(てんさい)だけど、今度はテロだからねえ」
「そうだな。ちょっと想像(そうぞう)できないね」
「日本も危ないな」
「そうだな。でも、日本の経済とか政治の象徴(しょうちょう)のビル って
  あるかな」
「国会とか丸の内とか」
「今は、丸の内にオフィスがある会社は減ってるし」
「政治は国会というより、料亭(りょうてい)だから赤坂(あかさか)か」

 


 
9/25

今ごろ、小泉(こいずみ)さんは、アメリカに向かう飛行機の中だ。

小泉さんは、テロを受けた第一声(だいいっせい)の会見(かいけん)で
「報復(ほうふく)を支持(しじ)する」と言ったが、これは
勇(いさ)み足で、現在の日本では、できることと、できないことがある。
現在の憲法(けんぽう)と法律を常識的に解釈すると、日本は軍隊 (ぐんたい)
日本では自衛隊(じえいたい)と言うが、の海外派遣 (はけん)はかなり
限定される。

つい最近できた周辺(しゅうへん)事態(じたい)法というのは アメリカの
圧力で、台湾(たいわん)と中国、北朝鮮(きたちょうせん) の緊張
(きんちょう)を意識して作られたものだが、表立って、国を 特定することは
できないので、「『周辺』というのは、地理的な 概念(がいねん)ではなく
『日本に危険がおよぶ事態』という意味だ」 との政府の公式見解
(こうしきけんかい)がある。

これまでの日本ならば、明確(めいかく)な証拠、国連(こくれん)の決議
(けつぎ)、原子爆弾(げんしばくだん)と生物化学兵器
(せいぶつ かがくへいき)の不使用、などを条件にしての支援(しえん)と
いうのが 常識的な線だと思うのだが、今回は、かなり踏み込んだことを約束
しそうだ。

国内でも、野党(やとう)も賛成(さんせい)にまわるそうだ。

 


 
9/26

今回のテロ事件で驚かされたのは政府やニューヨーク市の対応の 早さだ。

メディアの対応も早かった。不明者の名簿は、データベースとして まとめられ
現在では、顔写真付きのものがインターネットでいつでも みることができる。
日本のメディアでは、日本人の不明者でさえ、常時掲載していない新聞も ある。
まして他の国の不明者を掲載しているところは、私の知る限り ひとつもない。

今、日本では、狂牛病(きょうぎゅうびょう)のニュースがテロの事件 に
代わってトップニュースとなりつつある。 政府の発表は、あいまいで、遅く
訂正の記者会見もたびたび開かれる。

ひとつには、牛肉が輸出産業ではない ということがあるようだ。 国際的な評価は、後回しにしても、影響は それほど大きくはない。 消費者よりも、生産者の保護を優先する、というのは これまでどおりの 対応だ。

早くも、国内では牛肉の消費量が落ちている。当然のことだ。

 


 
9/27

エイプリル イン パリスという曲がある。
オータム イン ニューヨークという曲がある。

ニューヨークでは、10月にすばらしく美しい一週間があるそうだ。

冬仕度を始めて、街中も秋の装いになる。風も涼しくなり、外を歩くのが
楽しくなる。スタンドのコーヒーも美味しい。

ニューヨーク生まれの知人が 言っていた。 言葉には出さないけれども、皆「ニューヨークの秋が始まった」と 感じるそうである。
ボストンの美しさとは、ちょっと違った大都市 ならではの 美しさがあるという。

今年のニューヨークの秋は、瓦礫(がれき)を眺めながらになるかも
しれないけれども、やはり秋は美しくあってほしい。

 



2001年08月


 
8/1

間違えて覚えていた言葉というのは、誰にでもあると思うが もしかすると
日本語の場合は、同音異義語(どうおんいぎご)による間違いが 多いかもしれない。

恥(はじ)を忍んで告白すると

高校の時まで、「自社株(じしゃかぶ)を買う」というのは、自分が 持っている
自動車の会社の株を買うこと(自車株)だと思っていた。

つい2.3年前まで野球の放送などで、長く走って、その後、ホームに 帰ったという
意味で使われる「長駆(ちょうく)ホームイン!」という 実況(じっきょう)は
「チョークホームイン」で、chalkで書いたように ホームインしたという
意味だと思っていた。

中学のころまで、民宿(みんしゅく)というのは、自民党が経営している
ホテルのことだと思っていた。

つい最近まで、天気予報の時に海が荒れるという意味で使われる波浪注意報
(はろうちゅういほう)は、「ハロー注意報」だと思っていた。
意味は、これまで、深く考えたことはなかった。

ああ、恥ずかしい。

 


 
8/2

日本は軽犯罪(けいはんざい)大国だ。という人がいる。

電車の中での痴漢(ちかん)は、外国に比べると驚く程多いそうだ。

これは、主に東京など大都市の通勤(つうきん)が電車に限られ 御存じのように
常に満員という事情もある。

最近は痴漢に間違えられて裁判(さいばん)となり、無罪(むざい)を
勝ち取った人のニュースが続いた。

こういう犯罪(はんざい)は、たとえ、無罪であっても、裁判中は 肩身(かたみ)
が狭い。

仕事にも支障(ししょう)が出る。
友人は去っていく。
親戚(しんせき)からの連絡が途絶える。
と辛い出来事が多いようだ。

 


 
8/7

避暑地(ひしょち)と聞いて思い浮かぶのは、長野県の軽井沢(かるいざわ) だ。
標高が高く夏でも涼しい。 日本で最も有名なこの避暑地は、かつては限られた人
のものだったが 今では、普通の会社員にも手が届くようになった。

ただ、ひとつ困ったことは、「軽井沢」という名前があるだけで土地の 値段が
上がるので、この地名が増えてしまったことだ。

「**軽井沢」などと地名を変更する町があいついだ。

「**」には 北とか、「中」などが入る。こういうことは 他の地域でも多く
観光地、特に温泉地などでも見られる現象だ。

地名というのは、日本では比較的よく変わる。私の生まれた地も 2度変わっている。
観光目的で変わるものもあれば、住宅などを作る際に、若い世代に受け のよい
「青葉」「自由が丘」などの名前となることがおおい。

私はこれらの、いかにも最近付けたような地名を見るとうんざり してしまう。

 


 
8/8

夏になると、テレビなどで、怪談(かいだん)の番組が増える。

怪談というのは、恐い話のこと。これを上手に話せるだけで夏の キャンプの
人気者になれる。 なぜ夏なのかは、よく分らないが、子供が学校が休みであり
怪談を 聞かせる相手が豊富ということだろうか。

いろんな種類がある。妖怪(ようかい)は、土地に住んでいる霊(れい)の ことで
幽霊(ゆうれい)は、死んだ人が生き返ったものだという解釈 もあるらしい。
江戸時代には、こういう怪談を集めた本は飛ぶように売れ、怪談を上手に
話す人は、それだけで商売となった。

今でも、落語家(らくごか)の中には、怪談話しを得意とする人がいる。

 


 
8/10

高級ライターを買う人はめっきり減った。

かつては、高級ライターはある種のステイタスで、部長になったら 1万円くらいの
ライターを買ったりということがあったらしい。

今は、100円ライターと呼ばれるプラスティックのものが主流である。
機能は十分で、安い。今では100円で3本ほど買えるが、駅などで 売られている
のは、120円ほどである。

消費者の心理というのは難しい。かつては、ライターでさえも車のように
ステイタスの証(あかし)であったが、100円で機能は同じとなると
どうでもよくなるようだ。

今ではむしろ、高級ライターを持つのは 恥ずかしい。
ただ、 若い人の間では、ジッポ のライターは人気だ。ライターの付け方に凝ったり、 古く値段の高いものなどを 買ったりする。

これも、実は、少々、田舎くさい趣味だと言えるだろう。
もはや喫煙も流行らない世の中なのだ。

 


 
8/13

今日は野球に関するドキュメンタリーを見ていた。

中でアメリカ人のボブというスポーツライターが、初めて父に野球に
連れていってもらった話をしていた。

子供の頃の父親の「野球に行くか?」という台詞がすべての始まり だった
という 話。

それで思い出した。

祖父(そふ)は、炭坑(たんこう)で働く技師(ぎし)だった。
無口だが黙々(もくもく)と仕事をこなし、炭鉱夫の信頼も厚かったそうだ。
地元(じもと)のプロ野球のチームが好きだった。
中でも中心打者の中西太(なかにしふとし)がお気に入り。
中西は熊のような体格でホームランをかっとばす、べーブルースのような
選手だった。性格は、寡黙(かもく)だが、やさしくて、豪快(ごうかい)。
九州の男が最も好むタイプだ。

私の名前は、最初「浩(ひろし)」だったが、祖父が納得せず、結局
「浩太(こうた)」になったそうだ。 もちろん、私も祖父のお気に入り。
ただし、やさしくしてくれるのでは なくて、本当の九州の男に育てたかった
ようだ。厳しかった。

よく、新聞紙を丸めたボールでキャッチボールをした。 散歩もした。
が、会話らしい会話をかわした記憶はまったくない。

祖父は私をたびたび野球場に連れていってくれた。 しかし、そのころは
西鉄ライオンズは、スポンサーも変わり 弱小(じゃくしょう)チームと
なっていた。 チームは、弱くなったが、観客は、相変わらず豪快だった。
酒の匂いをプンプンさせる男達が大声で怒鳴っている。

この球場は日本で最も「恐い」球場だと言われていた。 ただ彼らには
ユーモアがあった。不思議と殺伐(さつばつ) とした雰囲気はなく
野次に吹き出す選手もよく見た。
口汚いが楽しい野次(やじ)は、球場の風物詩(ふうぶつし)となっていた。

しかし、祖父といると安心だった。寡黙であまり笑わない祖父には威厳(いげん)
があった。客席の荒くれ男達も、黙って厳しい顔でフィールドを見つめる
祖父には一目おいているようだった。

アメリカのスポーツライターの話に最も共感したのは、この台詞だ。
「子供には、野球場に行く日は、朝から、なんとなくわかるものなのだ」

そう、子供には、わかっているのだ。

ただし、祖父は、「行くか」 とは言わなかった。「行くぞ」と言った。

 


 
8/15

日本では八月はいわば「戦争の月」で、6日の広島、9日の長崎の 原爆記念日に
続いて15日の終戦記念日となる。

終戦記念日に首相(しゅしょう)が、靖国(やすくに)神社に行くか どうかで
もめている。 靖国神社は、神道の形式に則(のっと)って、戦争の犠牲者が
祀(まつ)られている。 この神社には、戦後の裁判で戦犯(せんぱん)
と なった人たちも 祀られていて、このことと、特定の宗教の形式を持っていると
いうことが 常に問題となる。今回は、小泉首相は、靖国神社に参拝(さんぱい)
し 中国や韓国の反発を招いている。

戦死者に哀悼(あいとう)の意をささげるのは、当然のことだし 戦犯というのは
戦後、主にアメリカ主導で強引に行われた裁判で 決まったものだ、というのが
与党である自民党の主張。

これに対し、国内の反対勢力の根拠は近隣諸国へ配慮すべきだ、というもので
哀悼の意をささげる、ということと、戦犯の考え方にも問題がある という点に
関してはあまり触れることがない。

客観的に見ても、これまで、きちんと議論されてきていない、というのが
正直なところだろう。 他の多くの国のように、戦犯と他の戦死者を分けてから
無名の戦死者の ための墓地を作り、そこに首相は行くべきだという案が出されて
いる。 これが、今の所、妥当な案だと考えられるが、なぜか実現しない。

戦後の戦争裁判というのは、常に戦勝国によって行われる。
公平な裁判は望むべくもない。検証した本などを読むと 確かに
判断の根拠があやふやだったり、途中で裁判の流れがガラリと 変わったりと
疑問も浮かぶ。

しかし、例えば、日本が戦勝国となっていたら、公平な裁判を行った だろうかと
想像してみると、当時の状況では、比較的、冷静に進められた と考えるしか
ないようだ。

靖国神社は東京にあるが、手入れが行き届いていて、美しい神社だ。
桜の美しさも際立っている。これに対して、各地の無名の戦死者の墓地は
訪れる人々が高齢となったこともあって、人の手が入らず荒れている
墓地も多いという。

 


 
8/16

お盆(ぼん)というのは、仏教の行事で、一般には、亡くなった人が
この時期に戻ってくると言われている。

会社は、15日を中心に一週間近く休みとなる。 故郷に帰ったり、家族連れで
出かけたりする。 都会に住む子供は、両親いずれかの実家(じっか)を訪れ
田舎の自然 に触れる機会となる。

父親にとっては、高速道路は渋滞(じゅうたい) するし、お土産は買わなくては
いけないし、ちっとも休めないので あまりいいことはないが、このときばかりは
家族サービスに努める ことになる。

ともあれ、死者や先祖を思う日である。 今日は、新聞を読んでいると、サッチモ
の愛称(あいしょう)で知られた ルイ・アームストロングのコルネットが競売
(きょうばい)に かけられるという記事を目にした。

サッチモが音楽を始めるきっかけとなったというこのコルネットに 値段がつくと
いうのが分らない。

これは、売ったり、買ったりする対象にしてもよいのだろうか?
アメリカの20世紀にとって、最も大事なものなのではないのか?

 


 
8/17

「お盆は人が少なくていいねえ」
「ああ、東京はね」
「うん、でも、みんな実家(じっか)に帰るでしょ」
「うん」
「だから、地方でも少し人口が増えるけど、本来の姿じゃないの」
「ああ、平均化するってことね」
「そうそう、東京に集中しすぎなんだよ」
「都内の道路も空いてるしね」
「混んでるのは、高速道路だけ」
「ああ、いまだに車で帰る人って多いね」
「電車だと座れないしね」
「あ、そうか。子供がいるとね」
「夏に別荘で過す人って、どれくらいいるのかな」
「昔から変わらないんじゃないかな」
「でも、最近は安い別荘が売れているらしいよ」
「ああ、一千万くらいの」
「そう、あそこに親戚が集まるんだって」
「なるほどねえ」

 


 
8/21

国産車(こくさんしゃ)というのは、日本製の自動車のことで、これが 国内で
売れているそうだ。

かつては、外国製の車でありさえすれば売れた時代もあった。

外車(がいしゃ)と呼ばれた。

日本の車は右にハンドルがあるが 外車は左にハンドルがある。これが一種のステイタスとなった。
今では、日本車も質のよい 高級車を作るようになった。中でもトヨタは 電気とガソリン、両方で動く車を販売し、人気となっている。

世界で実用レベルの電気自動車は、このトヨタの 「プリウス」だけだと
言われている。 安く、質の高い自動車を作るだけだった 日本の自動車会社も
ようやく 世界にインパクトを与える、本質的に新しいアイデアを持った車を
作るようになった。

 


 
8/22

かつて、欧米諸国のテレビやビデオは、日本製が多かったという 時代があった。
今では、台湾製や韓国製にとってかわっている。 しかし、自動車は、今でも
日本製が増え続けているようだ。 日本車は燃費(ねんぴ)がよく、故障
(こしょう)が少ないことが セールスポイント。
また、車内が静かであることなど、細かい作りが 丁寧だということだ。

しかし、21世紀は、エコロジーが自動車業界の最大のテーマらしい。
ガソリンに頼らない、排出(はいしゅつ)されるガスが少ない車が 「よい車」と
される。

これらの技術は、開発にお金がかかる。自動車業界の世界的な再編成
(さいへんせい)は、90年代の終りから始まったが、まだまだ 淘汰(とうた)
の時代は続くということだ。

 


 
8/23

自動車のマーケティングは、特に日本は、難しいそうだ。

日本は、時速120キロを超えて運転することはほとんどない。
都心では、渋滞続きで、平均10~20キロ程度だ。

郊外で空いている時で 平均40キロ程度。 日本では、鋪装された道路が
ほとんどだが、北は、雪が毎年2.3メートル 積もることは珍しくない。
この対策も必要になる。

日本のユーザーは、渋滞のこともあってか、車内での居住性を重視する。
また、通勤に車は使えず、週末に家族とドライブするのが主な目的であることが
多いので、多くの人数が乗れることが大事だ。

道路は狭く、大きな車は、入れない道が多い、したがって、大きな車はあまり売れない。

 


 
8/24

「『つくつくぼうし』って知ってる」
「セミでしょ」
「そう、あれ、最近、減って、いないんだって」
「へえ」
「だから、『つくつくぼうし』って鳴声(なきごえ)を聞いたことがある
  子供は少ないらしいよ」
「へえ、たしか、夏の終りごろに、鳴くんだよな」
「そうそう、あの鳴声が聞こえると、夏休みも終りというかんじ」
「宿題もやらなきゃいけないし、なかなか遊べなくなる」
「海もクラゲが出て泳げなくなってるし」
「大人は会社が始まって、なんとなく、騒々しくなってくるような気分」
「残暑(ざんしょ)という言葉も聞こえてきてね」
「ああ、あいさつでも、『残暑、厳しいですねえ』なんて言ったりするし」
「子供としては、そういう雰囲気を感じて、なんとなく、さびしい時期 だよな」
「そうねえ、宿題をやらなきゃいけないから、友だちとは遊べなくなるしね」

 


 
8/28

ベジタリアンは、日本語で菜食主義者(さいしょくしゅぎしゃ)。

あまり見かけない。 例えば、私はまだ、日本人の菜食主義者に あったことがない。

江戸時代の後期から、大都市では、一般の人にも肉料理は口にするように
なったそうだ。それまでは、肉食は、ほとんどなかったそうだ。

90年代になってから、英会話学校が増え、若い英語教師が日本に来る ように
なってから、ベジタリアン対応のレストランも増えた。

東京なら それほど苦労することもないようだ。日常の生活でも、肉食以外の
食べ物は豊富にある。 問題は、野菜が高いこと。
それと、よく聞くのは、「日本の野菜は味が薄い」 ということだ。

このことは 肉でも魚でも同じで、戦後、ますます 日本の食べ物は、味が薄く
なってきている。

元々、土壌に含まれる栄養分が少なく、野菜はあまり育たない。 という説や
大量生産で、味が均質化してしまった。 という説もある。

 


 
8/29

都心で、暴力団(ぼうりょくだん)50人の乱闘(らんとう)が あったそうだ。

新聞によると、傘やビール瓶(びん)での殴り合いとなり、催涙 (さいるい)
スプレーで、「目の痛みを訴えた」組員(くみいん)も いたとのこと。
ケガ人もでた。

ハリウッド映画などでも、日本の「ヤクザ」は、しばしば 描かれる。 無口で、狂気(きょうき)を内に秘め、刀(かたな)を武器として 使う。だいたい、そんなところだ。

しかし、それは、昔の話で、日本が豊かになると共に彼らは「経済ヤクザ」 と
姿を変えていった。 アルマーニのスーツを着こなし、カクテルを飲む。
日本経済新聞の 株式欄(かぶしきらん)に目を通す。

50人の乱闘騒ぎ、というのは、東京では珍しい。

しかし暴力団が50人で 乱闘して、「目の痛みを訴える」程度で終るというのは
変なカンジだ。

 


 
8/30

日本を代表するある大企業の本社ビルは丸の内(まるのうち)という 所にある。

1階は受け付けだが、銀行と郵便局がある。
地下1階には、床屋、喫茶店靴屋、小さな洋服屋(スーツが売っている) 酒屋
花屋、タバコ屋、小さな電気屋、食器屋、ゴルフ屋、ゴルフ場の 会員券の代理店
旅行の代理店、クリーニング屋がある。

地下2階には、いろんな種類のレストラン、居酒屋(いざかや) 数々の自動販売機
(じどうはんばいき)、携帯電話の代理店があった。 10メートルごとに
公衆電話と灰皿がある。

ビルの最上階には会員制のバーとレストランがあるらしい。
世界が滅びても、しばらくは生きていけるに違いない。

 


 
8/31

30代の女性、2人の会話。

「『始球式(しきゅうしき)』ってあるでしょ」
「ああ、野球の試合の前に最初に投げるのね」
「そうそう、最近は歌手(かしゅ)とか、俳優(はいゆう)が多いでしょ」
「そうねえ、高校野球は、いつも、おじいさんね」
「ああ、あれは、文部大臣(もんぶだいじん)」
「文部科学(もんぶかがく)大臣よ」
「あ、名前が変わったんだ」
「そう、いつもボールがキャッチャーまで届かないのよね」
「つまらないのよね。ニヤニヤ笑ったりして」
「私、政治には興味ないけど、大臣になって、始球式やってみたいな」
「え!」
「みんな、ぜんぜん期待してないでしょ。おばさんだし女だし」
「うん」
「そこで、アンダースローで、見事にストライク!」
「ああ、いいな。始球式でアンダースローって見たことないし」
「そう、始球式史上に残る一球になるのよ」

日本では高校野球の大会はテレビ中継され、人気がある。
また、女性のソフトボールや野球をやる人も増え、レベルも上がっている。

 



2001年07月


 
7/3

今年の梅雨(つゆ)は、関東地方は雨が少ないようである。

通常ならば、一ヶ月近くも雨が降り続く季節でもいろいろと楽しみはある。
まず、紫陽花(あじさい)がきれいだ。
紫陽花の名所は各地にあって 梅雨の 合間をぬって、訪れる人が多くいる。

適度な雨は、稲の発育には 欠かせないものだ。雨が少ない梅雨を 「空梅雨
(からつゆ)」と言うが、空梅雨の年は、稲だけではなく 他の農作物も育ちが
悪いそうだ。

また、雪ほどではないが、雨も町並みの景色を変えてくれる。
神社仏閣(じんじゃぶっかく)などは、雨でしっとりと色付いたものの ほうが
美しいと感じる時もある。

え? それでも雨は、うっとおしい? そうですねえ。
でも、例えば、好きな人と一つの傘で歩くのは、悪くないと思いませんか?

 


 
7/4

小泉(こいずみ)さんがイギリスやアメリカ、フランスを訪問して 国内では
トップニュース扱いだが、まあ、ほとんどは、どんなシャツ を着たとか
オペラを観たとか、というエピソードが中心である。

彼は横浜という大都市の出身で、典型的な都会の洗練(せんれん)された 大人の
男性である。また、代々(だいだい)政治家の家系(かけい) でもあり
お坊っちゃんだ。確かにラルフローレンのシャツが似合う 政治家は日本で
探すのは難しい。

日本のファッションは、ヨーロッパでは、黒を基調(きちょう)とした モード系
のファッションが有名かもしれないが、多数を占めるのは アメリカンカジュアル
である。 町を歩くと、アメリカの大学の名前の入ったTシャツやスウェットを
着た若者は、よく見かけるし、中年の男性や女性も普段着(ふだんぎ)は
似たようなものを着ている。

 


 
7/5

日本で多数を占めるアメリカンカジュアルの洋服は、中国製が多く、安く売られて
いる。 ボタンダウンのシャツは、1000円から3000円で買える。
だいたい1.2年でダメになるけれども。

今、日本でブームなのは、中国で作られたユニクロというメーカーだ。
ベネトンのアジア版と言うと、怒られるかもしれないが、基本的な コンセセプト
は同じで、それを少し保守的にして、アメリカンカジュアルを 意識した
デザイン戦略で成功している。

これまでの安い洋服の「安かろう悪かろう」 と いうイメージを払拭 (ふっしょく)して、ある程度、丈夫で、安物にしては 洗練されたデザイン が人気の理由だ。

ある調査では、新宿を歩いている人の20%がユニクロの製品を着ていた そうだ。
特に20代から30代に人気が高い。

 


 
7/6

「おまえの会社ある? カジュアルデイ」
「何、それ」
「金曜だけは、ノーネクタイで出勤(しゅっきん)するってやつ」
「ああ、2年前に廃止(はいし)になった」
「うち、まだやってるんだよ」
「結局、面倒なんだよね」
「そう。カジュアルって言っても、微妙にルールがあってね」
「暗黙(あんもく)のルールね」
「そうそう。それが面倒なんでスーツで行くと、『ダメ』って言われる」
「お金もかかるしね」
「リラックスできないし、お金もかかるしで、いいことないよ」
「あれ、結局、それが目的なんだよ。洋服の業界がよろこぶだけだよ」
「営業で他の会社に行く時は、わざわざスーツに着替えなくちゃならないし」
「誰が言い出したんだろうね」
「たしか、アメリカに内需(ないじゅ)を拡大しろって言われて政治家が
  言い出したんじゃないの」
「そんなカンジだったな。そういうこと多いな」
「デパートが売り上げ不振(ふしん)だったけど、それで少し生き延びたみたいだよ」
「ああ、おじさんは、洋服、デパートで買うからね」

 


 
7/12

早くも今回の選挙は、与党(よとう)である自民党が圧勝(あっしょう)
するだろうと言われはじめている。
私はなんとなくそれほど投票率もあがらないような気がしている。

選挙にテレビが影響力を与えるようになったのは、80年代のアメリカ からだと
言われるが、確かに、その点、小泉(こいずみ)さんは、巧み である。
表情や、しぐさ、言葉の選び方、話し方、などテレビでは注意しなければ
ならない点をクリアしている、他の政党の党首(とうしゅ)どころか
元テレビタレントの候補者よりも上手だ。
(まあ、元々、テレビでは一流とは言いがたい人たちばかりだけれども)

しかしテレビの観客は、人一倍、飽きっぽいことを忘れてはならない。

通常、日本のテレビ番組は、3カ月を「ワンクール」と呼び、人気が 続けば
3カ月ごとに延長される。長いヒット作品になるかどうかは 最初の一ヶ月が
勝負だそうだ。

選挙は今月の終りだが、あと2週間、飽きずにこの観客達は熱狂してくれる
だろうか。

 


 
7/13

男性と女性

「今、飛行機って、全席、禁煙でしょ」
「ああ、そうね」
「海外旅行だと、10時間以上も吸えないことになるじゃない」
「うん」
「だから、もう10年以上海外旅行したことなかったのよ」
「そんな、大げさな」
「いや、大げさじゃないのよ。去年、いろいろ考えて、香港で乗り換える
  方法を思い付いたの」
「え、どうするの」
「香港で喫煙席があるエアラインを探したの」
「まだあるの?」
「アラブ系のエアラインとかね」
「はあ、大変だな」
「一旦、アブダビに行ってからヨーロッパに行くの」

この女性はヘビースモーカーで、これはホントの話。

 


 
7/17

「痛みをともなう改革(かいかく)」というのが、今回の選挙のテーマだ。

「痛(いた)み」とは、経済の構造(こうぞう)が変わることによって 生じる
変化のことらしい。
どのような産業が影響を受けると言われているかというと、、、

中小の建設業界
これは、もうほとんどダメなことはわかっていた。時間の問題だ。

小売業(こうりぎょう)
特に大手のデパートなど、定価(ていか)で商売をしているところ。
これも、可能性はほとんどない。

卸売(おろしう)り業者
インターネットが普及すればするほど、この手の業者は不要になる。

不動産業
特に地方の中規模の会社。新しく作った住宅団地などで見込みのないものは
もう見捨てられるだろう。

もちろん、各種のメーカーも厳しい。例えば、家庭用のビデオデッキを
作っている会社は、大手だけでも10社ほどあるが、半分は不要だ。

最悪のシナリオは、悪い流れに乗って、大手の銀行が信用を失い廃業に
追い込まれる。ある日本の銀行は、資産では、世界有数だが、関係者の 間では
「潰れても驚かない」と囁(ささや)かれている。

 


 
7/18

カルロスゴーンという人が日本の日産(にっさん)という会社の 経営者となり
立て直した。 もちろん、彼の能力の高さ。率直な物言いが日本人に受け入れられた
ということもあるだろう。

日産自体が元々力のある会社で、ぎりぎりのところで、彼が現れたという
タイミングにも原因があるようだ。

もうひとつは、日産の社員が「会社のために」退職(たいしょく)や 減俸
(げんぽう)を受け入れたということが大きいのではないだろうか。
もしフランスだったら、一気に2万人近くのリストラが受け入れられたか
どうかは疑わしい。

この日産の立て直しを見て、「まだ日本経済に可能性はある」と考える人 もいる。
一方で、黙って減俸や退職に応じる「羊のような」サラリーマン達を
「気持ち悪い」と感じる人もいる。

 


 
7/19

不動産(ふどうさん)の広告を読むには技術が必要だ。

場所の説明では「**駅から10分」といったものが一般的である。
これは、もちろん15分から20分と考えなければならない。 私はかつて
駅から15分と書いてあるアパートの大家(おおや)に
「15分はちょっと少ないんじゃないんですか」と言ってみた。
当時、20才の私でも駅から25分はかかったからだ。
すると大家は「いや、この地図で見ると距離は約1キロだから15分です」
と言ってから、自宅から駅までに定規(じょうぎ)をあてた。

直線距離では、確かに1キロ(と300m)くらいだが、道は曲がっているので
2キロはあるのだ。

その大家は占い師だった。変な人で、空いている5つの部屋
のうち、迷って いると、「きみは、302号室があっている!」と大声で
叫ぶのだった。

 


 
7/24

月は、週末に各地で花火大会が行われる。

花火は打ち上げ花火が中心で、8時頃から9時ごろまで海岸や 河川敷など
広いところが行われることが多い。 日本では夏の風物詩(ふうぶつし)。
花火を見て、夏を感じる人も多いだろう。

90年代に入って、特に若者を中心に この花火大会の人出が増えた。
情報雑誌などでも特集を組むようになり、 花火大会は一種のブームと なった。
大会そのものの数も爆発的に増えた。
規模(きぼ)はそれぞれ違うけれども、人出でいっぱいだ。 どこでやっても
10万人単位の人が集まるそうだ。

こうなってくると、花火を見るために人が集まるのではなくて 人が集まるから、人が集まる。ということになってくる。 車は大渋滞(だいじゅうたい)。

先日は、歩道橋で、並んでいた人が いっせいに倒れ、10人の死者がでた。

最近では、こういうイベントは、大手の広告代理店で企画される。
人を集めなければ、スポンサーが、降りてしまったり、次回から 取り止めとなる。

つまり、人が多ければ多いほど成功ということになる。 広告代理店や出版社が
企画したイベントに、季節を感じたりしなければ ならないのは、貧しいことでは
ないか、と考える人たちがいても 不思議ではない。

 


 
7/23

今年の夏は暑くなりそうだ。日中は、35度以上の日が続いている。

夕立ちも多い。午後になると、急に、曇りはじめ、激しい雨が30分ほど 降るハリウッド映画のようにわかりやすい天候(てんこう)だ。

日本では学校は、7月20日から8月いっぱいは、夏休みとなる。 そのため
この期間は、運転免許の学校に通う若者が多い。 運転免許は、18才以上なら
誰でもとれるが、値段が高い。平均で 30万円ほど。実技(じつぎ)の講習
(こうしゅう)と、学科(がっか)の 講習があり、50から100時間程度で
試験に合格すれば取得できる。

この費用は、「まあ、仕方ない」と親が出すことになる。 この後、車を買うにも
保険や、税金など、費用はかさんでいく。

日本には有料道路も多く、車一台持つということは、子供を一人育てる のと
同じくらい費用がかかる。という人もいる。

 


 
7/26

格闘技(かくとうぎ)を学びに日本に留学する外国人もおおい。

相撲(すもう)、柔道(じゅうどう)、空手(からて)などは、その 代表的な
もので、受け入れ体制も、日本語学校などよりは、慣れていて しっかりしている。

これらの留学先では、日本の先輩(せんぱい)、後輩(こうはい)の 関係に
苦しめられることになる。しかし、この環境が日本語の勉強には
最適であることは確かで、1.2年ほど我慢(がまん)すれば、上達は 早い。

最近は、柔道、空手、合気道(あいきどう)は各国に道場 (どうじょう)ができ
自分の国でも練習できるようになった。

しかし、日本国内では、練習も段位(だんい)の認定も厳しく、日本での 練習は
ある種のブランドとなっているようだ。

ある人は 「私は合気道4段ですが、日本では2段くらいです」 などと言っていた。

 


 
7/27

「ウイルスメールってのは、やだね」
「感染(かんせん)したの」
「うん、送り主が知り合いの名前と同じだったんで、ついね」
「だいじょうぶだったの?」
「いや、ハードディスクが破壊(はかい)されるのは10月らしいんだけど」
「うん」
「同じウイルスメールを送る加害者(かがいしゃ)になるのがつらくてね」
「ああ、そうなの」
「勝手にパソコンの中のメールアドレスを集めて、送るんだ」
「高橋の名前で?」
「そう、おれが送ったことになる」
「いやだね」
「おまけに、添付ファイルもおれのハードディスクから選ぶんだ」
「へえ。誰に送ったかわかるの」
「それが、メールソフトを使わずに送るからわからないんだ」
「いやだね」
「シマンテックから無償(むしょう)の除去(じょきょ)ソフトが
  出たから助かった」

「ああ、そうなの、有名なウイルスなんだね」

これは、実話(じつわ)です。

 


 
7/31

下がり続ける株価(かぶか)とは、正反対に暑い日が続いて 今年はどうやら
猛暑(もうしょ)になりそうである。

毎年、7月には、今年の夏が暑いかどうかが話題になり、冷夏(れいか) であると
経済に与える影響を心配する声が聞かれる。 冷夏だと、ビールが売れない。
冷房が売れない。とあまりいいことは ないようだ。

今年は、冷房が飛ぶように売れているそうだ。海に行く人も増え ガソリンの
消費量も増える。

ともかく、日本には、せっかく四季(しき)がはっきりした国 なのだから 冬は寒く、夏は暑いほうがいい。

少し涼しくなった夕方に、シャツ一枚になった老人が縁側(えんがわ)で
黙ってすいかを食べている。なんていうのは、なかなかいい風景だ。